JPH0514381U - 支持脚及び遮音二重床システム - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】優れた遮音特性と荷重吸収特性とを有する支持
脚及び遮音二重床システムを提供する。 【構成】下面側がゴム弾性体で製作された大径柱状体か
ら成り、その大径柱状体の上面側にゴム弾性体で製作さ
れた小径柱状体が軸芯上に沿って一体に固着されてお
り、しかもその小径柱状体の先端部には発泡クッション
層が固着されて成る支持脚及びこれを用いて成る遮音二
重床システム。 【効果】モルタル等で仕上げたコンクリート床面上に置
かれた床パネルを変形を少なくして支持できると共に床
パネル上で発生した騒音を顕著に遮音できる。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は支持脚及び遮音二重床システムに関するものである。

【０００２】

【従来の技術】

近年、マンション、アパート等の集合住宅では、衛生面又は自然指向等の点か ら居住部分を木造フローリング化、カーペット仕上げ化することが行われるよう になってきている。

【０００３】 木造フローリングでは、居住者が歩行したり、物を落下させたときに衝撃音が 床材、コンクリート床を通して階下に伝達され、新たな騒音問題が発生している 。

【０００４】 この木造フローリング床の騒音問題を解決するため、コンクリート床面とモル タル等の床下地、仕上げフローリングとの間にゴム、プラスチック等のクッショ ン層を設けたり、その上に仕上げ材を施工する床パネルをコンクリート床面から 浮かして支持する支持脚にゴム、プラスチック等の弾性部材を付加した弾性支持 脚による防音、遮音する方法等が実用されている。

【０００５】

【考案が解決しようとする課題】

しかしこれらの従来の方法では遮音性能を向上させるためにクッション層や弾 性支持脚を柔らかくすると、それに伴ってクッション層や弾性支持脚の変形性が 大きくなり、その結果室内を居住者が歩行するとふわふわとした感じが発生した り、静荷重時の床面の沈み込みによる段差や傾き等が発生する難点がある。

【０００６】 従ってこの問題を解決するためには僅かな荷重でも容易に変形するがある程度 以上になると変形が少なくなり、しかも荷重を取り除くと元に復元することが望 ましい。

【０００７】 本考案はかかる点に立って為されたものであって、その目的とするところは前 記した従来技術の欠点を解消し、優れた遮音特性と荷重吸収特性とを有する支持 脚及び遮音二重床システムを提供することにある。

【０００８】

【課題を解決するための手段】

本考案の要旨とするところは、次の二点にある。

【０００９】 第１は、モルタル等で仕上げたコンクリート床面上に置かれて床パネルを支持 すると共に前記床パネル上で発生した騒音を遮音できる支持脚であって、この支 持脚は下面側がゴム弾性体で製作された大径柱状体から成り、その大径柱状体の 上面側にはゴム弾性体で製作された小径柱状体が軸芯上に沿って一体に固着され ており、しかもその小径柱状体の先端部には発泡クッション層が固着されて成る ことを特徴とする支持脚。

【００１０】 第２は、スクエア状のユニット床材の下面側にスクエア状の床パネルが設置さ れており、その床パネルの下面側には所定間隔をおいて逆コップ状の支持脚受け 部が複数個設けられており、その複数個の支持脚受け部には、それぞれ下面側が ゴム弾性体で製作された大径柱状体から成り且つその大径柱状体の上面側にはゴ ム弾性体で製作された小径柱状体が軸芯上に沿って一体に固着されしかもその小 径柱状体の先端部には発泡クッション層が固着されて成る支持脚がその発泡クッ ション層から小径柱状体部にかけて挿入されそしてその支持脚の大径柱状体部の 下端部は床面上に接するように置かれて成ることを特徴とする遮音二重床システ ム。

【００１１】

【作用】

本考案の支持脚及び遮音二重床システムは次のように作用する。

【００１２】 第１は、支持脚は下面側がゴム弾性体で製作された大径柱状体から成り、その 大径柱状体の上面側にはゴム弾性体で製作された小径柱状体が軸芯上に沿って一 体に固着されており、しかもその小径柱状体の先端部には発泡クッション層が固 着されて成るので、軽度な荷重衝撃は発泡クッション層により変形吸収でき、重 度な荷重衝撃は大径柱状体と小径柱状体とで変形吸収し、更に大径柱状体、小径 柱状体及び発泡クッション層に分けてあるので床パネル上で発生した騒音を相乗 的に遮音する。

【００１３】 第２は、スクエア状のユニット床材の下面側にスクエア状の床パネルが設置さ れており、その床パネルの下面側には所定間隔をおいて逆コップ状の支持脚受け 部が複数個設けられているので、それらの逆コップ状の支持脚受け部に上記第１ の支持脚を挿入することにより遮音二重床システムを構成することができる。

