JPH05156398A - 耐食性に優れた鋳造用アルミニウム合金 - Google Patents

耐食性に優れた鋳造用アルミニウム合金

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JPH05156398A
JPH05156398A JP34897191A JP34897191A JPH05156398A JP H05156398 A JPH05156398 A JP H05156398A JP 34897191 A JP34897191 A JP 34897191A JP 34897191 A JP34897191 A JP 34897191A JP H05156398 A JPH05156398 A JP H05156398A
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corrosion resistance
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Masayuki Hanazaki
昌幸 花崎
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Nippon Light Metal Co Ltd
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Nikkei Techno Research Co Ltd
Nippon Light Metal Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 Y,Ce,La,Nd,Pr等の合金元素の
添加によって、鋳造用アルミニウム合金の耐食性を改善
する。 【構成】 この鋳造用アルミニウム合金は、Y,Ce,
La,Nd及びPrから選ばれた1種又は2種以上を総
量で0.01〜3.0重量%含有している。Y,Ce,
La,Nd及びPrから選ばれた1種又は2種以上の含
有量総量は、0.01〜3.0重量%の範囲で、使用状
態で接触する水性溶液との関係で定められる。また、他
の合金成分として、Cu:6重量%以下,Si:0.0
1〜30重量%,Mg:8.0重量%以下,Zn:5.
0重量%以下,Fe:0.01〜1.0重量%,2.0
重量%以下のNi,2.0重量%以下のMn,2.0重
量%以下のTi,2.0重量%以下のCrの1種又は2
種以上を含有させることもできる。 【効果】 Y,Ce,La,Nd,Pr等は、腐食防止
剤として働くと共に、生成した酸化物皮膜又は水酸化物
皮膜がアルミニウム合金の腐食を抑制する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、スラブ,ビレット等へ
の鋳造や製品形状へのダイキャスト鋳造に適し、耐食性
に優れたアルミニウム合金に関する。
【0002】
【従来の技術】金属Al,Al合金等のアルミニウム系
材料は、軽量でしかも優れた耐食性を呈することを活か
し、自動車構成部材,搭載用各種部品等として使用され
ている。特に最近では、低燃費化の傾向に対応できる軽
量材料として、注目を浴びている。
【0003】たとえば、インテークマニホルド,オイル
ポンプ,ウォータポンプ,シリンダヘッド,ピストン等
のエンジン冷却水系には、AC2A,AC2B,AC4
B,AC4C,AC8A,AC8B,AC8C,AC9
A,AC9B,AC390,ADC12等のAl−Si
−Cu系のAl合金が構造部材として使用されている。
他方、ブレーキ液系には、AC1B等のAl−Cu系合
金,AC4C等のAl−Mg−Si系合金が使用されて
いる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】自動車のエンジン冷却
水系においては、内部を循環する水性液体にアルミニウ
ム系材料が接触した雰囲気で使用される。また、ブレー
キ液系においても、管路を流れる油が吸湿し、滞留水と
接触する環境でアルミニウム系材料が使用される。冷却
水やブレーキ液等の水性溶液と接触する環境では、Al
−Cu系,Al−Si−Cu系等のアルミニウム合金
は、極めて短時間に腐食し、腐食量的にも外観上でも著
しい劣化がみられる。水性溶液と接触する環境下におけ
