JPH05136161A - 共鳴トンネル三端子素子 - Google Patents

共鳴トンネル三端子素子

Info

Publication number
JPH05136161A
JPH05136161A JP32410991A JP32410991A JPH05136161A JP H05136161 A JPH05136161 A JP H05136161A JP 32410991 A JP32410991 A JP 32410991A JP 32410991 A JP32410991 A JP 32410991A JP H05136161 A JPH05136161 A JP H05136161A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
layer
quantum well
barrier layer
level
barrier
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP32410991A
Other languages
English (en)
Inventor
Takao Waho
孝夫 和保
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nippon Telegraph and Telephone Corp
Original Assignee
Nippon Telegraph and Telephone Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Nippon Telegraph and Telephone Corp filed Critical Nippon Telegraph and Telephone Corp
Priority to JP32410991A priority Critical patent/JPH05136161A/ja
Priority to EP19920106728 priority patent/EP0510557A3/en
Priority to US07/871,148 priority patent/US5280182A/en
Publication of JPH05136161A publication Critical patent/JPH05136161A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Bipolar Transistors (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 共鳴トンネル三端子構造において、大きさの
揃った複数のピーク電流値を実現し、これらの共鳴トン
ネル電流のピーク値を多値論理状態に対応させ、少ない
素子数で複雑な機能を有する機能回路を実現する。 【構成】 n型GaAs結晶基板21上にn型GaAs
層(コレクタ層)22,AlGaAs第1障壁層23,
p型GaAs量子井戸層(ベース層)24,AlGaA
s第2障壁層25,n型GaAs層(コレクタ層)26
が順次積層形成され、ベース領域14がAlGaAs第
1障壁層23とAlGaAs第2障壁層25と2つの中
間障壁層18,19とにより3つの量子井戸に分割さ
れ、AlGaAs第1障壁層23,AlGaAs第2障
壁層25と隣接する2つの量子井戸の井戸幅が他方の量
子井戸の井戸幅より広い。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、超高速素子,機能素子
に適用される共鳴トンネル三端子素子に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】共鳴トンネル障壁構造を用いた共鳴トン
ネルダイオード,共鳴トンネル三端子素子では、量子井
戸の離散的なエネルギー準位に対応して電流電圧特性に
複数の電流ピークが発生する。これらの複数の電流ピー
クを複数の論理状態に対応させることにより、多値論
理,A/D変換などの機能を有する回路を、従来より極
めて少ない素子数で実現できると期待されている。
【0003】図2、はこのような機能素子を実現する目
的で提案されている共鳴トンネル三端子素子の構成を示
す断面図である。同図において、n型のGaAs結晶基
板21上にn型GaAs層22,AlGaAs障壁層2
3,p型不純物が添加されたGaAs量子井戸層24,
AlGaAs障壁層25,n型GaAs層26を、通常
の分子線エピタキシャル法(MBE法)により順次成長
し、n型基板21,n型GaAs層26の各々に接続す
るコレクタ電極27,エミッタ電極28を形成し、さら
にn型GaAs層26の一部をエッチングで除去し、G
aAs量子井戸層24に接続するベース電極29を形成
することにより構成されている。
【0004】図3は、n型GaAs層22からn型Ga
As層26の積層構造に対応するバンド構造を示したも
のである。同図において、31は伝導帯下端、32は伝
導帯上端、Ef Eはエミッタ領域のフェルミ準位、Ef B
ベース領域のフェルミ準位、33は量子井戸層24にお
ける電子の基底準位、34は量子井戸24における電子
