JPH0514679U - デイスクブレーキ - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 （修正有） 【目的】 ディスクブレーキにおいて、両端が各パッド
に係合された状態でキャリパの内側に配設されパッドの
ひきずりを防止するリトラクトスプリングを精度良くし
かも簡単に取付けることができるようにするとともに、
リトラクトスプリングがパッドスプリングの機能も果た
すようにして部品点数，組み立て工数の低減を図る。 【構成】 リトラクトスプリング３１の両端３４を、各
パッドの裏金２３ａ，２４ａに形成されたディスクの軸
方向の孔３８に内側から挿入することにより、各パッド
２３，２４に係合させるとともに、リトラクトスプリン
グ３１の中央部３３を、キャリパ２５のディスクパス部
内面２８ａに弾力的に当接させることにより、パッド２
３，２４をディスク２１の径方向に付勢してその支持部
に押し付ける構成とする。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は、例えば四輪車等に使用されるディスクブレーキに関する。

【０００２】

【従来の技術】

一般にディスクブレーキとしては、図３に示すように、ディスク１の両側に配 置されディスク１の軸方向に移動自在に支持されたパッド２，３と、これらパッ ド２，３及びディスク１を跨ぐように配置されて一側に設けられたシリンダ５の ピストン６と他側に形成された爪部４ａとで各パッド２，３をそれぞれディスク １に向って押圧するキャリパ４とを備えるものが知られている。

【０００３】 これは、シリンダ５にマスタシリンダから圧油が作用すると、このシリンダ５ のピストン６によって一方のパッド２をディスク１の一面に圧接し、またその反 作用によってキャリパ４の爪部４ａで他方のパッド３をディスク１の他面に圧接 して、回転するディスク１を制動するものであるが、通常、各パッド２，３を互 いに離間する方向に付勢してパッド２，３のディスク１によるひきずりを防止す るリトラクトスプリング７と、パッドをその支持部（トルク受け部材に形成され た摺動面等）に押し付けてガタ付きを防止するパッドスプリング（図示略）とが 設けられる。

【０００４】 リトラクトスプリング７は、その両端８，９が各パッド２，３に係合され、そ の中央部が各パッド２，３を付勢するバネとして機能するものであるが、従来、 その両端はパッド２，３の裏金２ａ，３ａの上端にディスク１の径方向に形成さ れた穴１０，１１に嵌入されることにより係合させられていた。また、パッドス プリングは、シリンダ６側のパッド２とシリンダ６との間、あるいは、キャリパ ４の爪部４ａ側のパッド３とキャリパ４との間に、それぞれ設けられていた。

【０００５】

【考案が解決しようとする課題】 上記従来のディスクブレーキであると、リトラクトスプリング７を係合させる ための穴１０，１１は、パッド２，３の裏金２ａ，３ａの厚さ方向に直交する方 向とされているため、その穴加工が困難で工数がかかっていた。また、精度良く 加工することが難しかったため、この穴の位置の誤差等によりリトラクトスプリ ングの荷重の変動や組み付け不良等が発生することがあった。

【０００６】 また、リトラクトスプリングとパッドスプリングとを、パッドとキャリパの間 にそれぞれ別個に設ける構成であるため、部品点数が多く、組立にも工数がかか るといった問題があった。

【０００７】 本考案は、上記問題点に鑑みなされたもので、リトラクトスプリングを精度良 くしかも簡単に取付けることができるとともに、リトラクトスプリングがパッド スプリングの機能も果たして部品点数，組み立て工数が低減されたディスクブレ ーキを提供することを目的とする。

【０００８】

【課題を解決するための手段】

本考案のディスクブレーキは、ディスクの両側に配置されディスクの軸方向に 移動自在に支持されたパッドと、これらパッド及びディスクを跨ぐように配置さ れて、一側に設けられたピストンと他側に形成された爪部とで各パッドをそれぞ れディスクに向って押圧するキャリパと、両端が各パッドにそれぞれ係合させら れて中央部が各パッドを互に離間させる方向に付勢するバネとして機能するリト ラクトスプリングとを備え、前記リトラクトスプリングは、両端が各パッドの裏 金に形成されたディスクの軸方向の孔に内側から挿入されることにより各パッド にそれぞれ係合させられているとともに、中央部が前記キャリパのディスクパス 部内面に弾力的に当接することにより、パッドをディスクの径方向に付勢してそ の支持部に押し付ける構成とされていることを特徴としている。

【０００９】

【作用】

本考案のディスクブレーキであると、リトラクトスプリングを係合させるため の各パッドの穴が裏金の厚さ方向となるので、この穴の加工が容易になり、加工 精度も高く維持できる。また、リトラクトスプリングがパッドを押し付けてガタ を防止するため、別個にパッドスプリングを設ける必要がなくなる。

【００１０】

【実施例】

以下、本考案の一実施例を、図１〜図２により説明する。本実施例のディスク ブレーキは、車輪とともに回転するディスク２１の一側において車両の非回転部 分に固定されたトルク受け部材２２と、このトルク受け部材２２から伸びる二つ の脚部２２ａ，２２ａ間に支持されディスク２１の軸方向に移動自在とされた状 態でディスク２１の両側に配設されたパッド２３，２４と、これらパッド２３， ２４及びディスク２１を跨ぐように配され、ピン２５ａ，２５ａを介して前記脚 部２２ａ，２２ａに移動自在に支持されたキャリパ２５と、両端３４，３４が各 パッド２３，２４にそれぞれ係合させられて中央部３３が各パッド２３，２４を 互に離間させる方向に付勢するバネとして機能するリトラクトスプリング３１と を備えるものである。

