JPH051385A - 無電解スズ‐鉛合金めつき浴 - Google Patents

無電解スズ‐鉛合金めつき浴

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JPH051385A
JPH051385A JP3153480A JP15348091A JPH051385A JP H051385 A JPH051385 A JP H051385A JP 3153480 A JP3153480 A JP 3153480A JP 15348091 A JP15348091 A JP 15348091A JP H051385 A JPH051385 A JP H051385A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 銅又は銅合金表面上に特に望ましいSn60
%、Pb40%又はそれに近い比率を有し、密着性、均
一性に優れた合金めっき皮膜を比較的低温域で短時間に
安定して得ることができる無電解スズ‐鉛合金めっき浴
を提供することを目的とする。 【構成】 有機スルホン酸と有機スルホン酸の2価のス
ズ塩及び鉛塩とチオ尿素からなる基本組成の外に、チオ
シアン酸又はその誘導体、或は更に抱水ヒドラジンを含
有せしめてなる無電解スズ‐鉛合金めっき浴。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は新規な無電解スズ‐鉛合
金めっき浴、特に銅及び銅合金上に施す際に好適に用い
られる無電解スズ‐鉛合金めっき浴に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術とその課題】無電解スズ‐鉛合金めっき
は、電子部品、形状が複雑なパーツやプリント回路の如
くめっきすべき部分への電気導通を得るのが困難な独立
回路パターン等の銅上へのめっきに適用することができ
る。
【0003】従来無電解スズ‐鉛合金めっき浴の組成
は、金属塩として塩化第一スズ、塩化鉛、キレート剤と
してチオ尿素、還元剤として塩酸ヒドラジンを添加した
浴(特開昭49−64527)や、金属塩としてホウフ
ッ化スズ、ホウフッ化鉛、キレート剤としてチオ尿素、
還元剤として次亜リン酸ソーダ、添加剤として界面活性
剤及びホウフッ化水素酸等を添加した浴がある(特開昭
59−211565、特開昭59−211566)。ま
た、有機スルホン酸とこれら有機スルホン酸の2価のス
ズ塩及び鉛塩、還元剤として次亜リン酸ソーダとキレー
ト剤としてチオ尿素を含み、これにオキシカルボン酸や
種々の界面活性剤等を添加した浴がある(特開平1−1
84279)。
【0004】このように従来無電解スズ‐鉛合金めっき
浴として各種の組成が開発されているが、これらの浴は
一般にスズ‐鉛の析出速度が遅く、めっき膜厚が1ミク
ロン前後で十分な膜厚が得られない。更にこの種スズ‐
鉛合金めっきとしてはスズ‐鉛の比率の種々な合金めっ
きが知られているが、その中最も融点が低く従って最も
低温ではんだ付けし易いとしてSn60%、Pb40%
又はそれに近い合金比率の皮膜が望まれているが、従来
のめっき浴では特にこの合金比率の皮膜を安定して得る
のが困難であった。又めっき時の浴の温度は通常60〜
80℃であり、比較的高温域で用いられていた。
【0005】
【課題を解決するための手段】かくて本発明は従来技術
のかかる問題点を解決して、銅又は銅合金表面上に、種
々の比率、特にSn60%、Pb40%又はそれに近い
