JPH05127373A - 平版印刷用感光性樹脂組成物 - Google Patents

平版印刷用感光性樹脂組成物

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JPH05127373A
JPH05127373A JP28749391A JP28749391A JPH05127373A JP H05127373 A JPH05127373 A JP H05127373A JP 28749391 A JP28749391 A JP 28749391A JP 28749391 A JP28749391 A JP 28749391A JP H05127373 A JPH05127373 A JP H05127373A
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JP
Japan
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resin
photosensitive
diazo
acid
diazo resin
Prior art date
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Pending
Application number
JP28749391A
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English (en)
Inventor
Kazunori Kanda
和典 神田
Osamu Nanba
修 難波
Ramu Edowaado
エドワード・ラム
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Nippon Paint Co Ltd
Original Assignee
Nippon Paint Co Ltd
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Publication date
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  • Photosensitive Polymer And Photoresist Processing (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【構成】 分子内にアニオン基を有する増感染料をジア
ゾニウム基の対アニオンとして含有する、感光性ジアゾ
樹脂含有平版印刷用感光性樹脂組成物。 【効果】 分子内にアニオン基を有する増感染料をジア
ゾニウム基の対アニオンとして含有させることにより、
高感度であり、しかも、約400〜約600nmの波長光に対し
ても感度を有しており、樹脂自体の安定性が良くかつ有
機溶剤に対する溶解範囲が広い平版印刷用ジアゾ樹脂お
よびジアゾ樹脂含有樹脂組成物が提供された。また、そ
のことにより、従来感光しなかった400nm以上の照射光
でも露光でき良好な画像形成性、保存安定性および現像
性を有し、耐刷性に優れる印刷版が提供可能となった。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、平版印刷用感光性樹脂
組成物に関する。特に、ネガ型版材用感光性ジアゾ樹脂
組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】平版印刷用感光板は、一般に、アルミニ
ウム板のような支持体上に、感光性樹脂と溶剤溶解性バ
インダー樹脂とを主成分とする感光性樹脂組成物層が形
成された版材である。このような版材をネガティブのよ
うな写真画像を通して露光し、感光性樹脂組成物層の露
光されてない部分を現像液で溶出することにより除去
し、露光された不溶化部分を画線部として残すことによ
り、平版印刷版が得られる。
【0003】平版印刷用版材は、製版工程が短いばかり
でなく、製版操作が容易なので、オフセット印刷用版材
として広範に用いられている。したがって、良好な画像
形成性、保存安定性および現像性を有し、耐刷性に優れ
る印刷版を提供可能であり、しかも安価な平版印刷用版
材または感光性樹脂組成物に対する要求は非常に大き
い。
【0004】このような優れた性能を有する平版印刷用
感光板および感光性樹脂組成物を作製するために用いら
れる感光性樹脂には、一般に、以下に示すような特性が
要求される。
【0005】(1)高感度、すなわち、種々の活性エネル
ギー線に対して感度が高く、露光量が少なくても画像が
形成できること。
【0006】(2)安定性、すなわち、室温、または高温
高湿条件で長期間保存しても分解や架橋等の反応が生じ
ないこと。
【0007】(3)溶剤溶解性、すなわち、DMFおよびメ
チルセロソルブのような有害溶剤を含有しない現像液に
対する良好な溶解性を有すること。
【0008】ジアゾ樹脂はこのような特性を比較的良く
満足するので平版印刷用感光板用感光性樹脂として広く
使用されている。ジアゾ樹脂は、ジアゾニウム塩を有す
る樹脂である。現在では、主に、p-ジアゾジフェニルア
ミンとホルムアルデヒドとの重縮合反応生成物に無機ま
たは有機カップリング剤を反応させて得られる樹脂が平
版印刷用感光板用感光性樹脂として用いられている。
【0009】従来からジアゾ樹脂の印刷特性、特に、感
度、安定性および溶剤溶解性をさらに改良するために、
種々の試みがなされてきた。
【0010】ジアゾ樹脂の高感度化の試みとしては、例
えば、特開昭54-30121号公報には、主鎖がポリエステル
であるジアゾニウム化合物が記載されている。しかしな
