JPH05141520A - 自動変速機の油圧制御装置 - Google Patents

自動変速機の油圧制御装置

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JPH05141520A
JPH05141520A JP30073991A JP30073991A JPH05141520A JP H05141520 A JPH05141520 A JP H05141520A JP 30073991 A JP30073991 A JP 30073991A JP 30073991 A JP30073991 A JP 30073991A JP H05141520 A JPH05141520 A JP H05141520A
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JP
Japan
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hydraulic
valve
pressure
clutch
speed
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Application number
JP30073991A
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English (en)
Inventor
Takuji Fujiwara
卓治 藤原
Hiroshi Yoshimura
洋 吉村
Masahito Kitada
正仁 北田
Kenji Okamoto
健治 岡本
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Mazda Motor Corp
Original Assignee
Mazda Motor Corp
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 アキュムレータが設けられていない油圧通路
を通して作動油圧が供給される摩擦締結要素での、ライ
ン圧の脈動に起因する変速時のジャダーの発生を有効に
防止することができる自動変速機の油圧制御装置を提供
する。 【構成】 油圧によって作動する摩擦締結要素21,2
3,24,25,26,27と、油圧機構FSと、デューテ
ィソレノイドバルブ57によって形成されるパイロット
圧に基づいてライン圧を制御するライン圧制御手段Lと
が設けられた自動変速機ATの油圧制御装置であって、
マニュアル操作によって、エンジンブレーキが得られる
変速段にシフトされる変速に際しては、コントロールユ
ニット32によってデューティソレノイドバルブ57の
駆動周波数が通常時より高められ(例えば31.25Hz
→62.5Hz)、アキュムレータが設けられていない油
圧通路77を通して作動油圧が供給されるコーストクラ
ッチ23でのジャダーの発生が防止されるようになって
いることを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、自動変速機の油圧制御
装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】一般に、自動車用の自動変速機にはトル
クコンバータと変速歯車機構とが直列に設けられ、トル
クコンバータはエンジン出力軸のトルクを変速してター
ビンシャフトに伝達し、変速歯車機構は上記タービンシ
ャフトのトルクをさらに変速して駆動輪側に伝達するよ
うになっている。ここで、変速歯車機構は、通常、複数
のギヤを備えたプラネタリギヤシステムからなり、かか
る変速歯車機構には所定のギヤへのトルクの伝達をオン
・オフするクラッチ、あるいは所定のギヤを固定または
解放するブレーキ等の、油圧によって作動する各種摩擦
締結要素が設けられる。そして、これらの各摩擦締結要
素に、各別の油圧通路を介して作動油圧を供給する油圧
機構が設けられ、この油圧機構によって、各摩擦締結要
素のオン・オフ状態ないし固定・解放状態が切り替えら
れ、変速が行なわれるようになっている。
【0003】そして、かかる自動変速機においては、普
通、変速時に摩擦締結要素に供給される作動油圧が急速
に立ち上げられると、該摩擦締結要素が急激に締結さ
れ、エンジン側と駆動輪側との間のトルク伝達量が急変
し、変速ショックが生じるといった問題がある。そこ
で、通常、摩擦締結要素に作動油圧を供給する各油圧通
路には、作動油圧の立ち上がりを緩慢化するアキュムレ
ータが設けられる。しかしながら、主たるトルク伝達経
路とはならない特定の摩擦締結要素、例えば所定の変速
段でエンジンブレーキを得るために設けられ主たるトル
ク伝達経路とはならないコーストクラッチの場合は、こ
れが変速時に急激に締結されたとしてもエンジン側と駆
動輪側との間のトルク伝達量が格別急変するわけではな
いので、変速ショックは生じない。このため、普通、コ
ーストクラッチに作動油圧を供給する油圧通路にはアキ
ュムレータが設けられない(例えば、特開平2−769
68号公報参照)。
【0004】他方、このような自動変速機の油圧機構の
元圧すなわちライン圧は、変速時においては、該変速に
かかわる摩擦締結要素での動力伝達量等に応じた適正な
ものでなければならない。けだし、変速時にライン圧が
必要以上に高い場合には該摩擦締結要素が急激に締結さ
れ、これによって変速ショックが生じてしまうからであ
り、反面ライン圧が低過ぎる場合には該摩擦締結要素の
締結に要する時間が長くなり、迅速な変速動作が行なえ
なくなるとともに、摩擦締結要素の異常摩耗あるいは異
常発熱が生じてしまうからである。
【0005】このため、かかる油圧機構に対して、スロ
ットル開度(エンジン負荷)、タービン回転数(車速)等に
応じてライン圧を制御するライン圧制御手段が設けられ
る。そして、近年多用されている電子制御式の自動変速
機においては、かかるライン圧制御手段は、コントロー
ルユニットから印加される信号に従ってデューティ制御
されるデューティソレノイドバルブによって形成される
制御圧に基づいてライン圧を制御するようになってい
る。つまり、上記制御圧に対応するライン圧が形成され
るようになっている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】このように、デューテ
ィソレノイドバルブによって形成される制御圧に基づい
てライン圧が制御されるライン圧制御手段においては、
普通、1周期内において、コントロールユニットから印
加されるデューティ比に対応する時間だけデューティソ
レノイドバルブが全開され、これ以外は全閉されるとい
った動作が繰り返され、これによってデューティ比に対
応する制御圧が形成され、この制御圧にほぼ比例するラ
イン圧が形成される。そして、かかるライン圧制御手法
によれば、ミクロ的にはデューティソレノイドバルブの
全開状態と全閉状態とが交互に繰り返されることになる
ので、上記制御圧は若干脈動し、これに伴ってライン圧
も若干脈動する。
【0007】そして、このようなライン圧の脈動は、各
摩擦締結要素に供給される作動油圧にも影響を与えるこ
とになるが、アキュムレータが設けられた油圧通路を通
して作動油圧が供給される摩擦締結要素の場合は、アキ
ュムレータによって脈動が緩衝ないし吸収されるので、
とくには不具合は生じない。しかしながら、アキュムレ
ータが設けられていない油圧通路を通して作動油圧が供
給される摩擦締結要素、例えばコーストクラッチの場合
は、締結時に作動油圧の脈動によってジャダー(がたつ
き)が発生し、運転者に不快感を与えるといった問題が
ある。なお、かかるジャダーは、マニュアル操作によっ
てコーストクラッチが締結されるときに、とくに顕著と
なる。本発明は、上記従来の問題点を解決するためにな
されたものであって、アキュムレータが設けられていな
い油圧通路を通して作動油圧が供給される摩擦締結要素
での、ライン圧の脈動に起因するジャダーの発生を有効
に防止することができる自動変速機の油圧制御装置を提
供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達するた
め、第1の発明は、油圧緩衝手段を備えた油圧通路を通
して作動油圧が供給・排出される第1種摩擦締結要素
と、油圧緩衝手段を備えない油圧通路を通して作動油圧
