JPH05162288A - 印刷機の刷版着脱装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 印刷機の刷版の取り換えをほとんど人手を用
いないで行ない、しかも他の作業の邪魔にならないよう
にする。 【構成】 印刷機の両側の本体フレームに上下動可能に
設けた側板に装置フレームを揺動可能に取付け、その装
置フレームに刷版案内部材を設け刷版押えローラと尻側
端部押え部材とを揺動腕を介して支持させ、版胴に対す
る刷版巻付時、その刷版押えローラは刷版を版胴に押付
け、上記版万力の開口に対する刷版の尻側端部挿入時、
刷版押えローラにより上記尻側端部を移動させるととも
に上記尻側端部を押え部材により版万力の開口前部に位
置決めし、その刷版押えローラの回動により刷版の尻側
端部を上記版万力の開口に対して挿脱する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、印刷機の刷版着脱装
置、特に、オフセット印刷機において、上歯と下歯とか
ら成る版万力を備えた版胴に対して刷版を自動的に着脱
する装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】オフセット印刷機において、刷版を版胴
に装着するには、版胴に設けた版万力のくわえ側版締部
に刷版のくわえ側端部をくわえさせて締付けた後、版胴
を回動させて刷版を版胴に巻付ける。そして、刷版の尻
側端部を版万力の尻側版締部にくわえさせて取付けるも
のである。また、版胴から刷版を取外すには、上記と反
対の手作業で作業を行うものである。

【０００３】この作業を手作業で行うことは、非常に面
倒であり、さらに多くの作業時間を要して非能率である
ため、上記の手作業を廃止するように種々の装置が開発
されている。

【０００４】従来、この種の装置として、版胴の接線方
向に開口を形成した版万力に適用した例がある。即ち、
印刷機本体の左右のフレームにサイドフレームを取り付
け、それらのサイドフレーム間に押込み部材とローラと
を上下に設ける。その押込み部材により刷版の尻側端部
を支持し、その部材を前進させて版万力開口前部に押込
むとともに、上記ローラは刷版を版胴に押し付けながら
移動させ、押込み部材による刷版の支持を解いて刷版の
尻側端部を版万力のくわえ開口に挿入させてなる版胴に
おける版尻挿入装置は、特開昭62−169646号公報に開示
されている。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】ところが、上記の版胴
における版尻挿入装置においては、版万力のくわえ開口
を構成する上歯と下歯との間から刷版の尻側端部を抜き
出すことはできないから、刷版を版胴から取外す場合
に、この装置とは別の刷版取外し装置を用意しなければ
ならない。また、本装置のサイドフレームは、印刷機本
体の左右んフレームに取り付けられているから、版胴等
を清掃するようなメンテナンス時に邪魔になるという問
題がある。

【０００６】本発明は、上記の問題を解決した印刷機の
刷版着脱装置を提供すること目的とする。

【０００７】

【課題を解決するための手段】本発明の印刷機の刷版着
脱装置は、上記の目的を達成するために、版胴の上歯と
下歯とから成る版万力を具え、その版万力を開閉させて
刷版を版胴に対して着脱する印刷機の刷版着脱装置にお
いて、上記印刷機の両側の本体フレームに側板を上下動
可能に設け、その側板に装置フレームを揺動可能に取付
け、その装置フレームに刷版案内部材を設けるとともに
刷版押えローラと尻側端部押さえ部材とを揺動腕介して
支持させ、版胴に対する刷版巻付時、その刷版押えロー
ラは刷版を版胴に押付け、上記版万力の開口に対する刷
版の尻側端部挿入時、刷版押えローラにより上記尻側端
部を移動させるとともに上記尻側端部を押え部材により
版万力の開口前部に位置決めし、その刷版押えローラの
回動により刷版の尻側端部を上記版万力の開口に対して
挿脱するように、尻側端部押え部材および刷版押えロー
ラの作動機構を上記装置フレームに設けたものである。

【０００８】

【作用】上記の構成により、刷版を版胴に装着するとき
は、印刷機の両側の本体フレームに設けた側板に対して
装置フレームを版胴方向に揺動させる。そして、刷版の
くわえ側端部を刷版案内部材に沿って版胴に設けた版万
力のくわえ側版締部の挿入し、版胴の回動に伴って刷版
押えローラを作動させて刷版を版胴に押付けながら巻付
ける。

