JPH05156464A - 亜鉛めっき鋼板の高耐食性塗布クロメート処理方法 - Google Patents

亜鉛めっき鋼板の高耐食性塗布クロメート処理方法

Info

Publication number
JPH05156464A
JPH05156464A JP34853591A JP34853591A JPH05156464A JP H05156464 A JPH05156464 A JP H05156464A JP 34853591 A JP34853591 A JP 34853591A JP 34853591 A JP34853591 A JP 34853591A JP H05156464 A JPH05156464 A JP H05156464A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
chromate
chromium
steel sheet
corrosion resistance
acid
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Withdrawn
Application number
JP34853591A
Other languages
English (en)
Inventor
Yoshio Shindo
芳雄 新藤
Motoo Kabeya
元生 壁屋
Fumio Yamazaki
文男 山崎
Koji Tanimura
宏治 谷村
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nippon Steel Corp
Original Assignee
Nippon Steel Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Nippon Steel Corp filed Critical Nippon Steel Corp
Priority to JP34853591A priority Critical patent/JPH05156464A/ja
Publication of JPH05156464A publication Critical patent/JPH05156464A/ja
Withdrawn legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Chemical Treatment Of Metals (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 本発明は、塗布クロメート皮膜の難溶化によ
って、耐クロム溶出性、上塗塗装性及び高耐食性化を図
った亜鉛系めっき鋼板の製造方法を市場提供するもので
ある。 【構成】 亜鉛系めっき鋼板の表面に総クロム濃度5〜
30g/l、還元率40〜80%及びフッ酸0.1〜
1.0g/lからなるクロメート液に、リンモリブデン
酸を6価クロム重量比で0.1〜1.0及びケイフッ化
水素酸をリンモリブデン酸の重量比で0.1〜0.5に
なるよう添加してなるクロメート組成物を固形皮膜とし
て、金属クロム換算で5〜150mg/平方米塗布した
後、炉出側の最高板温が50〜200℃で乾燥すること
を特徴とした亜鉛系めっき鋼板の高耐食性塗布クロメー
ト処理方法。 【効果】本発明の塗布クロメート処理により、亜鉛系め
っき鋼板の耐クロム溶出性を高め耐食性及び上塗塗装性
を飛躍的に向上せしめた。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は亜鉛めっき鋼板の高耐食
性塗布クロメート処理方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、自動車や家電など亜鉛系めっき鋼
板の高防錆性をはじめとする高機能化並びに低コスト化
に対する市場ニーズは益々高まり、これに呼応した新製
品の開発研究も最近盛んに行なわれている。この中で、
亜鉛系めっき鋼板のクロメート処理に対し、無公害化の
観点から、他の性能を低下させることなく耐クロム溶出
性を高めた難溶性クロメート処理方法の開発要求が強