が供給・排出される第2種摩擦締結要素と、変速時に該
変速に対応する所定の摩擦締結要素に作動油圧を供給・
排出して該摩擦締結要素を締結・解放させる油圧機構
と、上記各摩擦締結要素の作動油圧の元圧となるライン
圧を、デューティソレノイドバルブによって形成される
制御圧に基づいて制御するライン圧制御手段とが設けら
れた自動変速機の油圧制御装置において、上記第2種摩
擦締結要素が締結される際には、上記デューティソレノ
イドバルブの駆動周波数を高める周波数変更手段が設け
られていることを特徴とする自動変速機の油圧制御装置
を提供する。
【0009】第2の発明は、第1の発明にかかる自動変
速機の油圧制御装置において、周波数変更手段が、エン
ジンブレーキが得られる変速段へのシフトダウン変速に
際して、駆動周波数を高めるようになっていることを特
徴とする自動変速機の油圧制御装置を提供する。
【0010】第3の発明は、第1の発明にかかる自動変
速機の油圧制御装置において、周波数変更手段が、エン
ジンブレーキが作用しているときに生じるシフトダウン
変速に際して、駆動周波数を高めるようになっているこ
とを特徴とする自動変速機の油圧制御装置を提供する。
【0011】第4の発明は、第2または第3の発明にか
かる自動変速機の油圧制御装置において、周波数変更手
段が、マニュアル操作によって、エンジンブレーキが得
られるレンジにシフトされる変速に際して、駆動周波数
を高めるようになっていることを特徴とする自動変速機
の油圧制御装置を提供する。
【0012】
【実施例】以下、本発明の実施例を具体的に説明する。
図2に示すように、自動車用の自動変速機ATには、エ
ンジン出力軸1のトルク(エンジントルク)を変速してタ
ービンシャフト2に伝達するトルクコンバータ3と、こ
のタービンシャフト2のトルクをさらに変速し、また後
進段が選択されているときには回転を逆転させて出力ギ
ヤ4から駆動輪側に出力する変速歯車機構5とが設けら
れている。ここで、タービンシャフト2はパイプ状に形
成され、その中空部にはエンジン出力軸1に連結された
ポンプシャフト6が配設され、このポンプシャフト6に
よって、変速歯車機構5の後方(図2では左側)に配置さ
れたオイルポンプ7が回転駆動されるようになってい
る。
【0013】トルクコンバータ3は、実質的に、連結部
材8を介してエンジン出力軸1に連結されたポンプ9
と、タービンシャフト2に連結されポンプ9から吐出さ
れる作動油によって回転駆動されるタービン10と、タ
ービン10からポンプ9に還流する作動油をポンプ9の
回転を促進する方向に整流するステータ11とで構成さ
れ、ポンプ9とタービン10の回転数差に応じた変速比
で、エンジン出力軸1のトルクを変速するようになって
いる。ここで、ステータ11はステータ用ワンウェイク
ラッチ12を介して変速機ケース13に固定されてい
る。なお、必要に応じてエンジン出力軸1とタービンシ
ャフト2とを直結させるロックアップクラッチ14が設
けられている。
【0014】変速歯車機構5は、一般に知られた普通の
プラネタリギヤシステムであって、この変速歯車機構5
には、タービンシャフト2に遊嵌された比較的小径のス
モールサンギヤ15と、このスモールサンギヤ15より
後方でタービンシャフト2に遊嵌された比較的大径のラ
ージサンギヤ16と、スモールサンギヤ15と噛み合う
複数のショートピニオンギヤ17(1つのみ図示)と、前
部(図2では右側)がショートピニオンギヤ17と噛み合
い後部がラージサンギヤ16と噛み合うロングピニオン
ギヤ18と、さらにこのロングピニオンギヤ18と噛み
合うリングギヤ19と、ショートピニオンギヤ17とロ
ングピニオンギヤ18とを回転自在に支持するキャリア
20とが設けられている。この変速歯車機構5では、変
速段に応じてスモールサンギヤ15、ラージサンギヤ1
6またはキャリア20がトルク入力部となる一方、どの
変速段でもリングギヤ19がトルク出力部となる。な
お、リングギヤ19は出力ギヤ4に連結されている。
【0015】そして、変速歯車機構5内でのトルク伝達
経路を切り替えるために、すなわち変速比を切り替え、
あるいは出力ギヤ4の回転方向を切り替えるために、複
数のクラッチ及びブレーキが設けられている。具体的に
は、タービンシャフト2とスモールサンギヤ15との間
には、フォワードクラッチ21と第1ワンウェイクラッ
チ22とが直列に介設されるとともに、両クラッチ2
1,22に対して並列にコーストクラッチ23が介設さ
れている。そして、タービンシャフト2とキャリア20
との間には3−4クラッチ24が介設され、タービンシ
ャフト2とラージサンギヤ16との間にはリバースクラ
ッチ25が介設されている。また、ラージサンギヤ16
とリバースクラッチ25との間には、所定の変速段でラ
ージサンギヤ16を固定するための、サーボピストンに
よって作動させられるバンドブレーキからなる2−4ブ
レーキ26が設けられている。さらに、キャリア20と
変速機ケース13'との間には、所定の変速段でキャリ
ア20を固定するローリバースブレーキ27と、キャリ
ア20の反力を受け止める第2ワンウェイクラッチ28
とが並列に介設されている。
【0016】上記各クラッチ21,23,24,25のう
ち、フォワードクラッチ21と3−クラッチ24とリバ
ースクラッチ25とは、所定の変速段で直接的にトルク
を受け渡しをする。これに対して、コーストクラッチ2
3は、所定の変速段でエンジンブレーキを得るために設
けられたクラッチであって、直接的にはトルクの受け渡
しを行なわない。なお、以下では、適宜これらのクラッ
チとブレーキとを 「摩擦締結要素」 と総称する。
【0017】そして、各クラッチ21,23,24,25
と各ブレーキ26,27のオン・オフパターンを組み変
えることによって、表1に示すような各種レンジないし
変速段が得られるようになっている。以下、表1を参照
しつつ、各レンジないし変速段におけるトルク伝達経路
とその変速特性とを説明する。
【0018】
【表1】
【0019】(1)Pレンジ(パーキングレンジ)…すべて
の摩擦締結要素がオフされる。この場合、タービンシャ
フト2のトルクは変速歯車機構5に伝達されない。 (2)Rレンジ(リバースレンジ)…リバースクラッチ25
とローリバースブレーキ27とがオンされ、他の摩擦締
結要素はオフされる。ローリバースブレーキ27がオン
されているので、これと並列に配設された第2ワンウェ
イクラッチ28は、格別の作用を及ぼさない。第1ワン
ウェイクラッチ22は、トルク伝達経路から外れ、格別
の作用を及ぼさない。この場合、タービンシャフト2の
トルクが、リバースクラッチ25を介してラージサンギ
ヤ16に入力される。そして、ローリバースブレーキ2
7によってキャリア20が固定されているので、ラージ
サンギヤ16とロングピニオンギヤ18とリングギヤ1
9とが、この順に噛み合う固定的なギヤ列として機能す
る。したがって、ラージサンギヤ16に入力されたトル
クは、このギヤ列内を上記の順に伝わり、ラージサンギ
ヤ16の歯数とリングギヤ19の歯数とによって決定さ
れる大きな減速比で変速され、出力ギヤ4に出力され
る。このRレンジでは、リングギヤ19(出力ギヤ4)は
ラージサンギヤ16(タービンシャフト2)と反対方向に
回転し、駆動輪が後進側に駆動される。
【0020】(3)Nレンジ(ニュートラルレンジ)…Pレ
ンジの場合と同様である。 (4)Dレンジ(ドライブレンジ)1速…フォワードクラッ
チ21がオンされ、他の摩擦締結要素はオフされる。第
1,第2ワンウェイクラッチ22,28は通常ロック状態
となるが、コースティング時には空転する。この場合、
タービンシャフト2のトルクが、順にフォワードクラッ
チ21と第1ワンウェイクラッチ22とを介してスモー
ルサンギヤ15に入力される。そして、第2ワンウェイ
クラッチ28によってキャリア20が固定されるので、
スモールサンギヤ15とショートピニオンギヤ17とロ
ングピニオンギヤ18とリングギヤ19とが、この順に
噛み合う固定的なギヤ列として機能する。したがって、
スモールサンギヤ15に入力されたトルクは、このギヤ
列内を上記の順に伝わり、スモールサンギヤ15の歯数
とリングギヤ19の歯数とによって決定される大きな減
速比で変速され、出力ギヤ4に出力される。この場合、
リングギヤ19(出力ギヤ4)はスモールサンギヤ15