【０００９】次に、版万力の開口に対する刷版の尻側端
部挿入位置で版胴の回動を停止させ、版万力に被った状
態にある刷版の尻側端部を刷版押えローラの回動により
版万力開口前方に移動させる。そこで、尻側端部をその
押え部材の回動により版万力の開口前部に位置決めし、
刷版押えローラを上記と反対に回動さえることにより尻
側端部を版万力の開口に挿入することができる。

【００１０】刷版を版胴から取外すときは、版胴を前記
の尻側端部挿入時と同位置に回動し、刷版押えローラに
より刷版を版胴に押付けた状態でその刷版押えローラを
前記尻側端部挿入時と反対方向に回動させると、刷版の
尻側端部は版万力の開口から引抜かれる。そこで、その
刷版押えローラを版胴から離れるように揺動させると、
刷版は版胴から剥がれるから、版胴を前記の刷版巻付時
と反対方向に回動することにより刷版は機外に押し出さ
れ、刷版を版胴から取外すことができる。

【００１１】装置フレームを待機位置に揺動させると、
装置全体は側板を介して上方に移動可能であるから、版
胴近傍を開放することができる。

【００１２】

【実施例】以下、本発明の実施例を図面に従って具体的
に詳明する。図１は本発明の刷版着脱装置１を備えた印
刷機の一部の側面図で、２は印刷ユニット、３、４はそ
の印刷ユニット２の左右両側の本体フレーム、５は版
胴、６はその版胴５の接線方向にくわえ開口（開口）を
設けた版万力である。版万力６は、くわえ側端締部７と
尻側版締部８とから成り、それぞれ上歯７ａ、８ａと、
下歯７ｂ、８ｂとで刷版Ｐの端部をくわえることによ
り、刷版Ｐは版胴５に装着される。９はくわえ側版締部
７の開閉カム軸、10は尻側版締部８の開閉カム軸、11は
版張り用カム軸である。

【００１３】上記各カム軸９、10、11の作動機構は、例
えば、それらのカム軸９、10、11の軸端に歯車を取付
け、その歯車を所定回動量のみ回動させる歯車列を本体
フレーム３との間に設けたり（特開平２−277639号公報
参照）、または、本体フレーム３にカムを設け、そのカ
ムに係合するカムフオロアを上記各カム軸９、10、11の
軸端に設ける（特開平２−255339号公報参照）等の機構
により、版胴５の回動に伴って上記の各カム軸９、10、
11を回動させて、版締めを行うように構成されている。
これらの構成は従来のものと同じである。

【００１４】本発明の刷版着脱装置１は、この種の版万
力６を備えた版胴５を有する印刷機に有効に適用される
もので、印刷機の両側の本体フレーム３、４に上下動可
能に設けた側板12、12に装置フレーム13、13を揺動可能
に取付け、その装置フレーム13、13に刷版案内部材14を
取付けるとともに刷版押えローラ15と尻側端部押え部材
16とを左右の揺動腕17、17を介して支持させ、版胴５に
対する刷版巻付時、その刷版押えローラ15は刷版Ｐを版
胴５に押付け、上記版万力６の開口により上記尻側端部
Ｐ２を移動させて押え部材16で版万力６の開口前部に位
置決めし、その刷版押えローラ15の反対回動により上記
の刷万力６の開口に対して挿脱するように刷版Ｐの押え
ローラ15および尻側端部押え部材16の作動機構を上記装
置フレーム13、13に設けたものである。

【００１５】以下、刷版Ｐの装着、取外し工程順に詳述
する。本発明の刷版着脱装置１は、印刷作業時図１鎖線
示のように印刷ユニット２の後面外側位置に略垂直状態
で待機し、刷版交換時実線示のように版胴方向に傾動し
て刷版の着脱を行う。