い。従来技術であって、該クロメート皮膜の難溶化を試
みた事例としては、特開昭50−158535号公報が
ある。これは、無水クロム酸−りん酸−水性高分子化合
物のクロメート液を開示し、その処理液中の6価クロム
イオンはエチレングリコール等の還元剤で70%以上還
元されたものである。しかしながら、この実施例によっ
て形成されるクロメート皮膜は高分子を含有するので、
難溶性、耐食性、塗装性において優れているが、処理液
としての寿命が短く生産性の高いラインでは安定した性
能が得られ難いという安定製造上の欠点がある。
【0003】又、特公昭61−58552号公報に開示
されているクロメートは、クロム酸−クロム還元生成物
−シリカゾル系のものである。しかしながら、この方法
で得られたクロメート皮膜は、塗装前のアルカリ洗浄や
水洗等で6価クロムが溶出しやすく、耐食性の低下や排
水処理等製造上の繁雑作業を要するなど問題がある。次
に、クロメート処理液中の6価クロムイオンを還元する
ためにシランカップリング剤を使用することを開示した
特開昭58−22383号公報及び特開昭62−834
78号公報が挙げられる。これらの方法で形成されるク
ロメート皮膜は、何れも塗料密着性に優れるものの耐ア
ルカリ性が良くない。上記したクロメート処理方法にお
ける従来技術の各成分の性能への影響を検討すると、有
機高分子及びシリカは耐食性を高めるが、耐アルカリ性
を低下させる傾向が認められ、また、クロム還元作用を
持つシランカップリング剤は耐食性を低下させる傾向が
認められる。以上のように、種々の方法が開示されては
いるものの、何れの方法も塗布クロメート皮膜としての
性能は一長一短があり、特にクロメート処理後の乾燥条
件に強く依存している。
【0004】更に、水分散性樹脂に防錆力の高いクロム
酸、もしくはクロム化合物を混合した水溶液を亜鉛めっ
き又は亜鉛系合金めっき鋼板の表面に塗布して高防錆化
を図ったものとして、特公昭55−51032号、特開
昭59−162278号、特開昭61−584号公報な
どが提案されているが、これらは何れも防錆力は高いも
のの結露や水系処理液にクロムが溶出し実用上問題があ
る。また、水分散性樹脂に有機複合シリケート(シリカ
ゾル、シランカップリング剤)をブレンドし薄膜塗装し
てなるものとして、特開昭60−149786号、特開
昭61−50181号公報などがある。これらは、上述
したクロム溶出による問題がないものの、シリカを安定
したコロイド状に含有せしめるためのアルカリイオンと
してアンモニウムイオン等が存在し、これが塗膜物性就
中、耐水性の低下などがあって問題がある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】上記した従来のクロメ
ート処理方法における欠点は、可溶性6価クロムを含
有するクロメート皮膜の難溶化(耐クロム溶出性の向
上)不足が最大の欠点として挙げられ、次いで、これ
が塗装後の耐食性(塗膜の耐ブリスター性)の低下を招
き、又、高生産性のライン下で低コストで安定した性
能の塗布クロメート処理亜鉛めっき鋼板を製造するため
の処理液の長期安定性の欠如、塗布クロメート皮膜の安
定性からみたクロメート処理後の適性乾燥条件の不適合
が挙げられる。すなわち、本発明では、これらの亜鉛系
めっき鋼板の塗布クロメート処理方法における従来技術
の抱える諸問題を解決するための塗布クロメート処理方
法を提供しようとするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明においては、上記
の課題解決に当たって、先ず塗布される水系クロメート
液に次に掲げるような検討をおこなった。すなわち、塗
布クロメート皮膜の難溶化にあたっては、可溶性6価ク
ロムイオンの3価クロムイオン化が基本的に達成されな
ければならず、そのためにはクロメート皮膜の界面反応
及びその乾燥固化過程での下地めっき層との均一反応性
を上げ、下地金属の溶解時の還元電流による6価クロム
イオンの難溶性3価クロムイオン化と必然的に溶出して
くる下地金属イオンと6価クロムイオンとの反応化合物
を積極的に界面に形成させることにより、その反応化合
