JPH0559807A - 遮音二重床構造及びその施工方法 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 捨板張りを省略することができ、所要資材・
所要工数が少なく、且つ遮音特性に優れた遮音二重床構
造及びその施工方法を提供すること。 【構成】 コンクリート仕上げ等の床面２上に、上面に
遮音シート５を下面にゴム質支持脚３を有する複数の床
下地パネル４を密接置敷し、これら床下地パネル４上
に、各パネル４同志の連接部６を渡すように仕上フロー
リング材７を密接させて釘打ち固定して成る遮音二重床
構造。上記支持脚３と床下地パネル４との接続部には、
発泡クッションシート１０を接着固定して設けると共
に、該発泡クッションシート１０の圧縮量を規制する凸
部１１を設けることが好ましい。コンクリート仕上げ等
の床面２上に、ネジにより高さ調節可能なアジャスター
１４を所定間隔を隔てて固定し、これらアジャスター１
４の高さを上記床面２の不陸などに合わせて適宜調節し
た後、各アジャスター１４の頂部にゴム質支持脚３を介
して床下地パネル４を置敷するようにした遮音二重床の
施工方法。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、遮音二重床構造及びそ
の施工方法に関する。

【０００２】

【従来の技術】近年、マンション・アパート等の集合住
宅では、ダニの発生要因や自然志向を背景として、住居
部の床面がカーペット仕上げからフローリング仕上げに
移行しつつある。このフローリング仕上げの場合、カー
ペット等のクッション材がなくなるため、歩行時や物を
床上に落下した時の衝撃音が減衰することなく床材・床
を通して直接階下の部屋に伝わってしまう。

【０００３】この騒音問題を解消する遮音床構造として
図６に示す二重床構造が知られている。図示するよう
に、この床構造ａは、コンクリート仕上げの床面ｂ上
に、床面ｂとの接触部にゴム部ｃを有する複数の支持脚
ｄを立設し、これら支持脚ｄ上に床下地パネルｅを順次
敷設する。そして、その床下地パネルｅ上に、合板など
の捨板ｆを敷設し、その捨板ｆ上にフローリング板など
の仕上板ｇを貼り詰めて完成となる。

【０００４】また、コンクリート仕上げの床面ｂの不陸
（凹凸）が大きい場合には、図７に示すように、上記支
持脚ｄにネジｈを成形してこれにナットｉを螺合させ、
ナットｉを昇降させることにより、床下地パネルｆの高
さを床面ｂの不陸に合わせるようにした床構造ｊが知ら
れている（実開平2-130938号公報など）。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】ところで、図６に示す
床構造ａにあっては、各床下地パネルｅ同志を間隔を隔
てて設けていたので、仕上板ｇを張り詰める前に、床下
地パネルｅ上に捨板ｆを取り付ける必要がある。よっ
て、その捨板ｆ用の資材および取付費がかかり、高コス
トとなってしまう。また、遮音部が支持脚ｄのゴム部ｃ
だけなので遮音性能が充分とはいえない。

【０００６】また、図７に示す高さ調節可能な支持脚を
備えた床構造ｊにあっては、支持脚ｈ上に床下地パネル
ｆを載置させた後、各床下地パネルｆの上面からパネル
ｆの孔ｋにドライバーを挿通して支持脚ｈを回転させて
ナットｉを昇降させ、パネルｆ上に水準器を置いて各床
下地パネルｆの高さを合わせるようにしていたので、そ
の作業が煩雑で工数がかかる。また、各床下地パネルｆ
にそれぞれ孔ｋを成形しなければならないので高コスト
となっていた。

【０００７】以上の事情を考慮して創案された本発明の
目的は、捨板張りを省略することができ、所要資材・所
要工数が少なく、且つ遮音特性に優れた遮音二重床構造
及びその施工方法を提供することにある。

【０００８】

【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に本発明に係る遮音二重床構造は、コンクリート仕上げ
等の床面上に、上面に遮音シートを下面にゴム質支持脚
を有する複数の床下地パネルを密接置敷し、これら床下
地パネル上に、各パネル同志の連接部を渡すように仕上
フローリング材を密接させて釘打ち固定して成ってい
る。

