JPH05142509A - 耐熱性光学素子の製造方法 - Google Patents

耐熱性光学素子の製造方法

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JPH05142509A
JPH05142509A JP3354205A JP35420591A JPH05142509A JP H05142509 A JPH05142509 A JP H05142509A JP 3354205 A JP3354205 A JP 3354205A JP 35420591 A JP35420591 A JP 35420591A JP H05142509 A JPH05142509 A JP H05142509A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 液晶性高分子を使用した耐熱性に優れた光学
素子の製造方法を提供する。 【構成】 配向基板上に形成された、液晶状態でネマチ
ック配向またはねじれネマチック配向し、液晶転移点以
下ではガラス状態となる熱重合する液晶性高分子よりな
る層を、透光性基板上に転写して光学素子を作製する方
法において、液晶性高分子層を少なくとも配向処理時、
配向固定後および転写後の1つの段階において液晶性高
分子の重合が進行する温度で熱処理する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はディスプレイ、光エレク
トロニクス、光学分野で有用な液晶性高分子よりなる耐
熱性光学素子の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】液晶性高分子は光学的に異方性を持ち、
一般の高分子と比較して多様な分子配向構造を取ること
が可能であるためこれらの構造を固定化して様々な光学
素子として利用できることが知られている。特にフィル
ムの内部にねじれ構造を有する光学素子は液晶性高分子
を使用した光学素子でのみ達成可能であり、これまでの
光学素子では得られない特性を有する光学素子の作製が
可能である。また、高分子液晶層を配向基板上で配向さ
せ、固定化した後に透光性基板上に転写することにより
様々な基板の上に光学素子を作製することも可能であ
る。
【0003】本発明者らはこれまでに液晶性高分子を使
用した光学素子としてフィルム内部にねじれ構造を有す
る液晶表示素子用補償板(特開平3−87720)およ
び旋光性光学素子(特願平2−126962)を提案し
てきた。これらの光学素子はこれまでの光学素子ではな
しえなかった高い性能を持ち、高分子フィルムの上に作
製されたものは、軽く、薄く、可とう性に富むなどの高
分子フィルム特有の特性を合わせ持つ画期的なものであ
った。しかしながら、これらの光学素子は高温下では液
晶性高分子が流動性を持つため、外力が加わらないとき
には安定であるが、わずかでも外力が加わると高分子液
晶層の流動が生じ、液晶性高分子の配向構造が破壊され
所定の光学性能が保持できず、結果として光学素子の使
用環境条件、2次加工条件、機器への組み込み条件など
を制限していた。このため、これまでの液晶性高分子を
使用した光学素子は使用環境において高い耐熱性を要求
される車載用ディスプレイ素子、プロジェクション型液
晶表示素子などへの応用が困難であり、また液晶性高分
子を使用した光学素子を使用した光学機器やディスプレ
イ機器の製造プロセスにおいてプロセス内の最高温度が
制限されるなどの問題点があった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明者らは液晶性高
分子を用いた光学素子の有するかかる問題点を解決する
手段について鋭意検討した結果、かかる問題点が液晶性
高分子を使用した光学素子の作製時には液晶性高分子を
配向させなければならないために流動性の高い状態で使
用しなければならないのに対して、配向終了後には高分
子液晶の流動性を低く押さえなければならないために生
ずることに着目した。すなわち液晶性高分子の配向処理
時または配向固定後にまたは転写後に熱処理を行なえ
ば、液晶性高分子を配向させまた、配向構造を保ったま
ま高分子液晶の流動性を低下させ光学素子に耐熱性を付
与できることを見いだし、ついに本発明を完成した。
【0005】
【課題を解決するための手段】すなわち本発明は、配向
基板上に形成された、液晶状態でネマチック配向または
ねじれネマチック配向し、液晶転移点以下ではガラス状
態となる熱重合する液晶性高分子からなる層を、透光性
基板上に転写して作製する光学素子において、液晶性高
分子層を少なくとも配向処理時、配向固定後および転写
後の1つの段階において液晶性高分子の重合が進行する
温度で熱処理することを特徴とする耐熱性光学素子の製
造方法に関する。本発明の液晶性高分子を使用した耐熱
性光学素子の製造法は配向処理時に液晶性高分子を流動
性が高く、配向性の高い状態で使用するため高い光学性
能を保ったまま光学素子に耐熱性を付与できる。
【0006】以下に本発明について詳しく説明する。光
学素子に用いられる高分子液晶は、以下のような性質を
有することが必須である。ネマチック配向またはねじれ
ネマチック配向の安定した固定化を行うためには、液晶
の相系列でみた場合、ねじれネマチック相より低温部に
結晶相を持たないことが重要である。結晶相が存在する