(タービンシャフト2)と同一方向に回転し、駆動輪が前
進側に駆動される。なお、このDレンジ1速では、第1
ワンウェイクラッチ22の作用によりエンジンブレーキ
は得られない。
【0021】(5)Dレンジ2速…フォワードクラッチ2
1と2−4ブレーキ26とがオンされ、他の摩擦締結要
素はオフされる。第1ワンウェイクラッチ22は通常ロ
ック状態となるが、コースティング時には空転する。な
お、第2ワンウェイクラッチ28は常時空転する。この
場合、ラージサンギヤ16が固定されるので、ロングピ
ニオンギヤ18が、自転しつつラージサンギヤ16まわ
りを公転する。したがって、基本的には上記Dレンジ1
速の場合と同様の経路でトルクが伝達されるが、リング
ギヤ19の回転数がロングピニオンギヤ18の公転分だ
け高くなるので、Dレンジ1速よりはやや減速比が小さ
くなる。なお、このDレンジ2速では、第1ワンウェイ
クラッチ22の作用によりエンジンブレーキは得られな
い。
【0022】(6)Dレンジ3速…フォワードクラッチ2
1とコーストクラッチ23と3−4クラッチ24とがオ
ンされ、他の摩擦締結要素はオフされる。コーストクラ
ッチ23がオンされているので、これと並列に配設され
たフォワードクラッチ21及び第1ワンウェイクラッチ
22は、格別の作用を及ぼさない。なお、第2ワンウェ
イクラッチ28は常時空転する。この場合、スモールサ
ンギヤ15とキャリア20とが、コーストクラッチ23
とタービンシャフト2と3−4クラッチ24とを介し
て、互いにロックされるので、プラネタリギヤシステム
の一般的な性質に従って、すべてのギヤ15〜19とキ
ャリア20とが固定され一体回転するようになり、ター
ビンシャフト2と出力ギヤ4とが直結され、したがって
タービンシャフト2のトルクが変速されずに(減速比1)
出力ギヤ4に伝達される。この場合、出力ギヤ4はター
ビンシャフト2と同一方向に回転し、駆動輪が前進側に
駆動される。なお、直結状態にあるこのDレンジ3速
で、エンジンブレーキが得られるのは当然である。
【0023】(7)Dレンジ4速…フォワードクラッチ2
1と3−4クラッチ24と2−4ブレーキ26とがオン
され、他の摩擦締結要素はオフされる。第1,第2ワン
ウェイクラッチ22,28は常時空転する。なお、第1
ワンウェイクラッチ22が常時空転するので、フォワー
ドクラッチ21はオンされているものの、格別の作用を
及ぼさない。この場合、タービンシャフト2のトルク
が、3−4クラッチ24を介してキャリア20に入力さ
れ、このキャリア20のトルクは、順に、ロングピニオ
ンギヤ18とリングギヤ19とを介して出力ギヤ4に伝
達される。2−4ブレーキ26によってラージサンギヤ
16が固定されているので、ロングピニオンギヤ18
は、自転しつつラージサンギヤ16まわりを公転する。
したがって、リングギヤ19の回転数は、キャリア20
の回転数すなわちタービンシャフト2の回転数より、ロ
ングピニオンギヤ18の自転分だけ高くなり、変速歯車
機構5はオーバードライブ(増速)状態となる。なお、リ
ングギヤ19(出力ギヤ4)はキャリア20(タービンシ
ャフト2)と同一方向に回転し、駆動輪が前進側に駆動
される。
【0024】(8)2レンジ1速…Dレンジ1速の場合と
同様である。 (9)2レンジ2速…フォワードクラッチ21とコースト
クラッチ23と2−4ブレーキ26とがオンされ、他の
摩擦締結要素はオフされる。コーストクラッチ23がオ
ンされているので、これと並列に配設されたフォワード
クラッチ21及び第1ワンウェイクラッチ22は、格別
の作用を及ぼさない。この場合、トルク伝達経路及び変
速特性は、基本的にはDレンジ2速の場合と同様である
が、第1ワンウェイクラッチ22が働かないので、エン
ジンブレーキが得られることになる。
【0025】(10)2レンジ3速…Dレンジ3速の場合
と同様である。 (11)1レンジ1速…フォワードクラッチ21とコース
トクラッチ23とローリバースブレーキ27とがオンさ
れ、他の摩擦締結要素はオフされる。コーストクラッチ
23がオンされているので、これと並列に配設されたフ
ォワードクラッチ21及び第1ワンウェイクラッチ22
は、格別の作用を及ぼさず、またローリバースブレーキ
27がオンされているので、これと並列に配設された第
2ワンウェイクラッチ28も、格別の作用を及ぼさな
い。この場合、トルク伝達経路及び変速特性は、基本的
にはDレンジ1速の場合と同様であるが、第1,第2ワ
ンウェイクラッチ22,28が働かないので、エンジン
ブレーキが得られることになる。 (12)1レンジ2速…2レンジ2速の場合と同様であ
る。
【0026】以下、変速歯車機構5の各摩擦締結要素を
オン・オフ作動させる油圧機構を説明する。図3〜図7
に示すように、油圧機構FSは、実質的に、油圧機構F
Sのライン圧(元圧)を制御するライン圧制御手段Lと、
夫々所定の部材に油圧を供給しまたはこれをリリースす
る多数の油圧通路からなる油圧通路網Mと、セレクトレ
バー(図示せず)のセレクト操作に対応してシフトされ作
動油圧の供給経路を切り替えるマニュアルバルブ31
と、マニュアルバルブ31のシフト位置と車両の運転状
態(例えば、車速とスロットル開度)とに応じて、コント
ロールユニット32によってシフトされる3つのシフト
バルブ33〜35と、所定の摩擦締結要素への油圧の供
給ないしリリースを緩衝させるための4つのアキュムレ
ータ36〜39と、所定の摩擦締結要素への油圧の供給
またはリリースのタイミングを調整する3つのタイミン
グバルブ41〜43及びバイパスバルブ44と、トルク
コンバータ3及びロックアップクラッチ14への油圧の
供給を制御するロックアップ制御手段Uと、油圧通路網
Mの所定の部分の流動抵抗を調節するための多数のオリ
フィス及びワンウェイバルブ等で構成されている。上記
オリフィス及びワンウェイバルブは、一般に用いられる
マークで図示されているが、個々には番号を付していな
い。なお、コントロールユニット32は請求項1〜請求
項4に記載された「周波数変更手段」を含む、自動変速機
ATの総合的な制御手段である。
【0027】そして、セレクトされたレンジ(P,R,N,
D,2,1レンジ)と車両の運転状態とに応じて、油圧機
構FSによって、各摩擦締結要素にかかる作動油圧が制
御され、変速歯車機構5の変速段の切り替えが行なわれ
るようになっている。ここで、2−4ブレーキ26は、
アプライポート26aとリリースポート26bとを備えた
サーボピストンタイプのバンドブレーキであって、アプ
ライポート26aのみに油圧がかけられているときにオ
ン(ブレーキ作動)され、両ポート26a,26bともに油
圧がかけられているときまたはともに油圧がリリースさ
れているときにはオフ(ブレーキ解放)される。その他
の摩擦締結要素は、すべて油圧がかけられたときにオン
され、油圧がリリースされたときにオフされる。
【0028】ライン圧制御手段Lは、基本的には、プレ
ッシャレギュレータバルブ50によって、パイロット圧
(制御圧)にほぼ比例するライン圧を、ライン圧供給通路
51内に形成するようになっている。そして、このライ
ン圧供給通路51内のライン圧はマニュアルバルブ31
等に供給されるようになっている。なお、ライン圧供給
通路51内の作動油は、プレッシャレギュレータバルブ
50から、リリーフバルブ52を備えたトルクコンバー
タ油路53を介して、トルクコンバータ3にも供給され
るようになっている。
【0029】プレッシャレギュレータバルブ50に供給
されるパイロット圧は、減圧弁54と、モジュレータバ
ルブ55と、ライン圧制御用アキュムレータ56と、コ
ントロールユニット32によってデューティ制御される
ライン圧制御用デューティソレノイドバルブ57とによ
って形成されるようになっている。なお、パイロット圧
は、請求項1に記載された「制御圧」に相当する。具体的
には、ライン圧供給通路51内の油圧(ライン圧)が、減
圧弁54によって減圧された後、減圧油路58を介して
モジュレータバルブ55の入力ポート55aに入力され
る。また、減圧油路58内の油圧は、デューティ圧通路
59を介してモジュレータバルブ55のコントロールポ
ート55bにも導入される。ここで、コントロールポー
ト55bにかかる油圧は、コントロールユニット32か
ら入力されるデューティ比に応じて開閉されるライン圧
制御用デューティソレノイドバルブ57によって制御さ