【００１６】図１は刷版Ｐのくわえ側端部Ｐ１を版万力
６のくわえ側版締部７に挿入した状態を示すもので、図
２はその正面図、図３は図２の中央縦断側面図である。
同図に示すように側板12、12は、印刷機の両側の本体フ
レーム３、４にそれぞれ上下方向に取付けたガイドレー
ル20、20に沿って上下動可能である。21は側板12と一体
的に設けた摺動部材、22はその側板12に軸ピン23で連結
した側板上下動用レバーである。

【００１７】上記の装置フレーム13、13は、上記の両側
板12、12の内側にそれぞれ設けられ、その装置フレーム
13、13、側板12、12を貫通する連結軸24を支点にして揺
動可能である。25は一端25ａを側板12に、他端25ｂを装
置フレーム13に連結した装置フレーム揺動用のアクチュ
エータで、このアクチュエータ25の作動により装置フレ
ーム13は、図１に示すように、左右の装置フレーム13、
13間に設けた刷版案内部材14による刷版案内方向とくわ
え側版締部７の開口とが一致するように、版胴５方向に
揺動するものである。

【００１８】なお、この場合、その装置フレーム13と連
動して開閉する上部刷版案内を上記の側板上下動用レバ
ー22、22間に設けることもある。刷版押えローラ15は、
図２に示すように左右の装置フレーム13、13に揺動腕1
7、17を介して支持され、装置フレーム13と揺動腕17と
の間に設けたアクチュエータ26により版胴５に対して接
離可能である。27は装置フレーム13に取付けられ刷版押
えローラ15を駆動する揺動形アクチュエータ、28はその
揺動形アクチュエータ27と刷版押えローラ15のローラ軸
15ａとの間に設けたクラッチで、揺動形アクチュエータ
27の出力軸27ａを時計方向または反時計方向に回転する
と、刷版押えローラ15は歯車列30、31、32、33と介して
クラッチ28接続により時計方向または反時計方向に回転
駆動され、また、クラッチ28切断により回動自由であ
る。

【００１９】刷版Ｐの尻側端部押え部材16は、図２に示
すように刷版押えローラ15の両側においてそのローラ軸
15ａに軸受16ａ、16ｂを介して回動自由に支持され、揺
動形アクチュエータ35の作動により歯車36、37、38を介
して駆動されて尻側端部Ｐ２を全長に渉って押さえるも
のである。なお、上記揺動形アクチュエータ27、35をモ
ータに変更すること、または歯車列30〜33、36〜38を他
の機構、例えばチェーン伝動機構に変更することは任意
である。

【００２０】上記のように刷版Ｐのくわえ側端部Ｐ１を
版万力６のくわえ側版締部７に挿入した後、図４に示す
ように、アクチュエータ26を作動させて刷版押えローラ
15により刷版Ｐを版胴５に押付けた状態で版胴５を回動
すると、刷版Ｐは版胴５に巻付けられる。この場合、ク
ラッチ28を切断状態に制御しているから刷版押えローラ
15は回動自由である。

【００２１】図５は版胴５に対する刷版Ｐの巻付けが終
了した状態を示す。このとき、尻側端部Ｐ２は、尻側版
締部８の上歯８ａ上に被る。そこで、クラッチ28を接続
し、揺動形アクチュエータ27を作動させて刷版押えロー
ラ15を図示時計方向に回転させることにより、刷版Ｐの
尻側端部Ｐ２を図６に示すように尻側版締部８の開口前
方に引き戻す。そして、揺動形アクチュエータ35を作動
させて尻側端部押え部材16を図示時計方向に回転させる
ことにより、上方を向いている尻側端部Ｐ２を尻側版締
部８の開口方向に押さえて位置決めし、刷版押えローラ
15を上記と反対の反時計方向に回転させると、尻側端部
Ｐ２は図７に示すように尻側版締部８に挿入されるもの
である。

