JPH05146901A - 回転多面鏡の加工方法 - Google Patents

回転多面鏡の加工方法

Info

Publication number
JPH05146901A
JPH05146901A JP19520491A JP19520491A JPH05146901A JP H05146901 A JPH05146901 A JP H05146901A JP 19520491 A JP19520491 A JP 19520491A JP 19520491 A JP19520491 A JP 19520491A JP H05146901 A JPH05146901 A JP H05146901A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
cutting tool
vibration
cutting
work
processed
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP19520491A
Other languages
English (en)
Inventor
Nobuo Yasuhira
宣夫 安平
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Panasonic Holdings Corp
Original Assignee
Matsushita Electric Industrial Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Matsushita Electric Industrial Co Ltd filed Critical Matsushita Electric Industrial Co Ltd
Priority to JP19520491A priority Critical patent/JPH05146901A/ja
Publication of JPH05146901A publication Critical patent/JPH05146901A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Mechanical Optical Scanning Systems (AREA)
  • Turning (AREA)
  • Cutting Tools, Boring Holders, And Turrets (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 切削工具の刃先を、多面鏡となる被加工面に
対して相対的に円弧運動させて、被加工面を円筒面に加
工する回転多面鏡の加工方法において、切削工具と被加
工面との衝突によって発生する衝撃振動に伴う、被加工
面の形状精度への影響、あるいは、うねりの発生を確実
に抑制して、高精度で能率的に加工を行うことのできる
方法を提供する。 【構成】 切削時に発生する切削工具11の刃先と被加
工面18との相対的な振動に対して、この振動を減衰さ
せる波形で、切削工具11の刃先と被加工面18とを相
対的に強制振動させる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、回転多面鏡の加工方
法に関し、詳しくは、いわゆるポリゴンミラーなどと呼
ばれ、小さな多角柱状体の各側面を鏡面に仕上げ、この
多数の鏡面を備えた柱状体を高速回転させ、各鏡面で光
を反射させるようにして用いるものであって、各種レー
ザ装置や光学装置で利用されている回転多面鏡を製造す
る際に、前記鏡面となる被加工面を切削加工する方法に
関するものである。
【0002】
【従来の技術】ポリゴンミラーすなわら回転多面鏡は、
従来、レーザ走査系光学装置などに広く利用されてい
る。このようなレーザ装置その他の回転多面鏡を用いる
光学装置においては、高速回転する回転多面鏡での光の
反射を非常に厳密に制御する必要がある。そのため、回
転多面鏡の製造においては、複数の鏡面を精度良く加工
することが極めて重要である。また、従来、回転多面鏡
の各鏡面を、円筒面に形成しておくことによって、諸性
能を向上させ得ることも知られている。
【0003】回転多面鏡を製造するための多角柱状体
は、極めて小さな部品であり、このような小さな部品の
各側面を、高精度な円筒面に加工することは非常に困難
であり、従来の通常の精密部品に対する加工方法では十
