JP3073050B2 - 自動変速機の油圧制御装置 - Google Patents

自動変速機の油圧制御装置

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JP3073050B2
JP3073050B2 JP03144784A JP14478491A JP3073050B2 JP 3073050 B2 JP3073050 B2 JP 3073050B2 JP 03144784 A JP03144784 A JP 03144784A JP 14478491 A JP14478491 A JP 14478491A JP 3073050 B2 JP3073050 B2 JP 3073050B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、自動変速機の油圧制御
装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】一般に、自動車用の自動変速機にはトル
クコンバータと変速歯車機構とが設けられる。ここで、
トルクコンバータは、エンジン出力軸のトルクを変速し
てタービンシャフトに伝達し、変速歯車機構は、タービ
ンシャフトのトルクをさらに変速して、かつ後進時には
回転方向を逆転させて駆動輪側に伝達するようになって
いる。そして、通常、変速歯車機構は複数のギヤを備え
たプラネタリギヤシステムからなり、かかる変速歯車機
構には、タービンシャフトと所定の各ギヤとを締結また
は遮断する(以下、これをオン・オフという)複数のクラ
ッチ(コーストクラッチ等)と、所定のギヤを固定または
解放する(以下、これをオン・オフという)複数のブレー
キ(2−4ブレーキ等)とが設けられ、これらのクラッチ
とブレーキとを動作させるために油圧機構が設けられ
る。ここで、変速歯車機構は、油圧機構によって、各ク
ラッチと各ブレーキのオン・オフパターンが切り替えら
れ、これによってプラネタリギヤシステム内での動力伝
達経路が切り替えられ、変速及び前進・後進切り替えが
行なわれるようになっている。
【0003】かかる自動変速機において、例えば2速か
ら3速へのシフトアップ時には、油圧機構によって、2
−4ブレーキがオフされる一方コーストクラッチがオン
される。ここで、2−4ブレーキは、通常、サーボピス
トンを備えたバンドブレーキからなり、アプライポート
のみに油圧が供給されたときにはオンされ、両ポートと
もに油圧が供給されたときまたは両油圧がリリースされ
たときにはオフされるようになっている。そして、2速
時にはアプライポートに油圧がかけられているので、2
速から3速へのシフトアップ時には、リリースポートと
コーストクラッチとに油圧を供給して、2−4ブレーキ
をオフする一方コーストクラッチをオンするようになっ
ている。このため、通常、リリースポートに油圧を供給
するリリースポート用油圧通路とコーストクラッチに油
圧を供給するコーストクラッチ用油圧通路とは、いずれ
もシフトバルブの共通の出力ポートに接続される。
【0004】ここで、2速から3速へのシフトアップ時
に、リリースポートとコーストクラッチとに単純に油圧
を供給すると、2−4ブレーキがオフされる前にコース
トクラッチがオンされる場合があり、このような場合に
は変速歯車機構が内部ロック(ダブルロック)を起こして
しまうといった問題がある。そこで、このような内部ロ
ックの発生を防止するために、コーストクラッチ用油圧
通路にコーストタイミングバルブを介設した自動変速機
の油圧機構が提案されている(例えば、特開平2−11
3150号公報参照)。かかるコーストタイミングバル
ブを備えた油圧機構においては、リリースポート用油圧
通路内の油圧が、2−4ブレーキをオフさせる油圧より
上昇したときに、コーストタイミングバルブがコースト
クラッチ用油圧通路を連通させるようになっているの
で、コーストクラッチは、2−4ブレーキが確実にオフ
された後でオンされることになる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】そして、かかる自動変
速機において、例えばDレンジ4速で走行中に、マニュ
アル操作によって、セレクトレバーを2レンジに切り替
えたような場合あるいはDレンジのホールド操作を行な
った場合には、変速歯車機構が強制的に3速に変速さ
れ、いわゆるマニュアルシフトダウンが行なわれる。こ
の場合、上記の2速から3速へのシフトアップ時と同様
に、2−4ブレーキのリリースポートとコーストクラッ
チとに油圧が供給される。そして、かかるマニュアルシ
フトダウン時には、運転者は通常アクセルペダルを解放
するので、スロットル弁は全閉状態となる。
【0006】ところで、一般に変速歯車機構と油圧機構
とを備えた自動変速機においては、油圧機構のライン圧
(元圧)を制御するライン圧制御機構が設けられ、かかる
ライン圧制御機構は、締結ショック(変速ショック)の発
生を防止するため、通常タービン回転数とスロットル開
度(エンジン負荷)とに応じてライン圧を設定するように
なっており、スロットル開度が小さいときにはライン圧
が低く設定される。そして、前記したとおり、4速から
3速へのマニュアルシフトダウン時には、スロットル弁
が全閉状態となるのでライン圧が低く設定されることに
なる。このため、2−4ブレーキのリリースポートへの
油圧の供給が遅れ、これに伴ってコーストタイミングバ
ルブの作動が遅れ、コーストクラッチがオンされるタイ
ミングが遅れ、変速の応答性が悪くなるといった問題が
ある。そこで、例えばマニュアルシフトダウン時にはラ
イン圧を高めるといった対応が考えられるが、単純にラ
イン圧を高めたのでは締結ショック(変速ショック)が発
生してしまう。なお、マニュアルシフトダウン時には、
締結ショックの発生をより有効に防止するために、通常
の変速時よりさらにライン圧を低下させるように特別の
ライン圧制御を行なうようにした自動変速機の油圧機構
も提案されているが、かかる油圧機構においては、マニ
ュアルシフトダウン時の応答性が一層悪化する。
【0007】本発明は、上記従来の問題点を解決するた
めになされたものであって、マニュアルシフトダウン時
に、締結ショックを生じさせることなく変速の応答性を
高めることができる自動変速機の油圧制御装置を提供す
ることを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達するた
め、第1の発明は、油圧によって動作する複数の摩擦締
結要素を備え、これらの摩擦締結要素の動作状態を組み
変えることによって変速段の切り替えを行なうようにな
った変速機構と、上記各摩擦締結要素に油圧を供給する
油圧機構とが設けられた自動変速機において、油圧機構
のライン圧を制御するライン圧制御機構と、マニュアル
操作を検出するマニュアル操作検出手段と、マニュアル
操作によってシフトダウンが行なわれるときには、該シ
フトダウン初期に一旦ライン圧を上昇させ、この後上記
ライン圧を低下させた後、再び該ライン圧を徐々に上昇
させるマニュアルシフトダウン時用ライン圧制御手段と
が設けられていることを特徴とする自動変速機の油圧制
御装置を提供する。
【0009】第2の発明は、第1の発明にかかる自動変
速機の油圧制御装置において、変速機入力側回転数検出
手段が設けられ、マニュアルシフトダウン時用ライン圧
制御手段が、マニュアルシフトダウン初期に一旦ライン
圧を上昇させた後、変速機入力側回転数が上昇を開始し
た時点でライン圧を低下させるようになっていることを
特徴とする自動変速機の油圧制御装置を提供する。
【0010】第3の発明は、第1の発明または第2の発
明にかかる自動変速機の油圧制御装置において、変速機
入力側回転数検出手段と回転数差検出手段とが設けら
れ、マニュアルシフトダウン時用ライン圧制御手段が、
変速機入力側回転数がマニュアルシフトダウン開始時の
回転数を越えた時点からライン圧の再上昇を開始し、か
つ該ライン圧を、時々刻々の変速機入力側回転数とマニ
ュアルシフトダウン開始時の回転数の差に対応させて設
定するようになっていることを特徴とする自動変速機の
油圧制御装置を提供する。