【００２２】上記の作動終了後、版胴５を回動し、開閉
カム軸９、10及び版張りカム軸11を作動させて版締め及
び版張りを行うものである。印刷作業終了後の刷版Ｐの
取外しは、上記と反対に版胴５を回動させて刷版ゆるめ
を行なうとともに、版胴５を前記尻側版締部８に対する
尻側端部挿入位置に回動して刷版押えローラ15により行
なう。すなわち、図７に基づいて説明すると、刷版押え
ローラ15により同図のように尻側端部Ｐ２の近傍部を押
さえ、そのローラ15を時計方向に回転すると、尻側端部
Ｐ２は尻側版締部８の上、下歯８ａ、８ｂ間よりずれて
引抜かれる。そこで、刷版押さえローラ15を版胴５より
揺動離脱させると、刷版Ｐはその剛性により版胴５によ
り剥がれるから、図８に示すように版胴５を時計方向に
回転させることにより刷版Ｐは不図示の排版ガイドに案
内されて印刷ユニット２の後部外側に排出されるもので
ある。

【００２３】本発明の刷版着脱装置１は、上記のように
作動して刷版Ｐの着脱を行うものである。不使用時は前
記のように装置フレーム13を略垂直状態に位置させるも
ので、この場合、上下動用レバー22にアクチュエータを
接続してその作動により、または手動により刷版着脱装
置１を上方に移動させることができる。従って、版胴５
の後方が開放されるから、版胴５等の点検時に邪魔にな
ることはない。

【００２４】

【発明の効果】本発明の印刷機の着脱装置は、上記のよ
うに版胴に上歯と下歯とから成る版万力を具え、その版
万力を開閉させて刷版を版胴に対して着脱する印刷機の
刷版着脱装置において、上記印刷機の両側の本体フレー
ムに側板を上下動可能に設け、その側板に装置フレーム
を揺動可能に取付け、その装置フレームに刷版案内部材
を設けるとともに刷版押えローラと尻側端部押え部材と
を揺動腕を介して支持させ、版胴に対する刷版巻付時、
その刷版押えローラは刷版を版胴に押付け、上記版万力
の開口に対する刷版の尻側端部挿入時、刷版押えローラ
により上記尻側端部を移動させるとともに上記尻側端部
を押え部材により版万力の開口前部に位置決めし、その
刷版押えローラの回動により刷版の尻側端部を上記版万
力の開口に対して挿脱するように、尻側端部押え部材お
よび刷版押えローラの作動機構を上記装置フレームに設
けたものであるから、従来のこの種の装置がもつ問題点
をよく解決できる。

【００２５】また、大きなスペースを必要としないか
ら、外観体裁がよくてこの種の装置として有効適切であ
る。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の刷版着脱装置を備えた印刷機の一部の
側面図

【図２】本発明の刷版着脱装置の正面図

【図３】図２の中央縦断側面図

【図４】版胴に対する刷版巻付時の部分側面図

【図５】刷版巻付終了時の同上図

【図６】版万力に対する刷版の尻側端部挿入時の同上図

【図７】版万力に対する刷版の尻側端部挿入時の同上図

【図８】刷版取外し時の側面図

【符号の説明】

１ 刷版着脱装置 ３、４ 本体フ
レーム ５ 版胴 ６ 版万力 ７ａ、８ａ 版万力６の上歯 ７ｂ、８ｂ 版
万力６の下歯 12 側板 13 装置フレー
ム 14 刷版案内部材 15 刷版押えロ
ーラ 16 尻側端部押え部材 17 揺動腕 Ｐ 刷版 Ｐ２ 刷版Ｐの
尻側端部

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 版胴に上歯と下歯とから成る版万力を具
   え、その版万力を開閉させて刷版を版胴に対して着脱す
   る印刷機の刷版着脱装置において、 上記印刷機の両側の本体フレームに側板を上下動可能に
   設け、その側板に装置フレームを揺動可能に取付け、そ
   の装置フレームに刷版案内部材を設けるとともに刷版押
   えローラと尻側端部押え部材とを揺動腕を介して支持さ
   せ、版胴に対する刷版巻付時、その刷版押えローラは刷
   版を版胴に押付け、上記版万力の開口に対する刷版の尻
   側端部挿入時、刷版押えローラにより上記尻側端部を移
   動させるとともに上記尻側端部を押え部材により版万力
   の開口前部に位置決めし、その刷版押えローラの回動に
   より刷版の尻側端部を上記版万力の開口に対して挿脱す
   るように、尻側端部押え部材および刷版押えローラの作
   動機構を上記装置フレームに設けたことを特徴とする印
   刷機の刷版着脱装置。