る腐食の進行は、比較的耐食性が良好なAC7A,AC
4C等によっても阻止することができない。
【0005】また、エンジン冷却水系,ブレーキ液系等
は、銅合金,鋼等の異種材料をも一部の構成部材として
いる。アルミニウム系材料を異種金属材料と組み合わせ
て水性雰囲気で使用するとき、接触腐食が発生する。そ
の結果、水性溶液中に一旦溶出した金属がアルミニウム
表面に再析出し、腐食が促進される悪影響がみられる。
そのため、AC7A,AC4C等の高耐食性Al合金で
あっても、使用雰囲気如何によりAl−Cu系,Al−
Si−Cu系以上に接触腐食の影響を強く受ける場合が
ある。
【0006】この点、たとえばブレージングシートにみ
られるように、犠牲防食作用をもつZnを含有させるこ
とによって耐食性を改善したアルミニウム合金も知られ
ている。この材料では、アルミニウム系材料の腐食を抑
制するため、Al−Zn合金の犠牲陽極反応をある程度
積極的に行わせることが必要とされる。しかし、Al−
Zn合金の犠牲陽極反応は、腐食性生物である水酸化ア
ルミAl(OH)3 を発生させる。
【0007】生じた水酸化アルミAl(OH)3 は、ア
ルミニウム系材料の表面に付着し、また水性溶液流通経
路を経て弁座,弁体等の流路構成部材の表面に堆積する
こともある。その結果、流路の目詰りが発生する。腐食
性生物に起因した目詰りは、Al−Zn系合金製の部材
を使用したときばかりでなく、他のAl−Cu系,Al
−Si−Cu系,Al−Mg−Si系等の材料において
も同様に生じる。
【0008】本発明は、このような問題を解消すべく案
出されたものであり、Y,Ce,La,Pr,Nd,P
r等の合金元素を微量添加することによって、目詰りの
原因となる腐食生成物の発生を抑制し、耐食性に優れた
鋳造用アルミニウム合金を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明の鋳造用アルミニ
ウム合金は、その目的を達成するため、Y,Ce,L
a,Pr及びNdから選ばれた1種又は2種以上を総量
で0.01〜3.0重量%含有することを特徴とする。
Y,Ce,La,Pr,Nd等の合計含有量は、アルミ
ニウム合金と接触する使用雰囲気の水性溶液との関係に
おいて、0.01〜3.0重量%の範囲で定めることが
好ましい。
【0010】Y,Ce,La,Pr,Nd等が含有され
るアルミニウム合金は、Cu:0〜6重量%,Si:
0.01〜30重量%,Mg:0〜8.0重量%及びF
e:0.01〜1.0重量%を含有する基本組成を有す
るものがある。この基本組成に、必要に応じて2.0重
量%以下のNi,2.0重量%以下のMn,2.0重量
%以下のTi,5.0重量%以下のZn及び2.0重量
%以下のCrの1種又は2種以上を含有させることもで
きる。
【0011】
【作 用】アルミニウム合金の耐食性は、環境中の塩素
イオン濃度,水分量,pH等によって定まる。鋳物合金
の場合、多量の金属間化合物が金属表面に晶出・析出し
ている。そのため、雰囲気の水性溶液と接する接液部で
は、多数の局部電池が形成される。このとき、展伸材と
比較してアノード/カソード面積比が小さく、板厚方向
の腐食が局部的に進行する孔食よりも、合金表面全域に
わたる腐食、すなわち腐食量の多少が問題となる。たと
えば、アルミニウム合金にみられる腐食は、次のような
反応によって発生するものと考えられている。
【0012】水性溶液に接触するアルミニウム合金表面
では、Al→Al3++3e- のアノード反応に従ってA
lが溶出する。Alの溶出に伴って発生した電子e-
は、水性溶液に溶解している酸素との間でO2 +2H2
O+4e- →4OH- のカソード反応を行い、水酸化イ
オンOH- を発生させる。水酸化イオンOH- は、更に
Al3+イオンとの間でAl3++3OH- →Al(OH)
3 の腐食反応を起こす。この反応は、白色の沈澱物Al
(OH)3 がアルミニウム合金表面に析出していること
により確認される。
【0013】また、水性溶液に含まれている塩素イオン
Cl- は、水の解離によって生じる水素イオンH+ と反
応し、塩酸HClとなる。発生した塩酸HClは、アル
ミニウム合金の表面に存在する酸化皮膜をアタックし、
