JPH05138612A - 改質木材の製法 - Google Patents

改質木材の製法

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JPH05138612A
JPH05138612A JP30948091A JP30948091A JPH05138612A JP H05138612 A JPH05138612 A JP H05138612A JP 30948091 A JP30948091 A JP 30948091A JP 30948091 A JP30948091 A JP 30948091A JP H05138612 A JPH05138612 A JP H05138612A
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宏明 碓氷
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正三 平尾
Hiroyuki Ishikawa
博之 石川
Kenji Onishi
兼司 大西
Arihiro Adachi
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 互いに反応する異なる薬剤を混合する手間が
なく、薬剤の使用可能時間が長く、薬剤同士の木材外で
の反応を伴わずに薬剤を木材中でのみ反応させて木材を
効率良く連続的に改質できるとともに、木材中心部にま
で多量の有効成分を含むため、木材表面の加工により性
能が低下するということの少ない改質木材を得ることが
できる方法を提供する。 【構成】 異なる薬剤4a、4bを付着させた複数の原
料木材5a、5b、5aを積層し、異なる薬剤4a、4
bを各原料木材の相対する面から含浸させて、木材組織
内に不溶性化合物を生成・定着させるようにする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、住宅設備、建築材料
等として用いられる改質木材の製法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、木材に対し、難燃性(防火性)、
防腐・防虫性、寸法安定性、耐水・耐湿性、表面硬度、
力学的強度、耐磨耗性等を付与する改質法として、不溶
性不燃性無機物との複合、機能性樹脂との複合、化学修
飾、薬剤含浸等の方法が実施されている。
【0003】前記不溶性不燃性無機物との複合法は、主
として難燃性(防火性)、寸法安定性、防腐・防虫性、
力学的強度,表面硬度等を付与する目的で行われてい
る。この方法では、難燃性に関しては準不燃レベルに達
する改質木材が得られており、そのため、得られた改質
木材は、防火ドア等の材料として利用されている。前記
機能性樹脂との複合法は、主として耐水・耐湿性、表面
硬度、力学的強度、耐磨耗性等の付与を目的として行わ
れている。この方法により得られた改質木材は、一般的
には、WPCと呼ばれ、床材等として広く利用されてい
る。
【0004】前記化学修飾法は、主として寸法安定性、
耐水・耐湿性等の付与を目的として行われている。たと
えば、アセチル化により得られた改質木材は、浴槽等の
水回り用材料等として利用されている。前記薬剤含浸法
は、主として防腐・防虫性等の付与を目的として行わ
れ、広く利用されている。
【0005】以下に、不溶性不燃性無機物との複合法、
すなわち、不溶性不燃性無機物を木材中に含ませること
により木材を改質する方法について詳しく説明する。一
般に、木材に難燃性を付与するための改質方法は、以下
のような難燃化のメカニズムに基づいて大別されてい
る。 (a)無機物による被覆 (b)炭化促進 (c)発炎燃焼における連鎖反応の阻害 (d)不燃性ガスの発生 (e)分解・結晶水放出による吸熱 (f)発泡層による断熱 ここで、木材中に不溶性不燃性無機物を含ませるという
改質方法は、以下に説明するように、上記(a)以外に
も、無機物の種類によっては、(b)、(c)、(d)
等による効果も併せて期待できる優れた方法である。し
かも、不溶性不燃性無機物は、一旦、木材組織内に定着
させられれば、木材から溶け出す恐れが少ないので、前
記効果が薄れるといった心配も少ない。
【0006】上記(a)から(d)までの難燃化のメカ
ニズムについて、次に詳しく説明する。(a)の無機物
による被覆は、たとえ可燃性の材料であっても、それを
不燃性の無機物と適当な配合比で複合することにより難
燃化しうるということである。たとえば、従来知られて
いる木片セメント板は、可燃性木材を不燃性のセメント
と約3対1ないし1対1の重量配合比で混合し、板状に
成形したものであって、JISで準不燃材料として認め
られている。
【0007】(b)の炭化促進は、次のようなメカニズ
ムである。木材は、加熱されると熱分解して可燃性ガス
を発生し、これが発炎燃焼するわけであるが、この時、
リン酸あるいはホウ酸が存在すると、木材の熱分解、す
なわち炭化が促進され、速やかに炭化層が形成される。
この炭化層が断熱層として作用し、難燃効果が生じる。
したがって、不溶性不燃性無機物がリン酸成分あるいは
ホウ酸成分を含む場合は、難燃効果が一層高いものとな
る。
【0008】(c)の発炎燃焼における連鎖反応の阻害
とは、ハロゲンにより寄与されるものであり、炎中での
ラジカル的な酸化反応において、ハロゲンが連鎖移動剤
として作用する結果、酸化反応が阻害されて難燃効果が
生じるというメカニズムである。したがって、不溶性不
燃性無機物がハロゲンを含んでおれば、このメカニズム
による難燃効果も得られる。
【0009】(d)の不燃性ガスの発生は、次のような
メカニズムである。すなわち、炭酸塩、アンモニウム塩
等の化合物が、熱分解により炭酸ガス、亜硫酸ガス、ハ
ロゲン化水素などの不燃性ガスを発生し、これらのガス
が可燃性ガスを希釈することにより燃焼を妨げるという
メカニズムである。したがって、不溶性不燃性無機物が