分に対応できなかった。また、多角柱状体の各側面同士
の構成角度も正確に割り出す必要があるため、被加工面
と切削工具との位置決め、あるいは、割り出し作業も大
変に面倒であった。
【0004】上記のような問題を解消すべく、従来、実
施もしくは提案されている回転多面鏡の加工方法として
は、例えば、特開昭61−168401号公報に開示さ
れた方法がある。この方法は、被加工物すなわちワーク
を回転自在なベースの円周上に固定し、ベースの外側に
ベースとは別個に固定設置された切削工具に対して、ベ
ースおよびワークを回転させて、ベースの外周に配置さ
れたワークの被加工面を切削工具で加工する。ワークの
ひとつの被加工面が加工されれば、ワークの位置決めを
行っていた分割マスタや押当て板を一旦取り外し、ベー
スに対するワークの固定姿勢を変えて、ワークの別の面
がベースの外周側に配置されるようにした後、前記同様
の加工を繰り返す。
【0005】また、本願発明者らも、上記方法とは別の
方法を発明し、先に特願平2−208592号として特
許出願している。この方法は、ワークを保持するベース
を回転させるのでなく、ワークを取り付けた角度割出台
に対して、切削工具すなわちバイトのほうを円周運動さ
せて、ワークの被加工面を切削加工する。また、荒加工
用、仕上加工用などの複数のバイトをバイトホルダーに
保持しておき、ワークおよび角度割出台をバイトの回転
面と直交する方向に順次移動させて、各バイトの運動軌
跡上に順次配置されるようにし、複数のバイトによる荒
加工から仕上げ加工までを連続的に行えるようにしてい
る。この方法では、角度割出台にワークを装着した後
は、角度割出台を一定角度づつ旋回させるだけで、ワー
クの複数の被加工面に対する切削加工が行えるので、仕
上加工が終了するまで、ワークを着脱する必要がない。
その結果、作業能率が向上し、ワークの着脱を頻繁に行
うことに伴う加工精度の低下も発生し難いという利点を
備えている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】ところが、上記した従
来の何れの加工方法においても、加工中に、切削工具と
ワークの被加工面とが相対的に微小な振動を起こし、切
削工具の刃先と被加工面との相対的な位置が経時的に変
動する結果、被加工面の形状精度が十分に得られず、被
加工面にうねりが生じるという問題があった。
【0007】これは、前記のように、切削工具またはワ
ークの何れかを円周運動もしくは回転させながら円周上
の一定範囲のみで切削工具の刃先とワークの被加工面が
接触して被加工面を削り取ることになるので、各回転周
期ごとに、切削工具の刃先が被加工面に衝突してから切
削が開始される。そのため、切削工具の刃先と被加工面
の衝突で、切削工具および被加工面の一方あるいは両方
が微小な衝撃振動を起こすことになり、このような衝撃
振動が生じたままで切削加工が行われることになる。衝
撃振動が発生すれば、切削工具の刃先と被加工面との相
対的な位置が経時的に変動するので、加工面には前記振
動に対応する、うねりや形状誤差が生じてしまう。前記
のような衝撃振動は、切削工具と被加工面の両方に発生
する可能性がある。但し、加工装置の構造によっても異
なるが、通常は、切削工具のほうに振動の影響が出やす
い。衝撃振動している切削工具の刃先の描く軌跡が、衝
撃振動に対応する振動波形を描くことになり、被加工面
には刃先の振動波形に対応する、うねりあるいは形状誤
差を生じることになる。
【0008】切削工具あるいは被加工物を強固に固定し
て取付部分の剛性を高めておいたり、防振機構を設けて
おいたりしておけば、ある程度は振動の発生を抑えるこ
とができるが、わずかな形状誤差やうねりの発生をも問
題とし、通常、0.1μm以下の形状精度が要求される
回転多面鏡の製造においては、切削工具や被加工物の取
付部分の剛性を高めたり、防振機構を備えておいたりす
るだけでは、微小な振動あるいは加工誤差の発生を完全
に抑えることは不可能である。また、切削工具や被加工
物の取付部分の剛性を高めたり、防振機構を設けたりし
ておくためには、切削工具や被加工物の取付構造が複雑
になり、装置全体が大型化したり、切削工具や被加工物
の着脱に手間がかかるようになる。
【0009】そこで、この発明の課題は、前記したよう
な回転多面鏡の加工方法において、切削工具と被加工面
との衝突によって発生する振動に伴う、被加工面の形状