【0011】第4の発明は、第3の発明にかかる自動変
速機の油圧制御装置において、自動変速機に、コースト
クラッチと、該コーストクラッチの締結時に解放される
摩擦締結要素とが設けられ、該摩擦締結要素の解放に応
動してコーストクラッチを締結させるコーストタイミン
グバルブが設けられていることを特徴とする自動変速機
の油圧制御装置を提供する。
【0012】
【実施例】以下、本発明の実施例を具体的に説明する。 <第1実施例>図2に示すように、自動車用の自動変速
機ATには、エンジン出力軸1のトルク(エンジントル
ク)を変速してタービンシャフト2に伝達するトルクコ
ンバータ3と、このタービンシャフト2のトルクをさら
に変速しまた後進段が選択されているときには回転を逆
転させて出力ギヤ4から駆動輪側に出力する変速歯車機
構5とが設けられている。ここで、タービンシャフト2
はパイプ状に形成され、その中空部にはエンジン出力軸
1に連結されたポンプシャフト6が配設され、このポン
プシャフト6によって、変速歯車機構5の後方(図2で
は左側)に配置されたオイルポンプ7が回転駆動される
ようになっている。
【0013】トルクコンバータ3は、実質的に、連結部
材8を介してエンジン出力軸1に連結されたポンプ9
と、タービンシャフト2に連結されポンプ9から吐出さ
れる作動油によって回転駆動されるタービン10と、タ
ービン10からポンプ9に還流する作動油をポンプ9の
回転を促進する方向に整流するステータ11とで構成さ
れ、ポンプ9とタービン10の回転数差に応じた変速比
で、エンジン出力軸1のトルクを変速するようになって
いる。ここで、ステータ11はステータ用ワンウェイク
ラッチ12を介して変速機ケース13に固定されてい
る。なお、必要に応じてエンジン出力軸1とタービンシ
ャフト2とを直結させるロックアップクラッチ14が設
けられている。
【0014】変速歯車機構5は、一般に知られた普通の
プラネタリギヤシステムであって、この変速歯車機構5
には、タービンシャフト2に遊嵌された比較的小径のス
モールサンギヤ15と、このスモールサンギヤ15より
後方でタービンシャフト2に遊嵌された比較的大径のラ
ージサンギヤ16と、スモールサンギヤ15と噛み合う
複数のショートピニオンギヤ17(1つのみ図示)と、前
部(図2では右側)がショートピニオンギヤ17と噛み合
い後部がラージサンギヤ16と噛み合うロングピニオン
ギヤ18と、さらにこのロングピニオンギヤ18と噛み
合うリングギヤ19と、ショートピニオンギヤ17とロ
ングピニオンギヤ18とを回転自在に支持するキャリア
20とが設けられている。この変速歯車機構5では、変
速段に応じてスモールサンギヤ15、ラージサンギヤ1
6またはキャリア20がトルク入力部となる一方、どの
変速段でもリングギヤ19がトルク出力部となる。な
お、リングギヤ19は出力ギヤ4に連結されている。
【0015】そして、変速歯車機構5内でのトルク伝達
経路を切り替えるために、すなわち変速比を切り替えあ
るいは出力ギヤ4の回転方向を切り替えるために、複数
のクラッチ及びブレーキが設けられている。具体的に
は、タービンシャフト2とスモールサンギヤ15との間
には、フォワードクラッチ21と第1ワンウェイクラッ
チ22とが直列に介設されるとともに、両クラッチ2
1,22に対して並列にコーストクラッチ23が介設さ
れている。そして、タービンシャフト2とキャリア20
との間には3−4クラッチ24が介設され、タービンシ
ャフト2とラージサンギヤ16との間にはリバースクラ
ッチ25が介設されている。また、ラージサンギヤ16
とリバースクラッチ25との間には、所定の変速段でラ
ージサンギヤ16を固定するための、サーボピストンに
よって作動させられるバンドブレーキからなる2−4ブ
レーキ26が設けられている。さらに、キャリア20と
変速機ケース13'との間には、所定の変速段でキャリ
ア20を固定するローリバースブレーキ27と、キャリ
ア20の反力を受け止める第2ワンウェイクラッチ28
とが並列に介設されている。なお、以下では、適宜これ
らのクラッチとブレーキとを 「摩擦締結要素」 と総称す
る。
【0016】そして、各クラッチ21,23,24,25
と各ブレーキ26,27のオン・オフパターンを組み変
えることによって、表1に示すような各種レンジないし
変速段が得られるようになっている。以下、表1を参照
しつつ、各レンジないし変速段におけるトルク伝達経路
とその変速特性とを説明する。
【0017】
【表1】
【0018】(1)Pレンジ(パーキングレンジ)…すべて
の摩擦締結要素がオフされる。この場合、タービンシャ
フト2のトルクは変速歯車機構5に伝達されない。 (2)Rレンジ(リバースレンジ)…リバースクラッチ25
とローリバースブレーキ27とがオンされ、他の摩擦締
結要素はオフされる。ローリバースブレーキ27がオン
されているので、これと並列に配設された第2ワンウェ
イクラッチ28は、格別の作用を及ぼさない。第1ワン
ウェイクラッチ22は、トルク伝達経路から外れ、格別
の作用を及ぼさない。この場合、タービンシャフト2の
トルクが、リバースクラッチ25を介してラージサンギ
ヤ16に入力される。そして、ローリバースブレーキ2
7によってキャリア20が固定されているので、ラージ
サンギヤ16とロングピニオンギヤ18とリングギヤ1
9とが、この順に噛み合う固定的なギヤ列として機能す
る。したがって、ラージサンギヤ16に入力されたトル
クは、このギヤ列内を上記の順に伝わり、ラージサンギ
ヤ16の歯数とリングギヤ19の歯数とによって決定さ
れる大きな減速比で変速され、出力ギヤ4に出力され
る。このRレンジでは、リングギヤ19(出力ギヤ4)は
ラージサンギヤ16(タービンシャフト2)と反対方向に
回転し、駆動輪が後進側に駆動される。 (3)Nレンジ(ニュートラルレンジ)…Pレンジの場合と
同様である。 (4)Dレンジ(ドライブレンジ)1速…フォワードクラッ
チ21がオンされ、他の摩擦締結要素はオフされる。第
1,第2ワンウェイクラッチ22,28は通常ロック状態
となるが、コースティング時には空転する。この場合、
タービンシャフト2のトルクが、順にフォワードクラッ
チ21と第1ワンウェイクラッチ22とを介してスモー
ルサンギヤ15に入力される。そして、第2ワンウェイ
クラッチ28によってキャリア20が固定されるので、
スモールサンギヤ15とショートピニオンギヤ17とロ
ングピニオンギヤ18とリングギヤ19とが、この順に
噛み合う固定的なギヤ列として機能する。したがって、
スモールサンギヤ15に入力されたトルクは、このギヤ
列内を上記の順に伝わり、スモールサンギヤ15の歯数
とリングギヤ19の歯数とによって決定される大きな減
速比で変速され、出力ギヤ4に出力される。この場合、
リングギヤ19(出力ギヤ4)はスモールサンギヤ15
(タービンシャフト2)と同一方向に回転し、駆動輪が前
進側に駆動される。なお、このDレンジ1速では、第1
ワンウェイクラッチ22の作用によりエンジンブレーキ
は得られない。 (5)Dレンジ2速…フォワードクラッチ21と2−4ブ
レーキ26とがオンされ、他の摩擦締結要素はオフされ
る。第1ワンウェイクラッチ22は通常ロック状態とな
るが、コースティング時には空転する。なお、第2ワン
ウェイクラッチ28は常時空転する。この場合、ラージ
サンギヤ16が固定されるので、ロングピニオンギヤ1
8が、自転しつつラージサンギヤ16まわりを公転す
る。したがって、基本的には上記Dレンジ1速の場合と
同様の経路でトルクが伝達されるが、リングギヤ19の
回転数がロングピニオンギヤ18の公転分だけ高くなる
ので、Dレンジ1速よりはやや減速比が小さくなる。な
お、このDレンジ2速では、第1ワンウェイクラッチ2
2の作用によりエンジンブレーキは得られない。
【0019】(6)Dレンジ3速…フォワードクラッチ2
1とコーストクラッチ23と3−4クラッチ24とがオ
ンされ、他の摩擦締結要素はオフされる。コーストクラ
ッチ23がオンされているので、これと並列に配設され
たフォワードクラッチ21及び第1ワンウェイクラッチ
22は、格別の作用を及ぼさない。なお、第2ワンウェ