炭酸塩等の不燃性ガスを発生しうるものを含んでいれ
ば、このメカニズムによる難燃効果も併せて得られる。
【0010】次に、木材の防腐・防虫化について説明す
る。菌類が木材を腐敗させる際、まず、菌糸が木材内腔
中へ侵入することが不可欠である。しかし、木材内腔中
に異物が存在すると菌糸が侵入できないため、木材は、
結果的に腐敗しにくくなる。木材内腔中の異物は、防腐
効果のある薬剤(防腐剤)である必要は特になく、菌類
の養分になるものでなければ、何であっても良い。防虫
についても防腐と同じである。したがって、不溶性不燃
性無機物を木材内腔中に含ませれば、木材の防腐・防虫
性を向上させうる。ただし、前記異物は、薬剤効果があ
るものであればそれにこしたことはなく、たとえば、虫
に対して消化性の悪いもの、消化しないもの、あるい
は、忌避作用のあるものが好ましい。
【0011】さらに、木材の寸法安定化および力学的強
化について説明する。木材を水で膨潤させておいて木材
細胞壁中に何らかの物質を固定できれば、バルク効果に
より、寸法安定化効果および力学的強化効果が得られ
る。すなわち、木材細胞壁内が充填材によって占められ
ておれば、木材自体の膨張あるいは収縮が起こりにくく
なり、同時に、各種力学的強度も向上するのである。こ
こで、固定物質としては、水に溶けにくい無機物も使い
うる。したがって、不溶性不燃性無機物を木材細胞壁中
に固定すれば、寸法安定性および力学的強度を向上させ
うる。
【0012】最後に、木材の硬度(表面硬度)向上につ
いて説明すれば、一般に、木材の硬度を上げるために
は、木材内部の導管等の空隙や木材の細胞壁に無機物等
の硬い物質を詰め込んでやればよいため、木材内に不溶
性不燃性無機物を定着させることにより、木材細胞の補
強ならびに硬度の上昇という効果が得られる。この場合
に、木材の表層部分に集中的に無機物を生成させれば、
より効果的である。
【0013】以上のように、不溶性不燃性無機物を含ま
せるという方法は、難燃化をはじめとする木材の改質に
おいて非常に有効であるが、従来、下記のような問題を
有していた。一般に、不溶性不燃性無機物をそのまま水
などの溶媒に分散させ、この分散液からなる処理液中に
木材を浸漬して処理液を木材中に浸透させようとして
も、浸透していくのは、ほとんど水等の溶媒のみとなっ
てしまう。これは、次のような理由による。すなわち、
木材中に浸透する際に処理液が通過する経路のうち、最
も狭い部分はピットメンブランであるが、ここにおける
空隙径が約0.1μmであるのに対し、分散した不溶性
不燃性無機物の粒子は、普通、0.1μmよりもかなり
大きいからである。
【0014】そこで、この問題を解決できる方法が開発
された。すなわち、混合することにより互いに反応して
不溶性不燃性無機物を生じさせるカチオンおよびアニオ
ンを別々に含ませた2種の水溶液(以下、順に「カチオ
ン含有処理液」、「アニオン含有処理液」と称する)
を、水溶性無機物を水に溶解させることにより調製し、
両水溶液を順に原料木材中に含浸させて、木材中で上記
両イオンを反応させることにより、不溶性不燃性無機物
を生成させるという改質木材の製法である(特開昭61
−246003号公報等参照)。
【0015】この方法によれば、不溶性不燃性無機物
を、固体粒子として浸透させるのでなく、イオンの形で
水などの媒体中に溶存させた状態で浸透させるので、含
浸が容易であり、極めて多量の不溶性不燃性無機物を効
率良く木材中に含ませることができる。そのため、防腐
・防虫性や寸法安定性等に極めて優れた改質木材を得る
ことができる。
【0016】この改質方法においては、具体的には、カ
チオン含有処理液およびアニオン含有処理液は、所定の
カチオンを含む水溶性無機物および所定のアニオンを含
む水溶性無機物を別々に水に溶解させることにより得ら
れ、より具体的には、通常、単独の水溶性無機物を含む
処理液の組み合わせ(単独溶液系の掛け合わせ)が用い
られている。たとえば、CaCl2 を含むカチオン含有
処理液とK2 CO3 を含むアニオン含有処理液とを木材
に含浸させたり、AlCl3 を含むカチオン含有処理液
と(NH4)2 HPO4 を含むアニオン含有処理液とを木
材に含浸させたりして、木材中に不溶性不燃性無機物を
生成させるようにしている。
【0017】以上のように、種々の木材改質法が研究・
実施されており、その処理方法は、 薬液中への木材浸漬による薬剤の含浸、 浸漬処理の繰り返しによる木材中での薬剤の反応・
定着、または 減圧・加圧含浸 であり、バッチ処理形式で実施されている。
【0018】
【発明が解決しようとする課題】ところが、薬剤同士を
木材中で反応させて木材を改質する処理においては、木
材外で薬剤の反応が起きるという問題点や、互いに反応
する異なる薬剤を混合して使用するため、作製した薬液
の使用可能時間が短いという問題点があった。また、バ
ッチ処理形式であるため、薬液作製後、これを木材に含
浸するという作業の繰り返しが必要である。そのため、
生産効率が悪く、量産工程に乗りにくいという問題点も
あった。
【0019】また、図9にみるように、カチオン含有処
理液とアニオン含有処理液を順次原料木材に含浸させて
木材内に不溶性不燃性無機物を生成・定着させる前記従
来法により得られた改質木材1は、木材断面中央部に比
べて、表層部により多くの不溶性不燃性無機物2を含有
しているため、木材表面の切削、研磨等の加工を行った
場合、前記無機物の損失が多く、性能が低下するという
問題があった。
【0020】このような事情に鑑み、この発明は、互い
に反応する異なる薬剤を混合する手間がなく、薬剤の使
用可能時間が長く、薬剤同士の木材外での反応を伴わず
に薬剤を木材中でのみ反応させて木材を効率良く連続的
に改質できるとともに、木材中心部にまで多量の有効成
分を含むため、木材表面の加工により性能が低下すると
いうことの少ない改質木材を得ることができる方法を提
供することを課題とする。
