JP3991163B2 - キュウリの栽培ベッド - Google Patents

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この発明は、キュウリの栽培ベッドとその栽培方法に関するものであり、詳しくは、キュウリへの養液と酸素の供給が良好になされる栽培ベッドに関する。
キュウリの栽培は一般に土耕栽培で行われているが、水耕栽培(特許文献1参照)やロックウール栽培などの養液栽培も一部では行われている。キュウリは年に2回または3回栽培されるが、その都度、収穫を終えた残さの撤去と、次の定植に向けての各種作業が発生する。
特開平10−262477号公報
養液栽培は、土耕栽培に比べると、養液タンクやこれを供給する送水ポンプなどの灌水設備が大がかりになる。また土耕であれば地中の酸素が根に供給されるのであるが、養液栽培では、作物の根が養液に浸かった状態であるために、養液中の溶存酸素を吸収することとなる。その為、供給する養液には十分な酸素を溶存させる必要があり、根腐れなどを回避するためにも、エアレーションなどの酸素供給設備が必要となってくる。また供給した養液をタンクに回収してくる循環設備も必要となっている。
特にロックウール栽培は、収穫が終了すると、培地としてのロックウールをその都度廃棄することとなるが、これが産業廃棄物となり、その処理が負担である。
また土耕栽培の場合であっても、栽培が終了すると、次の栽培に向けて土壌の消毒などの様々な作業が発生する。消毒にあたっては、ほ場内の収穫物の残さを取り除き、耕起と砕土を十分に行ってベッ内中央に深さ5〜10cmの溝を掘る。そしてこの溝に消毒剤を設置して覆土し、これにマルチをして、ハウスは密閉状態とする。この状態で処理後7〜10日放置し、その後マルチを除きガス抜きをして定植する。定植は、処理日より21日経過した後に行う。
また消毒の前後には、地表に敷設してある灌水用のチューブやつる用の支柱の、撤去や再度の敷設・組み立てを行わなければならない。
更に、キュウリはもともと、トマトやその他の作物に比べると病気や環境による影響に対しては余り強い作物ではない。
例えば、水耕栽培やロックウール栽培などの養液栽培によると、キュウリはつる枯病が発生しやすい。
また、キュウリは葉の大きい作物であるために蒸散作用が盛んであり、その為に作物に必要な酸素要求量も大きくなっている。従って特にキュウリの養液栽培においては、前述したエアレーションなどによる十分な溶存酸素の維持・管理が難しくなっている。
またこの様に葉が大きいことにより蒸散作用が盛んであると、根から吸収される養液量も多くなるが、その為に、養液中の肥料バランスの良/不良が作物の生育に大きく反映されることとなり、栽培の難しさとなっている。
よってキュウリの栽培においては、水耕栽培やロックウール栽培などの養液栽培はあまり普及していない。また、キュウリ栽培の主流である土耕栽培であっても、キュウリが病気や環境の善し悪しに弱い作物であることに変わりはない。
以上の状況を鑑み、本願発明の目的とするところは、少ない養液であっても養液の供給が十分に成され、根に対する酸素供給も十分成されて丈夫な作物の育成が可能な栽培ベッドとその栽培方法を提供することである。
以上の課題を解決するために、本願請求項1記載の栽培ベッドの発明は、キュウリを栽培するための栽培ベッドであって、養液を流すための緩斜面と、この緩斜面に敷設された保水シートと、前記緩斜面の傾斜上方に設けられて前記保水シートを濡らす程度の養液を前記緩斜面に流す灌水チューブと、を有し、
前記灌水チューブの先端側が止水処理されると共に、前記灌水チューブの管壁にはチューブからの液漏れが成されるレーザー孔による微小な灌水孔が、前記灌水チューブへの送水が停止された時にも、前記灌水チューブ内に残留した養液の微量な液漏れが持続される様に形成されて適宜間隔に設けられ、且つ、
前記灌水チューブは、送水が停止された時には、前記液漏れに追従して前記灌水チューブの断面形状が萎んでゆくことのできる可撓性を有し、
更に、養液タンクから前記栽培ベッドに送水する為の送水管が装備されており、
前記送水管の一部が上方への逆U字に形成されると共に、この逆U字の頂部に空気口が設けられたことを特徴とする。ここで、養液には真水も含む。
この栽培ベッドは、別途、準備した幼苗を定植させるものである。まず、灌水チューブで養液を灌水すると、緩斜面に養液が流されるので、緩斜面に敷設した保水シートが常時ぬれた状態となる。この様な保水シートの上に苗を置いておくと苗が成長し、保水シートの上に根が張るのである。キュウリの根はもともと浅く広く張る性質があるので、緩斜面に敷設された保水シートの上で広く根を張ることは、キュウリの性質上適した状態といえるのである。そして、根は生育が進むと、互いに絡み合うまでになり、根がマット状になってマットの厚さも数cmほどにまで成り、このマット自身でも保水できる様になり、一層、灌水が十分なものとなる。
また水耕栽培などに比べると養液の量が少なくて済み、更に、根は濡れた状態で空気にさらされた状態となるために、酸素の供給も十分に成されるのである。
また、灌水チューブへの送水を停止した後も、僅かな養液が持続的に流され、保水シートの十分にぬれた状態がながく維持できる。