精度への影響、あるいは、うねりの発生を良好に防止し
て、高精度で能率的に加工を行うことのできる方法を提
供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決する、こ
の発明にかかる回転多面鏡の加工方法は、切削工具の刃
先を、多面鏡となる被加工面に対して相対的に円弧運動
させて、被加工面を円筒面に加工する回転多面鏡の加工
方法において、切削時に発生する切削工具の刃先と被加
工面との相対的な振動に対して、この振動を減衰させる
波形で、切削工具の刃先と被加工面とを相対的に強制振
動させる。
【0011】切削工具の刃先と被加工面の相対的な運動
は、通常の回転多面鏡の加工方法と同様でよく、具体的
には、切削工具の刃先と被加工面の何れか一方、あるい
は両方を、少なくとも被加工面の幅よりも広い範囲で、
切削工具の刃先が被加工面に対して相対的に円弧運動す
るように、旋回もしくは回転させる。一定面積の被加工
面を円筒面に加工するには、切削工具の刃先と被加工面
を相対的に円弧運動させるだけでなく、円弧と直交する
方向に段階的あるいは連続的に移動させることも必要に
なる。切削工具あるいは被加工物の保持手段や作動手
段、あるいは、各被加工面を順番に割り出していくため
の手段、その他、加工装置の基本的な構造は、通常の回
転多面鏡の加工方法と同様の手段あるいは構造がそのま
ま適用できる。
【0012】切削時に発生する切削工具の刃先と被加工
面との相対的な振動は、切削工具の刃先形状や支持構
造、被加工物の形状や材質など、多くの条件によって様
々に変わる。通常は、被加工物側の振動よりも、切削工
具の刃先側の振動のほうが大きくなるので、被加工物側
の振動を考慮しなくてもよい場合もある。振動は、切削
工具の刃先と被加工面が衝突した時点で衝撃的に発生
し、切削加工の進行あるいは経時とともに減衰してい
く、いわゆる衝撃振動波形を描く。この発明では、切削
加工中の振動が問題になるので、この切削加工中の振動
を強制的に減衰させることができれば、切削加工に入る
前あるいは切削加工後の振動については、切削加工中の
振動に影響がなければ、必ずしも強制的に減衰させる必
要はない。前記のような衝撃振動を減衰させるには、衝
撃振動の位相と逆の位相で、衝撃振動の振幅に等しい波
形を有する振動を強制的に加えればよい。衝撃振動と完
全に逆の位相および振幅を有する強制振動を加えれば、
衝撃振動は完全に消滅するが、実用上は、加工面の仕上
げ精度が十分に確保できる程度に衝撃振動を減衰させる
ことができればよい。切削工具や被加工面に強制振動を
与えるための強制振動手段もしくは加振機構としては、
従来の機械装置で採用されているのと同様の、各種微小
振動機構が用いられ、例えば、ピエゾ駆動素子などが好
ましいものである。強制振動の具体的な振幅や周波数
は、切削工具の構造や加工条件などによって様々に変わ
るが、通常の加工条件では、振幅0.01〜1μm程
度、周波数100Hz〜10kHz程度の振動が用いられ
る。
【0013】衝撃振動を減衰させるための強制振動は、
切削工具全体もしくは刃先のみに加えてもよいし、被加
工物全体もしくは被加工面に加えてもよい。強制振動の
位相や振幅すなわち波形が予め実験などで求められる場
合には、そのような位相および振幅を備えた波形に設定
しておけばよいし、切削加工を行いながら、発生した衝
撃振動の位相や振幅をセンサ等によってリアルタイムで
検知し、その検知データに基づいた波形の強制振動を、
切削加工中の切削工具や被加工物に与えるようにするこ
ともできる。さらに、切削工具で、被加工物と同様の材
質あるいは形状を備えたダミー加工物を切削加工させ、
このとき発生した衝撃振動が、被加工物の切削加工時に
生じる衝撃振動に、位相が逆になって加わるようにして
おけば、衝撃振動同士が打ち消しあって、被加工物の切
削加工中における振動を減衰させることができる。
【0014】
【作用】切削加工中に、切削工具の刃先と被加工面の間
で生じる相対的な衝撃振動に、この衝撃振動を減衰させ
る波形の強制振動を加えれば、互いの振動が打ち消しあ
って、切削工具の刃先と被加工面との相対的な位置の変
動を削減もしくは消滅させることができる。
【0015】
【実施例】ついで、この発明の実施例について、図面を
参照しながら以下に説明する。
【0016】図2は、加工装置の基本構造を示し、切削
工具を取り付けるバイトホルダー10が、回転軸Sを中
心にして旋盤等の回転主軸に固定されている。バイトホ