【0021】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するた
め、この発明にかかる改質木材の製法は、改質しようと
する原料木材に対し、互いに反応することにより不溶性
化合物を生じさせる異なる薬剤(以下、これを単に「異
なる薬剤」と称することがある。)を含浸させて木材組
織内に前記不溶性化合物を生成・定着させる改質木材の
製法であって、前記原料木材の複数を重ね合わせた状態
で、前記異なる薬剤を、各原料木材の相対する面から含
浸させるようにすることを特徴とする。
【0022】この発明に用いられる改質のための原料木
材としては、特に限定はされず、原木丸太、製材品、ス
ライス単板、合板等が例示されるが、薬剤含浸させる面
が木材体積に対し広い方が望ましい。それらの樹種等に
ついても、何ら限定されることはない。また、原料木材
の重ね合わせ枚数も、何ら限定されない。この発明にお
いて、木材中に生成させて木材組織内に分散・定着させ
る不溶性化合物としては、特に限定はされないが、たと
えば、以下に詳しく述べる不溶性不燃性無機物や不溶性
有機化合物等が挙げられる。
【0023】−不溶性不燃性無機物− 不溶性不燃性無機物としては、特に限定はされないが、
たとえば、ホウ酸塩、リン酸塩、リン酸水素塩、炭酸
塩、硫酸塩、硫酸水素塩、ケイ酸塩、硝酸塩、水酸塩等
の各種塩が挙げられる。これらの塩のうち、たとえば炭
酸塩について具体例を挙げると、BaCO3 、CaCO
3 、FeCO3、MgCO3 、MnCO3、NiCO3
ZnCO3 等である。不溶性不燃性無機物は、2種以上
が木材中に共存するようであってもよい。木材内の不溶
性不燃性無機物は、木材セルロースと反応した形で定着
していてもよい。
【0024】なお、1種の不溶性不燃性無機物中に、後
述のカチオンおよび/またはアニオン種がそれぞれ2種
以上含まれていてもよい。不溶性不燃性無機物を木材組
織内で生成させるためには、原料木材に含浸させる異な
る薬剤として、この不溶性不燃性無機物のカチオン部を
構成するカチオン種を含む後述の1群の水溶性無機化合
物またはその水溶液からなるカチオン含有薬剤と、前記
不溶性不燃性無機物のアニオン部を構成するアニオン種
を含む後述の他の1群の水溶性無機化合物またはその水
溶液からなるアニオン含有薬剤とを用いればよい。
【0025】ここで、不溶性不燃性無機物のカチオン部
を構成するカチオン種としては、特に限定はされない
が、たとえば、Na,K等のアルカリ金属、Ca,B
a,Mg,Sr等のアルカリ土類金属、Fe,Cu,C
o,Mn,Ni,Cd等の遷移元素、Si,Pb等の炭
素族元素、Zn、Al等が挙げられる。これらのうちで
も、アルカリ金属、アルカリ土類金属、ZnおよびAl
の各カチオンが好ましい。また、前記アルカリ土類金属
の中では、Ca、Ba、Mgの各カチオンが好ましい。
【0026】また、不溶性不燃性無機物のアニオン部を
構成するアニオン種としては、特に限定はされないが、
たとえば、B47 、BO3 、PO4 、CO3 、SO
4 、NO3 、Cl、Br、F、IおよびOH等が挙げら
れる。これらのうちでも、BO 3 、PO4 、CO3 、S
4 、F、Cl、BrおよびOHの各アニオンが好まし
い。また、これらのアニオンのうち、B47 、BO3
およびPO4 には前記の(b)のメカニズムによる難燃
効果が、CO3には前記の(d)のメカニズムによる難
燃効果が、Cl、F、Br等のハロゲンには前記の
(c)および(d)のメカニズムによる難燃効果が、そ
れぞれ期待できる。
【0027】上記カチオンとアニオンは、木材内に生じ
させようとする所望の不溶性不燃性無機物の組成に応じ
て任意に選択される。ただし、前記カチオンとアニオン
との組み合わせに関しては、木材組織内で不溶性不燃性
無機物が生成されやすいような組み合わせが適宜選択さ
れる。水に溶けて前記所望のカチオンを生じさせる無機
物としては、特に限定されないが、たとえば、MgCl
2 、MgBr2 、MgSO4 ・H2 O、Mg(NO3) 2
・6H2 O、CaCl2 、CaBr2 、Ca(NO3)
2 、BaCl2 ・2H2O、BaBr2 、Ba(NO3)2
、AlCl3 、AlBr3 、Al2(SO4)3 、Al
(NO3)3 ・9H2 O、ZnCl2 等が挙げられる。
【0028】また、水に溶けて前記所望のアニオンを生
じさせる無機物としては、特に限定されないが、たとえ
ば、Na2 CO3 、(NH4)2 CO3 、H2 SO4 、N
2SO4 、(NH4)2 SO4 、H3 PO4 、Na2
PO4 、(NH4)2 HPO4、H3 BO3 、NaBO
2 、NH4 BO2 等が挙げられる。 −不溶性有機化合物− 不溶性有機化合物としては、特に限定はされないが、た
とえば、不溶性樹脂が挙げられる。不溶性有機化合物
は、2種以上が木材中に共存されるようであってもよ
い。
【0029】木材内に不溶性有機化合物を生じさせるた
めの異なる薬剤については、木材内に生じさせようとす
る所望の不溶性有機化合物の組成に応じて任意に選択さ
れ、特に限定されないが、たとえば、不溶性樹脂を生成
させる場合は、尿素系、エポキシ系、フェノール系、メ
ラミン系、アクリルアミド系等の各樹脂からなる薬剤と
これら樹脂の硬化剤からなる薬剤、あるいは、前記各樹
脂からなる薬剤と各種添加剤からなる薬剤等が用いられ
る。
【0030】この発明で用いられる異なる薬剤は、無機
薬剤と有機薬剤であってもよい。その例としては、特に
限定はされないが、メラミン樹脂等からなる薬剤とリン
酸塩等からなる薬剤等が挙げられる。この発明で用いら
れる異なる薬剤は、また、固体状、液体状を問わない。
溶液状の薬剤を用いてもよいが、異なる薬剤のうちの少
なくとも一方は、固体状または粘稠な液体状のものであ
ることが好ましい。固体状または粘稠な液体状の薬剤で
あれば、後で述べる方法で薬剤を木材表面に多量に付着