の第1励起準位、35は量子井戸層24における重い正
孔の基底準位、36は量子井戸層24における重い正孔
の励起準位、37は量子井戸層24における軽い正孔の
基底準位、38は量子井戸層24における軽い正孔の第
1励起準位、39はエミッタ領域で発生した空乏層であ
る。
【0005】このように構成された共鳴トンネル三端子
素子を動作させるためには、バイアス電圧VBEをエミッ
タ電極28とベース電極29との間に印加する。その動
作状態のバンド構造を図4に示す。図4において、VBE
はエミッタ・ベース間の電位差である。また、エミッタ
・ベース間のバイアス電圧をさらに増加した場合のバン
ド構造を伝導帯下端のみにより図5に示す。エミッタ・
ベース電圧を増加させ、基底準位33がエミッタのフェ
ルミ準位Ef Eより低くなると、共鳴トンネルにより、エ
ミッタからベースへの電子の注入が起こり、その大部分
はコレクタ側に抜けるため、通常のバイポーラトランジ
スタに類似した増幅作用が得られ、コレクタ電流IC
流れる。バイアス電圧をさらにに増加させると、基底準
位がエミッタ領域の伝導帯下端より低下し、共鳴トンネ
ルが抑止される。さらにバイアス電圧を増加させると、
第1励起準位34がエミッタのフェルミ準位Ef Eより低
くなり、再び共鳴トンネルにより、エミッタからベース
への電子の注入が起こり、その大部分はコレクタに抜け
るため、再びコレクタ電流は増加する。バイアス電圧を
またさらに増加させると、第1励起準位がエミッタ領域
の伝導帯下端より低下し、共鳴トンネルが抑止され、コ
レクタ電流は減少する。この結果、図6に示すようにエ
ミッタ・ベース電圧の増加に対してエミッタ・コレクタ
間の電流がIP1,IV1,IP2,IV2と周期的に変化する
特性が実現できるため、パリティ発生回路,多値論理回
路,多値記憶回路,A/D変換回路などの機能を有する
機能素子として利用することが検討されている(文献:
F.Cappaso ed "Physics of Quantum Electron Devies"
Spring-Verlag Berlin Heidelberg 1990)。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、このよ
うに構成された共鳴トンネル三端子素子において、前述
した電子の共鳴トンネルが起きる場合、基底準位33を
介して流れる共鳴トンネル電流値IP1が第1励起準位3
4を介して流れる共鳴トンネル電流値IP2と比較して格
段に小さいため、さらに第2励起準位51を介する共鳴
トンネル電流の影響でIV2が大きいため、この共鳴トン
ネル三端子素子を上記機能素子として利用することは極
めて困難であった。すなわちこれらの機能素子としてこ
の共鳴トンネル三端子素子を利用する場合、例えばコレ
クタ電流の出力値IP1,IP2を「1」とし、IV1,IV2
を「0」として利用するが、IP1がIP2より格段に小さ
いため、閾値をIP1より低く設定しなければならず、回
路の動作余裕が極めて制限されること、また、IP1がI
V2より小さいと、閾値の設定自体が不可能になること、
が問題であった。基底準位,第1励起準位,第2励起準
位を介する共鳴トンネル電流値がその順序で大きくなる
ことは、以下に述べるように従来構造の共鳴トンネル障
壁において固有の性質であり、前述した問題は共鳴トン
ネル三端子素子の構造に起因する本質的な問題点であっ
た。
【0007】なお、ここで共鳴トンネル電流に極端な大
小が発生する理由について説明する。図7は、図5のト
ンネル障壁に対するトンネル確率を示したものである。
同図において、71,72,73はそれぞれ基底準位,
第1励起準位,第2励起準位を介する共鳴トンネル確率
のピークである。共鳴トンネル電流値はほぼトンネル確
率のピークの半値幅で決まることは、公知の事実であ
る。さらにその半値幅は、その準位からトンネル障壁2
3,25を通じて電子がトンネル過程で量子井戸外部へ
逃げ出す場合の、逃げ出し易さの程度で決まり、逃げ出
し易いほど広い。基底準位,第1励起準位,第2励起準
位と準位が上がるほど電子から見たトンネル障壁は低く
なり、トンネル過程で逃げ出し易くなるため、図7に示
した通り、基底準位,第1励起準位,第2励起準位を介
する共鳴トンネル確率のピーク半値幅Γ1 ,Γ2 ,Γ3
がこの順序で大きくなる。したがって基底準位,第1励
起準位,第2励起準位を介する共鳴トンネル電流値がそ
の順序で大きくなる。
【0008】このような問題点を解決するものとして
は、三端子構造ではなく、複数の共鳴トンネルダイオー
ドを組み合わせてピーク電流値の揃った特性を得ている
(前記文献)。しかしながら、ダイオードの組み合わせ
だけでは、増幅作用が得られず、入出力分離も困難なた
め、前述した各種の機能を実現するには別に増幅用回路
の付加が必要であった。したがってダイオードの組み合
わせでは、回路を構成する素子数を減らすことができな
いという問題があり、素子数を減らして高速化,高集積
化が達成できるという機能素子を利用することの利点が
十分発揮できなかった。
【0009】以上説明したように共鳴トンネル障壁を利
用すれば、複数の電流ピーク構造は得られるものの、従
来の三端子構造では、本質的にピーク電流値が共鳴準位
により大きく異なることから、共鳴トンネル電流のピー
