JPH0515828B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

産業上の利用分野 本発明は、織布、不織布、紙等を処理するため
に用いられるシリコーン系繊維処理剤組成物に関
し、特にホルマリンを発生しない反応性オルガノ
ポリシロキサンによる繊維処理剤組成物及びこの
組成物によつて処理された繊維製品に関する。 従来の技術及び発明が解決しようとする課題 従来より、繊維用柔軟防シワ加工剤は種々のも
のが実用化されており、その最も代表的なもの
は、グリオキザール樹脂、メラミン樹脂及び尿素
樹脂等のメチロール基を含有するいわゆる繊維用
パーマネント樹脂類である。 しかし、従来のこの種の繊維用柔軟防シワ加工
剤は、防シワ効果、洗濯耐久性においては優れた
特性を示すものの、その反応機構上、硬化反応中
に有毒なホルマリンを発生し、更には処理された
繊維製品にホルマリンが残存したり、未反応部分
からホルマリンが発生するという問題があり、し
かも処理された繊維製品の風合いが硬いという欠
点を有する。 この場合、硬い風合いは各種シリコーン系柔軟
剤と併用することでかなり改良することができる
が、ホルマリン発生という問題は反応機構上から
生じるものであるから本質的な問題として残る。 一方、シリコーン系柔軟防シワ加工剤も実用化
されている。例えば、USP4269602号及び
USP4269603号明細書において、ホルマリンを発
生しない樹脂加工剤とSiH基及びSiOH基を含有
するシロキサンとの組み合わせによる処理剤、ま
た、USP4549880号明細書において、分岐構造を
有する反応性オルガノポリシロキサンを用いる技
術がそれぞれ開示されている。更に、特開昭57−
47354号公報において、樹脂加工剤とジメチルポ
リシロキサンとの混合物からなる処理剤が開示さ
れている。 しかし、シリコーン系柔軟防シワ加工剤は優れ
た柔軟性を与えるものの、防シワ効果が不十分で
ある上、洗濯回数を重ねるとこれらの柔軟性や防
シワ効果が低下し、洗濯耐久性が劣るという問題
があり、この点の改良が望まれている。 本発明は上記事情に鑑みなされたもので、本質
的にホルマリンを生じない反応により繊維に優れ
た防シワ効果と柔軟性及び洗濯耐久性を付与でき
る繊維処理剤組成物及び該繊維処理剤組成物によ
つて処理された繊維製品を提供することを目的と
する。 課題を解決するための手段及び作用 本発明者は、上記目的を達成するため鋭意検討
を重ねた結果、１分子中に２個以上のアクリロキ
シ基を含有する後述する(1)式で示される特定の液
状ジオルガノポリシロキサンと１分子中に２個以
上のアミノアルキル基を含有する後述する(2)式で
示される特定の液状ジオルガノポリシロキサンと
を、アクリロキシ基１モルに対しアミノアルキル
基を１モル以上の割合となるように上記２種類の
ジオルガノポリシロキサンを組み合わせて繊維製
品を処理した場合、通常の処理条件、処理装置を
用いて、無触媒系でもミカエル付加反応により極
めて容易に反応が進行して繊維上に硬化被膜を形
成し、繊維に柔軟性のある風合いを与えると共
に、優れた防シワ性を与え、しかも優れた洗濯耐
久性を与えることができる上、反応によつて有害
なホルマリンが全く発生しないことを知見し、本
発明をなすに至つたものである。 即ち、本発明は、 (A) 下記一般式(1) 〔但し、R¹は置換もしくは非置換の炭素数１
〜20の一価炭化水素基又はＯ−Ｘで示される基
（Ｘは水素原子又は低級アルキル基を示す）、Ｙは
−R²OCOCH＝CH₂で示されるアクリロキシ基を
含有する有機基（R²は置換もしくは非置換の炭
素数１〜８の二価炭化水素基を示す）を表わし、
ａとｂは０＜ａ≦２，０＜ｂ≦１，1.8＜ａ＋ｂ
＜2.2である。〕 で示され、室温で液状であり、１分子中に２個以
上のアクリロキシ基を有するオルガノポリシロキ
サンと、 (B) 下記一般式(2) 〔但し、R³は置換もしくは非置換の炭素数１
〜20の一価炭化水素基又はＯ−Ｘで示される基
（Ｘは水素原子又は低級アルキル基を示す）、Ｚは