場合固定化のために冷却するとき必然的に結晶相を通過
することになり、結果的に一度得られたネマチック配向
またはねじれネマチック配向が破壊されてしまう。した
がって本目的のために用いられる高分子液晶は、界面効
果による良好な配向性を有するばかりでなく、ネマチッ
ク相またはねじれネマチック相より低温部にガラス相を
有することが必須である。また熱処理により高分子液晶
の流動を押さえ、耐熱性を向上させるために高分子液晶
は熱重合する必要がある。ここにおいて熱重合とは、熱
による重縮合およびまたは熱による架橋のことである。
ねじれネマチック配向する高分子液晶には、自身が光学
活性基を有するポリマーおよび光学活性基を持たないべ
ースポリマーと他の光学活性化合物との混合物でねじれ
ネマチック液晶性を示すポリマーの二通りある。
【0007】用いられるポリマーとしては、液晶状態で
はネマチック配向またはねじれネマチック配向し、液晶
転移点以下ではガラス状態となる熱重合性の高分子液晶
はすべて使用できる。ネマチック配向するものでは、例
えばポリエステル、ポリアミド、ポリエステルイミドな
どの主鎖型液晶ポリマーなどを例示することができる。
ねじれネマチック配向するものでは、光学活性なポリエ
ステル、ポリアミド、ポリエステルイミドなどの主鎖型
液晶ポリマー、あるいは光学活性でないポリエステル、
ポリアミド、ポリエステルイミドなどの主鎖型液晶ポリ
マーなどに、他の低分子あるいは高分子の光学活性化合
物を加えたポリマーなどを例示することができる。なか
でも合成の容易さ、配向性、ガラス転移点などからポリ
エステルが好ましい。用いられるポリエステルとしては
オルソ置換芳香族単位を構成成分として含むポリマーが
最も好ましいが、オルソ置換芳香族単位の代わりにかさ
高い置換基を有する芳香族、あるいはフッ素または含フ
ッ素置換基を有する芳香族などを構成成分として含むポ
リマーもまた使用することができる。本発明で言うオル
ソ置換芳香族単位とは、主鎖をなす結合を互いにオルソ
位とする構造単位を意味する。
【0008】これらの例としては、
【化1】(Xは水素、Cl、Br等のハロゲン、炭素数
が1から4のアルキル基もしくはアルコキシ基またはフ
ェニル基を示す。またkは0〜2である)などがある。
これらのなかでも特に好ましい例として次のようなもの
を例示することができる。
【0009】
【化2】 (Me;メチル基、Et;エチル基、Bu;ブチル基)
【0010】本発明で用いられるポリエステルとして
は、(a)ジオール類より誘導される構造単位(以下、
ジオール成分という)およびジカルボン酸類より誘導さ
れる構造単位(以下、ジカルボン酸成分という)および
/または(b)一つの単位中にカルボン酸と水酸基を同
時に含むオキシカルボン酸類より誘導される構造単位
(以下、オキシカルボン酸成分という)を構成成分とし
て含み、好ましくはさらに前記オルソ置換芳香族単位を
含むポリマーが例示できる。これらのうち、ジオール成
分としては次のような芳香族および脂肪族のジオールを
挙げることができる。
【0011】
【化3】(Yは水素、Cl、Br等のハロゲン、炭素数
1から4のアルキル基もしくはアルコキシまたはフェニ
ル基を示す。lは0〜2である。)
【化4】(nは2から12の整数を表わす)
【化5】なかでも
【化6】などが好ましく用いられる。
【0012】またジカルボン酸成分としては次のような
ものを例示することができる。
【化7】(Zは水素、Cl、Br等のハロゲン、炭素数
が1から4のアルキル基もしくはアルコキシまたはフェ
ニル基を示す。mは0〜2である。)、
【化8】なかでも、
【化9】などが好ましい。
【0013】オキシカルボン酸成分としては、具体的に
は次のような単位を例示することができる。
【化10】ジカルボン酸とジオールのモル比は、一般の
ポリエステルと同様、大略1:1である(オキシカルボ
ン酸を用いている場合は、カルボン酸基と水酸基の割
合)。またポリエステル中に占めるオルソ置換芳香族単
位の割合は通常5モル%から40モル%の範囲が好まし
く、さらに好ましくは10モル%から30モル%の範囲
である。5モル%より少ない場合は、ネマチック相の下
に結晶相が現われる傾向があり好ましくない。また40
モル%より多い場合は、ポリマーが液晶性を示さなくな
る傾向があり好ましくない。代表的なポリエステルとし
ては次のようなポリマーを例示することができる。
【0014】
【化11】の構造単位から構成されるポリマー、
【化12】の構造単位から構成されるポリマー、
【化13】の構造単位から構成されるポリマー、
【化14】の構造単位から構成されるポリマー、
【化15】の構造単位から構成されるポリマー、
【化16】の構造単位から構成されるポリマー、
【化17】の構造単位から構成されるポリマー、
【化18】の構造単位から構成されるポリマー。
【0015】オルソ置換芳香族単位に変えて次に示すよ
うなかさ高い置換基を含む芳香族単位、あるいはフッ素
または含フッ素置換基を含む芳香族単位を構成成分とす
るポリマーもまた好ましく用いられる。
【化19】
【化20】
【0016】これらのポリマーの分子量は、各種溶媒中
たとえばフェノール/テトラクロロエタン(60/40
(重量比))混合溶媒中、30℃で測定した対数粘度が
通常0.05から3.0が好ましく、さらに好ましくは
0.07から2.0の範囲である。対数粘度が0.05
