JPH05162203A - 熱回復性物品とその収縮方法 - Google Patents

熱回復性物品とその収縮方法

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JPH05162203A
JPH05162203A JP3351268A JP35126891A JPH05162203A JP H05162203 A JPH05162203 A JP H05162203A JP 3351268 A JP3351268 A JP 3351268A JP 35126891 A JP35126891 A JP 35126891A JP H05162203 A JPH05162203 A JP H05162203A
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JP
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article
resin composition
heat
adhesive resin
tube
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JP3351268A
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Inventor
Hiroshi Hayami
宏 早味
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Sumitomo Electric Industries Ltd
Original Assignee
Sumitomo Electric Industries Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 硬化型接着層付きの熱回復性物品及びその収
縮方法に関する。 【構成】 イ.物品Aは接着性樹脂組成物a内層を持
ち、熱収縮性の熱可塑性樹脂製のパイプ状成形品、物品
Bは熱収縮前の物品Aの内径よりも小な外径を持つ接着
性樹脂組成物bからなるパイプ状成形品、ロ、接着性
樹脂組成物a及びbが、アルコキシシラン変性ポリオレ
フィン或いは有機スズ化合物含有熱可塑性樹脂である
か、 グリシジルメタクリレート含有エチレン共重合
体或いはアミン基、酸無水物基含有熱可塑性樹脂であ
る、熱回復性物品。 【効果】 可使時間に制限がなく、熱収縮時に接着剤が
流れ出ない接着剤層付きの熱回復性物品が得られる。防
水性能や防食性能低下の恐れがない。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、硬化型接着層付きの熱
回復性物品及びその収縮方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より径方向に熱収縮性を有する熱収
縮性チューブが絶縁電線の端末処理や銅管等の防水や防
食に使用されている。熱収縮性チューブやスリーブはポ
リエチレンやエチレン−酢酸ビニル共重合体のような熱
可塑性樹脂を溶融押出などの方法でパイプ状に成形し、
このパイプに電子線を照射したり、熱加硫するなどの方
法で架橋せしめ、しかる後に加熱条件下でパイプ内に圧
縮空気を送り込むなどの方法で径方向に膨張せしめてヒ
ートセットする方法で製造される。
【0003】このような熱収縮性チューブやスリーブ
は、その内面に接着性樹脂組成物からなる接着剤層を設
けた構造のものもあり、この構造の熱収縮性チューブや
スリーブは加熱収縮作業中に接着剤層が溶融し、被着体
上にチューブ、スリーブを接着固定させることができ、
また、防水性能や防食性能をさらに向上させることが可
能になる。接着性樹脂組成物には、ポリエステル系ホッ
トメルト樹脂やポリアミド系ホットメルト樹脂やエチレ
ン−酢酸ビニル共重合体のようなポリオレフィン系のホ
ットメルト樹脂が使用され、被着体の種類によって適宜
選定されて使用されている。
【0004】ところが、上記の接着剤層は、再び溶融温
度以上に加熱されるような高温条件で使用されると、接
着剤層が再び流動性を示すようになるために、チューブ
やスリーブの端部から接着剤が流れ出し、美観を損ね、