させることができ、その結果、木材中により多量の不溶
性化合物が生成して、木材の性能をより向上させること
ができるからである。なお、木材表面に薬剤を200g
/m2以上付着させるためには、固体状の薬剤としては、
粉末状もしくは粒子状の固体物質またはこの固体物質に
少量の溶媒を含ませたものを用いることが好ましく、粘
稠な液体状の薬剤としては、500センチポイズ以上の
粘性率を有するものを用いることが好ましい。
【0031】薬剤を構成する物質は、各々が単独または
溶媒等とともに薬剤として用いられるほか、1薬剤中で
互いに反応しない限りは、1薬剤中に複数種が併用され
るようでもよい。また、必要に応じて薬剤中に含まれる
溶媒としては、含浸効率の点から水が好ましいが、これ
に限定されない。たとえば、前述した樹脂等の有機物を
含浸させる場合は、有機溶媒を使用してもよいのであ
る。
【0032】以上に述べた異なる薬剤を、複数の原料木
材を重ね合わせた状態で、各原料木材の相対する面から
含浸させる方法としては、特に限定はされないが、たと
えば、複数の原料木材を重ね合わせる際に、片面に一方
の薬剤を付着させた原料木材と、片面に他方の薬剤を付
着させた別の原料木材とを、それらの薬剤が付着されて
いる面を同じ方向に向けて、交互に重ねることにより含
浸を行う方法等が挙げられる。木材に薬剤を付着させる
方法については、特に限定されない。たとえば、薬剤が
固体状である場合は、それを木材面に散布することによ
り付着させてもよい。また、薬剤が液体状である場合
は、それを木材面に塗布することにより付着させてもよ
い。液体状の薬剤を塗布する場合の塗布法は、特に限定
されず、たとえば、刷毛で塗布してもよいし、あるい
は、スプレーで塗布してもよい。薬剤が溶液である場合
の溶液の濃度、温度等は、特に限定されない。
【0033】薬剤の含浸回数は、特に限定されない。1
回だけ含浸させてもよいし、あるいは、複数回含浸させ
てもよい。複数回含浸させる場合、薬剤は、各含浸の回
の間で、同一種のものであっても、異種のものであって
も構わない。また、含浸の処理時間や温度等の処理条件
も特に限定されない。なお、薬剤の最初の含浸処理に先
立ち、薬剤が溶解する水または他の溶媒を原料木材内に
含ませる処理を施して、原料木材中に水または他の溶媒
が充分に含浸された状態にしておくことが推奨される。
これにより、木材中の水または他の溶媒を媒体として薬
剤成分が木材中に速く拡散、浸透していくようになり、
処理時間を短縮することができるからである。このよう
な含溶媒処理が施された原料木材の溶媒含有率として
は、原料木材の絶乾重量に対して80%以上が好まし
く、100%以上がさらに好ましい。含溶媒処理の方法
としては、特に限定されないが、たとえば、加熱浸漬、
水中貯木、スチーミング、減圧下含浸、加圧下含浸など
で行う。
【0034】薬剤を含浸させ反応させる際には、木材中
の媒体となる水または他の溶媒が揮発して木材が乾燥し
ないようにすることが好ましい。その方法としては、特
に限定はされないが、たとえば、薬剤を付着させて積層
した原料木材を密封する方法等が挙げられる。含浸処理
する際または含浸処理後には、必要に応じて養生処理を
行い、薬剤の含浸や不溶性化合物の生成反応を促進させ
て、処理効率をより高めるようにしてもよい。
【0035】養生処理の方法としては、たとえば、超音
波振動、加圧、電波、高周波、マイクロ波等の物理的刺
激を与える方法等が挙げられる。物理的刺激を与える方
法は、薬剤の拡散・反応を促進することにより短時間で
多量の不溶性化合物を木材内に生成させることのできる
優れた方法である。しかし、これらに限定されるわけで
はなく、高温高湿度下または水以外の溶媒の高温高濃度
雰囲気下で養生処理を行い、凝縮した水または他の溶媒
により薬剤を溶解または希釈させ木材内へ含浸させて反
応させるようにしてもよい。この方法は、前記の飽水
(溶媒)処理を行わなくても薬剤の迅速な含浸を可能に
するとともに、木材内での薬剤の反応をも促進すること
のできる優れた方法であり、特に、薬剤が固体である場
合に有効である。
【0036】養生処理の温度、時間等は、特に限定され
ない。なお、前述のようにして、異なる薬剤を付着させ
た複数の原料木材を、それらの薬剤が付着されている面
を同じ方向に向けて交互に重ねることにより、各原料木
材の相対する面から異なる薬剤を含浸させた後、必要に
応じては、異なる薬剤が付着している面同士を合わせる
ように原料木材の重ね合わせ方を変更するようにしても
よい。このような操作を行った場合は、木材表層部に残
留する未反応の異なる薬剤を木材表層部で接触、反応さ
せて、木材表層部にも多量の不溶性化合物を生成させる
ことができ、その結果、木材内に不溶性化合物として固
定化される薬剤の歩留りを向上させることができる。こ
のような原料木材の重ね合わせ方の変更を行う時機につ
いては、特に限定はされず、たとえば、木材面に付着さ
せた薬剤が溶解し、木材内に含浸した時点等が挙げられ
る。
【0037】以上の含浸処理により木材内に不溶性化合
物を生成・定着させた後、必要に応じては、木材表面の
水洗等を行い、乾燥させることによって、改質木材を得
る。なお、改質木材の耐久性や耐候性等を高めるため
に、必要に応じては、得られた改質木材を水や他の適当
な溶媒中に浸漬して、木材中に残留している可溶性の未
反応薬剤や副生成物等を除去してもよい。これらの可溶
性成分は、吸水、吸湿量が多く、その種類によっては潮
解性を示す場合もあるので、これらが木材中に過量に存
在すると、木材の吸水、吸湿性が高くなりすぎるため、
建材用途等として不適当になる恐れがあるからである。
一方、このような可溶性成分の中にも、木材の寸法安定
化はもちろん、力学的強度化や難燃化等にも寄与できる
成分も多く含まれているため、それらを適宜残すように
して、その分の木材性能の向上を図るのも一策である。
【0038】
【作用】互いに反応して不溶性化合物を生成させる異な