物及びインヒビター添加によるバリアー効果によって腐
食性因子を遮断し、該亜鉛系めっき鋼板としての高耐食
性化を達成せんとするもので、そのために次のような検
討を行なった。
【0007】塗布クロメート皮膜の耐クロム溶出性の
向上とそれによる下地めっきとの接着力の向上を目的と
したクロメート処理液中の適正還元率の明確化。 めっき表面に対するクロメート皮膜の密着力の安定化
にあたり、めっき界面におけるクロメート皮膜の均一反
応を促進する機能の付与が必要で、そのための適正エッ
チング促進剤の検討。 腐食因子に対し、十分なバリアー効果を発揮させるた
めの無機インヒビターの検討。 以上の検討の結果、適正クロム還元率及びフッ酸による
めっき界面反応の活性化によって、密着性の優れたクロ
メート皮膜の均一生成と加えて、リンモリブデン酸及び
ケイフッ化水素酸からなる無機インヒビターとの複合作
用によって、6価クロムの過剰溶出を抑制すると同時に
腐食性因子のバリアー効果の発揮により、これまでに例
のない難溶性かつ高耐食性のクロメート皮膜の形成が可
能になったことを見いだし、本発明を提案するに至った
ものである。更には、高生産性ライン下にあって、該ク
ロメート処理外観の均一性及び品質の安定化にあたり、
クロメート処理後の乾燥条件を特定し本発明を提案する
に至ったものである。
【0008】本発明におけるクロメート処理方法の構成
について先ず説明する。亜鉛めっき、亜鉛系合金めっき
及び亜鉛系複合めっき鋼板の表面に下記[A]の浴組成
でなる塗布クロメート組成物を、固形皮膜として金属ク
ロム換算で5〜150mg/m2になるよう塗布し、つ
いで直ちに炉の出側板温が最高板温として50〜200
℃になるよう乾燥してなることを特徴とする亜鉛系めっ
き鋼板のクロメート処理方法である。 [A]塗布クロメート組成物 総クロム濃度(g/l) ;5〜30 クロム還元率(%) ;40〜80 フッ酸(g/l) ;0.1〜1.0 リンモリブデン酸(g/l) ;[−]×0.1
〜1.0 ケイフッ化水素酸(g/l) ;×0.1〜0.5
【0009】すなわち、本発明の骨子としては、 形成される塗布クロメートの皮膜形態が基本的にフッ
酸及び無機インヒビターのリンモリブデン酸及びケイフ
ッ化水素酸の採用によって、可溶性6価クロム主体のク
ロミッククロメートから難溶性のフッ化物系クロム化合
物支配型に構造変化してなることを特徴とし、加えて、
クロム還元率の特定及びフッ酸によるめっき界面での均
一反応性の向上から、該クロメート皮膜の密着性を向上
せしめることによって、耐クロム溶出性及び耐食性就
中、裸板の耐食性(耐孔あき性)を高めた点にある。 また、該クロメートの仕上げ外観を含めた品質を高位
に安定して製造するにあたり、該クロメート処理後の乾
燥板温を特定した点にある。 尚、本発明に適用される亜鉛めっき鋼板のめっき系とし
ては、電気めっき系において、Znめっき、ZnにN
i,Cr,Feからなる合金元素群の内、少なくとも1
種を含むZn系合金めっき鋼板が用いられてよい。ま
た、電気分散めっき系においては、Zn−Ni,Zn−
FeをベースにSiO2,TiO2,ZrO2,BaCr
4等の金属酸化物を均一分散させてなるZn系分散合
金めっき鋼板が用いられてよい。さらに、溶融めっき系
においては、亜鉛鉄板、Zn−Al系合金めっき鋼板、
及びそれらの合金化亜鉛めっき鋼板が適用されてよい。
【0010】
【作用】以下に本発明の構成因子に対する作用限界につ
いて述べる。 (1)クロメート組成物について 本発明の塗布クロメート皮膜はめっき鋼板の表面にあっ
て、下地めっきとの密着性及び耐クロム溶出性が高く、
かつ、上塗塗膜との密着性を向上させることにより、亜
鉛系めっき鋼板の高耐食性をもたらす上で重要な皮膜で
ある。特に、耐水、耐酸、耐アルカリ性といった特性の
飛躍的な向上にあたっては、クロメート皮膜の高いレベ
ルでの難溶化が必要で、高耐食性機能を低下させること
なくこれを達成するためには、以下のような浴組成に管
理することが必要となる。
【0011】総クロム濃度及びその還元率 本クロメート組成物は水を溶媒とし、亜鉛系めっき鋼板
の耐食性等と諸性能を安定して維持するために、総クロ