れる。なお、デューティ比は、後で説明するように、コ
ントロールユニット32によって、スロットル開度、車
速、セレクトレンジ、変速段等に応じて所定の方法で設
定される。
【0030】ここで、デューティソレノイドバルブ57
は、コントロールユニット32によって所定の駆動周波
数で駆動され、各駆動周期内においては、駆動周期にデ
ューティ比を乗じて得られる時間だけ全開され、残りの
時間は全閉され、これによってマクロ的にはデューティ
比に対応する開度で開弁されているのと同じ状態とな
り、デューティ比に対応するパイロット圧が形成される
ようになっている。しかしながら、デューティソレノイ
ドバルブ57は、ミクロ的には全閉状態と全閉状態とを
交互に繰り返すことになるので、かかるデューティソレ
ノイドバルブ57によって形成されるパイロット圧は、
基本的には若干脈動し、これに伴ってパイロット圧にほ
ぼ比例するライン圧も若干脈動することになる。
【0031】かかるパイロット圧の脈動は、デューティ
ソレノイドバルブ57の駆動周波数を高めることによっ
て低減することができる。しかしながら、駆動周波数を
高めると、その分だけデューティソレノイドバルブ57
の開閉回数が多くなり、その耐久性の低下を招くことに
なる。そこで、本実施例では、後で説明するように、コ
ントロールユニット32によって、通常時にはデューテ
ィソレノイドバルブ57を比較的低周波数(31.25H
z)で駆動してデューティソレノイドバルブ57の耐久性
を高める一方、パイロット圧(ライン圧)の脈動をとくに
低減する必要がある場合、例えばマニュアル操作によ
り、コーストクラッチ23が締結される変速段に変速す
るような場合には、比較的高周波数(62.5Hz)で駆動
してライン圧の脈動を低減し、これによってコーストク
ラッチ23でのジャダーの発生等を防止するようにして
いる。
【0032】そして、コントロールポート55bにかか
る油圧に対応する油圧が、パイロット圧としてモジュレ
ータバルブ55からパイロット圧通路61に出力され
る。ここで、パイロット圧通路61内の油圧(パイロッ
ト圧)の脈動は、ライン圧制御用アキュムレータ56に
よって低減される。このようにして形成されたパイロッ
ト圧が、プレッシャレギュレータバルブ50に供給さ
れ、このパイロット圧に比例するライン圧がライン圧供
給通路51に形成される。なお、パイロット圧通路61
内のパイロット圧は、後で説明するカットバックバルブ
62にも供給されるようになっている。
【0033】マニュアルバルブ31は、セレクトレバー
(図示せず)のセレクト操作と連動してシフトされ、セレ
クトされたレンジに応じて、ライン圧供給通路51を所
定の油圧供給通路と連通させるようになっている。具体
的には、ライン圧供給通路51を、Dレンジ及び2レン
ジでは第1,第2メイン油圧供給通路63,64と連通さ
せ、1レンジでは第1,第3メイン油圧供給通路63,6
5と連通させ、Rレンジではリバースレンジ用油圧供給
通路66と連通させ、Pレンジ及びNレンジでは上記油
圧供給通路63〜66のどれとも連通させないようにな
っている。
【0034】ここで、第1メイン油圧供給通路63は1
−2シフトバルブ用油圧通路63aとフォワードクラッ
チ用油圧通路63bとに分岐し、1−2シフトバルブ用
油圧通路63aは1−2シフトバルブ33の第1入力ポ
ート33aに接続され、フォワードクラッチ用油圧通路
63bはさらに分岐して、3−4シフトバルブ35の第
1入力ポート35aとフォワードクラッチ21とに接続
されている。第2メイン油圧供給通路64は、2−3シ
フトバルブ34の第1入力ポート34aに接続されてい
る。第3メイン油圧供給通路65は、ローレデューシン
グバルブ67(減圧弁)とボールバルブ68とを介して、
後で説明する第2分岐油圧通路66bに集合された後、
1−2シフトバルブ33の第2入力ポート33bに接続
されている。リバースレンジ用油圧供給通路66は、第
1分岐油圧供給通路66aと、1−2シフトバルブ用通
路66bとに分岐し、第1分岐油圧供給通路66aはリバ
ースクラッチ25に接続され、1−2シフトバルブ用通
路66bは上記ボールバルブ68を介して1−2シフト
バルブ33の第2入力ポート33bに接続されている。
【0035】各シフトバルブ33〜35は、夫々、基本
的にはコントロールユニット32によって制御され、入
力ポートから入力される油圧を、セレクトされたレンジ
と変速段とに応じて、所定の出力ポートから出力して所
定の摩擦締結要素に供給し、あるいはリリースするよう
になっている。具体的には、1−2シフトバルブ33に
は、前記した第1,第2入力ポート33a,33bと、第
1,第2出力ポート33c,33dとが設けられ、第1出力
ポート33cはアプライポート用油圧通路71を介して
2−4ブレーキ26のアプライポート26aに接続さ
れ、第2出力ポート33dはローリバースブレーキ用油
圧通路72を介してローリバースブレーキ27に接続さ
れている。
【0036】2−3シフトバルブ34には、前記した第
1入力ポート34aと、第2入力ポート34bと、第1,
第2出力ポート34c,34dとが設けられ、第2入力ポ
ート34bは第1接続通路73を介して3−4シフトバ
ルブ35の第1出力ポート35cに接続され、第1出力
ポート34cは3−4クラッチ用油圧通路74を介して
3−4クラッチ24に接続され、第2出力ポート34d
は第2接続通路75とボールバルブ76と後で説明する
コーストクラッチ用油圧通路77とを介してコーストク
ラッチ23に接続されている。また、3−4クラッチ用
油圧通路74から分岐する第3接続通路78が設けら
れ、この第3接続通路78は3−4シフトバルブ35の
第2入力ポート35bに接続されている。
【0037】3−4シフトバルブ35には、前記した第
1,第2入力ポート35a,35b及び第1出力ポート35
cと、第2出力ポート35dとが設けられ、第2出力ポー
ト35dは、リリースポート用油圧通路81を介して2
−4ブレーキ26のリリースポート26bに接続される
とともに、コーストクラッチ用油圧通路77を介してコ
ーストクラッチ23に接続されている。なお、リリース
ポート用油圧通路81とコーストクラッチ用油圧通路7
7とは、第2出力ポート35d近傍では1本に集合され
ている。
【0038】各シフトバルブ33,34,35は、夫々、
バルブスプール33v,34v,35vの位置を、オン位置
またはオフ位置に切り替えることによって、シフトバル
ブ内での油圧伝達経路を切り替えられるようになってい
る。ここで、オン位置とは図5,図6において右寄りの
位置であり、オフ位置とは左寄りの位置である。なお、
図5,図6中において、各バルブスプール33v,34v,
35vの中心線より上側の部分はオン位置をとった状態
を示し、中心線より下側の部分はオフ位置をとった状態
を示している。そして、各バルブスプール33v,34v,
35vは、各シフトバルブ33,34,35の右側端部に
設けられたコントロール油室33s,34s,35sに油圧
(パイロット圧)がかけられたときにはオフ位置をとり、
このパイロット圧がリリースされたときにはオン位置を
とるようになっている。
【0039】1−2シフトバルブ33のコントロール油
室33sには、ライン圧供給通路51から分岐する第1
コントロール用油圧通路82が接続され、この第1コン
トロール用油圧通路82には、コントロールユニット3
2によってオン・オフされる第1ソレノイドバルブ83
が介設されている。そして、第1ソレノイドバルブ83
がオンされたときには、第1コントロール用油圧通路8
2内のパイロット圧がリリースされ、これに伴ってコン
トロール油室33s内のパイロット圧がリリースされ、
バルブスプール33vがオン位置をとる。このとき、第
1出力ポート33cは第1入力ポート33aと連通し、第
2出力ポート33dは、ドレンポート(×印がつけられて
いる)と連通して開放される。他方、第1ソレノイドバ
ルブ83がオフされたときには、コントロール油室33
sにパイロット圧がかけられ、バルブスプール33vはオ
フ位置をとる。このとき、第1出力ポート33cは開放
され、第2出力ポート33dは第2入力ポート33bと連
通する。
【0040】2−3シフトバルブ34のコントロール油
室34sには、フォワードクラッチ用油圧通路63bから
分岐する第2コントロール用油圧通路84が接続され、