【０００９】上記支持脚と床下地パネルとの接続部に
は、発泡クッションシートを接着固定して設けると共
に、該発泡クッションシートの圧縮量を規制する凸部を
設けることが好ましい。

【００１０】また、本発明に係る遮音二重床の施工方法
は、コンクリート仕上げ等の床面上に、ネジにより高さ
調節可能なアジャスターを所定間隔を隔てて固定し、こ
れらアジャスターの高さを上記床面の不陸などに合わせ
て適宜調節した後、各アジャスターの頂部にゴム質支持
脚を介して床下地パネルを置敷するようにしている。

【００１１】

【作用】上記構成の遮音二重床構造によれば、コンクリ
ート仕上げ等の床面上に、複数の床下地パネルがギャッ
プを空けずに密接置敷されているので、捨板張りを省略
することができ、床下地パネル上に直接仕上フローリン
グ材を張ることができる。また、これら仕上フローリン
グ材が、各床下地パネルの連接部を渡すように密接して
釘打ち固定されているので、床全体が一体構造となり、
コンクリート仕上げの床面に多少の不陸があっても仕上
フローリング材表面の段差やギャップは皆無となる。

【００１２】遮音性能については、床下地パネルの下面
に設けられたゴム質支持脚と、床下地パネルの上面に設
けられた遮音シートとの合成遮音作用により、優れた遮
音性能が発揮される。ここで、各支持脚と床下地パネル
との間に、発泡クッションシートを介設すれば、更に遮
音性能が向上する。このとき、発泡クッションシートの
圧縮量は、支持脚と床下地パネルとの間に設けられた凸
部により一定量に規制されているので、歩行時などにお
ける不自然な床の沈み込みが防止される。

【００１３】また、コンクリート仕上げの床面の不陸が
大きい場合には、その床面上に、ネジにより高さ調節可
能なアジャスターを所定間隔を隔てて固定し、これらア
ジャスターの高さを上記床面の不陸に合わせて適宜調節
した後、各アジャスターの頂部にゴム質支持脚を介して
床下地パネルを置敷する。これにより、上記コンクリー
ト仕上げの床面の不陸に対応できると共に床高さを調節
できる。

【００１４】

【実施例】以下に本発明の一実施例を添付図面に基づい
て説明する。

【００１５】図１および図２に、本実施例に係る遮音二
重床構造１の施工状況を示す。図１は部分破断上面図を
示し、図２は側断面図に示す。この遮音二重床構造１は
次のようにして組み立てられる。まず、コンクリート仕
上げ等の床面２上に、下面にゴム質支持脚３を有する複
数の床下地パネル４を密接して置敷する。この床下地パ
ネル４には、大きさ45〜50cm角程度，厚さ15〜20mm程度
のパーティクルボード等が用いられ、その下面に四本の
ゴム質支持脚３が約30cm間隔で取り付けられる。そし
て、これら床下地パネル４の上面に、遮音シート５を被
せステップル等で固定する。この遮音シート５には、プ
ラスチック中に金属粉等を混入した遮音効果のよい幅広
・長尺・薄厚のシートが用いられる。その後、この遮音
シート５の上に、各床下地パネル４同志の連接部６を渡
すように長尺の仕上フローリング材７を密接して釘打ち
固定し、床構造１全体を一体化して作業完了となる。

【００１６】なお、部屋の周辺部等において定尺の床下
地パネル４が入らない場合には、その隙間に合った寸法
に上記床下地パネル４をカットし、その所要の位置に上
記ゴム質支持脚３を取り付けて嵌め込む。また、床下地
パネル４上に取り付ける遮音シート５は、上述のように
現場で幅広・長尺のシートを被せてもよいが、予めパネ
ル４と同寸法にカットしておき、工場でパネル４に接着
固定しておいてもよい。図中、８は壁、９は巾木であ
る。

