JPH0513165A

JPH0513165A - 電波シール装置

Info

Publication number: JPH0513165A
Application number: JP16427191A
Authority: JP
Inventors: Koji Yoshino; 浩二吉野; Takashi Kashimoto; 隆柏本
Original assignee: Matsushita Electric Industrial Co Ltd
Current assignee: Panasonic Holdings Corp
Priority date: 1991-07-04
Filing date: 1991-07-04
Publication date: 1993-01-22
Anticipated expiration: 2014-09-20
Also published as: JP2949915B2

Abstract

(57)【要約】【目的】本発明は電波シール装置に関するもので、電
波漏洩の防止に優れ、簡単で作りやすく、かつドア厚み
を薄くすることを目的としたものである。【構成】本体１とドア２の少なくとも一方が単独で溝
６を有し、溝６を構成する第一の導体壁面７と、一定ピ
ッチの導体片板１０からなる第二の導体壁面９との間で
マイクロストリップ線路を構成することにより、一定な
向きで並ぶ導体片板１０を実現でき、簡単で厚みの薄い
ドアを構成する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は高周波電波を遮断する電
波シール装置に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】従来の電波シール装置として、例えば高
周波により食品を加熱して調理する電子レンジを例に挙
げて説明する。電子レンジは外観上図１のようなもので
あり、食品を収納して高周波加熱する加熱室本体１と、
この加熱室１の食品出し入れ用の開口部を開閉自在に覆
うドア２とを備えたものであり、加熱室１内の高周波電
磁波が加熱室１外へ漏洩して人体に弊害を及ぼさないよ
うに電波シール対策が施されている。

【０００３】従来の電波シールの第一の方法としては、
図１Ａ−Ａ’間を矢印の方向から見て導体部だけを示す
と図８に示すようなインピーダンス反転を利用する方法
があった。図８（ａ）のようにドア２側の溝の深さＡ−
Ｂ間の長さを加熱室１内の電波の４分の１波長分の長さ
として、電波を減衰させるのである。すなわち溝内部６
（チョーク部とも呼ぶ）の特性インピーダンスをＺ０，
深さをＬとし、終端部を短絡したときにチョーク部開口
部ＢでのインピーダンスＺｉｎは、下記の（数１）とな
る。チョーク方式の電波減衰手段は、チョーク部６の深
さＬを４分の１波長に選定することにより、（数２）を
達成するという原理に基づいている。よって図８（ａ）
をα側から見た図８（ｂ）において、開放端の先端部１
２に破線で示したようにインピーダンス無限大の領域が
発生し電波が外部に出られなくなるのである。もしチョ
ーク部６内に誘電体（比誘電率εｒ）を充填すると、電
波の波長λ’は、（数３）に圧縮される。この場合チョ
ーク部６の深さＬ’は、（数４）と短くなる。しかしな
がらＬ’がλ’の４分の１であることに変わりはなく、
チョーク方式においては、深さを実質的に４分の１波長
よりも小さくすることができず、チョーク部の小型化
（すなわちドアを薄くすること）に限界のあるものであ
った。

【０００４】

【数１】

【０００５】

【数２】

【０００６】

【数３】

【０００７】

【数４】

【０００８】電子レンジの軽量化にともないドアを薄く
する試みとして生まれてきた電波シールの第二の方法と
しては図９に示すような方法があった。（ａ）図では加
熱室本体とドアの導体部の構成を示し、（ｂ）図は
（ａ）図のドア部をα側から見た構成である。チョーク
構造が複雑ではあるが電波を減衰させることができ、４
分の１波長以下の深さが実現できるものであった（詳し
くは特公昭６２−５９４３８号参照）。

【０００９】またマイクロストリップ線路技術を電波シ
ール装置に応用する例も過去にあった。これは本体もし
くはドアの片方をグランド面、他方を信号線路と考えて
いるため、前述のインピーダンス反転の理論を満たさな
い（すなわちショート面を確保できないためインピーダ
ンス∞を作ることができない）物であり、電子レンジ等
にはとても利用できないものであった（詳しくは特開昭
５８−９４００号参照）。

【００１０】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら上記従来
の構成では、簡単で作りやすい構成でかつドアを薄くす
るということは実現できていなかった。例えば電波シー
ルの第二の方法の例として、図９に示すような電波シー
ル対策を施しており、ドアは薄いが、製造上一つの導体
部（例えば板金）の折りまげだけでは作れず、ドア側の
導体部４は第一のドア導体１５と第二のドア導体１６と
をスポット点１７でスポット溶接して作るなどの複雑な
構成となっており、作りづらく工数および材料費の面で
高価格となる課題があった。また、スポット溶接のやり
方によってはばらつきが生じ電波の漏洩を抑え切れない
場合や、抑えるにしても管理項目が多くなるなど種種の
問題を有していた。

