JPH05137470A - 植物栽培装置及び潅液方法 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 植物の育苗において、省力的で均一な給液と
完全に給液を絶つことが行えるようにした植物栽培装置
を提供し育苗の省力化、高位平準化を達成する。 【構成】 水平に置かれた凹凸形状を有する底板１９と
該底板の周囲に配された側板１５で構成された栽培育苗
床１７と、前記栽培育苗床１７の中に水または養液を供
給する供給管２１と、栽培育苗床１７中の水または養液
を底面より排液する排液管２３と排液弁２５で構成さ
れ、給液の場合には排液弁２５を閉じて供給管９により
栽培床１７内に水または養液の液面３５が育苗ポットの
底面３３より上に達するまで溜め、給液を絶つ場合には
水または養液の供給を止めて、排液管２３の排液弁２５
を開いて排液口２４より栽培育苗床に溜められた水また
は養液３５を排出させ、液面３５が育苗ポットの底面３
３より下に到るようにするという潅液方法を採るように
構成する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、鉢物の植物の育苗を行
う植物栽培装置及び潅液方法に関し、さらに詳細には、
育苗ポットの底面より給液されるようにして省力的で均
一な水やりもしくは養液の給液を行い、また完全な水き
りもしくは養液を絶つことを可能にした植物栽培装置及
び潅液方法に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】従来、シクラメンやガーベラ等の鉢物植
物は一年余の長期にわたり温室内において育苗される
が、該植物の潅液方法は図４に示されるように、育苗ポ
ット１に入れられた植物苗３を栽培棚５に並べた状態
で、上方に給液管を配した散水器７によって散布する
か、もしくは如雨露８によって人手で散布する方法が採
られている。

【０００３】また、最近では育苗ポット１の下に吸湿性
の布地シート１１を敷いて、毛管現象を利用して底面か
ら育苗ポット１に給液する方法も採用されている。

【０００４】この際、栽培棚５は金属パイプや塩化ビニ
ルパイプで組んだ枠に板を載置した棚、または木枠の棚
であり、育苗ポット１は底面に穴の空いたビニルやポリ
エチレン等の材質の簡易ポットである。また、底面潅液
の場合は箱型の栽培床を用い、育苗ポット下の吸湿性の
布地シート１１に給液管９で水または養液を染み込ませ
る構造となっている。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従
来の植物栽培装置での潅液方法では以下に記す様な問題
点があった。

【０００６】先ず、大量の育苗を如雨露による手作業で
給液を行うことは労働負担の点で不可能であり、また、
均一に全ポットに給液を行うのは難しく植物の生長にム
ラが生じ高位平準化された潅液が達成出来ないという問
題点を有していた。

【０００７】また、給液管を配した散水器による散布は
省力的であり、ある程度均一な給液が可能であるが、上
方からの散布は水または養液の使用量の点での無駄が大
きく、さらには植物の花や葉に直接液がかかるため焼け
る症状を伴い易いという問題点を有していた。

【０００８】また、従来の底面潅液では、水きりもしく
は養液を絶つ場合においては栽培床の底面より排液弁を
開いて落とす方法が採られているが、排液を行った後も
シート上の湿気を完全に除去することは出来ず、シート
１１は常に液を吸っている状態なので温室等の環境内湿
度が高まり、根ぐされや病気が発生し易いという問題点
を有していた。

【０００９】本発明は、上記事情に鑑みてなされたもの
であり、栽培育苗床に載置された全ポットに対し均一な
給液を省力的に行うことが可能であり、且つ水きりもし
くは養液を絶つことを完全に行うことが可能な植物栽培
装置及び同植物栽培装置による潅液方法を提供するもの
である。

【００１０】

【課題を解決するための手段】本発明は、水平に置かれ
た凹凸形状を有する底板と該底板の周囲に配された側板
で構成された栽培育苗床と、該栽培育苗床の中に水また
は養液を供給する供給管と、栽培育苗床中の水または養
液を底面より排液する排液管及び排液弁と、を備えたこ
とを特徴とする植物栽培装置を提供することにより上記
目的を達成するものである。。

【００１１】また、前記植物栽培装置の栽培育苗床の底
面上に植物の苗が植えられた育苗ポットを載置し、水ま
たは養液を給液する場合には前記供給管で栽培育苗床の
中に注いで育苗ポットの底面より給液させ、水または養
液を絶つ場合には前記排液口から排液を行うことを特徴
とする請求項１記載の植物栽培装置の潅液方法により上
記目的を達成するものである。

【００１２】

【作用】本発明における植物栽培装置において、載置さ
れた育苗ポットの底は栽培育苗床底面の凸部頂部分で支
持され、水または養液の給液の際は排液管の弁は閉めて
置き、給液管にて栽培育苗床内に供給する。この際、給
液されて栽培育苗床に溜められた水もしくは養液の液面
は栽培育苗床の凸部よりも上に到るようにすることによ
り育苗ポット底の穴より液が浸透して植物に給液され
る。

【００１３】また、水きりもしくは養液を絶つ場合は排
液管の弁を開いて排液し、液面が上記凸部頂部分よりも
下に到るようにする。この場合、育苗ポットは完全に水
または養液の供給を絶たれるので、瞬時にして完全な水
きりもしくは養液を絶つことが出来る。

【００１４】栽培育苗床の底面凹凸形状の段差は数ｃｍ
を有するので、栽培育苗床が大きく数百鉢の規模を有す
る場合や、栽培育苗床が完全に水平に保たれておらず僅
かに傾いている場合であっても完全な水きりもしくは養
液を絶つことが出来るようになっている。したがって栽
培育苗床の取扱いが容易である。