【式】で示されるアミ ノ基を含有する有機基（R⁴は置換もしくは非置
換の炭素数１〜８の二価炭化水素基、R⁵は水素
原子又は置換もしくは非置換の炭素数１〜20の一
価炭化水素基、ｎは０，１，２又は３を示す）を
表わし、ｃとｄは０＜ｃ≦２，０＜ｄ≦１，1.8
＜ｃ＋ｄ＜２である。〕 で示され、室温で液状であり、１分子中に２個以
上のアミノ基を有するオルガノポリシロキサンと
を配合してなり、(A)成分のアクリロキシ基１モル
に対し、(B)成分のアミノ基が１モル以上の割合と
なるよう(A)成分と(B)成分を含有することを特徴と
する繊維処理剤組成物及び該繊維処理剤組成物に
よつて処理された繊維製品を提供する。 以下、本発明について更に詳しく説明する。 本発明の組成物を構成する(A)成分のオルガノポ
リシロキサンは、下記一般式(1) で示され、室温で液状であり、１分子中に２個以
上のアクリロキシ基を有するものである。 ここで、R¹はハロゲン原子等で置換されたも
しくは非置換の炭素数１〜20の一価炭化水素基又
はＯ−Ｘ（Ｘは水素原子又は低級アルキル基を示
す）で示される水酸基もしくは低級アルコキシ基
である。具体的には、R¹としてメチル基、エチ
ル基、プロピル基、ブチル基、ヘキシル基、シク
ロヘキシル基、オクチル基等のアルキル基、フエ
ニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基等の
アリール基で例示される基あるいはこれらの基の
水素原子の一部又は全部がハロゲン原子で置換さ
れた基や水酸基、メトキシ基、エトキシ基、プロ
ポキシ基等の低級アルコキシ基などが挙げられ
る。また、Ｙ基は後述する(B)成分のオルガノポリ
シロキサン中のアミノ基と反応する−R²OCOCH
＝CH₂で示されるアクリロキシ基を含有する有機
基であり、R²は置換もしくは非置換の炭素数１
〜８の二価炭化水素基である。具体的には、R²
としてメチレン基、エチレン基、プロピレン基、
ヘキセン基、フエニレン基等が挙げられる。な
お、(1)式中ａとｂは０＜ａ≦２，０＜ｂ≦１，
1.8＜ａ＋ｂ＜2.2である。このような(1)式で示さ
れるオルガノポリシロキサンとしては、 で示されるものなどの１種又は２種以上を組合わ
せて使用できる。 また(B)成分のオルガノポリシロキサンは、下記
一般式(2) で示され、室温で液状であり、１分子中に２個以
上のアミノ基を有するものである。 ここで、R³はハロゲン原子等で置換されたも
しくは非置換の一価炭化水素基又はＯ−Ｘ（Ｘは
水素原子又は低級アルキル基を示す）で示される
水酸基もしくは低級アルコキシ基である。具体的
には、R³としてメチル基、エチル基、プロピル
基、ブチル基、ヘキシル基、オクチル基等のアル
キル基、フエニル基、トリル基、キシリル基、ナ
フチル基等のアリール基、あるいはこれらの基の
水素原子の一部又は全部がハロゲン原子で置換さ
れた基や水酸基、メトキシ基、エトキシ基、プロ
ポキシ基等の低級アルコキシ基などが挙げられ
る。Ｚは

〔実施例 １〕

ガラス製攪拌羽根、温度計及び還流装置を具備
した１のガラス製反応容器にオクタメチルシク
ロテトラシロキサン740ｇ、ヘキサメチルジシロ
キサン5.4ｇ及び下記式 で示される。 の加水分解物22.9ｇを仕込み、均一に攪拌混合し
た後、触媒としてトリフルオロメタンスルホン酸
（CF₃SO₃Ｈ）7.7ｇを加え、50℃で16時間攪拌し
ながら加熱重合を行なつた。 反応終了後、室温で炭酸水素ナトリウム15ｇを
加え、更に２時間攪拌し、トリフルオロメタンス
ルホン酸を中和し、炉過により除き、下記平均組
成式 で示される粘度1650cs、屈折率1.407の無色透明
の液状シロキサンＡを得た。 また、上記と同様の装置を使用し、オクタメチ
ルシクロテトラシロキサン740ｇ、ヘキサメチル
ジシロキサン8.1ｇ及び下記式 で示されるアミノシランの加水分解物32ｇを仕込
み、攪拌下窒素ガスを吹きこんで脱水した後、水
酸化カリウム0.1ｇを加え、140℃で６時間攪拌し
ながら加熱重合を行なつた。 反応終了後、エチレンクロルヒドリン1.0ｇを
加え、更に100℃で２時間攪拌し、触媒の水酸化
カリウムを中和し、下記平均組成式 で示される粘度850cp、屈折率1.407の油状のシロ
キサンＢを得た。 次に、ホモミキサー及びホモジナイザーを使用
して、上記シロキサンＡ及びＢを下記に示す組成
で水中に乳化し、それぞれエマルジヨンＡ及びエ
マルジヨンＢを調製した。 エマルジヨンＡ シロキサンＡ 300ｇ ポリオキシエチレンノニルフエニルエーテ
ル 50ｇ （HLB＝13.0） 水 650ｇ エマルジヨンＢ シロキサンＢ 300ｇ ポリオキシエチレントリデシルエーテル
50ｇ （HLB＝13.5） 水 650ｇ 上記エマルジヨンＡ、エマルジヨンＢ、エラス
トロンＥ−37（第一工業製薬社製）及びエラスト
ロンキヤタリスト（第一工業製薬社製）を第１表
に示す割合で水に配合し、２種類の処理液No.１，
２を調製した。なお、エラストロンＥ−37はイソ
シアネート基を酸性亜硫酸ナトリウムで封鎖した
ポリエーテルウレタンポリマーを水中に乳化分散
したものである。 この処理液を使用し、綿ブロード布の浸漬処理
を下記の条件で行なつた。 浸漬 ↓ 絞り ↓ 含浸量80重量％（湿潤） ↓ 乾燥100℃、２分 ↓ キュアー150℃、２分 得られた処理布の洗濯をJIS Ｌ−217103に準じ
て行ない、洗濯回数０，10，20回でのシワ回復率
及び柔軟性（風合い）を測定した。なお、シワ回
復率はJIS Ｌ−1079の防シワ率測定方法に準じて
測定し、柔軟性は手触りにより下記の基準で評価
した。 柔軟性評価 ◎：極めて良好な柔軟性及び弾力性を示す。 ○：良好な柔軟性及び弾力性を示す。 △：若干の処理効果が認められる。 ×：処理効果が認められない（粗硬な風合い）。 結果を第１表に示す。