ク値を論理状態に対応させ、複雑な機能を有する機能回
路に利用することが極めて困難であるという問題があっ
た。一方、ダイオードを組み合わせた構造では付加回路
が必要であるため、少ない素子数で複雑な機能を有する
機能回路を実現することが極めて困難であるという問題
があった。
【0010】したがって本発明は、共鳴トンネル三端子
構造において、大きさの揃った複数のピーク電流値を実
現し、これらの共鳴トンネル電流のピーク値を多値論理
状態に対応させ、少ない素子数で複雑な機能を有する機
能回路を実現するための全く新規な共鳴トンネル障壁構
造を有する共鳴トンネル三端子素子を提供することを目
的としている。
【0011】
【課題を解決するための手段】このような目的を達成す
るために本発明は、共鳴トンネル三端子構造のベース領
域に新たに障壁層を挿入し、この障壁層により量子力学
的に結合した複数の量子井戸(結合量子井戸)からベー
ス領域が構成されることを最も大きな特徴としている。
【0012】
【作用】本発明においては、この障壁層の間隔を適切に
調整すること、電子親和力が異なる材質で複数の量子井
戸を構成すること、さらには電子の有効質量が異なる材
質で複数の量子井戸を構成することにより、共鳴トンネ
ル状態の電子の波動状態を制御することでエネルギー準
位が上の状態に対応する共鳴トンネル確率の半値幅を下
の状態に対応する半値幅より小さくでき、その結果、複
数の電流ピーク値がほぼ等しい特性が実現できた。
【0013】
【実施例】以下、図面を用いて本発明の実施例を詳細に
説明する。 (実施例1)本実施例における共鳴トンネル三端子素子
の全体構造は、ベース領域を除くと、図2に示した従来
例と同一である。本実施例の特徴は、そのベース領域の
構造にある。図1は本発明による共鳴トンネル三端子素
子構造におけるバンド構造を、伝導電子帯下端のみで示
したもので、動作状態に近いバイアス電圧VBEがエミッ
タ・ベース間に印加された場合を示す。図1の22,2
3,25,26はそれぞれn型GaAsコレクタ層,A
lAs第1障壁層,AlAs第2障壁層,n型GaAs
エミッタ層を示す。また、14はベース領域であり、1
5,16,17はGaAs量子井戸薄層、18,19は
AlAs中間障壁層である。11,12,13は各々ベ
ース層14における電子の基底準位,第1励起準位,第
2励起準位である。n型GaAsエミッタ層26のSi
ドーピング濃度は5×1017cm-3である。
【0014】この積層構造は、通常の分子線エピタキシ
ャル成長法により、n型GaAs基板上に各層を連続的
に成長することで形成した。また、各量子井戸層15,
16,17では、その中央部分でGaAsの成長を一時
中断してp型不純物であるBeのプレーナドープを、1
×1013cm-2のシート濃度で行った。また、量子井戸
幅を1分子層の精度で正確に制御するために量子井戸成
長直前および直後に成長を中断し、ヘテロ界面の平坦化
を図った。
【0015】図8には、製作した共鳴トンネル三端子素
子の構造を示す。同図において、ベース電極81によ
り、量子井戸15,16,17の全ての電位を同時に制
御する。ベース電極81およびエミッタ電極82,コレ
クタ電極83は、通常のGaAsプロセス技術により形
成した。
【0016】このように構成された共鳴トンネル三端子
素子において、ベース領域14は、障壁層であるAlA
s中間障壁層18,19と、その介挿により分割された
3つのGaAs量子井戸薄層15,16,17が量子力
学的に結合されて構成されているため、共鳴トンネルを
引き起こすエネルギー準位11,12,13は、ベース
領域14全体の電子の準位として決定される。
【0017】この共鳴トンネル三端子素子の構造におい
て、両端の量子井戸薄層15の井戸幅L3 と量子井戸薄
層17の井戸幅L1 と比較して中央の量子井戸薄層16
の井戸幅L2 を小さくした。本実施例においては、L1
=L3 =22ML(ML:分子層),L2 =14ML,
第1障壁層23の厚さL7 =7ML,第2障壁層25の
厚さL4 =7ML,挿入された障壁層18,19の厚さ
5 =L6 =3MLであった。
【0018】図9は、ベース領域14における電子の基
底準位11,第1励起準位12,第2励起準位13のそ
れぞれエネルギー準位に対応する電子の波動関数91,
92,93を示す。前述したように量子井戸幅が決めら
れているため、基底準位11および第1励起準位12に
対応するそれぞれ波動関数91および波動関数92の振
幅は、両端の量子井戸薄層15,17で大きく、電子が
これらの両端の井戸に集中して分布することを示し、第
2励起準位13に対応する波動関数93の振幅は中央の
量子井戸薄層16で大きく、電子がこの井戸に集中して
分布することを示す。この波動関数の性質は、電子波動
の波長が長いほどエネルギーは低いことおよび各準位の
波動関数は互いに直交することという量子力学的な基本
法則が導かれる本結合量子井戸構造に対する本質的な帰
結である。これらの波動関数の性質は、前述した膜厚設
定値のほか、量子井戸薄層16が量子井戸薄層15,1
7より狭い場合に実現できる。
【0019】図10は、この結合量子井戸構造に対する
トンネル透過確率を示す。透過確率のピークエネルギー