より小さい場合、得られた高分子液晶の強度が弱くなり
好ましくない。また3.0より大きい場合、液晶形成時
の粘性が高すぎて、配向性の低下や配向に要する時間の
増加など問題点が生じる。
【0017】これらポリマーの合成法は特に制限される
ものではなく、当該分野で公知の重合法、例えば溶融重
合法あるいは対応するジカルボン酸の酸クロライドを用
いる酸クロライド法で合成される。溶融重合法で合成す
る場合、例えば対応するジカルボン酸と対応するジオー
ルのアセチル化物を、高温、高真空下で重合させること
によって製造でき、分子量は重合時間のコントロールあ
るいは仕込組成のコントロールによって容易に行える。
重合反応を促進させるためには、従来から公知の酢酸ナ
トリウムなどの金属塩を使用することもできる。また溶
融重合法を用いる場合は、所定量のジカルボン酸ジクロ
ライドとジオールとを溶媒に溶解し、ピリジンなどの酸
受容体の存在下に加熱することにより、容易に目的のポ
リエステルを得ることができる。
【0018】これらネマチック液晶性ポリマーにねじれ
を与えるために混合される光学活性化合物について説明
すると、代表的な例としてまず光学活性な低分子化合物
をあげることができる。光学活性を有する化合物であれ
ばいずれも本発明に使用することができるが、ベースポ
リマーとの相溶性の観点から光学活性な液晶性化合物で
あることが望ましい。具体的には次のような化合物を例
示することができる。
【0019】
【化21】
【化22】コレステロール誘導体、など。
【0020】本発明で用いられる光学活性化合物とし
て、次に光学活性な高分子化合物をあげることができ
る。分子内に光学活性な基を有する高分子化合物であれ
ばいずれも使用することができるが、ベースポリマーと
の相溶性の観点から液晶性を示す高分子化合物であるこ
とが望ましい。例として光学活性な基を有する液晶性の
ポリアクリレート、ポリメタクリレート、ポリマロネー
ト、ポリシロキサン、ポリエステル、ポリアミド、ポリ
エステルアミド、ポリカーボネート、あるいはポリペプ
チド、セルロースなどをあげることができる。なかでも
ベースとなるネマチック液晶性ポリマーとの相溶性か
ら、芳香族主体の光学活性なポリエステルが最も好まし
い。具体的には次のようなポリマーを例示することがで
きる。
【0021】
【化23】の構造単位から構成されるポリマー、
【化24】の構造単位から構成されるポリマー、
【化25】(n=2〜12)の構造単位から構成される
ポリマー、
【化26】の構造単位から構成されるポリマー、
【化27】の構造単位から構成されるポリマー、
【化28】の構造単位から構成されるポリマー、
【化29】の構造単位から構成されるポリマー、
【化30】の構造単位から構成されるポリマー、
【化31】の構造単位から構成されるポリマー、
【化32】の構造単位から構成されるポリマー、
【化33】の構造単位から構成されるポリマー。
【0022】これらのポリマー中に占める光学活性な基
の割合は、通常0.5モル%〜80モル%であり、好ま
しくは5モル%〜60モル%が望ましい。これらのポリ
マーの分子量は、たとえばフェノール/テトラクロロエ
タン中、30℃で測定した対数粘度が0.05から5.
0の範囲が好ましい。対数粘度が5.0より大きい場合
は粘性が高すぎて結果的に配向性の低下を招くので好ま
しくなく、また0.05より小さい場合は組成のコント
ロールが難しくなり好ましくない。
【0023】本発明の旋光性光学素子はまた、他の光学
活性化合物を用いることなく自身で均一でモノドメイン
なねじれネマチック配向をし、かつその配向状態を容易
に固定化できる高分子液晶を用いることによっても製造
できる。これらのポリマーは主鎖中に光学活性基を有し
自身が光学活性であることが必須であり、具体的には光
学活性なポリエステル、ポリアミド、ポリエステルイミ
ドなどの主鎖型液晶ポリマーなどを例示することができ
る。なかでも合成の容易さ、配向性、ガラス転移点など
からポリエステルが好ましい。用いられるポリエステル
としてはオルソ置換芳香族単位を構成成分として含むポ
リマーが最も好ましいが、オルソ置換芳香族単位の代わ
りにかさ高い置換基を有する芳香族、あるいはフッ素ま
たは含フッ素置換基を有する芳香族などを構成成分とし
て含むポリマーもまた使用することができる。これらの
光学活性なポリエステルは、今まで説明してきたネマチ
ック液晶性ポリエステルに、さらに光学活性なジオー
ル、ジカルボン酸、オキシカルボン酸を用いて次に示す
ような光学活性基を導入することにより得られる。(式
中,*印は光学活性炭素を示す)
【0024】
【化34】
【化35】など。
【0025】これらのポリマーの分子量は、各種溶媒中
たとえばフェノール/テトラクロロエタン(60/4
0)の混合溶媒中、30℃で測定した対数粘度が0.0
5から3.0が好ましく、さらに好ましくは0.07か
ら2.0の範囲である。対数粘度が0.05より小さい
場合、得られた高分子液晶の強度が弱くなり好ましくな
い。また3.0より大きい場合、液晶形成時の粘性が高
すぎて、配向性の低下や配向に要する時間の増加などの
問題が生じる。これらのポリマーの重合は溶融重縮合
法、あるいは酸クロライド法によって行うことができ
る。
【0026】以上述べてきた本発明の液晶性高分子の代
表的な例としては、具体的には、
【化36】で示されるポリマー(m/n=通常、99.