ルダー10の外周に、バイトホルダー10の回転中心線
を向いて、荒加工用バイト11および仕上加工用バイト
12が取り付けられており、各バイト11、12の刃先
が、半径R1 、R2 で回転運動を行う。板状のワーク1
3は、各バイト11、12の内側空間に、複数枚が重ね
合わされて角度割出台17に装着されている。そして、
バイト11、12の回転運動に伴って、バイト11、1
2の刃先がワーク13の外周を、図3に示すように、多
角形状に切削加工するとともに、ワーク13の被加工面
18を、バイト11、12の回転半径R1 、R2 に相当
する曲率R1 (またはR2 )の円筒面に加工する。
【0017】なお、荒加工用バイト11と仕上加工用バ
イト12は、加工作業開始前の初期位置である図2の状
態において、ワーク13に対する軸方向すなわちX方向
の距離が、荒加工用バイト11のほうが仕上加工用バイ
ト12よりも、ワーク13に近くなるように配置されて
いる。また、荒加工用バイト11の刃先の回転半径R 1
は仕上加工用バイト12の刃先の回転半径R2 よりもわ
ずかに大きくなるように設定されている。
【0018】ワーク13は、押え用プレート14、樹脂
製ワッシャ15、取付ナット16によって角度割出台1
7に固定されている。角度割出台17は、一定の角度毎
に旋回および位置決め固定が行えるようになっている。
このような角度割出台17の角度割出しのための作動機
構は、通常の加工装置における角度割出し機構と同様の
構造が採用される。また、角度割出台17は、図示しな
い移動手段により、前記X方向に進退自在に構成されて
いる。角度割出台17の移動手段は、シリンダ機構、カ
ム機構、ラックピニオン機構その他の通常の機械装置に
おける進退機構が採用されている。
【0019】複数枚のワーク13を角度割出台17に装
着した状態で、バイトホルダー10を回転駆動しなが
ら、角度割出台17をX方向に進出させて、バイト1
1、12の通過範囲に送り込むと、まず、荒加工用バイ
ト11の刃先が、ワーク13の被加工面18に接触し
て、荒切削を行う。この段階では、仕上加工用バイト1
2は、ワーク13に接触しない。さらに、角度割出台1
7を進出させると、被加工面18の荒加工は完了すると
ともに、仕上加工用バイト12が、被加工面18に接触
するようになり、仕上切削が行われる。このようにし
て、ワーク13の1面の被加工面18の加工が終了した
後、角度割出台17を、一旦、バイト11、12の通過
範囲から退出させて一定の角度だけ旋回させ、次の被加
工面18を加工位置に配置してから、再び前記のような
作業工程を繰り返せば、ワーク13の多角面全ての切削
加工が順次行われることになる。この間、ワーク13は
角度割出台17に固定したままでよい。
【0020】上記実施例では、荒加工用バイト11と仕
上加工用バイト12の2種類のバイトを使用したが、よ
り精密な加工を行うには、バイトホルダー10に中仕上
用バイトをも装着しておき、この中仕上用バイトの刃先
の回転半径および軸方向の位置を、荒加工用バイト11
と仕上加工用バイト12の中間に設定しておけば、荒加
工、中仕上加工、最終仕上加工を順次行うことができ
る。
【0021】以上に説明した加工装置の基本的な構造お
よび動作に加えて、図5に示すように、各バイト11、
12に、強制振動を加える加振機構を設けておく。な
お、説明を簡単にするため、荒加工用バイト11を例に
して説明するが、仕上加工用バイト12あるいは中仕上
加工用バイトにも同様の機構を備えておくものとする。
バイトホルダー10のバイト支持部101にバイト11
を取り付けておくとともに、バイト支持部101の内部
でバイト11の後端側にピエゾ駆動素子20を取り付け
ている。ピエゾ駆動素子20に電圧を加えれば、ピエゾ
駆動素子20が伸縮して、バイト11の刃先をワーク1
3の被加工面に対して直交する方向に進退させることが
できる。ピエゾ駆動素子20には、振動信号の発生回路
や高電圧の印加回路などが接続されていて、振動の位相
や振幅、周波数などを自由に設定できるようにしてい
る。ピエゾ駆動素子20には、フィードバック回路が接
続されており、ピエゾ駆動素子20すなわちバイト11
の刃先の実際の運動位置を検知して、その情報にもとづ
いて、バイト11の刃先が最適の位置に配置されるよう
に、ピエゾ駆動素子20の駆動すなわち印加電圧を制御
する。また、バイトホルダー10にはエンコーダを備え
ておき、ワーク13の被加工面18とバイト11が衝突
