JPH0514279U - 衛生洗浄装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 排水用のチューブ等の付属品を必要としない
簡単な構造によって、洗浄水供給機構からの逃がし水を
外に速やかに排出できるようにすること。 【構成】 便器本体１にベース３を固定し、このベース
３の上に局部洗浄のための機器や洗浄水の配管系を配置
した衛生洗浄装置において、ベース３の上面に設置する
洗浄水供給機構の逃がし口１０ａがベース３に設けた排
水誘導部を向く姿勢とし、逃がし口１０ａから放出した
逃がし水を排水誘導部からベース３の外に排出する。 【効果】 洗浄水供給機構をベースに固定するだけで逃
がし水の排水路が同時に得られ、排水のための配管やそ
の接続等が不要となり、組立てが簡単になる。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は、局部洗浄用の衛生洗浄装置に係り、特に局部洗浄用の洗浄水供給機 構のリリーフ弁等の逃がし口からの排水を速やかに便器本体側に回収できるよう にした構造に関する。

【０００２】

【従来の技術】

局部洗浄のための衛生洗浄装置は、便器本体にそのケーシングを固定したもの が従来から利用されている。この衛生洗浄装置は、ケーシングの中に局部洗浄の ためのノズル装置を備え、このノズル装置に洗浄水を供給する温水タンクやバル ブユニットを設けると共に、乾燥機能を持つものには温風ファン等の機器を組み 込んだものである。

【０００３】 図９はノズル装置までの洗浄水の供給系の概略を示すものである。

【０００４】 衛生洗浄装置のケーシング５０の内部に設けたノズル装置５１への洗浄水は、 ケーシング５０の外部の給水配管に接続するバルブユニット５２及び給水を加熱 してノズル装置５１へと送り出す温水タンク５３を経由して供給される。そして 、バルブユニット５２による流路の開閉及び流量調整，温水タンク５３による洗 浄水温度の設定及びノズル装置５１の作動は、コントローラ５４によって全て制 御される。

【０００５】 バルブユニット５２は電磁弁式の開閉弁及びニードル弁式の流量調整弁をユニ ットとして組み込んだものである。そして、配管の給水圧の急激な変動やウオー ターハンマー現象等によって、水圧が異常に高くなる場合に備えて、リリーフ弁 を設けることが必要である。このリリーフ弁は、内部流路の水圧が或る一定値よ りも高くなると外部への流路を開くバネ式の弁を備えたものであり、水圧が正常 値に戻ればバネによって自動的に閉じる構造のものが一般的である。

【０００６】 このようにバルブユニット５２にリリーフ弁を設けるので、水圧が異常に高く なったときにはバルブユニット５２から水が逃がし水として放出される。このた め、ケーシング５０の中に水が垂れ流しになるので、図示のように、従来ではバ ルブユニット５２にチューブ５５を接続し、これから逃がし水をケーシング５０ の外に排水するようにしていた。

【０００７】

【考案が解決しようとする課題】

ところが、ケーシング５０の内部には、バルブユニット５２や温水タンク５３ の他に様々な機器を組み込む。たとえば、乾燥機能を持つものでは温風ファンを 組み込んだり、消臭機能を持つものでは消臭カセットまでの排臭流路のためのダ クトを備えたり等である。このため、限られたスペースのケーシング５０の内部 にチューブ５５を巡らすと、他の機器のレイアウトの自由度に影響を与え、装置 全体のコンパクト化の障害となりかねない。

【０００８】 また、チューブ５５をバルブユニット５２に接続するためには、チューブ５５ を固定するクランプが必要となるほか、チューブ５５の先端を固定する固定具も 備える必要がある。このため、チューブ５５だけでなくその組み込みに必要な部 品点数も増え、チューブ５５の配管組立ても煩雑になりやすい。したがって、コ スト面での問題や、自動組立てラインでの製造に対応できず、生産性の向上にも 限界があった。

【０００９】 本考案において解決すべき課題は、チューブ等の付属品を必要としない簡単な 構造によって洗浄水供給機構のリリーフ弁等からの逃がし水を外に速やかに排出 できるようにすることにある。

【００１０】

【課題を解決するための手段】

本考案は、便器本体に固定されるベースと、該ベースの上に局部洗浄用のノズ ル装置及び該ノズル装置に洗浄水を外部から供給するための洗浄水供給機構とを 備え、該洗浄水供給機構には水を排出する逃がし口を設けた衛生洗浄装置であっ て、前記ベースの上面には前記洗浄水供給機構の逃がし口から排出された水を前 記便器本体に誘導可能な排水誘導部を備えると共に、前記洗浄水供給機構をその 逃がし口が前記排水誘導部に向く姿勢として前記ベースに固定したことを特徴と する。