【００１７】上記ゴム質支持脚３の床下地パネル４への
取り付けの様子を図３に示す。図示するように、上記ゴ
ム質支持脚３と床下地パネル４との接続部には、発泡ク
ッションシート１０が接着固定して設けられていると共
に、その発泡クッションシート１０の圧縮量を規制する
凸部１１が設けられている。具体的には、ゴム質支持脚
３の上部に凹部１２が形成されており、その凹部１２に
接着剤を塗布した発泡クッションシート１０の片面が接
着固定されている。この発泡クッションシート１０の他
方の面は、床下地パネル４の所定の位置に接着剤により
固定されている。上記発泡クッションシート１０の厚さ
は、凹部１２の深さより厚くなっている。また、この発
泡クッションシート１０の材質には、厚さ1m程度でも適
当な荷重変形と復元力をもった独立気泡発泡体が用いら
れている。この構成によれば、発泡クッションシート１
０の圧縮量（沈込量）は、上記凹部１２の周囲の凸部１
１により一定量に規制されているので、歩行時などにお
ける不自然な床の沈み込みが防止されることになる。ま
た、上記ゴム質支持脚３の先端部には、リング状の溝１
３が同芯的に多重に形成されており、コンクリート仕上
げの床面２との衝撃吸収効果を高めている。

【００１８】以上の構成からなる本実施例の作用につい
て述べる。

【００１９】図１および図２に示すように、コンクリー
ト仕上げの床面２上に、複数の床下地パネル４がギャッ
プを空けずに密接置敷されているので、従来の床下地シ
ステムでは必要であった捨板ｆ張り（図６参照）を省略
することができ、床下地パネル４上に仕上フローリング
材７を張ることができる。また、この床下地パネル４
は、その寸法が比較的小さくゴム質支持脚３を介してコ
ンクリート仕上げの床面２上に置敷されているので、床
面２に極端な不陸がない場合には単に床面２上に置敷す
るのみで床面２になじみ、ガタツキ音のない床下地が形
成される。また、各床下地パネル４の連接部６を渡すよ
うに仕上フローリング材７が密接して釘打ち固定されて
いるので、床全体が一体構造となり、コンクリート仕上
げの床面２に多少の不陸があっても仕上フローリング材
７表面の段差やギャップは皆無となる。上記仕上フロー
リング材７は、長尺に形成されているので少なくとも二
つ以上の床下地パネル４に亘って釘打ち固定される。よ
って、床下地パネル４同志の連接部６（突き合わせ部
分）に荷重が加わるような場合であっても、荷重が分散
されることになり、各床下地パネル４の下面に多数の支
持脚３を設ける必要がなくなる。

【００２０】遮音性能については、床下地パネル４の下
面に設けられたゴム質支持脚３と、パネル４の上面に設
けられた遮音シート５と、パネル４と支持脚３との間に
設けられた発泡クッションシート１０との合成遮音作用
により、優れた遮音性能が発揮される。ここで、これら
の遮音部品は、衝撃音を吸収するためには僅かな荷重で
も容易に変形することが望ましいが、軟らか過ぎたり変
形量が大きすぎると歩行時の不安感や物の設置時の不安
定の問題が生じるので適当なバランスが必要になる。本
実施例にあっては、上記遮音シート５にはプラスチック
中に金属粉等を混入した比較的硬いものが用いられ、ゴ
ム質支持脚３には比較的硬いものが用いられ、発泡クッ
ションシート１０には厚さ1m程度でも適当な荷重変形と
復元力をもった独立気泡発泡体が用いられており、ま
た、この発泡クッションシート１０の圧縮量（沈込量）
は、支持脚３と床下地パネル４との間に設けられた凸部
１１により一定量に規制された構成となっている。よっ
て、歩行時などにおける不自然な床の沈み込みが防止さ
れる。さらに、図３に示すように、ゴム質支持脚３の先
端に形成されたリング状の溝１３により、支持脚３と床
面２との接触部における衝撃が吸収される。また、この
リング状の溝１３は、支持脚３を床面２の不陸になじま
せる機能も発揮する。