がら、このようなジアゾニウム化合物からジアゾ樹脂を
調製するためにはトリフルオロ酢酸のような毒性化合物
を溶剤として使用する必要があり、高温で長時間の反応
工程を必要とする。したがって、このような方法は実用
性に乏しい。
【0011】特開昭58-062641号公報には、アセチルア
ミノアニリン等からプレポリマーを合成し、このプレポ
リマーをジアゾ化することによりジアゾ樹脂を調製する
方法が記載されている。また、特開昭58-187925号公報
には、ジアゾニウム化合物とビニルエステル化合物との
反応によるジアゾ樹脂の合成が記載されている。しかし
ながら、これらの方法は合成工程が多く煩雑であり、実
用性に乏しい。また、このようなジアゾ樹脂は溶剤溶解
性に劣るので、得られる感光板の現像性が不良である。
【0012】特開昭61-273538号公報には、水酸基を有
するジアゾニウム化合物をエステル化し、カルボン酸含
有化合物に結合させ、その後、スチレン/無水マレイン
酸共重合体と室温で3時間エステル化することにより得
られるジアゾ樹脂が記載されている。しかしながら、感
度の改良が充分ではないので、得られる感光板の画像形
成性が不良である。
【0013】これらの従来のジアゾ樹脂は、一般に、約
220〜約400nmの波長の光に対して高い感光性を示すが、
約400nm以上の波長を有する可視光に対する感光性は充
分でない。したがって、露光の際に可視光を用いた場合
には照射光の一部しか利用しない結果となり、充分な感
度は得られない。
【0014】ジアゾ樹脂の安定性改善のためには、水溶
性ジアゾ樹脂と無機化合物とをカップリングさせること
により、ジアゾ樹脂の非水溶性と親油性を向上させる試
みが行われてきた。特開昭47-1167号公報では、水溶性
ジアゾ樹脂と酸性芳香族化合物とのカップリング、また
は水溶性ジアゾ樹脂とフェノール性水酸基含有芳香族化
合物とのカップリングが記載されている。しかしなが
ら、これらの方法により得られる樹脂は、グリコール、
エーテル、アルコールおよびケトンへの溶解性に劣るの
で、感光板の現像性が不良となる。さらに、ここで用い
られる長鎖アルキル基を有するスルホン酸又はスルホン
酸塩は合成時にガム状に析出するので製造が困難であ
る。
【0015】非水溶性、有機溶剤可溶性の対アニオンの
使用も試みられている。特開昭54-98613号公報では、BF
4およびPF6のようなハロゲン化ルイス酸が用いられてお
り、特開昭56-121031号公報では、過ハロゲン酸、過塩
素酸および過ヨウ素酸が用いられている。しかしなが
ら、これらの方法により得られる樹脂は溶剤溶解性が十
分でない。したがって、感光板の現像性が不良となり、
現像後も非画線部にジアゾ樹脂が残存し、印刷時に汚れ
が生じる。
【0016】特開昭59-38746号公報には、有機カップリ
ング剤と無機カップリング剤とを併用する試みが記載さ
れている。しかしながら、これらの方法により得られる
樹脂は、アルカリ性の現像液に対する溶解性が極めて悪
い。したがって、感光板の現像性が不良となり、現像後
も非画線部にジアゾ樹脂が残存し、印刷時に汚れが生じ
る。
【0017】また、特開昭62-175731号公報には基本ユ
ニットの個数が2.5以上の二種類の有機スルホン酸の組
合せが記載されており、特開昭60-97350号公報には対ア
ニオンとしてのスルホポリエステルの使用が記載されて
いる。このような方法によれば、得られるジアゾ樹脂の
安定性は向上するけれども、ジアゾ樹脂の反応性が低下
するので、画像形成性が実質的に不十分となる。
【0018】ジアゾ樹脂の溶剤溶解性改善のための従来
の試みとしては、例えば、特開平1-102456号公報には
フェノール性水酸基を有する芳香族化合物と芳香族ジア
ゾニウム化合物との共縮合物が記載されている。特開平
1-102457号公報にはカルボキシル基および水酸基のう
ちの少なくとも一方を有する芳香族化合物と芳香族ジア
ゾニウム化合物との共縮合物が記載されている。また、
特開平1-245246号公報にはスルホン酸基、スルフィン
酸基およびそれらの塩含有フェニレン、ナフチレンを有
する芳香族化合物と芳香族ジアゾニウム化合物との共縮
合物が記載されている。しかしながら、これらの樹脂組
成物を用いると、得られる印刷版の耐久性が不充分とな
る。
【0019】
【発明が解決しようとする課題】本発明は上記従来の問
題を解決するものであり、その目的とするところは、高
感度、特に、約400〜約600nmの波長を有する照射光に対
する感光性も良好であり、安定性が良く、溶剤に対する
溶解範囲が広いジアゾ樹脂含有平版印刷用感光性樹脂組
成物を提供することにある。
【0020】
【課題を解決するための手段】本発明は、分子内にアニ
オン基を有する増感染料をジアゾニウム基の対アニオン
として含有する、感光性ジアゾ樹脂含有平版印刷用感光
性樹脂組成物を提供し、そのことにより、上記目的が達
成される。
【0021】本発明の感光性樹脂組成物に用い得る感光
性ジアゾ樹脂は、当業者に周知のジアゾニウム基含有樹
脂のジアゾニウム基の対アニオンとして、アニオン基含
有する増感染料を用いたものである。
【0022】芳香族ジアゾニウム化合物は特に限定され
ないが、必要に応じてアニオン基、水酸基、アミノ基お
よび/または4級アンモニウム基をも有するフェニルも
しくはナフタレン誘導体が好ましく、例えば、4-ジアゾ
-4'-メトキシジフェニルアミン6フッ化リン酸塩、4-ジ
アゾ-4'-メトキシジフェニルアミン硫酸水素塩、4-ジア
ゾ-4'-エトキシジフェニルアミン6フッ化リン酸塩、4-
ジアゾ-4'-プロポキシジフェニルアミン4フッ化ホウ酸
塩、4-ジアゾ-3-メトキシジフェニルアミン6フッ化リ