防水性能や防食性能も低下する問題があった。
【0005】一方、接着剤層に熱硬化型接着剤、例えば
エポキシ−アミン型の接着剤やエポキシ−酸無水物型の
接着剤、ポリオール−イソシアネート型接着剤、常温或
いは熱硬化型シリコーン等の接着剤を使用する方法が考
えられるが、これらの熱硬化型接着剤は可使時間(ポッ
トライフ)に制限があり、或る一定期間内に使用しない
と、接着剤の硬化反応が徐々に進行してしまうため、使
用しようとした時には、接着剤として機能しなくなる問
題があるなど一般には好ましくない。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】以上のような理由で、
可使時間に制限がなく、熱収縮チューブやスリーブの加
熱による収縮作業の際には、溶融して被着体に接着し、
その後は接着剤の溶融温度以上に加熱されても、接着剤
が流れ出してくるような問題のない接着剤層を有する熱
回復性物品の開発が望まれていた。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者は、上記の課題
について種々検討した結果、 I.物品A、物品Bの2つの物品から構成される熱回復
性物品であって、イ.物品Aは、その内面に接着性樹脂
組成物aが形成された、径方向に収縮性を有する熱可塑
性樹脂組成物のパイプ状成形品であり、また物品Bは、
熱収縮前の物品Aの内径よりも小なる外径を有する、接
着性樹脂組成物bから構成されたパイプ状成形品であっ
て、 ロ.しかもこの接着性樹脂組成物a及び接着性樹脂組成
物bが、それぞれアルコキシシランをグラフトしたポリ
オレフィンを必須成分として含有する熱可塑性樹脂組成
物或いは有機スズ化合物を必須成分として含有する熱可
塑性樹脂組成物のいずれか異なる成分から互いに選択さ
れるものである、 ハ.かつ物品A、Bから構成される熱回復性物品が、ま
【0008】II.前記I.と同様の構成の熱回復性物
品であって、ただし、ロ.接着性樹脂組成物a’及び接
着性樹脂組成物b’が、それぞれグリシジルメタクリレ
ートを含有するエチレン共重合体を必須成分として含有
する熱可塑性樹脂組成物或いは分子内にアミン基または
酸無水物基を含有する熱可塑性樹脂を必須の成分として
含有する熱可塑性樹脂組成物のいずれか異なる成分から
互いに選択される物品A’、B’から構成される熱回復
性物品が、可使時間に制限がなく、加熱による収縮作業
の際に溶融して被着体に接着し、その後は接着剤の溶融
温度以上に加熱されても、接着剤が流れ出してくるよう
な問題のない熱回復性物品であることを見出し、本発明
を完成せしめるに至った。
【0009】すなわち、本発明は: イ.物品Aは、その内面に接着性樹脂組成物aが形
成された、径方向に収縮性を有する熱可塑性樹脂組成物
のパイプ状成形品であり、また物品Bは、熱収縮前の物
品Aの内径よりも小なる外径を有する、接着性樹脂組成
物bから構成されたパイプ状成形品であって、 ロ.しかもこの接着性樹脂組成物a及び接着性樹脂組成
物bが、それぞれアルコキシシランをグラフトしたポリ
オレフィンを必須成分として含有する熱可塑性樹脂組成
物或いは有機スズ化合物を必須成分として含有する熱可
塑性樹脂組成物のいずれか異なる成分から互いに選択さ
れるものであり、 ハ.かつ物品A、Bから構成される熱回復性物品であ
り、また 被着体の周囲に物品Bを被せ、その外周に物品Aを
被せ、しかる後に物品Aの外周を加熱せしめることによ
り、物品Aの熱収縮と接着性樹脂組成物a及びbの溶融
を行うことを特徴とする、熱回復性物品の収縮方法でも
ある。
【0010】 イ.物品A’は、その内面に接着性樹
脂組成物a’が形成された、径方向に収縮性を有する熱
可塑性樹脂組成物のパイプ状成形品であり、また物品
B’は、熱収縮前の物品A’の内径よりも小なる外径を
有する、接着性樹脂組成物b’から構成されたパイプ状
成形品であって、 ロ.しかもこの接着性樹脂組成物a’及び接着性樹脂組
成物b’が、それぞれグリシジルメタクリレートを含有
するエチレン共重合体を必須成分として含有する熱可塑
性樹脂組成物或いは分子内にアミン基または酸無水物基
を含有する熱可塑性樹脂を必須の成分として含有する熱
可塑性樹脂組成物のいずれか異なる成分から互いに選択