比率と十分な膜厚を有し、しかも密着性、均一性にすぐ
れたスズ‐鉛合金皮膜を比較的低温域で短時間に形成し
うる無電解スズ‐鉛合金めっき浴を提供することを目的
とするものである。
【0006】本発明者らは種々研究、実験を重ねた結
果、有機スルホン酸と有機スルホン酸の2価のスズ塩及
び鉛塩とチオ尿素の外にチオシアン酸又はその誘導体を
加えるか、又は更に抱水ヒドラジンを加えることによっ
て、上記目的を達成しうることが見出されたのである。
【0007】よって本発明は、アルカンスルホン酸、ア
ルカノールスルホン酸、芳香族スルホン酸から選ばれた
有機スルホン酸の少なくとも1種を使用し、これら有機
スルホン酸の2価のスズ塩及び鉛塩とキレート剤として
のチオ尿素とを基本組成として含み、これに添加剤とし
て、チオシアン酸及びその誘導体の少なくとも1種を添
加することを特徴とする無電解スズ‐鉛合金めっき浴を
提供するものである。
【0008】本発明はまた、アルカンスルホン酸、アル
カノールスルホン酸、芳香族スルホン酸から選ばれた有
機スルホン酸の少なくとも1種を使用し、これら有機ス
ルホン酸の2価のスズ塩及び鉛塩とキレート剤としての
チオ尿素とを基本組成として含み、これに添加剤とし
て、チオシアン酸及びその誘導体の少なくとも1種と、
スズの酸化防止剤としての抱水ヒドラジンを添加するこ
とを特徴とする無電解スズ‐鉛合金めっき浴を提供する
ものである。
【0009】本発明について以下に詳細に説明する。本
発明にかかるめっき浴は基本組成として有機スルホン酸
と金属塩としての有機スルホン酸の2価のスズ塩及び鉛
塩とキレート剤としてのチオ尿素を含有する。ここに用
いる有機スルホン酸としてはアルカンスルホン酸、アル
カノールスルホン酸と芳香族スルホン酸の中から選ばれ
た少なくとも1種が用いられる。
【0010】本発明において使用するアルカンスルホン
酸は、(1)式 RSOH (1) (Rは、炭素数1〜6のアルキル基を表わす。)で示
されるものが挙げられる。アルカンスルホン酸として
は、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、プロパンス
ルホン酸、2‐プロパンスルホン酸、ブタンスルホン
酸、2‐ブタンスルホン酸、ペンタンスルホン酸、ヘキ
サンスルホン酸などが例示される。
【0011】また、本発明において使用するアルカノー
ルスルホン酸としては、(2)式 (Rは、炭素数1〜3のアルキル基を示し、Rは炭素
数1〜3のアルキル基、水酸基、カルボキシル基又はス
ルホン酸基を示し、RはRの任意の位置にあつてよ
い。nは0〜3の整数を示す。)で表わされるものが挙
げられる。アルカノールスルホン酸としては、2‐ヒド
ロキシエチル‐1‐スルホン酸、2‐ヒドロキシプロピ
ル‐1‐スルホン酸、3‐ヒドロキシプロピル‐1‐ス
ルホン酸、2‐ヒドロキシブチル‐1‐スルホン酸、4
‐ヒドロキシペンチル‐1‐スルホン酸、2‐ヒドロキ
シヘキシル‐1‐スルホン酸などが例示される。
【0012】また、本発明において使用する芳香族スル
ホン酸としては、(3)式
【化1】 (Rは、水酸基、炭素数1〜3のアルキル基、炭素数
0〜3のアルキル基を有するアルキルアリール基、カル
ボキシル基またはスルホン酸基を表わし、mは0〜3の
整数を示す。)で表わされるものが挙げられる。芳香族
スルホン酸としては、ベンゼンスルホン酸、4‐ヒドロ
キシベンゼンスルホン酸、4‐カルボキシベンゼンスル
