JPH05147214A - 液体噴射記録ヘツド - Google Patents

液体噴射記録ヘツド

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JPH05147214A
JPH05147214A JP31658291A JP31658291A JPH05147214A JP H05147214 A JPH05147214 A JP H05147214A JP 31658291 A JP31658291 A JP 31658291A JP 31658291 A JP31658291 A JP 31658291A JP H05147214 A JPH05147214 A JP H05147214A
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flow path
liquid flow
liquid
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jet recording
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Hideaki Mashio
英明 真塩
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  • Particle Formation And Scattering Control In Inkjet Printers (AREA)
  • Processes Of Treating Macromolecular Substances (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 インクの長期浸漬に対し、基板と液流路構成
部材との密着力が徐々に低下して微少な剥れを生じ、イ
ンク滴の直進性すなわち着弾点精度に影響を与える欠点
を除去する、液流路が精度良く、正確に、かつ歩留り良
く製造できる液体噴射記録ヘッドの構成を提供する、更
に、インクとの相互影響が少なく、機械的強度や耐薬品
性に優れた液体噴射記録ヘッドを提供する。 【構成】 液流路構成部材がシランカップリング剤とフ
ッ素系プライマーとを含有する液流路構成部材組成物を
硬化させた液体噴射記録ヘッドである。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は液体噴射記録方式に用い
る記録液小滴を発生するための液体噴射記録ヘッドに関
する。
【0002】
【従来の技術】従来、微細な凹凸あるいは空洞を設ける
加工法としては、切削加工や、エッチング等により微細
な溝を形成する方法が知られ、特に空洞を設ける時はこ
れらの加工法により形成した溝に他の適当な板を接合す
る方法が知られていた。
【0003】しかしながら、このような方法によって形
成される溝あるいは空洞は、切削加工では内面の荒れが
大きかったり、エッチング法ではエッチング率の差から
精度良いものが得難かった。
【0004】特にインクジェット記録法に用いるインク
ジェット記録ヘッドにおいては、多数の液流路を均一に
精度よく作成しない場合には、完成したインクジェット
記録ヘッドの吐出特性に悪影響が大きく、印字物の印字
不良や濃度むらが発生するという問題があった。
【0005】また、切削加工の際には、板の欠けや割れ
が生じ易く、製造歩留りが悪いと言う欠点もあった。更
に空洞を作成する場合には、他の適当な板を接着をする
際に接着剤の流れ込みが発生し、この点からも歩留りが
悪く、また量産性にも欠けるという問題があった。
【0006】これらの欠点を考慮して完成されたインク
ジェット記録ヘッドの製造方法として特開昭61−15
4947には基板上にポジ型レジストのパターンを形成
し、これを液流路構成部材で覆い、液流路構成部材を硬
化した後、前記レジストパターンを除去するという方法
が開示されており、この方法によれば、上記問題点は解
消できる。
【0007】しかし、この方法においては、製造工程の
途中で基板と液流路構成部材との間に微少な剥離が生
じ、このために歩留りを低下させるという新たな問題が
発生している。
【0008】この製造工程での微少な剥離を解決するた
めの方法としては通常密着力を向上するために用いられ
るシランカップリング剤を液流路構成部材に含有する液