この第2コントロール用油圧通路84に、コントロール
ユニット32によってオン・オフされる第2ソレノイド
バルブ85が介設されている。この場合も、1−2シフ
トバルブ33の場合と同様に、第2ソレノイドバルブ8
5のオン・オフに対応して、バルブスプール34vがオ
ン位置またはオフ位置をとる。ここで、バルブスプール
34vがオン位置をとったときには、第1出力ポート3
4cは開放され、第2出力ポート34dは第2入力ポート
34bと連通する。他方、バルブスプール34vがオフ位
置をとったときには、第1出力ポート34cは第1入力
ポート34aと連通し、第2出力ポート34dは開放され
る。
【0041】3−4シフトバルブ35のコントロール油
室35sには、第2コントロール用油圧通路84から分
岐する第3コントロール用油圧通路86が接続され、こ
の第3コントロール用油圧通路86に、コントロールユ
ニット32によってオン・オフされる第3ソレノイドバ
ルブ87が介設されている。この場合も、1−2シフト
バルブ33の場合と同様に、第3ソレノイドバルブ87
のオン・オフに対応して、バルブスプール35vがオン
位置またはオフ位置をとる。ここで、バルブスプール3
5vがオン位置をとったときには、第1,第2出力ポート
35c,35dはともに開放される。他方、バルブスプー
ル35vがオフ位置をとったときには、第1出力ポート
35cは第1入力ポート35aと連通し、第2出力ポート
35dは第2入力ポート35bと連通する。
【0042】そして、前記したとおり、摩擦締結要素に
急激に作動油圧が供給されあるいはリリースされると変
速ショックが生じるので、作動油圧の立ち上がりないし
リリースを若干緩慢化するために、所定の油圧通路には
アキュムレータが設けられている。具体的には、アプラ
イポート用油圧通路71に対して1−2アキュムレータ
36が設けられ、1−2シフトバルブ用通路66bに対
してN−Rアキュムレータ37が設けられ、フォワード
クラッチ用油圧通路63bに対してN−Dアキュムレー
タ38が設けられ、3−4クラッチ用油圧通路74に対
して2−3アキュムレータ39が設けられている。な
お、各アキュムレータ36〜39には、夫々、ライン圧
供給通路51から分岐する背圧通路89を介して、ライ
ン圧が背圧として供給されるようになっている。
【0043】したがって、フォワードクラッチ21と、
3−4クラッチ24と、リバースクラッチ25と、2−
4ブレーキ26と、ローリバースブレーキ27とに作動
油圧を供給ないしリリースする各油圧通路に対しては、
アキュムレータが設けられていることになる。つまり、
直接的にトルクの受け渡しをするクラッチないしブレー
キに対しては、変速ショックの発生を防止するためにア
キュムレータが設けられているわけである。なお、これ
らのアキュムレータ36〜39は、夫々、請求項1に記
載された「油圧緩衝手段」に相当する。
【0044】しかしながら、所定の変速段でエンジンブ
レーキを得るために設けられるコーストクラッチ23
は、直接的にはトルクの受け渡しを行なわないので、該
コーストクラッチ23に作動油圧を供給ないしリリース
するためのコーストクラッチ用油圧通路77に対しては
アキュムレータが設けられていない。このため、コース
トクラッチ23が締結される変速段への変速時には、と
くにマニュアル操作によってかかる変速が行なわれる場
合には、ライン圧の脈動に伴ってコーストクラッチ用油
圧通路77内の作動油圧も脈動し、これによってコース
トクラッチ23にジャダーが生じてしまうことになる。
そこで、本実施例では、前記したとおり、このような場
合にはデューティソレノイドバルブ57の駆動周波数を
通常時より高めてライン圧の脈動を低減し、ジャダーの
発生を防止するようにしている。
【0045】また、後で説明するように、レンジないし
変速段の切り替え時において、変速歯車機構5に内部ロ
ック(ダブルロック)が生じないように、所定の摩擦締結
要素のオン・オフタイミングを調整する3−2タイミン
グバルブ41と2−3タイミングバルブ42とコースト
タイミングバルブ43とバイパスバルブ44とが設けら
れている。
【0046】ロックアップ制御手段Uは、ロックアップ
シフトバルブ91とロックアップコントロールバルブ9
2と、第1,第2ロックアップ制御用ソレノイドバルブ
93,94とを備えた普通のロックアップ機構であっ
て、作動油供給通路95を介してトルクコンバータ3に
作動油を供給するとともにトルクコンバータ3内の作動
油を作動油戻り通路96を介してオイルクーラ97に案
内し、かつ必要に応じてロックアップクラッチ用油圧通
路98を介してロックアップクラッチ14に油圧を供給
するようになっている。
【0047】かかる油圧機構FSによって、マニュアル
バルブ31のレンジ位置と、第1〜第3ソレノイドバル
ブ83,85,87のオン・オフ状態とに応じて、各摩擦
締結要素への油圧のオン・オフが制御され、前記表1に
示すような各種レンジないし変速段が得られるようにな
っている。表2に、各レンジ(P,R,N,D,2,1レン
ジ)ないし変速段に対応する第1〜第3ソレノイドバル
ブ83,85,87のオン・オフパターンを示す。なお、
PレンジまたはNレンジでは、マニュアルバルブ31か
ら、第1〜第3メイン油圧供給通路63〜65及びリバ
ースレンジ用油圧供給通路66のいずれにも油圧が供給
されないので、第1〜第3ソレノイドバルブ83,85,
87のオン・オフ状態にかかわりなく、どの摩擦締結要
素にも油圧が供給されない。したがって、すべての摩擦
締結要素がオフされ、変速歯車機構5は中立状態とな
り、トルクを伝達しない。
【0048】以下、表2を参照しつつ、各走行レンジ
(R,D,2,1レンジ)ないし変速段における、油圧機構
FS内での油圧の伝達経路を説明する。
【0049】
【表2】
【0050】(1)Rレンジ…マニュアルバルブ31はR
レンジ位置をとり、第1,第2ソレノイドバルブ83,8
5はオフされ、第3ソレノイドバルブ87はオンされ
る。この場合、リバースレンジ用油圧供給通路66に油
圧が供給され、この油圧が第1分岐油圧供給通路66a
を介してリバースクラッチ25に供給され、リバースク
ラッチ25がオンされる。また、リバースレンジ用油圧
供給通路66内の油圧は、順に、1−2シフトバルブ用
通路66bと、1−2シフトバルブ33の第2入力ポー
ト33bと、第2出力ポート33dと、ローリバースブレ
ーキ用油圧通路72とを介してローリバースブレーキ2
7に供給され、ローリバースブレーキ27がオンされ
る。他の摩擦締結要素は油圧が供給されないのでオフさ
れる。 (2)Dレンジ1速…マニュアルバルブ31はDレンジ位
置(図5はこの状態を示す)をとり、第1,第2メイン油
圧供給通路63,64に油圧が供給される。なお、これ
は以下のDレンジ2〜4速でも同様である。そして、第
1ソレノイドバルブ83はオフされ、第2,第3ソレノ
イドバルブ85,87はオンされる。この場合、第1メ
イン油圧供給通路63内の油圧が、フォワードクラッチ
用油圧通路63bを介してフォワードクラッチ21に供
給され、フォワードクラッチ21がオンされる。また、
各シフトバルブ33〜35のどの出力ポートからも油圧
が出力されないので、他の摩擦締結要素はオフされる。
【0051】(3)Dレンジ2速…第1〜第3ソレノイド
バルブ83,85,87はすべてオンされる。この場合、
Dレンジ1速の場合と同様にフォワードクラッチ21が
オンされる。さらに、第1メイン油圧供給通路63内の
油圧が、順に、1−2シフトバルブ用油圧通路63a
と、1−2シフトバルブ33の第1入力ポート33a
と、第1出力ポート33cと、アプライポート用油圧通
路71とを介して2−4ブレーキ26のアプライポート
26aに供給される。このとき、リリースポート26bに
油圧が供給されないので、2−4ブレーキ26がオンさ
れる。他の摩擦締結要素は油圧が供給されないのでオフ
される。
【0052】(4)Dレンジ3速…第1ソレノイドバルブ
83はオンされ、第2,第3ソレノイドバルブ85,87
はオフされる。この場合、Dレンジ2速の場合と同様
に、フォワードクラッチ21がオンされ、かつアプライ
ポート26aに油圧が供給される。しかしながら、後で
説明するように、リリースポート26bにも油圧が供給
されるので、2−4ブレーキ26はオフされる。そし
て、第2メイン油圧供給通路64内の油圧が、順に、2