値は、各々E1 =88meV,E2 =93meV,E3
=181meVである。基底準位,第1励起準位を介す
る共鳴トンネル確率の半値幅(Γ1 ,Γ2 )が第2励起
準位を介する共鳴トンネル確率の半値幅(Γ3 )より大
きいことが特徴である。このことは、前述したように波
動関数の性質と直接関係する。すなわち共鳴トンネル確
率の半値幅は、その準位の電子が結合量子井戸の外部へ
トンネルして逃げ出す時の逃げ出し易さに依存し、従来
の単一の量子井戸構造では、準位のエネルギーが高いほ
ど障壁が低くなるため逃げ出し易く、半値幅も広くなっ
た。これに対して本結合量子井戸構造では、図9に示し
た通り、第2励起準位のエネルギーは基底準位,第1励
起準位のそれより高いものの、電子が中央量子井戸薄層
16に集中しているため、見掛けの障壁厚さが増す効果
が大きく、電子がトンネルで逃げ出し難くなり、その結
果、第2励起準位に対応する半値幅が基底準位,第1励
起準位に対応する値と比較して狭くなった。
【0020】このような透過確率に半値幅の関係がある
ため、電流電圧特性においては、従来構造では、極めて
困難であったほぼ等しいピーク電流値を実現することが
できた。図11に得られた電流電圧特性を示す。同図に
示すようにピークエネルギー値E1 とピークエネルギー
値E2 との差はエミッタのフェルミ準位(約30me
V)より小さいため、重なって1つのピークとなる。本
実施例では、共鳴トンネル電流ピークIP1,IP2いずれ
もほぼ4×103 A/cm2 程度で等しく、従来構造で
はIP1<<IP2であったのに対して著しく改善できた。
【0021】共鳴トンネル電流ピークIP1,IP2の間隔
は、量子井戸幅を変化させることにより、調整できる。
例えば両端の井戸幅を一定とし、中央の井戸幅をさらに
狭めることにより、共鳴トンネル電流ピークIP2に対応
するバイアス電圧が増加する。これは第2励起準位のエ
ネルギー値が増加するためである。また、中央の井戸幅
は一定とし、両端の井戸幅を広げると、基底準位,第1
励起準位のエネルギーが低下し、共鳴トンネル電流ピー
クIP1を与えるバイアス電圧が低下する。
【0022】前述した効果は、3つの量子井戸を結合し
た場合を説明したが、4つ以上の量子井戸を結合させた
場合でも、両端の井戸幅を狭くすれば、前述と全く同様
の効果が得られ、ほぼ等しい電流ピークが得られること
は明らかである。
【0023】(実施例2)図12は、本発明による共鳴
トンネル三端子素子の他の実施例による構成を説明する
図である。本実施例における共鳴トンネル三端子素子の
全体構造は、前述した実施例1とベース領域を除くと同
一である。本実施例の特徴は、そのベース領域の構造に
ある。図12は本発明による共鳴トンネル三端子素子構
造におけるバンド構造を、伝導電子帯下端のみで示した
もので、エミッタ・ベース間に動作状態に近いバイアス
電圧VBEが印加された場合を示す。図12において、2
2,23,25,26はそれぞれn型GaAsコレクタ
層,AlAs第1障壁層,AlAs第2障壁層,n型G
aAsエミッタ層を示す。また、124はベース領域で
あり、125,127はInX Ga1-X As量子井戸層
(x=0.025)、16はGaAs量子井戸薄層、1
8,19はAlAs中間障壁層である。121,12
2,123は各々ベース層124における電子の基底準
位,第1励起準位,第2励起準位である。n型GaAs
エミッタ層26のSiドーピング濃度は5×1017cm
-3とした。
【0024】この積層構造の成長法は、素子製作法,製
作した共鳴トンネル三端子構造は、前述した実施例1と
同様である。本構造においては、両端の量子井戸薄層1
25の井戸幅L3 と量子井戸薄層127の井戸幅L1
と、中央の量子井戸薄層16の井戸幅L2 とは等しくし
た。本実施例においては、L1 =L2 =L3 =18ML
(ML:分子層),第1障壁層23の厚さL7 =7M
L,第2障壁層25の厚さL4 =7ML,挿入された障
壁層18,19の厚さL5 =L6 =3MLであった。
【0025】本実施例においても、前述した実施例1と
同様に電子の基底準位,第1励起準位,第2励起準位,
各々のエネルギー準位に対応する電子の波動関数うち、
基底準位,第1励起準位に対応する波動関数の振幅は、
両端の量子井戸薄層125,127で大きく、電子がこ
れらの両端の井戸に集中するして分布するのに対して第
2励起準位に対応する波動関数の振幅は中央の量子井戸
薄層16で大きく、電子がこの井戸に集中して分布す
る。この波動関数の性質は、各準位の波動関数は互いに
直交することという量子力学的な基本法則が導かれる本
結合量子井戸構造における本質的な帰結である。
【0026】この結果、前述した実施例1と同様に通過
確率のピークエネルギー値は、各々E1 =90meV,
2 =102meV,E3 =141meVであり、基底
準位,第1励起準位を介する共鳴トンネル確率の半値幅
(Γ1 ,Γ2 )が第2励起準位を介する共鳴トンネル確
率の半値幅(Γ3 )より大きい。
【0027】この通過確率のピークエネルギー値E1
2 ,E3 の幅は、井戸幅,In組成を調整することで
制御できることは前述した実施例1の場合と同様であ
る。
【0028】このような透過確率の半値幅の関係がある