流路構成部材組成物として、例えば、特開平3−184
868等に出願されている。
【0009】
【発明が解決しようとしている課題】しかしながら、こ
のように改良された方法により提供された液体噴射記録
ヘッドでは前記欠点は解決されたが、インクの長期浸漬
に対し、基板と液流路構成部材との密着力が徐々に低下
し微少な剥れを生じ、インク滴の直進性すなわち着弾点
精度に影響を与えるという問題が発生する。
【0010】本発明は上記欠点を考慮して完成されたも
ので、精密であり、かつ信頼性の高い液体噴射記録ヘッ
ドを提供することを目的とする。また、液流路が精度良
く、正確に且つ歩留り良く製造できる液体噴射記録ヘッ
ドの構成を提供することも目的とする。更に、インクと
の相互影響が少なく、機械的強度や耐薬品性に優れた液
体噴射記録ヘッドを提供することも目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段(及び作用)】このような
目的を達成する本発明はレジストのパターン状型材が設
けられた基板上に液流路を形成する液流路構成部材を設
けた後、前記パターン状型材を除去してなる液体噴射記
録ヘッドにおいて、前記液流路構成部材がシランカップ
リング剤とフッ素系プライマーとを含有する液流路構成
部材組成物を硬化させてなるものであることを特徴とす
る液体噴射記録ヘッドである。
【0012】本発明は、特にインクジェット記録方式の
中でも、熱エネルギーを利用して飛翔液滴を形成し、記
録を行うインクジェット記録方式の記録ヘッド、記録装
置に於いて、優れた効果をもたらすものである。
【0013】その代表的な構成や原理については、例え
ば、米国特許第4723129号明細書、同第4740
796号明細書に開示されており、本発明はこれらの基
本的な原理を用いて行うものが好ましい。この記録方式
は所謂オンデマンド型、コンティニュアス型のいずれに
も適用可能である。
【0014】この記録方式を簡単に説明すると、液体
(インク)が保持されているシートや液路に対応して配
置されている電気熱変換体に、記録情報に対応して液体
(インク)に核沸騰現象を越え、膜沸騰現象を生じる様
な急速な温度上昇を与えるための少なくとも一つの駆動
信号を印加することによって、熱エネルギーを発生せし
め、記録ヘッドの熱作用面に膜沸騰を生じさせる。この
様に液体(インク)から電気熱変換体に付与する駆動信
号に一対一対応した気泡を形成できるため、特にオンデ
マンド型の記録法には有効である。この気泡の成長、収
縮により吐出孔を介して液体(インク)を吐出させて、
少なくとも一つの滴を形成する。この駆動信号をパルス
形状とすると、即時適切に気泡の成長収縮が行なわれる
ので、特に応答性に優れた液体(インク)の吐出が達成
でき、より好ましい。このパルス形状の駆動信号として
は、米国特許第4463359号明細書、同第4345
262号明細書に記載されているようなものが適してい
る。尚、上記熱作用面の温度上昇率に関する発明の米国
特許第4313124号明細書に記載されている条件を
採用すると、更に優れた記録を行なうことができる。
【0015】記録ヘッドの構成としては、上述の各明細
書に開示されているような吐出孔、液流路、電気熱変換
体を組み合わせた構成(直線状液流路又は直角液流路)
の他に、米国特許第4558333号明細書、米国特許
第4459600号明細書に開示されている様に、熱作
用部が屈曲する領域に配置された構成を持つものも本発
明に含まれる。
【0016】加えて、複数の電気熱変換体に対して、共
通するスリットを電気熱変換体の吐出孔とする構成を開
示する特開昭59年第123670号公報や熱エネルギ
ーの圧力波を吸収する開孔を吐出部に対応させる構成を
開示する特開昭59年第138461号公報に基づいた
構成においても本発明は有効である。
【0017】さらに、本発明が有効に利用される記録ヘ
ッドとしては、記録装置が記録できる記録媒体の最大幅
に対応した長さのフルラインタイプの記録ヘッドがあ
る。このフルラインヘッドは、上述した明細書に開示さ
れているような記録ヘッドを複数組み合わせることによ
ってフルライン構成にしたものや、一体的に形成された
一個のフルライン記録ヘッドであっても良い。
【0018】加えて、装置本体に装着されることで、装
置本体との電気的な接続や装置本体からのインクの供給