ム濃度(以下、T.Crという)が5〜30g/l,ク
ロム還元率(以下、Rという)は40〜80%が必要で
ある。T.Crが5g/l未満及び/又はRが40%未
満では、可溶性6価クロムが主体のクロメート皮膜とな
るため高耐食性化に必要なクロムが水に過剰に抽出され
易くなり、これがクロメート皮膜の耐水性の低下と相ま
って亜鉛系めっき鋼板としての裸耐食性及び上塗塗装性
や上塗塗装後の耐食性の寿命低下を招く。また、液膜中
に水分を多量に含むため、皮膜としての乾燥過程で処理
外観ムラを生じ易く、外観品質を大きく損なうほか、溶
出クロムによる排水処理が必要など品質及び生産性向上
の点で得策でない。又、T.Cr30g/l超及び又は
Rが80%を超えては、処理液としての粘性が上がり、
クロメート付着量の制御や浴寿命の点で安定性を欠き、
高生産性ラインの下では品質及びコストの面で必ずしも
有利でない。したがって、総クロム濃度が5〜30g/
lにあって、好ましくは10〜20g/lがよい。ま
た、クロム還元率は40〜80%にあって、好ましくは
45〜60%がよい。なお、クロムの還元剤について
は、アルコールや過酸化水素等による公知の方法のいず
れであってもよいが、処理浴の安定性から還元剤の未分
解がないようにした方がよい。
【0012】フッ酸濃度 本発明にあって、フッ酸濃度は0.1〜1.0g/lで
ある。このフッ酸の機能は、下地めっきの表面に生成し
てクロメート処理液の濡れ性を阻害する金属酸化物、金
属水和化物〔ZnO,Zn(OH)2,Al23等〕を過
不足なく除去して、めっき表面とクロメート処理液との
界面反応を適宜に促進し、これによって、密着性に富む
塗布クロメート皮膜を安定して得るためにある。フッ酸
が0.1g/l未満では、エッチング作用が小さく、め
っき表面酸化物の除去効果が十分でなく、そのため、ク
ロメートの液はじきを生じて仕上がり外観の低下を招い
たり、又、界面反応の不足から密着性に乏しいクロメー
ト皮膜しか形成されない。また、フッ酸が1.0g/l
を超えては、過剰なエッチングによって溶出した下地の
めっき成分の蓄積から、クロメート処理液の寿命の短命
化を招き、亜鉛系めっき鋼板としての耐食性をはじめと
する諸性能の安定化及びコストの高騰を招いたりするた
め余り得策でない。従って、本発明におけるフッ酸濃度
は、0.1〜1.0g/lであって、好ましくは0.2
〜0.7g/lがよい。
【0013】リンモリブデン酸の添加濃度 本発明のクロメート皮膜にあって、リンモリブデン酸は
可溶性6価クロムの短期溶出を抑制し、亜鉛系めっき鋼
板の耐食寿命を長期にわたって発揮させるためのバリア
ー作用として機能するもので、クロメート皮膜としての
密着性を含めて、その機能を十分発揮させるためには、
処理液として適正な濃度管理が必要である。本発明にお
けるリンモリブデン酸の濃度は、その主旨から総クロム
濃度(T.Cr=6価Cr+3価クロム)と3価クロム
(T.Cr×クロム還元率)との差、すなわち、6価ク
ロムとの対比において、その比が0.1〜1.0がよ
い。この比が0.1未満では、クロメート皮膜としての
クロム溶出に対する抑制効果が小さく、このため亜鉛系
めっき鋼板としての高耐食性化は多くは期待できない。
又、その比が1.0を超えては、クロメート皮膜のめっ
き素地に対する密着性が低下し、実用的でない。従っ
て、リンモリブデン酸の6価クロムに対する適性比とし
ては、0.1〜1.0であって、好ましくは0.2〜
0.7がよい。尚、本発明に適用されるリンモリブデン
酸とは、リンとモリブデンによってつくられるヘテロポ
リ酸の水溶性の塩であって、リンの酸化数が3及び5の
化合物が用いられてよい。リンの酸化数3の化合物と
は、M4〔P2Mo1241〕・nH2O(M;Li,N
a,K,NH4,CN36など)及び2M2O・P23
5MoO3・nH2O(M;Na,K,NH4)をいう。
また、リンの酸化数5の化合物とは、M3〔PO4Mo12
36〕・nH2O(M;H,Li,Na,K,NH4,C
36など)の十二モリブデン酸塩をいう。
【0014】ケイフッ化水素酸の添加濃度 本発明にあってケイフッ化水素酸は、該リンモリブデン
酸を含有するクロメート皮膜からの6価クロムの短期溶