する点すなわち原点信号を取り込めるようにしておい
て、前記ピエゾ駆動素子20の駆動開始を制御できるよ
うにしている。
【0022】図1に示すように、固定されたワーク13
に対して、回転半径R1 でバイト11が円周運動を行
う。バイト11が被加工面18に接触する前のA点で
は、バイト11には振動は発生していない。バイト11
がB点で、被加工面18に衝撃的に接触した後、被加工
面18の切削加工が行われ、C点で、バイト11が被加
工面18から離れる。
【0023】図4には、バイト11がA〜C点を通過す
る間における、バイト11の振動状態を、バイト11の
刃先の軸方向における変動位置を測定して、グラフで表
している。図中、B点〜C点の間が、切削加工が行われ
ている加工領域Lである。
【0024】(a) は、ピエゾ駆動素子20を駆動しない
状態での刃先の変動を示している。バイト11がB点で
被加工面18に衝突すると同時に衝撃振動が始まる。衝
撃振動は徐々に減衰していくが、切削加工が終了するC
点までの間は、バイト11の刃先位置が大きく変動して
いることが判る。これに対し、(b) は、ピエゾ駆動素子
20で与えるバイト11の刃先の強制振動パターンを示
している。すなわち、前記(a) の衝撃振動と、ほぼ逆の
位相と振幅を有する波形で強制振動を与えている。バイ
ト11の刃先は、上記のような衝撃振動と強制振動とが
合成された運動を行うことになり、その状態を(a) +
(b) に示しており、前記衝撃振動と強制振動が互いに打
ち消しあうので、バイト11の刃先位置はほとんど変動
していない。被加工面18は、このバイト11の刃先位
置の変動曲線とほぼ等しい加工面に切削加工されること
になるので、加工後の加工面は凹凸のない平滑な加工状
態が得られる。
【0025】なお、上記説明において、ピエゾ駆動素子
20でバイト11の刃先に与える強制振動の波形(b)
は、予め衝撃振動の波形(a) を実験などで測定しておい
て、得られた衝撃振動の波形パターンに対応する波形の
強制振動を与えるようにしてもよいが、ピエゾ駆動素子
20に設けたフィードバック回路で自動制御して、切削
加工の開始Bから完了Cまで、バイト11の刃先が常に
一定の位置に止まるようにしておけば、ワーク13の違
いや加工条件の違いに影響されずに、最適な波形で強制
振動を自動的に与えることが可能である。また、強制振
動の波形(b) が、衝撃振動の波形(a) と完全に同じで位
相のみが逆であれば、刃先位置の変動(a)+(b) は平坦
な直線になるが、実際には、強制振動をそれほど厳密に
制御する必要はなく、刃先位置の変動(a) +(b) すなわ
ち加工面のうねりや形状誤差が、実用上問題にならない
程度に、衝撃振動を減衰させることができる強制振動を
加えれば十分である。衝撃振動の開始Bと同時に強制振
動を加え、切削加工の終了Cと同時に強制振動も終了さ
せるのが、エネルギーの無駄がなく最も効率的であると
言えるが、実用上は、切削加工の開始前から強制振動を
行っておいても何ら問題なく、また、切削加工の終了後
も強制振動を与えれば、残存する衝撃振動を迅速に消滅
させることができる。
【0026】つぎに、図6に示す実施例は、バイト11
の刃先を強制振動させる代わりに、ワーク13および被
加工面18を強制振動させる。ワーク13を強制振動さ
せるには、前記同様のピエゾ駆動素子20などを、角度
割出台17とワーク13の間に取り付けておけばよい。
強制振動の波形(b) や衝撃振動の減衰作用は、前記実施
例と全く同様であり、詳しい説明は省略する。
【0027】図7に示す実施例は、バイト11の刃先を
直接駆動して強制振動を与える代わりに、ダミー加工物
を用いる。
【0028】すなわち、バイト11の通過円周上で、ワ
ーク13よりも手前の位置に、ワーク13と同様の材料
からなるダミー加工物30を設けておく。バイト11
は、ワーク13を切削加工する前に、ダミー加工物30
に衝突して切削加工することになるので、ダミー加工物
30の切削加工時に衝撃振動が発生する。この衝撃振動
を、前記各実施例における強制振動として利用するので
ある。ダミー加工物30の材料や支持構造などがワーク
13と同等であれば、切削加工時に発生する衝撃振動の
振動パターンも同様になるので、強制振動の波形を人為
的に制御しなくても、必要とする強制振動の波形を容易
に得ることができる。但し、ワーク13の加工時に発生
する衝撃振動に対して、ほぼ同じ振幅で位相を逆にし
