JPH05169612A - 化粧材 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】化粧材の内部に光揮性物質及び繊維状物質を含
有させることにより、天然木の持つテリや深み感をより
一層表現可能とする。 【構成】カーボン繊維含有の着色隠蔽層、金属粉又はパ
ール粉含有層、木目柄印刷層を、順次積層して一体化し
てなる化粧材。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、天然木に近いテリや深
み感を有する化粧材に関するものであり、住宅機器、家
具、建具の表面板に、また車両内装に好適に用いられ
る。

【０００２】

【従来の技術】従来より、化粧材として、天然木の持つ
テリ感や深み感を表現するために、種々の方法が試みら
れており、その１つに、金属粉やパール粉を混入させた
不透明熱可塑性フィルムに木目印刷、ヘアーライン等の
エンボス加工を順に施し、次にそのエンボスの凹部を埋
めるようにして接着剤を塗布し、その上から透明な熱可
塑性フィルムを貼り合わせる方法や、逆に金属粉やパー
ル粉を透明な熱可塑性フィルムに混入して、上記と同様
の木目印刷及びエンボス加工を施し、その上から不透明
な熱可塑性フィルムを貼り合わせる方法などが知られて
おり、いずれも内部にエンボス加工を施したもので、入
射した光線が金属粉やパール粉により反射され、かつエ
ンボス面で乱反射して、化粧材に、天然木の持つテリ感
や深み感を付与したものである。

【０００３】しかしながら、これら予めエンボスを施し
たフィルムを利用した内部にエンボスを有する化粧材
は、フィルム積層時に混入した空気が脱けにくく、それ
が層間の接着強度を弱める原因となったり、熱圧によ
り、エンボスの、所謂紋戻りを引き起し易いといった問
題点があった。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記従来技
術の問題に鑑みなされたもので、その目的は、内部に繊
維状物質を含有させることにより、天然木の持つテリや
深み感をより一層表現可能とし、更に空気混入による層
間接着強度の劣化のないことはもちろん、熱圧成形によ
る紋戻りもない、内部に凹凸感を有する化粧材を提供す
ることにある。

【０００５】

【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、請求項１の発明は、カーボン繊維含有の着色隠蔽
層、金属粉又はパール粉含有層、木目柄印刷層を順次積
層して一体化したことを特徴とする。また請求項２の発
明は、上記請求項１の発明において、金属粉又はパール
粉含有層と木目柄印刷層との間に透明または半透明熱可
塑性フィルム層を設けることを特徴とする。

【０００６】本発明においては、上述のような熱可塑性
フィルムを積層することにより、天然木に類似したテ
リ、深み感といった意匠効果が得られ、また、カーボン
繊維を着色隠蔽層中に含有させた事で、黒色のカーボン
繊維が隠蔽され、木目柄印刷層の意匠性を損なうことな
く、内部エンボス効果を安定して得る事ができる。

【０００７】以下、図面を参照しながら本発明をさらに
詳細に説明する。

【０００８】図１は、本発明の化粧材の一構成例を示す
断面図である。

【０００９】本発明に用いる木目柄印刷層１としては、
厚みが２０〜３００μ程度の透明熱可塑性フィルムが使
用可能で、表裏いずれかの面に木目柄印刷１ａを行う。
印刷方式としては、任意に選択可能であるが、グラビア
印刷が適している。また、木目柄印刷１ａを形成するた
めに使用するインキ組成物としては、ビニル系樹脂、ア
ルキッド樹脂、アクリル系樹脂、酢酸ビニル系樹脂、ポ
リアミド系樹脂、ニトロセルロース系樹脂等をビヒクル
の主成分とし、可塑剤、安定剤、充填剤等の添加剤を添
加し、更に溶剤、希釈剤等で混練してなる組成物を使用
する。また、木目柄に関しては、これに隣接する金属粉
又はパール粉含有層２の透過性を考慮して、透明又は半
透明の着色ベタ層を設けておくことが意匠上、望まし
い。

【００１０】次に、本発明に用いる金属粉又はパール粉
含有層２としては、金属粉またはパール粉を厚さ２０〜
３００μ程度の熱可塑性フィルム中に０．５〜１５％
（重量比）程度混合したものが使用可能で、所望のテリ
感に合わせてその輝度を任意に調節することが可能であ
る。金属粉としてはアルミパウダー等が好ましく、用い
る金属粉又はパール粉の粒径は５〜５００μ程度が望ま
しい。

【００１１】この金属粉又はパール粉含有層２を設ける
場合の簡略法として、カーボン繊維含有の着色隠蔽層３
表面に金属粉またはパール粉を含むインキにてベタまた
は柄印刷する事も可能である。