ン酸塩、4-ジアゾ-3-メトキシジフェニルアミン4フッ
化ホウ酸塩、4-ジアゾ-ジフェニルアミン6フッ化リン
酸塩および4-ジアゾジフェニルアミン硫酸水素塩等が挙
げられる。特に好ましい芳香族ジアゾニウム化合物とし
ては、4-ジアゾ-4'-メトキシジフェニルアミン、4-ジア
ゾ-4'-エトキシジフェニルアミンおよび4-ジアゾ-3-メ
トキシジフェニルアミンおよび4-ジアゾ-ジフェニルア
ミンのアミンと硫酸水素との塩が挙げられる。
【0023】重縮合反応架橋剤として用い得る活性カル
ボニル化合物としては、例えば、パラホルムアルデヒ
ド、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、ブチルアル
デヒド、ベンズアルデヒドのようなアルデヒド;アセト
ン、アセトフェノンのようなケトン;ビニル化合物;ビ
ニルエステル化合物;ビニルエーテル化合物;およびそ
れらの硫黄誘導体が挙げられる。
【0024】ジアゾ樹脂を調製するための反応は当業者
に周知である。例えば、フォトグラフィック・サイエン
ス・アンド・エンジニアリング(Photo.Sci. Eng.)第17
巻、第33頁(1973年)、または英国特許第1312725号に記
載の方法に従って行われる。
【0025】その場合は、芳香族ジアゾニウム化合物
と、活性カルボニル化合物とを、硫酸、リン酸、塩酸ま
たはメタンスルホン酸中で常圧下5〜70℃で30分〜72時
間重縮合反応させることにより、ジアゾ樹脂が得られ
る。
【0026】得られるジアゾ樹脂の分子量は、芳香族ジ
アゾニウム化合物のモル数と添加する活性カルボニル化
合物のモル数との割合、反応温度および反応時間に依存
して変化する。通常は、芳香族ジアゾニウム化合物/活
性カルボニル化合物=0.6〜1.5/1、好ましくは0.7〜1.4
/1で行われる。このようにして得られるジアゾ樹脂の
重量平均分子量は400〜50,000、好ましくは600〜20,00
0、更に好ましくは800〜5,500の範囲である。
【0027】本発明の感光性樹脂組成物に用い得る増感
染料は、スルホン酸基、カルボキシル基およびリン酸
基、またはこれらの塩のようなアニオン基を分子内に少
なくとも1個有する染料である。この増感染料は分子内
にカチオンを有していてもよい。この増感染料は酸性染
料であることが好ましい。塩基性染料はジアゾ基と反応
して塩交換しないので好ましくない。
【0028】本発明の感光性樹脂組成物に用い得る染料
または増感染料の具体例を以下に列挙する。
【0029】C.I.・アシッド・イエロー1、7、11、1
7、23、25、29、36、38、40、42、44、49、59、61、7
0、72、75、76、78、79、98、99、110、111、112、11
4、116、118、119、127、128、131、135、141、142、16
1、162、163、164および165;C.I.・アシッド・グリー
ン3、7、9、12、16、19、20、25、27、28、35、36、
40、41、43、44、56、57、60、61、65、73、75、76、78
および79;C.I.・ダイレクト・ブルー86および123;C.
I.・アシッド・ブルー1、7、9、15、22、23、25、2
7、29、40、41、43、45、54、59、60、62、72、74、7
8、80、82、83、90、92、93、100、102、103、104、11
2、113、117、120、126、127、129、130、131、138、14
0、142、143、151、154、158、161、166、167、168、17
0、171、175、182、183、184、187、192、199、203、20
4、205、229、234および236;C.I.・アシッド・オレン
ジ1、7、8、10、19、20、24、28、33、41、43、45、
51、56、63、64、65、67、74、80、82、85、86、87、8
8、95、122、123および124;C.I.・ダイレクト・オレン
ジ1;C.I.・アシッド・レッド1、6、8、9、13、1
4、18、26、27、32、35、37、42、51、52、57、75、7
7、80、82、83、85、87、88、89、92、94、97、106、11
1、114、115、117、118、119、129、130、131、133、13
4、138、143、145、154、155、158、168、180、183、18
4、186、194、198、199、209、211、215、216、217、21
9、249、252、254、256、257、262、265、256、274、27
6、282、283、303、317、318、320、321および322;C.
I.・アシッド・バイオレット7、11、15、31、34、35、
41、43、47、48、49、51、54、66、68、75、78、97およ
び106;C.I.・ダイレクト・バイオレット63;C.I.・ア
シッド・ブラウン2、4、13、14、19、20、27、28、3
0、31、39、44、45、46、48、53、92、100、101、103、
104、106、160、161、165、188、224、225、226、231、
232、236、247、256、257、266、268、276、277、282、
281、294、295、296、297、299、300、301および302;
およびC.I.・アシッド・ブラック1、2、7、24、26、
29、31、44、48、50、51、52、58、60、62、63、64、6
7、72、76、77、94、107、108、109、110、112、115、1