が可能になる交換自在のチップタイプの記録ヘッド、あ
るいは記録ヘッド自体に一体的に設けられたカートリッ
ジタイプの記録ヘッドを用いた場合にも本発明は有効で
ある。
【0019】又、本発明の記録装置に、記録ヘッドに対
する回復手段や、予備的な補助手段等を付加すること
は、本発明の記録装置を一層安定にすることができるの
で好ましいものである。これらを具体的に挙げれば、記
録ヘッドに対しての、キャッピング手段、クリーニング
手段、加圧或は吸引手段、電気熱変換体或はこれとは別
の加熱素子、或はこれらの組み合わせによる予備加熱手
段、記録とは別の吐出を行なう予備吐出モードを行なう
手段を付加することも安定した記録を行なうために有効
である。
【0020】更に、記録装置の記録モードとしては黒色
等の主流色のみを記録するモードだけではなく、記録ヘ
ッドを一体的に構成したものか、複数個の組み合わせて
構成したものかのいずれでも良いが、異なる色の複色カ
ラー又は、混色によるフルカラーの少なくとも一つを備
えた装置にも本発明は極めて有効である。
【0021】以上説明した本発明実施例においては、液
体インクを用いて説明しているが、本発明では室温で固
体状であるインクであっても、室温で軟化状態となるイ
ンクであっても用いることができる。上述のインクジェ
ット装置ではインク自体を30℃以上70℃以下の範囲
内で温度調整を行ってインクの粘性を安定吐出範囲にあ
るように温度制御するものが一般的であるから、使用記
録信号付与時にインクが液状をなすものであれば良い。
【0022】加えて、熱エネルギーによるヘッドやイン
クの過剰な昇温をインクの固形状態から液体状態への状
態変化のエネルギーとして使用せしめることで積極的に
防止するか又は、インクの蒸発防止を目的として放置状
態で固化するインクを用いることも出来る。いずれにし
ても熱エネルギーの記録信号に応じた付与によってイン
クが液化してインク液状として吐出するものや記録媒体
に到達する時点ではすでに固化し始めるもの等のよう
な、熱エネルギーの付与によって初めて液化する性質を
持つインクの使用も本発明には適用可能である。
【0023】このようなインクは、特開昭54−568
47号公報あるいは特開昭60−71260号公報に記
載されるような、多孔質シートの凹部又は貫通孔に液状
又は固形物として保持された状態で、電気熱変換体に対
して対向するような形態としても良い。
【0024】本発明において、上述した各インクにたい
して最も有効なものは、上述した膜沸騰方式を実行する
ものである。
【0025】図8は本発明により得られた記録ヘッドを
インクジェットヘッドカートリッジ(IJC)として装
着したインクジェット記録装置(IJRA)の一例を示
す外観斜視図である。
【0026】図において、20はプラテン24上に送紙
されてきた記録紙の記録面に対向してインク吐出を行な
うノズル群を具えたインクジェットヘッドカートリッジ
(IJC)である。16はIJC20を保持するキャリ
ッジHCであり、駆動モータ17の駆動力を伝達する駆
動ベルト18の一部と連結し、互いに平行に配設された
2本のガイドシャフト19Aおよび19Bと摺動可能と
することにより、IJC20の記録紙の全幅にわたる往
復移動が可能となる。
【0027】26はヘッド回復装置であり、IJC20
の移動経路の一端、例えばホームポジションと対向する
位置に配設される。伝動機構23を介したモータ22の
駆動力によって、ヘッド回復装置26を動作せしめ、I
JC20のキャッピングを行なう。このヘッド回復装置
26のキャップ部26AによるIJC20へのキャッピ
ングに関連させて、ヘッド回復装置26内に設けた適宜
の吸引手段によるインク吸引もしくはIJC20へのイ
ンク供給経路に設けた適宜の加圧手段によるインク圧送
を行い、インクを吐出口より強制的に排出させることに
よりノズル内の増粘インクを除去する等の吐出回復処理
を行なう。また、記録終了時等にキャッピングを施すこ
とによりIJCが保護される。
【0028】30はヘッド回復装置26の側面に配設さ
れ、シリコンゴムで形成されるワイピング部材としての
ブレードである。ブレード31はブレード保持部材31
Aにカンチレバー形態で保持され、ヘッド回復装置26
と同様、モータ22および伝動機構23によって動作
し、IJC20の吐出面との係合が可能となる。これに