9/0.1〜80/20、好ましくは99.5/0.5
〜90/10、さらに好ましくは99/1〜95/5)
【化37】で示されるポリマー(m/n=0.5/9
9.5〜10/90、好ましくは1/99〜5/95)
【化38】で示されるポリマー(m/n=0.5/9
9.5〜10/90、好ましくは1/99〜5/95)
【化39】で示されるポリマー(K=l+m+n,K/
n=99.5/0.5〜90/10、好ましくは、99
/1〜95/5、l/m=5/95〜95/55)
【化40】で示されるポリマー(K=l+m+n,K/
n=99.5/0.5〜90/10、好ましくは、99
/1〜95/5、l/m=5/95〜95/55)
【化41】で示されるポリマー混合物((A)/(B)
=通常99.9/0.1〜80/20(重量比)、好ま
しくは99.5/0.5〜85/5、さらに好ましくは
99/1〜95/5、K=l+m、l/m=75/25
〜25/75、P=q+r、p/q=80/20〜20
/80) (A)
【化42】(B)コレステリルベンゾエート で示されるポリマー混合物((A)/(B)=通常9
9.9/0.1〜70/30(重量比)、好ましくは9
9.5/0.5〜80/20、好ましくは99/1〜9
0/10、m=K+1、K/1=80/20〜20/8
0)
【化43】で示されるポリマー混合物((A)/(B)
=通常99.9/0.1〜70/30(重量比)、好ま
しくは99.5/0.5〜80/20、好ましくは99
/1〜90/10、K=l+m、l/m=25/75〜
75/25、P=q+r、p/r=20/80〜80/
20) (なお、*印は光学活性炭素を示す)などが挙げられ
る。
【0027】本発明の液晶性高分子よりなる耐熱性光学
素子の製造法は、基本的に配向基板上に形成された液晶
性高分子層を透光性基板上に転写して作製する光学素子
において、液晶性高分子層を少なくとも配向処理時、配
向固定後および転写後の1つの段階で液晶性高分子の重
合が進行する温度で熱処理することにより行なわれる。
本発明の光学素子の製造に用いられる配向基板として
は、高分子液晶を配向させる能力、所定の耐熱性、耐溶
剤性を有し、かつ高分子液晶層を剥離できる剥離性を持
つものであればすべて使用できる。配向能、要求される
耐熱性、耐溶剤性あるいは剥離性は、用いる高分子液晶
の種類と性質によって異なるため一概には言えないが、
代表例としては、まずアルミ、鉄、銅などの金属板、陶
磁器製の板、ほうろう板、ガラスなどのシート状あるい
は板状の基板の上に形成されたラビングしたポリイミド
膜、ラビングしたポリビニルアルコール膜あるいは酸化
珪素の斜め蒸着膜などが挙げられる。また他の例として
はポリイミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルイミ
ド、ポリアミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエ
ーテルケトン、ポリケトンサルファイド、ポリエーテル
スルフォン、ポリスルフォン、ポリフェニレンサルファ
イド、ポリフェニレンオキサイド、ポリエチレンテレフ
タレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリアセター
ル、ポリカーボネート、アクリル樹脂、ポリビニルアル
コール、セルロース系プラスチックス、エポキシ樹脂、
フェノール樹脂などのプラスチックスフィルムまたはシ
ート表面を直接ラビング処理した基板そのものが挙げら
れる。あるいはこれらのフィルムまたはシート上に形成
された、ラビングしたポリイミド膜、ラビングしたポリ
ビニルアルコール膜なども配向膜の例である。またこれ
らのプラスチックスフィルムまたはシートの内、結晶性
の高いものについては1軸延伸するだけで高分子液晶の
配向能を持つものもあり、それらについては直接ラビン
グ処理またはラビングポリイミド配向膜を付けることを
せずともそのままで配向膜となりうる。例としてはポリ
イミド、ポリエーテルイミド、ポリエーテルエーテルケ
トン、ポリエーテルケトン、ポリフェニレンサルファイ
ド、ポリエチレンテレフタレートなどを挙げることがで
きる。
【0028】転写の工程における作業性からは柔軟性の
高い配向膜の方が好ましいので、これらの中でもポリイ
ミド、ポリエチレンテレフタレート、ポリフェニレンサ
ルファイド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテ
ルケトン、ポリエーテルイミド、ポリビニルアルコール
等のフィルムあるいはシートを直接ラビングして得られ
る配向膜が特に好ましい。これらの配向膜上に高分子液
晶を塗布、乾燥、熱処理し、均一でモノドメインなネマ
チック構造またはねじれネマチック構造を形成させ、高
分子液晶層に熱処理により十分な耐熱性を付与した後に
冷却して、液晶状態における配向を損なうことなく固定
化し、透光性基板上へ転写することにより本発明の光学
素子を製造する。
【0029】まずネマチック液晶性またはねじれネマチ
ック液晶性ポリマーを所定の割合で溶媒に溶かして溶液
を調製する。この際の溶媒はポリマーの種類によって異
なるが、通常はアセトン、メチルエチルケトン、シクロ