【００１１】

【作用】

便器本体に固定したベースを利用して設置される洗浄水供給機構としては、外 部の洗浄水源からノズル装置までに洗浄水を送り込むための開閉弁，流量調整弁 等を一体に組み込んだバルブユニットが利用できる。そして、このバルブユニッ トには、洗浄水源からの洗浄水が或る一定以上の水圧になったときに流路を外に 開放するリリーフ弁等が組み込まれる。

【００１２】 本考案では、バルブユニットのリリーフ弁の逃がし口がベースに設けた排水誘 導部に向く姿勢としているので、逃がし口からの水はこの排水誘導部に流れ込む 。そして、排水誘導部は水を便器本体側に向けて誘導し、排水誘導部から水が溢 れたりすることなくこれを便器本体側に回収する。したがって、チューブ等をリ リーフ弁に接続することが不要となり、バルブユニットをそのままベースの所定 の位置に置いて固定するだけで、逃がし水の排水路も同時に形成されることにな る。

【００１３】

【実施例】

図１は衛生洗浄装置及び洗浄水タンクを包み込むケーシングを便器本体に一体 化した便器設備の全体を示す斜視図、図２はケーシングの内部を示す正面図、図 ３はその平面図である。

【００１４】 図において、便器本体１に一体化するケーシング２は、便器本体１の後端部の 上面に載せて固定されるベース３に連結され、その内部には便器本体１への洗浄 水を供給する洗浄水タンク４及び衛生洗浄装置の機能を納めている。ケーシング ２には、便座２ａ及び便蓋２ｂをそれぞれ取り付け、衛生洗浄装置等の各機能部 を操作するための操作盤２ｃを側部に設けている。なお、この操作盤２ｃは補助 として使い、通常の場合では壁に掛けたリモートコントローラＲによって操作す るようにしてもよい。

【００１５】 ベース３には局部洗浄及び乾燥のための機器を配置して固定する。局部洗浄用 の機器は、外部の給水源に接続した温水タンク６，この温水タンク６の背部側の ベース３上に固定したバルブユニット５及び洗浄水を噴出するノズル装置７等で あり、乾燥用の機器としては温風ファン８を組み込んでいる。そして、この実施 例では、バルブユニット５が外部の給水源からノズル装置７へ洗浄水を送り込む 洗浄水供給機構を構成している。

【００１６】 ケーシング２の外の給水配管からノズル装置７までの洗浄水の供給系は、図９ で示したものと同様であり、給水はバルブユニット５から温水タンク６を経由し てノズル装置７へと供給される。

【００１７】 図４はバルブユニット５を示すものであり、同図の（ａ）は洗浄水タンク４側 から見た側面図、同図の（ｂ）はその底面図である。

【００１８】 外部の給水配管に接続した供給管９（図３参照）は分岐金具（図示せず）によ って洗浄水タンク４とバルブユニット５との両方に流路が接続される。バルブユ ニット５には供給管９側に連通する入水管５ａ及び温水タンク６に接続する出水 管５ｂを設ける。そして、これらの入水管５ａから出水管５ｂまでの流路には、 圧力調整弁５ｃ及び開閉弁５ｄを組み込み、開閉弁５ｄと出水管５ｂまでの流路 に連通するようにリリーフ弁１０を設ける。

【００１９】 圧力調整弁５ｃはダイヤフラムを弁体として備えてこれをバネによって閉弁方 向に付勢したもので、バネの付勢力を予め設定しておくことにより、下流への水 の流量を調整する機能を持つ。また、開閉弁５ｄは同様にダイヤフラムを弁体と してこれをソレノイド駆動のプランジャによって動作させる構造であり、操作盤 ２ｃ又はリモートコントローラＲの洗浄スイッチのオンによってダイヤフラムが 流路を開く。そして、リリーフ弁１０は、従来技術の項で説明したように、内部 を通過する水の圧力に応じて移動する弁体をバネによって閉弁方向に付勢し、水 圧が或る一定値を越えるとバネが収縮し、内部流路を外に開く構造を持つ。この ようなリリーフ弁１０は、高圧の水又は蒸気を取り扱う容器等に設けられる安全 弁と同じ機能を果たす。