【００１４】 しかも上記第１の支持脚にはゴム弾性体で製作された大径柱状体とその大径柱 状体の上面側にはゴム弾性体で製作された小径柱状体が軸芯上に沿って一体に固 着されしかもその小径柱状体の先端部には発泡クッション層が固着されて成るい るので、軽度な荷重衝撃のときには発泡クッション層だけにより変形吸収でき、 そして高度な荷重衝撃のときにはまず発泡クッション層６が無荷重時における床 パネルの下面側に所定間隔をおいて設けられているコップ状の支持脚受け部の先 端部と支持脚の大径柱状体部と小径柱状体との境界段差部とのギャップだけ変形 吸収し、それ以上は支持脚の境界段差部と床パネルとが引き受け、変形量を少な くすることができる。

【００１５】 更に支持脚は大径柱状体、小径柱状体及び発泡クッション層に分けてあるので 床パネル上で発生した騒音を相乗的に遮音する。

【００１６】

【実施例】

次に、本考案の支持脚及び遮音二重床システムの一実施例を図面により説明す る。

【００１７】 図１（イ）は本考案の遮音二重床システムの一実施例を示した平面図、図１（ ロ）はその側面図である。

【００１８】 図１において１は支持脚受け部、２は支持脚、３はプラスチックでモールド成 形した床パネル、４は表面仕上げ材、７はモルタル等で仕上げたコンクリート床 面である。

【００１９】 図１に示すように本考案の遮音二重床システムの１ユニットは５０cmのスクエ ア状であって、遮音二重床の施工はこのような遮音二重床システムを多数個用意 し、それらをモルタル等で仕上げたコンクリート床面７上に置敷するようになっ ている。

【００２０】 そしてこの本考案の遮音二重床システムの１ユニットは、図１に示すように４ 枚の２５cmスクエア状小ユニット等から成っている。即ち、この２５cmスクエア 状小ユニットは前述のプラスチックでモールド成形した床パネル３であり、この 下面側には所定間隔をおいて９個の支持脚受け部１があり、この９個の支持脚受 け部１にそれぞれ支持脚２が挿入されている。更にこの２５cmスクエア状小ユニ ット４枚を連接し、その上面に接着剤を介して木目調等に仕上げた５０cmスクエ ア状表面仕上げ材４を接着して５０cmスクエア状としている。

【００２１】 図２は図１における支持脚部の拡大断面図である。

【００２２】 図２において１は支持脚受け部、２は支持脚、３はプラスチックでモールド成 形された床パネル、５は支持脚の挿入部分、６は発泡クッション層である。

【００２３】 図２からわかるように、プラスチックでモールド成形された床パネル３の下面 側には逆コップ状に開口した支持脚受け部１が９個あり、これら９個の支持脚受 け部１にそれぞれ支持脚の挿入部分５が挿入されている。

【００２４】 そして支持脚２は支持脚受け部１に挿入できるように柱状体をしており、その 主体部は加硫ゴムから構成され、その先端側、つまりプラスチックでモールド成 形された床パネル３側には接着剤を介して発泡クッション層６が固定されており 、更にその発泡クッション層６の先端部はプラスチックでモールド成形された床 パネル３の下面側にある支持脚受け部１に接着剤を介して固着されている。

【００２５】 支持脚の発泡クッション層を両面接着タイプとすることにより、支持脚への取 付け作業性及びプラスチックでモールド成形された床パネル３への接着作業性を 迅速にすることができる。

【００２６】 ここにおいて発泡クッション層６の厚さｔ₂ と、無荷重時の床パネル３の下面 側にある支持脚受け部１の先端と支持脚２の境界段差部とのギャップｔ₁ とは、 次のような関係に構成する。

【００２７】 ｔ₂ ＞ ｔ₁ いま、床パネル３上において軽度な荷重衝撃、例えば物の落下、椅子の移動等 のときは発泡クッション層６が変形吸収する。

【００２８】 また、重度な荷重衝撃、例えば人の移動、重量物の移動等のときは、まず発泡 クッション層６がｔ₁ だけ変形吸収し、それ以上は支持脚２の境界段差部とプラ スチックでモールド成形した床パネル３とが引受け、その結果荷重を支持脚全体 で受けて変形吸収するようになり、それにより変形量を少なくすることができる 。

【００２９】 支持脚２の底面の直径ｄ₁ と段差部の直径ｄ₂ の割合を適当に選択することに より、荷重による変形量を調節することができる。

【００３０】 発泡クッション層６についても衝撃や荷重の除去後には復元することが望まし い。このような要求の応えるものとして独立発泡加硫ゴムが適切である。発泡ク ッション層６の厚さや変形度は要求遮音性能、受ける荷重の程度等により適宜選 択する。

