JPH0513610U - 板金プレス加工用の金型 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【構成】板材ＷのＬ曲げ加工に連続して、板材Ｗのフラ
ンジ部Ｗ１に打抜き加工を施すためのパンチ６およびカ
ム７を構成した。 【効果】板材ＷのＬ曲げとフランジ部Ｗ１の打抜き加工
とを一工程で行うことができるので、生産効率が良くな
る。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

この考案は板金プレス加工用の金型に関する。

【０００２】

【従来の技術】

従来より、プレス成型部品として、板材の所定部をＬ曲げ加工することにより フランジ部を形成し、このフランジ部に丸穴等を打抜き加工したものが種々提供 されている。 このようなプレス成型部品の製造においては、平坦な板材の所定部をダイスと プレッシャパッドとにより挟持した状態で、板材の非挟持部をポンチにより加圧 してダイスの側面に沿わせることによりＬ曲げした後、打抜き加工用の金型によ ってフランジ部を打抜き加工するか、或いは、先に打抜き加工を行った後、Ｌ曲 げ加工することが行われている。

【０００３】

【考案が解決しようとする課題】

このように、従来においては、フランジ部に打抜き加工を施したプレス成型部 品については、Ｌ曲げ加工と打抜き加工とをそれぞれ別々に行っているので、工 程数が増大する結果、生産効率が悪いとともに製造コストが高くつくという問題 があった。

【０００４】 特に、上記打抜き加工を行う部分が、折曲げの起点部に近接している場合には 、打抜き加工をＬ曲げ加工に先立って行うと、Ｌ曲げ加工に伴ってフランジ部の 打抜き部分が変形して精度が悪くなることから、例えフランジ部以外の部分に打 抜き加工を施す部分があったとしても、先ずフランジ部以外の部分の打抜き加工 を行った後、Ｌ曲げ加工を行い、最終的にフランジ部の打抜き加工を行う必要が あり、本来２工程で済むものが３工程必要となって、より一層生産効率が悪くな るという問題があった。

【０００５】 この考案は上記問題点に鑑みてなされたものであり、フランジ部に打抜き加工 を施したプレス成型部品について、Ｌ曲げ加工と打抜き加工とを１工程で行うこ とができる板金プレス加工用の金型を提供することを目的とする。

【０００６】

【課題を解決するための手段】

上記目的を達成するためのこの考案の板金プレス加工用の金型としては、板材 の所定部をダイスとプレッシャパッドとにより挟持した状態で、板材の非挟持部 をポンチにより加圧してダイスの側面に沿わせることにより、当該板材をＬ曲げ する板金プレス加工用の金型において、上記ダイスを、板材のＬ曲げ完了後、ポ ンチおよびプレッシャパッドとともに板材の折り曲げ方向へ所定ストローク一体 的に移動できるように、弾性部材を介してダイプレートに支持しているとともに 、上記ダイスの側面にパンチ穴を形成し、このパンチ穴に対向させて、当該パン チ穴と協働して板材を打抜くパンチを、パンチ穴に対して接離可能に配置してい るとともに、上記ポンチにパンチを挿通させるための貫通孔を形成しており、上 記ダイプレートに、上記板材のＬ曲げ完了後のダイスの移動に伴って、板材を打 抜くべくパンチをパンチ穴方向へ移動させるカムを配置していることを特徴とす る。

【０００７】

【作用】

上記の構成の板金プレス加工用の金型によれば、板材の所定部をダイスとプレ ッシャパッドとにより挟持した状態で、板材の被挟持部をポンチにより加圧して ダイスの側面に沿わせることにより、Ｌ曲げ加工を行うことができ、この状態で 、ポンチ、プレッシャパッドおよびダイスを、上記板材の折り曲げ方向と同一方 向へ所定ストローク一体的に移動させることにより、カムにてパンチをポンチの 貫通孔を通してパンチ穴方向へ移動させて、板材のダイスの側面に沿った部分に 打抜き加工を施すことができる。

【０００８】

【実施例】

以下実施例を示す添付図面により詳細に説明する。 図１はこの考案の板金プレス加工用の金型を示す断面図である。この金型は、 板金プレスのスライドに固定される上部プレート１と、ベッドに固定されるダイ プレート２との間に、鋼板等の板材Ｗの所定範囲を載置するダイス３と、このダ イス３との間で板材Ｗを挟み込むプレッシャパッド４と、ダイス３と協働して板 材ＷをＬ曲げするポンチ５と、Ｌ曲げされた板材Ｗのフランジ部Ｗ１（第２図参 照）に打抜き加工を行うパンチ６と、パンチ６をダイス３方向に押圧移動させる カム７等を配置しているものである。

【０００９】 上記プレッシャパッド４は、上プレート１の下面から所定間隔離した状態で当 該上プレート１に対して接離可能に取り付けられている。また、上記上プレート １とプレッシャパッド４との間には、プレッシャパッド４を上プレート１から離 反させる方向へ常時弾性付勢する皿ばねＳ１が介在されている。 ポンチ５は、上記プレッシャパッド４の一側面に沿わせた状態で、上プレート １に対して固定されている。このポンチ５の下面側には、板材ＷをＬ曲げする際 に上記パンチ６の先端側を導入するための凹溝５１が形成されている。この凹溝 ５１は、ポンチ５のプレッシャパッド４側の側面に側壁５２を残した状態で、上 記パンチ６の導入を許容すべく下面側と上記側壁５２と反対側の側面側が開口さ れている。さらに、上記側壁５２には、パンチ６を挿通させるための貫通孔５３ が形成されている。