ため、電流電圧特性においては、従来構造では極めて困
難であったほぼ等しいピーク電流値を実現することがで
きた。ピークエネルギー値E1 とピークエネルギー値E
2 との差は、エミッタのフェルミ準位(約30meV)
より小さいため、重なって1つのピークとなる。本実施
例では共鳴トンネル電流ピークIP1,IP2ともにほぼ5
×103 A/cm2 であり、従来構造ではIP1<<IP2
であったのに対して共鳴トンネル電流ピークIP1,IP2
をほぼ等しくできた。
【0029】以上説明した実施例1と実施例2とを組み
合わせ、すなわち量子井戸幅の変化と量子井戸に用いる
材料の変化とを同時に行っても同様な効果が得られ、さ
らに結合量子井戸の設計の自由度がさらに増加すること
は明らかである。
【0030】なお、前述した実施例1,実施例2におい
ては、結合量子井戸における量子井戸数が3つの場合を
例にとり説明したが、4つ以上の場合でも前述の説明が
同様に成立することは明らかである。
【0031】さらに井戸に用いる材料を変化させること
により得られる効果として実施例2では電子親和力の差
に着目したが、例えばGaAsとGaSbとの組み合わ
せのように電子の有効質量が異なる材料を組み合わせて
も同様の効果が得られることも明らかである。
【0032】
【発明の効果】以上、説明したように本発明によれば、
結合量子井戸構造において、結合する量子井戸の井戸
幅,材料を適切に選択することにより、共鳴状態におけ
る電子の波動状態を制御できることを利用して従来の単
一の量子井戸では普遍的に成立していた共鳴準位のエネ
ルギーとそれに対応する共鳴トンネル確率ピーク幅の比
例関係を人為的に変調することに成功した。その結果、
励起準位を介する共鳴トンネルにおいても、電子波動に
おける振幅の大きな部分を障壁層から離すことにより、
共鳴トンネル確率ピーク幅を狭くすることが可能とな
り、三端子素子構造でも基底状態を介する共鳴トンネル
電流と大きさのほぼ等しい共鳴トンネル電流を実現する
ことができた。また、本発明の三端子素子を用いること
でパリティ発生回路,多値論理回路,多値記憶回路,A
/D変換回路などの機能を有する機能回路における素子
数を従来に比して大幅に低減化することができるために
高速化,高集積化が実現できるという極めて優れた効果
が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施例における素子構造のバン
ド構造を伝導電子帯下端のみで示した図である。
【図2】共鳴三端子素子構造の従来例を示す断面図であ
る。
【図3】n型GaAs層22からn型GaAs層26の
積層構造に対応するバンド構造を示す図である。
【図4】従来の共鳴三端子素子の動作状態のバンド構造
を示す図である。
【図5】従来の共鳴三端子素子のバイアス電圧印加時の
バンド構造を伝導帯下端のみで示す図である。
【図6】従来の共鳴三端子素子においてエミッタ・ベー
ス電圧に対するコレクタ電圧の変化を示す図である。
【図7】従来の共鳴三端子素子におけるトンネル確率を
示す図である。
【図8】本発明による共鳴三端子素子の実施例1による
構成を示す断面図である。
【図9】本発明の実施例1のエネルギー準位に対応する
電子の波動関数を示す図である。
【図10】本発明の実施例1の結合量子井戸構造に対す
るトンネル透過確率を示す図である。
【図11】本発明の実施例1において得られた電流電圧
特性を示す図である。
【図12】本発明の第2の実施例における素子構造にお
けるバンド構造を伝導電子帯下端のみで示した図であ
る。
【符号の説明】
11 ベース領域における電子の基底準位 12 ベース領域における電子の第1励起準位 13 ベース領域における電子の第2励起準位 14 ベース領域 15 GaAs量子井戸薄層 16 GaAs量子井戸薄層 17 GaAs量子井戸薄層 18 AlAs中間障壁層 19 AlAs中間障壁層 21 n型GaAs結晶基板 22 n型GaAs層 23 AlGaAs障壁層 24 p型GaAs量子井戸層 25 AlGaAs障壁層 26 n型GaAs層 27 コレクタ電極 28 エミッタ電極 29 ベース電極 31 伝導帯下端 32 価電子帯上端 33 量子井戸層における電子の基底準位 34 量子井戸層における電子の第1励起準位 35 量子井戸層における重い正孔の基底準位 36 量子井戸層における重い正孔の励起準位 37 量子井戸層における軽い正孔の基底準位 38 量子井戸層における軽い正孔の第1励起準位 39 エミッタ領域で発生した空乏層 51 ベース領域における第2励起準位 71 基底準位を介する共鳴トンネル確率のピーク 72 第1励起準位を介する共鳴トンネル確率のピー
ク 73 第2励起準位を介する共鳴トンネル確率のピー
ク 81 ベース電極 82 エミッタ電極 83 コレクタ電極 91 基底準位の波動関数 92 第1励起準位の波動関数 93 第2励起準位の波動関数 121 ベース層124における電子の基底準位 122 ベース層124における電子の第1励起準位 123 ベース層124における電子の第2励起準位 124 ベース領域 125 InXGa1-XAs量子井戸薄層(X=0.0
25) 127 InXGa1-XAs量子井戸薄層(X=0.0
25)