微量な液漏れとは、例えば1〜2分程度で灌水チューブ内の残留養液が無くなってしまう様な液漏れではなく、ある程度の長い時間の液漏れが続くものであり、液漏れの長さは作物の生育・根の生育などに対応して適否が決められる。
また通常、栽培ベッドには、養液タンクからポンプにより養液をベッドに送水している。その多くは作物の上からの灌水であったり、またベッドに直接灌水する場合でも、ベッド自身がある程度の高さに設けられていることが多い。その為、灌水の放水口も、一般には、養液タンク内の養液水位よりも高い位置である。しかし本願の栽培ベッドはキュウリを対象としている為、作物の高さや収穫物の高さからし、ベッドを地面近くに低く設置することとなり、灌水チューブが養液タンク内の養液の水位よりも低くなる場合が多い。この様な場合、ポンプを停止させても、水位の高い養液タンクから低く設置された灌水チューブまでの配管系が閉路になっている為にこの配管系がサイホンとなり、養液タンクからその水位より低い灌水チューブに養液が流出し続けることとなってしまう。この配管系には逆止弁のついていることが一般であるが、この逆止弁は送水方向に開く様になっているので、サイホンにより養液の流出し続けることを容認してしまうこととなる。
これに対し、本請求項1では、吸水管の一部が逆U字に形成され、しかもその頂部に空
気口が設けられている。その為に配管が閉路ではなく開路となり、ポンプが止まると空気口からの吸気によりサイホンは形成されず、養液タンクの養液が流出し続けるということは起こらない。空気口より下流の養液が流れ出るものの、これらが出尽くすと、そこで流出は止まるのである。
請求項2記載の発明は、請求項1記載の栽培ベッドであって、栽培ベッドが長手に形成され、緩斜面が前記栽培ベッドの幅方向に傾斜させてあることを特徴とする。
栽培ハウスなどで用いる栽培ベッドは、通常、畝状の長手に形成されており、例えば発泡スチロールで箱状に形成されている。この様な栽培ベッドにもその底面を傾斜させたものがあるが、これらはいずれも、栽培ベッドの長手方向に傾斜させたものである。これに対して本請求項は、栽培ベッドの幅方向に傾斜させてある。本願発明において、緩斜面は養液がゆっくり流れる適度な傾斜であることを要するが、栽培ベッドの設置場所などによっては、長手方向の傾斜では調整が困難な為に、適度な傾斜に成らないことがある。この様な場合、短手な幅方向の傾斜であれば、栽培ベッドを調整して傾斜の度合いを調整することが容易である。
請求項記載の発明は、請求項1又は2記載の栽培ベッドであって、空気口に余剰水チューブが接続されると共に、この余剰水チューブが栽培ベッドの灌水チューブの基端に対応する緩斜面に放水可能に配置されたことを特徴とする。
長手の栽培ベッドは、その片端が、送水管を引き込むエリアであったり、この送水管への灌水チューブの接続部分などになるため、ここだけは灌水が行き届かなくなる。保水シート自体は灌水されている部分から浸みて濡れてはいるが、どうしても養液が高濃度になったり酸素不足になる傾向が見られ、作物の生育不良の原因となっている。
これに対し、本請求項では、ポンプ作動時には空気口から余剰水が漏れるが、この余剰水を余剰水チューブで基端に対応するベッドに放出させるので、この様な栽培ベッド片端の灌水不足を補うことができ、作物の生長も基端以外の場所で栽培させてある作物と遜色のない生育が得られる。
なお本願発明には、以下の特徴を付加してもよい。例えば、緩斜面の傾斜下方に設けられた排水溝であって、緩斜面に流された養液を灌水チューブに循環させるために集水して排水される前記排水溝を有し、この排水溝は、排水を所定量蓄えた貯水状態を維持しながら排水されることを特徴とするのである
これによれば、排水溝によって貯水することができ、また作物の根が緩斜面状に生育した場合には、この排水溝にも届く程度に広がって張るので、この排水溝に貯水された排水によっても灌水することができる様になる。また養液を排水溝で回収できるので、循環させて再利用できるのである。
あるいは、この栽培ベッドが養液を蓄えることのできる平箱状に形成され、平箱の底部に相当する部分が緩斜面を成し、この緩斜面の傾斜下方の平箱隅辺に相当する部分が凹設されて排水溝を成し、排水の貯水水位を前記緩斜面を水没させることのできる水位とするために、排水溝の排水口の高さを調整する調整手段を有することを特徴とするのである
これにより、キュウリの根は、保水シートにより湿らせるだけでなく、緩斜面の水没により養液に浸けることもできる。キュウリは初期の生育時期により、水が多めに要る場合があり、そのような場合には、単に濡れた保水シートからの灌水だけでは不十分であり、その点、本特徴によれば、根を養液に浸かり切る状態にすることができ、生育時期にあった必要な灌水を得ることができるのである。
あるいは、この栽培ベッドに覆い被せる蓋を有すると共に、前記蓋には、排水溝の排水口を前記蓋の外から覗くための開閉可能な遮光性の点検窓が設けられていることを特徴とするのである
点検窓は中が覗ける程度の小さなものでよく、これに遮光性の覆いの付けたものである。例えば、蓋を切り抜いて点検窓とし、切り抜いた部材をそのまま覆いに用いてもよく、ヒンジに取り付けておくなり、点検窓に対する窓用蓋として開閉するなりすればよい。或いは、単に板で点検窓を覆い、点検時には単にこの板をどけるだけでこれを開閉としてもよい。