【００２１】図４は、コンクリート仕上げの床面２の不
陸が大きい場合の遮音二重床１ａの施工状況図である。
図示するように、遮音二重床構造１ａそのものは前実施
例と同様のシステムが用いられており、コンクリート仕
上げの床面２上に高さ調節可能なアジャスター１４が設
けられている点が異なっている。このアジャスター１４
は、図５に示すように、有底円筒体の内面にネジが刻設
された雌部１５と、この雌部１５のネジと螺合する円柱
状の雄部１６とからなっている。上記雌部１５の底部は
接着剤１７を介してコンクリート仕上げの床面２に固定
されている。他方、上記雄部１６の上面にはドライバ等
（図示せず）で雄部１６を回転させるための溝１８が形
成されている。このような、遮音二重床構造１ａは、以
下のようにして組み立てられる。

【００２２】まず、コンクリート仕上げの床面２上に、
上記アジャスター１４を所定間隔を隔てて固定し、これ
らアジャスター１４の雄部１６をドライバで回転させて
その高さを上記床面２の不陸などに合わせて適宜調節す
る。この調節は、部屋の両端の際根太の間に水糸を張り
渡し、その水糸に各アジャスター１４の雄部１６の高さ
を合わせればよいので、極めて簡単に確実なレベル調整
が行える。その後、図４に示すように各アジャスター１
４の雄部１６に上述したゴム質支持脚３を介して床下地
パネル４を置敷する。これにより、コンクリート仕上げ
の床面２の不陸が大きい場合であっても、モルタルの仕
上げ打ちやコテ仕上げ等を行うことなく、即ち低コスト
で、上記コンクリート仕上げの床面２の不陸に対応でき
ると共に床高さを調節できる。また、床下地パネル４
は、所定寸法にカットするだけでよく、図７に示す従来
例のように孔ｋを設ける必要がないので、加工コストが
安く経済的である。

【００２３】なお、コンクリート仕上げの床面２と仕上
床表面との間の高さを何段階かに変えて施工したい場合
には、上記アジャスター１４の雌部１５あるいは雄部１
６の高さを何段階かに分けて成形しておき、これらを組
み合わせることによってレベル調整を行ってもよい。ま
た、アジャスター１４を床面２に接着する代わりに、床
面２に団子モルタルを置きその上にアジャスター１４を
載せて高さ調節してもよい。

【００２４】

【発明の効果】以上説明したように本発明に係る遮音二
重床構造及びその施工方法によれば、捨板張りを省略す
ることができ、所要資材・所要工数が少なく、且つ遮音
特性に優れた遮音床を構築することができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の一実施例を示す遮音二重床構造の部分
破断上面図である。

【図２】図１に示す遮音二重床構造の側断面図である。

【図３】図１中のゴム質支持脚の側断面図である。

【図４】コンクリート仕上げの床面の不陸が大きい場合
の遮音二重床の施工状況図である。

【図５】図４中のアジャスターの側断面図である。

【図６】従来例を示す遮音二重床構造の側断面図であ
る。

【図７】従来例を示すアジャスターの斜視図である。

【符号の説明】

１ 遮音二重床構造 ２ 床面 ３ ゴム質支持脚 ４ 床下地パネル ５ 遮音シート ６ 連接部 ７ 仕上フローリング材 １０ 発泡クッションシート １１ 凸部 １４ アジャスター

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 船原 美就 茨城県日立市助川町３丁目１番１号 日立 ゴム加工株式会社内

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 コンクリート仕上げ等の床面上に、上面
   に遮音シートを下面にゴム質支持脚を有する複数の床下
   地パネルを密接置敷し、これら床下地パネル上に、各パ
   ネル同志の連接部を渡すように仕上フローリング材を密
   接させて釘打ち固定して成る遮音二重床構造。
2. 【請求項２】 上記支持脚と床下地パネルとの接続部
   に、発泡クッションシートを接着固定して設けると共
   に、該発泡クッションシートの圧縮量を規制する凸部を
   設けたことを特徴とする請求項１記載の遮音二重床構
   造。
3. 【請求項３】 コンクリート仕上げ等の床面上に、ネジ
   により高さ調節可能なアジャスターを所定間隔を隔てて
   固定し、これらアジャスターの高さを上記床面の不陸な
   どに合わせて適宜調節した後、各アジャスターの頂部に
   ゴム質支持脚を介して床下地パネルを置敷するようにし
   た遮音二重床の施工方法。