る薬剤を原料木材の相対する面から含浸させるようにす
ると、従来法に比べて、互いに反応する異なる薬剤を混
合する手間がなく、薬剤の使用可能時間が長くなり、薬
剤同士の木材外での反応を伴わずに薬剤の反応が木材の
中心部から起こっていくため、木材を効率良く連続的に
改質することが可能になる。そして、少ない含浸量でも
木材中心部にまで多量の不溶性化合物が生成・定着す
る。そのため、得られた改質木材の表面の加工を行って
も木材表面の不溶性化合物の損失量が少なくてすむの
で、性能低下が抑えられる。
【0039】この発明では、また、複数の原料木材を重
ね合わせた状態で薬剤の含浸を行うようにしている。そ
のため、複数の原料木材を1度に処理することができる
ので、処理効率がさらに上がる。
【0040】
【実施例】以下に、この発明の具体的な実施例を、図面
を参照しながら詳しく説明する。図1および2は、一実
施例を表す。まず、図1にみるように、ビニールシート
3の表面にアニオン含有薬剤4aを均一に散布または塗
布し、このビニールシート3の上に、上面にカチオン含
有薬剤4bを均一に散布または塗布した2枚の飽水処理
単板5a、5aと、上面にアニオン含有薬剤4aを均一
に散布または塗布した1枚の飽水処理単板5bとを、そ
れらの薬剤が散布または塗布されている面を上に向けて
交互に重ねていくことにより、図2にみるような単板積
層体を得る。この積層体における各単板間の界面6a
と、最下層の単板とビニールシートとの界面6aには、
アニオン含有薬剤4aの層が形成されており、各単板間
の別の界面6bと最上層の単板の上面6bには、カチオ
ン含有薬剤4bの層が形成されている。
【0041】次に、この単板積層体を密封し、室温〜6
0℃で1〜3日間養生させる。すると、たとえば、図3
にみるように、アニオン7aとカチオン7bとが、それ
ぞれ、水を媒体として単板5aの下面と上面から中心部
に向かって浸透していき、それらが中心部で出会い反応
することにより、中心部から不溶性不燃性無機物8が生
成していく。
【0042】その結果、図4にみるように、中心部に多
量の不溶性不燃性無機物8が生成・定着した改質木材9
を得る。図5〜8は、別の実施例を表す。図5にみるよ
うに、アニオン含有薬剤14aを付着させたビニールシ
ート13上に、上面にカチオン含有薬剤14bを付着さ
せた2枚の飽水処理単板15a、15aと、上面にアニ
オン含有薬剤14aを付着させた1枚の飽水処理単板1
5bとを、交互に重ねていくことにより、図6にみるよ
うな単板積層体を得る。この積層体における各単板間の
界面16aと、最下層の単板とビニールシートとの界面
16aには、アニオン含有薬剤14aの層が形成されて
おり、各単板間の別の界面16bと最上層の単板の上面
16bには、カチオン含有薬剤14bの層が形成されて
いる。次に、この単板積層体を密封し、養生させる。す
ると、中心部に多量の不溶性不燃性無機物が生成・定着
する。
【0043】ここまでは、前記実施例と同様である。そ
の後、図7にみるように、単板積層体を一旦ばらし、2
枚の単板15a、15aの上下を反転させ、一つの反転
単板15aの薬剤14bが付着した面16bと非反転単
板15bの薬剤14aが付着した面17aとを重ね合わ
せ、他の反転単板15aの薬剤14bが付着した面18
bとビニールシート13の薬剤14aが付着した上面と
を重ね合わせ、さらに、非反転単板15bの下面17b
と他の反転単板15aの上面18aとを重ね合わせて積
層し、図8にみるような単板積層体を得る。この単板積
層体を密封し、再び養生させる。すると、各単板の表層
部において、残留する未反応薬剤14aと14bとが接
触、反応して、表層部にも多量の不溶性不燃性無機物が
生成する。
【0044】以下に、この発明のより具体的な実施例お
よび比較例を示すが、この発明は下記実施例およびすで
に述べた実施例に限定されない。 −実施例1− 原料木材として長さ30cm×幅30cm×厚さ0.3cmの
アガチス材ロータリー単板10枚を用い、この単板を熱
水に浸漬し飽水状態にした。
【0045】アニオン含有薬剤として(NH4)2HPO4を35
g/尺2 (「尺2 」は0.303m×0.303mのこ
と。以下同じ。)の量均一に散布したビニールシート上
に、前記のようにして得られた飽水単板のうちの1枚を
置いた。次に、その単板の上面に、カチオン含有薬剤と
して BaCl2・2H2Oを130g/尺2 の量均一に散布し、
さらにその上に別の飽水単板1枚を重ね、その上面に(N
H4)2HPO4を70g/尺 2 の量均一に散布するということ
を繰り返し、最後の10枚目の飽水単板の上面には、(N
H4)2HPO4を35g/尺2 の量均一に散布した。このよう
にして重ね合わせた単板を密封し、室温で1日間養生し
た。
【0046】その後、単板を水洗し乾燥することによ
り、改質木材を得た。 −実施例2〜6− 実施例1において、原料木材の前処理(飽水処理)の有
無、木材の樹種、寸法、含浸させる面、アニオン含有薬
剤およびカチオン含有薬剤の種類と散布量、処理条件を
後記表1に示す通りとしたこと以外は実施例1と同様に
して、改質木材を得た。ただし、実施例2〜4では、原
料木材として単板の代わりにブロック状の板材を用い、
実施例5〜6では、実施例1と同様にロータリー単板を
用いた。
【0047】−比較例1− 原料木材として長さ30cm×幅30cm×厚さ0.3cmの
アガチス材ロータリー単板を用い、この単板を熱水に浸
漬し飽水状態にした。得られた飽水単板を、(NH4)2HPO4
(濃度3.5モル/水1リットル)およびH3BO3(濃度
4.0モル/水1リットル)を含む80℃の水溶液から
なるアニオン含有薬剤中に24時間浸漬した後、BaC
2 (濃度2モル/水1リットル)およびH3BO3(濃度2
モル/水1リットル)を含む80℃の水溶液からなるカ
チオン含有薬剤中に24時間浸漬した。
【0048】その後、単板を水洗し乾燥することによ