ヘキサノンなどのケトン類、テトラヒドロフラン、ジオ
キサンなどのエーテル類、クロロホルム、ジクロロエタ
ン、テトラクロロエタン、トリクロロエチレン、テトラ
クロロエチレン、オルソジクロロベンゼンなどのハロゲ
ン化炭化水素、これらとフェノールとの混合溶媒、ジメ
チルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ジメチルス
ルホキシドN−メチルピロリドンなどを用いることがで
きる。溶液の濃度はポリマーの粘性によって大きく異な
るが、通常は5から50%の範囲で使用され、好ましく
は10から40%の範囲である。この溶液を次ぎに配向
基板上に塗布する。
【0030】塗布の方法としては、スピンコート法、ロ
ールコート法、スロットコート法、スライドコート法、
プリント法、浸漬引き上げ法などを採用できる。塗布後
溶媒を乾燥により除去し、所定温度で所定時間熱処理し
てモノドメインなネマチック配向またはねじれネマチッ
ク配向を完成させる。配向のための熱処理と、熱重合の
ための熱処理を同時に行う場合は、界面効果による配向
を助け、熱重合を促進させるために熱処理温度は高いほ
うが好ましく、特に、単なる配向のみのための熱処理に
比べ、より熱処理温度は高いほうが好ましいが、あまり
温度が高いとポリマーの種類によっては、高温部に等方
相を有するので、この温度域で熱処理しても配向は得ら
れない。すなわちそのポリマーの特性にしたがい、ガラ
ス転移点以上で等方相への転移点以下の温度でかつ高分
子液晶の重合が進行する温度で熱処理することが好まし
く、一般的には100℃から350℃の範囲が好適で、
特に150℃から300℃の範囲が好適である。配向膜
上で液晶状態において十分な配向を得るために必要な時
間および十分な耐熱性が付与されるのに必要な時間は、
ポリマーの組成、分子量および必要とされる耐熱性によ
って異なり一概にはいえないが、30秒から120分の
範囲が好ましく、特に60秒から100分の範囲が好ま
しい。30秒より短い場合は配向が不十分となり、また
十分な耐熱性が付与されない。また120分より長い場
合は生産性が低下し好ましくない。短い熱処理時間で十
分な耐熱性を付与するために、減圧下で熱処理を行なっ
たり、高分子液晶中に重合触媒を混入することも可能で
ある。またポリマーを溶融状態で、配向処理した基板上
に塗布したのち熱処理をすることによっても、同様の効
果を得ることができる。
【0031】こうして得られた配向状態を、次ぎに該高
分子液晶のガラス転移点以下の温度に冷却することによ
って、配向を全く損なわずに固定化できる。一般的に液
晶相より低温部に結晶相を持っているポリマーを用いた
場合、液晶状態における配向は冷却することによって壊
れてしまう。本発明の方法によれば、液晶相の下にガラ
ス相を有するポリマー系を使用するためにそのような現
象が生ずることなく、高分子液晶の配向を完全に固定化
できる。冷却速度は特に制限はなく、加熱雰囲気中から
ガラス転移点以下の雰囲気中に出すだけで固定化され
る。また生産の効率を高めるために、空冷、水冷などの
強制冷却を行っても良い。
【0032】また本発明の液晶性高分子を使用した耐熱
性光学素子の製造法においては、耐熱性付与のための熱
処理を高分子液晶の配向のための熱処理と別に行なって
もよく、またこれらの熱処理を複数回行なってもよい。
すなわち、温度の異なる複数の熱処理槽を用意し、まず
始めに高分子液晶を配向させ、その後に高温槽で耐熱性
を付与させたり、高分子液晶を配向させた後、試料を一
旦冷却し、高分子液晶の配向を固定化した後に耐熱性付
与のための熱処理を行なうことによっても同様の効果を
得ることができる。また、配向基板上で耐熱性付与のた
めの熱処理を行なわなくとも、透光性基板上に高分子液
晶層を転写した後に耐熱性付与のための熱処理を行なう
ことによっても同様の効果を得ることができる。このよ
うな場合、配向処理時には界面効果による配向を助ける
ために熱処理温度は高いほうが好ましいが、あまり温度
が高いとポリマーの種類によっては、高温部に等方相を
有するので、そのポリマーの特性にしたがい、ガラス転
移点以上で等方相への転移点以下の温度で熱処理するこ
とが好ましく、一般的には50℃から300℃の範囲が
好適で、特に100℃から250℃の範囲が好適であ
る。配向膜上で液晶状態において十分な配向を得るため
に必要な時間は、ポリマーの組成、分子量によって異な
り一概にはいえないが、10秒から60分の範囲が好ま
しく、特に30秒から30分の範囲が好ましい。10秒
より短い場合は配向が不十分となり、また60分より長
い場合は生産性が低下し好ましくない。またポリマーを
溶融状態で、配向処理した基板上に塗布したのち熱処理
することによっても、同様の配向状態を得ることができ
る。
【0033】こうして得られた配向試料を、次に該高分
子液晶の熱重合が進行する温度で熱処理することによ
り、試料の配向状態を損なうことなく耐熱性を付与する
ことができる。耐熱性付与のための熱処理は、配向処理
のための熱処理に引き続き行なってもよいし、配向処理
のための熱処理を行なった試料を一旦該高分子液晶のガ
ラス転移点以下の温度に冷却することによって、配向を