【００１５】栽培育苗床に載置された全育苗ポットの底
面より同時に給液及び水きりもしくは養液を絶つことが
均一に行われるので省力化及び植物に対して高位平準化
された潅液が可能となる。

【００１６】

【実施例】以下本発明に係わる植物栽培装置及び潅液方
法の実施例を図面に基づいて詳細に説明する。

【００１７】図１は本発明に係わる植物栽培装置の実施
例を示す斜視図である。図２は該装置の潅液方法を示す
断面概念図である。図３は本実施例における栽培育苗床
の底板の凹凸形状を示す拡大斜視図である。

【００１８】本実施例における植物栽培装置４０は、図
１に示されるように水平に置かれた凹凸形状を有する底
板１９と該底板の周囲に配された側板１５で構成された
栽培育苗床１７と、該栽培育苗床１７の中に水または養
液を供給する供給管２１と、前記栽培育苗床１７中の水
または養液を底面より排液する排液管２３と排液弁２５
で構成される。

【００１９】上記植物栽培装置４０の栽培育苗床１７は
数十個〜数百個の育苗ポットが一度に載置出来る程度の
大きさであり、作業性を考慮して脚３９にて地面より８
０ｃｍ程度の高さに位置されている。

【００２０】上記栽培育苗床１７は例えばプラスチック
ス等の漏液防止効果に優れた合成樹脂でできており、ま
た底板１９と側板１５が一体成型された構造となってい
るので漏液の心配がない。

【００２１】前記水または養液の供給管２１及び排液管
２３は汎用の塩化ビニル管もしくは金属管である。

【００２２】上記栽培育苗床底板１９の凹凸形状は大小
の育苗ポットを載置した際に、凸部頂部にて安定して支
持される程度の大きさを有する。また、凸部の高さＹは
約３ｃｍであり、水きりもしくは養液を絶つ際に栽培育
苗床底面に水または養液の残りが溜まっていても完全に
育苗ポットの底が残液と分離されるようになっている。

【００２３】なお、上記植物栽培装置４０の供給管２１
及び排液管２３と排液弁２５による水または養液の供
給、排液は手動に限らず、モーターとタイマーを利用し
て電気的に自動制御されるようにすることも容易に実施
できることは言うまでもない。

【００２４】次に、上記植物栽培装置４０を用いた潅液
方法について説明する。

【００２５】先ず、育苗ポット３１を装置４０の栽培育
苗床底板１９上に並べた状態に置く。

【００２６】水または養液の給液の場合には排水弁２５
を閉じて供給管９により栽培床１７内に給液して、液面
３５が育苗ポットの底面３３より上に達するまで溜め
る。上記水または養液は矢印の方向へ育苗ポット３１の
底面３３より浸透して植物３７の根に給液されるので、
全ポットの植物に対して葉や花を傷めることなく均一に
水または養液を十分給液することが出来る。

【００２７】次に、品種、生育段階、季節等に応じて、
水きりもしくは養液を絶つことが必要な時があるが、こ
の場合は水または養液の供給を止めて、排液管２３の排
液弁２５を開いて排液口２４より栽培育苗床１７に溜め
られた水または養液３５を排出させる。この際、栽培育
苗床底板１９に液溜まりが残っても凸部の高さが３ｃｍ
程度有るので、液面３５が凸部頂部２７よりも下がれば
育苗ポット３１と栽培育苗床１７内の水または養液とは
完全に分離され、全ポット一様に瞬時にして完全に給液
を絶つことが出来る。したがって温室等における環境内
湿度が高くならず植物３７の根ぐされや病気を防止する
ことが可能である。

【００２８】

【発明の効果】本発明に係わる植物栽培装置は、上記の
ように構成されているため、以下に記載するような効果
を有する。

【００２９】（１）植物の育苗において省力的に均一な
水または養液の給液が行われるので、容易に高位平準化
された潅液が達成出来るという優れた効果を有する。

【００３０】（２）植物の育苗において給液を絶つこと
が一様に瞬時にして完全に行われるので環境内湿度が高
くならず根ぐされや病気を防止出来るという優れた効果
を有する。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明に係わる植物栽培装置の実施例を示す斜
視図。

【図２】上記植物栽培装置の機構を示す断面概念図。

【図３】本発明に係わる栽培育苗床の底板凹凸形状を示
す拡大斜視図。

【図４】従来の植物栽培装置の例の機構を示す概念図。

【符号の説明】

１ 育苗ポット ３ 植物 ５ 栽培棚もしくは栽培床 ７ 散水器 ８ 如雨露 ９ 供給管 １１ 布地シート １５ 側板 １７ 栽培床 １９ 底板 ２１ 供給管 ２３ 排液管 ２４ 排液口 ２５ 排液弁 ２７ 凸部頂部 ２９ 凸部 ３１ 育苗ポット ３３ 育苗ポット底面 ３５ 水または養液の液面 ３７ 植物 ３９ 脚 ４０ 植物栽培装置

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 水平に置かれた凹凸形状を有する底板と
   該底板の周囲に配された側板で構成された栽培育苗床
   と、該栽培育苗床の中に水または養液を供給する供給管
   と、栽培育苗床中の水または養液を底面より排液する排
   液管及び排液弁と、を備えたことを特徴とする植物栽培
   装置。
2. 【請求項２】 前記植物栽培装置の栽培育苗床の底面上
   に植物の苗が植えられた育苗ポットを載置し、水または
   養液を給液する場合には前記供給管で栽培育苗床の中に
   注いで育苗ポットの底面より給液させ、水または養液を
   絶つ場合には前記排液口から排液を行うことを特徴とす
   る請求項１記載の植物栽培装置の潅液方法。