より、IJC20の記録動作における適切なタイミング
で、あるいはヘッド回復装置26を用いた吐出回復処理
後に、ブレード31をIJC20の移動経路中に突出さ
せ、IJC20の移動動作に伴なってIJC20の吐出
面における結露、濡れあるいは塵埃等をふきとるもので
ある。
【0029】
【実施例】以下図面を参照しつつ、インクジェット記録
ヘッドの製造における本発明を詳細に説明する。なお効
果が明確になる様に本発明では、インクジェット記録ヘ
ッドを例にしてあげるが、これによって本発明の適用範
囲がせばめられるわけではない。 実施例1 図1ないし図6は本発明の実施例を説明するための模式
図であり、図1ないし図5のそれぞれには本発明の方法
に係るインクジェット記録ヘッドの構成とその製作手順
の一例が示されている。なお本例では、2つのオリフィ
スを有するインクジェット記録ヘッドが示されるが、も
ちろんこれ以上のオリフィスを有する高密度マルチアレ
イインクジェット記録ヘッドの場合あるいは1つのオリ
フィスを有するインクジェット記録ヘッドの場合でも同
様であることは言うまでもない。基板としては、図1に
示すような、ガラス、セラミックス、プラスチックある
いは金属等から成る基板1を用いることができる。この
ような基板1は、液流路構成部材の一部として機能し、
また後述のレジストのパターン状型材および液流路構成
部材積層時の支持体として機能し得るものであれば、そ
の形状、材質等、特に限定されることなく使用すること
ができる。本実施例ではシリコン基板を用いた。基板1
上には、発熱素子あるいは圧電素子等のインク吐出エネ
ルギー発生素子2が所望の個数配設される(図1の実施
例では発熱素子が2個)。このようなインク吐出エネル
ギー発生素子によって記録液小滴を吐出させるための吐
出エネルギーがインク液に与えられ、記録が行なわれ
る。本実施例のように発熱素子が用いられるときには、
この素子が、近傍のインク液を加熱することにより、吐
出エネルギーを発生する。また、例えば、圧電素子が用
いられるときは、この素子の機械的振動によって、吐出
エネルギーが発生する。
【0030】なお発熱素子2にはこれら素子を動作させ
るための制御信号入力用電極(図に示されていない)が
接続される。また、これら吐出エネルギー発生素子の耐
用性の向上等を目的として、保護層等の各種の機能層を
設けることができる。また本例においては、吐出エネル
ギー発生素子を液流路形成前に基板上に配設したが、配
設時期は選択し得る。
【0031】次いで、上記液体吐出エネルギー発生素子
2を含む基板1上の液流路形成予定部分に、例えば図2
(A)および(B)に示されるようなレジストのパター
ン状型材を積層する。なお図2(A)はレジストのパタ
ーン状型材積層後の基板の模式的平面図であり、図2
(B)は図2(A)のA−A’線で切断した基板の模式
的切断面図である。
【0032】上記パターン状型材3は後述するような液
流路構成部材が積層された後に、基板1から除去され、
該除去部分に液流路が構成される。もちろん、液流路の
形状は所望のものとすることが可能であり、該流路形成
のために設けられる上記パターン状型材3も該流路形状
に応じたものとすることができる。ちなみに本例では、
2つの吐出エネルギー発生素子に対応して設けられる2
つのオリフィスのそれぞれから記録液小滴を吐出させる
ために、液流路は2つに分散された液細流路と該流路に
記録液を供給するための共通液室とで構成される。
【0033】このようなレジストのパターン状型材3を
構成するに際して用いられる材料および手段としては、
例えば下記に列挙するようなものを具体的なものとして
挙げることが出来る。 1 感光性ドライフィルムを用い、所謂ドライフィルム
の画像形成プロセスに従って固体層を形成する。 2 基板1上に所望の厚さの溶媒可溶性ポリマーおよび
フォトレジスト層を順に積層し、該フォトレジスト層の
パターン形成後に溶媒可溶性ポリマー層を選択的に除去
する。 3 硬化性を有するか、または非硬化性の樹脂を印刷す
る。
【0034】1に挙げた感光性ドライフィルムとして
は、ポジ型のものもネガ型のものも用いることができる
が、例えばポジ型ドライフィルムであれば、活性光線照
射によって、現像液に可溶化するポジ型ドライフィル
ム、またネガ型ドライフィルムであれば、光重合型であ
るが塩化メチレンあるいは強アルカリで溶解あるいは剥