出を抑制し、亜鉛系めっき鋼板の耐食性寿命を更に長期
にわたって発揮させるための補助的なバリアー効果をク
ロメート皮膜に付与させるためにある。従って、該ケイ
フッ化水素酸の添加量は自ずとリンモリブデン酸のバリ
アー効果を補う形で少量の作用となり、上述した該リン
モリブデン酸の添加量に対する比が0.1〜0.5で適
用される。本発明にあって、ケイフッ化水素酸の添加量
が該リンモリブデン酸との添加量比で0.1未満では、
クロメート皮膜からのクロム溶出抑制効果が十分でな
く、亜鉛めっき鋼板としての高耐食性化は余り期待でき
ない。又、その比が0.5を超えてはクロメート皮膜の
密着性の低下が生じ易くなり、高耐食性化はもとより、
上塗り塗膜の密着性の低下などを招き実用的でない。従
って、本発明におけるケイフッ化水素酸の添加量は、該
リンモリブデン酸に対する添加量比で0.1〜0.5で
あって、好ましくは、0.15〜0.4がよい。
【0015】(2)クロメート処理後の乾燥板温 本発明の特徴の一つに、塗布クロメート処理後のクロメ
ート皮膜の乾燥板温が比較的広い範囲で成膜する点が挙
げられる。該クロメート皮膜の耐クロム溶出性を上げ、
亜鉛系めっき鋼板としての耐食性、就中、上塗塗装後の
耐食性を向上させるには、該クロメート組成物を所定量
塗布した後のクロメート皮膜の乾燥条件、就中、乾燥最
高板温を鋼板のもつ機械的材質強度を考慮しつつ適性範
囲に制御する必要がある。本発明における塗布クロメー
ト処理後の乾燥板温は、ヒートパターンとして5〜30
秒で乾燥炉の出側で板温が最高になるよう加熱乾燥され
る必要がある。該最高板温が50℃未満では、該クロメ
ート皮膜に含まれる過剰水分の蒸発乾燥にとどまり、高
耐食性化に必要な空気酸化重合を促進して、適宜な網目
構造をもつクロメート皮膜への構造変化は期待できない
ため、クロメート皮膜の密着性及び耐クロム溶出性等の
性能低下があって、目標品位を安定して製造するには実
用的でない。又、該最高板温が200℃を超えては、該
クロメート皮膜が皮膜として元来必要な結晶水の脱水反
応を伴い、皮膜の脆化から密着性が大きく阻害され、自
ずと耐食性の低下が著しく、実用的でない。従って、本
発明における該クロメート処理後の乾燥板温は、炉出側
の最高板温で50〜200℃であって、好ましくは、8
0〜150℃がよい。
【0016】(3)塗布クロメート付着量 本発明の該クロメート組成物[A]は、例えば、ロール
コーターなどで塗布し乾燥して成膜されるが、耐食性等
の安定した性能を得るためには、その付着量を適正範囲
に制御する必要がある。該塗布クロメート皮膜の付着量
が金属クロム換算で5mg/m2未満では、亜鉛系めっ
き鋼板としての裸板及び上塗り塗装後の耐食性が十分で
なく、又、150mg/m2を超えては、均一な塗布制
御が難しくなってクロメート処理の外観ムラ、耐食性及
び塗装密着性等の性能の安定製造上、あまり得策ではな
い。従って、本発明における塗布クロメート付着量は、
金属クロム換算で5〜150mg/m2であって、好ま
しくは、10〜80mg/m2がよい。以下に実施例に
より本発明を更に詳述する。
【0017】
【実施例】高生産性連続めっきラインにおいて、ライン
速度150m/分で板厚0.8mmの低炭素鋼板に対
し、公知のめっき方法を用いて、表1A〜表7Aに示す
亜鉛系めっきを施した後、直ちにロールコーター方式に
て所定のクロメート組成物を塗布し、つづいて熱風乾燥
炉の出側最高板温が所定の板温になるよう乾燥した後、
空冷により板温40℃以下にしてコイル状に捲き取る。
こうしてなる本発明の塗布クロメート処理亜鉛系めっき
鋼板の性能について、表1B〜表7Bにまとめて示す。
先ず、本塗布クロメート組成物の基本組成である総クロ
ム濃度とクロム還元率の適正範囲について、本発明の実
施例をNo.1〜No.6、及びNo.9〜No.12
に示し、又、その比較例をNo.7〜No.8及びN
o.13〜No.14に示す。これより明らかなよう
に、本発明クロメート組成物の基本組成である総クロム
濃度及びクロム還元率を外れると、処理外観の均一性、
耐食性及び上塗塗装性等の諸性能でいずれかの性能低下
が認められ、高位に安定した性能をバランスよく得るこ