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 n型の導電性を有するコレクタ層と、第
    1の障壁層と、p型の導電性を有するベース層と、第2
    の障壁層と、n型の導電性を有するエミッタ層とが基板
    上に順次積層形成され、前記ベース層が第1の障壁層と
    第2の障壁層と少なくとも2つの中間障壁層とにより少
    なくとも3つの量子井戸に分割され、その内の第1の障
    壁層および第2の障壁層と隣接する2つの量子井戸の井
    戸幅が他方の量子井戸の少なくとも1つの井戸幅より広
    いことを特徴とする共鳴トンネル三端子素子。
  2. 【請求項2】 n型の導電性を有するコレクタ層と、第
    1の障壁層と、p型の導電性を有するベース層と、第2
    の障壁層と、n型の導電性を有するエミッタ層とが基板
    上に順次積層形成され、前記ベース層が第1の障壁層と
    第2の障壁層と少なくとも2つの中間障壁層とにより少
    なくとも3つの量子井戸に分割され、その内の第1の障
    壁層および第2の障壁層と隣接する2つの量子井戸を構
    成する半導体より電子親和力が小さい半導体により他の
    量子井戸の少なくとも1つが構成されていることを特徴
    とする共鳴トンネル三端子素子。
JP32410991A 1991-04-22 1991-11-13 共鳴トンネル三端子素子 Pending JPH05136161A (ja)