離除去し得るネガ型ドライフィルムが適している。
【0035】ポジ型ドライフィルムとしては、具体的に
は、例えば「OZATEC R225」〔商品名、ヘキ
ストジャパン(株)〕等、またネガ型ドライフィルムと
しては、「OZATEC Tシリーズ」〔商品名、ヘキ
ストジャパン(株)〕、「PHOTEC PHTシリー
ズ」〔商品名、日立化成工業(株)〕、「RISTO
N」〔商品名、デュ・ポン・ド・ネモアース・Co〕等
が用いられる。
【0036】2に挙げた溶媒可溶性ポリマーとしては、
これを溶解する溶媒が存在し、コーティングによって被
膜を形成し得る高分子化合物であればどんなものでも用
い得る。ここで用い得るフォトレジスト層としては、典
型的にはノボラック型フェノール樹脂とナフトキノンジ
アジドから成るポジ型液状フォトレジスト、ポリビニル
シンナメートから成るネガ型液状フォトレジスト、環化
ゴムとビスアジドから成るネガ型液状フォトレジスト、
ネガ型感光性ドライフィルム、熱硬化型および紫外線硬
化型のインキ等が挙げられる。
【0037】3に挙げた印刷法によってレジストのパタ
ーン状型材を形成する材料としては、例えば蒸発乾燥
型、熱硬化型あるいは紫外線硬化型のそれぞれの乾燥方
式で用いられている平板インキ、スクリーンインキ等が
用いられる。
【0038】以上に挙げた材料群の中で、加工精度や除
去の容易性あるいは作業性等の面から見て、1の感光性
ドライフィルムを用いる手段が好ましく、その中でもポ
ジ型ドライフィルムを用いるのが特に好ましい。すなわ
ち、ポジ型感光性材料は、例えば解像度がネガ型の感光
性材料よりも優れている、レリーフパターンが垂直かつ
平滑な側壁面を持つ、レリーフパターンを現像液や有機
溶媒で溶解除去できる等の特長を有しており、本発明に
おける固体層形成材料として好ましいものである。その
中でも、ドライフィルム状のものは10〜100μmの
厚膜のものが得られる点で、最も好ましい材料である。
【0039】本発明では、「OZATEC R225」
を用い、フォトリソグラフィー法でパターニングを行な
い形成した。
【0040】上記固体層3が形成された基板1には、例
えば図3に示されるように、該レジストのパターン状型
材3を覆うようにシランカップリング剤とフッ素系プラ
イマーとを含有した液流路構成部材4が積層される。な
お図3は液流路構成部材積層後に図2と同様の位置で切
断した基板の模式的切断面図である。
【0041】このような液流路構成部材としては、上記
固体層を覆設し得るものであれば好適に使用することが
できるが、該部材は、液流路を形成して液体噴射記録ヘ
ッドとしての構造材料と成るものであるので、基板との
接着性、機械的強度、寸法安定性、耐蝕性の面で優れた
材料を選択して、用いることが好ましい。そのような材
料を具体的に示せば、液状で熱硬化、紫外線硬化および
電子ビーム硬化などの硬化性材料が好ましく、中でもエ
ポキシ樹脂、アクリル樹脂、ジグリコールジアルキルカ
ーボネート樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ポリウレタ
ン樹脂、ポリイミド樹脂、メラミン樹脂、フェノール樹
脂、尿素樹脂等が好ましく使用される。
【0042】また、シランカップリング剤としては、基
板との密着を向上させ得るものであれば好適に使用する
ことができる。具体例を表1に示す。
【0043】
【表1】
【0044】
【表2】
【0045】
【表3】 シランカップリング剤の含有量は液流路構成部材100
重量部に対し0.01〜10重量部が適量である。
【0046】次に、フッ素系プライマーとしては、シラ
ンカップリング剤の密着向上の効果を助長し、かつ液流
路構成部材のレベリングを助長しうるものであれば好適
に使用することができ、具体例を表2に示す。
【0047】
【表4】
【0048】
【表5】 *(13)または(14)は商品名KP−801(信越
化学工業(株))として市販されている。
【0049】(15)および(16)は商品名MF−1
50およびMF−160(三菱マテリアル(株))とし
て市販されている。
【0050】フッ素系プライマーの含有量は液流路構成
部材100重量部に対し0.001〜1.0重量部が適
量である。このフッ素系プライマーの含有量が多量の場
合には液流路構成部材が疎水性を示し、基板と液流路構
成部材の密着不良を引き起こすことがある。