皮膜欠陥を発生させる。その結果、マトリックスのAl
は、皮膜欠陥により露出した金属間化合物の近傍で塩酸
HClと反応し、塩化アルミニウムAlCl3 を生成す
る。塩化アルミニウムAlCl3 は、強酸性であり腐食
部のpHを低下させ、塩素イオンCl- によるAl腐食
反応を促進させる。
【0014】自動車のエンジン冷却系を想定すると、腐
食性生物である水酸化アルミニウムAl(OH)3 の供
給源は、ラジエータチューブ,座板等のあるが、シリン
ダーブロック,ウォータポンプ等のエンジンルーム構成
合金が最も大きなものである。そして、ラジエータが水
酸化アルミニウムAl(OH)3 の最も析出し易い箇所
となる。そこで、このような部品を、耐食性に優れた鋳
物合金で作ることが必要となる。
【0015】環境中の硫酸根も、Al自体に対する腐食
性はそれほど強くはないが、塩化アルミニウムAlCl
3 と同様に水性溶液のpHを低下させる。これによって
も、塩素イオンCl- によるAl腐食反応が促進され
る。
【0016】この腐食系にAl−Zn系合金が介在する
と、Al−Zn系合金がAlに優先して溶解する犠牲防
食反応が発生し、Al自体の溶出が抑制される。しか
し、犠牲防食反応を積極的に行わせる材料では、必然的
に皮材の溶出量が増加し、ブレージングシートの寿命が
低下することは勿論、腐食性生物であるAl(OH)3
等がチューブ内部に堆積し、目詰り等の欠陥が発生する
ことは前述した通りである。
【0017】本発明においては、基本的には犠牲防食作
用によらず、腐食防止剤としての作用を発揮させると共
に、アルミニウム合金の表面に緻密な酸化物皮膜又は水
酸化物皮膜を形成することによって、O2 +2H2 O+
4e- →4OH- のカソード反応を抑制し、耐食性の改
善を図っている。Y,Ce,La,Pr,Nd,Pr等
によるAlの溶出抑制は、次のメカニズムによるものと
推察される。
【0018】たとえば、アルミニウム合金にYを添加す
ると、自然電位が卑に移行し、孔食電位との差が広が
る。そのため、腐食が生じにくくなる。また、アルミニ
ウム合金に含まれているYは、Alとの間に金属間化合
物YAl3 を生成する。金属間化合物YAl3 は、マト
リックスよりも卑な電位を示し、水中に含まれている塩
素イオンと反応してYCl3 となる。すなわち、Yは、
水性溶液に含まれている塩素イオンCl- に対するトラ
ップ作用を呈し、塩素イオンCl- とAlとの間の反応
を妨げる腐食防止剤として働く。
【0019】他方、生成したYCl3 は、腐食防止剤と
しての機能に加え、ある濃度を超えるとアルミニウム合
金の表面に酸化物Y23 又は水酸化物Y(OH)3
して堆積する。酸化物Y23 又は水酸化物Y(OH)
3 は、何れも緻密な皮膜となってアルミニウム合金の表
面を覆う。そのため、O2 +2H2 O+4e- →4OH
- のカソード反応が抑制され、水酸化イオンOH- の補
給がないことからAl(OH)3 を生成する腐食反応が
進行しない。また、塩素イオンCl- を含んでいる水性
溶液からAl表面が遮断され、強酸性の塩化アルミニウ
ムAlCl3 の発生がない。
【0020】他のCe,La,Nd,Pr等も、Yと同
様にトラップによる防食及び塩素イオンCl- をトラッ
プした結果としての塩化物による腐食抑制の二段階防食
作用を呈する。
【0021】その結果、アルミニウム合金の表面には、
抑制された腐食量で腐食が表面全域に発生した全面腐食
の形態をとる。そして、アルミニウム合金の溶出が抑え
られ、長期間にわたり優れた耐食性が示される。
【0022】二段階防食効果は、Y,Ce,La,P
r,Nd,Pr等の1種又は2種以上を総量で0.01
重量%以上含有させるとき顕著に現れる。しかし、過剰
の添加は、耐食性改善効果が飽和するばかりでなく、金
属間化合物等の析出物が多くなってアルミニウム合金の
機械的性質を低下させる。そこで、Y,Ce,La,P
r,Nd,Pr等の合金元素含有量の上限を、総量で
3.0重量%に定めた。
【0023】また、Y,Ce,La,Pr,Nd等の添
加により耐食性が改善されるアルミニウム合金として
は、種々の合金組成をもったものが対象とされる。なか
でも、Cu:0〜6重量%,Si:0.01〜30重量
%,Mg:0〜8.0重量%及びFe:0.01〜1.