【００１１】 キャリパ２５のパッド２３の裏側の位置には、シリンダ２７が設けられ、この シリンダ２７には、パッド２３の裏面に対向するピストン２６が摺動自在に嵌挿 されている。また、キャリパ２５のパッド２４側にはこのパッド２４の裏側に伸 び、パッド２４の裏面に対向する爪部２９が形成されている。

【００１２】 リトラクトスプリング３１は線状材を曲げ加工して形成されたもので、その中 央部３３は、全体としてコ字状の形状とされ、自然状態よりも弾性的に曲げられ た状態（図１において左右に広がる方向に復元力を有する状態）で、キャリパ２ ５のディスクパス部２８の内側に配置されている。一方、このリトラクトスプリ ング３１の端部３４は、中央部３３に略沿う平面に対して平行な方向（ディスク １の軸方向）に伸びるもので、パッド２３，２４の各裏金２３ａ，２４ａの上端 に形成されたディスク１の軸方向の穴３８，３８に内側から差込まれることによ り、パッド２３，２４に係合されている。

【００１３】 このリトラクトスプリング３１は、裏金２３ａ，２４ａに差し込まれた端部３ ４から、裏金２３ａ，２４ａに沿って延び、この途上で上方に立上がって張出し 部３３ａ，３３ａとなり、下方に下がったところでディスク２１の軸方向に曲っ て裏金２３ａ，２４ａを横切るような形状とされている。そして、この中央部３ ３の両側に形成された張出し部３３ａ，３３ａは、端部３４に直角な方向に（デ ィスク１の外周方向）に張出してキャリパ２５のディスクパス部２８の内面２８ ａに弾力的に当接する構成とされている。すなわち、リトラクトスプリング３１ は、張出し部３３ａ，３３ａの弾性力により、裏金２３ａ，２４ａに係合してい る端部３４，３４と裏金２３ａ，２４ａを横切る部分とで、パッド２３，２４を ディスク１の中心側（図２において下側）に押圧し、これらを摺動自在に支持す るトルク受け部材２２の摺動面２２ｂ，２２ｂにそれぞれ圧接する構成となって いる。

【００１４】 上記のように構成されたディスクブレーキにおいて、シリンダ２７に図示して いないマスタシリンダから圧油が作用すると、ピストン２６によりパッド２３が ディスク２１の一面に圧接され、この反作用でキャリパ２５の爪部２９がパッド ２４をディスク２１の他面に圧接して、これにより回転するディスク２１が（す なわち、車両が）制動される。

【００１５】 この際、各パッドは前記摺動面２２ｂにリトラクトスプリング３１により押圧 されつつ摺動するので、ガタ付くことはない。そして、制動後には、リトラクト スプリング３１の中央部３３の復元力により各パッド２３，２４は互に離間する 方向に押されるので、非制動時において各パッド２３，２４とディスク２１との 接触が起らず、ひきずり現象が防止される。

【００１６】 このように、上記ディスクブレーキであると、リトラクトスプリング３１ひと つで、パッドのひきずり防止とパッドのガタ付き防止がなされ、しかも、リトラ クトスプリング３１を係合させるための各パッドの穴３８が裏金２３ａ，２４ａ の厚さ方向となるので、この穴３８の加工が容易であり加工精度が高く維持でき る。このため、部品点数及び組み立て工数の低減を図ることができるとともに、 リトラクトスプリング３１の荷重の変動や組み立て不良が防止できるという効果 がある。

【００１７】 なお、図２において符号Ｘで示す部分を、パッド２３，２４の裏金２３ａ，２ ４ａのディスク２１側の面に当接するように下方へ傾斜させて設け、この部分で パッド２３，２４を戻す方向へ押圧するようにしてもよい。

【００１８】

【考案の効果】

以上の説明から明らかなように、本考案のディスクブレーキによれば、リトラ クトスプリングひとつで、パッドのひきずり防止とパッドのガタ付き防止がなさ れ、しかも、リトラクトスプリングを係合させるための各パッドの穴がパッド裏 金の厚さ方向となるので、この穴の加工が容易であり加工精度が高く維持できる 。このため、部品点数及び組み立て工数の低減を図ることができるとともに、リ トラクトスプリングの荷重の変動や組み立て不良が防止できるという効果がある 。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案のディスクブレーキの平面図であって、
キャリパの一部を破断した図である。

【図２】本考案のディスクブレーキをディスクの軸方向
から見た図であって、キャリパの一部を破断した図であ
る。

【図３】従来のディスクブレーキの側断面図（ディスク
の周方向から見た図）である。

【符号の説明】

２１ ディスク ２３，２４ パッド ２３ａ，２４ａ パッド裏金 ２５ キャリパ ２６ ピストン ２８ キャリパのディスクパス部 ２８ａ キャリパのディスクパス部の内面 ２９ 爪部 ３１ リトラクトスプリング ３３ リトラクトスプリングの中央部 ３４ リトラクトスプリングの端 ３８ パッド裏金の穴

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 ディスクの両側に配置されディスクの軸
   方向に移動自在に支持されたパッドと、これらパッド及
   びディスクを跨ぐように配置されて、一側に設けられた
   ピストンと他側に形成された爪部とで各パッドをそれぞ
   れディスクに向って押圧するキャリパと、両端が各パッ
   ドにそれぞれ係合させられて中央部が各パッドを互に離
   間させる方向に付勢するバネとして機能するリトラクト
   スプリングとを備え、前記リトラクトスプリングは、両
   端が各パッドの裏金に形成されたディスクの軸方向の孔
   に内側から挿入されることにより各パッドにそれぞれ係
   合させられているとともに、中央部が前記キャリパのデ
   ィスクパス部内面に弾力的に当接することにより、パッ
   ドをディスクの径方向に付勢してその支持部に押し付け
   る構成とされていることを特徴とするディスクブレー
   キ。