り、改質木材を得た。 −比較例2− 比較例1において、原料木材として単板の代わりに長さ
30cm×幅30cm×厚さ1.5cmのブロック状のベイマ
ツ板材を用い、アニオン含有薬剤およびカチオン含有薬
剤中の各無機物の種類と濃度を後記表2に示す通りとし
たこと以外は比較例1と同様にして、改質木材を得た。
【0049】−実施例7− 原料木材として、前処理(含水処理)が施されていない
含水率が10〜12%の3mm厚のアガチス材ロータリー
単板11枚を用い、この単板のうちの1枚を、アニオン
含有薬剤として(NH4)2HPO4を35g/尺2 の量均一に散
布したビニールシート上に置いた。次に、その単板の上
面に、カチオン含有薬剤として BaCl2・2H2Oを130g
/尺2 の量均一に散布し、さらにその上に別の原料単板
1枚を重ね、その上面に(NH4)2HPO4を70g/尺2 の量
均一に散布するということを繰り返し、最後の11枚目
の原料単板の上面には、BaCl2 ・2H2Oを65g/尺2
量均一に散布した。
【0050】このようにして重ね合わせた単板を恒温恒
湿器の中に入れ、60℃、95%R.H.(相対湿度)の高
温高湿度下で24時間養生を行った。その後、単板を水
洗し乾燥することにより、改質木材を得た。 −実施例8〜11− 後記表3に示したような条件で実施例7と同様の操作を
行って、改質木材を作製した。
【0051】
【表1】
【0052】
【表2】
【0053】
【表3】
【0054】以上の実施例1〜11および比較例1〜2
で得られた改質木材について、不溶性不燃性無機物の含
浸率および含浸状況と、難燃性、防腐性、防蟻性を調べ
た。不溶性不燃性無機物の含浸率は、下記の式に従って
求めた。 含浸率(%)={(W2−W1)/W1}×100 (式中、W1は未処理木材の絶乾重量を表し、W2は処理木
材の絶乾重量を表す。)難燃性試験は、JIS−A13
21の表面試験に従って行い、難燃3級以上に相当する
ものを○で、難燃3級には相当しないが、難燃性を有し
ているものを△で、それぞれ評価した。
【0055】防腐性試験および防蟻性試験は、それぞ
れ、JWPA規格第3号、JWPA規格第11号に従っ
て行い、効力値98以上を◎で、90以上98未満を○
で、90未満を△で、それぞれ評価した。以上の結果を
下記表4に示した。
【0056】
【表4】
【0057】表4にみるように、実施例1〜11で得ら
れた改質木材は、比較例1〜2で得られた改質木材に比
べて、木材中心部にまで多量の不溶性不燃性無機物が生
成しており、そのため、含浸量が少ない場合でも、同等
の防腐・防蟻性および難燃性を有していることが確認さ
れた。 −実施例12− 原料木材として前処理(飽水処理)が施された3枚の3
mm厚アガチス材ロータリー単板A、B、Cを用意し、こ
れらの単板のうち、単板Aの上面にメラミン樹脂からな
る薬剤(1)を144g/尺2 の量均一に散布し、単板
Bの上面に塩化アンモニウムからなる薬剤(2)を4.
4g/尺2 の量均一に散布し、単板Cの上面に前記薬剤
(1)を72g/尺2 の量均一に散布した。次に、前記
薬剤(2)を2.2g/尺2 の量均一に散布したビニル
シート上に前記の3枚の単板を、それらの薬剤が付着し
た面を上に向けてA、B、Cの順で積層した。
【0058】このようにして得られた積層体を60℃の
条件下で密封し、2時間養生し、樹脂の硬化(不溶化)
を行った。その後、単板を水洗し、150℃で3時間乾
燥することにより、改質木材を得た。 −実施例13〜15− 後記表5に示したような条件で実施例12と同様の操作
を行って、改質木材を作製した。ただし、実施例14で
は、前処理(飽水処理)されていない生材を原料木材と
してそのまま用いた。
【0059】−比較例3− 原料木材として3mm厚アガチス材ロータリー単板(気乾
材)を用い、この単板に対し、メラミン樹脂を20重量
%およびリン酸を5重量%の各割合で含む溶液を減圧含
浸させた。その後、単板を水洗し、120℃で4時間乾
燥することにより、改質木材を得た。
【0060】−比較例4− 後記表5に示したような条件で比較例3と同様の操作を
行って、改質木材を作製した。
【0061】
【表5】
【0062】以上の実施例12〜15および比較例3〜
4で得られた改質木材について、不溶性樹脂の含浸率お
よび含浸状況と、処理効率、含浸前の薬剤の硬化の有無
および木材外での反応の有無とを調べた。不溶性樹脂の
含浸率は、前記の不溶性不燃性無機物の場合と同様にし
て求めた。また、処理効率は、良いものは○で、良くな
いものは△で評価した。それらの結果を下記表6に示し
た。
【0063】
【表6】
【0064】表6にみるように、実施例12〜15で得
られた改質木材は、比較例3〜4で得られた改質木材に
比べて、木材内部にまで同程度の量の不溶性樹脂が、含
浸前の薬剤の硬化および木材外での反応を伴うことな
く、良い効率で生成していることが確認された。 −実施例16− 原料木材として、前処理(含水処理)が施されていない
含水率が10〜12%の3mm厚のアガチス材ロータリー
単板11枚を用い、この単板のうちの1枚を、アニオン
含有薬剤として(NH4)2HPO4を35g/尺2 の量均一に散
布したビニールシート上に置いた。次に、その単板の上
面に、カチオン含有薬剤として BaCl2・2H2Oを130g
/尺2 の量均一に散布し、さらにその上に別の原料単板
1枚を重ね、その上面に(NH4)2HPO4を70g/尺2 の量
均一に散布するということを繰り返し、最後の11枚目
の原料単板の上面には、BaCl2 ・2H2Oを65g/尺2
量均一に散布した。
【0065】このようにして重ね合わせた単板に対し、
60℃、95%R.H.(相対湿度)の高温高湿度下で12
時間養生を行った。ただし、この養生は、物理的刺激と
して39KHz の超音波振動を付与しながら行った。その
後、単板を水洗し乾燥することにより、改質木材を得
た。 −実施例17〜18− 後記表7に示したような条件で実施例16と同様の操作