−3シフトバルブ34の第1入力ポート34aと、第1
出力ポート34cと、3−4クラッチ用油圧通路74と
を介して3−4クラッチ24に供給され、3−4クラッ
チ24がオンされる。また、3−4クラッチ用油圧通路
74内の油圧が、順に、第3接続通路78と、3−4シ
フトバルブ35の第2入力ポート35bと、第2出力ポ
ート35dと、コーストクラッチ用油圧通路77とを介
してコーストクラッチ23に供給され、コーストクラッ
チ23がオンされる。さらに、上記第2出力ポート35
dの油圧が、リリースポート用油圧通路81を介して2
−4ブレーキ26のリリースポート26bに供給され、
前記したとおり、2−4ブレーキ26がオフされる。な
お、リバースクラッチ25とローリバースブレーキ27
とは、油圧が供給されないのでオフされる。
【0053】(5)Dレンジ4速…第1,第3ソレノイド
バルブ83,87はオンされ、第2ソレノイドバルブ8
5はオフされる。この場合、Dレンジ2速の場合と同様
に、フォワードクラッチ21と2−4ブレーキ26とが
オンされる。また、Dレンジ3速の場合と同様に、3−
4クラッチがオンされる。他の摩擦締結要素は油圧が供
給されないのでオフされる。 (6)2レンジ1速…マニュアルバルブ31は2レンジ位
置をとるが、摩擦締結要素への油圧の伝達経路はDレン
ジ1速の場合と同様である。
【0054】(7)2レンジ2速…第1,第2ソレノイド
バルブ83,85はオンされ、第3ソレノイドバルブ8
7はオフされる。この場合、Dレンジ2速の場合と同様
に、フォワードクラッチ21と2−4ブレーキ26とが
オンされる。さらに、フォワードクラッチ用油圧通路6
3b内の油圧が、順に、3−4シフトバルブ35の第1
入力ポート35aと、第1出力ポート35cと、第1接続
通路73と、2−3シフトバルブ34の第2入力ポート
34bと、第2出力ポート34dと、第2接続通路75
と、ボールバルブ76と、コーストクラッチ用油圧通路
77とを介してコーストクラッチ23に供給され、コー
ストクラッチ23がオンされる。他の摩擦締結要素は、
油圧が供給されないのでオフされる。 (8)2レンジ3速…Dレンジ3速の場合と同様である。
【0055】(9)1レンジ1速…マニュアルバルブ31
は1レンジ位置をとり、第1,第3メイン油圧供給通路
63,65に油圧が供給される。第1,第3ソレノイドバ
ルブ83,87はオフされ、第2ソレノイドバルブ85
はオンされる。この場合、Dレンジ1速の場合と同様に
フォワードクラッチ21がオンされ、また2レンジ2速
の場合と同様にコーストクラッチ23がオンされる。さ
らに、第3メイン油圧供給通路65内の油圧が、順に、
ローレデューシングバルブ67と、ボールバルブ68
と、1−2シフトバルブ用通路66bと、1−2シフト
バルブ33の第2入力ポート33bと、第2出力ポート
33dと、ローリバースブレーキ用油圧通路72とを介
してローリバースブレーキ27に供給され、ローリバー
スブレーキ27がオンされる。他の摩擦締結要素は、油
圧が供給されないのでオフされる。 (10)1レンジ2速…マニュアルバルブ31は1レンジ
位置をとるが、摩擦締結要素への油圧伝達経路は2レン
ジ2速の場合と同様である。
【0056】このように、表2に示すようなソレノイド
バルブのオン・オフパターンに対応して、表1に示すよ
うな摩擦締結要素のオン・オフパターンが得られ、所定
のレンジないし変速段が得られる。
【0057】ところで、油圧機構FSには、所定の変速
時において、内部ロック等の発生を防止するために所定
の摩擦締結要素のオン・オフタイミングを調整するタイ
ミングバルブ41〜43及びバイパスバルブ44が設け
られている。コーストタイミングバルブ43は、上流端
が3−4シフトバルブ35の第2出力ポート35dに接
続されたコーストクラッチ用油圧通路77に介設されて
いる。なお、第2出力ポート35d近傍では、コースト
クラッチ用油圧通路77とリリースポート用油圧通路8
1とが集合されており、両通路77,81は分岐部10
1(図8参照)から下流側(ブレーキ側ないしクラッチ側)
で、夫々独立して形成されている。
【0058】そして、第2出力ポート35dから分岐部
101に至る油圧通路77(81)には、2−3タイミン
グバルブ42が介設されている。この2−3タイミング
バルブ42は、2速から3速へのシフトアップ時におい
て、3−4クラッチ用油圧通路74内の油圧の立ち上が
りに対応させて、リリースポート用油圧通路81ないし
コーストクラッチ用油圧通路77に油圧を供給する。な
お、第2出力ポート35dから分岐部101に至る油圧
通路77,81には、2−3タイミングバイパス42が
介設された上記経路とは並列に、バイパス通路102が
設けられ、このバイパス通路102にワンウェイオリフ
ィス103が介設されている。なお、バイパスバルブ4
4は、2速から3速へのシフトアップ時に、3−4クラ
ッチ24がオンされるタイミングを調整する。また、3
−2タイミングバルブ41は、3速から2速へのシフト
ダウン時等において2−4ブレーキ26等のオン・オフ
タイミングを調整する。
【0059】以下、コーストタイミングバルブ43につ
いて説明する。図8に示すように、コーストタイミング
バルブ43より上流側(3−4シフトバルブ側)のコース
トクラッチ用油圧通路77a(以下、これを上流側コース
トクラッチ用油圧通路77aという)は、コーストタイミ
ングバルブ43の入力ポート43a及びタイミングコン
トロールポート43cに接続されている。ここで、タイ
ミングコントロールポート43cは、図8中においてコ
ーストタイミングバルブ43の左端部に形成された左側
油室43eと連通している。以下では、便宜上、コース
トタイミングバルブ43の図8中における「左・右」を単
に「左・右」という。そして、コーストタイミングバルブ
43より下流側(コーストクラッチ側)のコーストクラッ
チ用油圧通路77b(以下、これを下流側コーストクラッ
チ用油圧通路77bという)は、コーストタイミングバル
ブ43の出力ポート43bに接続されている。なお、上
流側コーストクラッチ用油圧通路77aと下流側コース
トクラッチ用油圧通路77bとは、ボールバルブ43fが
介設された接続油圧通路77cを介して直接的に接続さ
れている。
【0060】そして、コーストタイミングバルブ43に
は、左右に摺動できるようになったバルブスプール43
vが設けられ、このバルブスプール43vはスプリグ43
dによって右向きに付勢されている。また、コーストタ
イミングバルブ43の右端部にはコントロール油室43
sが設けられ、このコントロール油室43sにはフォワー
ドクラッチ用油圧通路63b内の油圧(ほぼライン圧)が
供給されるようになっている。
【0061】ここで、2速または4速においては、3−
4シフトバルブ35からリリースポート用油圧通路81
及び上流側コーストクラッチ用油圧通路77aには油圧
が供給されない。このため、バルブスプール43vはコ
ントロール油室43s内の油圧によって左側に押し付け
られ、このとき入力ポート43aと出力ポート43bとは
遮断される。なお、このとき2−4ブレーキ26のアプ
ライポート26aに油圧が供給され、2−4ブレーキ2
6がオンされているのはもちろんである。
【0062】この状態から3速にシフトされると、基本
的には、3−4シフトバルブ35の第2出力ポート35
dからリリースポート用油圧通路81及び上流側コース
トクラッチ用油圧通路77aに油圧が供給される。な
お、2速から3速へのシフトアップの場合には、前記し
たとおり、2−3タイミングバルブ42の作用により、
3−4クラッチ用油圧通路74内の油圧に対応して、リ
リースポート用油圧通路81ないし上流側コーストクラ
ッチ用油圧通路77aに油圧が供給される。ここで、互
いに連通するリリースポート用油圧通路81と上流側コ
ーストクラッチ用油圧通路77aの油圧がほぼ等しくな
るのはもちろんである。このとき、リリースポート26
bにはすぐに油圧が供給され始めるが、入力ポート43a
と出力ポート43bとが遮断されているので、下流側コ
ーストクラッチ用油圧通路77b(コーストクラッチ2
3)にはすぐには油圧が供給されない。この後、リリー
スポート26b内の油圧が上昇して所定値以上となる
と、2−4ブレーキ26がオフされるが、この間入力ポ
ート43aと出力ポート43bとは互いに連通しない。こ