【0051】本実施例においてはシランカップリング剤
とフッ素系プライマーとを含有した液流路形成部材とし
てはビスフェノールA型エポキシアデカオプトマーKR
M2410(旭電化(株)製)にシランカップリング剤
A−187(NUC製)5重量部、フッ素系プライマ
ー MF−150(三菱マテリアル(株)製)0.1重
量部、硬化剤 アデカオプトマーSP−170(旭電化
(株)製)3重量部を混合し、真空ポンプを用いて脱泡
した。
【0052】次に、上記液流路構成部材をアプリケータ
を用いて図3のように100μmの厚さに塗布した。そ
の後、図4のように5.0J/cm2 の紫外線を照射
し、液流路構成部材を完全に硬化させた。
【0053】上記の液状の硬化性材料が液流路構成部材
として用いられる場合には、該材料は、例えばカーテン
コート、ロールコート、スプレーコート等の公知の手段
を用い、これを塗布する等の方法によって、所望の厚さ
で基板上に積層される。塗布に際しては、該材料の脱気
を行なった後、気泡の混入を避けながら行なうのが好ま
しい。
【0054】ここで、例えば図3のように液流路構成部
材4を積層する際には上記のような液状の硬化性材料が
用いられる場合には、該硬化性材料は、例えば液体の流
出、流動を抑制した状態で、必要ならば上部に抑え板を
重ね、所定の条件で硬化させる(図4参照)。硬化条件
が常温または加熱硬化であれば、30分〜2時間放置す
れば良く、紫外線硬化などの場合には、通常10分以内
の短時間の照射によって硬化が可能である。
【0055】次いで、レジストのパターン状型材3およ
びシランカップリング剤とフッ素系プライマーとを含有
した液流路構成部材4が積層された上記のような基板か
ら、レジストのパターン状型材3を除去して液流路を形
成する。
【0056】レジストのパターン状型材3の除去手段と
しては特に限定されるものではないが、具体的には例え
ばレジストのパターン状型材3を溶解または膨潤あるい
は剥離する液体中に基板を浸漬して除去する等の方法が
好ましいものとして挙げられる。この際、必要に応じて
超音波処理、スプレー、加熱、攪拌、その他の除去促進
手段を用いることも可能である。
【0057】上記除去手段に対して用いられる液体とし
ては、例えば含ハロゲン炭化水素、ケトン、エステル、
芳香族炭化水素、エーテル、アルコール、N−メチルピ
ロリドン、ジメチルホルムアミド、フェノール、水、強
アルカリを含む水、等が挙げられる。これら液体には、
必要に応じて界面活性剤を加えても良い。また、レジス
トのパターン状型材としてポジ型ドライフィルムを用い
る場合には、除去を容易にするために固体層に改めて紫
外線照射を施すのが好ましく、その他の材料を用いた場
合には、40〜60℃に液体を加熱するのが好ましい。
【0058】本実施例においては、5%NaOH水溶液
中に浸漬し、5分間超音波をかけてレジストパターンを
溶解除去した。
【0059】図6には、上記のようなレジストのパター
ン状型材3の除去を、溶解によって行なった場合の例が
示されている。なお図6はレジストのパターン状型材の
溶解除去に先立って液供給口6を設け、その後にレジス
トのパターン状型材を除去した後の液体噴射記録ヘッド
の模式的斜視図が示されている。図5はレジストのパタ
ーン状型材3除去後、図2と同様の位置で切断した液体
噴射記録ヘッドの模式的切断面図である。
【0060】本例の場合にはレジストのパターン状型材
3は該固体を溶解する液体中に浸漬され、ヘッドのオリ
フィスと液供給口6を通して溶解除去される。溶解除去
に先立ち、オリフィス先端が露出していなければ、例え
ば図6のC−C’の線に沿って基板全体を切断し、オリ
フィス先端を露出させる。
【0061】しかし、このような基板のオリフィスの先
端部の切断の操作は、本発明の実施のために必ずしも必
要ではなく、例えば液流路構成部材として液状の硬化性
材料を用い、該材料を積層する際に型を使用し、オリフ
ィス先端部が閉じて覆われてしまうことがなく、且つオ
リフィス先端部が平滑に成型されるようにした場合等に
は、切断は不要である。
【0062】以上のようにして、吐出エネルギー発生素
子2が設けられた基板1上の所望の位置に所望の液流路
5が形成された液体噴射記録ヘッドが構成される。尚、
場合によっては、液流路形成後に図6のC−C’の線に
沿って切断する。これは、液流路5において、液体吐出