〔実施例 ２〕

オクタメチルテトラシロキサン300ｇ及び下記
式 で示される化合物9.3ｇをドデシルベンゼンスル
ホン酸５ｇ及びラウリル硫酸ナトリウム５ｇの２
種類の乳化剤を用いて水680ｇ中に乳化分散し、
40℃で20時間加温して反応を行なつた後、10％炭
酸ナトリウム水溶液を用いて酸を中和し、下記平
均組成式 で示される粘度100万cp以上のポリマーの分散エ
マルジヨン（エマルジヨンＣ）を得た。 実施例１で得られたエマルジヨンＢ、上記エマ
ルジヨンＣ、エラストロンＥ−37及びエラストロ
ンキヤタリストを第２表に示す割合で水と配合
し、２種類の処理液No.３，４を調製した。 この処理液を使用し、実施例１と同様に綿ブロ
ード布の浸漬処理を行ない、同様に20回洗濯し、
その時のシワ回復率及び柔軟性を試験した。 結果を第２表に併記する。

【表】 第１，２表の結果から、本発明の繊維処理剤に
より処理した布は良好な防シワ性と柔軟性を有
し、しかも洗濯を重ねてもその性能の低下がみら
れず、耐洗濯性を有するものである。 また、布を処理する際にホルマリン臭はなく、
布にもホルマリン臭は全く認められなかつた。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ (A) 下記一般式(1) 〔但し、R¹は置換もしくは非置換の炭素数
   １〜20の一価炭化水素基又はＯ−Ｘで示される
   基（Ｘは水素原子又は低級アルキル基を示す）、
   Ｙは−R²OCOCH＝CH₂で示されるアクリロキ
   シ基を含有する有機基（R²は置換もしくは非
   置換の炭素数１〜８の二価炭化水素基を示す）
   を表わし、ａとｂは０＜ａ≦２，０＜ｂ≦１，
   1.8＜ａ＋ｂ＜2.2である。〕 で示され、室温で液状であり、１分子中に２
   個以上のアクリロキシ基を有するオルガノポリ
   シロキサンと、 (B) 下記一般式(2) 〔但し、R³は置換もしくは非置換の炭素数
   １〜20の一価炭化水素基又はＯ−Ｘで示される
   基（Ｘは水素原子又は低級アルキル基を示す）、
   Ｚは【式】で示され るアミノ基を含有する有機基（R⁴は置換もし
   くは非置換の炭素数１〜８の二価炭化水素基、
   R⁵は水素原子又は置換もしくは非置換の炭素
   数１〜20の一価炭化水素基、ｎは０，１，２又
   は３を示す）を表わし、ｃとｄは０＜ｃ≦２，
   ０＜ｄ≦１，1.8＜ｃ＋ｄ＜２である。〕 で示され、室温で液状であり、１分子中に２
   個以上のアミノ基を有するオルガノポリシロキ
   サンとを配合してなり、(A)成分のアクリロキシ
   基１モルに対し、(B)成分のアミノ基が１モル以
   上の割合となるよう(A)成分と(B)成分を含有する
   ことを特徴とする繊維処理剤組成物。 ２ 請求項１記載の繊維処理剤組成物によつて処
   理された繊維製品。