JPH0514243Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は、ただ１つの光放射部材を有する組み
込みランプを備えた映写機系において面を照明す
るための反射鏡に関する。この場合問題はこま窓
を反射鏡で出来るだけ均一に照明できるようにす
ることである。

発光体が例えばらせん形に構成され、反射鏡表
面が平滑な場合、らせんの形に相応して、こま窓
中に局所的な輝度の変動が生じる。そのため、反
射鏡表面を点刻やひだ付けによつて粗面化するよ
うになつた。表面に多数の小さな反射面を有する
反射鏡は、例えば米国特許第4021659号明細書お
よび米国特許第4035631号明細書から公知である。
別の表面構造が、例えばドイツ連邦共和国特許出
願公開第2148478号公報およびドイツ連邦共和国
特許出願公開第2363378号公報で提案されている。
これらの公知の反射鏡表面構造によつて、光束が
平滑な反射鏡表面に比べて著しく拡散ないし散乱
するようになる。これにより、こま窓中の渦巻構
造は消失するが、こま窓の照明には依然としてあ
る程度曇りが残る。しかも、散乱光が増加するた
め利用光束が減少するので、その分ランプ出力を
高めて補償しなければならない。これによりこま
窓の温度も平滑な反射鏡表面に比べて高くなる。
これら公知の解決法全般に共通するのは、反射鏡
の輪郭断面曲線が１つしかないことである。

本考案の目的は、こま窓を均一に照明するのに
優れ、しかも散乱光が出来るだけ生じないような
表面をもつた反射鏡を提供することにある。

本考案の面の照明用の反射鏡の特徴は、反射鏡
は少なくとも２つの輪郭面を有し、該輪郭面の縦
断面曲線は放射光の方向に位置する光学的な共通
の軸を有する円錐曲線であり、そのうち、該円錐
曲線の焦点は１点に集まつているかまたは、反射
鏡の光学軸上ないし光学軸の平行線上で相互に、
ただし前記光放射部材の寸法より小さな範囲内で
ずらされており、更に、反射鏡が３つより多い扇
形領域から成り、その際隣接する扇形領域は相異
なる輪郭面を有しており、前記２つの輪郭面のう
ち、一方の円錐曲線の輪郭面はスポツト照明が行
われるように、また他方の円錐曲線の輪郭面はサ
ドル形照明が行われるように成形されていること
である。この場合、各円錐曲線の焦点は、１点に
集めることも、また反射鏡の軸線上ないし反射鏡
の軸線の平行線上で相互にずらすこともできる。
ただしずれの大きさは発光体の寸法よりも、小さ
くした方が有利である。反射鏡の使用目的に応じ
て、各輪郭面の縦断面曲線を同一の円錐曲線部分
か、同一でない円錐曲線部分とすることができ
る。有利な合成照明特性曲線を得るためには、異
なる輪郭面を成す各部分の面積を等しくすると有
利であり、もしくは、比が40：60よりも大きく異
ならないようにする。光学的結像の際に対称にな
るように、扇形領域は偶数に、しかもなるべく少
ない数にするとよい。同じ理由から、異なる輪郭
面の扇形領域を連続させる際の配列順序は一定に
すべきである。

種々の円錐曲線部分の輪郭面を連続的に組合わ
せて、例えば一方の円錐曲線部分に対応する輪郭
面によつてスポツト照明が行われ、他方の円錐曲
線部分の輪郭面によつてサドル形特性の照明（第
３ｂ図参照）が行われるようにすると、極めて均
一にこま窓を照明できるようになる。

本考案の、多くの輪郭面から成る反射鏡を用い
て発光体をこま窓に結像する反射鏡の形により投
影の場合にも、照明の場合にも均一度が改善され
る。その際決定的なことは、投影の場合にはスク
リーン全面にわたつて１次均一性が改善され、冒
頭に述べた、１つの共通の輪郭面に対応する多数
の小さな反射面を有する反射鏡のように単に２次
均一性（こま窓の照明の曇り）が改善されるだけ
ではないことである。なお、１次均一性とは、ス
クリーン全面の照度の分布（曲線の基本経過）を
表わし、２次均一性とは、ランプの構造が結像さ
れること等の副次現象に起因する、基本経過中で
の細かな照度変動を表わしている。照度の均一性
の改善は以下のように説明することができよう。
即ち、輪郭面が唯一の円錐曲線方程式に対応する
反射鏡は、元来常に１つの物点をただ１つの像点
の結像する状態にある。例えば２つの輪郭面を用
いれば、２つの物点が１つの像点に、あるいは１
つの物点が２の像点に結像されうる。多数の輪郭
面を用いれば、それに応じて多くの物点対像点の
関係を設定できる。反射鏡上に配別する輪郭面の
配置は任意である。その際大切なのは、反射鏡輪
郭面間の突合わせ縁の全長を出来るだけ小さく
し、また例えば小さなプレス部分を設けるための
外形線の傾斜が出来るだけ小さな立体角しか必要
としないようにすることである。