18、119、121、122、131、132、139、140、155、156、1
57、158、159および191が挙げられる。
【0030】本発明に用い得る強い増感性を有する染料
には、シアニン色素、ヘミシアニン色素およびスチリル
色素のようなアミジニウム系色素、キサンテン色素およ
びオキソノール色素のようなカルボキシルイオン系色
素、およびメロシアニン色素のような双極アミド系色素
などが挙げられる。
【0031】このような強い増感性を有する染料の代表
例には、例えば、エリスロシン、エオシンY、ローズベ
ンガル、フルオレッセイン、ウラニン、スルホローダミ
ン、ソルビライズドバットブルー1、ソルビライズドバ
ットブルー5、ソルビライズドバットブルー41、ソルビ
ライズドバットブラック1、ソルビライズドバットレッ
ド1、アシッドレッド87、アシッドレッド88、アシッド
ブルー1、アシッドブルー74、アシッドイエロー73、フ
ードブルー1およびダイレクトブルー1などが挙げられ
る。
【0032】特に好ましい増感染料には、エリスロシ
ン、エオシンY、ローズベンガル、フルオレッセイン、
ウラニンおよびスルホローダミンが挙げられる。
【0033】このような染料を上述のようにして調製し
たジアゾ樹脂中に添加することにより対アニオンの交換
反応が生じる。その結果、ジアゾニウム基の対アニオン
として増感染料を含有する本発明のジアゾ樹脂が析出す
る。染料の添加量は、用いる染料の種類およびジアゾ樹
脂のジアゾ基当量に依存して変化する。一般に、ジアゾ
樹脂のジアゾ基と増感染料のアニオン基とをモル濃度で
表したとき100/2〜120、好ましくは100/20〜100の範
囲で用いられる。
【0034】本発明のジアゾ樹脂には、上記増感染料と
組み合せて種々の化合物が対アニオンとして用いられ
る。このような対アニオンとして得る化合物には有機
酸、有機酸塩および無機酸などが包含される。
【0035】対アニオンとして用い得る有機酸および有
機酸塩の例としては、以下のi)に挙げる骨格とii)に挙
げる酸基とを有する化合物が挙げられる。 i)ベンゼン、トルエン、ナフタリンおよびベンゾフェノ
ンのような芳香族骨格、および日本国特許第5700542号
に記載のポリマーおよびスルホン化ポリマーのような脂
肪族骨格。ii)カルボン酸、デカン酸、ホスホン酸、ホ
スフィン酸、フェニルリン酸およびスルホン酸。
【0036】具体的には、パラトルエンスルホン酸、メ
シチレンスルホン酸、ナフタレンスルホン酸およびドデ
シルベンゼンスルホン酸、およびそれらのナトリウム塩
およびカリウム塩のような有機酸および有機酸塩が挙げ
られる。
【0037】対アニオンとして用い得る無機酸の例とし
ては、PF6およびBF4のようなハロゲン化ルイス酸、およ
びClO4およびIO4のような過ハロゲン酸が挙げられる。
【0038】また、フェノール酸のような水酸基含有芳
香族化合物およびカルボキシル基または酸無水物基を有
するポリマーも対アニオンとして用い得る。
【0039】望ましい対アニオンとしては、p-トルエン
スルホン酸、メシチレンスルホン酸、ドデシルベンゼン
スルホン酸、2-メトキシ-4-ヒドロキシベンゾフェノン-
5-スルホン酸、PF6およびBF4などが挙げられる。
【0040】このようなアニオン基含有染料以外の対ア
ニオンを併用する場合は、ジアゾ樹脂に、まず、アニオ
ン基含有染料を添加した後にその他の対アニオンを添加
してアニオン交換を行ってもよく、両方のアニオン化合
物を同時に添加してアニオン交換を行ってもよい。アニ
オン基含有染料とその他の対アニオンとの使用量の割合
はモル濃度で100〜2/0〜98の範囲であることが好まし
い。
【0041】本発明のジアゾ樹脂は単独でも、光照射に
よって重合反応することにより高分子化し、画像形成可
能である。しかしながら、コスト、膜物性および作業性
などを考慮すると、印刷版のマトリックスを形成するバ
インダー樹脂と組み合せて、感光性樹脂組成物として用
いることが好ましい。このようなバインダー樹脂は良好
な溶剤溶解性を有する樹脂であれば特に限定されず、ジ
アゾ樹脂との反応性を有していても良い。例えば、PVA
のような水溶性樹脂を含有させることにより、水現像性
感光性樹脂組成物が調製される。
【0042】本発明の感光性樹脂組成物に用い得るバイ
ンダー樹脂としては、例えば、アクリル樹脂、ポリエス
テル樹脂、アルキッド樹脂、フェノール樹脂、エポキシ
樹脂、ポリビニル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエーテ
ル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリウレタン樹脂などおよび
これらの変性樹脂が挙げられる。水またはアルカリ水溶
液に対して溶解、分散性を有する樹脂が好ましく、アル
カリ水溶液可溶性アクリル樹脂およびフェノール樹脂が
特に好ましい。このようなバインダー樹脂を2種以上組
み合せて使用してもよい。
【0043】好ましいアルカリ水溶液可溶性アクリル樹
脂には、例えば酸価10〜150、水酸基価0〜250、分子量
2,000〜50万のアクリル樹脂が挙げられる。更に好まし
くは、酸価10〜40、水酸基価40〜200、分子量5,000〜4
0,000のアクリル樹脂である。樹脂自体が感光性基を含
んでいてもよい。
【0044】これらのアクリル樹脂は、塗料工業におい
て通常使用されているアクリル重合体である。また、こ
のようなアクリル樹脂はアクリル酸またはメタクリル酸
のエステルモノマーを単独重合させるか、またはこれら
と他のエチレン性不飽和単量体とを共重合させることに
より得られる。このような重合操作は当業者に周知の方