固定化した後に行なってもよい。この時の熱処理条件
は、一般的には、100℃〜350℃の範囲が好適で、
特に150℃〜300℃の範囲が好適であり、一般に、
配向処理のみのための熱処理温度よりも高いことが望ま
しいが、あまり温度が高いとポリマーの種類によっては
高温部に等方相を有するので、この温度域で処理すると
配向状態が保持されず好ましくなく、結果として、使用
した液晶性高分子(ポリマー)の特性にしたがい、等方
相への転移点以下の温度でかつ高分子液晶の重合が進行
する温度で熱処理することが望ましい。十分な耐熱性が
付与されるのに必要な時間は、ポリマーの組成、分子量
および必要とされる耐熱性によって異なり一概にはいえ
ないが、10秒から60分の範囲が好ましく、特に30
秒から30分の範囲が好ましい。10秒より短い場合は
十分な耐熱性が付与されず、また60分より長い場合は
生産性が低下し好ましくない。短い熱処理時間で十分な
耐熱性を付与するために、減圧下で熱処理を行なった
り、高分子液晶中に重合触媒を混入することも可能であ
る。また、配向基板上で耐熱性付与のための熱処理を行
なわなくとも、透光性基板上に高分子液晶層を転写した
後に耐熱性付与のための熱処理を行なってもよい(後
述)。
【0034】以上のようにして配向基板上に本発明の光
学素子の層を有するフィルムが得られる。次に他の透光
性基板上への転写の方法について説明する。まずこのフ
ィルムの高分子液晶層の面と他の透光性基板とを接着剤
または粘着剤を用いて貼り合わせる。次に配向基板と高
分子液晶層の界面で高分子液晶層を剥離し、高分子液晶
層のみを他の透光性基板上に転写する。用いられる透光
性基板の例としては、各種ガラスのほかに透明性、光学
的等方性を有するプラスチックフィルムが挙げられる。
例えばポリメチルメタクリレート、ポリスチレン、ポリ
カーボネート、ポリエーテルスルフォン、ポリフェニレ
ンサルファイド、ポリアリレート、ポリエチレンテレフ
タレート、アモルファスポリオレフィン、トリアセチル
セルロースあるいはエポキシ樹脂などを用いることがで
きる。なかでもポリメチルメタクリレート、ポリカーボ
ネート、ポリエーテルスルホン、ポリアリレート、トリ
アセチルセルロース、アモルファスポリオレフィン、偏
光フィルムなどが好ましく用いられる。またこれらの基
板を部材の一部として有する装置あるいはデバイスのそ
の基板部分に転写することもできる。
【0035】透光性基板と高分子液晶層を貼りつける接
着剤または粘着剤は光学グレードのものであれば特に制
限はないが、アクリル系、エポキシ系、エチレン−酢ビ
共重合体系、ゴム系などを用いることができる。剥離の
方法はもちろん手作業でも良いし、機械的な手段によれ
ばより完全な転写が可能である。剥離性は用いる高分子
液晶と配向基板の性質によって異なるため、その系に最
も適した方法を採用するべきである。また、前にも述べ
たように透光性基板上に高分子液晶層を転写した後に耐
熱性付与の熱処理を行なうことも可能である。この場合
には、高分子液晶層の熱重合を促進させるために熱処理
温度は高いほうが好ましいが、熱重合を促進させるため
に熱処理温度は高いほうが好ましいが、あまり温度が高
いとポリマーの種類によっては、高温部に等方相を有す
るので、この温度域で熱処理すると配向状態が保持され
ない。したがって、使用したポリマーの特性にしたが
い、等方相への転移点以下の温度でかつ高分子液晶の重
合が進行する温度で熱処理することが好ましく、一般的
には100℃から350℃の範囲が好適で、特に150
℃から300℃の範囲が好適である。十分な耐熱性が付
与されるのに必要な時間は、ポリマーの組成、分子量お
よび必要とされる耐熱性によって異なり一概にはいえな
いが、10秒から60分の範囲が好ましく、特に30秒
から30分の範囲が好ましい。10秒より短い場合は十
分な耐熱性が付与されず、また60分より長い場合は生
産性が低下し好ましくない。短い熱処理時間で十分な耐
熱性を付与するために、減圧下で熱処理を行なったり、
高分子液晶中に重合触媒を混入することも可能である。
【0036】こうして得られた配向試料を、次ぎに該高
分子液晶のガラス転移点以下の温度に冷却することによ
って、配向を全く損なわずに固定化できる。一般的に液
晶相より低温部に結晶相を持っているポリマーを用いた
場合、液晶状態における配向は冷却することによって壊
れてしまう。本発明の方法によれば、液晶相の下にガラ
ス相を有するポリマー系を使用するためにそのような現
象が生ずることなく、高分子液晶の配向を完全に固定化
できる。冷却速度は特に制限はなく、加熱雰囲気中から
ガラス転移点以下の雰囲気中に出すだけで固定化され
る。また生産の効率を高めるために、空冷、水冷などの
強制冷却を行っても良い。
【0037】以上のようにして製造される本発明の光学
素子は、液晶性高分子を使用した光学素子の特性を維持
したまま、高い耐熱性を有しているため、使用環境、2
次加工、機器への組み込みなどの自由度が広がり、光学
あるいは光エレクトロニクスの分野できわめて有用であ
る。特にディスプレイの分野において車載用液晶表示素
子、プロジェクション型液晶表示素子などのコントラス
トの改良、明るさの向上などに寄与する。さらに本発明