ホン酸などが例示される。この他、2,5‐ジヒドロキ
シ‐1,4‐ベンゼンジスルホン酸、4,5‐ジヒドロ
キシ‐1,3‐ベンゼンジスルホン酸等の芳香族ジスル
ホン酸も例示することができる。
【0013】次に金属塩として有機スルホン酸の2価の
スズ塩と鉛塩が用いられる。上記有機スルホン酸と金属
塩としての有機スルホン酸のスズ塩と鉛塩では互いに同
じ有機スルホン酸であってもよく違うものであってもよ
い。例えばアルカンスルホン酸に対してアルカノールス
ルホン酸のスズ塩及び鉛塩を用いてもよい。またアルカ
ンスルホン酸として同じものでもよく違うものでもよ
く、例えばメタンスルホン酸に対してメタンスルホン酸
スズ塩と鉛塩を用いてもよくエタンスルホン酸のスズ塩
と鉛塩を用いるようにしてもよい。スズ塩と鉛塩は通常
互いに同じ有機スルホン酸の塩が用いられるが違うもの
でもよい。有機スルホン酸のスズ塩又は鉛塩として複数
種類用いることもできる。
【0014】有機スルホン酸の添加により上記金属塩の
沈殿防止、析出膜厚の増大、析出ムラの防止等に有効で
ある。その添加量は通常5〜300g/lの範囲であ
り、その中50〜200g/lの範囲が好ましい。一方
有機スルホン酸のスズ塩及び鉛塩の添加量はいずれも通
常5〜200g/lの範囲であり、その中30〜100
g/lの範囲が好ましい。本発明では特にSn60%、
Pb40%又はそれに近い比率を有するスズ‐鉛合金皮
膜が望ましく、従って有機スルホン酸のスズ塩及び鉛塩
は互いにそれに相当する比率で添加される。しかし必要
により他の比率を有するスズ‐鉛合金皮膜が望まれる場
合にも本発明は有効であり、その場合はそれに相当する
量比でスズ塩と鉛塩が用いられる。
【0015】有機スルホン酸と金属塩としての有機スル
ホン酸の2価のスズ塩と鉛塩の外に、銅表面上にめっき
する際置換反応により銅表面より溶解する銅を溶液中で
安定に保持するキレート剤としてチオ尿素を添加する。
その量は通常30〜200g/lの範囲であり、特に5
0〜150g/lの範囲が好ましい。
【0016】本発明では上記のような有機スルホン酸と
その金属塩とチオ尿素からなる基本組成のめっき浴に添
加剤としてチオシアン酸又はその誘導体を加えることを
特徴とするものであり、この添加剤を加えた無電解めっ
き浴を用いることによって約2〜4ミクロンの十分な膜
厚を有し、望ましい合金比率を有するスズ‐鉛合金皮膜
が比較的低温域で安定的に得られることが見出されたの
である。特にめっきの初期からスズと鉛が共晶し以後ほ
ぼ同じ比率で析出してくるのでSn60%、Pb40%
又はそれに近い比率のスズ‐鉛合金皮膜を安定、均一に
得ることができて好ましい。
【0017】本発明浴で使用するチオシアン酸及びその
誘導体としては、チオシアン、チオシアン酸はもちろん
のこと、チオシアン酸アンモニウム、チオシアン酸カリ
ウム、チオシアン酸ナトリウム等のチオシアン酸塩類、
チオシアナトコバルト酸塩、チオシアナトアンミン銅塩
等のチオシアナト錯化合物類、チオシアン酸メチル、チ
オシアン酸ベンジル、イソチオシアン酸メチル等のチオ
シアン酸エステル類及びイソチオシアン酸エステル類、
チオシアン酸エチレン、ジチオシアン酸ブチレン等のチ
オシアン酸アルキレン類、または水素化キサンタン、ペ
ルチオシアン酸塩等のチオシアン酸重合物類、等が例示
される。これらを1種用いてもよく又は2種以上組合わ
せて用いることもできる。このチオシアン酸又はその誘
導体は通常0.2〜20g/lの量用いられ、特に0.