【００１０】 上記ダイス３は、平面が矩形形状の厚板状のものであり、その一側面の上端部 は、板材Ｗを折り曲げるためのエッジ３１として構成されている。また、上記ダ イス３の一側面には、パンチ６の先端を導入するためのパンチ穴３２が形成され ており、このパンチ穴３２に連続させて、抜きかすを回収するための中空部３３ が形成されている。上記ダイス３は、支持プレート８を介してダイプレート２に 対して接離可能に取り付けられており、上記支持プレート８とダイプレート２と の間には、支持プレート８を上方へ付勢するための弾性部材としての皿ばねＳ２ が介在されている。この皿ばねＳ２の付勢力は、板材ＷのＬ曲げが完了した時点 で、ダイス３をプレッシャパッド４およびポンチ５とともに下方へ移動させ得る ように、前記プレッシャパッド４を付勢する皿ばねＳ１の付勢力よりも強く設定 されている。なお、上記支持プレート８およびダイプレート２には、ダイス３の 中空部３３に導入された抜きかすをダイプレートの下方へ導くための貫通孔８１ ，２１が形成されている。

【００１１】 パンチ６は、支持プレート８に固定された支持ブロック６１に対して水平方向 に移動自在に挿通されており、通常はダイス３から離反した位置に待機するよう に、コイルばね６２によって図において左方向に弾性付勢されている。 カム７は、ダイプレート２に固定されており、そのパンチ６側の側面には、傾 斜状のカム面７１が形成されている。このカム面７１は、パンチ６がダイス３と ともに皿ばねＳ２の付勢力に抗して下方へ移動する際に、パンチ６の背面と摺接 して、当該パンチ６をコイルばね６２の付勢力に抗して押圧移動させる。

【００１２】 以上の構成であれば、ダイス３上に板材Ｗをセットした状態で、板金プレスの スライドとともに上部プレート１を下降させると、先ずプレッシャパッド４とダ イス３とが、板材Ｗを弾性的に挟持し、次いで、皿ばねＳ１の弾性収縮にて板材 Ｗに対する挟持力を強めながら、ポンチ５が板材Ｗのダイス３からはみ出した部 分をダイス３の側面に沿うように加圧する。そして、プレッシャパッド４が上部 プレート１の下面に当接した時点で、板材ＷのＬ曲げ加工が完了し、この状態で さらに上部プレート１が下降すると、ダイス３およびパンチ６が、皿ばねＳ２の 付勢力に抗してポンチ５およびプレッシャパッド４とともに下降する。そして、 ダイス３およびパンチ６が所定ストローク下降した時点で、カム７によってパン チ６をダイス３方向へ押圧させて、当該パンチ６の先端で板材Ｗのフランジ部Ｗ １にパンチ穴を打抜き加工することができる。

【００１３】 このように上記金型によれば、板材ＷのＬ曲げ加工と、フランジ部Ｗ１の打抜 き加工とを一工程で行うことができるので、フランジ部Ｗ１を有するプレス成型 部品の生産を効率的に行うことができる。しかも、先にＬ曲げ加工を行なった後 に上記打抜き加工を行うので、折り曲げの起点部に近接した部分に打抜き加工を 施す場合においても、打抜き部分の精度を良好に確保することができる。

【００１４】 なお、この考案の金型は上記実施例に限定されるものでなく、例えばパンチ６ を上プレート側に取り付ける等、種々の設計変更を施すことができる。

【００１５】

【考案の効果】

以上のように、この考案の板金プレス加工用の金型によれば、板材のＬ曲げ加 工とフランジ部の打抜き加工とを一工程で行うことができるので、フランジ部を 有するプレス成形部品の生産を非常に効率的に行うことができ、ひいては生産コ ストを安くすることができるという特有の効果を奏する。

【図面の簡単な説明】

【図１】この考案の板金プレス加工用の金型の一実施例
を示す断面図である。

【図２】Ｌ曲げ加工が完了した状態を示す断面図であ
る。

【図３】打抜き加工が完了した状態を示す断面図であ
る。

【符号の説明】

２ ダイプレート ３ ダイス ３２ パンチ穴 ４ プレッシャパッド ５ ポンチ ５３ 貫通孔 ６ パンチ ７ カム Ｓ２ 皿ばね（弾性部材） Ｗ 板材

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】板材の所定部をダイスとプレッシャパッド
   とにより挟持した状態で、板材の非挟持部をポンチによ
   り加圧してダイスの側面に沿わせることにより、当該板
   材をＬ曲げする板金プレス加工用の金型において、上記
   ダイスを、板材のＬ曲げ完了後、ポンチおよびプレッシ
   ャパッドとともに板材の折り曲げ方向へ所定ストローク
   一体的に移動できるように、弾性部材を介してダイプレ
   ートに支持しているとともに、上記ダイスの側面にパン
   チ穴を形成し、このパンチ穴に対向させて、当該パンチ
   穴と協働して板材を打抜くパンチを、パンチ穴に対して
   接離可能に配置しているとともに、上記ポンチにパンチ
   を挿通させるための貫通孔を形成しており、上記ダイプ
   レートに、上記板材のＬ曲げ完了後のダイスの移動に伴
   って、板材を打抜くべくパンチをパンチ穴方向へ移動さ
   せるカムを配置していることを特徴とする板金プレス加
   工用の金型。