て、前記ダミー加工物30で発生させた強制振動を加え
る必要がある。
【0029】このような条件を満たすには、ワーク13
とダミー加工物30の設置位置を、下式で表される条件
に合うように設定しておけばよい。
【0030】 θ=90×ω(2n−1)/πf0 …(1) θ :ダミー加工物30とワーク13の構成角度(図7
参照) ω :バイトの角速度 n :自然数 f0 :バイト刃先の振動数 図8は、上記のような条件で加工を行ったときの、バイ
ト11の刃先位置の変動をグラフに表している。(a) は
ワーク13加工時に発生する衝撃振動を示し、(b) はダ
ミー加工物30により発生させた強制振動を示し、(a)
+(b) は両者が合成された実際の変動を示している。衝
撃振動の波形(a) と強制振動の波形(b)はほぼ同じパタ
ーンであるが、振動の発生開始点がずれていることによ
り、衝撃振動が発生した時点Bにおいては、互いの位相
が丁度逆になっている。その結果、合成波形(a) +(b)
では、互いの振動が打ち消されてしまっている。但し、
先に発生した強制振動は、ワーク13の切削加工開始点
Bに移動するまでの間に、ある程度は減衰するので、衝
撃振動の波形(a) の振幅と、これを打ち消す強制振動
(b) の振幅には若干の違いがあり、バイト11の刃先位
置の変動(a) +(b) は完全には無くなっていない。しか
し、実用上十分な程度に刃先位置の変動が抑えることは
可能である。
【0031】
【発明の効果】以上に述べた、この発明にかかる回転多
面鏡の加工方法によれば、切削時に発生する衝撃振動に
対して、切削工具の刃先と被加工面とを相対的に強制振
動させることによって、前記衝撃振動を減衰吸収させる
ことができ、衝撃振動を原因とする被加工面のうねりや
形状誤差の発生を抑制することができ、形状精度の高い
加工面を得ることが可能になる。
【0032】その結果、鏡面の面精度が高く、諸性能に
優れた回転多面鏡を提供することが可能になり、回転多
面鏡の性能向上および用途の拡大に大きく貢献すること
ができる。
【0033】しかも、この発明では、基本的な加工装置
の構造や加工方法自体は大きく変更する必要がなく、切
削工具の刃先あるいは被加工面に強制振動を与える機構
のみを付加すればよいので、加工装置が大型化したり、
加工工程が複雑になったりすることがなく、設備コスト
あるいは加工コストの点でも優れたものとなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明の実施例を示す模式的作動説明図
【図2】 装置全体の構造図
【図3】 ワークの構造を示す平面図
【図4】 切削工具刃先の変動を示す線図
【図5】 切削工具に設けた強制振動機構の構造を示す
斜視図
【図6】 別の実施例を示す模式的作動説明図
【図7】 さらに別の実施例を示す模式的作動説明図
【図8】 切削工具刃先の変動を示す線図
【符号の説明】
10 バイトホルダー 11、12 バイト(切削工具) 13 ワーク 17 角度割出台 18 被加工面 20 加振機構

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 切削工具の刃先を、多面鏡となる複数の
    被加工面に対して相対的に円弧運動させて、各被加工面
    を円筒面に加工する回転多面鏡の加工方法において、切
    削時に発生する切削工具の刃先と被加工面との相対的な
    振動に対して、この振動を減衰させる波形で、切削工具
    の刃先と被加工面とを相対的に強制振動させることを特
    徴とする回転多面鏡の加工方法。
  2. 【請求項2】 角度割出台に固定保持された多面鏡の被
    加工面に対して、切削工具の刃先を円弧運動させて、被
    加工面を円筒面に加工する請求項1記載の回転多面鏡の
    加工方法。
JP19520491A 1991-08-05 1991-08-05 回転多面鏡の加工方法 Pending JPH05146901A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP19520491A JPH05146901A (ja) 1991-08-05 1991-08-05 回転多面鏡の加工方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP19520491A JPH05146901A (ja) 1991-08-05 1991-08-05 回転多面鏡の加工方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH05146901A true JPH05146901A (ja) 1993-06-15