とは難しくなる。
【0018】次に、下地めっきとの界面反応を促進し、
密着性に優れた塗布クロメート皮膜を形成するために
は、フッ酸が必要である。この本発明による実施例をN
o.2及びNo.15〜No.20に、又、本発明を外
れた場合のその比較例をNo.21〜No.22に示
す。これより明らかなように、本発明実施例内のフッ酸
の適量添加はフッ化クロムの生成等から、従来の6価ク
ロム主体のクロメート皮膜から難溶性3価クロムの含有
比率が増大したクロメート皮膜に形態変化したためと考
えられるが、これによる耐クロム溶出性及びクロメート
皮膜自身の密着性の向上があって、ひいては、これが高
耐食性化或は、上塗塗装性の向上をもたらすことが分か
る。又、本発明の実施例を外れると、比較例の如く、ク
ロメート皮膜と下地めっき界面反応の低下もしくは過剰
反応により、品質及び生産性の点で支障をきたし、実用
的でないことが分かる。
【0019】次に、本発明の塗布クロメート皮膜を更に
難溶化させ、且つ、腐食環境からの腐食因子の遮断効果
(バリアー効果)を十分発揮させて、亜鉛系めっき鋼板
の長期耐食性を安定して確保するには、リンモリブデン
酸とケイフッ化水素酸からなる無機インヒビターの併用
が好ましい。これらのインヒビター添加量は該クロメー
ト組成物中、可溶性の6価クロム濃度との対比でなる。
先ず、本発明における6価クロムに対するリンモリブデ
ン酸及びケイフッ化水素酸の適正比について、その実施
例をNo.2及びNo.23〜No.63に、又、本発
明を外れた場合の比較例としてNo.64〜No.67
に示す。これから明らかなように、本発明の実施例内で
あれば、リンモリブデン酸及びケイフッ化水素酸の併用
は、該クロメート皮膜のクロム溶出を適度に抑制し、こ
れが腐食因子からのバリアー効果を更に高めて亜鉛系め
っき鋼板としての耐食性寿命を飛躍的に向上せしめるこ
とが分かる。
【0020】従って、本発明のクロム組成物において、
6価クロムに対するリンモリブデン酸の添加比は、0.
1〜1.0であって、好ましくは、0.2〜0.7がよ
い。また、併用するケイフッ化水素酸の添加比は、リン
モリブデン酸の添加量に対して、0.1〜0.5であっ
て、好ましくは、0.15〜0.4がよい。次に、亜鉛
系めっき鋼板の高耐食性化に対する適正クロメート付着
量については、本発明による実施例をNo.2及びN
o.68〜No.75に、又、その比較例をNo.76
〜No.77に示す。これから明らかなように、本発明
の実施例内のクロメート付着量であれば、亜鉛系めっき
鋼板としての処理外観の均一性、耐食性、上塗り塗装性
等の性能を高品位に、かつ、生産性よく製造できること
が分かる。比較例にあるように、付着量としては、少な
すぎると基本的な耐食性を阻害し、又、多すぎても処理
外観の不均一、クロメート皮膜の凝集破壊等から塗料密
着性の低下など実用上問題がある。従って、本発明のク
ロメート組成物でなるクロメート皮膜の適正付着量は、
金属クロム換算で、5〜150mg/m2であって、好
ましくは、10〜80mg/m2がよい。
【0021】最後に、クロメート処理後の乾燥板温は、
本発明におけるクロメート皮膜の効果を大きく左右する
因子の一つであり、乾燥炉の出側で最高板温となるよう
なヒートパターンがよい。本発明の実施例をNo.2及
びNo.78〜No.86に、又、その比較例をNo.
87〜No.88に示す。これから明らかなように、該
最高板温が50℃未満では、クロメート皮膜中の水分は
飛んでも酸化重合反応による皮膜の網目構造化は達成で
きず、その分、皮膜がルーズとなってクロム溶出の抑制
が十分でなく、亜鉛めっき鋼板としての高耐食性化や塗
装後のブリスター発生、塗料密着性等に支障をきたすた
め、余り好ましくない。一方、該最高板温が200℃を
超えると、クロメート皮膜が安定して存在するのに必要
な結晶水の脱水反応から、該皮膜の密着性機能が基本的
に失われ、耐食性及び塗料密着性の極端な低下があっ
て、実用的でない。従って、本発明におけるクロメート
皮膜の乾燥にあっては、炉の出側最高板温で50〜20
0℃であって、好ましくは、80〜150℃がよい。
尚、本発明の実施例でNo.2及びNo.89〜No.