根は、生育していくと排水溝まで伸びてくる様になり、この根が排水口に詰まる場合がある。また栽培ベッドは一般に蓋がされており、これは根は暗いところでないと生育し難いことによる。従って、伸びてきた根が排水口に詰まっていないかどうかは、一々この蓋を開けないと点検できない。しかし蓋自体は比較的大きなものであり、その開閉は不便であり、簡易に確認することが出来ないので、確認を見送ってしまって詰まった状態を見逃すなどしてしまう。これに対し、本特徴によれば、蓋を開けることなく外から排水口を点検することができ、この様な問題がない。
あるいは、排水溝から排水させる排水管に備えられた取水口を第一開口とした場合に、調整手段は、前記排水管を上方に延長接続させるための延長管であって、取水口となる第二開口を有し、前記排水管への接続により前記第一開口からの取水を停止させると共に前記第二開口から取水することのできる延長管であることを特徴とするのである
これにより第一開口と第二開口のいずれを排水口とするかの選択ができ、最終的には貯水の水位が選択可能となる。
第一開口は排水管の開口でも、排水管の横に開けた穴でもよく、その他の設け方でもよい。同様に、第二開口も延長管の上端開口でも延長管の横に開けた穴でも、その他でもよい。延長管の接続による第一開口からの取水の停止の手段には、例えば次の特徴がある。
あるいは、延長管は排水管に挿入することにより接続され、前記挿入の深さを選択することにより、第二開口の高さが選択されることを特徴とするのである
この様に、排水管の第一開口は、挿入された延長管が栓になって取水が停止され、停止されると排水口が無くなるので貯水の水位が上がり、水位が第二開口に達すると、この第二開口が排水口として機能を始めるのである。
あるいは、第一開口から所定距離だけ離れて前記第一開口を囲む様に立設される壁部と、この壁部に設けられて壁部内に排水を浸入させる浸入口と、を有する防根部材を排水溝に設けたことを特徴とするのである
この特徴は、第一開口又は第二開口による排水口に、根が詰まることを防ぐ為のものである。即ち、緩斜面の根が伸びてくると排水溝の中にまで伸びてくることがあり、排水口への流れに導かれて排水口に根が入ることがある。その量が増えると最終的には排水口を詰まらせてしまうことになる。この点、本特徴に係る発明によれば、排水口の周囲には壁部が立設されているのでこの壁部に根の侵入が阻止され、排水口に詰まることはない。また壁部の浸入口から一部の根が壁部内に伸びてくることもあるが、壁部のない場合に比べるとその量は一部であり、また入り込んでも浸入口自身が排水口から所定距離、離れているのでそこに届く為には更に根の伸びることを待たなければならず、よって排水口に根が届かないか、届いても詰まる程の量ではなく済むのである。或いは、浸入口から根が浸入したなら、排水口に届く前に、浸入口から根を抜いて、手で別の場所にどけておけば済むことであり、こうした処置をするだけの猶予も得られる。所定距離がどの程度の距離であるかは、根の生育度合いにより選択すればよい。
また次のような発明が考えられる。即ち、キュウリの栽培方法あって、養液を流すための緩斜面に保水シートを敷設し、前記緩斜面の傾斜上方に設けられた灌水チューブから前記保水シートを濡らす程度の養液を灌水し、この保水シート上に苗を定植させることを特徴とするのである
これにより、キュウリは、その根に十分な養液と酸素が供給され、キュウリは良好な生育が成されるのである。
本願発明によると、無培地による栽培を可能とし、作物の根自体がマット状(ルートマット)に形成されるので、緩斜面の保水シートによる保水と共に、ルートマット自体による保水も成され、根全体に十分な養液供給が成される。しかもルートマット自体は、養液に浸かり切っているわけではなく、マット内には空気が含まれるので、根への酸素供給も十分成され、養液に酸素を溶存するためのエアレーションなどの設備が不要である。またこの様にして得られた作物は、良好な生育による、良質な収穫を得ることができる。
また収穫を終了した時には、栽培ベッドから作物と、その根(ルートマット)を撤去するだけでよく、廃棄物が少なく、簡単で汚れのない作業で撤去でき、しかも次の定植作業にすぐ入ることができるのである。
また緩斜面が栽培ベッドの幅方向への傾斜であるので、例えば長手方向への傾斜面を角度調整するのであれば大変であるが、短手な幅方向への角度調整で済むので設置が用意である。
また保水シートに保水された養液は、一気に流れることなく緩やかにしたたり落ちる様に排水溝に流れ落ちるのであるが、灌水チューブからの灌水が、液漏れ程度の微量であるために、保水シートによる緩やかな流れに適した微量づつの灌水が可能となる。また灌水が微量づつであるために、養液タンクやその送水ポンプなどの灌水設備も小規模なものでよい。
また灌水チューブへの送水を止めても、灌水チューブに残留した養液が、自然と漏れ出る様な構造になっているために、ポンプを停止させても、なおその後に永く灌水を続けることができ、切れ目のない灌水維持が無電力で行える。