イクラッチ28は常時空転する。この場合、スモールサ
ンギヤ15とキャリア20とが、コーストクラッチ23
とタービンシャフト2と3−4クラッチ24とを介し
て、互いにロックされるので、プラネタリギヤシステム
の一般的な性質に従って、すべてのギヤ15〜19とキ
ャリア20とが固定され一体回転するようになり、ター
ビンシャフト2と出力ギヤ4とが直結され、したがって
タービンシャフト2のトルクが変速されずに(減速比1)
出力ギヤ4に伝達される。この場合、出力ギヤ4はター
ビンシャフト2と同一方向に回転し、駆動輪が前進側に
駆動される。なお、直結状態にあるこのDレンジ3速
で、エンジンブレーキが得られるのは当然である。
【0020】(7)Dレンジ4速…フォワードクラッチ2
1と3−4クラッチ24と2−4ブレーキ26とがオン
され、他の摩擦締結要素はオフされる。第1,第2ワン
ウェイクラッチ22,28は常時空転する。なお、第1
ワンウェイクラッチ22が常時空転するので、フォワー
ドクラッチ21はオンされているものの、格別の作用を
及ぼさない。この場合、タービンシャフト2のトルク
が、3−4クラッチ24を介してキャリア20に入力さ
れ、このキャリア20のトルクは、順に、ロングピニオ
ンギヤ18とリングギヤ19とを介して出力ギヤ4に伝
達される。2−4ブレーキ26によってラージサンギヤ
16が固定されているので、ロングピニオンギヤ18
は、自転しつつラージサンギヤ16まわりを公転する。
したがって、リングギヤ19の回転数は、キャリア20
の回転数すなわちタービンシャフト2の回転数より、ロ
ングピニオンギヤ18の自転分だけ高くなり、変速歯車
機構5はオーバードライブ(増速)状態となる。なお、リ
ングギヤ19(出力ギヤ4)はキャリア20(タービンシ
ャフト2)と同一方向に回転し、駆動輪が前進側に駆動
される。
【0021】(8)2レンジ1速…Dレンジ1速の場合と
同様である。 (9)2レンジ2速…フォワードクラッチ21とコースト
クラッチ23と2−4ブレーキ26とがオンされ、他の
摩擦締結要素はオフされる。コーストクラッチ23がオ
ンされているので、これと並列に配設されたフォワード
クラッチ21及び第1ワンウェイクラッチ22は、格別
の作用を及ぼさない。この場合、トルク伝達経路及び変
速特性は、基本的にはDレンジ2速の場合と同様である
が、第1ワンウェイクラッチ22が働かないので、エン
ジンブレーキが得られることになる。 (10)2レンジ3速…Dレンジ3速の場合と同様であ
る。 (11)1レンジ1速…フォワードクラッチ21とコース
トクラッチ23とローリバースブレーキ27とがオンさ
れ、他の摩擦締結要素はオフされる。コーストクラッチ
23がオンされているので、これと並列に配設されたフ
ォワードクラッチ21及び第1ワンウェイクラッチ22
は、格別の作用を及ぼさず、またローリバースブレーキ
27がオンされているので、これと並列に配設された第
2ワンウェイクラッチ28も、格別の作用を及ぼさな
い。この場合、トルク伝達経路及び変速特性は、基本的
にはDレンジ1速の場合と同様であるが、第1,第2ワ
ンウェイクラッチ22,28が働かないので、エンジン
ブレーキが得られることになる。 (12)1レンジ2速…2レンジ2速の場合と同様であ
る。
【0022】以下、変速歯車機構5の各摩擦締結要素を
オン・オフ作動させる油圧機構を説明する。図3〜図7
に示すように、油圧機構FSは、実質的に、油圧機構F
Sのライン圧(元圧)を制御するライン圧制御機構Lと、
夫々所定の部材に油圧を供給しまたはこれをリリースす
る多数の油圧通路からなる油圧通路網Mと、セレクトレ
バー(図示せず)のセレクト操作に対応してシフトされラ
イン圧の供給経路を切り替えるマニュアルバルブ31
と、マニュアルバルブ31のシフト位置と車両の運転状
態(例えば、車速とスロットル開度)とに応じて、コント
ロールユニット32によってシフトされる3つのシフト
バルブ33〜35と、所定の摩擦締結要素への油圧の供
給ないしリリースを緩衝させるための4つのアキュムレ
ータ36〜39と、所定の摩擦締結要素への油圧の供給
またはリリースのタイミングを調整する3つのタイミン
グバルブ41〜43及びバイパスバルブ44と、トルク
コンバータ3及びロックアップクラッチ14への油圧の
供給を制御するロックアップ制御機構Uと、油圧通路網
Mの所定の部分の流動抵抗を調節するための多数のオリ
フィス及びワンウェイバルブ等で構成されている。上記
オリフィス及びワンウェイバルブは、一般に用いられる
マークで図示されているが、個々には番号を付していな
い。なお、コントロールユニット32は請求項1〜3に
記載されたマニュアルシフトダウン時用ライン圧制御手
段を含む、自動変速機ATの総合的な制御手段である。
【0023】そして、セレクトされたレンジ(P,R,N,
D,2,1レンジ)と車両の運転状態とに応じて、油圧機
構FSによって、各摩擦締結要素にかかる油圧が制御さ
れ、変速歯車機構5の変速段の切り替えが行なわれるよ
うになっている。ここで、2−4ブレーキ26は、アプ
ライポート26aとリリースポート26bとを備えたサー
ボピストンタイプのバンドブレーキであって、アプライ
ポート26aのみに油圧がかけられているときにオン(ブ
レーキ作動)され、両ポート26a,26bともに油圧がか
けられているときまたはともに油圧がリリースされてい
るときにはオフ(ブレーキ解放)される。その他の摩擦締
結要素は、すべて油圧がかけられたときにオンされ、油
圧がリリースされたときにオフされる。
【0024】ライン圧制御機構Lは、基本的には、プレ
ッシャレギュレータバルブ50によって、パイロット圧
にほぼ比例する油圧(ライン圧)を、ライン圧供給通路5
1内に形成するようになっている。そして、このライン
圧供給通路51内のライン圧はマニュアルバルブ31等
に供給されるようになっている。なお、ライン圧供給通
路51内の作動油は、プレッシャレギュレータバルブ5
0から、リリーフバルブ52を備えたトルクコンバータ
油路53を介して、トルクコンバータ3にも供給される
ようになっている。
【0025】プレッシャレギュレータバルブ50に供給
されるパイロット圧は、減圧弁54と、モジュレータバ
ルブ55と、ライン圧制御用アキュムレータ56と、コ
ントロールユニット32によってデューティ制御される
ライン圧制御用ソレノイドバルブ57とによって形成さ
れるようになっている。具体的には、ライン圧供給通路
51内のライン圧が、減圧弁54によって減圧された
後、減圧油路58を介してモジュレータバルブ55の入
力ポート55aに入力される。また、減圧油路58内の
油圧は、デューティ圧通路59を介してモジュレータバ
ルブ55のコントロールポート55bにも導入される。
ここで、コントロールポート55bにかかる油圧は、コ
ントロールユニット32から入力されるデューティ比に
応じて開閉されるライン圧制御用ソレノイドバルブ57
によって制御される。なお、デューティ比は、後で説明
するように、コントロールユニット32によって、スロ
ットル開度、車速、セレクトレンジ、変速段等に応じて
所定の方法で設定される。
【0026】そして、コントロールポート55bにかか
る油圧に対応する油圧が、パイロット圧としてモジュレ
ータバルブ55からパイロット圧通路61に出力され
る。ここで、パイロット圧通路61内の油圧振動ないし
脈動は、ライン圧制御用アキュムレータ56によって吸
収される。このようにして形成されたパイロット圧が、
プレッシャレギュレータバルブ50に供給され、このパ
イロット圧に比例するライン圧がライン圧供給通路51
に形成される。なお、パイロット圧通路61内のパイロ
ット圧は、後で説明するカットバックバルブ62にも供
給されるようになっている。
【0027】マニュアルバルブ31は、セレクトレバー
(図示せず)のセレクト操作と連動してシフトされ、セレ
クトされたレンジに応じて、ライン圧供給通路51を所
定の油圧供給通路と連通させるようになっている。具体
的には、ライン圧供給通路51を、Dレンジ及び2レン
ジでは第1,第2メイン油圧供給通路63,64と連通さ
せ、1レンジでは第1,第3メイン油圧供給通路63,6
