JPH05139240A - 衝突速度感応型エアバツグ装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 衝突速度が設定した速度以上のときだけエア
バッグを膨張させる。 【構成】 ２個の衝突センサ１５，１６を、サイドドア
１１内にドア厚方向に所定の間隔で配置し、衝突時に両
センサ１５，１６が衝突を検出する時間差から衝突速度
を、エアバッグ作動制御装置１７において算出するとと
もに、算出された検出衝突速度と、エアバッグによる保
護が必要とされる最低衝突速度として予め設定された設
定衝突速度との比較を行い、検出衝突速度の方が速い場
合にエアバッグを膨張させる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】この発明は、車両の衝突時に二次
衝突から乗員を保護するエアバッグ装置に関するもので
ある。

【０００２】

【従来の技術】これまでに開発されているエアバッグ装
置としては、例えば英国特許明細書２２２５６６０Ａ号
に記載されているものがある。これは図８および図９に
示すように、車両側面のサイドドア１内にサイドエアバ
ッグ２と、これを膨張させるインフレータ３とを設ける
とともに、このサイドドア１内の補強バー４のドアアウ
タパネル１ａ側に衝突センサ５を備えている。

【０００３】そして、側面衝突時に衝突センサ５が、変
形するサイドドア１のアウタパネル１ａと補強バー４と
の間に挟圧された際に、側面衝突による荷重が、所定よ
り大きくかつ所定より広い範囲へ入力されると、変形す
るアウタパネル１ａに押圧されて衝突センサ５が潰れ
て、センサ内部に対向配置された接点が接触してスイッ
チオンし、側面衝突が検知されて衝突検知信号が発信さ
れる。その結果、インフレータ３が着火され、発生する
ガスによってエアバッグ２が膨張して、乗員を二次衝突
から保護する。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】前掲の特許明細書に記
載された衝突センサ５は、衝突時にサイドドア１の変形
に伴う荷重によって圧縮された際に潰れて、その内部の
接点が接触することにより衝突が検知されて衝突検知信
号を出力する。そして、この衝突センサ５を備えた従来
のサイドエアバッグ装置においては、衝突時に衝突セン
サ５が側面衝突を検知すると、衝突速度に関係なくエア
バッグを膨張させるようになっている。したがって、衝
突速度が遅くて比較的衝撃が小さいためエアバッグによ
る乗員の保護が不要な場合や、衝突以外に例えば後退時
にハンドルを切り過ぎて、サイドドア部分が電柱等に強
く押付けられたときのように、衝突センサ５を収容した
サイドドア１に対して、外側から大きな力が徐々に加わ
った場合にも、衝突センサ５が衝突としてこれを検出
し、インフレータを着火させるため、エアバッグが膨張
してしまうという不都合があった。

【０００５】この発明は、上記の事情に鑑みなされたも
ので、衝突速度が比較的遅い場合等のエアバッグ装置に
よる乗員の保護を必要としない場合における不必要な袋
体の膨張を防止できる衝突速度感応型エアバッグ装置を
提供することを目的としている。

【０００６】

【課題を解決するための手段】上記の課題を解決するた
めの手段としてこの発明の衝突速度感応型エアバッグ装
置は、車両衝突時にインフレータを着火し、発生するガ
スにより袋体を膨張させて二次衝突から乗員を保護する
エアバッグ装置において、衝突時に、この衝突を検出す
る衝突センサＡと、この衝突センサＡより出力される衝
突検知信号から衝突速度を演算する衝突速度演算手段Ｂ
と、算出された衝突速度と予め定められた設定速度とを
比較し、算出された衝突速度が設定速度より速い場合に
インフレータに対して着火信号を発信する着火信号出力
手段Ｃとを備えていることを特徴としている。

【０００７】

【作用】上記のように、この衝突速度感応型エアバッグ
装置は、図１に主要な構成を示すように、エアバッグ装
置による乗員の保護が必要とされる最低衝突速度が予め
設定されており、衝突時に、衝突センサＡがこの衝突を
検知して衝突検知信号を出力すると、この衝突検出信号
に基づいて衝突速度演算手段Ｂにより衝突速度が演算さ
れるとともに、算出された衝突速度を前記設定された衝
突速度と比較して、算出された衝突速度の方が速いと、
着火信号出力手段Ｃからインフレータに着火信号が送ら
れて、インフレータが着火され、発生するガスによって
袋体を膨張させる。また、算出した衝突速度が設定速度
以下の場合には、インフレータに対する着火信号は発信
されず、袋体は膨張しない。