され、 ハ.かつ物品A’、B’から構成される熱回復性物品で
ある。さらに、 被着体の周囲に物品B’を被せ、その外周に物品
A’を被せ、しかる後に物品A’の外周を加熱せしめる
ことにより、物品A’の熱収縮と接着性樹脂組成物a’
及びb’の溶融を行うことを特徴とする、熱回復性物品
の収縮方法でもある。
【0011】以下、本発明を具体的に説明する。 (A)熱回復性物品について: (i)物品A、A’;本発明で使用する熱回復性物品の
一部を構成する熱収縮性チューブ等の熱収縮性を有する
物品A、A’は、特に限定されず、各種熱可塑性樹脂か
ら公知の方法によって、例えば溶融押出などの方法でチ
ューブやスリーブなどのパイプ状に成形された成形品を
先ず製造する。
【0012】その後、それ自体既知の熱収縮性付与方
法、例えば電子線、γ線等の電離性放射線の照射や、化
学架橋、水架橋等の方法によって架橋させ、次いでこれ
を高温雰囲気下でパイプ内に圧縮空気を送り込むなどの
方法で径方向に膨張させ、その形状を保持したまま冷却
する方法などにより熱収縮性を有する物品A、A’が容
易に得られる。
【0013】これらの熱収縮性付与方法の中、電離性放
射線の照射による架橋は、架橋時間が短く生産性がよ
く、また取り扱い性の点で好ましい。使用できる熱可塑
性樹脂の具体例としては、ポリ塩化ビニル、ポリエチレ
ン、塩素化ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合
体(EVA)、エチレン−アクリル酸エチル共重合体
(EEA)、エチレン−プロピレン共重合体等のポリオ
レフィン類やポリエステル等が挙げられる。これらの熱
可塑性樹脂には、必要に応じて架橋助剤、充填剤、酸化
防止剤などの各種添加剤を含有させてもよい。
【0014】さらに、物品A、A’には、その内面に接
着性樹脂組成物a、a’を形成させることが必要であ
る。この接着性樹脂組成物a、a’は、前記物品A、
A’を形成する熱可塑性樹脂材料と共に、例えば共押出
による溶融押出成形法等により該物品A、A’と一体化
できる。
【0015】(ii)物品B、B’;本発明で使用する熱
回復性物品の一部を構成する、接着性樹脂組成物からな
る物品B、B’は、熱収縮前の物品A、A’の内径より
も小なる外径を有する、接着性樹脂組成物bから構成さ
れたパイプ状成形品である。このパイプ状成形品は、前
記物品A、A’の場合と同様の方法で製造されたもので
あり、ただ、物品A、A’の内側で一体化した複層を形
成させ熱回復性物品とするために、熱収縮前の物品A、
A’の内径よりも小なる外径を有しかつその素材が接着
性樹脂組成物で構成させることが必須である。
【0016】(iii )接着性樹脂組成物a、bについ
て; 1)接着性樹脂組成物a及び接着性樹脂組成物bが、そ
れぞれアルコキシシランをグラフトしたポリオレフィン
を必須成分として含有する熱可塑性樹脂組成物(以下、
シラン変性ポリオレフィン樹脂組成物と略称する)或い
は有機スズ化合物を必須成分として含有する熱可塑性樹
脂組成物(以下、有機スズ化合物含有熱可塑性樹脂組成
物と略称する)のいずれか異なる成分から互いに選択さ
れるとは、具体的には以下の組み合わせを言う。すなわ
ち、イ)接着性樹脂組成物aがシラン変性ポリオレフィ
ン樹脂組成物で、接着性樹脂組成物bが有機スズ化合物
含有熱可塑性樹脂組成物であるか、或いはロ)接着性樹
脂組成物aが有機スズ化合物含有熱可塑性樹脂組成物
で、接着性樹脂組成物bがシラン変性ポリオレフィン樹
脂組成物であるケースを指す。
【0017】2)シラン変性ポリオレフィン樹脂;具体
的に、接着性樹脂組成物a又はbである、アルコキシシ
ランをグラフトしたポリオレフィン樹脂としては、アル
コキシシラングラフトポリエチレン、アルコキシシラン
グラフトエチレン−酢酸ビニル共重合体、アルコキシシ
ラングラフトエチレン−エチルアクリレート共重合体な
どを例示することができる。
【0018】これらのシラン変性ポリオレフィン樹脂
は、既知の方法で製造することができる。例えば、エチ
レン−酢酸ビニル共重合体にt−ブチル−パーオキシベ
ンゾエートやジクミルパーオキシドなどのラジカル重合
触媒の存在下でアルコキシシラン化合物をニーダー、バ