またこの様に、灌水チューブから自然と養液が流れ出る構造である。しかし、養液タンクから灌水チューブまでの送水路が、送水管に設けた空気口により、閉路にならない様にしてある。そのため養液タンクの養液水位がこの灌水チューブより高い場合には、サイホン現象で流出し続けてしまうが、この空気口によりサイホンが絶たれる。よって、養液の漏れは、空気口から下流の残留分だけが流出するとそこで止まり、養液タンクの養液を流し続ける様なことはない。
また排水溝が、所定量の貯水状態を維持しながらの排水を行うものであり、作物の根がこの排水溝に届く程度に張れば、この排水溝の排水に届く様になり、これによっても灌水できる。更には、灌水チューブからの灌水が何らかの事故で停止しても、この排水溝に浸かった根は一般にマット状となるので、この根のマットによっても吸い上げる事ができ、ある程度は保水を維持することができ、例えば停電で灌水チューブへの送水が停止しても、排水溝によるこの灌水により大事には至らない。
また単に保水シートからの養液補給だけでなく、生育の時期に合わせて、根を養液に水没させたい場合があるが、この様な時には、栽培ベッドの水位を上げて緩斜面とその上の作物の根を水没されることも可能であり、幅広い対応ができる。
そのための、貯水の水位の調整ができる。
また排水溝と根とが近接しているが、これによる排水口の目詰まりなどになる様な場合であっても、防根部材により、排水口の目詰まりを防ぐことができ、良好な排水を維持できる。
次に、本願発明の、キュウリの栽培ベッドの実施例を説明する。
図1に示す栽培ベッド1は、発泡スチロールにより成形された図2〜3に示す様なベッド本体10を連ねた栽培ベッドであり、長手に形成された平箱状を成している。栽培ベッド1の両端に位置するベッド本体は図示しないが、端部が壁部で覆われていて、栽培ベッド全体としては、養液を蓄えることができる容器状になっている。またベッド本体10には、発泡スチロールの蓋20が被せてあり、遮光や乾燥防止などを果たしている。またこの蓋20には、培地に生育させた幼苗を定植させる時に、ブロック状の培地Aが突き出せるための窓部21が、作物の間隔となる様に設けられている。
ベッド本体10の底部は栽培ベッドの幅方向に傾斜させた緩斜面11を成している。更に緩斜面11の傾斜下方の平箱隅辺に相当する部分が凹設されて、排水溝12を成している。この様な栽培ベッド1の内側には、図1に示した様に、黒シート13と防水シート14と保水シート15とがこの順で重ねて敷設してある。
黒シート13は、ベッド本体10の緩斜面11に敷設してあり、これは栽培ベッド1内を暗くするためのものである。即ち、根は一般に暗い方が張り易く、これに対して栽培ベッド1の内側は、発泡スチロールの白色となっていて根が張り難いので、この黒シーツ13により暗くし、キュウリの根の生育を促すようにしてある。
防水シート14は、栽培ベッドの幅を覆うことのできる幅広で1枚もののシートであり、栽培ベッド1の全長に亘ってこの1枚の防水シート14で覆ってある。これは、栽培ベッド1がベッド本体10を連結したものであり、その繋ぎ目は水漏れするものであるために、シート14の端が栽培ベッド1の外に垂れる状態にまでして、平箱状の栽培ベッド1に防水シート14を被せたものである。この防水シート14を被せた状態で、「養液を蓄えることのできる平箱状に形成された栽培ベッド」となり、緩斜面11に被せられた防水シートもまた緩斜面11aを成すのである。また防水シート14は半透明であるために、黒シート13に重ねるとこれも黒く見えるのであり、根を張りやすくするための黒シート13の「黒色」は、この防水シートを被せて敷設しても維持されるのである。
保水シート15は厚さ0.25mmで、水を十分に含むことのできるものであり、防水シート14の緩斜面11aをほぼ覆い尽くす状態で敷設されている。
この様に各シート13,14,15が敷設されたベッド本体10は、その緩斜面11aの傾斜上方に、灌水チューブ16が、栽培ベッド1の長手方向に横たえる様に載置してある。この灌水チューブ16はフィルム状の薄い材質でできており十分可撓性があるので、チューブ16内がカラの時には径をつぶしたテープ状の状態となっていて、そのテープ状の幅は5cmである。またこのチューブ16にはレーザーで開けたレーザー孔(孔径;0.8mm或いは0.6mm)による図示しない灌水孔が、約7cm間隔で2つづつ設けられている。またこの灌水チューブ16はその先端側が止水されており、この灌水チューブ16に養液を送水すると、灌水チューブ16の全長に設けられている灌水孔により、養液が液漏れする様になっている。この様な灌水チューブ16が、栽培ベッド10の長手の全長に載置されており、防水シート14による緩斜面11aの全てに養液が僅かづつ流される様になっている。