【００２０】 更に、バルブユニット５にはベース３に固定するためのビスを通すビス孔５ｅ を開けたフランジ５ｆを２個所に設ける。そして、このフランジ５ｆよりも低い レベルに下端が位置するように、リリーフ弁１０の流路端となる逃がし口１０ａ を下方に向けて設ける。

【００２１】 図５はベース３の平面図、図６はベース３の要部を示す概略斜視図である。

【００２２】 ベース３は下面及び上面に多数のリブを持たせて補強したものであり、左側に は温水タンク６を嵌め込んで固定する取付け口３ａ，中央部の後方には洗浄水タ ンク４の下面の排水管（図示せず）が通る配管口３ｂ，右側には消臭用のダクト を嵌め込むトラフ３ｃ等をそれぞれ設けている。なお、これらの他にも、各機器 の取付座や配管口及び電源コードの接続部等が設けられるが、図面では省略して いる。

【００２３】 このベース３に対して、バルブユニット５は図３の姿勢として組み込まれる。 そして、このバルブユニット５を受ける部分からベース３の前端部に近い位置ま で排水リブ１１を設ける。この排水リブ１１は、ベース３の前端部分から始まっ て奥側へ進んで少し左斜めの経路を持ち、バルブユニット５を受ける部分はその 底面部の全体を包み込める程度の大きさの固定座１１ａとして拡大し、再び前端 部へ戻るように巡らしたものであり、排水リブ１１によって囲まれたベース３の 前端部までの領域をバルブユニット５の排水誘導部として構成している。固定座 １１ａには、バルブユニット５のビス孔５ｅに整合する取付け孔１１ｂを設け、 バルブユニット５はそのフランジ５ｆを排水リブ１１の上に載せた状態でビス（ 図示せず）によって固定される。また、排水リブ１１の先端には、ベース３の前 端部で下に落とし込まれて更に前側に延びるノーズ１１ｃを一体に設ける。この ノーズ１１ｃは便器本体１のボール部１ａの上に先端が位置する程度の長さを持 つ。

【００２４】 排水リブ１１によって囲まれた領域は、固定座１１ａ部分のレベルが最も高く 、先端のノーズ１１ｃ部分が最も低くなるようにベース３の上面に傾斜を持たせ る。図７及び図８はそれぞれ図５のＡ−Ａ線及びＢ−Ｂ線矢視による断面図であ り、図７から明らかなように固定座１１ａ部分からノーズ１１ｃまでは一様な傾 斜角度でベース３の上面が傾斜している。また、固定座１１ａに対応するベース ３の上面も、図８に示すように、排水リブ１１の間隔が狭くなる固定座１１ａの 出口部分にかけて傾斜している。

【００２５】 更に、固定座１１ａの内部には、リリーフ弁１０の逃がし口１０ａからの逃が し水を速やかに排水し更に逃がし口１０ａからの水量が多いときに周囲への水の 飛び散りを防止するためのガイドリブ１２を設ける。このガイドリブ１２は、図 ５に示すようにほぼＬ字状の平面形状を持ち、その両辺部分が交わってできる懐 部分を前側に向けた姿勢としている。

【００２６】 ここで、バルブユニット５を固定座１１ａの取付け孔１１ｂを利用して固定し たとき、底面の逃がし口１０ａが図５の一点鎖線で示すようにガイドリブ１２の 懐部分に対応するように、バルブユニット５や固定座１１ａの形状寸法を決めて おく。また、バルブユニット５を固定座１１ａに取り付けたときには、図８に示 すようにフランジ５ｆが取付け孔１１ｂを開けた座１１ｂ−１の上に載り、バル ブユニット５の底面とベース３との間には隙間ができ、逃がし口１０ａの底面も ベース３の上に接触しないような寸法関係を持たせる。

【００２７】 このような設定によって、バルブユニット５をその所定の位置に固定すると、 底面の逃がし口１０ａが図５の一点鎖線の円で示す部分に位置し、その下面から の水がベース３の上に流れ落ちるように組み立てられる。

【００２８】 以上の構成において、操作盤１ｃ又はリモートコントローラＲの洗浄スイッチ をオンすると、ノズル装置７のノズル本体７ａが洗浄位置まで進出すると同時に 、バルブユニット５の開閉弁５ｄが開く。これにより、供給管９からの水が温水 タンク６の中に流れ込み、温水タンク６の中で既に加熱されていた洗浄水をノズ ル本体７ａに押し出すようにして送り込む。したがって、ノズル本体７ａの先端 から洗浄水が噴射されて、局部の洗浄が行われる。