を行って、改質木材を作製した。
【0066】−実施例19− 原料木材として前処理(飽水処理)が施された3枚の3
mm厚ベイマツ材ロータリー単板A、B、Cを用意し、こ
れらの単板のうち、単板Aの上面に(NH4)2HPO4とNH4Cl
とからなる混合薬剤(1)(重量比(NH4)2HPO4/NH4Cl
=55:2.4)を114.8g/尺2 の量均一に散布
し、単板Bの上面にメラミン樹脂からなる薬剤(2)を
160g/尺2 の量均一に散布し、単板Cの上面に前記
薬剤(1)を57.4g/尺2 の量均一に散布した。次
に、前記薬剤(2)を80g/尺 2 の量均一に散布した
ビニルシート上に前記の3枚の単板を、それらの薬剤が
付着した面を上に向けてA、B、Cの順で積層した。
【0067】このようにして得られた積層体を80℃の
条件下で密封後、39KHz の超音波振動を付与しながら
8時間養生した。その後、単板を水洗し、120℃で3
時間、乾燥と樹脂の硬化を行うことにより、改質木材を
得た。 −実施例20− 後記表8に示したような条件で実施例19と同様の操作
を行って、改質木材を作製した。
【0068】
【表7】
【0069】
【表8】
【0070】以上の実施例16〜20で得られた改質木
材について、不溶性化合物の含浸率および含浸状況と、
難燃性、防腐性、防蟻性を、前記実施例1〜11および
比較例1〜2の改質木材の場合と同様にして調べた。そ
れらの結果を下記表9に示した。
【0071】
【表9】
【0072】表7〜9にみるように、物理的刺激を付与
して養生を行うと、短時間で多量の不溶性化合物を木材
内に生成させることができることが確認された。 −実施例21− 原料木材として前処理(飽水処理)が施された3枚の3
mm厚アガチス材ロータリー単板A、B、Cを用意し、こ
れらの単板のうち、単板Aの上面にメラミン樹脂からな
る薬剤(1)を1570g/m2 の量均一に散布し、単
板Bの上面に塩化アンモニウムからなる薬剤(2)を5
0g/m2 の量均一に散布し、単板Cの上面に前記薬剤
(1)を785g/m2の量均一に散布した。次に、前
記薬剤(2)を25g/m2 の量均一に散布したビニル
シート上に前記の3枚の単板を、それらの薬剤が付着し
た面を上に向けてA、B、Cの順で積層した。
【0073】このようにして得られた積層体を60℃の
条件下で密封し、2時間養生した。その後、積層体をば
らし、単板AとCの上下を反転した後、再びビニルシー
ト上に単板A、B、Cを順次積層し、異なる薬剤が付着
している面同士が合わさるようにした。このようにして
得られた積層体を60℃の条件下で再び密封し、4時間
養生した。
【0074】その後、単板を水洗し、150℃で3時
間、乾燥(硬化)させることにより、改質木材を得た。 −実施例22〜25− 後記表10に示したような条件で実施例21と同様の操
作を行って、改質木材を作製した。ただし、実施例23
および24では、前処理(飽水処理)されていない生材
を原料木材としてそのまま用いた。実施例25では、気
乾材を原料木材として用いた。また、実施例24および
25では、単板積層体を密封して養生する代わりに、8
0℃、95%R.H.の高温高湿度雰囲気下で養生を行っ
た。
【0075】−比較例5− 原料木材として前処理(飽水処理)が施された3mm厚ア
ガチス材ロータリー単板を用い、この飽水単板を、 BaC
l2・2H2O(濃度2モル/水1リットル)およびH3BO3(濃
度2モル/水1リットル)を含む80℃の水溶液からな
るカチオン含有薬剤中に24時間浸漬した後、(NH4)2HP
O4(濃度3.5モル/水1リットル)およびH3BO3(濃度
4.0モル/水1リットル)を含む80℃の水溶液から
なるアニオン含有薬剤中に24時間浸漬した。
【0076】その後、単板を水洗し、120℃で4時間
乾燥させることにより、改質木材を得た。
【0077】
【表10】
【0078】以上の実施例21〜25および比較例5で
得られた改質木材について、不溶性化合物の含浸率およ
び含浸分布と、木材外での薬剤の反応の有無を調べた。
不溶性化合物の含浸率は、前記と同様にして求めた。そ
れらの結果を下記表11に示した。
【0079】
【表11】
【0080】表11にみるように、比較例5で得られた
改質木材は、不溶性化合物が主として表層部に生成し、
しかも木材外での薬剤の反応がみられたのに対して、実
施例21〜25で得られた改質木材は、表層部から内部
まで多量の不溶性化合物が、木材外での薬剤の反応を伴
うことなく生成していることが確認された。
【0081】
【発明の効果】この発明にかかる改質木材の製法によれ
ば、互いに反応する異なる薬剤を混合する手間がなく、
薬剤の使用可能時間が長く、薬剤同士の木材外での反応
を伴わずに薬剤を木材中でのみ反応させることができる
とともに、少ない含浸量で効率的かつ連続的に多量の不
溶性化合物を木材中心部にまで生成・定着させることが
できる。そのため、防腐・防虫性、難燃性等に優れた改
質木材を安価に効率良く得ることができる。
【0082】得られた改質木材は、有効成分である不溶
性化合物が木材中心部にまで多量に生成・定着されてい
るため、木材の表面の加工を行う際に、木材表面の不溶
性化合物の損失量が少なくてすむので、性能低下が抑え
られる。また、この発明の製法は、複数の原料木材を重
ね合わせた状態で薬剤の含浸を行うため、複数の原料木
材を1度に処理することができる処理効率の高い方法で
ある。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の一実施例において、単板を積層しよ
うとする状態を説明する斜視図である。
【図2】前記実施例において、単板を積層し終わった状
態を説明する斜視図である。
【図3】前記実施例において薬剤が単板中に含浸される
様子を説明する模式図である。
【図4】前記実施例により得られた改質木材の内部の不
溶性不燃性無機物の生成状況を表す側断面図である。