【００１１】本発明は上記課題を解決するもので、ドア
を薄くしながら簡単な構成で、電波の外部への漏洩を抑
制し、安全な電波シール性能を提供することを目的とし
たものである。

【００１２】

【課題を解決するための手段】本発明の電波シール装置
は上記目的を達成するため、開口部を有し電波が内部に
供給される本体を設け、前記本体の前記開口部を開閉自
在に覆うドアを設け、前記本体および前記ドアは導体部
を有し、前記本体の導体部と前記ドアの導体部の間に直
接の電気的接触無しに外部への電波の漏洩を減少させる
装置において、前記本体と前記ドアの対向する導体部の
少なくとも一方は少なくとも一つの溝を設け、前記溝を
形成する第一の導体壁面および溝底面は連続的な導電性
部材からなり、前記溝を形成する第二の導体壁面は開放
端から切り込み部を設けて溝の長手方向に一定ピッチの
溝体片板が複数個並ぶ構成であり、かつ前記各導体片板
は各々前記溝底面と電気的に接触し、前記各導体片板は
前記第一の導体壁面との間にマイクロストリップ線路を
構成するもので左右非対称に形成され、前記溝は前記ド
アの外側を一周するように連続的に設けられた構成であ
り、前記各導体片板の向きは前記溝を一周する際にすべ
て同方向に並んだ構成としている。

【００１３】

【作用】本発明は上記構成によって、導体片板と第一の
導体壁面の間で、溝内の媒質（空気）を基板材料と考え
マイクロストリップ線路とみなすことにより、導体片板
の形状を第一の導体壁面と平行な関係に保ち、導体片板
の向きは前記溝を一周する方向ですべて同方向に並べさ
えすれば自由に選ぶことができ、従来の方法に縛られな
いインピーダンス反転が実現できる。すなわち深さ方向
と溝の長手方向の合成長で４分の１波長を稼げばよいこ
とになり、深さ自身は４分の１波長より短くすることが
できる作用を有する。

【００１４】

【実施例】以下本発明を電子レンジのドアシールに応用
した場合の実施例を図を参照して説明する。

【００１５】図１において、１は電子レンジ本体であ
り、２は食品を出し入れする開閉自在のドアである。外
観上は従来の電子レンジと全く同じである。図中Ａ−
Ａ’間を矢印方向に見た場合の断面図を図２に示す。

【００１６】図２（ａ）より電子レンジ本体の導体部３
とドアの導体部４が加熱室内空間５をふさぐ形になって
いる。ドアの導体部４は一つの導体（板金）を折りまげ
るだけで作られており、溝（チョーク部）６を構成する
のは第一の導体壁面７と溝底面８と第二の導体壁面９で
ある。また図２（ａ）をα側から見た図２（ｂ）におい
て、導体壁面９は開放端から切り込みが入り、溝の長手
方向に一定ピッチの導体片板１０が複数個並ぶ構成であ
り、導体壁面７がグランドラインで導体片板１０が信号
ラインと考えると、各導体片板１０と第一の導体壁面７
の間でマイクロストリップ線路を形成していると考える
ことができる。ここで溝の深さ１１は導体片板１０の形
状によって決まるが、これはドア自身の厚みを決定する
もっとも重要な要因である。本実施例の場合、導体片板
１０は途中から右方向に曲がっており、溝の深さ１１を
４分の１波長以下の深さにしている。そのため加熱室外
へ漏れようとする電波にとってのインピーダンス無限大
の領域は、図７の従来例とは少し異なった位置（開放端
の先端部１２）に現れる。このとき導体片板の曲がる向
きは、インピーダンス∞が一定間隔で現れるよう右側で
統一されている。

【００１７】図３では導体片板の向きについて説明を加
える。電子レンジのドアでは四隅で導体片板が直角に向
きを変えるが、インピーダンス∞が一定間隔で現れるよ
う矢印のように進行方向に対して同じ向きで連続するよ
うな並びとしている。

【００１８】図４では導体片板の構成についてもう少し
説明を加える。インピーダンス無限大の領域を作るため
にマイクロストリップ線路の実行長を４分の１波長にす
る必要があるが、線路幅Ｈの信号ラインについては、セ
ンター長のトータルが実際の長さと考えられるので、縦
方向の長さ（溝の深さ）ｌ₁ と横方向の長さｌ₂を用い
ると、下記（数５）を満たすように選ばなければならな
い。