の後、さらに上流側コーストクラッチ用油圧通路77a
の油圧が上昇し、左側油圧43e内の油圧が上昇し、バ
ルブスプール43vが右向きに移動させられ、入力ポー
ト43aと出力ポート43bとが連通し、下流側コースト
クラッチ用油圧通路77bに油圧が供給され、コースト
クラッチがオンされる。したがって、確実に2−4ブレ
ーキがオフされた後でコーストクラッチ23がオンされ
るので、変速歯車機構5に内部ロックが生じない。
【0063】ところで、上記構成において、例えばDレ
ンジ4速で走行中に、マニュアル操作によりセレクトレ
バーを2レンジにシフトしたような場合、あるいはDレ
ンジのホールド操作を行なったような場合には、強制的
に3速にマニュアルシフトダウンされることになる。そ
して、このような場合には、従来の自動変速機では、前
記したとおり、ライン圧の脈動によってコーストクラッ
チにジャダーが発生するといった問題があった。また、
ライン圧の一時的な低下により変速操作に時間がかかり
応答性の悪化を招くといった問題があった。そこで、本
実施例では、かかるマニュアルシフトダウン時には、コ
ントロールユニット32によって、以下で説明するよう
なライン圧制御を行ない、締結ショックを生じさせるこ
となく変速の応答性を高め、かつコーストクラッチ23
でのジャダーの発生を防止するようにしている。以下、
図9に示すフローチャートに従って、適宜図2〜図8を
参照しつつ、上記ライン圧制御の制御方法を説明する。
【0064】制御が開始されると、ステップ#1で、セ
レクトされているレンジ、タービン回転数Nt、アイド
ルスイッチ信号等の各種制御情報が読み込まれ、続いて
ステップ#2で、レンジがDレンジからN,D,Rレンジ
以外のレンジにシフトされたか否かが比較・判定され
る。ここで、N,D,Rレンジ以外のレンジにシフトされ
ていなければ(NO)、マニュアルシフトダウンは起こら
ないので、ステップ#1に復帰する。
【0065】ステップ#2で、N,D,Rレンジ以外のレ
ンジにシフトされていると判定されれば(YES)、ステ
ップ#3でアイドルスイッチ信号がオンであるか否かが
比較・判定される。ここで、アイドルスイッチ信号がオ
ンでなければ(NO)、運転者がアクセルペダルを踏み込
んでおり、該変速はマニュアルシフトダウンではないと
考えられるので、ステップ#13で一般に行なわれてい
る通常の変速時用のライン圧制御が行なわれる。この場
合、ライン圧制御用デューティソレノイドバルブ57の
駆動周波数は比較的低周波数の31.25Hzに設定され
る。すなわち、ライン圧が脈動してもとくに不具合は生
じないので、駆動周波数を低くしてデューティソレノイ
ドバルブ57の耐久性を高めるようにしている。なお、
駆動周波数が31.25Hzに限定されるものではないの
はもちろんである。この後ステップ#1に復帰する。
【0066】他方、ステップ#3で、アイドルスイッチ
信号がオンであると判定されれば(YES)、該変速がマ
ニュアルシフトダウンであると考えられるので、以下の
ステップ#4〜ステップ#12でマニュアルシフトダウ
ン時用のライン圧制御が行なわれる。なお、以下では便
宜上Dレンジ4速から2レンジ3速へのマニュアルシフ
トダウンの場合を例にとって説明する。この場合、まず
ステップ#4で、今回のタービン回転数Ntが、シフト
ダウン開始時における回転数Nts(以下、これを基準回
転数Ntsという)として記憶され、続いてステップ#5
でライン圧制御用デューティソレノイドバルブ57に印
加されるデューティ比が0%に設定される。これによっ
て、モジュレータバルブ55のコントロールポート55
b内の油圧が高められ、モジュレータバルブ55からプ
レッシャレギュレータバルブ50に供給されるパイロッ
ト圧が上昇し、ライン圧が所定値まで高められる。この
ようにするのは、マニュアルシフトダウン初期において
は、コーストタイミングバルブ43の作用によりすぐに
はコーストクラッチ23がオンされず、したがってこの
時期には締結ショックが生じるおそれがないので、ライ
ン圧を高めてリリースポート26bへの油圧の供給を促
進し、2−4ブレーキ26のオフタイミングを早めて変
速の応答性を高めるためである。
【0067】次に、ステップ#6でタービン回転数Nt
が読み込まれ、ステップ#7でタービン回転数Ntの時
間に対する変化率(以下、これをNt変化率という)が演
算される。そして、ステップ#8でNt変化率が0より
大きいか否かが比較・判定される。ここで、Nt変化率
が0より大きくなければ(NO)、ステップ#6〜ステッ
プ#8が繰り返し実行され、ライン圧が所定値まで高め
られた状態が継続される。すなわち、4速から3速への
マニュアルシフトダウン時においては、シフトダウン操
作が開始されるとすぐにリリースポート26bへの油圧
の供給が開始され、2−4ブレーキ26がゆるみ始め、
タービン回転数Ntが低下し始める。そして、コースト
クラッチ23への油圧の供給が開始された時点からター
ビン回転数Ntが上昇に転じることになる。したがっ
て、タービン回転数が上昇に転ずるまではコーストクラ
ッチ23がオンされることがないので、変速の応答性を
高めるためにライン圧を高めておくようにしている。
【0068】ステップ#8で、Nt変化率が0より大き
いと判定されれば(YES)、ステップ#9でライン圧制
御用デューティソレノイドバルブ57に印加されるデュ
ーティ比が100%に設定される。すなわち、モジュレ
ータバルブ55のコントロールポート55b内の油圧が
下げられ、プレッシャレギュレータバルブ50のパイロ
ット圧が低下し、ライン圧が所定値まで下げられる。こ
のようにライン圧を低下させるのは、コーストクラッチ
23の締結初期における動作を緩衝して締結ショックの
発生を防止するためである。
【0069】次に、ステップ#10でタービン回転数N
tが読み込まれ、続いてステップ#11で該タービン回
転数Ntが、ステップ#4で記憶された基準回転数Nts
より高いか否かが比較・判定される。ここで、NtがNt
sより高くなければ(NO)、ステップ#10〜ステップ
#11が繰り返し実行され、ライン圧が所定値まで下げ
られた状態が継続される。すなわち、タービン回転数N
tが、シフトダウン開始時におけるタービン回転数Nts
を上回る時点からは、コーストクラッチ23を確実にオ
ンさせるために、ライン圧を高めてクラッチ容量を高め
る必要があるが、これ以前はその必要がないので、締結
ショックの発生を防止するためにライン圧を低下させて
おくようにしている。
【0070】ステップ#11で、Nt>Ntsであると判
定されれば(YES)、ステップ#12で、まずデューテ
ィソレノイドバルブ57の駆動周波数が比較的高周波数
の62.5Hzに高められ、ライン圧の脈動が低減され、
コーストクラッチ23でのジャダーの発生が防止され
る。なお、駆動周波数が62.5Hzに限定されるもので
はないのはもちろんである。さらに、ライン圧を、現在
のタービン回転数Ntと上記基準回転数Ntsの回転数差
に応じて徐々に高めるといったいわゆる差回転制御が開
始される。すなわち、エンジンの出力トルクに応じてラ
イン圧を高め、締結ショックの発生を防止しつつ、すみ
やかにかつ確実にコーストクラッチ23をオンさせ、3
速に変速させるようにしている。
【0071】図1に、Dレンジ4速から2レンジ3速へ
のマニュアルシフトダウン時において、このようなライ
ン圧制御が行なわれた場合の、タービン回転数と
(G1)、サーボリリース圧と(G2)、コースト圧と
(G3)、ライン圧と(G4)、レンジ信号(G5)と、駆動周
波数の時間に対する特性(G6)の一例を示す。図1に示
す例では、時刻t1でマニュアルシフトダウンが開始され
てタービン回転数Ntが低下し始め、t4でタービン回転
数Ntが上昇に転じ、t5でタービン回転数Ntが基準回転
数Ntsを超え、t6で変速が終了している。
【0072】図1に示す例では、ライン圧がt1で所定値
まで高められ(例えば、9kg/cm2)、t4でシフトダウン
前のライン圧(例えば、5kg/cm2)よりも低い所定値ま
で下げられ(例えば、4kg/cm2)、t5から差回転制御に
より徐々に高められている。また、ここで、リリースポ
ート26bにかかる油圧すなわちサーボリリース圧はt1
でシフトダウン開始とともに直ちに上昇し始めるが、コ
ーストクラッチ23にかかる油圧すなわちコースト圧