なお、この灌水チューブ16には、図4に示す様に、養液タンク70からポンプ71で送水される様に配管されている。具体的には、養液タンク70から主管72が配管され、この主管72から各栽培ベッド1への送水管74が枝分かれさせてある。この送水管74は、栽培ベッド1に引き込まれる手前で上方に延び、これが下に折り返すことにより、逆U字に屈曲させてある。なお養液タンク70は高さが約1m位であり、この養液の水位は満タン状態で地上から約80cm程度であるため、逆U字の頂部75はこの満タン水位より若干高い約80〜90cmの高さにしてある。養液タンクの大きさが異なる場合はその満タン水位に合わせて頂部の高さを調整すればよい。また図5に示す様に、逆U字の頂部75には細く短い空気管76が上方向きに設けられ、短い空気管76の開口が空気口を成している。又この空気管76には、図5に示す様に、直径6mmの細い余剰水チューブ77が接続されており、この余剰水チューブ77先端78が栽培ベッド73の片端に垂れさせてあって、この先端78からは余剰水が放水され、これにより栽培ベッドの外から引き込まれた送水管74の部分には灌水チューブがないのであるが、この様な灌水チューブが無い緩斜面11にも流される様になっている。なお排水溝12の排水は回収タンク(図示せず)に集められ、更にそれは養液タンク70に送ることができる様になっており、つまり養液は循環することができる様になっている。
ベッド本体10の緩斜面の中段には、冷暖用チューブを載置するための冷暖チューブ載置溝17が、灌水チューブ載置溝と平行に設けられ、黒シート13の下に冷暖用のチューブ17aが載置されている。そして温度環境に応じて、冷水や暖水を流す様になっている。
この排水溝12の底部には、次の様な排水口が設けられている。即ち、排水溝の底部12aには図6に示す様に、低く突き出た排水管30が立設させてあり、この排水管30の中腹には排水を取水するための小穴が、第一開口31として何個か周設されている。通常はこの状態で、この第一開口31が排水口になって排水溝から排水を取水している。またこの第一開口31は、排水溝の底部12aより高い位置に設けられているので、排水溝12は、この高さに相当する水位での貯水状態になる。
またこの排水管30には、排水管30の開口端32に挿入できる太さの塩ビ管40が、延長管として挿入して接続されており(同図(a))、挿入の深さを同図(b)の様に下方にすると、第一開口31は塞がれ、取水が停止する様になっている。挿した塩ビ管40は、管40の中腹に第二開口41の小穴が何個か周設されており、これが新たな排水口として選択される様になっている。そして第二開口41は第一開口31よりも高い位置となるので、この塩ビ管40により排水口の高さが調整されたことになる。具体的には第二開口41は、緩斜面11aを水没させることのできる水位と同じ高さとなる様に形成されている。
なお塩ビ管40の中腹にはビニールテープ42が巻かれており、この位置で挿し止まる様になっている。水位の深さを変えたいのであれば、塩ビ管の長さやこのビニールテープ42の位置を変えればよい。更にビニールテープ42は、排水管30と塩ビ管40との繋ぎ目の、水漏れを防ぐのにも役立っている。なお、塩ビ管40の第二開口41より上の部分は、この塩ビ管の着脱操作時の握り部分となる。
或いは図7に示す様に、上記例よりは細めの塩ビ管40を準備し、その塩ビ管40の下方にオーリングのパッキング43を填めておくのである。この場合、塩ビ管40とそのオーリング43は、塩ビ管40を排水管30に挿すと、オーリングのパッキング43が、排水管30の内壁に嵌入される様な径にしておくのである。そして塩ビ管40を挿入した延長状態にしておき、この挿入してある塩ビ管40の挿入深さを、上方か下方かに選択すると、排水溝の水位が選択できるのである。
具体的には、オーリングのパッキング43が第一開口31の上方となる位置に挿入しておくと(同図(a))、第一開口31からの取水が可能となり、排水溝12の水位はこの第一開口31の高さ相当になるのである。またオーリングのパッキング43が第一開口31の下方となる位置に挿入しておくと(同図(b))、第一開口31からの取水がパッキング43で停止され、代わりに塩ビ管40の第二開口41からの取水が可能となるので、排水溝12の水位はこの第二開口41の高さ相当になるのである。つまり、延長部である塩ビ管40の挿入の深さを選択することにより、第一開口31又は第二開口41が排水口として選択され、結果的に、排水溝12の水位の選択ができるのである。
塩ビ管40を浅く挿入して排水管30の第一開口31から取水する時には、塩ビ管40を排水管30から抜いてしまっても構わない。
なお、排水口には、図8〜9に示す様な箱状の防根部材を設けておいてもよい。
この防根部材80は、上面が空いたプラスチック製の箱であり、つまり方形の底部81とこの底部に立設させた4つの壁部82を有したものである。底部81の中央には、排水管30の開口32に対応した大きさの穴83が、防根部材80の排水管30への取付穴83として設けられている。4つの壁部82は、その内の1つだけに筒84を張り出させた浸入口85が設けてある。この様な防根部材を80、栽培ベッド1の下から排水溝12の底面に突き出させてある排水管30に取り付けるのである。
その取り付け方であるが、この排水管30の開口32内には雌ネジ33が設けてあり、この開口32にネジ締めのできる取付部材86で取り付けるのである。この取付部材86は、排水管30の開口32内に螺合される短い筒部87と、この筒部87に設けられて、取付部材86が排水管30の開口32端などで締め止まる為の鍔部88とで成るものである。