法で行われる。好ましい例としては、特願平3-20919号
には、重合に用い得る重合開始剤、溶媒および反応条件
が記載されている。
【0045】好ましいアクリル樹脂を調製するために使
用し得るモノマーを以下に列挙する。
【0046】(I)酸性基含有単量体:例えばアクリル酸,
メタクリル酸、クロトン酸イタコン酸、マレイン酸、無
水マレイン酸、フマル酸、ビニルスルホン酸ソーダ、ス
チレン-p-スルホン酸ソーダ、2-アクリルアミド-2-メチ
ルプロパンスルホン酸、2-アミドホスホキシエチルメタ
クリレート;
【0047】(II)ヒドロキシル基含有単量体:例えば2-
ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシプロピルア
クリレート、2-ヒドロキシエチルメタクリレート、ヒド
ロキシプロピルメタクリレート、ヒドロキシブチルアク
リレート、ヒドロキシブチルメタクリレート、アリルア
ルコール、メタアリルアルコール、N-(4-ヒドロキシフ
ェニル)アクリルアミドまたはN-(4-ヒドロキシフェニ
ル)メタクリルアミド、o-、m-、p-ヒドロキシスチレ
ン、o-、m-、p-ヒドロキシフェニル-アクリレートまた
は-メタクリレート;
【0048】(III)アルキルアクリレートもしくはメタ
クリレート:例えばメチル(メタ)アクリレート、エチル
(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、プ
ロピル(メタ)アクリレート、アシル(メタ)アクリレー
ト、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、オクチルアク
リレート、2-クロロエチルアクリレート;
【0049】(IV)重合性アミド:例えばアクリルアミ
ド、メタクリルアミド、N-メチロールアクリルアミド、
N-メチロールメタクリアミド、N-エチルアクリルアミ
ド、N-ヘキシルアクリルアミド、N-シクロヘキシルアク
リルアミド、N-ヒドロキシエチルアクリルアミド、N-フ
ェニルアクリルアミド、N-ニトロフェニルアミド、N-エ
チル-N-フェニルアクリルアミド等のアクリルアミドも
しくはメタクリルアミド類;
【0050】(V)含窒素アルキルアクリレートもしくは
メタクリレート:例えばジメチルアミノエチルアクリレ
ート、ジメチルアミノエチルメタクリレート;
【0051】(VI)ビニルエーテル類:例えばエチルビニ
ルエーテル、2-クロロエチルビニルエーテル、ヒドロキ
シエチルビニルエーテル、プロピルビニルエーテル、ブ
チルビニルエーテル、オクチルビニルエーテル、フェニ
ルビニルエーテル;
【0052】(VII)ビニルエステル類:例えばビニルアセ
テート、ビニルクロロアセテート、ビニルブチレート、
安息香酸ビニル;
【0053】(VIII)スチレン類:例えばスチレン、α-メ
チルスチレン、メチルスチレン、クロロメチルスチレ
ン;
【0054】(IX)ビニルケトン類:例えばメチルビニル
ケトン、エチルビニルケトン、プロピルビニルケトン、
フェニルビニルケトン;
【0055】(X)オレフィン類:例えばエチレン、プロピ
レン、イソブチレン、ブタジエン、イソプレン;
【0056】(XI)グリシジル(メタ)アクリレート;
【0057】(XII)重合性ニトリル:例えばアクリロニト
リル、メタクリロニトリル;
【0058】(XIII)N-ビニルピロリドン、N-ビニルカル
バゾール、4-ビニルピリジン;
【0059】(XIV)両性イオン性単量体:N,N-ジメチル-N
-メタクリルオキシエチル-N-(3-スルホプロピル)-アン
モニウム-ベタイン、N,N-ジメチル-N-メタクリルアミド
プロピル-N-(3-スルホプロピル)-アンモニウム-ベタイ
ン、1-(3-スルホプロピル)-2-ビニルピリジニウム-ベタ
イン;
【0060】(XV)上述のモノマーと化学反応する官能基
を有する化合物を反応させて得た化合物:例えばヒドロ
キシル基含有単量体(II)とイソシアネート化合物との反
応生成モノマーや、カルボキシル基含有単量体(I)とグ
リシジル基含有化合物との反応生成モノマーなど。
【0061】本発明において、ジアゾ樹脂と配合するの
に好ましい他のバインダー樹脂にはアルカリ可溶性ノボ
ラック樹脂が包含される。具体的には、フェノールホル
ムアルデヒド樹脂、クレゾールホルムアルデヒド樹脂、
p-t-ブチルフェノールホルムアルデヒド樹脂、フェノー
ル変性キシレン樹脂、フェノール変性キシレンメシチレ
ン樹脂などが挙られる。その他の有用なアルカリ可溶性
樹脂には、ポリヒドロキシスチレン、ポリハロゲン化ヒ
ドロキシスチレン、(メタ)アクリル酸と他のビニル化合
物(例えばメチルメタクリレート)とのコポリマー等も挙
げられる。更に、必要に応じて、ポリビニルブチラール
樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリスチレ
ン-マレイン酸樹脂、エポキシ樹脂、天然樹脂およびそ
れらの変性樹脂や水溶化変性樹脂が用いられる。
【0062】本発明の感光性組成物は、このようなバイ
ンダー樹脂と本発明のジアゾ樹脂とを、バインダー樹脂
100重量部に対してジアゾ樹脂5〜30重量部、好ましく
は6〜15重量部の量で配合することにより調製される。
ジアゾ樹脂含有量が5重量部を下回ると得られる感光板
の画像形成性および印刷版の耐久性が低下する。ジアゾ
樹脂含有量が30重量部を上回ると感光性組成物の感度お
よび感光板の現像性が低下する。
【0063】本発明の感光性樹脂組成物には、さらに他
の染料、顔料のような画像着色剤が含有される。画像着
色剤は、印刷版の検版性や取り扱い容易性のために配合
され、塩基性染料及び油溶性染料が好ましい。具体的に