5と連通させ、Rレンジではリバースレンジ用油圧供給
通路66と連通させ、Pレンジ及びNレンジでは上記油
圧供給通路63〜66のどれとも連通させないようにな
っている。
【0028】ここで、第1メイン油圧供給通路63は1
−2シフトバルブ用油圧通路63aとフォワードクラッ
チ用油圧通路63bとに分岐し、1−2シフトバルブ用
油圧通路63aは1−2シフトバルブ33の第1入力ポ
ート33aに接続され、フォワードクラッチ用油圧通路
63bはさらに分岐して、3−4シフトバルブ35の第
1入力ポート35aとフォワードクラッチ21とに接続
されている。第2メイン油圧供給通路64は、2−3シ
フトバルブ34の第1入力ポート34aに接続されてい
る。第3メイン油圧供給通路65は、ローレデューシン
グバルブ67(減圧弁)とボールバルブ68とを介して、
後で説明する第2分岐油圧通路66bに集合された後、
1−2シフトバルブ33の第2入力ポート33bに接続
されている。リバースレンジ用油圧供給通路66は、第
1分岐油圧供給通路66aと、1−2シフトバルブ用通
路66bとに分岐し、第1分岐油圧供給通路66aはリバ
ースクラッチ25に接続され、1−2シフトバルブ用通
路66bは上記ボールバルブ68を介して1−2シフト
バルブ33の第2入力ポート33bに接続されている。
【0029】各シフトバルブ33〜35は、夫々、基本
的にはコントロールユニット32によって制御され、入
力ポートから入力される油圧を、セレクトされたレンジ
と変速段とに応じて、所定の出力ポートから出力して所
定の摩擦締結要素に供給し、あるいはリリースするよう
になっている。具体的には、1−2シフトバルブ33に
は、前記した第1,第2入力ポート33a,33bと、第
1,第2出力ポート33c,33dとが設けられ、第1出力
ポート33cはアプライポート用油圧通路71を介して
2−4ブレーキ26のアプライポート26aに接続さ
れ、第2出力ポート33dはローリバースブレーキ用油
圧通路72を介してローリバースブレーキ27に接続さ
れている。
【0030】2−3シフトバルブ34には、前記した第
1入力ポート34aと、第2入力ポート34bと、第1,
第2出力ポート34c,34dとが設けられ、第2入力ポ
ート34bは第1接続通路73を介して3−4シフトバ
ルブ35の第1出力ポート35cに接続され、第1出力
ポート34cは3−4クラッチ用油圧通路74を介して
3−4クラッチ24に接続され、第2出力ポート34d
は第2接続通路75とボールバルブ76と後で説明する
コーストクラッチ用油圧通路77とを介してコーストク
ラッチ23に接続されている。また、3−4クラッチ用
油圧通路74から分岐する第3接続通路78が設けら
れ、この第3接続通路78は3−4シフトバルブ35の
第2入力ポート35bに接続されている。
【0031】3−4シフトバルブ35には、前記した第
1,第2入力ポート35a,35b及び第1出力ポート35
cと、第2出力ポート35dとが設けられ、第2出力ポー
ト35dは、リリースポート用油圧通路81を介して2
−4ブレーキ26のリリースポート26bに接続される
とともに、コーストクラッチ用油圧通路77を介してコ
ーストクラッチ23に接続されている。なお、リリース
ポート用油圧通路81とコーストクラッチ用油圧通路7
7とは、第2出力ポート35d近傍では1本に集合され
ている。
【0032】各シフトバルブ33,34,35は、夫々、
バルブスプール33v,34v,35vの位置を、オン位置
またはオフ位置に切り替えることによって、シフトバル
ブ内での油圧伝達経路を切り替えられるようになってい
る。ここで、オン位置とは図5,図6において右寄りの
位置であり、オフ位置とは左寄りの位置である。なお、
図5,図6中において、各バルブスプール33v,34v,
35vの中心線より上側の部分はオン位置をとった状態
を示し、中心線より下側の部分はオフ位置をとった状態
を示している。そして、各バルブスプール33v,34v,
35vは、各シフトバルブ33,34,35の右側端部に
設けられたコントロール油室33s,34s,35sに油圧
(パイロット圧)がかけられたときにはオフ位置をとり、
このパイロット圧がリリースされたときにはオン位置を
とるようになっている。
【0033】1−2シフトバルブ33のコントロール油
室33sには、ライン圧供給通路51から分岐する第1
コントロール用油圧通路82が接続され、この第1コン
トロール用油圧通路82には、コントロールユニット3
2によってオン・オフされる第1ソレノイドバルブ83
が介設されている。そして、第1ソレノイドバルブ83
がオンされたときには、第1コントロール用油圧通路8
2内のパイロット圧がリリースされ、これに伴ってコン
トロール油室33s内のパイロット圧がリリースされ、
バルブスプール33vがオン位置をとる。このとき、第
1出力ポート33cは第1入力ポート33aと連通し、第
2出力ポート33dは、ドレンポート(×印がつけられて
いる)と連通して開放される。他方、第1ソレノイドバ
ルブ83がオフされたときには、コントロール油室33
sにパイロット圧がかけられ、バルブスプール33vはオ
フ位置をとる。このとき、第1出力ポート33cは開放
され、第2出力ポート33dは第2入力ポート33bと連
通する。
【0034】2−3シフトバルブ34のコントロール油
室34sには、フォワードクラッチ用油圧通路63bから
分岐する第2コントロール用油圧通路84が接続され、
この第2コントロール用油圧通路84に、コントロール
ユニット32によってオン・オフされる第2ソレノイド
バルブ85が介設されている。この場合も、1−2シフ
トバルブ33の場合と同様に、第2ソレノイドバルブ8
5のオン・オフに対応して、バルブスプール34vがオ
ン位置またはオフ位置をとる。ここで、バルブスプール
34vがオン位置をとったときには、第1出力ポート3
4cは開放され、第2出力ポート34dは第2入力ポート
34bと連通する。他方、バルブスプール34vがオフ位
置をとったときには、第1出力ポート34cは第1入力
ポート34aと連通し、第2出力ポート34dは開放され
る。
【0035】3−4シフトバルブ35のコントロール油
室35sには、第2コントロール用油圧通路84から分
岐する第3コントロール用油圧通路86が接続され、こ
の第3コントロール用油圧通路86に、コントロールユ
ニット32によってオン・オフされる第3ソレノイドバ
ルブ87が介設されている。この場合も、1−2シフト
バルブ33の場合と同様に、第3ソレノイドバルブ87
のオン・オフに対応して、バルブスプール35vがオン
位置またはオフ位置をとる。ここで、バルブスプール3
5vがオン位置をとったときには、第1,第2出力ポート
35c,35dはともに開放される。他方、バルブスプー
ル35vがオフ位置をとったときには、第1出力ポート
35cは第1入力ポート35aと連通し、第2出力ポート
35dは第2入力ポート35bと連通する。
【0036】そして、各摩擦締結要素に急激に油圧が供
給されあるいはリリースされると締結ショック(変速シ
ョック)が生じるので、これを防止するために、アプラ
イポート用油圧通路71に対して1−2アキュムレータ
36が設けられ、1−2シフトバルブ用通路66bに対
してN−Rアキュムレータ37が設けられ、フォワード
クラッチ用油圧通路63bに対してN−Dアキュムレー
タ38が設けられ、3−4クラッチ用油圧通路74に対
して2−3アキュムレータ39が設けられている。ここ
で、各アキュムレータ36〜39には、夫々、ライン圧
供給通路51から分岐する背圧通路89を介して、ライ
ン圧が背圧として供給されるようになっている。
【0037】また、後で説明するように、レンジないし
変速段の切り替え時において、変速歯車機構5に内部ロ
ック(ダブルロック)が生じないように、所定の摩擦締結
要素のオン・オフタイミングを調整する3−2タイミン
グバルブ41と2−3タイミングバルブ42とコースト
タイミングバルブ43とバイパスバルブ44とが設けら
れている。
【0038】ロックアップ制御機構Uは、ロックアップ
シフトバルブ91とロックアップコントロールバルブ9