【００１９】

【数５】

【００２０】但し縦方向から横方向に変わる折りまげの
部分に関しては図３のように斜めにカットするほうが上
式が成り立つ事が実験的にわかっている。

【００２１】更に付け加えて、ピッチ間隔Ｐについても
おおよそ４分の１波長を選んでいる。

【００２２】電子レンジの場合、発振周波数が約２４５
０ＭHzであり、波長がおよそ１２０mmとなる事を考えて
計算してみると、Ｈ＝５mm，ｌ₂＝２０mm，Ｓ＝１０mm
とすればｌ₁≒１５mmとなり、従来の３０mmからすれば
２分の１の深さにすることができる。

【００２３】実際に形状を変化させた場合のドア部から
の電波の漏洩電力の特性を図５に示す。溝の横方向の長
さｌ₂をパラメータとして極小値を与える溝の深さｌ₁
があることがわかる。長さｌ₂が大きいときはａのよう
に極小値を与える深さｌ₁を小さくする事ができ、横方
向の長さｌ₂が小さいときはｂのように極小値を与える
深さｌ₁が大きくなることが分かる。

【００２４】続いて図６にマイクロストリップ線路を用
いた場合のインピーダンスと電波漏洩の特性を示す。
（ａ）のように（数１）、（数２）の通り、横軸に信号
線路の実行長（本発明では（数５）の長さ）をとると、
さまざまなインピーダンスを発生でき、実際に電波の通
過のしやすさという点から絶対値に置き換えると（ｂ）
のようになる。（ｂ）はすなわち電波の通りにくさを示
すものであり、逆に漏洩する電力はというと図４で示し
たのと同様に（ｃ）のような特性が得られる。

【００２５】また実際のドア構成の場合には図７のよう
に、ドアの導体部４を裸のままにするのではなく、樹脂
１３、１４などでカバーする場合が多い。

【００２６】

【発明の効果】以上説明したように本発明の電波シール
装置には以下の効果がある。（１）スポット溶接の必要がなくインピーダンス∞の位
置を一定間隔で（コーナ部でさえ）容易に作り出せるの
で、シール構造にばらつきが生じにくく電波漏洩の抑制
に関し極めて安定な性能を実現できる。（２）導体部は板金の打ち抜きで作ったものを金型で一
回で曲げる構成にできるため、簡単で作りやすく低価格
で実現できる。（３）マイクロストリップ線路技術の考え方に基づくの
で導体片板の形状が自由に選べるため、簡単な構成でド
ア部の厚みを薄くでき、小型軽量化が図れる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の一実施例における電子レンジの構成図

【図２】上記電子レンジの本体およびドア部の導体部の
要部構成図

【図３】上記電子レンジドア部の導体部の要部（コーナ
ー部）構成図

【図４】上記電子レンジの導体片板の構成図

【図５】導体片板の深さによる漏洩電力の特性図

【図６】マイクロストリップ理論に基づくインピーダン
ス反転の特性図

【図７】上記電子レンジの本体およびドア部の導体部と
樹脂部の要部構成図

【図８】従来の電子レンジの本体およびドア部の導体部
の要部構成図

【図９】従来の他の電子レンジの本体およびドア部の導
体部の要部構成図

【符号の説明】

１電子レンジ本体２ドア４ドアの導体部６溝（チョーク部）７第一の導体壁面８溝底面９第二の導体壁面１０導体片板

Claims

【特許請求の範囲】【請求項１】開口部を有し電波が内部に供給される本
体を設け、前記本体の前記開口部を開閉自在に覆うドア
を設け、前記本体および前記ドアは導体部を有し、前記
本体の導体部と前記ドアの導体部の間に直接の電気的接
触無しに外部への電波の漏洩を減少させる電波シール装
置において、前記本体と前記ドアの対向する導体部の少
なくとも一方は少なくとも一つの溝を設け、前記溝を形
成する第一の導体壁面および溝底面は連続的な導電性部
材からなり、前記溝を形成する第二の導体壁面は開放端
から切り込み部を設けて溝の長手方向に一定ピッチの導
体片板が複数個並ぶ構成であり、かつ前記各導体片板は
各々前記溝底面と電気的に接触し、前記各導体片板は前
記第一の導体壁面との間にマイクロストリップ線路を構
成するもので左右非対称に形成され、前記溝は前記ドア
の外側を一周するように連続的に設けられた構成であ
り、前記各導体片板の向きは前記溝を一周する際にすべ
て同方向に並んだ構成の電波シール装置。