そして防水シート4には排水管30の開口大の挿通穴4aを開けておき、防水シート4の下から排水管30の開口32を、また上からは防根部材80を宛うのである。その際は、防根部材80の取付穴83と、防水シート4の挿通穴4aと、排水管30の開口32とが重なる様にして上下から挟み、防根部材80の上から取付部材86を排水管30にネジ締めするのである。
これにより防水シート4が排水管30の開口32端面と防根部材80の底面とで挟まれるのである。なお防水シート4をこの様にして上下から挟む時、開口32端面とほぼ同径のリング状のパッキング89を防水シート4の上下に介入させてある。これにより、防水シート4とその上下のパッキング89が、排水管30の開口32端面と防根部材80底面とで挟まれ、水密性が維持できるのである。
これにより、排水溝の水位はL1となるが、排水管30に延長管40を挿すと、水位はL2と高くなる。しかしいずれの場合も、壁部が水位よりも高くなっているので、根が伸びてきてもこの壁部で遮られ、排水管や延長管に届くことはない。浸入口85から根の入ることもあるが、量的には少なく、これにより直ちに排水が詰まるわけではない。
この状態で栽培ベッド1に発泡スチロールの蓋20をし、蓋20の上をシート22(白黒ダブルマルチ)が覆ってある。蓋20は遮光の役割も果たしているが、蓋20が発泡スチロールの白色をしている関係上、遮光が十分ではなく、その為にこのシート22で遮光をより確かなものとしている。この様な遮光が成されていないと、栽培ベッド内の養液にアオミドロなどが発生しやすくなるので、その防止に役立てているのである。
以上の様な構成でなる栽培ベッド1は、一例として、図10に示した様な、パイプを組んだ組枠50に低く載置される。この組枠50は、栽培ベッド1の載置と、キュウリのつるを支えるために設けられているものである。そして、ハウスなどの中に、栽培ベッド1の設置を予定している長手方向の両側にて、支柱51を地面Bに一対づつ立ててゆき、各々の一対に掛け渡された横架パイプ52には、長手方向のベッド本体用のパイプ53を載せる様にして2列設けてある。このベッド本体用パイプ53は、栽培ベッドを載置するためのものであるが、同時に、ベッド本体の下面には、この様なベッド本体用のパイプに被せるパイプ用溝18が凹設されており、ベッド本体10の位置決めと、ベッド本体用のパイプ53からベッド本体10が落下しないためのズレ防止の役割を果たしている。
次に、本願発明の栽培ベッドの使用方法を説明し、併せて、本願発明のキュウリの栽培方法の実施例を説明する。
なおこの栽培ベッドには、別途、種から発育させておいた幼苗を準備し、この幼苗を定植させるためのものである。その為に、この幼苗の生育を先に説明する。
この実施例では、培地にはロックウールを用いる。まず図11(a)に示す様なロックウールの母材であるロックウールマット60から、同図(b)に示す様なロックウールの角柱61を切り出す。次にこの角柱61を縦割りにして、同図(c)に示す様な断面台形な台形角柱62を成す様にして2本に切り分ける。切り分けられた台形角柱62を、同図(d)に示す様な等間隔に切断してゆき、同図(e)に示す様な台形錐のロックウールの培地Aにする。
この様な培地Aは、上面が狭く下に向けて広がる形状を成している。根は下に向けて広がるので、台形錐はこの根の張り方に沿った好適な形状であり、また底面は上面より広いので、保水シートの養液を下から吸い上げるのにも適している。またこの様な台形錘であれば、母材のロックウールからとれる培地の個数を増やすことができる。以上の様にして培地を得たら、そして上面に竹棒などで穴を空け、播種を埋め込むのである。この様な培地を例えば図12に示す50固入りの育苗箱に詰め、夏期であれば20日程度の育成期間を経て、図13に示す様に定植が可能な状態の育苗になる。
この様にして準備された幼苗は、栽培ベッド1の保水シート15の上に載置され、定植を待つのである。載置する場合には緩斜面の幅中央11aに載置し、幼苗同士の間隔は、栽培ベッドの蓋に設けられている窓部21から、台形錘の培地Aが頭を出せる様な配置にするのである。
またこの時には、灌水チューブ16への養液の送水も行っておくのである。これにより、灌水チューブ16の全長に設けられた灌水孔から養液が液漏れして、保水シート15が十分に濡らされるのである。この様に、灌水チューブ16からの養液は、緩斜面11aを一気に流れ落ちるのではなく、保水シート15に永く止めおかれながら次第にゆっくりと流れ、最終的に排水溝12に集水させるのである。その為に、灌水チューブ16への送水量は一般的な水耕栽培に比べて少なくて済み、例えば2トン程度の養液タンクに1.5kw程度のポンプを用いていた水耕栽培と同規模の栽培ベッドを本実施例で実現すれば、1トン程度の養液タンクに0.4kw程度のポンプで賄うことができ、灌水設備の大幅な小規模化が可能となる。
そして保水シートにロックウールの培地Aを載置すると、保水シートの養液で培地が十分な水気を含み、作物の生育をなすことができるのである。