の光学素子においては光学機器やディスプレイ機器への
組み込み時に製造プロセスの最高温度の制限が緩和され
るなどの特長を持ち、きわめて工業的価値の高いもので
ある。
【0038】
【実施例】以下に実施例を述べるが、本発明はこれらに
制限されるものではない。なお実施例で用いた各分析法
は以下の通りである。 (1)ポリマーの組成の決定 ポリマーを重水素化クロロホルムまたは重水素化トリフ
ルオロ酢酸に溶解し、400MHzのH−NMR(日
本電子製JNM−GX400)で測定し、決定した。
【0039】(2)対数粘度の測定 ウベローデ型粘度計を用い、フェノール/テトラクロロ
エタン(60/40重量比)混合溶媒中、30℃で測定
した。
【0040】(3)液晶相系列の決定 DSC(DuPont 990 Thermal An
alizer)測定および光学顕微鏡(オリンパス光学
(株)製BH2偏光顕微鏡)観察により決定した。
【0041】(4)ねじれ角およびΔn・dの決定 ねじれ角は偏光解析法により、またΔn・dはエリプソ
メータにより測定したデータを解析処理して決定した。
【0042】実施例1
【化44】(1)式で示したポリマー(対数粘度0.1
8)を含む17wt%のフェノール/テトラクロロエタ
ン(60/40重量比)溶液を調製した。この溶液を用
いて、15cm×23cmの大きさで厚さ100μmの
直接ラビング処理したポリエーテルエーテルケトン(P
EEK)フィルム上に、グラビアロールコーターを用い
て塗膜を形成した後に乾燥し、270℃×60分熱処理
を行ない、次に冷却して均一なモノドメインのネマチッ
ク構造を固定化した。この高分子液晶層の上にUV硬化
型アクリル系接着剤を用いて、同サイズの厚さ50μm
のポリエーテルスルフォン(PES)フィルムを張り付
けて接着した。次に配向基板として用いたPEEKフィ
ルムを静かに剥し、高分子液晶層をPESフィルム上に
転写した。この光学素子のΔn・dは0.82μmであ
り、ポリマーの対数粘度は1.9に上昇していた。こう
して作製した光学素子の高分子液晶面にシリコーン系の
ハードコート材をスプレーコート法により塗布し、セッ
ティングした後、120℃×60分熱処理を行ないハー
ドコート材を硬化した。ハードコート材硬化のための熱
処理の後でも光学素子は均一なモノドメインのネマチッ
ク構造を有しており、光学パラメータの変化は認められ
なかった。
【0043】実施例2 (1)式で示したポリマー(対数粘度0.18)を含む
17wt%のフェノール/テトラクロロエタン(60/
40重量比)溶液を調製した。この溶液を用いて、15
cm×23cmの大きさで厚さ75μmの直接ラビング
処理したポリイミド(PI)フィルム上に、グラビアロ
ールコーターを用いて塗膜を形成した後に乾燥し、18
0℃×30分熱処理を行ない、次に冷却して均一なモノ
ドメインのネマチック構造を固定化した後、さらにもう
一度290℃×45分の熱処理を行なった。この高分子
液晶層をエポキシ系接着剤を用いてガラス上に接着し、
次に配向基板として用いたPIフィルムを静かに剥し、
高分子液晶層をガラス上に転写した。この光学素子のΔ
n・dは0.80μmであり、ポリマーの対数粘度は
2.9に上昇していた。こうして作製した光学素子をポ
リビニルブチラールシートを中間層としてもう一枚のガ
ラスと140℃×14kgf/cmで20分間熱圧着
を行なった。得られた合わせガラスは高い透明性を有し
ており、また光学パラメータの変化は見られなかった。
【0044】実施例3
【化45】(2)式で示した混合ポリマー(ベースポリ
マーの対数粘度0.18、光学活性ポリマーの対数粘度
0.15)を含む15wt%のフェノール/テトラクロ
ロエタン(60/40重量比)溶液を調製した。この溶
液を用いて、15cm×23cmの大きさで直接ラビン
グ処理した厚さ50μmのPEEKフィルム上に、ロー
ルコーターを用いて製膜した後に乾燥し、180℃×3
0分熱処理を行ない、次に冷却して均一なモノドメイン
のねじれネマチック構造を固定化した。この高分子液晶
層をエポキシ系接着剤を用いてポリアリレート(PA)
フィルム上に接着し、次に配向基板として用いたPEE
Kフィルムを静かに剥し、高分子液晶層をPAフィルム
上に転写した。次にもう1度転写したフィルムを減圧下
(0.05mmHg)で190℃×60分の熱処理を行
なった。この光学素子のねじれ角は−230°であり、
Δn・dは0.84μmであった。またポリマーの対数
粘度は1.6に上昇していた。こうして作製した光学素
子の高分子液晶面にシリコーン系のハードコート材をス
プレーコート法により塗布し、セッティングした後、1
20℃×60分熱処理を行ないハードコート材を硬化し
た。ハードコート材硬化のための熱処理の後でも試料は
均一なモノドメインのねじれネマチック構造を保持して
おり、光学パラメータの変化も認められなかった。
【0045】比較例1 (1)式で示したポリマー(対数粘度0.18)を含む
17wt%のフェノール/テトラクロロエタン(60/
40重量比)溶液を調製した。この溶液を用いて、15
cm×23cmの大きさで厚さ100μmの直接ラビン
グ処理したポリエーテルエーテルケトン(PEEK)フ
ィルム上に、グラビアロールコーターを用いて塗膜を形