次に本考案の実施例を、図面を用いて詳細に説
明する。

第１図の反射鏡は、ほうけい酸ガラスから形成
すると有利であり、８つの扇形領域に分けられて
いる。そのうち４つの扇形領域面２ａ〜２ｄは輪
郭縦断面曲線K₁を有している。これらと交互に
配置されている扇形領域面３ａ〜３ｄは、もう１
方の輪郭縦断面曲線K₂に属している。光線経路
は第２図に示されている。第３ａ図は、輪郭縦断
面曲線K₁による、スポツト照明が行われる側の
照度分布を示し、第３ｂ図は、輪郭縦断面曲線
K₂による、こま窓上でサドル形の照明特性の照
度分布を示している。第３ｃ図は両部分輪郭面を
合成した反射鏡を用いると得られる有利な照明特
性曲線を示す。その際縦軸には相対照度が百分率
で、軸線にはこまの画面の対角線寸法ｄがとらえ
られている。この実施例では異なる輪郭面を形成
する部分の面積の比は50：50である。

このように多数の輪郭面を有する反射鏡は、光
放射部材が小さいランプ、大きなこま窓、そして
比較的小さな開口度のレンズを用いる場合に適し
ている。例えば以下の実施例により、優れた成果
が得られる。反射鏡は、扇形領域に分配された、
相異なる円錐曲線部分の２つの輪郭面を有してい
る。反射鏡直径は54mmとする。輪郭縦断面曲線
K₁に対する方程式は、 0.442359X²−0.276790XY＋Y²＋31.353331X−
17.448185Y＋294.045＝０であり、輪郭縦断面曲
線K₂に対する方程式は、 0.580390X²＋2.997111XY＋Y²−49.93828＋
214.9997Y−5171.662＝０である。その際XY座標
系の零点はこま窓の中心に位置する。反射鏡の前
縁とこま窓との間の距離を表わすマウンテイング
距離は38.4mm、こま窓の寸法は4.01×5.36mm（ス
ーパー８mm用）、レンズ開口度は1.3／20とする。
組込みランプには、各電極尖端部にプラズマ球が
取付けられている、250Wの金属ハロゲン放電ラ
ンプ（商品名HMI 250W）で、アーク長が中程
度、照明範囲の直径が0.8×2.5mmのものを用い
る。輪郭縦断面曲線が同一の円錐曲線上にあり、
焦点が反射鏡の軸線（光学軸と等しい）より0.8
mmずれている反射鏡では、輪郭縦断面曲線K₁に
対する方程式は、 0.460689X²＋0.043947XY＋Y²＋11.372674X＋
0.841685Y−264.971606＝０となり、輪郭縦断面
曲線K₂に対しては、 0.460689X²＋0.043947XY＋Y²＋12.109777X＋
0.8767842Y−255.578625＝０となる。反射鏡直径
は35mm、反射鏡前縁からこま窓までの距離は27.1
mm、照明すべきこま窓は4.14×5.69mm（スーパー
エイト）、結像用レンズは1.5／10とする。組込み
ランプには、発光体の直径が0.9×1.4mmで8V20W
のハロゲンランプを用いる。

【図面の簡単な説明】

第１図は、本考案の反射鏡のやや斜め上方から
見た正面図、第２図は反射鏡の縦断面図、第３ａ
図〜第3c図はそれぞれ照度分布を示す特性曲線で
ある。 １……反射鏡、２ａ〜２ｄ，３ａ〜３ｄ……扇
形領域、K₁，K₂……輪郭縦断面曲線。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 １ ただ１つの光放射部材を有する組み込みラン
   プを備えた映写機系において面を照明するため
   の反射鏡であつて、該反射鏡は少なくとも２つ
   の輪郭面を有し、該輪郭面の縦断面曲線は放射
   光の方向に位置する光学的な共通の軸を有する
   円錐曲線であり、そのうち、該円錐曲線の焦点
   は１点に集まつているかまたは、反射鏡の光学
   軸上ないし光学軸の平行線上で相互に、ただし
   前記光放射部材の寸法より小さな範囲内でずら
   されており、更に、反射鏡が３つより多い扇形
   領域から成り、その際隣接する扇形領域は相異
   なる輪郭面を有しており、前記２つの輪郭面の
   うち、一方の円錐曲線の輪郭面はスポツト照明
   が行われるように、また他方の円錐曲線の輪郭
   面はサドル形照明が行われるように成形されて
   成る、映写機系において面を照明するための反
   射鏡。 ２ 異なる輪郭面を成す部分の面積が等しいかま
   たは面積比が40：60である、実用新案登録請求
   の範囲第１項記載の反射鏡。