図14に示す図は、培地Aから根が生え始めた当初の様子の図であり、保水シートに数本の根Cが張り始めた状態である。この状態が更に進むと、図15〜16の図に示す様に、緩斜面11aは一面が根Cで埋まる状態となる。この根は互い同士が絡んでマット状(ルートマット)となり、最終的には図12の、根Cを緩斜面から剥がした図に示す様に、数cmの厚みによる根のマット状を成す様になる。つまり培地のない状態(無培地)で、作物を生育させることができるのである。なお図15〜17の図は、収穫が終了して、作物を取り除き、根だけが栽培ベッドに残っている状態の図である。また、根が十分に張ってゆく過程においては、灌水チューブを張った根の上に移してもよい。根が灌水チューブに覆い被さり過ぎない様に、時々、灌水チューブを引き上げておくと、図15〜16に示す様に、ルートマットの上に灌水チューブ16が位置することとなり、根の上からの十分な灌水が得られるのである。
この様に、根Cが成長してマット状になると、マットの中には養液があがってくる様になるので、根のマット全体が十分に湿った状態となり、養液も水分も十分に行き渡るのである。またこの様に、根は十分に養液が行き渡りながらも、養液に浸かり切っているわけではなく、つまりマットの中は空気が充満しているので、根への酸素の供給も十分成されるのである。
この様な生育環境で生育させたキュウリは側枝の生育がいいので、主枝でのキュウリの収穫が終える頃には、側枝からの収穫が十分得られる。さらに、この側枝からの収穫が終える頃には、その後から伸びた別の側枝からも収穫ができる様になるので、全体としての収穫量を多く得ることができる。
また収穫されたキュウリは、果肉が密で香りも味もよく、シャキシャキ感があり、また日持ちの大変よいものが得られる。
なお、初期の生育期には、作物が多めの水を必要とする時期があり、保水シートによる養液供給だけでは不十分となり、根を養液に浸けた状態にしたい時期がある。この様な場合には、図7に示した様に、排水管30に挿して取り付けられている延長管としての塩ビ管40の挿入を深くするのである。これにより第一開口31からの取水が停止され、代わりにこの塩ビ管40に設けられている第二開口41が排水口として選択することができるのである。しかもこの第二開口41は、緩斜面11aを水没させることのできる水位と同じ高さになっているので、結局、排水溝12から排水があふれて栽培ベッド1の全体に養液が満たされ、緩斜面11aとのその上に張っている根Cが養液に浸かるのである。
栽培ベッド1に満たされる養液の深さを様々に調整したいのであれば、塩ビ管40を長さとオーリングの位置とを調整すればよい。
無論、通常は、排水の水位は低くされており、排水溝12の中で第一開口31の高さに見合った水位となっている。その為に、緩斜面にできたマット状の根はその下端あたりが排水につかり、根のマットが排水を吸い上げる状態となり、灌水チューブ16からの養液だけでなく、排水溝から吸い上げる養液によっても灌水されて、保水シート15やその上の根Cには作物の生育に十分な濡れ具合が実現されるのである。
ここで、水位を三段階に調整した例を、キュウリの生育と合わせて説明する。
まず最初は、図18(a)に示した様に、長い延長管40Aを用いて一番高い水位にし、緩斜面の途中まで水没させる。この水位は生育の初期のものであり、図14の様にまだ根の出てない培地Aの段階に適した水位である。これにより同図(b)の様に多少の根が生育するのである。これがある程度の生育になると延長管を短いもの40Bに替えて、同図(c)の様に緩斜面11の水没が無くなり、排水溝12が一杯となる程度の水位にするのである。この場合は、同図(d)の様な、緩斜面全体に根が広がった生育状態に適している。更に進むと、延長管は取り除き、同図(e)に示す様に、排水溝12の底に少ない貯水量とするのである。この場合は、同図(f)に示す様に、根が十分に育ち、排水溝12の底部に届く程度にまでなった生育状態に適している。
なお、何らかの理由により、灌水チューブ16からの灌水が一時的に絶たれても、この様な根のマットにより、排水溝から養液を吸い上げられることにより、養液は確保されることとなる。例えば、停電などにより、灌水の為のポンプが作動しなくなった様な場合であっても、ある程度の時間であれば、この排水溝12に貯水されている排水により、灌水されるので、その範囲においては問題がない。たとえば、灌水の為の養液タンクが、手違いでカラになってしまったとしても、養液補充をする間は、排水溝の貯水で繋ぐことができる。
またこの様に根が排水溝にまで延びてくると、排水溝のなから設けられている排水口に目詰まりすることがある。この様な場合でも、排水口には防根部材を取り付けておくことにより、その壁部で根を遮り、排水口が根で目詰まりすることを防ぐことができる。ただ防根部材の壁部には浸水口が設けられ、ここから排水が浸水するのである。その場合、延びた根もこの浸水口から入り込む場合があるが、根の本数としては少ないものである。また浸水口から入ったとして、浸水口から排水口までは所定距離だけ離れているので、直ちに排水口に届くものではなく、排水口の目詰まり防止ができているのである。