【０００８】

【実施例】以下、この発明を側面衝突用エアバッグ装置
に適用した実施例を図２ないし図６に基づいて説明す
る。

【０００９】図２および図３は、この発明の第１実施例
を示すもので、車両のサイドドア１１の車室内側（図２
において左側）には、折畳まれたエアバッグと、このエ
アバッグを膨張させるインフレタとを一体に収容したエ
アバッグモジュール１２が、インナパネル（図示せず）
に支持して設けられている。そして、サイドドア１１内
のアウタパネル１１ａ側には、第１衝突センサ１５と第
２衝突センサ１６とが、サイドドア１１の厚さ方向に所
定の距離Ｓだけ離隔させるとともに、サイドドア１１内
のそれぞれ別々の構造材に支持して配設され、この両衝
突センサ１５，１６は、車体の中央寄りに配置されたエ
アバッグ作動制御装置１７にそれぞれリード線で接続さ
れ、またエアバッグ作動制御装置１７からはエアバッグ
モジュール１２のインフレータにリード線で接続されて
いる。

【００１０】そしてエアバッグ作動制御装置１７は、両
衝突センサ１５，１６からの衝突検出信号が入力される
際の時間差に基づいて衝突速度を算出し、この算出され
た検出衝突速度と、エアバッグによる保護が必要とされ
る最低衝突速度として予め設定された設定衝突速度との
比較を行なって、検出衝突速度が設定衝突速度より大き
い場合にのみインフレータに信号を送って着火させるよ
うになっている。また、前記第１衝突センサ１５および
第２衝突センサ１６は、図３に示すように、それぞれ車
両進行方向と平衡な２辺が互いに接近して、その断面形
状が偏平な六角形のパイプ１８の前記互いに接近して平
行する二面の内側に、帯状の導電材１９，１９が、前記
平行する二面との間にそれぞれ絶縁材２０を介するとと
もに、所定の間隙を存して互いに対向するように取付け
られている。なお、図２において符号Ｇはウインドガラ
スである。

【００１１】次に、上記のように構成されるこの実施例
の作用を説明すると、衝突時には、先ず車体外側の第１
衝突センサ１５が圧縮され、接近配置されている導電材
１９，１９が接触してスイッチオンするとともに、続い
て車体内側の第２衝突センサ１６が圧縮されて導電材１
９，１９が接触してスイッチオンして、それぞれ衝突検
出信号を発信する。衝突検出信号はそれぞれエアバッグ
作動制御装置１７に入力され、その入力時間差から衝突
速度が算出されるとともに、算出された検出衝突速度と
設定衝突速度との比較が行なわれ、検出衝突速度の方が
速い場合にのみエアバッグ作動制御装置１７からエアバ
ッグモジュール１２のインフレータに着火信号が送られ
て着火し、発生するガスによってエアバッグが膨張す
る。

【００１２】また、検出衝突速度と設定衝突速度とを比
較した結果、検出衝突速度の方が遅い場合にはエアバッ
グ作動制御装置１７から着火信号が発信されず、したが
って、エアバッグは膨張しない。

【００１３】また図４および図５は、この発明の衝突速
度感応型エアバッグ装置の第２実施例を示すもので、車
両のサイドドア２１の車室内側（図４において左側）に
は、エアバッグとインフレタとを一体に収容したエアバ
ッグモジュール２２が、インナパネル（図示せず）に支
持して設けられている。そして、サイドドア１１内のア
ウタパネル２１ａ側には、圧縮強度が異なる第１衝突セ
ンサ２５ａと第２衝突センサ２５ｂとをサイドドア２１
の厚さ方向に隣接させて一体に形成した複合センサ２５
が、サイドドア１１内のサイドインパクトビーム等の構
造材に支持して配設されている。また、この複合センサ
２５の両衝突センサ２５ａ，２５ｂは、車体の中央寄り
に配置されたエアバッグ作動制御装置２７にそれぞれリ
ード線で接続され、またエアバッグ作動制御装置２７
は、エアバッグモジュール２２のインフレータにリード
線で接続されている。