は、ビクトリア・ピュア・ブルー・BOH、ビクトリア・
ブルー・BH、メチル・バイオレット、アイゼン・マカラ
イト・グリーン(以上、保土谷化学工業製)、パテント・
ピュア・ブルー・VX、ローダミン・B、メチレン・ブル
ー(以上、住友化学工業製)等の塩基性染料、並びにスー
ダン・ブルー・II、ビクトリア・ブルー・F4R(以上、
B.A.S.F.製)、オイル・ブルー・#603、オイル・ブルー
・BOS、オイル・ブルー・IIN(以上、オリエント化学工
業製)のような油溶性染料が挙げられる。
【0064】これらの着色材料は、バインダー樹脂100
重量部に対して0.1〜5重量部、好ましくは0.2〜4重量
部の量で本発明の感光性組成物中に含有される。着色材
料の含有量が0.1重量部を下回ると画線部の可視性が得
られない。着色材料の含有量が5重量部を上回ると感光
性組成物の感度が低下するので、得られる感光板の画像
形成性が低下する。
【0065】本発明の感光性組成物には、溶剤、充填
剤、顔料、光分解性酸発生剤、塗布性改良のための界面
活性剤、消泡剤、および有機および無機フィラーのよう
な他の添加剤も含有され得る。有機フィラーとしては、
内部がゲル化したマイクロゲル(粒径0.01〜5μm)が好
ましい。その例としては特願平3−36029号に示さ
れる。
【0066】平版印刷用感光板は、本発明の感光性樹脂
組成物を用いて、通常の方法により作製される。例え
ば、まず適当な支持体に本発明の感光性樹脂組成物を塗
布する。支持体としては、例えば、紙;プラスチック
(例えばポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン
など)がラミネートされた紙;アルミニウム(アルミニウ
ム合金も含む)、亜鉛、銅などのような金属の板;二酢
酸セルロース、三酢酸セルロース、プロピオン酸セルロ
ース、酢酸セルロース、酢酸メチルセルロース、酢酸エ
チルセルロース、硝酸セルロース、ポリエチレンテレフ
タレート、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリプロピレ
ン、ポリカーボネート、ポリビニルアセタールなどのよ
うなプラスチックのフィルム;および上記金属がラミネ
ート若しくは蒸着された紙若しくはプラスチックフィル
ムなどが挙げられる。これらの支持体のうち、アルミニ
ウム板は寸法安定性に優れ、しかも比較的軽量安価であ
るので特に好ましい。更に特公昭48-18327号公報に記載
されているようなポリエチレンテレフタレートフィルム
上にアルミニウムシートが結合された複合体シートも好
ましい。
【0067】また金属、特にアルミニウムの表面を有す
る支持体の場合には、既知の方法で親水化処理をする事
が望ましい。
【0068】塗布法は特に限定されず、例えばバーコー
ター等を用いて塗布し、その後、例えば40〜80℃で1〜
10分間乾燥する。乾燥後の塗布量は0.5〜2.5g/m2程度で
ある。尚、必要に応じ、アルカリ現像液に可溶な樹脂、
例えばポリビニルアルコール、ヒドロキシプロピルメチ
ルセルロース等を更に塗布し乾燥することによりオーバ
ーコート層を設けてもよい。
【0069】次いで、得られた乾燥塗膜上にネガまたは
ポジフィルムを覆い、通常の方法で露光、現像すること
により平版印刷版が得られる。露光に使用される光源と
してはカーボンアーク灯、水銀灯、キセノンランプ、メ
タルハライドランプ、タングステン白熱灯、紫外線、紫
外及び可視光レーザ光線などが挙げられる。現像はアル
カリ現像液で行うことが好ましい。アルカリ現像液中に
配合されるアルカリ剤としては、ケイ酸ナトリウム、ケ
イ酸カリウム、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、水
酸化リチウム、第三リン酸ナトリウム、第二リン酸ナト
リウム、第三リン酸アンモニウム、第二リン酸アンモニ
ウム、メタケイ酸ナトリウム、重炭酸ナトリウム、アン
モニアなどのような無機アルカリ剤、およびモノメチル
アミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、モノエチ
ルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、モノイ
ソプロピルアミン、ジイソプロピルアミン、n-ブチルア
ミン類、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、
トリエタノールアミン、モノイソプロパノールアミン、
ジ-イソプロパノールアミン、トリイソプロパノールア
ミン、エチレンイミン、エチレンジアミン、ピリジンな
どのような有機アミン化合物が挙げられる。アルカリ剤
の溶剤としては、例えば水(特に、脱イオン水)等が挙げ
られる。さらにベンジルアルコール、フェニルセロソル
ブ、エチルセロソルブなどが必要に応じて使用される。
またアルカリ剤の濃度等は適宜選択される。
【0070】
【作用】本発明のジアゾ樹脂は配合されるバインダー樹
脂との架橋性が著しく高く、高感度である。特定の機構
および理論に限定することを意図するわけではないが、
増感染料がジアゾニウム基の対イオンとして存在する場
合は、立体効果および分子内伝達効果により、増感染料
単独で存在する場合よりも励起効果が大く、その結果、
ジアゾニウム基の分解が促進され、高感度化されると考
えられる。
【0071】
【実施例】以下の実施例により本発明をさらに説明する
が、本発明はこれらに限定されない。
【0072】実施例1〜6では本発明のジアゾ樹脂の調
製を説明する。
【0073】
【実施例1】4-ジアゾ-ジフェニルアミン硫酸水素塩29.