は、コーストタイミングバルブ43の作用により若干遅
れてt2で上昇し始め、コーストクラッチ23はt3で締結
され始める。
【0073】このように、マニュアルシフトダウン時に
はデューティソレノイドバルブ57の駆動周波数が高め
られるので、ライン圧の脈動が低減され、コーストクラ
ッチ23でのジャダーの発生が防止される。さらに、マ
ニュアルシフトダウン時において、締結ショックの発生
するおそれのない時期(t1〜t4)ではライン圧を高めてい
るので、サーボリリース圧が短時間で高められ、すみや
かにコーストクラッチ23への油圧の供給が開始され
る。このため、変速の応答性が高められる。そして、タ
ービン回転数Ntが上昇し始めた時点t4からはライン圧
が下げられるので、締結ショックの発生が有効に防止さ
れる。さらに、タービン回転数Ntが基準回転数Ntsを
超えた時点t5からはライン圧の差回転制御が行なわれる
ので、コーストクラッチ23のクラッチ容量がエンジン
の出力トルクに応じて高められ、締結ショックを発生さ
せることなくコーストクラッチ23を確実かつ迅速にオ
ンさせることができる。また、t1〜t4においてライン圧
が高められるので、この間におけるタービン回転数Nt
の低下が抑制され、この後コーストクラッチ23がオン
される際の締結ショックの発生を、一層確実に防止する
ことができる。なお、上記実施例においては油圧緩衝手
段としてアキュムレータを設けた例を説明したが、これ
に限らず、リニアソレノイド等のアキュムレータに相当
する油圧緩衝手段を第1種摩擦締結要素の作動油圧通路
に配設したものにおいても、同様に適用できるものであ
る。
【0074】
【発明の作用・効果】一般に、アキュムレータ等の油圧
緩衝手段が設けられていない油圧通路を通して作動油圧
が供給される摩擦締結要素が締結される変速が行なわれ
る際に、油圧機構のライン圧が脈動すると上記摩擦締結
要素にジャダー(がたつき)が発生するが、第1の発明に
よれば、かかる変速時にはデューティソレノイドバルブ
の駆動周波数が高められるので、ライン圧の脈動が低減
され、上記摩擦締結要素(第2種摩擦締結要素)でのジャ
ダーの発生が有効に防止される。また、通常時には駆動
周波数が通常の周波数に保持されるので、デューティソ
レノイドバルブの耐久性が高められる。
【0075】第2の発明によれば、基本的には、第1の
発明と同様の作用・効果が得られる。さらに、エンジン
ブレーキが得られる変速段では、エンジンブレーキを得
るためにのみ設けられる摩擦締結要素(例えば、コース
トクラッチ)が締結されることになるので、かかる変速
段への変速に際して、上記摩擦締結要素でのジャダーの
発生が有効に防止される。
【0076】第3の発明によれば、基本的には、第1の
発明と同様の作用・効果が得られる。さらに、デューテ
ィソレノイドバルブの駆動周波数を高める変速を、ジャ
ダーが生じやすいエンジンブレーキ作用時の変速に限定
しているので、効果的にジャダーの発生が防止される一
方、不必要に駆動周波数が高められず、デューティソレ
ノイドバルブの耐久性が高められる。
【0077】第4の発明によれば、基本的には、第2ま
たは第3の発明と同様の作用・効果が得られる。さら
に、デューティソレノイドバルブの駆動周波数を高める
変速を、とくにジャダーの生じやすいマニュアル操作に
よる変速に限定しているので、より効果的にジャダーの
発生が防止される一方、デューティソレノイドバルブの
耐久性が一層高められる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 自動変速機のDレンジ4速から2レンジ3速
へのマニュアルシフトダウン時の変速特性を示す図であ
る。
【図2】 自動変速機のシステム構成図である。
【図3】 油圧機構の、変速機まわりのシステム構成図
である。
【図4】 油圧機構の、ライン圧制御手段まわりのシス
テム構成図である。
【図5】 油圧機構の、マニュアルバルブ及び1−2シ
フトバルブまわりのシステム構成図である。
【図6】 油圧機構の、2−3シフトバルブ及び3−4
シフトバルブまわりのシステム構成図である。
【図7】 油圧機構の、ロックアップ制御手段まわりの
システム構成図である。
【図8】 油圧機構の、コーストタイミングバルブまわ
りのシステム構成図である。
【図9】 ライン圧制御の制御方法を示すフローチャー
トである。
【符号の説明】
AT…自動変速機 FS…油圧機構 L…ライン圧制御手段 5…変速歯車機構 23…コーストクラッチ 26…2−4ブレーキ 31…マニュアルバルブ 32…コントロールユニット 36〜39…アキュムレータ 50…プレッシャレギュレータバルブ 57…ライン圧制御用デューティソレノイドバルブ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 岡本 健治 広島県安芸郡府中町新地3番1号 マツダ 株式会社内

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 油圧緩衝手段を備えた油圧通路を通して
    作動油圧が供給・排出される第1種摩擦締結要素と、油
    圧緩衝手段を備えない油圧通路を通して作動油圧が供給
    ・排出される第2種摩擦締結要素と、変速時に該変速に
    対応する所定の摩擦締結要素に作動油圧を供給・排出し
    て該摩擦締結要素を締結・解放させる油圧機構と、上記
    各摩擦締結要素の作動油圧の元圧となるライン圧を、デ
    ューティソレノイドバルブによって形成される制御圧に
    基づいて制御するライン圧制御手段とが設けられた自動
    変速機の油圧制御装置において、 上記第2種摩擦締結要素が締結される際には、上記デュ
    ーティソレノイドバルブの駆動周波数を高める周波数変
    更手段が設けられていることを特徴とする自動変速機の
    油圧制御装置。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載された自動変速機の油圧
    制御装置において、 周波数変更手段が、エンジンブレーキが得られる変速段
    へのシフトダウン変速に際して、駆動周波数を高めるよ
    うになっていることを特徴とする自動変速機の油圧制御
    装置。
  3. 【請求項3】 請求項1に記載された自動変速機の油圧
    制御装置において、 周波数変更手段が、エンジンブレーキが作用していると
    きに生じるシフトダウン変速に際して、駆動周波数を高
    めるようになっていることを特徴とする自動変速機の油
    圧制御装置。
  4. 【請求項4】 請求項2または請求項3に記載された自
    動変速機の油圧制御装置において、 周波数変更手段が、マニュアル操作によって、エンジン
    ブレーキが得られるレンジにシフトされる変速に際し
    て、駆動周波数を高めるようになっていることを特徴と
    する自動変速機の油圧制御装置。
JP30073991A 1991-11-15 1991-11-15 自動変速機の油圧制御装置 Pending JPH05141520A (ja)

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Application Number Title Priority Date Filing Date
JP30073991A Pending JPH05141520A (ja) 1991-11-15 1991-11-15 自動変速機の油圧制御装置

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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2003278899A (ja) * 2002-03-25 2003-10-02 Fujitsu Ten Ltd 変速機用電子制御装置

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2003278899A (ja) * 2002-03-25 2003-10-02 Fujitsu Ten Ltd 変速機用電子制御装置

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