【００１４】また、前記複合センサ２５は、圧縮強度が
比較的小さい第１衝突センサ２５ａと、これより若干圧
縮強度が大きい第２衝突センサ２５ｂとからなるもの
で、図５に示すように、第１衝突センサ２５ａは、車両
進行方向と平行な２辺が互いに接近して、断面形状が偏
平な六角形で所定の肉厚のパイプ２８ａの互いに接近し
て平行する二面の内側に、帯状の導電材２９，２９が、
前記平行する二面との間にそれぞれ絶縁材３０を介する
とともに、所定の間隙を存して互いに対向するように取
付けられ、また第２衝突センサ２５ｂも同様に、前記パ
イプ２８ａより若干肉厚の厚い偏平な六角形のパイプ２
８ｂの互いに接近して平行する二面の内側に、帯状の導
電材２９，２９が、前記平行する二面との間にそれぞれ
絶縁材３０を介するとともに、所定の間隙を存して互い
に対向するように取付けられている。そして衝突時に
は、先ず圧縮強度の小さい第１衝突センサ２５ａが圧潰
されて衝突を検出した後、第２衝突センサ２５ｂが圧潰
されて衝突を検出するようになっている。

【００１５】そして、前記エアバッグ作動制御装置２７
は、両衝突センサ２５ａ，２５ｂより衝突検出信号が入
力される際の時間差から衝突速度を算出し、また算出し
た検出衝突速度と設定衝突速度との比較を行なって、検
出衝突速度が設定衝突速度より大きい場合にのみインフ
レータに信号を送って着火させるようになっている。

【００１６】次に、上記のように構成されるこの実施例
の作用を説明すると、衝突時には、先ず複合センサ２５
の車体外側に位置する第１衝突センサ２５ａが潰され
て、導電材２９，２９が接触してスイッチオンした後、
車体内側の第２衝突センサ２５ｂが潰されて導電材２
９，２９が接触してスイッチオンし、それぞれ衝突検出
信号を発信する。各衝突検出信号はそれぞれエアバッグ
作動制御装置２７に入力され、エアバッグ作動制御装置
２７において両衝突センサ２５ａ，２５ｂが入力される
際の時間差から衝突速度が算出されるとともに、算出さ
れた検出衝突速度と設定衝突速度との比較を行なう。そ
の結果、検出衝突速度が設定衝突速度より速い場合にの
みエアバッグ作動制御装置２７からインフレータに着火
信号が送られて着火し、発生するガスによってエアバッ
グが膨張する。また、検出衝突速度と設定衝突速度を比
較した結果、検出衝突速度の方が遅い場合にはエアバッ
グ作動制御装置２７から着火信号が発信されず、したが
って、エアバッグは膨張しない。

【００１７】このように、複合センサ２５は、第１衝突
センサ２５ａが比較的小さな荷重でＯＮし、第２衝突セ
ンサ２５ｂは所定荷重以上でＯＮするため、いかなる衝
突形態であっても、先ず第１衝突センサ２５ａが衝突直
後に速やかにＯＮして、なおかつ所定以上の衝突荷重の
ときには第２衝突センサ２５ｂがＯＮとなるので、衝突
速度をより正確に計測してエアバッグ装置を作動させる
とともに、所定荷重以下では衝突と判断しないため、前
記第１実施例の場合の衝突センサと比べてセンサ性能が
優れている。

【００１８】また図６および図７はこの発明の衝突速度
感応型エアバッグ装置の第３実施例を示すもので、車両
のサイドドア３１の車室内側（図７において左側）に
は、エアバッグとインフレタとを一体に収容したエアバ
ッグモジュール３２が設けられるとともに、このサイド
ドア１１内のアウタパネル３１ａの内面には、ひずみゲ
ージセンサ３５が複数箇所に貼着されており、各ひずみ
ゲージセンサ３５は、車体の中央寄りに配置されたエア
バッグ作動制御装置３７にそれぞれリード線で接続さ
れ、またエアバッグ作動制御装置３７は、エアバッグモ
ジュール３２のインフレータにリード線で接続されてい
る。