2と、第1,第2ロックアップ制御用ソレノイドバルブ
93,94とを備えた普通のロックアップ機構であっ
て、作動油供給通路95を介してトルクコンバータ3に
作動油を供給するとともにトルクコンバータ3内の作動
油を作動油戻り通路96を介してオイルクーラ97に案
内し、かつ必要に応じてロックアップクラッチ用油圧通
路98を介してロックアップクラッチ14に油圧を供給
するようになっている。
【0039】かかる油圧機構FSによって、マニュアル
バルブ31のレンジ位置と、第1〜第3ソレノイドバル
ブ83,85,87のオン・オフ状態とに応じて、各摩擦
締結要素への油圧のオン・オフが制御され、前記表1に
示すような各種レンジないし変速段が得られるようにな
っている。表2に、各レンジ(P,R,N,D,2,1レン
ジ)ないし変速段に対応する第1〜第3ソレノイドバル
ブ83,85,87のオン・オフパターンを示す。なお、
PレンジまたはNレンジでは、マニュアルバルブ31か
ら、第1〜第3メイン油圧供給通路63〜65及びリバ
ースレンジ用油圧供給通路66のいずれにも油圧が供給
されないので、第1〜第3ソレノイドバルブ83,85,
87のオン・オフ状態にかかわりなく、どの摩擦締結要
素にも油圧が供給されない。したがって、すべての摩擦
締結要素がオフされ、変速歯車機構5は中立状態とな
り、トルクを伝達しない。
【0040】以下、表2を参照しつつ、各走行レンジ
(R,D,2,1レンジ)ないし変速段における、油圧機構
FS内での油圧の伝達経路を説明する。
【0041】
【表2】
【0042】(1)Rレンジ…マニュアルバルブ31はR
レンジ位置をとり、第1,第2ソレノイドバルブ83,8
5はオフされ、第3ソレノイドバルブ87はオンされ
る。この場合、リバースレンジ用油圧供給通路66に油
圧が供給され、この油圧が第1分岐油圧供給通路66a
を介してリバースクラッチ25に供給され、リバースク
ラッチ25がオンされる。また、リバースレンジ用油圧
供給通路66内の油圧は、順に、1−2シフトバルブ用
通路66bと、1−2シフトバルブ33の第2入力ポー
ト33bと、第2出力ポート33dと、ローリバースブレ
ーキ用油圧通路72とを介してローリバースブレーキ2
7に供給され、ローリバースブレーキ27がオンされ
る。他の摩擦締結要素は油圧が供給されないのでオフさ
れる。 (2)Dレンジ1速…マニュアルバルブ31はDレンジ位
置(図5はこの状態を示す)をとり、第1,第2メイン油
圧供給通路63,64に油圧が供給される。なお、これ
は以下のDレンジ2〜4速でも同様である。そして、第
1ソレノイドバルブ83はオフされ、第2,第3ソレノ
イドバルブ85,87はオンされる。この場合、第1メ
イン油圧供給通路63内の油圧が、フォワードクラッチ
用油圧通路63bを介してフォワードクラッチ21に供
給され、フォワードクラッチ21がオンされる。また、
各シフトバルブ33〜35のどの出力ポートからも油圧
が出力されないので、他の摩擦締結要素はオフされる。 (3)Dレンジ2速…第1〜第3ソレノイドバルブ83,
85,87はすべてオンされる。この場合、Dレンジ1
速の場合と同様にフォワードクラッチ21がオンされ
る。さらに、第1メイン油圧供給通路63内の油圧が、
順に、1−2シフトバルブ用油圧通路63aと、1−2
シフトバルブ33の第1入力ポート33aと、第1出力
ポート33cと、アプライポート用油圧通路71とを介
して2−4ブレーキ26のアプライポート26aに供給
される。このとき、リリースポート26bに油圧が供給
されないので、2−4ブレーキ26がオンされる。他の
摩擦締結要素は油圧が供給されないのでオフされる。
【0043】(4)Dレンジ3速…第1ソレノイドバルブ
83はオンされ、第2,第3ソレノイドバルブ85,87
はオフされる。この場合、Dレンジ2速の場合と同様
に、フォワードクラッチ21がオンされ、かつアプライ
ポート26aに油圧が供給される。しかしながら、後で
説明するように、リリースポート26bにも油圧が供給
されるので、2−4ブレーキ26はオフされる。そし
て、第2メイン油圧供給通路64内の油圧が、順に、2
−3シフトバルブ34の第1入力ポート34aと、第1
出力ポート34cと、3−4クラッチ用油圧通路74と
を介して3−4クラッチ24に供給され、3−4クラッ
チ24がオンされる。また、3−4クラッチ用油圧通路
74内の油圧が、順に、第3接続通路78と、3−4シ
フトバルブ35の第2入力ポート35bと、第2出力ポ
ート35dと、コーストクラッチ用油圧通路77とを介
してコーストクラッチ23に供給され、コーストクラッ
チ23がオンされる。さらに、上記第2出力ポート35
dの油圧が、リリースポート用油圧通路81を介して2
−4ブレーキ26のリリースポート26bに供給され、
前記したとおり、2−4ブレーキ26がオフされる。な
お、リバースクラッチ25とローリバースブレーキ27
とは、油圧が供給されないのでオフされる。
【0044】(5)Dレンジ4速…第1,第3ソレノイド
バルブ83,87はオンされ、第2ソレノイドバルブ8
5はオフされる。この場合、Dレンジ2速の場合と同様
に、フォワードクラッチ21と2−4ブレーキ26とが
オンされる。また、Dレンジ3速の場合と同様に、3−
4クラッチがオンされる。他の摩擦締結要素は油圧が供
給されないのでオフされる。 (6)2レンジ1速…マニュアルバルブ31は2レンジ位
置をとるが、摩擦締結要素への油圧の伝達経路はDレン
ジ1速の場合と同様である。
【0045】(7)2レンジ2速…第1,第2ソレノイド
バルブ83,85はオンされ、第3ソレノイドバルブ8
7はオフされる。この場合、Dレンジ2速の場合と同様
に、フォワードクラッチ21と2−4ブレーキ26とが
オンされる。さらに、フォワードクラッチ用油圧通路6
3b内の油圧が、順に、3−4シフトバルブ35の第1
入力ポート35aと、第1出力ポート35cと、第1接続
通路73と、2−3シフトバルブ34の第2入力ポート
34bと、第2出力ポート34dと、第2接続通路75
と、ボールバルブ76と、コーストクラッチ用油圧通路
77とを介してコーストクラッチ23に供給され、コー
ストクラッチ23がオンされる。他の摩擦締結要素は、
油圧が供給されないのでオフされる。 (8)2レンジ3速…Dレンジ3速の場合と同様である。
【0046】(9)1レンジ1速…マニュアルバルブ31
は1レンジ位置をとり、第1,第3メイン油圧供給通路
63,65に油圧が供給される。第1,第3ソレノイドバ
ルブ83,87はオフされ、第2ソレノイドバルブ85
はオンされる。この場合、Dレンジ1速の場合と同様に
フォワードクラッチ21がオンされ、また2レンジ2速
の場合と同様にコーストクラッチ23がオンされる。さ
らに、第3メイン油圧供給通路65内の油圧が、順に、
ローレデューシングバルブ67と、ボールバルブ68
と、1−2シフトバルブ用通路66bと、1−2シフト
バルブ33の第2入力ポート33bと、第2出力ポート
33dと、ローリバースブレーキ用油圧通路72とを介
してローリバースブレーキ27に供給され、ローリバー
スブレーキ27がオンされる。他の摩擦締結要素は、油
圧が供給されないのでオフされる。 (10)1レンジ2速…マニュアルバルブ31は1レンジ
位置をとるが、摩擦締結要素への油圧伝達経路は2レン
ジ2速の場合と同様である。
【0047】このように、表2に示すようなソレノイド
バルブのオン・オフパターンに対応して、表1に示すよ
うな摩擦締結要素のオン・オフパターンが得られ、所定
のレンジないし変速段が得られる。
【0048】ところで、前記したとおり、上記油圧機構
FSには、所定の変速時において、内部ロック等の発生
を防止するために所定の摩擦締結要素のオン・オフタイ
ミングを調整するタイミングバルブ41〜43及びバイ
パスバルブ44が設けられている。コーストタイミング
バルブ43は、上流端が3−4シフトバルブ35の第2
出力ポート35dに接続されたコーストクラッチ用油圧
通路77に介設されている。なお、前記したとおり、第
2出力ポート35d近傍では、コーストクラッチ用油圧
通路77とリリースポート用油圧通路81とが集合され