5〜10g/lの範囲の量用いるのが好ましい。
【0018】この外本発明では必要に応じて更に抱水ヒ
ドラジンが用いられる。これを用いることによって2価
のスズイオンが4価のスズイオンに酸化されるのを防止
することができ、又めっき浴の寿命の延長を図ることが
できる。塩酸ヒドラジンと異なりハロゲンを含まないの
で良好である。この抱水ヒドラジンは通常0.1〜50
g/lの量用いられ、特に2〜20g/lの範囲の量用
いるのが好ましい。
【0019】このような組成を有する本発明の無電解ス
ズ‐鉛合金めっき浴はスズ塩及び鉛塩の沈殿防止のため
通常2以下のpHで用いられる。しかしあまりpHを下
げて強酸性にするとある種の電子部品によくない場合が
生ずるので注意を要する。従って例えばグルコン酸ソー
ダ等の適当なキレート剤を添加することによってpHを
2以上に上げて用いることもできる。温度は40〜90
℃の範囲が好適であり、従来よりも比較的低温域での使
用が可能である。析出速度は速く浸漬時間5〜10分程
度で約2〜4ミクロンの十分な膜厚の均一性、密着性に
すぐれたスズ‐鉛合金皮膜が得られる。
【0020】尚本発明による浴で無電解めっきを行なう
に当っては通常の前処理が行なわれる。典型的な例を云
えばまず60℃で3分間アルカリ脱脂又は酸性脱脂を行
ない水洗後ソフトエッチを25℃で2分行ない水洗し、
次に酸活性処理を25℃で1分間行なって水洗するので
ある。その後無電解めっき処理し水洗して乾燥する。尚
被めっき物をめっき前に乾燥していなくとも均一な灰白
色の無光沢皮膜を得ることができる。この前処理はプリ
ント基板のパターンめっきの前処理と全く同じであり、
以下に示す実施例と比較例においてもこの前処理が行な
われた。
【0021】以下に本発明の実施例と比較例を示す。こ
れらの例ではプリント配線板の基板として用いられるガ
ラスエポキシ材料からなる絶縁体上をパラジウムで触媒
化しその上に無電解銅めっき及び硫酸銅めっきを施した
銅スルーホール基板にレジストであるソルダーマスクを
塗布した後、夫々の組成の浴に浸漬して無電解スズ‐鉛
めっきしたものである。無電解スズ‐銅めっきしたあと
はたとえばクリームハンダで印刷し、半導体チップ等の
表面実装部品(SMD)を搭載し、加熱によるはんだづ
けを行なって仕上げる。本発明の浴で実施しないときは
所望の皮膜を短時間に得られないばかりでなくはんだづ
けしたときのぬれ性が不良でボンディング性がよくない
が本発明の浴で実施したときはそのような難点もないこ
とが明らかである。
【0022】
【実施例】
実施例1 メタンスルホン酸 100g/l メタンスルホン酸スズ 52g/l メタンスルホン酸鉛 58g/l チオ尿素 80g/l チオシアン酸カリウム 2g/l 上記組成の無電解スズ‐鉛合金めっき浴を建浴し、この
浴の浴温を50℃に保持してソルダーマスクを塗布した
銅スルーホール基板を10分間浸漬したところ、銅上に
3.2μmの灰白色で無光沢の均一なスズ‐鉛合金皮膜
が得られ、得られた皮膜の析出比率はSn61%、Pb
39%であった。また、この基板にクリームハンダを印
刷しSMDを実装評価したところ、優れたボンディング
性を示した。
【0023】チオシアン酸カリウムを含むこの浴で4回
めっきを実施し、それぞれめっき終了時浴中の全金属中
に占めるSnの割合と皮膜中のSnの含有率の関係を調
べたところ図1の□で示されたような関係であった。ほ
ぼ常に所望の比率の合金めっき膜が得られていることが
明らかである。
【0024】実施例2 メタンスルホン酸 100g/l メタンスルホン酸スズ 52g/l メタンスルホン酸鉛 58g/l チオ尿素 80g/l チオシアン酸カリウム 2g/l 抱水ヒドラジン 10g/l 上記組成の無電解スズ‐鉛合金めっき浴を建浴した。こ
の浴の浴温を50℃に保持し、ソルダーマスクを塗布し
た銅スルーホール基板を前記前処理方法に従って処理
後、この浴中に10分間浸漬したところ、銅上に3.2
μmの灰白色で無光沢の均一な皮膜が得られ、得られた
皮膜の析出比率はSn61%、Pb39%であった。ま
た、この基板にクリームハンダを印刷しSMDを実装評
価したところ、優れたボンディング性を示した。抱水ヒ