エネルギー発生素子2とオリフィスとの間隔を最適化す
るために行なうものであり、ここで切断する領域は、適
宜決定される。また、必要に応じてオリフィス先端の研
磨、平滑化を行ない、吐出の最適化をはかってもよい。
【0063】更に例えば図7に示されるように、固体層
形成後、所望の厚さに液流路構成部材を積層し、上記同
様の操作によってレジストのパターン状型材を除去して
流路壁7のみをこれらシランカップリング剤とフッ素系
プライマーとを含有した液流路構成部材で形成し、次い
で所望の天板8を貼合わせることによって液体噴射記録
ヘッドを構成することも可能である。なお図7には貼合
わせ前の液体噴射記録ヘッドの模式的斜視図が示されて
いる。
【0064】本例において流路壁7とレジストのパター
ン状型材の高さとを同一にした場合には、レジストのパ
ターン状型材の除去は天板8を貼合わせた後に行なって
もよく、また、貼合わせ前に行なってもよいが、レジス
トのパターン状型材除去後に天板8を貼合わせることに
より、レジストのパターン状型材の除去を一層確実にす
ることができ、歩留りの向上、ひいては生産性の向上を
はかることができる。なお本発明におけるシランカップ
リング剤とフッ素系プライマーとを含有した液流路構成
部材は、例えば図7のように流路壁7と天板8とが分離
されたものであってもよく、また、例えば図6のように
それらが一体化されたものであってもよい。
【0065】このように作製された20個の液体噴射記
録ヘッドでは基板と液流路構成部材の剥離は全く認めら
れなかった。
【0066】更に、これらインクジェット記録ヘッドを
記録装置に装着し、純水/グリセリン/ダイレクトブラ
ック154(水溶性黒色染料)=65/30/5から成
るインクジェットインクを用いて記録を行なったとこ
ろ、安定な印字が得られた。
【0067】またA4用紙、5万枚印字後(印字率40
%)も基材と成型材の剥離は全く認められず、印字品位
も良好であった。 [他の実施例] 実施例2 実施例1と同様に図6の構成の液体噴射記録ヘッドを作
製した。
【0068】シランカップリング剤の含有量を0.01
重量部、フッ素系プライマーの含有量を0.001重量
部にした。 実施例3 シランカップリング剤の含有量を0.01重量部、フッ
素系プライマーの含有量を1.0重量部にした以外には
実施例1と全く同様に液体噴射記録ヘッドを作製した。 実施例4 シランカップリング剤の含有量を10重量部、フッ素系
プライマーの含有量を0.001にした以外には実施例
1と同様に液体噴射記録ヘッドを作製した。 実施例5 シランカップリング剤の含有量を10重量部、フッ素系
プライマーの含有量を1.0重量部にした以外には実施
例1と全く同様に液体噴射記録ヘッドを作製した。 比較例1 シランカップリング剤およびフッ素系プライマーを含有
しない液流路構成部材を使用し、実施例1と同様に液体
噴射記録ヘッドを作製したところ、レジストのパターン
状型材の除去後に基板と液流路構成部材の間で微少剥離
が生じ、印字品位においてインクドットのずれを生じ
た。実施例と同一の印字耐久テストを行なった結果、剥
離がさらに進行し、印字のカスレが生じた。 比較例2 シランカップリング剤の含有量を10重量部とし、フッ
素系プライマーを含有しない液流路構成部材を使用して
実施例1と同様に液体噴射記録ヘッドを作製した。実施
例と同一の印字耐久テストを行なったところ、微少な剥
離が生じ、インクドットのずれ、印字のカスレが生じ
た。 比較例3 シランカップリング剤の含有量を10重量部、フッ素系
プライマーの含有量を10重量部にした以外は実施例1
と同様に液体噴射記録ヘッドを作製した結果、比較例1
と同様の結果を得た。また液流路構成部材は疎水性を示
していた。 比較例4 シランカップリング剤の含有量を20重量部、フッ素系
プライマーは含有しない液流路構成部材を使用して、実
施例1と同様に液体噴射記録ヘッドを作製したところ、
レジストパターンの細りが認められ、吐出口変形が生
じ、印字に濃度ムラが発生した。
【0069】表3に実施例及び比較例の結果を示す。
【0070】
【表6】
【0071】
【発明の効果】以上に説明した本発明によってもたらさ
れる効果としては、下記に列挙するような効果が挙げら
れる。 1)製造工程中の密着不良による歩留りの低下がない。 2)長期使用による密着不良を生じないため、耐久性の