ンバリーミキサー、単軸押出機などを使用して溶融混合
或いは加熱混練する熱溶融グラフト法など(特公昭60
−3096号公報など)により製造できる。
【0019】また、アルコキシシランとしては、ビニル
トリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、γ−
メタクリロキシプロピルトリメトキシシランなどを挙げ
ることができる。 グラフトするシラン量は特に限定を
要しないが、0.01〜1重量%の範囲に設定すれば、
溶融成形性などの観点から好ましい結果が得られる。
【0020】これらのシラン変性ポリオレフィン樹脂組
成物には、従来の飽和共重合ポリエステル系ホットメル
ト樹脂やポリアミド系ホットメルト樹脂やエチレン−酢
酸ビニル共重合体、エチレン−酢酸ビニル−無水マレイ
ン酸共重合体、エチレン−アクリル酸エチル−一酸化炭
素共重合体等のポリオレフィン系ホットメルト樹脂を適
宜混合して使用することができ、これにより接着性樹脂
組成物としての軟化温度や溶融粘度の調整が可能にな
る。
【0021】3)有機スズ化合物含有熱可塑性樹脂組成
物;具体的に、接着性樹脂組成物a又はbである、有機
スズ化合物含有熱可塑性樹脂組成物中の有機スズ化合物
としては、ジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫ジオク
トエート系の化合物を例示できる。該有機スズ化合物を
含有させる樹脂としては特に限定されないが、常温で
0.5〜2重量%の吸水率を有する樹脂を選定すれば、
接着性樹脂組成物層の架橋を促進する上でより好まし
い。
【0022】該樹脂の例としては、従来の飽和共重合ポ
リエステル系ホットメルト樹脂やポリアミド系ホットメ
ルト樹脂やエチレン−酢酸ビニル共重合体、ケン化エチ
レン−酢酸ビニル共重合体等のポリオレフィン系ホット
メルト樹脂などを挙げることができる。該接着性樹脂組
成物b又はaを製造するには、該有機スズ化合物を上記
樹脂中に混練分散させて使用することができる。
【0023】4)その他;また、該接着性樹脂組成物b
又はa中に、ソルビトールや1,2,3,4−ジベンジ
リデンソルビトールや1,2,3,4−ジ(p−メチ
ル)ベンジリデンソルビトールなどのソルビトール類ま
たは、リン酸ビス(4−t−ブチルフェニル)ナトリウ
ム等の芳香族系リン酸エステルの金属化合物などの硬化
助剤を添加しておけば、熱収縮性物品の加熱収縮作業中
に接着性樹脂組成物の架橋反応を迅速に行うことがで
き、特にソルビトール誘導体は微量の添加量で迅速な架
橋が可能となり好ましい。更に、物品A、A’のチュー
ブ層の架橋を電子線照射により行う場合には、これらの
接着性樹脂組成物a又はa’中にt−ブチルヒドロキシ
トルエンのようなラジカル重合禁止剤を添加しておくこ
とが好ましい。
【0024】(ii)接着性樹脂組成物a’、b’につい
て; 1)接着性樹脂組成物a’、b’が、それぞれグリシジ
ルメタクリレートを含有するエチレン共重合体を必須成
分として含有する熱可塑性樹脂組成物(以下、グリシジ
ルメタクリレート含有エチレン共重合体樹脂組成物と略
称する)或いは分子内にアミン基または酸無水物基を含
有する熱可塑性樹脂を必須の成分として含有する熱可塑
性樹脂組成物(以下、アミン基または酸無水物基含有熱
可塑性樹脂組成物と略称する)のいずれか異なる成分か
ら互いに選択されとは、具体的に以下の組み合わせを言
う。
【0025】すなわち、イ)接着性樹脂組成物a’がグ
リシジルメタクリレート含有エチレン共重合体樹脂組成
物で、接着性樹脂組成物b’がアミン基または酸無水物
基含有熱可塑性樹脂組成物であるか、或いはロ)接着性
樹脂組成物a’がアミン基または酸無水物基含有熱可塑
性樹脂組成物で、接着性樹脂組成物b’グリシジルメタ
クリレート含有エチレン共重合体樹脂組成物であるケー
スを指す。
【0026】2)グリシジルメタクリレート含有エチレ
ン共重合体樹脂組成物;具体的に、接着性樹脂組成物
a’又はb’である、グリシジルメタクリレート含有エ
チレン共重合体樹脂としては、エチレン−グリシジルメ
タクリレート共重合体、エチレン−酢酸ビニル−グリシ
ジルメタクリレート共重合体、エチレン−アクリル酸エ
チル−グリシジルメタクリレート共重合体などを例示す