0重量%を含有する基本組成をもつ合金が使用される。
【0024】また、必要に応じて2.0重量%以下のN
i,2.0重量%以下のMn,2.0重量%以下のT
i,5.0重量%以下のZn,2.0重量%以下のCr
の1種又は2種以上を基本組成に含有させたものも、
Y,Ce,La,Pr,Nd,Pr等の添加によって耐
食性が改善される。
【0025】ここで、対象とするアルミニウム合金に含
まれる合金成分及び含有量を説明する。Cu:6.0重
量%以下のCuの添加は、アルミニウム合金の常温強度
及び高温強度を向上させ、機械加工性の改善に有効であ
る。しかし、Cuの含有量が6.0を超えると、耐食性
が著しく阻害される。
【0026】Si:鋳造性の向上に効果があり、熱膨張
係数の減少及び耐摩耗性の向上にも有効である。また、
Mgとの共存によって、強度の向上も図られる。このよ
うな効果を得るためには、0.01重量%以上のSi含
有量が必要である。しかし、Si含有量が30重量%を
超えると、機械加工性及び表面処理性が著しく劣化す
る。
【0027】Mg:固溶体強化を図り、Siとの共存に
よって時効硬化による強度向上に寄与する合金元素であ
る。また、耐食性及び機械加工性を向上させる上でも有
効である。しかし、多量のMgを含有させると、流動性
及び溶湯補給性を劣化させ、ヒケ特性の劣化をもたらす
ので、Mg含有量の上限を8.0重量%に設定した。
【0028】Zn:Mgとの共存によって機械的性質を
向上させ、機械加工性を改善する合金元素である。しか
し、多量のZn含有は耐食性及び耐熱間割れ性を劣化さ
せるので、Zn含有量の上限を5.0重量%に設定し
た。
【0029】Fe:金型への焼付き防止効果及びAl−
Zn−Mg系合金の耐熱間割れ性を向上させる作用を呈
する。しかし、多量のFeを含有させると、FeAl
3 ,Al−Fe−Si等の金属間化合物を形成し、靭
性,耐食性,ヒケ性等を劣化させる。そこで、Fe含有
量の上限は、1.0重量%に設定した。
【0030】Ni:Cuを含むアルミニウム合金におい
て、高温強度を向上させる有効な合金元素である。しか
し、多量のNi含有は耐食性を低下させることになるの
で、Ni含有量の上限を2.0重量%に設定した。
【0031】Mn:高温強度を向上させると共に、Al
−Fe−Si系金属間化合物の晶出を抑え靭性の劣化を
防止し、且つFeに起因する耐食性の劣化を防止する作
用を呈する。しかしながら、Mnが多量に含有される
と、溶解炉でスラッジが形成され易くなり、炉を傷める
傾向が強くなる。また、粗大な金属間化合物が形成さ
れ、靭性を低下させる。そこで、Mn含有量は、2.0
重量%以下とした。
【0032】Ti:アルファ相を微細化し、鋳造性及び
機械的性質を向上させる合金元素である。しかし、過剰
のTiが存在すると、溶湯の流動性が低下し、しかもA
l−Si−Ti系の金属間化合物が晶出して靭性を著し
く低下させる。更に、多量のTi含有は、熱伝導度及び
電気伝導度を低下させることにもなる。そこで、Ti含
有量の上限は、2.0重量%に設定した。
【0033】Cr:結晶粒界を強化し、耐応力腐食割れ
性を改善し、高温強度を向上させる合金元素である。し
かし、2.0重量%を超えるCrが含有されるとき、粗
大な金属間化合物が発生し易くなり、靭性及び加工性の
劣化をもたらす。
【0034】
【実施例】表1〜3に示した各組成のアルミニウム合金
を溶解した後、200mm×100mm×6mmのキャ
ビティを有する金型を使用して鋳造した。得られた鋳物