99に示すように、本発明に適用できる亜鉛系めっき鋼
板のめっき系がいずれであってもよいことが分かる。
【0022】以上のようにして得られる本発明のクロメ
ート皮膜が、適度に難溶化し、これが特に高耐食性化に
有効に作用する理由については、まだ十分に解明されて
はいないが、ESCAやAES等の表面解析から以下の
ように考えられる。クロメートの皮膜形態は、基本的に
水酸化クロム、フッ化物系クロムの3価クロムと6価ク
ロムとで構成される。また、さらには、副成分的に無機
系インヒビターとして添加した成分のMo、P、Zr、
Fを含むクロム化合物も含有した難溶性3価クロム主体
のクロメート皮膜も推定され、これが腐食環境からのバ
リアー作用を更に発揮しているものと考えられる。この
ようなクロメート皮膜は、乾燥板温によって更に形態変
化が予想され、皮膜がもつ結晶水の脱水限界以内の板温
で乾燥することにより、クロメート皮膜は基本的にオー
ル結合(Cr−OH)からオキソ結合(Cr−O)を主
体とした網目構造の皮膜へと形態変化し、結果的にこれ
が皮膜の難溶化を更に進めたものと考えられる。
【0023】(注) *1.めっき系 EZ:電気亜鉛めっき ZN:電気Zn−Ni合金めっき(Ni;11.5%) EC:電気Zn−Cr−Ni合金めっき(Cr;10
%,Ni;2%) EF:電気Zn−Fe合金めっき(Fe;15%) ZNS:電気Zn−Ni−SiO2(Ni;12%,S
iO2;3%) ZNT:電気Zn−Ni−TiO2(Ni;12%,T
iO2;3%) ZNZ:電気Zn−Ni−ZrO2(Ni;12%,Z
rO2;3%) ZNB:電気Zn−Ni−BaSO4(Ni;12%,
BaSO4;3%) ZFS:電気Zn−Fe−SiO2(Fe;10%,S
iO2;3%) GZ:溶融Znめっき GA:溶融Zn−Alめっき(Al;5%) GF:合金化溶融Znめっき(Fe;8〜11%)
【0024】*2.塗布クロメート処理 クロム酸:日本電工製のものをメタノールにより還元し
て使用。 フッ酸:森田化学工業製、46%を使用。 SF:ケイフッ化水素酸(関東化学薬品製),リンモリ
ブデン酸に対する重量比 PM:リンモリブデン酸(小宗化学薬品製),6価クロ
ムに対する重量比、〔分子式;P25・24MoO3
nH2O(n=1として使用)〕 T.Cr付着量:螢光X線分析法による。 *3.塗布クロメート処理外観 ◎:ムラなく均一、○:極く僅かにムラあり、△:軽い
線状模様、×:ブチ状若しくは線状模様
【0025】*4.耐クロム溶出性 L4410アルカリ脱脂(日本パーカーライジング製)
及びPB3020化成処理(日本パーカーライジング
製)の標準処理条件下で、水洗工程を含めた処理液中に
溶出したクロムの総量を螢光X線分析法にて分析し、判
断した。 ◎:溶出全くなし、○:極く僅かに溶出、△:僅かに溶
出、×:かなり溶出 *5.裸耐食性 塩水噴霧試験(JIS Z−2371)500時間 ◎:白錆5%以下、○:白錆10%以下、△:赤錆5%
以下、×:赤錆5%超
【0026】*6.塗装耐食性 メラミンアルキッド系塗料、20μm、120℃×30
分焼付、クロスカット部の塗膜フクレを評価、塩水噴霧
試験(JIS Z−2371)1000時間 ◎:フクレ無、○:微細フクレ僅か、△:やや大きなフ
クレ、×:全面フクレ *7.上塗塗装性 1次密着性;メラミンアルキッド系塗料、20μm、1
20℃×30分焼付 1mm口×100口の碁盤目テーピング剥離試験 2次密着性;1次密着性と同様の塗装を施した後、湿潤
試験(50℃、RH98%以上、7日)後同様の碁盤目
試験 ◎:塗膜剥離無、○:剥離5%以下、△:剥離10%以
下、×:剥離10%超
【0027】
【表1A】
【0028】
【表1B】
【0029】
【表2A】
【0030】
【表2B】
【0031】
【表3A】
【0032】
【表3B】
【0033】
【表4A】
【0034】
【表4B】
【0035】
【表5A】
【0036】
【表5B】
【0037】
【表6A】
【0038】
【表6B】
【0039】
【表7A】
【0040】
【表7B】
【0041】
【発明の効果】以上のように、本発明は、本発明の塗布
クロメート処理を施すことによって、亜鉛系めっき鋼板
の耐クロム溶出を高め、これが高耐食性化及び上塗塗装
性をもたらしめるもので、従来の技術が課題としていた
塗布クロメート皮膜の難溶性化と高耐食性化を同時に解
決した画期的な塗布クロメート処理技術を市場に提供す
るものである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 谷村 宏治 千葉県君津市君津1番地 新日本製鐵株式 会社君津製鐵所内

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 亜鉛、亜鉛系合金めっき鋼板の表面に下
    記[A]のクロメート組成物を固形皮膜として、片面あ
    たり総クロム量で5〜150mg/m2形成してなるこ