3部(0.1モル)を氷冷下で100部の濃硫酸に溶解した。こ
の反応液にパラホルムアルデヒド3部(0.1モル)を徐々
に添加し、反応温度が10℃を越えないように保った。
【0074】2時間反応させた後に、この反応混合物を
氷冷下1リットルのエタノールに注入し生じた沈澱を瀘
別した。エタノールで十分に洗浄した後に、その沈澱物
を200mlの脱イオン水に溶解した。得られる水溶液に、1
3.6部の塩化亜鉛を含有する水溶液を加えることによ
り、沈澱を生成させた。生じた沈澱を瀘別し、エタノー
ルで洗浄した。得られた樹脂を200mlの脱イオン水に再
度溶解し、その水溶液に87.9部のエリスロシンを加える
ことにより、アニオン交換反応を行った。得られた沈澱
を濾別し脱イオン水で洗浄した後室温で一昼夜乾燥する
ことにより、ジアゾ樹脂1を得た。このジアゾ樹脂の分
子量をGPCにより測定した。その結果、重量平均分子量
は2300であった。ジアゾ樹脂1の有機溶剤溶解性を評価
したところDMF、メチルセロソルブ、メトキシプロパノ
ールに良好に溶解した。
【0075】
【実施例2】4-ジアゾ-ジフェニルアミン硫酸塩の代わ
りに4-ジアゾ-4'-メトキシジフェニルアミン硫酸塩32.5
部(0.1モル)を用い、パラホルムアルデヒド2.7部(0.09
モル)を用い、そしてエリスロシンの代わりにエオシン7
2部を用いること以外は実施例1と同様にして、ジアゾ
樹脂2を得た。得られたジアゾ樹脂2の重量平均分子量
は2500であった。ジアゾ樹脂2の有機溶剤溶解性を評価
したところDMF、メチルセロソルブ、メトキシプロパノ
ールに良好に溶解した。
【0076】
【実施例3】4-ジアゾ-ジフェニルアミン硫酸塩29.2部
(0.08モル)を用い、パラホルムアルデヒドの代わりにア
セトアルデヒド4.4部(0.1モル)を用い、そしてエリスロ
シンの代わりにローズベンガル70部を用いること以外は
実施例1と同様にして、ジアゾ樹脂3を得た。得られた
ジアゾ樹脂3の重量平均分子量は3600であった。ジアゾ
樹脂3の有機溶剤溶解性を評価したところDMF、メチル
セロソルブ、メトキシプロパノールに良好に溶解した。
【0077】
【実施例4】4-ジアゾ-ジフェニルアミン硫酸塩の代わ
りに4-ジアゾジフェニルアミン16.6部(0.057モル)とベ
ンジルトリメチルアンモニウムクロライド8.1部(0.043
モル)との混合物を用い、エリスロシンの代わりにエリ
スロシン8.8部とヘキサフルオロリン酸ナトリウム15.1
部とを含有する水溶液を用いること以外は実施例1と同
様にして、ジアゾ樹脂4を得た。得られたジアゾ樹脂4
の重量平均分子量は4,500であった。ジアゾ樹脂4の有
機溶剤溶解性を評価したところDMF、メチルセロソル
ブ、メトキシプロパノールに良好に溶解した。
【0078】
【実施例5】エリスロシンの代わりにフルオレッセイン
20部とパラトルエンスルホン酸15部との混合物を用いる
こと以外は実施例1と同様にして、ジアゾ樹脂5を得
た。得られたジアゾ樹脂5の重量平均分子量は2200であ
った。ジアゾ樹脂5の有機溶剤溶解性を評価したところ
DMF、メチルセロソルブ、メトキシプロパノールに良好
に溶解した。
【0079】
【実施例6】エオシンの代わりにスルホローダミン72部
を用いること以外は実施例2と同様にして、ジアゾ樹脂
6を得た。得られたジアゾ樹脂6の重量平均分子量は29
00であった。ジアゾ樹脂6の有機溶剤溶解性を評価した
ところDMF、メチルセロソルブ、メトキシプロパノール
に良好に溶解した。
【0080】
【比較例1】エリスロシンの代わりにヘキサフルオロリ
ン酸ナトリウム16.8部を含有する水溶液を用いること以
外は実施例1と同様にして、ジアゾ樹脂7を得た。得ら
れたジアゾ樹脂7の重量平均分子量は2200であった。ジ
アゾ樹脂7の有機溶剤溶解性を評価したところDMFに
のみ良好な溶解性を示した。
【0081】実施例7〜12では本発明のジアゾ樹脂を用
いた感光板および印刷版について説明する。
【0082】
【実施例7】実施例1で調製したジアゾ樹脂1を用いて
以下の表1に示す組成で感光性樹脂組成物を調製した。
【0083】
【表1】 成分 組成(重量部) アルカリ可溶性アクリル樹脂11) 9.2 実施例1で調製したジアゾ樹脂1 1.2 メトキシプロパノール 40.00 ジメチルホルムアミド 49.751) 2−ヒドロキシエチルメタクリレート100部、アク
リロニトリル40部、イソブチルメタクリレート50部およ
びメタクリル酸10部を用いて調製した分子量25,000のア
クリル樹脂
【0084】得られた感光性樹脂組成物溶液を容器にと
り、3日間放置したところ、沈降物や分離物は見られず
良好な安定性を有していた。更に感光性樹脂組成物溶液
を粗面化及び親水化処理を施したアルミニウム板にバー
コーターで塗布し、80℃で4分間乾燥をおこない塗布重
量が2g/m2のネガ型オフセット印刷用感光板を得た。組
成物の塗装性は良好で均一に塗布可能でありブツやハジ
キのような塗布異常は見られなかった。
【0085】次いで、得られた感光板の感光波長領域を
測定した。
【0086】まず、回折格子照射分光器(日本分光社製C
RM-FA型)を用いて、感光板を2分間露光した。次いで、
市販のネガ現像液希釈水溶液(1/1希釈)を用いて露光後
の感光板を現像した。感光性樹脂組成物の残存状態から
硬化波長領域を決定したところ、219〜591nmであった。
このことにより、ジアゾ樹脂1を用いた感光性樹脂組成
物は、従来の感光性樹脂組成物と比較して、感光波長領
域が100nm以上も長波長側に広がっていることが示され
た。
【0087】次いで、得られた感光板の感度評価を行っ
た。まず、感光板上に、コダック社製ステップタブレッ
トNo.2(21段)を重ねあわせ、ウシオ電気社製キセノン
ランプ(150W)の光源を用いて、東芝KL-49フィルターを