ており、両通路77,81は分岐部101(図1参照)か
ら下流側(ブレーキ側ないしクラッチ側)で、夫々独立し
て形成されている。そして、第2出力ポート35dから
分岐部101に至る油圧通路77(81)には、2−3タ
イミングバルブ42が介設されている。この2−3タイ
ミングバルブ42は、2速から3速へのシフトアップ時
において、3−4クラッチ用油圧通路74内の油圧の立
ち上がりに対応させて、リリースポート用油圧通路81
ないしコーストクラッチ用油圧通路77に油圧を供給す
る。なお、第2出力ポート35dから分岐部101に至
る油圧通路77,81には、2−3タイミングバイパス
42が介設された上記経路とは並列に、バイパス通路1
02が設けられ、このバイパス通路102にワンウェイ
オリフィス103が介設されている。なお、バイパスバ
ルブ44は、2速から3速へのシフトアップ時に、3−
4クラッチ24がオンされるタイミングを調整する。ま
た、3−2タイミングバルブ41は、3速から2速への
シフトダウン時等において2−4ブレーキ26等のオン
・オフタイミングを調整する。
【0049】以下、本発明にとくに関連するコーストタ
イミングバルブ43について説明する。図1に示すよう
に、コーストタイミングバルブ43より上流側(3−4
シフトバルブ側)のコーストクラッチ用油圧通路77a
(以下、これを上流側コーストクラッチ用油圧通路77a
という)は、コーストタイミングバルブ43の入力ポー
ト43a及びタイミングコントロールポート43cに接続
されている。ここで、タイミングコントロールポート4
3cは、図1中においてコーストタイミングバルブ43
の左端部に形成された左側油室43eと連通している。
以下では、便宜上、コーストタイミングバルブ43の図
1中における「左・右」を単に「左・右」という。そして、
コーストタイミングバルブ43より下流側(コーストク
ラッチ側)のコーストクラッチ用油圧通路77b(以下、
これを下流側コーストクラッチ用油圧通路77bという)
は、コーストタイミングバルブ43の出力ポート43b
に接続されている。なお、上流側コーストクラッチ用油
圧通路77aと下流側コーストクラッチ用油圧通路77b
とは、ボールバルブ43fが介設された接続油圧通路7
7cを介して直接的に接続されている。
【0050】そして、コーストタイミングバルブ43に
は、左右に摺動できるようになったバルブスプール43
vが設けられ、このバルブスプール43vはスプリグ43
dによって右向きに付勢されている。また、コーストタ
イミングバルブ43の右端部にはコントロール油室43
sが設けられ、このコントロール油室43sにはフォワー
ドクラッチ用油圧通路63b内の油圧(ほぼライン圧)が
供給されるようになっている。
【0051】以下、コーストタイミングバルブ43の動
作について説明する。なお、適宜図3〜図7を参照す
る。前記したとおり、2速または4速においては、3−
4シフトバルブ35からリリースポート用油圧通路81
及び上流側コーストクラッチ用油圧通路77aには油圧
が供給されない。このため、バルブスプール43vはコ
ントロール油室43s内の油圧によって左側に押し付け
られ、このとき入力ポート43aと出力ポート43bとは
遮断される。なお、このとき2−4ブレーキ26のアプ
ライポート26aに油圧が供給され、2−4ブレーキ2
6がオンされているのはもちろんである。
【0052】この状態から3速にシフトされると、基本
的には、3−4シフトバルブ35の第2出力ポート35
dからリリースポート用油圧通路81及び上流側コース
トクラッチ用油圧通路77aに油圧が供給される。な
お、2速から3速へのシフトアップの場合には、前記し
たとおり、2−3タイミングバルブ42の作用により、
3−4クラッチ用油圧通路74内の油圧に対応して、リ
リースポート用油圧通路81ないし上流側コーストクラ
ッチ用油圧通路77aに油圧が供給される。ここで、互
いに連通するリリースポート用油圧通路81と上流側コ
ーストクラッチ用油圧通路77aの油圧がほぼ等しくな
るのはもちろんである。このとき、リリースポート26
bにはすぐに油圧が供給され始めるが、入力ポート43a
と出力ポート43bとが遮断されているので、下流側コ
ーストクラッチ用油圧通路77b(コーストクラッチ2
3)にはすぐには油圧が供給されない。この後、リリー
スポート26b内の油圧が上昇して所定値以上となる
と、2−4ブレーキ26がオフされるが、この間入力ポ
ート43aと出力ポート43bとは互いに連通しない。こ
の後、さらに上流側コーストクラッチ用油圧通路77a
の油圧が上昇し、左側油圧43e内の油圧が上昇し、バ
ルブスプール43vが右向きに移動させられ、入力ポー
ト43aと出力ポート43bとが連通し、下流側コースト
クラッチ用油圧通路77bに油圧が供給され、コースト
クラッチがオンされる。したがって、確実に2−4ブレ
ーキがオフされた後でコーストクラッチ23がオンされ
るので、変速歯車機構5に内部ロックが生じない。
【0053】ところで、Dレンジ4速で走行中に、マニ
ュアル操作でセレクトレバーを2レンジにシフトしたよ
うな場合、あるいはDレンジのホールド操作を行なった
ような場合には、強制的に3速にマニュアルシフトダウ
ンされることになるが、前記したとおり、このような場
合には通常運転者がアクセルペダルを解放しており、ス
ロットル弁が全閉されるので、従来の自動変速機ではラ
イン圧の低下により変速操作に時間がかかり応答性の悪
化を招いていた。そこで、第1実施例では、かかるマニ
ュアルシフトダウン時には、コントロールユニット32
によって以下で説明するようなライン圧制御を行ない、
締結ショックを生じさせることなく変速の応答性を高め
るようにしている。以下、図8に示すフローチャートに
従って、適宜図1〜図7を参照しつつ、上記ライン圧制
御の制御方法を説明する。
【0054】制御が開始されると、ステップ#1で、セ
レクトされているレンジ、タービン回転数Nt、アイド
ルスイッチ信号等の各種制御情報が読み込まれ、続いて
ステップ#2で、レンジがDレンジからN,D,Rレンジ
以外のレンジにシフトされたか否かが比較・判定され
る。ここで、N,D,Rレンジ以外のレンジにシフトされ
ていなければ(NO)、マニュアルシフトダウンは起こら
ないので、ステップ#1に復帰する。ステップ#2で、
N,D,Rレンジ以外のレンジにシフトされていると判定
されれば(YES)、ステップ#3でアイドルスイッチ信
号がオンであるか否かが比較・判定される。ここで、ア
イドルスイッチ信号がオンでなければ(NO)、運転者が
アクセルペダルを踏み込んでおり、該変速はマニュアル
シフトダウンではないと考えられるので、ステップ#1
3で一般に行なわれている通常の変速時用のライン圧制
御が行なわれ、この後ステップ#1に復帰する。
【0055】他方、ステップ#3で、アイドルスイッチ
信号がオンであると判定されれば(YES)、該変速がマ
ニュアルシフトダウンであると考えられるので、以下の
ステップ#4〜ステップ#12でマニュアルシフトダウ
ン時用のライン圧制御が行なわれる。なお、以下では便
宜上Dレンジ4速から2レンジ3速へのマニュアルシフ
トダウンの場合を例にとって説明する。この場合、まず
ステップ#4で、今回のタービン回転数Ntが、シフト
ダウン開始時における回転数Nts(以下、これを基準回
転数Ntsという)として記憶され、続いてステップ#5
でライン圧制御用ソレノイドバルブ57に印加されるデ
ューティ比が0%に設定される。これによって、モジュ
レータバルブ55のコントロールポート55b内の油圧
が高められ、モジュレータバルブ55からプレッシャレ
ギュレータバルブ50に供給されるパイロット圧が上昇
し、ライン圧が所定値まで高められる。このようにする
のは、マニュアルシフトダウン初期においては、コース
トタイミングバルブ43の作用によりすぐにはコースト
クラッチ23がオンされず、したがってこの時期には締
結ショックが生じるおそれがないので、ライン圧を高め
てリリースポート26bへの油圧の供給を促進し、2−
4ブレーキ26のオフタイミングを早めて、変速の応答
性を高めるためである。
【0056】次に、ステップ#6でタービン回転数Nt