から寸法が50mm×25mm×3mmの試験片を切り
出し、試験片の表面を#320のエメリー紙で研磨し
た。なお、表3の試験番号29は試験番号6のアルミニ
ウム合金との比較のため、同じく試験番号33は試験番
号1〜5のアルミニウム合金との比較のため、同じく試
験番号34は試験番号1〜5のアルミニウム合金との比
較のための例を示す。
【0035】
【表1】
【0036】
【表2】
【0037】
【表3】
【0038】各試験片の中心部に、直径6.5mmの孔
を穿設した。そして、図1に示すように、アルミ試験片
1を、同様に穿孔した同一寸法の鋳鉄(JIS G55
01)試験片2,鋼(JIS G3141,板厚1.5
mm)試験片3,黄銅(JIS H3201,板厚1.
6mm)試験片4,はんだ(JIS Z3282)試験
片5及び銅(JIS H3103)試験片6と共に、ワ
ッシャ7,8を介し嵌挿したボルト9をナット10で締
め付けることにより一体的に組み立てた。
【0039】また、隣接する試験片1〜6が直接接触す
ることがないように、各試験片1〜6の間にはスペーサ
11を挟み込んだ。なお、ボルト9としては、四フッ化
エチレン製スリーブを被せた黄銅製ボルトを使用した。
また、ワッシャ7,8及びスペーサ11にも、同様に四
フッ化エチレン製スリーブを被せた。更に、ワッシャ
7,8とボルト9のヘッド及びナット10の間には、四
フッ化エチレン製スリーブを被せた支持板を取り付け
た。
【0040】組み立てられた試験体を、図2に示した腐
食試験装置の内部に設置した。腐食試験装置20は、腐
食液21が注入された高さH及び内径Dがそれぞれ13
0mm及び90mmの上部開放型容器21をもってい
る。容器21の底面からの高さhを15mmに設定し
て、試験体15を容器21の内部に配置した。そして、
容器21の上部開口をゴム栓22で密閉し、冷却水23
で冷却しながら腐食液24を1000ml注入した。こ
れにより、試験体15は腐食液24に完全に浸漬され
た。
【0041】腐食液24として、純水に硫酸根1000
ppm,塩素イオン1000ppm(塩化ナトリウムで
添加),重炭酸イオン1000ppm(重炭酸ナトリウ
ムで添加)及び銅イオン10ppm(塩化第二銅で添
加)添加し、酢酸でpH3に調製したものを使用した。
また、乾燥空気25を流量計26で流量測定しながら、
スパージャ27を介して腐食液24中に吹き込んだ。乾
燥空気25として温風を使用することによって腐食液2
4を加温した。腐食液24の温度は温度計28で検出
し、検出温度に応じて乾燥空気25の吹込み量を調節し
た。このようにして、腐食液24の温度を、88±2℃
に維持した。
【0042】腐食液24に対する試験体15の浸漬を3
36時間継続した後、腐食液24から試験体15を取り
出した。そして、アルミ試験片1の重量を測定した。こ
の重量を腐食試験前のアルミ試験片1の重量と比較し、
耐食性を評価した。また、各試験片の腐食減量から、
Y,Ce,La,Pr,Nd,Pr等の溶出量を算出し
た。このようにして求められた腐食減量及び溶出量を、
表4〜6に示す。
【0043】
【表4】
【0044】
【表5】
【0045】
【表6】
【0046】表4及び表5を表6と比較するとき、Y,
Ce,La,Pr,Nd,Pr等の添加によって同種の
合金系であっても、耐食性が大幅に改善されていること
が判る。この耐食性の向上は、前述したY,Ce,L
a,Pr,Nd,Pr等の腐食防止剤としての作用及び
生成した酸化物皮膜又は水酸化物皮膜による腐食抑制作