なお、灌水チューブ16への養液の送水は、間欠的に成される様になっている。例えば40分〜1時間に1度の割で数分間送水し、後は送水を停止させておくのである。送水を停止している間は、灌水チューブ16内に残留した養液はレーザー孔の灌水孔から少しずつ液漏れが持続される。従って灌水チューブ16への送水が停止しても、保水シート15への灌水は持続されるのである。また灌水チューブ16は可撓性があり、液漏れによりチューブ16内の残留養液が少なくなっていくと、これに追従して灌水チューブ16はその断面形状が萎んでゆくことのできるので、これによっても送水停止後の灌水が持続できる。換言すれば、チューブ16は可撓性があるため、チューブ16内の残留養液の自重により養液を僅かづつではあっても流出させる水圧が得られ、これにより僅かづつの液漏れにより灌水を持続することができるのである。
またこの様に残留養液が流れ出るが、これは栽培ベッドに引き込まれる手前の送水管が逆U字になり、その頂部に空気口があるので、残留養液として流れ出るのは、この空気口から下流部分の養液である。
また無培地であるために、収穫終了後には、ロックウール栽培の様な培地の廃棄という問題もなく、また土耕栽培の様な培地の消毒という作業も不要であり、単に、栽培ベッドからマット化した根(ルートマット)だけを取り除けば、直ちに次の新たな作物の準備を始めることができる。
具体的には、根がその下の保水シートと防水シートに絡んでいるので、防水シートでルートマットをくるむ様にして取り外し、この時、保水シートも一緒にくるみ、廃棄するのである。これによれば廃棄物が少なくて済み、作業も、簡単で汚れの少ない作業で済むのである。そしてこの様な撤去作業を終えると、すぐ次の定植への準備作業にはいることができ、土壌消毒の様な、消毒状態で7〜10日も待つ必要はないのである。
この図は、栽培ベッドの構造を示す断面の図である。 この図は、栽培ベッドを構成するベッド本体とこれへの蓋の図である。 この図は、図2において、ベッド本体に蓋をした図である。 この図は、送水管が養液タンクに対してサイホンの役割を果たすことと、その送水 管の途中の逆U字管に空気口と、余剰水チューブを設けたことを説明する図である。 この図は、余剰水チューブの設け方を説明する図であり、黒シート、防水シート、保水シートなどは省略してある。 この図は、排水溝に設ける排水口の構造を説明する図である。 この図は、別の排水口の構造を説明する図である。 この図は、防根部材の構造と排水溝への取り付け方を説明する図である。 この図は、防根部材の構造と排水溝への取り付け方を断面図的に説明する図である。 この図は、栽培ベッドを地面に込み立てた組枠に載置する様子の図である。 この図は、幼苗を生育させるロックウール培地の切り出しの手順を説明する図である。 この図は、育苗箱に図6のロックウール培地を敷き詰めた様子の図である。 この図は、ロックウールの培地に苗を生育させる様子の図である。 この図は、定植苗を本願に係る栽培ベッドに定植させる時の図であって、ロックウールから根が保水シートの上に張り始めた頃の様子の図である。 この図は、根がマット状に生育した様子の図である。 この図は、収穫終了後時に株を切り離し、育苗ブロックAとマット状の根とが残っている様子の図である。 この図は、収穫終了後に根のマットを剥がす手順の図であり、マット厚さが数cmにもなっていることを示している。 この図は、水位の調整手段により、排水溝の水位の調整と、キュウリの生育との関係を説明する図である。
符号の説明
1 栽培ベッド
10 ベッド本体
11 ベッド本体の緩斜面
11a 防水シートの緩斜面
12 排水溝
13 黒シート
14 防水シート
15 保水シート
16 灌水チューブ
20 蓋
21 窓部
30 排水管
31 第一開口
40 延長部としての塩ビ管
41 第二開口
50 組枠
70 養液タンク
76 空気管
77 余剰水チューブ
80 防根部材
82 壁部
86 取付部材
A 育苗培地
C 作物の根

Claims (3)

  1. キュウリを栽培するための栽培ベッドであって、養液を流すための緩斜面と、この緩斜面に敷設された保水シートと、前記緩斜面の傾斜上方に設けられて前記保水シートを濡らす程度の養液を前記緩斜面に流す灌水チューブと、を有し、
    前記灌水チューブの先端側が止水処理されると共に、前記灌水チューブの管壁にはチューブからの液漏れが成されるレーザー孔による微小な灌水孔が、前記灌水チューブへの送水が停止された時にも、前記灌水チューブ内に残留した養液の微量な液漏れが持続される様に形成されて適宜間隔に設けられ、且つ、
    前記灌水チューブは、送水が停止された時には、前記液漏れに追従して前記灌水チューブの断面形状が萎んでゆくことのできる可撓性を有し、
    更に、養液タンクから前記栽培ベッドに送水する為の送水管が装備されており、
    前記送水管の一部が上方への逆U字に形成されると共に、この逆U字の頂部に空気口が設けられたことを特徴とする栽培ベッド。
  2. 請求項1記載の栽培ベッドであって、この栽培ベッドが長手に形成され、緩斜面が前記栽培ベッドの幅方向に傾斜させてあることを特徴とする栽培ベッド。
  3. 請求項1又は2記載の栽培ベッドであって、空気口に余剰水チューブが接続されると共に、この余剰水チューブが該栽培ベッドの灌水チューブの基端に対応する緩斜面に放水可能に配置されたことを特徴とする栽培ベッド。
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