が読み込まれ、ステップ#7でタービン回転数Ntの時
間に対する変化率(以下、これをNt変化率という)が演
算される。そして、ステップ#8でNt変化率が0より
大きいか否かが比較・判定される。ここで、Nt変化率
が0より大きくなければ(NO)、ステップ#6〜ステッ
プ#8が繰り返し実行され、ライン圧が所定値まで高め
られた状態が継続される。すなわち、4速から3速への
マニュアルシフトダウン時においては、シフトダウン操
作が開始されるとすぐにリリースポート26bへの油圧
の供給が開始され、2−4ブレーキ26がゆるみ始め、
タービン回転数Ntが低下し始める。そして、コースト
クラッチ23への油圧の供給が開始された時点からター
ビン回転数Ntが上昇に転じることになる。したがっ
て、タービン回転数が上昇に転ずるまではコーストクラ
ッチ23がオンされることがないので、変速の応答性を
高めるためにライン圧を高めておくようにしている。
【0057】ステップ#8で、Nt変化率が0より大き
いと判定されれば(YES)、ステップ#9でライン圧制
御用ソレノイドバルブ57に印加されるデューティ比が
100%に設定される。すなわち、モジュレータバルブ
55のコントロールポート55b内の油圧が下げられ、
プレッシャレギュレータバルブ50のパイロット圧が低
下し、ライン圧が所定値まで下げられる。このようにラ
イン圧を低下させるのは、コーストクラッチ23の締結
初期における動作を緩衝して締結ショックの発生を防止
するためである。
【0058】次に、ステップ#10でタービン回転数N
tが読み込まれ、続いてステップ#11で該タービン回
転数Ntが、ステップ#4で記憶された基準回転数Nts
より高いか否かが比較・判定される。ここで、NtがNt
sより高くなければ(NO)、ステップ#10〜ステップ
#11が繰り返し実行され、ライン圧が所定値まで下げ
られた状態が継続される。すなわち、タービン回転数N
tが、シフトダウン開始時におけるタービン回転数Nts
を上回る時点からは、コーストクラッチ23を確実にオ
ンさせるために、ライン圧を高めてクラッチ容量を高め
る必要があるが、これ以前はその必要がないので、締結
ショックの発生を防止するためにライン圧を低下させて
おくようにしている。
【0059】ステップ#11で、Nt>Ntsであると判
定されれば(YES)、ステップ#12で、ライン圧を、
現在のタービン回転数Ntと上記基準回転数Ntsの回転
数差に応じて徐々に高めるといったいわゆる差回転制御
が開始される。すなわち、エンジンの出力トルクに応じ
てライン圧を高め、締結ショックの発生を防止しつつ、
すみやかにかつ確実にコーストクラッチ23をオンさ
せ、3速に変速させるようにしている。
【0060】図9に、Dレンジ4速から2レンジ3速へ
のマニュアルシフトダウン時において、前記のライン圧
制御が行なわれた場合の、タービン回転数と(G1)、サ
ーボリリース圧と(G2)、コースト圧と(G3)、ライン圧
と(G4)、レンジ信号(G5)の時間に対する特性の一例を
示す。図9に示す例では、時刻t1でマニュアルシフトダ
ウンが開始されてタービン回転数Ntが低下し始め、t4
でタービン回転数Ntが上昇に転じ、t5でタービン回転
数Ntが基準回転数Ntsを超えている。これに伴って、
ライン圧が、t1で所定値まで高められ(例えば、9kg/c
m2)、t4でシフトダウン前のライン圧(例えば、5kg/cm
2)よりも低い所定値まで下げられ(例えば、4kg/c
m2)、t5から差回転制御により徐々に高められている。
また、ここで、リリースポート26bにかかる油圧すな
わちサーボリリース圧はt1でシフトダウン開始とともに
直ちに上昇し始めるが、コーストクラッチ23にかかる
油圧すなわちコースト圧は、コーストタイミングバルブ
43の作用により若干遅れてt2で上昇し始め、コースト
クラッチ23はt3で締結され始める。
【0061】このように、マニュアルシフトダウン時に
おいて、締結ショックの発生するおそれのない時期(t1
〜t4)ではライン圧を高めているので、サーボリリース
圧が短時間で高められ、すみやかにコーストクラッチ2
3への油圧の供給が開始される。このため、変速の応答
性が高められる。そして、タービン回転数Ntが上昇し
始めた時点t4からはライン圧が下げられるので、締結シ
ョックの発生が有効に防止される。さらに、タービン回
転数Ntが基準回転数Ntsを超えた時点t5からはライン
圧の差回転制御が行なわれるので、コーストクラッチ2
3のクラッチ容量がエンジンの出力トルクに応じて高め
られ、締結ショックを発生させることなくコーストクラ
ッチ23を確実かつ迅速にオンさせることができる。ま
た、t1〜t4においてライン圧が高められるので、この間
におけるタービン回転数Ntの低下が抑制され、この後
コーストクラッチ23がオンされる際の締結ショックの
発生を、一層確実に防止することができる。
【0062】図10は、マニュアルシフトダウン初期
t1'〜t4'でライン圧を高めず、かつこの後t4'〜t5'でラ
イン圧を低下させない従来の油圧機構の、図9と同様の
図である。なお、図10において、実線H1〜H4は、第
1実施例と同様の差回転制御を行なった場合の特性であ
り、破線H1'〜H4'はかかる差回転制御を行なわない場
合の特性である。図10から明らかなように、従来の油
圧機構ではシフトダウン開始時t1'からタービン回転数
が上昇に転ずる時点t4'までの時間が非常に長くなり、
応答性が悪化している。また、t1'〜t4'におけるタービ
ン回転数の低下が非常に大きくなるので、この後コース
トクラッチがオンされる際に締結ショックが発生する。
【0063】<第2実施例>以下、本発明の第2実施例
を説明する。なお、第2実施例において、自動変速機の
構成は、図1〜図7に示す第1実施例の場合と同様であ
るので、適宜図1〜図7を参照する。そして、第2実施
例は、第1実施例と比べて、マニュアルシフトダウン時
におけるライン圧制御の制御方法が異なるだけであるの
で、説明の重複を避けるため、以下では第1実施例と異
なる点についてのみ説明する。第2実施例では、図11
に示すフローチャートに従ってライン圧制御が行なわれ
るが、図11に示すフローチャートは、ほとんどのステ
ップが、図8に示す第1実施例のフローチャートと重複
している。このため、重複するステップには図8のフロ
ーチャートと同一のステップ番号を付し、その説明を省
略する。図11に示すように、第2実施例では、ステッ
プ#4とステップ#5の間に、各シフトバルブ33〜3
5を制御する第1〜第3ソレノイドバルブ83,85,8
7のオン・オフパターンを、Dレンジ4速用のオン・オ
フ・オン(○×○)からオフ・オフ・オフ(×××)に切り
替えるステップ#100が挿入されるとともに、ステッ
プ#8とステップ#9の間に、第1〜第3ソレノイドバ
ルブ83,85,87のオン・オフパターンを、2レンジ
3速用の本来のパターンであるオン・オフ・オフ(○×
×)に切り替えるステップ#101が挿入されている。
【0064】すなわち、ステップ#100で、第1〜第
3ソレノイドバルブ83,85,87のオン・オフパター
ンがオフ・オフ・オフに設定されるので、普通の2レン
ジ3速用のパターン(オン・オフ・オフ)に比べて、第1
ソレノイドバルブ83がオフされており、したがって1
−2シフトバルブ33のバルブスプール33vがオフ位
置にシフトされる。このため、まず第1ソレノイドバル
ブ83がオフされることによって、第1コントロール用
油圧通路82内の油圧が、カットバックバルブ用油圧通
路105を介して、カットバックバルブ62のコントロ
ールポート62aに供給されるので、カットバックバル
ブ62のカットバック作用が停止され、パイロット圧通
路61内の油圧、すなわちプレッシャレギュレータバル
ブ50のパイロット圧が上昇し、ライン圧が高められる
(ほぼ1.5倍)。このため、マニュアルシフトダウン時
におけるリリースポート26bへの油圧の供給が一層促
進され、コーストタイミングバルブ43の入力ポート4
3aと出力ポート43bとが連通するまでの時間が短縮さ
れ、コーストクラッチ23への油圧の供給が早められ