ることができる。
【0027】3)アミン基または酸無水物基含有熱可塑
性樹脂組成物;具体的に、接着性樹脂組成物a’又は
b’である、アミン基または酸無水物基含有熱可塑性樹
脂としては、重合性脂肪酸とポリエチレンポリアミンや
各種のジアミンとの重縮合反応によって得られる熱可塑
性のポリアミドアミン、例えば下式(1)、(2)の化
合物や、エチレン−アクリル酸エチル−無水マレイン酸
共重合体などを例示することができる。
【0028】
【化1】
【0029】4)その他;これらの接着性樹脂組成物
a’又はb’には、従来の飽和共重合ポリエステル系ホ
ットメルト樹脂やポリアミド系ホットメルト樹脂やエチ
レン−酢酸ビニル共重合体、ケン化エチレン−酢酸ビニ
ル共重合体等のポリオレフィン系ホットメルト樹脂など
を適宜混合して使用することができ、接着性樹脂組成物
の軟化温度や溶融温度を調整することが可能である。
【0030】また、これらの接着性樹脂組成物a’又は
b’中に、2−エチル−4−メチルイミダゾールなどの
イミダゾール誘導体などの硬化助剤を添加しておくと、
熱収縮性物品の加熱収縮作業中に接着性樹脂組成物の硬
化反応を迅速に行うことが可能である。更に、物品
A’、B’のチューブ層の架橋を電子線照射により行う
場合には、これらの接着性樹脂組成物a又はb中にt−
ブチルヒドロキシトルエンのようなラジカル重合禁止剤
を添加しておくことが好ましい。
【0031】(2)物品A、B;A’、B’の熱回復性
物品の熱収縮方法:本発明の熱回復性物品の熱収縮方法
は、典型的には図1に示されるように実施できる。すな
わち、被着体の周囲に物品B、B’を被せ、その外周に
物品A、A’を被せ、しかる後に物品A、A’の外周を
加熱すると、物品A、A’の熱収縮と共に接着性樹脂組
成物a、a’と接着性樹脂組成物b、b’より構成され
る物品B、B’が溶融混合し、硬化反応が進行し、熱収
縮性作業後には軟化点以上に加熱されても溶融すること
がなく、接着剤層の流れ出しを防止することができる。
このような操作により熱回復性物品の熱収縮を行うこと
ができる。
【0032】被着体としては、例えば銅、鉄、アルミニ
ウム、スズ、ニッケル等の金属又は合金、ガラス、また
は各種の高分子材料からの成形体を挙げることができ
る。また、物品B、B’は、長手方向に平行な一辺を切
断するなどの方法により、図1に示されるように予め半
割状にしておくと、被着体上への被覆をより簡便に行う
ことができ、収縮作業性の点で好ましい。
【0033】
【実施例】本発明を以下の実施例及び比較例により詳細
に説明するが、これらは本発明の範囲を制限しない。
【実施例1】物品Aのチューブ層の材料にエチレン−エ
チルアクリレート共重合体(エチルアクリレート含量=
15%、メルトフローレート=0.5)を使用し、接着
剤層aの材料としてビニルトリメトキシシランをグラフ
トしたエチレン−エチルアクリレート共重合体(エチル
アクリレート含量=19%、メルトフローレート=3
5、ビニルトリメトキシシランを単軸押出機で熱溶融グ
ラフトして製造、グラフトシラン量=約1.2重量%)
とエチレン−エチルアクリレート−一酸化炭素共重合体
(エチルアクリレート含量=19%、一酸化炭素含量=
5%、メルトフローレート=30)の7:3混合物(重
量比)100重量部に対し、t−ブチルヒドロキシトル
エンを5重量部添加した材料を使用し、溶融共押出法に
より接着剤層aの厚みが0.5mm、チューブ外径10
mmφ、チューブ内径8mmφになるように押出した。
【0034】このチューブに加速電圧が1MVの電子線
を10Mrad照射した後(チューブ層のキシレン抽出
ゲル分率=43%、接着剤層のキシレン抽出ゲル分率=
2%)、150℃の恒温槽内でチューブの内側に圧縮空
気を送り込む方法で外径が20φになるように径方向に
膨張させてヒートセットした。
【0035】物品Bとして、ケン化エチレン−酢酸ビニ
ル共重合体(酢酸ビニル含量=28%、ケン化率=65
%、メルトフローレート=50)100重量部にジブチ
ル錫ジラウレートを0.25重量部、1,3,2,4−
p−p’−ジメチルベンジリデンソルビトール0.10
重量部を添加した材料を溶融押出法により外径16mm
φ、内径15.5mmφのチューブ状に成形した。