Family

ID=16337192

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP19520491A Pending JPH05146901A (ja) 1991-08-05 1991-08-05 回転多面鏡の加工方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH05146901A (ja)

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US5549426A (en) * 1994-09-09 1996-08-27 Xerox Corporation Apparatus for forming several polygons together
US5713253A (en) * 1994-10-07 1998-02-03 Toshiba Kikai Kabushiki Kaisha Rotational machining method
CN103302314A (zh) * 2013-07-02 2013-09-18 王宏康 六棱柱型薄壁铝质零件车削加工组合工装
JP2015079348A (ja) * 2013-10-17 2015-04-23 ブラザー工業株式会社 数値制御装置

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US5549426A (en) * 1994-09-09 1996-08-27 Xerox Corporation Apparatus for forming several polygons together
US5713253A (en) * 1994-10-07 1998-02-03 Toshiba Kikai Kabushiki Kaisha Rotational machining method
CN103302314A (zh) * 2013-07-02 2013-09-18 王宏康 六棱柱型薄壁铝质零件车削加工组合工装
JP2015079348A (ja) * 2013-10-17 2015-04-23 ブラザー工業株式会社 数値制御装置

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5103620B2 (ja) 楕円振動切削装置および楕円振動切削方法
JP4896153B2 (ja) 機械要素ないし加工物の振動低下方法
WO2015098126A1 (ja) 低剛性ワーク機械加工支援システム
JP6442327B2 (ja) 工作機械、及び被加工物の加工方法
KR20190134697A (ko) 공작 기계의 제어 장치 및 공작 기계
JPH10118811A (ja) 加工装置
WO2020145213A1 (ja) 工作機械の制御装置および工作機械
CN101190496A (zh) 机加工设备
JP2002036001A (ja) 切削加工方法及び切削加工装置及び工具保持装置及び光学素子及び光学素子の成形用金型
JPH05146901A (ja) 回転多面鏡の加工方法
JP2019188484A (ja) 加工装置
JP5080120B2 (ja) ポリゴン加工装置及びポリゴン加工方法
JPH1043906A (ja) 凹溝の旋削方法および旋削装置
JP2005059200A (ja) 機械加工装置および機械加工法
JPH06711A (ja) 切削加工方法
JP2002254303A (ja) 加工装置
JP2004345017A (ja) 溝加工方法および溝加工装置
JPH11179605A (ja) 非円形中ぐり加工装置
JPH0425301A (ja) 切削装置
JPH10166204A (ja) 加工装置
JPH1190799A (ja) クランクピン加工用工作機械およびクランクピンの加工方法
JP2002126901A (ja) 切削加工方法及び切削加工装置及び金型
WO2006068083A1 (ja) 加工装置
JP2001205546A (ja) 超音波加工用工具製造方法および超音波加工装置
JP4761679B2 (ja) 非円形加工機