る。
【0065】また、1−2シフトバルブ33のバルブス
プール33vががオフ位置にシフトされるので、2−4
ブレーキ26のアプライポート26aの油圧がリリース
される。したがって、2−4ブレーキ26は、リリース
ポート26b内の油圧によって急速にオフされ、したが
ってコーストクラッチ23への油圧の供給が早められ
る。このため、上記のライン圧の上昇による効果と相ま
って、コーストクラッチ23に油圧が供給され始めるま
での時間が非常に短くなり、変速の応答性が大幅に高め
られる。なお、ステップ#101では、第1〜第3ソレ
ノイドバルブ83,85,87のオン・オフパターンが、
普通の2レンジ3速用のパターン(オン・オフ・オフ)に
切り替えられる。
【0066】図12に、このようなライン圧制御によ
り、Dレンジ4速から2レンジ3速へのマニュアルシフ
トダウンが行なわれた場合の、タービン回転数と
(L1)、サーボリリース圧と(L2)、コースト圧と
(L3)、ライン圧と(L4)、サーボアプライ圧と(L5)、
レンジ信号と(L6)と、ソレノイドパターン(L7)の時間
に対する特性を示す。図12から明らかなように、第2
実施例では、第1実施例の場合(図9参照)に比べて、シ
フトダウン初期(t11〜t14)におけるライン圧が大幅に高
められている(例えば、12kg/cm2)。そして、シフト
ダウン開始からタービン回転数が上昇に転ずるまでの時
間(t11〜t14)が非常に短くなっている。このため、変速
の応答性を大幅に高めることができる。
【0067】
【発明の作用・効果】第1の発明によれば、マニュアル
シフトダウン時において、締結ショックが生じるおそれ
が小さいシフトダウン初期にはライン圧が高められるの
で、変速の応答性が高められる。そして、締結ショック
が生じやすくなるシフトダウン中期にはライン圧が下げ
られるので、締結ショックの発生が防止される。また、
摩擦締結要素が締結されるシフトダウン後期には、ライ
ン圧が徐々に上昇するので、エンジンの出力トルクに応
じた締結が行なわれ、摩擦締結要素が締結ショックを起
こすことなく確実に締結される。したがって、締結ショ
ックの発生を防止しつつ、変速の応答性を高めることが
できる。
【0068】第2の発明によれば、基本的には、第1の
発明と同様の作用・効果が得られる。さらに、変速機入
力側回転数が上昇を開始した時点、すなわち摩擦締結要
素がほぼ締結を開始する時点からライン圧を低下させる
ようにしているので、締結ショックの発生がより確実に
防止される。
【0069】第3の発明によれば、基本的には、第1の
発明または第2の発明と同様の作用・効果が得られる。
さらに、時々刻々の変速機入力側回転数がシフトダウン
開始時の回転数を越えた時点から、両回転数の差に応じ
てライン圧が徐々に上昇させられるので、エンジンの出
力トルクに応じて摩擦締結要素が締結され、締結ショッ
クを発生させることなく、確実かつ迅速に摩擦締結要素
が締結される。
【0070】第4の発明によれば、基本的には、第3の
発明と同様の作用・効果が得られる。さらに、自動変速
機にコーストクラッチと、該コーストクラッチ締結前に
解放される摩擦締結要素と、コーストタイミングバルブ
とが設けられており、本質的には変速の応答性が非常に
悪くなる構成であるが、前記のとおり、確実に応答性が
高められるので、応答性の向上効果が一層有効となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】油圧機構の、コーストタイミングバルブまわり
のシステム構成図である。
【図2】自動変速機のシステム構成図である。
【図3】油圧機構の、変速機まわりのシステム構成図で
ある。
【図4】油圧機構の、ライン圧制御機構まわりのシステ
ム構成図である。
【図5】油圧機構の、マニュアルバルブ及び1−2シフ
トバルブまわりのシステム構成図である。
【図6】油圧機構の、2−3シフトバルブ及び3−4シ
フトバルブまわりのシステム構成図である。
【図7】油圧機構の、ロックアップ制御機構まわりのシ
ステム構成図である。
【図8】第1実施例における、自動変速機のライン圧制
御の制御方法を示すフローチャートである。
【図9】第1実施例における、自動変速機のDレンジ4
速から2レンジ3速へのマニュアルシフトダウン時の変
速特性を示す図である。
【図10】従来の自動変速機の、Dレンジ4速から2レ
ンジ3速へのマニュアルシフトダウン時の変速特性を示
す図である。
【図11】第2実施例における、自動変速機のライン圧
制御の制御方法を示すフローチャートである。
【図12】第2実施例における、自動変速機のDレンジ
4速から2レンジ3速へのマニュアルシフトダウン時の
変速特性を示す図である。
【符号の説明】
AT…自動変速機 FS…油圧機構 L…ライン圧制御機構 5…変速歯車機構 23…コーストクラッチ 26…2−4ブレーキ 31…マニュアルバルブ 32…コントロールユニット 43…コーストタイミングバルブ 50…プレッシャレギュレータバルブ 57…ライン圧制御用ソレノイドバルブ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平2−113150(JP,A) 特開 平3−107665(JP,A) 特開 昭62−80337(JP,A) 実開 昭61−9654(JP,U) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) F16H 61/00 - 61/12

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 油圧によって動作する複数の摩擦締結要
    素を備え、これらの摩擦締結要素の動作状態を組み変え
    ることによって変速段の切り替えを行なうようになった
    変速機構と、上記各摩擦締結要素に油圧を供給する油圧
    機構とが設けられた自動変速機において、油圧機構のラ
    イン圧を制御するライン圧制御機構と、マニュアル操作
    を検出するマニュアル操作検出手段と、マニュアル操作
    によってシフトダウンが行なわれるときには、該シフト
    ダウン初期に一旦ライン圧を上昇させ、この後上記ライ
    ン圧を低下させた後、再び該ライン圧を徐々に上昇させ
    るマニュアルシフトダウン時用ライン圧制御手段とが設
    けられていることを特徴とする自動変速機の油圧制御装
    置。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載された自動変速機の油圧
    制御装置において、変速機入力側回転数検出手段が設け
    られ、マニュアルシフトダウン時用ライン圧制御手段
    が、マニュアルシフトダウン初期に一旦ライン圧を上昇
    させた後、変速機入力側回転数が上昇を開始した時点で
    ライン圧を低下させるようになっていることを特徴とす
    る自動変速機の油圧制御装置。
  3. 【請求項3】 請求項1または請求項2に記載された自
    動変速機の油圧制御装置において、変速機入力側回転数
    検出手段と回転数差検出手段とが設けられ、マニュアル
    シフトダウン時用ライン圧制御手段が、変速機入力側回
    転数がマニュアルシフトダウン開始時の回転数を越えた
    時点からライン圧の再上昇を開始し、かつ該ライン圧
    を、時々刻々の変速機入力側回転数とマニュアルシフト
    ダウン開始時の回転数の差に対応させて設定するように
    なっていることを特徴とする自動変速機の油圧制御装
    置。
  4. 【請求項4】 請求項3に記載された自動変速機の油圧
    制御装置において、自動変速機に、コーストクラッチ
    と、該コーストクラッチの締結時に解放される摩擦締結
    要素とが設けられ、該摩擦締結要素の解放に応動してコ
    ーストクラッチを締結させるコーストタイミングバルブ
    が設けられていることを特徴とする自動変速機の油圧制
    御装置。
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