成した後に乾燥し、180℃×60分熱処理を行ない、
次に冷却して均一なモノドメインのネマチック構造を固
定化した。この高分子液晶層の上にUV硬化型アクリル
系接着剤を用いて、同サイズの厚さ50μmのポリエー
テルスルフォン(PES)フィルムを張り付けて接着し
た。次に配向基板として用いたPEEKフィルムを静か
に剥し、高分子液晶層をPESフィルム上に転写した。
この光学素子のΔn・dは0.84μmであり、ポリマ
ーの対数粘度はほとんど変化していなかった。こうして
作製した光学素子の高分子液晶面にシリコーン系のハー
ドコート材をスプレーコート法により塗布し、セッティ
ングした後、120℃×60分熱処理を行ないハードコ
ート材を硬化した。ハードコート材硬化のための熱処理
の後では高分子液晶層の配向が乱れ、モノドメイン構造
は保持されなかった。
【0046】比較例2 (1)式で示したポリマー(対数粘度0.18)を含む
17wt%のフェノール/テトラクロロエタン(60/
40重量比)溶液を調製した。この溶液を用いて、15
cm×23cmの大きさで厚さ75μmの直接ラビング
処理したポリイミド(PI)フィルム上に、グラビアロ
ールコーターを用いて塗膜を形成した後に乾燥し、18
0℃×30分熱処理を行ない、次に冷却して均一なモノ
ドメインのネマチック構造を固定化した。この高分子液
晶層をエポキシ系接着剤を用いてガラス上に接着し、次
に配向基板として用いたPIフィルムを静かに剥し、高
分子液晶層をガラス上に転写した。この光学素子のΔn
・dは0.80μmであり、ポリマーの対数粘度はほと
んど変化していなかった。こうして作製した光学素子を
ポリビニルブチラールシートを中間層としてもう一枚の
ガラスと140℃×14kgf/cmで20分間熱圧
着を行なった。得られた合わせガラスは不透明であり、
均一なモノドメインのネマチック構造は完全に破壊され
ていた。
【0047】比較例3 (2)式で示した混合ポリマー(ベースポリマーの対数
粘度0.18、光学活性ポリマーの対数粘度0.15)
を含む15wt%のフェノール/テトラクロロエタン
(60/40重量比)溶液を調製した。この溶液を用い
て、15cm×23cmの大きさで直接ラビング処理し
た厚さ50μmのPEEKフィルム上に、ロールコータ
ーを用いて製膜した後に乾燥し、180℃×30分熱処
理を行ない、次に冷却して均一なモノドメインのねじれ
ネマチック構造を固定化した。この高分子液晶層をエポ
キシ系接着剤を用いてポリアリレート(PA)フィルム
上に接着し、次に配向基板として用いたPEEKフィル
ムを静かに剥し、高分子液晶層をPAフィルム上に転写
した。この光学素子のねじれ角は−225°であり、Δ
n・dは0.85μmであった。またポリマーの対数粘
度はほとんど変化していなかった。こうして作製した光
学素子の高分子液晶面にシリコーン系のハードコート材
をスプレーコート法により塗布し、セッティングした
後、120℃×60分の熱処理を行ないハードコート材
を硬化した。ハードコート材硬化のための熱処理の後で
は試料は均一なモノドメインのねじれネマチック構造を
保持していなかった。
【0048】
【発明の効果】本発明の液晶性高分子を使用した耐熱性
光学素子の製造法は、液晶性高分子を使用した光学素子
の特性を維持したまま、高い耐熱性を付与できるため、
本法により作製した光学素子の使用環境、2次加工、機
器への組み込みなどの自由度が広がり、光学、光エレク
トロニクスなどの分野においてきわめて工業的価値が高
い。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 配向基板上に形成された、液晶状態でネ
    マチック配向またはねじれネマチック配向し、液晶転移
    点以下ではガラス状態となる熱重合する液晶性高分子よ
    りなる層を、透光性基板上に転写して作製する光学素子
    において、液晶性高分子層を少なくとも配向処理時、配
    向固定後および転写後の1つの段階において液晶性高分
    子の重合が進行する温度で熱処理することを特徴とする
    耐熱性光学素子の製造方法。
JP35420591A 1991-11-22 1991-11-22 耐熱性光学素子の製造方法 Expired - Lifetime JP3213761B2 (ja)

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EP92310660A EP0543678A1 (en) 1991-11-22 1992-11-23 Process for producing heat-resistant optical elements

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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2015052695A (ja) * 2013-09-06 2015-03-19 富士フイルム株式会社 位相差板、液晶表示装置および位相差板の製造方法

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