ドラジンを添加したので2価のスズイオンが4価のスズ
イオンに酸化されるのを防止する効果を有し、浴ライフ
を約2倍に延命させることができた。
【0025】この例において10分間の浸漬時間中に析
出しためっき膜中のSn含有率の変化とそのめっき膜厚
の変化を図2に示す。めっき開始初期からSn60%、
Pb40%に近い比率の皮膜がほぼ安定して得られてい
ること、まためっき終了時に約3ミクロンの十分な膜厚
が得られていることがこの図から明らかである。
【0026】実施例3 フェノール‐4‐スルホン酸スズ 50g/l メタンスルホン酸 50g/l 2‐ヒドロキシプロパンスルホン酸スズ 50g/l 2‐ヒドロキシプロパンスルホン酸鉛 60g/l チオ尿素 80g/l チオシアン酸アンモニウム 1.5g/l 抱水ヒドラジン 5g/l 上記組成の無電解スズ‐鉛合金めっき浴を建浴した。こ
の浴の浴温を50℃に保持し、ソルダーマスクを塗布し
た銅スルーホール基板を前記前処理方法に従って処理
後、この浴中に10分間浸漬したところ、銅上に3.5
μmの灰白色で無光沢の均一な皮膜が得られ、得られた
皮膜の析出比率はSn63%、Pb37%であった。ま
た、この基板にクリームハンダを印刷しSMDを実装評
価したところ、優れたボンディング性を示した。
【0027】実施例4 3‐ヒドロキシプロパンスルホン酸 120g/l フェノール‐4‐スルホン酸スズ 60g/l フェノール‐4‐スルホン酸鉛 72g/l チオ尿素 80g/l チオシアン酸エチレン 2.5g/l 抱水ヒドラジン 5g/l 上記組成の無電解スズ‐鉛合金めっき浴を建浴した。こ
の浴の浴温を50℃に保持し、ソルダーマスクを塗布し
た銅スルーホール基板を前記前処理方法に従って処理
後、この浴中に10分間浸漬したところ、銅上に2.9
μmの灰白色で無光沢の均一な皮膜が得られ、得られた
皮膜の析出比率はSn60%、Pb40%であった。ま
た、この基板にクリームハンダを印刷しSMDを実装評
価したところ、優れたボンディング性を示した。
【0028】実施例5 エタンスルホン酸 80g/l ヒドロキシエタンスルホン酸スズ 55g/l ヒドロキシエタンスルホン酸鉛 62g/l チオ尿素 80g/l チオシアナトコバルト酸ナトリウム 3g/l 抱水ヒドラジン 5g/l 上記組成の無電解スズ‐鉛合金めっき浴を建浴した。こ
の浴の浴温を50℃に保持し、ソルダーマスクを塗布し
た銅スルーホール基板を前記前処理方法に従って処理
後、この浴中に10分間浸漬したところ、銅上に3.3
μmの灰白色で無光沢の均一な皮膜が得られ、得られた
皮膜の析出比率はSn60%、Pb40%であった。ま
た、この基板にクリームハンダを印刷しSMDを実装評
価したところ、優れたボンディング性を示した。
【0029】実施例6 エタンスルホン酸 120g/l エタンスルホン酸スズ 55g/l エタンスルホン酸鉛 62g/l チオ尿素 80g/l チオシアン酸カリウム 1g/l イソチオシアン酸メチル 1g/l 抱水ヒドラジン 10g/l 上記組成の無電解スズ‐鉛合金めっき浴を建浴した。こ
の浴の浴温を50℃に保持し、ソルダーマスクを塗布し
た銅スルーホール基板を前記前処理方法に従って処理
後、この浴中に10分間浸漬したところ、銅上に3.9
μmの灰白色で無光沢の均一な皮膜が得られ、得られた
皮膜の析出比率はSn64%、Pb36%であった。ま
た、この基板にクリームハンダを印刷しSMDを実装評
価したところ、優れたボンディング性を示した。
【0030】実施例7 メタンスルホン酸 100g/l メタンスルホン酸スズ 52g/l メタンスルホン酸鉛 58g/l チオ尿素 80g/l チオシアン酸アンモニウム 1g/l ジチオシアン酸ブチレン 1.5g/l 抱水ヒドラジン 10g/l 上記組成の無電解スズ‐鉛合金めっき浴を建浴した。こ
の浴の浴温を50℃に保持し、ソルダーマスクを塗布し
た銅スルーホール基板を前記前処理方法に従って処理
後、この浴中に10分間浸漬したところ、銅上に3.2
μmの灰白色で無光沢の均一な皮膜が得られ、得られた
皮膜の析出比率はSn61%、Pb39%であった。ま