用によることを示すものである。
【0047】
【発明の効果】以上に説明したように、本発明において
は、Y,Ce,La,Pr,Nd,Pr等の合金元素を
所定量含有させることにより、アルミニウム合金の耐食
性を向上させている。Y,Ce,La,Pr,Nd,P
r等による耐食性の向上は、Znのような犠牲陽極作用
によるものではなく、腐食防止剤としての機能及び緻密
な酸化物皮膜又は水酸化物皮膜による基材保護作用によ
るものであり、配管系等に目詰りを発生させる腐食性生
物を生じることがない。そのため、本発明のアルミニウ
ム合金は、シリンダーブロック,ウォータポンプ等のエ
ンジンルーム構成部品を始めとして、腐食性の水性溶液
に接する環境下で優れた耐食性を示す構造部材として使
用される。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明実施例において、接触腐食を測定する
ためにアルミニウム合金の試験片を他の金属材料試験片
と組み合わせた状態を示す。
【図2】 各種試験片を組み合わせた試験体を腐食液に
浸漬して、腐食試験を行っている状態を示す。
【符号の説明】
1 アルミ試験片 2 鋳鉄試験片 3 鋼試験片
4 黄銅試験片 5 ハンダ試験片 6 銅試験片 15 試験体
24 腐食液

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 Y,Ce,La,Pr及びNdから選ば
    れた1種又は2種以上を総量で0.01〜3.0重量%
    含有することを特徴とする耐食性に優れた鋳造用アルミ
    ニウム合金。
  2. 【請求項2】 Si:0.01〜30重量%及びFe:
    0.01〜1.0重量%を含有し、更に必要に応じてN
    i:2.0重量%以下,Mn:2.0重量%以下,T
    i:2.0重量%以下,Zn:5.0重量%以下,C
    u:6.0重量%以下,Mg:8.0重量%以下及びC
    r:2.0重量%以下の1種又は2種以上を含有する合
    金組成に、Y,Ce,La,Pr及びNdから選ばれた
    1種又は2種以上を総量で0.01〜3.0重量%含有
    させたことを特徴とする耐食性に優れた鋳造用アルミニ
    ウム合金。
  3. 【請求項3】 Cu:6.0重量%以下,Si:0.0
    1〜30重量%,Mg:8.0重量%以下及びFe:
    0.01〜1.0重量%を含有し、更に必要に応じてN
    i:2.0重量%以下,Mn:2.0重量%以下,T
    i:2.0重量%以下,Zn:5.0重量%以下及びC
    r:2.0重量%以下の1種又は2種以上を含有する合
    金組成に、Y,Ce,La,Pr及びNdから選ばれた
    1種又は2種以上を総量で0.01〜3.0重量%含有
    させたことを特徴とする耐食性に優れた鋳造用アルミニ
    ウム合金。
  4. 【請求項4】 水性溶液と接触する密閉系において前記
    水性溶液中に合金から溶出するY3+,Ce3+,La3+
    Nd3+,Pr3+等のイオン濃度が総量で1〜3000p
    pmとなるように、Y,Ce,La,Pr及びNdから
    選ばれた1種又は2種以上の含有量総量を、0.01〜
    3.0重量%の範囲で前記水性溶液との関係で定めたこ
    とを特徴とする耐食性に優れた鋳造用アルミニウム合
    金。
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