【００１２】更に、本発明に用いる最下層のカーボン繊
維含有の着色隠蔽層３は、木目柄印刷層１および金属粉
又はパール粉含有層２への内部エンボス効果を付与する
目的そして化粧材の色調整及び木質・金属系基材との貼
り合わせにおいて該基材の地色を隠蔽する目的で設ける
もので、カーボン繊維は、厚さ２０〜３００μ程度の熱
可塑性の透明または半透明のフィルム中に、フィルム製
造時の問題やシート積層時の影響を考慮して、繊維径が
１０〜１００μ程度、繊維長が１００〜１０００μ程度
のものを、１％〜１５％（重量比）程度フィルム製造時
に充填することが望ましく、その時に着色剤も混入する
ことにより、所望の不透明なカーボン繊維含有の熱可塑
性フィルムを得ることができる。このカーボン繊維によ
り得られる内部エンボス効果によって、より天然木に近
い乱反射を容易に安定して生み出すことができる。

【００１３】上述の木目柄印刷層１、金属粉又はパール
粉含有層２、カーボン繊維含有の着色隠蔽層３が化粧材
４の基本構成と成るが、さらに、いっそうの深み感、奥
行き感を得たい場合には、木目柄印刷層１と金属粉又は
パール粉含有層２との間に、厚みが２０〜３００μ程度
の透明または半透明熱可塑性フィルム層５を設ける事に
より、その効果が得られる（図２参照）。

【００１４】上記各構成層に使用される熱可塑性フィル
ムの材質としては、塩化ビニル樹脂、アクリル樹脂、ウ
レタン樹脂、ＡＢＳ樹脂、アクリロニトリル樹脂、ポリ
プロピレン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリカーボネート
樹脂、ナイロン樹脂等が使用可能で、特に本発明の場
合、積層時の加工性や木質材等への貼り合わせ加工性そ
して経済性を考慮すると、可塑剤含有量５〜５０重量部
程度の塩化ビニル樹脂が最も好ましい。

【００１５】次いで上記各構成層を積層した後、これを
熱圧にて一体化せしめて化粧材４とする。この際には、
枚葉の平プレス機によるホットコールドプレスや、巻取
りの各構成シートを用いた２層、３層、あるいは４層同
時のロールラミネーターによる貼り合わせが実施可能で
ある。また、これら熱融着による方法の他に、各構成層
間に接着剤を用いた貼り合わせも可能である。

【００１６】

【実施例】以下に本発明の実施例を示して、具体的に説
明する。

【００１７】木目印刷層として、厚さ０．０８ｍ／ｍの
透明塩化ビニルシート裏面に、グラビア印刷機にて、塩
酢ビ樹脂系バインダーのインキを用いて裏面への透過性
を有する半透明のオーク征目柄を印刷した。

【００１８】次に、金属粉又はパール粉含有層として、
粒径４０μのアルミパウダーを５％混入した厚さ０．１
２ｍ／ｍの透明な塩化ビニルシートをカレンダー法にて
用意した。

【００１９】続いて、カーボン繊維含有の着色隠蔽層と
して、太さ１５μ長さ２００μのカーボン繊維を５％混
入した厚さ０．１２ｍ／ｍの茶系塩化ビニルシートをカ
レンダー法にて用意した。また、これら各塩化ビニルシ
ートは、その可塑剤含有量を１０重量部とした。

【００２０】これら各化粧シートをカーボン繊維含有の
着色隠蔽層から順次積層した後、鏡面板温度１７０℃、
圧力３０ｋｇ／ｃｍ² 、加圧時間１０分という条件で、
熱圧プレス機にて一体化した。

【００２１】こうして得られた化粧材は、天然木に似た
テリや深み感を有する意匠性に優れたものであった。

【００２２】

【発明の効果】本発明の化粧材は、以上のように構成さ
れているので、以下に示すような効果がある。本発明の
化粧材は、内部に繊維状物質を含有した層と、光輝性物
質を有する層が設けられている為、入射光が乱反射し、
その結果天然木に似たテリや深み感の表現に優れた効果
を奏する。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の化粧材の一構成例を示す断面図であ
る。

【図２】本発明の化粧材のその他の構成例を示す断面図
である。

【符号の説明】

１…木目柄印刷層 ２…金属粉又はパール粉含有層 ３…カーボン繊維含有の着色隠蔽層 ４…化粧材 ５…透明または半透明熱可塑性フィルム層

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】カーボン繊維含有の着色隠蔽層、金属粉又
   はパール粉含有層、木目柄印刷層を順次積層して一体化
   したことを特徴とする化粧材。
2. 【請求項２】金属粉又はパール粉含有層と木目柄印刷層
   との間に透明または半透明熱可塑性フィルム層を設ける
   ことを特徴とする請求項１記載の化粧材。