【００１９】そして、各ひずみゲージセンサ３５は、衝
突時にサイドドア３１のアウタパネル３１ａと共に変形
して、そのひずみ量とひずみ速度とを検出するもので、
両検出値に基づき、エアバッグ作動制御装置３７におい
て衝突速度が算出され、また算出した検出衝突速度と設
定衝突速度との比較を行なって、検出衝突速度が設定衝
突速度より大きい場合にのみインフレータに信号を送っ
て着火させるようになっている。

【００２０】次に、上記のように構成されるこの実施例
の作用を説明すると、衝突時には、アウタパネル３１ａ
と共にひずみゲーシセンサ３５が変形すると、そのひず
み量とひずみ速度とがそれぞれ検出されてエアバッグ作
動制御装置３７に入力され、エアバッグ作動制御装置３
７においてひずみ量とひずみ速度とから衝突速度が算出
されるとともに、算出された検出衝突速度と設定衝突速
度との比較を行なう。その結果、検出衝突速度が設定衝
突速度より速い場合にのみエアバッグ作動制御装置３７
からインフレータに着火信号が送られて着火し、発生す
るガスによってエアバッグが膨張する。

【００２１】また、検出衝突速度と設定衝突速度を比較
した結果、衝突速度の方が遅い場合にはエアバッグ作動
制御装置３７から着火信号が発信されず、したがって、
エアバッグは膨張しない。

【００２２】なお、上記各実施例においては、衝突速度
感応型エアバッグ装置を側面衝突用エアバッグ装置に適
用した場合について説明したが、他に、例えば正面衝突
用エアバッグ装置等にも好適に実施することができる。

【００２３】

【発明の効果】以上説明したようにこの発明の衝突速度
感応型エアバッグ装置は、衝突時に、衝突センサより出
力される衝突検知信号から衝突速度を演算する衝突速度
演算手段と、算出された衝突速度と予め定められた設定
速度とを比較し、算出された衝突速度が設定速度より速
い場合にインフレータに対して着火信号を発信する着火
信号出力手段とを備えているので、エアバッグ装置によ
る乗員の保護が不要な場合における、袋体の不必要な膨
張を確実に防止することができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】この発明の構成例を示すブロック図である。

【図２】この発明の第１実施例を概略を示すサイドドア
の断面図である。

【図３】衝突センサの構造および設置状態を示す断面側
面図である。

【図４】この発明の第２実施例の概略を示すサイドドア
の断面図である。

【図５】複合センサの構造を示す斜視図である。

【図６】この発明の第３実施例におけるひずみゲージセ
ンサの配置を示すサイドドアの正面図である。

【図７】図６のＶＩＩ−ＶＩＩ線断面図である。

【図８】従来のサイドエアバッグ装置を示すサイドドア
の断面側面図である。

【図９】図８のＩＸ−ＩＸ線断面図である。

【符号の説明】

１５ 第１衝突センサ １６ 第２衝突センサ １７ エアバッグ作動制御装置 ２５ 複合センサ ２７ エアバッグ作動制御装置 ３５ ひずみゲージセンサ ３７ エアバッグ作動制御装置

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 宮川 稔人 愛知県豊田市トヨタ町１番地 トヨタ自動 車株式会社内 (72)発明者 橋本 正一 愛知県豊田市トヨタ町１番地 トヨタ自動 車株式会社内 (72)発明者 松橋 俊明 愛知県刈谷市昭和町１丁目１番地 日本電 装株式会社内 (72)発明者 田口 正広 愛知県西尾市下羽角町岩谷14番地 株式会 社日本自動車部品総合研究所内 (72)発明者 富永 元規 愛知県西尾市下羽角町岩谷14番地 株式会 社日本自動車部品総合研究所内

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 車両衝突時にインフレータを着火し、発
   生するガスにより袋体を膨張させて二次衝突から乗員を
   保護するエアバッグ装置において、 衝突時に、この衝突を検出する衝突センサと、この衝突
   センサより出力される衝突検知信号から衝突速度を演算
   する衝突速度演算手段と、算出された衝突速度と予め定
   められた設定速度とを比較し、算出された衝突速度が設
   定速度より速い場合にインフレータに対して着火信号を
   発信する着火信号出力手段とを備えていることを特徴と
   する衝突速度感応型エアバッグ装置。