高い液体噴射記録ヘッドを提供できる。 3)長期使用時の印字の劣化がなく、信頼性の高い液体
噴射記録ヘッドを提供できる。 4)中性でない水溶液、あるいは有機溶媒を媒体とする
記録液に対して、相互に影響しあうことなく、且つ接着
性あるいは機械的強度等にも優れた材料をヘッド構成材
料として使用しているので、記録装置としての耐久性あ
るいは信頼性を高めることができる。 5)大量生産が可能であり、安価な液体噴射記録ヘッド
を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】レジストのパターン状型材形成前の基板の模式
的斜視図。
【図2】(A)はレジストのパターン状型材形成後の基
板の模式的平面図。(B)はレジストのパターン状型材
形成後の基板の模式的切断面図。
【図3】液流路構成部材積層後の基板の模式的切断面
図。
【図4】液流路構成部材とした液状の硬化性材料を用い
た際の該材料硬化後の基板の模式的切断面図。
【図5】レジストのパターン状型材除去後の基板の模式
的切断面図。
【図6】完成状態における液体噴射記録ヘッドの模式的
斜視図である。
【図7】本発明の別の実施態様を説明するための模式図
であり、天板貼合わせ前の液体噴射記録ヘッドの模式的
斜視図である。
【図8】本発明に係る液体噴射記録ヘッドを備えた記録
装置の一例を示す斜視図である。
【符号の説明】
1 基板 2 液体吐出エネルギー発生素子 3 レジストパターン状型材 4 液流路構成材料 5 液体流路 6 液供給口 7 流路壁 8 天板 9 オリフィス 16 キャリッジ 17 駆動モータ 18 駆動ベルト 19A,19B ガイドシャフト 20 インクジェットヘッドカートリッジ 22 クリーニング用モータ 23 伝動機構 24 プラテン 26 ヘッド回復装置 26A キャップ部 30 ブレード 30A ブレード保持部材
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C08J 3/20 CFJ Z 9268−4F // C08J 3/28 CFC 9268−4F C08L 63:00

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 レジストのパターン状型材が設けられた
    基板上に液流路を形成する液流路構成部材を設けた後
    に、前記パターン状型材を除去してなる液体噴射記録ヘ
    ッドにおいて、前記液流路構成部材がシランカップリン
    グ剤とフッ素系プライマーとを含有する液流路構成部材
    組成物を硬化させてなるものであることを特徴とする液
    体噴射記録ヘッド。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の液体噴射記録ヘッドの製
    造方法
  3. 【請求項3】 前記シランカップリング剤の含有量が液
    流路構成部材100重量部に対し0.01〜10重量部
    の範囲である請求項1記載の液体噴射記録ヘッド。
  4. 【請求項4】 請求項3記載の液体噴射記録ヘッドの製
    造方法
  5. 【請求項5】 前記フッ素系プライマーの含有量が液流
    路構成部材100重量部に対し0.001〜1.0重量
    部の範囲である請求項1記載の液体噴射記録ヘッド。
  6. 【請求項6】 請求項5記載の液体噴射記録ヘッドの製
    造方法
  7. 【請求項7】 前記液流路構成部材が有機高分子硬化性
    材料である請求項1記載の液体噴射記録ヘッド。
  8. 【請求項8】 請求項7記載の液体噴射記録ヘッドの製
    造方法
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP0799698A2 (en) * 1996-04-05 1997-10-08 Sony Corporation Printing device

Cited By (2)

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Publication number Priority date Publication date Assignee Title
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