【図5】この発明の別の実施例において、単板を積層し
ようとする状態を説明する斜視図である。
【図6】前記別の実施例において、単板を積層し終わっ
た状態を説明する斜視図である。
【図7】前記別の実施例において、積層単板をばらし、
一部の単板の上下を反転した状態を説明する斜視図であ
る。
【図8】前記別の実施例において、一部の単板の上下を
反転した後、単板を再び積層した状態を説明する斜視図
である。
【図9】従来法により得られた改質木材の内部の不溶性
不燃性無機物の生成状況を表す側断面図である。
【符号の説明】
4a アニオン含有薬剤 4b カチオン含有薬剤 5a 飽水単板 5b 飽水単板 8 不溶性不燃性無機物 9 改質木材 14a アニオン含有薬剤 14b カチオン含有薬剤 15a 飽水単板 15b 飽水単板
フロントページの続き (31)優先権主張番号 特願平3−243840 (32)優先日 平3(1991)9月24日 (33)優先権主張国 日本(JP) (72)発明者 石川 博之 大阪府門真市大字門真1048番地松下電工株 式会社内 (72)発明者 大西 兼司 大阪府門真市大字門真1048番地松下電工株 式会社内 (72)発明者 足立 有弘 大阪府門真市大字門真1048番地松下電工株 式会社内

Claims (13)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 改質しようとする原料木材に対し、互い
    に反応することにより不溶性化合物を生じさせる異なる
    薬剤を含浸させて木材組織内に前記不溶性化合物を生成
    ・定着させる改質木材の製法であって、前記原料木材の
    複数を重ね合わせた状態で、前記異なる薬剤を、各原料
    木材の相対する面から含浸させるようにすることを特徴
    とする改質木材の製法。
  2. 【請求項2】 複数の原料木材を重ね合わせる際に、前
    記異なる薬剤のうちの一方の薬剤を片面に付着させた原
    料木材と、他方の薬剤を片面に付着させた別の原料木材
    とを、それらの薬剤が付着されている面を同じ方向に向
    けて交互に重ねることにより、薬剤の含浸を行うように
    する請求項1記載の改質木材の製法。
  3. 【請求項3】 複数の原料木材を重ね合わせる際に、前
    記異なる薬剤のうちの一方の薬剤を片面に付着させた原
    料木材と、他方の薬剤を片面に付着させた別の原料木材
    とを、それらの薬剤が付着されている面を同じ方向に向
    けて交互に重ねることにより、各原料木材の相対する面
    から前記異なる薬剤を含浸させた後、異なる薬剤が付着
    している面同士を合わせるように原料木材の重ね合わせ
    方を変更するようにする請求項2記載の改質木材の製
    法。
  4. 【請求項4】 前記異なる薬剤が溶解する溶媒を原料木
    材に予め充分に含浸させる工程と、この含浸工程で得ら
    れた木材の相対する面に前記異なる薬剤の層を形成する
    工程と、この薬剤層形成工程で得られた木材を養生し
    て、不溶性化合物を木材内に生成させる工程とを含む請
    求項1から3までのいずれかに記載の改質木材の製法。
  5. 【請求項5】 高温高濃度溶媒雰囲気下で不溶性化合物
    の養生を行うようにする請求項1から4までのいずれか
    に記載の改質木材の製法。
  6. 【請求項6】 物理的刺激を付与することにより不溶性
    化合物の養生を行うようにする請求項1から5までのい
    ずれかに記載の改質木材の製法。
  7. 【請求項7】 前記異なる薬剤のうちの少なくとも一方
    が、固体状または粘稠な液体状のものである請求項1か
    ら6までのいずれかに記載の改質木材の製法。
  8. 【請求項8】 粘稠な液体状の薬剤として、500セン
    チポイズ以上の粘性率を有するものを用いるようにする
    請求項7記載の改質木材の製法。
  9. 【請求項9】 固体状の薬剤が、粉末状もしくは粒子状
    の固体物質またはこの固体物質に少量の溶媒を含ませた
    ものである請求項7記載の改質木材の製法。
  10. 【請求項10】 木材内に生成・定着させる不溶性化合
    物が不溶性不燃性無機物である請求項1から9までのい
    ずれかに記載の改質木材の製法。
  11. 【請求項11】 不溶性不燃性無機物のカチオン部を構
    成するカチオン種が、アルカリ金属、アルカリ土類金
    属、AlおよびZnからなる群の中から選ばれた少なく
    とも1種であり、この不溶性不燃性無機物のアニオン部
    を構成するアニオン種が、BO3 、PO4 、CO3 、S
    4、F、Cl、BrおよびOHからなる群の中から選
    ばれた少なくとも1種である請求項10記載の改質木材
    の製法。
  12. 【請求項12】 木材内に生成・定着させる不溶性化合
    物が不溶性有機化合物である請求項1から9までのいず
    れかに記載の改質木材の製法。
  13. 【請求項13】 不溶性有機化合物を生成させる異なる
    薬剤のうちの一方の薬剤が、メラミン樹脂、エポキシ樹
    脂およびアクリルアミド樹脂からなる群の中から選ばれ
    た少なくとも1種の樹脂であり、他方の薬剤が、これら
    樹脂の硬化剤である請求項12記載の改質木材の製法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2007331367A (ja) * 2006-05-18 2007-12-27 Kobe Steel Ltd 木材への薬剤含浸方法
WO2022130727A1 (ja) * 2020-12-15 2022-06-23 株式会社ユニウッドコーポレーション 準不燃羽目板とその製造方法

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