た、この基板にクリームハンダを印刷しSMDを実装評
価したところ、優れたボンディング性を示した。
【0031】比較例1 メタンスルホン酸 100g/l メタンスルホン酸スズ 52g/l メタンスルホン酸鉛 58g/l チオ尿素 80g/l 上記組成の無電解スズ‐鉛合金めっき浴を建浴した。こ
の浴の浴温を50℃に保持し、ソルダーマスクを塗布し
た銅スルーホール基板を前記前処理方法に従って処理
後、この浴中に10分間浸漬したところ、銅上に0.9
μmの灰白色で無光沢の均一な皮膜が得られ、得られた
皮膜の析出比率はSn81%、Pb19%であった。こ
の基板にクリームハンダを印刷しSMDを実装評価した
ところ、めっき皮膜のはんだぬれ性が悪く、ボンディン
グ不良を起こした。
【0032】チオシアン酸を含まないこの比較例1の組
成の浴を用いて4回めっきを実施し、その終了後の浴中
の金属中のSnの割合と皮膜中のSnの割合との関係を
調べたところ、図1で黒い四角形で示されるような結果
が得られた。常に合金比率の異なるめっき膜が得られて
いることが明らかである。
【0033】
【発明の効果】以上のように本発明による無電解スズ‐
鉛合金めっき浴は、チオシアン酸及びその誘導体を添加
剤として使用することによって、慣用の無電解スズ‐鉛
合金めっき浴より次のような優れた効果を得ることがで
きる。 (1) 比較的低温域(50〜60℃)でめっきが可能
である。 (2) 銅及び銅合金上に短時間(5〜10分)のうち
に実用上十分な膜厚(2〜4ミクロン)が得られる。 (3) 特に望ましいSn60%、Pb40%の析出比
率のスズ‐鉛合金皮膜を容易に得ることができる。 (4) 還元剤として抱水ヒドラジンを添加することに
よって、浴ライフを延命させることができ、非常に経済
性に優れている。 (5) めっき浴中には塩素、フッ素等のハロゲン類を
含まないため、半導体などの電子部品への応用が可能で
ある。
【0034】本発明浴の用途としては、プリント配線基
板のホットエアーレベラーの代替や、サブトラクティブ
法の回路形成のための金属エッチングレジストとしての
利用、電子部品のリード部へのめっきや形状が複雑なパ
ーツなどへのめっきにも最適である。また、従来表面実
装技術(SMT)基板のボンディングの下地としては、
無電解ニッケル‐無電解金めっきが行なわれており、工
程の複雑さやコストが高いなどの問題がある。本発明浴
によって得られたスズ‐鉛合金皮膜は、無電解ニッケル
‐無電解金めっき皮膜と比べてもボンディング性は何も
遜色がなく、工程が簡素化でき、コストも安価である。
このため、産業上の実用価値は非常に大である。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1のチオシアン酸カリウムを添加した場
合と、比較例1の添加剤が無添加の場合の浴中の全金属
に占めるSnの割合と析出比率の関係を示すグラフ。
【図2】実施例2におけるめっき時間、析出膜厚、析出
比率の関係を示すグラフ。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】アルカンスルホン酸、アルカノールスルホ
    ン酸、芳香族スルホン酸から選ばれた有機スルホン酸の
    少なくとも1種を使用し、これら有機スルホン酸の2価
    のスズ塩及び鉛塩とキレート剤としてのチオ尿素とを基
    本組成として含み、これに添加剤として、チオシアン酸
    及びその誘導体の少なくとも1種を添加することを特徴
    とする無電解スズ‐鉛合金めっき浴。
  2. 【請求項2】アルカンスルホン酸、アルカノールスルホ
    ン酸、芳香族スルホン酸から選ばれた有機スルホン酸の
    少なくとも1種を使用し、これら有機スルホン酸の2価
    のスズ塩及び鉛塩とキレート剤としてのチオ尿素とを基
    本組成として含み、これに添加剤として、チオシアン酸
    及びその誘導体の少なくとも1種と、スズの酸化防止剤
    としての抱水ヒドラジンを添加することを特徴とする無
    電解スズ‐鉛合金めっき浴。
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