JPH0513968Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本考案はエンジンのシリンダヘツド構造に関
し、特にシリンダヘツドのオイルをシリンダブロ
ツクに戻すオイルリターン通路の冷却性向上対策
等に関する。

（従来の技術） 従来、エンジンのシリンダヘツド構造として、
例えば実開昭58−4747号公報に開示されるよう
に、シリンダヘツド本体に上下方向へ延びるよう
に設けられており、上端がシリンダヘツド内の上
部に開口し且つ下端がシリンダブロツクに形成さ
れたオイルリターン通路に連通するオイルリター
ン通路を備え、シリンダヘツドの動弁系部材等を
潤滑、冷却した後のオイルを上記シリンダヘツド
に設けられたオイルリターン通路及びシリンダブ
ロツクに設けられたオイルリターン通路を介して
オイルパン等に戻すようにしたものが知られてい
る。

（考案が解決しようとする問題点） ところが、このようなシリンダヘツド構造をも
つエンジンを自動車に横置きに搭載する場合、冷
却性の面から排気ポート側が前方になるように配
置すると共に、ボンネツト高さを低くして空気抵
抗を低減したいという要請から、エンジンを前部
側つまり排気ポート側がその後部側つまり吸気ポ
ート側よりも下方になるように傾斜した状態で搭
載することが行われている。

しかし、この場合、エンジンを排気ポート側が
下方になるように傾斜して搭載している関係上、
シリンダヘツドのオイルリターン通路を排気ポー
ト側に集中して設ける必要があるので、このオイ
ルリターン通路のリターンオイルの温度が排気ポ
ートからの熱を受けて上昇し、ブローバイガスが
増加するという問題がある。

一方、シリンダヘツド本体における排気ポート
の上側及び下側には通常ウオータジヤケツトが設
けられるが、ウオータージヤケツトにおける排気
ポートの上側及び下側に延びている部分は排気ポ
ート側に突出しているため、シリンダヘツドを鋳
造する際に用いられるウオータジヤケツト形成用
の中子も排気ポートの上側及び下側に突出する形
状になり、ウオータージヤケツト形成用の中子の
剛性が十分ではないという問題もあつた。

本考案は、上記問題点を一挙に解決し、シリン
ダーヘツドのオイルリターン通路を流通するリタ
ーンオイルの温度が排気ポートからの熱を受けて
上昇するのを防止すると共に、シリンダーヘツド
を鋳造する際に用いられるウオータージヤケツト
形成用の中子の剛性を向上させることを目的とす
る。

（問題点を解決するための手段） 上記の目的を達成するため、本考案は、シリン
ダーヘツド本体におけるシリンダヘツドオイルリ
ターン通路よりも排気ポート側に、上端及び下端
がそれぞれシリンダヘツド本体内のウオータージ
ヤケツトと連通し且つシリンダーヘツドオイルリ
ターン通路を流通するオイルを冷却する冷却水を
流通せしめる冷却水通路を設けるものである。

具体的に本考案が講じた解決手段は、排気ポー
ト側が吸気ポート側よりも下方になるように傾斜
して搭載されるエンジンのシリンダーヘツドの構
造を対象とし、シリンダヘツド本体における排気
ポート同士の間に上下方向へ延びるように設けら
れており、上端がシリンダヘツド本体内の上部に
開口し且つ下端がシリンダブロツク内に形成され
たオイルリターン通路に連通しているシリンダー
ヘツドオイルリターン通路と、シリンダーヘツド
本体における上記シリンダヘツドオイルリターン
通路よりも排気ポート側であつて上記シリンダー
ヘツドオイルリターン通路の近傍に上下方向へ延
びるように設けられており、上端及び下端がシリ
ンダヘツド本体内に形成されたウオータージヤケ
ツトの上部及び下部とそれぞれ連通し該ウオータ
ージヤケツトから導入され上記シリンダーヘツド
オイルリターン通路を流れるオイルを冷却するた
めの冷却水を流通せしめる冷却水通路とを備えて
いる構成とするものである。

（作用） 上記の構成により、シリンダヘツド内のオイル
はシリンダーヘツドオイルリターン通路及びシリ
ンダーブロツクに形成されたオイルリターン通路
を流通してシリンダブロツク下方のオイルパン等
に回収される。この際、シリンダーヘツドオイル
リターン通路を流通するオイルは、シリンダーヘ
ツド本体における上記シリンダヘツドオイルリタ
ーン通路よりも排気ポート側であつて上記シリン
ダーヘツドオイルリターン通路の近傍に設けられ
た冷却水通路を流通する冷却水によつて冷却され
る。

また、上記冷却水通路は、シリンダーヘツド本
体内に上下方向へ延びるように設けられ、且つそ
の上端及び下端がシリンダヘツド本体内に形成さ
れたウオータージヤケツトの上部及び下部とそれ
ぞれ連通しているために、上記冷却水通路が設け
られる箇所においては、ウオータージヤケツトの
上部と下部とは冷却水通路によつて連通されてい
ることになる。このため、シリンダーヘツドを鋳
造する際に用いられるウオータージヤケツト用の
中子の上部と下部とは、冷却水通路部分の中子を
介して連続している。

（実施例） 以下、本考案の実施例を図面に基づいて説明す
る。

第１図〜第３図は本考案の一実施例に係る直列
４気筒４バルブエンジンのシリンダヘツド構造を
示す。このエンジンは自動車に横置きに且つ前方
（後述する排気ポート側）が下側になるように傾
斜して搭載される。１はシリンダブロツク上に配
置されたシリンダヘツドであつて、該シリンダヘ
ツド１とシリンダブロツクとの間には、シリンダ
ヘツド１の長手方向に第１〜第４の４つの気筒２
ａ〜２ｄが形成されている。