    とを特徴とする亜鉛めっき鋼板の高耐食性塗布クロメー
    ト処理方法。 [A]クロメート組成物 総クロム濃度(g/l) ;5〜30 クロム還元率(%) ;40〜80 フッ酸(g/l) ;0.1〜1.0 リンモリブデン酸(g/l) ;[−]×0.1
    〜1.0 ケイフッ化水素酸(g/l) ;×0.1〜0.5
  2. 【請求項2】 塗布クロメート処理後の乾燥板温が、炉
    の出側最高板温として50〜200℃になるよう乾燥す
    ることを特徴とする請求項1記載の亜鉛めっき鋼板の高
    耐食性クロメート処理方法。
JP34853591A 1991-12-06 1991-12-06 亜鉛めっき鋼板の高耐食性塗布クロメート処理方法 Withdrawn JPH05156464A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP34853591A JPH05156464A (ja) 1991-12-06 1991-12-06 亜鉛めっき鋼板の高耐食性塗布クロメート処理方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP34853591A JPH05156464A (ja) 1991-12-06 1991-12-06 亜鉛めっき鋼板の高耐食性塗布クロメート処理方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH05156464A true JPH05156464A (ja) 1993-06-22

Family

ID=18397668

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP34853591A Withdrawn JPH05156464A (ja) 1991-12-06 1991-12-06 亜鉛めっき鋼板の高耐食性塗布クロメート処理方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH05156464A (ja)

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP2839111B2 (ja) 亜鉛系メッキ鋼板のクロメート処理方法
JPH0753913B2 (ja) 有機複合めっき鋼板の製造方法
JP3851482B2 (ja) 耐白錆性および塗膜密着性に優れる亜鉛系めっき鋼板
JP2002332574A (ja) クロメートを含有しない処理皮膜を有する耐食性に優れためっき鋼材
JP2001214283A (ja) 表面処理亜鉛系めっき鋼板
JP2008163364A (ja) 加工後の塗膜密着性およびフィルム接着性に優れた化成処理鋼板
JPH05156464A (ja) 亜鉛めっき鋼板の高耐食性塗布クロメート処理方法
JPH05156465A (ja) 亜鉛めっき鋼板の高耐食性塗布クロメート処理方法
JPH05140760A (ja) 亜鉛めつき鋼板の高耐食性塗布クロメート処理方法
JPH05195242A (ja) 亜鉛めっき鋼板の高耐食性塗布クロメート処理方法
JPH05132788A (ja) 亜鉛めつき鋼板の高耐食性塗布クロメート処理方法
JP3016118B2 (ja) 高耐食性表面処理鋼板とその製造方法
JPH05311456A (ja) 亜鉛めっき鋼板の高耐食性塗布クロメート処理方法
JPH05311457A (ja) 亜鉛めっき鋼板の高耐食性塗布クロメート処理方法
JP2836771B2 (ja) 塗装鋼板用下地塗布クロメート処理方法
JPH05295562A (ja) 亜鉛系めっき鋼板のクロメート処理方法
JPH0570968A (ja) 亜鉛めつき鋼板の高耐食性塗布クロメート処理方法
JP4354851B2 (ja) 鋼板用防錆処理液及び防錆処理方法
JPH0578857A (ja) 亜鉛めつき鋼板の高耐食性塗布クロメート処理方法
JP2579487B2 (ja) 表面特性の優れた白色クロメ−ト処理方法
JPH04311578A (ja) 亜鉛系めっき鋼板のクロメート処理方法
JP2003171779A (ja) 塗装原板および塗装原板の表面調整方法ならびに加工部耐食性に優れた塗装鋼板の製造方法
JPH05302179A (ja) 亜鉛または亜鉛系めっき鋼板の酸性置換めっき液
KR950000312B1 (ko) 아연계도금강판의 크롬산염 처리방법
JP2004197143A (ja) 亜鉛系めっき鋼板

Legal Events

Date Code Title Description
A300 Withdrawal of application because of no request for examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A300

Effective date: 19990311