【００３１】 図３は本考案の遮音二重床システムの一実施例の荷重〜撓み特性を示したグラ フである。

【００３２】 図３からわかるように荷重が軽度なときにはわずかな荷重でも発泡クッション 層が容易に撓むためカーブの傾斜が緩い。荷重が次第に重度になって変形がｔ₁ になると、それ以上は支持脚２の境界段差部とプラスチックでモールド成形され たパネル３とが引受けて支持脚２の変形が大きくなり、その結果荷重に対して撓 みの割合が少なく且つカーブの傾斜が少なくなる。

【００３３】 従って軽度な荷重衝撃に対してはｔ₁ までの変形で効果的に変形吸収できるの で、ｔ₁ の値を感覚的に異常に感じない範囲に設定しておけば、居住人の歩行時 のふわふわ感や重量物による傾斜等の不安定感をなくすことができる。

【００３４】 本考案において支持脚は設置面の形状を全面平面でなく、多数の溝や多くの突 起部で床面に接するようにし、その溝の深さ、突起の高さ、ピッチ、個数等を選 択することにより、小さな荷重でもこの部分が変形し、ある限度以上に変形すれ ば支持脚全体の変形が効いてくるようなものとすることもできる。

【００３５】

【考案の効果】

本考案の支持脚及び遮音二重床システムは、次のような優れた効果を奏するも のであり、工業上有用である。

【００３６】 （１）支持脚の主要部を加硫ゴムで製作し、その上部側先端部分に発泡クッショ ン層を接着一体化してあるので、遮音性が相乗的に向上し、更に発泡クッション により軽度な荷重衝撃を効果的に変形吸収して過度な変形を防止することができ る。

【００３７】 （２）支持脚の発泡クッションの厚さ、支持脚の直径、境界段差部の位置等を適 宜選択することにより任意の遮音特性、変形特性を有する遮音二重床システムを 製作できる。

【００３８】 （３）支持脚の発泡クッション層を両面接着タイプとすることにより、支持脚へ の取付け作業性及びプラスチックでモールド成形した床パネルへの接着作業性を 迅速にすることができる。

【００３９】 （４）構造が簡素で、部品が少なく組み立て作業、施工作業とも迅速に行うこと ができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の遮音二重床システムの一実施例を示し
たものであって、（イ）はその平面図、（ロ）はその側
面図である。

【図２】図１における支持脚部の拡大断面図である。

【図３】本考案の遮音二重床システムの一実施例につい
ての荷重〜撓み特性を示したグラフである。

【符号の説明】

１ 支持脚受け部 ２ 支持脚 ３ プラスチックでモールド成形した床パネル ４ 表面仕上げ材 ５ 支持脚挿入部 ６ 発泡クッション層 ７ 床面

フロントページの続き (72)考案者 鈴木 正美 茨城県日立市助川町３丁目１番１号 日立 ゴム加工株式会社内 (72)考案者 旅家 忠義 東京都港区東新橋２丁目10番４号 東洋リ ノリユーム株式会社内 (72)考案者 巽 公男 東京都港区東新橋２丁目10番４号 東洋リ ノリユーム株式会社内

Claims (4)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】モルタル等で仕上げたコンクリート床面上
   に置かれて床パネルを浮かすように支持すると共に前記
   床パネル上で発生した騒音を遮音できる支持脚であっ
   て、該支持脚は下面側がゴム弾性体で製作された大径柱
   状体から成り、該大径柱状体の上面側にはゴム弾性体で
   製作された小径柱状体が軸芯上に沿って一体に固着され
   ており、しかも該小径柱状体の先端部には発泡クッショ
   ン層が固着されて成ることを特徴とする支持脚。
2. 【請求項２】発泡クッション層が独立発泡加硫ゴムから
   成ることを特徴とする請求項１記載の支持脚。
3. 【請求項３】スクエア状のユニット床材の下面側には床
   パネルが設置されており、該床パネルの下面側には所定
   間隔をおいて逆コップ状の支持脚受け部が複数個設けら
   れており、該複数個の支持脚受け部には、それぞれ下面
   側がゴム弾性体で製作された大径柱状体から成り且つ該
   大径柱状体の上面側にはゴム弾性体で製作された小径柱
   状体が軸芯上に沿って一体に固着されしかも該小径柱状
   体の先端部には発泡クッション層が固着されて成る支持
   脚が該支持脚の発泡クッション層から小径柱状体部にか
   けて挿入されそして該支持脚の大径柱状体部の下端部は
   床面上に接するように置かれて成ることを特徴とする遮
   音二重床システム。
4. 【請求項４】無荷重時における床パネルの下面側に所定
   間隔をおいて設けられているコップ状の支持脚受け部の
   先端部と支持脚の大径柱状体部と小径柱状体との境界段
   差部とのギャップをｔ₁ 、発泡クッション層の厚さをｔ
   ₂としたとき、ｔ₂ ＞ ｔ₁ のように構成して成るこ
   とを特徴とする請求項３記載の遮音二重床システム。