Priority Applications (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP32410991A JPH05136161A (ja) 1991-11-13 1991-11-13 共鳴トンネル三端子素子
EP19920106728 EP0510557A3 (en) 1991-04-22 1992-04-19 Resonant tunneling transistor
US07/871,148 US5280182A (en) 1991-04-22 1992-04-20 Resonant tunneling transistor with barrier layers

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP32410991A JPH05136161A (ja) 1991-11-13 1991-11-13 共鳴トンネル三端子素子

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH05136161A true JPH05136161A (ja) 1993-06-01

Family

ID=18162259

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP32410991A Pending JPH05136161A (ja) 1991-04-22 1991-11-13 共鳴トンネル三端子素子

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH05136161A (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US5705825A (en) * 1994-08-30 1998-01-06 Nec Corporation Resonant tunneling bipolar transistor
JP2012038976A (ja) * 2010-08-09 2012-02-23 Sumitomo Electric Ind Ltd 半導体発光素子

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US5705825A (en) * 1994-08-30 1998-01-06 Nec Corporation Resonant tunneling bipolar transistor
JP2012038976A (ja) * 2010-08-09 2012-02-23 Sumitomo Electric Ind Ltd 半導体発光素子

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP3194941B2 (ja) 半導体装置
US4959696A (en) Three terminal tunneling device and method
US5059545A (en) Three terminal tunneling device and method
KR920006434B1 (ko) 공진 터널링 장벽구조장치
JPH07120782B2 (ja) 半導体装置
US5280182A (en) Resonant tunneling transistor with barrier layers
EP0216155A2 (en) Three-terminal tunnelling device
JPH05136161A (ja) 共鳴トンネル三端子素子
JP2891244B2 (ja) 電界効果トランジスタ
JPH05283673A (ja) 共振トンネル半導体装置
EP0186301A1 (en) High-speed semiconductor device
JP2734435B2 (ja) トンネルトランジスタ及び記憶回路
JPH05136399A (ja) 共鳴トンネル三端子素子
JP2675362B2 (ja) 半導体装置
JP3138824B2 (ja) 共鳴トンネル半導体装置
JP2655424B2 (ja) 高速半導体装置
Collins et al. Interband tunneling in InAs/GaSb/AlSb heterostructures
JP3228384B2 (ja) 光スイッチアレイ
JP2518160B2 (ja) 共鳴トンネル・ダイオ―ド
JP2541280B2 (ja) 半導体装置
JPH0630399B2 (ja) 共鳴トンネル・ダイオ−ド
JPH03196573A (ja) 半導体装置
JP2513118B2 (ja) トンネルトランジスタおよびその製造方法
JP3188932B2 (ja) 半導体装置およびその利用方法
JPH0831472B2 (ja) 高速半導体装置