【００２９】 ここで、供給管９からの給水圧が急激に高くなったりウオーターハンマー等に よって内圧が異常に高くなると、バルブユニット５のリリーフ弁１０が開き、ノ ズル装置７へ急激に流量が増大した洗浄水が送り込まれることを防ぐ。そして、 リリーフ弁１０が開くと、バルブユニット５の下面に設けた逃がし口１０ａから 水がベース３の上面に排出される。この排出された水は、逃がし口１０ａがガイ ドリブ１２で包囲された部分に位置すること及び固定座１１ａの中のベース３の 上面が傾斜していることから、図５の矢印に示すようにベース３の前側に向かっ て流れる。そして、固定座１１ａを出た後も排水リブ１１が溝状の流路を作って いるので、水はこの排水リブ１１に沿って流れ、最終的にはノーズ１１ｃから便 器本体のボール部１ａに排出される。

【００３０】 このように、排水リブ１１で形成した排水誘導部を設けたことによって、リリ ーフ弁１０の逃がし口１０ａをそのまま開いた状態でベース３に固定しさえすれ ば、排水をベース３から速やかに流し出すことができる。そして、従来のように リリーフ弁１０にチューブ等を接続する必要がないので、組み立てが簡単になる ほか、ケーシング２内での嵩も抑えられる。

【００３１】 なお、実施例では、洗浄水供給機構としてはバルブユニット５をその例とし、 排水誘導部としてはベース３の上面に立ち上げた排水リブ１１として説明した。 これに代えて、洗浄水をノズル装置７に送り込むポンプを備えた洗浄水供給機構 としたり、ベース３に排水路となるように溝を凹ませて設けこの溝を排水誘導部 としたりすることもできる。

【００３２】

【考案の効果】

本考案では、バルブユニット等の洗浄水供給機構に設けるリリーフ弁の逃がし 口を下向きにしてベースの上に逃がし水を放出できるようにベースに固定し、ベ ースに設けた排水誘導部によって逃がし水をベースの外に排出するようにしてい る。このため、逃がし口に排水用の配管やチューブ等を接続する必要がなく、組 立てが簡単になり、保守点検も容易になる。また、配管が不要なことから、ベー スの上で占める排水構造の嵩も小さくなり、限られた大きさのベースへの他の機 器のレイアウトの自由度も高くなり、全体のコンパクト化が可能となる。

【図面の簡単な説明】

【図１】衛生洗浄装置及び洗浄水タンクを包み込むケー
シングを便器本体に一体化した便器設備の全体を示す斜
視図である。

【図２】ケーシングの内部を示す正面図である。

【図３】ケーシングの内部を示す平面図である。

【図４】バルブユニットの詳細であって、同図の（ａ）
は洗浄水タンク側から見た側面図、同図の（ｂ）は底面
図である。

【図５】ベースの概略平面図である。

【図６】ベースの要部を示す概略斜視図である。

【図７】図５のＡ−Ａ線矢視による縦断面図である。

【図８】図５のＢ−Ｂ線矢視による縦断面図である。

【図９】ノズル装置への洗浄水の供給系を示す図であっ
て、バルブユニットのリリーフ弁にチューブを接続した
従来例の概略図である。

【符号の説明】

１ 便器本体 １ａ ボール部 ２ ケーシング ３ ベース ４ 洗浄水タンク ５ バルブユニット（洗浄水供給機構） ５ａ 入水管 ５ｂ 出水管 ５ｃ 圧力調整弁 ５ｄ 開閉弁 ６ 温水タンク ７ ノズル装置 ８ 温風ファン ９ 供給管 １０ リリーフ弁 １０ａ 逃がし口 １１ 排水リブ（排水誘導部） １１ａ 固定座 １１ｂ 取付け孔 １１ｃ ノーズ １２ ガイドリブ

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 便器本体に固定されるベースと、該ベー
   スの上に局部洗浄用のノズル装置及び該ノズル装置に洗
   浄水を外部から供給するための洗浄水供給機構とを備
   え、該洗浄水供給機構には水を排出する逃がし口を設け
   た衛生洗浄装置であって、前記ベースの上面には前記洗
   浄水供給機構の逃がし口から排出された水を前記便器本
   体に誘導可能な排水誘導部を備えると共に、前記洗浄水
   供給機構をその逃がし口が排水誘導部に向く姿勢として
   前記ベースに固定したことを特徴とする衛生洗浄装置。