また、上記シリンダヘツド１の内部には略水平
に拡がるミドルデツキ部３が設けられ、該ミドル
デツキ部３とシリンダヘツド１の下壁１ａとの間
に冷却水を流通させるウオータジヤケツト４が形
成されている。そして、上記ミドルデツキ部３の
上面にはカムシヤフト等の動弁系部材が配設され
る。

さらに、上記シリンダヘツド１のミドルデツキ
部３の下側には、一端部が二又状に分岐し且つ上
記各気筒２ａ〜２ｄに面する下壁１ａに開口し他
端が後壁１ｂに開口する吸気ポート５，５…が形
成されていると共に、一端部が二又状に分岐し且
つ上記各気筒２ａ〜２ｄに面する下壁１ａに開口
し他端が前壁１ｃに開口する排気ポート６，６…
が形成されている。

そして、上記シリンダヘツド１の第１気筒２ａ
の排気ポート６と第２気筒２ｂの排気ポート６と
の間、及び第３気筒２ｃの排気ポート６と第４気
筒２ｄの排気ポート６との間には、シリンダーヘ
ツドオイルリターン通路としてのオイルリターン
通路７がそれぞれ設けられている。該各オイルリ
ターン通路７は、その上端がシリンダヘツド１内
のミドルデツキ部３の上面に開口し、下端がシリ
ンダブロツクに形成されたオイルリターン通路に
連通しており、動弁系部材に供給されこれらを潤
滑、冷却した後のオイルをシリンダブロツク下方
のオイルパンに回収するようにしている。

また、上記シリンダーヘツド１における各オイ
ルリターン通路７の前側つまり排気ポート側であ
つて各オイルリターン通路７の近傍には、該オイ
ルリターン通路７に沿つて上下方向へ延び且つ上
端及び下端がウオータジヤケツト４の上部及び下
部にそれぞれ連通している冷却水通路８が形成さ
れており、該冷却水通路８にシリンダヘツド１内
の冷却水つまりウオータージヤケツト４を流通す
る冷却水を導入し、冷却水通路８内に導入された
冷却水によつて上記オイルリターン通路７を流通
するリターンオイルは冷却されるようになつてい
る。

したがつて、シリンダヘツド１の排気ポート
６，６同士の間にオイルリターン通路７，７…が
設けられているので、排気ポート側が下方になる
ように傾斜したエンジンからオイルをオイルパン
に確実に回収することができる。

また、上記オイルリターン通路７の前側にオイ
ルリターン通路７に沿つて延びる冷却水通路８を
設けたので、該冷却水通路８を流通する冷却水に
よつて、オイルリターン通路７を流れる際に排気
ポートを流通する排気ガスの熱を受けたリターン
オイルは良好に冷却されるので、リターンオイル
からのブローバイガスの発生が抑制されてブロー
バイガス量を減少させることができる。

さらに、シリンダヘツド１の排気ポート６，６
同士の間に、上端及び下端がウオータジヤケツト
４の上部及び下部にそれぞれ連通している冷却水
通路８が設けられているので、この冷却水通路８
部分を構成する中子によつてウオータージヤケツ
ト４用中子の上部と下部とが連続する。このた
め、ウオータジヤケツト４の中子の剛性がきわめ
て向上する。

（考案の効果） 以上説明したように、本考案のエンジンのシリ
ンダヘツド構造によれば、シリンダーヘツド本体
におけるシリンダヘツドオイルリターン通路より
も排気ポート側であつてシリンダーヘツドオイル
リターン通路の近傍に上下方向に延びるように設
けられ、上端及び下端がシリンダヘツド本体内の
ウオータージヤケツトの上部及び下部とそれぞれ
連通しシリンダーヘツドオイルリターン通路を流
れるオイルを冷却するための冷却水を流通せしめ
る冷却水通路を設けたため、シリンダーヘツドオ
イルリターン通路を流通するオイルは上記冷却水
通路を流通する冷却水によつて冷却され温度上昇
が確実に避けられるのでブローバイガスが確実に
減少すると共に、シリンダーヘツドを鋳造する際
に用いられるウオータージヤケツト用中子の上部
と下部とは冷却水通路用中子を介して連続してい
るのでウオータージヤケツト用中子の剛性が向上
している。

【図面の簡単な説明】

図面は本考案の一実施例を示し、第１図はシリ
ンダヘツドの横断面図、第２図はシリンダヘツド
の縦断側面図、第３図はシリンダーヘツドの縦断
正面図である。 １……シリンダヘツド、６……排気ポート、７
……オイルリターン通路（シリンダーヘツドオイ
ルリターン通路）、８……冷却水通路。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 排気ポート側が吸気ポート側よりも下方になる
   ように傾斜した状態で搭載されるエンジンのシリ
   ンダーヘツドの構造であつて、 シリンダヘツド本体における排気ポート同士の
   間に上下方向へ延びるように設けられており、上
   端がシリンダヘツド本体内の上部に開口し且つ下
   端がシリンダブロツク内に形成されたオイルリタ
   ーン通路に連通しているシリンダーヘツドオイル
   リターン通路と、 シリンダーヘツド本体における上記シリンダヘ
   ツドオイルリターン通路よりも排気ポート側であ
   つて上記シリンダーヘツドオイルリターン通路の
   近傍に上下方向へ延びるように設けられており、
   上端及び下端がシリンダヘツド本体内に形成され
   たウオータージヤケツトの上部及び下部とそれぞ
   れ連通し該ウオータージヤケツトから導入され上
   記シリンダーヘツドオイルリターン通路を流れる
   オイルを冷却するための冷却水を流通せしめる冷
   却水通路とを備えていることを特徴とするエンジ
   ンのシリンダヘツド構造。