【0036】物品A、Bを長さ50mmに切断した後、
外径が12mmφ、長さ100mmの銅製丸棒の中央部
分に物品Bのチューブを被せ、その外側に物品Aを被
せ、160℃の恒温槽中に水平にして5分放置し、銅製
丸棒の周囲に熱収縮させて被覆した。このチューブを被
覆した物品を180℃の恒温槽に垂直に吊るし、接着剤
の流れ出しの状況を調べて結果、2時間後もチューブの
下端部からの接着剤の流れ出しはなかった。
【0037】
【実施例2】物品Aのチューブ層の材料にエチレン−酢
酸ビニル共重合体(酢酸ビニル含量=15%、メルトフ
ローレート=1)を使用し、接着剤層aの材料として、
ビニルトリメトキシシランをグラフトしたエチレン−酢
酸ビニル共重合体(酢酸ビニル含量=28%、メルトフ
ローレート=25、ビニルトリメトキシシランを単軸押
出機で熱溶融グラフトして製造、グラフトシラン量=約
1.6重量%)100重量部に対し、t−ブチルヒドロ
キシトルエンを5重量部添加した材料を使用し、溶融共
押出法により接着剤層aの厚みが1.0mm、チューブ
外径10mmφ、チューブ内径8mmφになるように押
出した。
【0038】このチューブに加速電圧が1MVの電子線
を15Mrad照射した後(チューブ層のキシレン抽出
ゲル分率=51%、接着剤層のキシレン抽出ゲル分率=
3%)、150℃の恒温槽内でチューブの内側に圧縮空
気を送り込む方法で外径が20φになるように径方向に
膨張させてヒートセットした。
【0039】物品Bとして、エチレン−エチルアクリレ
ート−一酸化炭素共重合体(エチルアクリレート含量=
19%、一酸化炭素含量=5%、メルトフローレート=
30)100重量部、1,3,2,4−p−p’−ジメ
チルベンジリデンソルビトール0.2重量部添加した材
料を溶融押出法により外径15mmφ、内径14.5m
mφのチューブ状に成形し、長さ方向と平行の一辺を切
断した。
【0040】物品A、Bを長さ50mmに切断した後、
外径が12mmφ、長さ100mmの銅製丸棒の中央部
分に物品Bのチューブを被せ、その外側に物品Aを被
せ、160℃の恒温槽中に水平にして5分放置し、銅製
丸棒の周囲に熱収縮させて被覆した。このチューブを被
覆した物品を180℃の恒温槽に垂直に吊るし、接着剤
の流れ出しの状況を調べて結果、2時間後もチューブの
下端部からの接着剤の流れ出しはなかった。
【0041】
【比較例1】チューブ層の材料にエチレン−酢酸ビニル
共重合体(酢酸ビニル含量=15%、メルトフローレー
ト=1)100重量部を使用し、接着剤層aの材料とし
て、エチレン−酢酸ビニル共重合体(酢酸ビニル含量=
33%、メルトフローレート=30)100重量部に対
し、t−ブチルヒドロキシトルエンを5重量部添加した
材料を使用し、溶融共押出法により接着剤層aの厚みが
0.8mm、チューブ外径10mmφ、チューブ内径8
mmφになるように押出した。
【0042】このチューブに加速電圧が1MVの電子線
を15Mrad照射した後(チューブ層のキシレン抽出
ゲル分率=58%、接着剤層のキシレン抽出ゲル分率=
1%)、150℃の恒温槽内でチューブの内側に圧縮空
気を送り込む方法で外径が20φになるように径方向に
膨張させてヒートセットした。
【0043】このチューブを長さ50mmに切断し、実
施例1と同じ外径が12mmφ、長さ10mmの銅製丸
棒の中央部分に物品Bのチューブを被せ、その外側に物
品Aを被せ、160℃の恒温槽中に水平にして5分放置
し、銅製丸棒の周囲に熱収縮させて被覆した。このチュ
ーブを被覆した物品を180℃の恒温槽に垂直に吊る
し、接着剤の流れ出しの状況を調べて結果、20分後に
はチューブの下端部より接着剤が流れ出しているのが観
察された。
【0044】
【実施例3】物品A’のチューブ層の材料にエチレン−
酢酸ビニル共重合体(酢酸ビニル含量=15%、メルト
フローレート=1)を使用し、接着剤層a’の材料とし
て、エチレン−酢酸ビニル−グリシジルメタクリレート
共重合体(酢酸ビニル含量=5%、グリシジルメタクリ
レート含量=10%、メルトフローレート=10)とエ
チレン−酢酸ビニル共重合体(酢酸ビニル含量=33
%、メルトフローレート=35)の7:3混合物(重量
比)100重量部に対し、t−ブチルヒドロキシトルエ
ンを4重量部、2−エチル−4−メチルイミダゾールを
0.5重量部添加した材料を使用し、溶融共押出法によ
り接着剤層aの厚みが0.4mm、チューブ外径10m
mφ、チューブ内径8mmφになるように押出した。
【0045】このチューブに加速電圧が1MVの電子線
を10Mrad照射した後(チューブ層のキシレン抽出
ゲル分率=56%、接着剤層のキシレン抽出ゲル分率=
2%)、150℃の恒温槽内でチューブの内側に圧縮空
気を送り込む方法で外径が20φになるように径方向に
膨張させてヒートセットした。
【0046】物品B’として、重合性脂肪酸とポリアミ
ンの縮合物(活性アミン価=550、軟化温度=60
℃、粘度=1,000cps/200℃)とエチレン−
酢酸ビニル共重合体(酢酸ビニル含量=33%、メルト
フローレート=35)の6:4混合物(重量比)100
重量部に対し、2−エチル−4−メチルイミダゾールを
1重量部を溶融押出法により外径15mmφ、内径1
4.5mmφのチューブ状に成形した。
【0047】物品A’、B’を長さ50mmに切断した
後、外径が12mmφ、長さ100mmの銅製丸棒の中
央部分に物品B’のチューブを被せ、その外側に物品
A’を被せ、160℃の恒温槽中に水平にして5分放置
し、銅製丸棒の周囲に熱収縮させて被覆した。このチュ
ーブを被覆した物品を180℃の恒温槽に垂直に吊る
し、接着剤の流れ出しの状況を調べて結果、1時間後も
チューブの下端部からの接着剤の流れ出しはなかった。
【0048】
【実施例4】物品A’のチューブ層の材料に水架橋型低
密度ポリエチレン樹脂(密度=0.923、メルトフロ
ーレート=2.5、三菱油化(株)製、触媒マスターバ
ッチ5%使用)を使用し、接着剤層aの材料として、エ
チレン−グリシジルメタクリレート共重合体(グリシジ
ルメタクリレート含量=15%、メルトフローレート=
7)とエチレン−酢酸ビニル共重合体(酢酸ビニル含量
=28%、メルトフローレート=40)の8:2混合物
(重量比)100重量部を使用し、溶融共押出法により
接着剤層aの厚みが0.3mm、チューブ外径10mm
φ、チューブ内径9mmφになるように押出した。
【0049】このチューブを70℃の温水に6時間浸漬
し(チューブ層のキシレン抽出ゲル分率=46%、接着
剤層のキシレン抽出ゲル分率=0%)、その後、160
℃の恒温槽内でチューブの内側に圧縮空気を送り込む方
法で外径が20φになるように径方向に膨張させてヒー
トセットした。
【0050】物品B’として、重合性脂肪酸とポリアミ
ンの縮合物(活性アミン価=250、軟化温度=70
℃、粘度=3,000cps/200℃)とケン化エチ
レン−酢酸ビニル共重合体(酢酸ビニル含量=28%、
ケン化率=60%、メルトフローレート=60)の7:
3混合物(重量比)100重量部に対し、2−エチル−
4−メチルイミダゾールを2重量部を溶融押出法により
外径16mmφ、内径15.5mmφのチューブ状に成
形した。
【0051】このチューブを長手方向に平行な一辺を切
断して半割り状とした。物品A’、B’を長さ50mm
に切断した後、外径が12mmφ、長さ100mmの銅
製丸棒の中央部分に物品Bのチューブを被せ、その外側
に物品Aを被せ、160℃の恒温槽中に水平にして5分
放置し、銅製丸棒の周囲に熱収縮させて被覆した。この
チューブを被覆した物品を180℃の恒温槽に垂直に吊
るし、接着剤の流れ出しの状況を調べて結果、1時間後
もチューブの下端部からの接着剤の流れ出しはなかっ
た。
【0052】
【比較例2】チューブ層の材料にエチレン−酢酸ビニル
共重合体(酢酸ビニル含量=15%、メルトフローレー
ト=1)100重量部を使用し、接着剤層a’の材料と
して、エチレン−酢酸ビニル共重合体(酢酸ビニル含量
=33%、メルトフローレート=15)100重量部に
対し、t−ブチルヒドロキシトルエンを5重量部添加し
た材料を使用し、溶融共押出法により接着剤層a’の厚
みが0.8mm、チューブ外径10mmφ、チューブ内
径9mmφになるように押出した。
【0053】このチューブに加速電圧が1MVの電子線
を15Mrad照射した後(チューブ層のキシレン抽出
ゲル分率=57%、接着剤層のキシレン抽出ゲル分率=
0%)、150℃の恒温槽内でチューブの内側に圧縮空
気を送り込む方法で外径が20φになるように径方向に
膨張させてヒートセットした。
【0054】このチューブを長さ50mmに切断し、実
施例3と同じ外径が12mmφ、長さ10mmの銅製丸
棒の中央部分に物品Bのチューブを被せ、その外側に物
品Aを被せ、160℃の恒温槽中に水平にして5分放置
し、銅製丸棒の周囲に熱収縮させて被覆した。このチュ
ーブを被覆した物品を180℃の恒温槽に垂直に吊る
し、接着剤の流れ出しの状況を調べて結果、20分後に
はチューブの下端部より接着剤が流れ出しているのが観
察された。
【0055】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によると、
可使時間に制限がなく、しかも加熱による収縮作業の際
には溶融して被着体に接着し、その後は接着剤の溶融温
度以上に加熱されても、接着剤が流れ出してくるような
問題のない、接着剤層付きの熱回復性物品が得られる。
この熱回復性物品は、防水性能や防食性能が低下する恐
れがなく、熱回復性物品の応用分野における利用価値は
非常に大きいものがある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の熱回復性物品とその熱収縮方法を説明
する一つの実施態様を示す模式図である。
【符号の説明】
A、A’ 内層に接着性樹脂組成物層a,a’を有する
熱収縮性チューブ状成形品 B、B’ 物品A、A’よりも小さい外径を持つチュー
ブ状成形品 a、a’ 接着性樹脂組成物 b、b’ 接着性樹脂組成物 1 外層
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 // B29K 105:02 B29L 23:00 4F

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 イ.物品Aは、その内面に接着性樹脂組
    成物aが形成された、径方向に収縮性を有する熱可塑性
    樹脂組成物のパイプ状成形品であり、また物品Bは、熱
    収縮前の物品Aの内径よりも小なる外径を有する、接着
    性樹脂組成物bから構成されたパイプ状成形品であっ
    て、 ロ.しかもこの接着性樹脂組成物a及び接着性樹脂組成
    物bが、それぞれアルコキシシランをグラフトしたポリ
    オレフィンを必須成分として含有する熱可塑性樹脂組成
    物或いは有機スズ化合物を必須成分として含有する熱可
    塑性樹脂組成物のいずれか異なる成分から互いに選択さ
    れるものであり、 ハ.かつ物品A、Bから構成される熱回復性物品。
  2. 【請求項2】 被着体の周囲に物品Bを被せ、その外周
    に物品Aを被せ、しかる後に物品Aの外周を加熱せしめ
    ることにより、物品Aの熱収縮と接着性樹脂組成物a及
    びbの溶融を行うことを特徴とする、請求項1記載の熱
    回復性物品の収縮方法。
  3. 【請求項3】 イ.物品A’は、その内面に接着性樹脂
    組成物a’が形成された、径方向に収縮性を有する熱可
    塑性樹脂組成物のパイプ状成形品であり、また物品B’
    は、熱収縮前の物品A’の内径よりも小なる外径を有す
    る、接着性樹脂組成物b’から構成されたパイプ状成形
    品であって、 ロ.しかもこの接着性樹脂組成物a’及び接着性樹脂組
    成物b’が、それぞれグリシジルメタクリレートを含有
    するエチレン共重合体を必須成分として含有する熱可塑
    性樹脂組成物或いは分子内にアミン基または酸無水物基
    を含有する熱可塑性樹脂を必須の成分として含有する熱
    可塑性樹脂組成物のいずれか異なる成分から互いに選択
    され、 ハ.かつ物品A’、B’から構成される熱回復性物品。
  4. 【請求項4】 被着体の周囲に物品B’を被せ、その外
    周に物品A’を被せ、しかる後に物品A’の外周を加熱
    せしめることにより、物品A’の熱収縮と接着性樹脂組
    成物a’及びb’の溶融を行うことを特徴とする、請求
    項3記載の熱回復性物品の収縮方法。
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