通過した波長490nmの光(光強度3.3mW/cm2)に10秒間露光
した。その後、市販のネガ型平版印刷用現像液を用いて
現像し、光硬化段数を測定した。照射光とタブレットの
透過率との関係から、感光板の490nmにおける感度を算
出したところ、16mj/cm2であった。
【0088】次いで、得られた感光板を用いて印刷板を
調製し、画像形成性を評価した。まず、感光板を、坂口
せいわ工業社製バキュームプリンターHVP-22H(アイグラ
フィクス(株)社製電力3KWのアイドルフィンメタルハラ
イドランプ)で1.2mの距離からネガを通して1分30秒間
画像露光した後、自動現像機でネガ用現像液の重量比
1:1の水希釈液を用いて現像スピード80cm/minで現像
し、ガム液を用いてガム引きすることにより、平版印刷
版を得た。得られた印刷版には現像残りもなくステップ
段数は5〜13と良好な画像再現性を有していた。
【0089】その後、得られた印刷版の耐久性および印
刷性評価を行った。まず、自動現像機よりとり出した印
刷版表面に対して水を含ませた脱脂綿を用いて100回の
ラビングテストを行った。その結果、本印刷版はラビン
グの後でも画線部の摩損や摩損による支持体部の露出な
どはなく十分な画線部耐久性を有することが示された。
【0090】一方、得られた別の印刷版を(株)浜田印刷
機械製造所小型平版印刷機ハマダスター700CDXに取り付
け、市販のインクを用いて上質紙に印刷した。その結
果、非画線部を汚すことなく良好に10万枚印刷できた。
【0091】
【比較例2】ジアゾ樹脂1の代わりに比較例1で合成し
たジアゾ樹脂7を用いること以外は実施例7と同様にし
て、感光板を得た。実施例7と同様にして得られた感光
板の感光波長領域および感度を測定したところ、それぞ
れ、219〜458nmおよび882mj/cm2であった。
【0092】
【比較例3】ジアゾ樹脂1の代わりに、0.32部のジアゾ
樹脂7と0.87部のエリスロシンとの混合物を用いること
以外は実施例7と同様にして、感光板を得た。得られた
感光板の感光領域および感度を実施例7と同様にして測
定したところ、それぞれ、219〜511nmおよび230mj/cm2
であった。このように、増感色素を単に添加するだけで
は感光領域および感度の大幅な向上は見られなかった。
更に、実施例7と同様にして画像形成性を評価したとこ
ろ、得られた印刷版には現像残りはなく、ステップ段数
は3〜11であった。
【0093】
【実施例8】以下の表2に示す組成より成る酸価54.6、
水酸基価199、分子量22,000のアルカリ可溶性アクリル
樹脂2と実施例2で得られたジアゾ樹脂2とを用いて、
表3に示す組成で感光性組成物を調整した。
【0094】
【表2】 成分 組成(重量部) 2-ヒドロキシプロピルメタクリレート 46 アクリロニトリル 15 イソブチルメタクリレート 28.9 SPE1) 2.5 メタクリル酸 7.61) N,N−ジメチル-N-メタクリルアミドプロピル-N-
(3-スルホプロピル)アンモニウムベタイン、Mn=292
【0095】
【表3】 成分 組成(重量部) アルカリ可溶性アクリル樹脂2 8.7 マイクロゲル1) 0.46 ジアゾ樹脂2 1.2 ビクトリアピュアブルー・BOH 0.05 メトキシプロパノール 69.75 イソプロパノール 201) 高分子乳化剤/エチレングリコールジメタクリレー
ト/メチレンメタクリレート/n-ブチルアクリレートを、
10/30/10/45の割合で乳化重合して得られる粒径0.24μm
のマイクロゲル
【0096】ジアゾ樹脂2の代わりに得られた樹脂を用
いること以外は実施例7と同様にして、感光板を得た。
感光板の感光波長領域および感度を実施例7と同様にし
て測定したところ、それぞれ、219〜591nmおよび23mj/c
m2であった。また、この感光板を現像して得られる印刷
板に対して、実施例7と同様にして耐久性および印刷性
試験を行ったところ、得られた印刷版は実施例7の印刷
版と同等の性能を示した。
【0097】次いで、出力5Wの水冷アルゴンレーザー
(488nm)から光学系を通してビーム径30μmに集光したレ
ーザー光を、変調器で変調しながら、感光板上に同筒走
査(500rpm、400本/インチ)した。露光後の感光板を自動
現像機で現像したところ、良好な画像が得られた。
【0098】
【比較例4】ジアゾ樹脂2の代わりにジアゾ樹脂7を用
いること以外は実施例8と同様にして、感光板を得た。
実施例8と同様にして、感光板のレーザー露光を行い現
像したところ、画像は得られなかった。
【0099】
【実施例9】ジアゾ樹脂2の代わりにジアゾ樹脂4を用
いること以外は実施例8と同様にして、感光板を得た。
感光板の感光波長領域および感度を実施例8と同様にし
て測定したところ、それぞれ、219〜591nmおよび23mj/c
m2であった。この感光板を現像して得られる印刷板に対
して、実施例7と同様にして耐久性および印刷性試験を
行ったところ、得られた印刷版は実施例7の印刷版と同
等の性能を示した。また、実施例8と同様にして、感光
板のレーザー露光を行い現像した結果、良好な画像が得
られた。
【0100】
【実施例10】ジアゾ樹脂2の代わりにジアゾ樹脂3を
用いること以外は実施例8と同様にして、感光板を得
た。感光板の感光領域および感度を実施例8と同様にし
て測定したところ、それぞれ、219〜591nmおよび23mj/c
m2であった。この感光板を現像して得られる印刷板に対
して、実施例7と同様にして耐久性および印刷性試験を
行ったところ、得られた印刷版は実施例7の印刷版と同
等の性能を示した。また、実施例8と同様にして、感光
板のレーザー露光を行い現像した結果、良好な画像が得
られた。
【0101】
【実施例11】ジアゾ樹脂2の代わりにジアゾ樹脂5を
用いること以外は実施例8と同様にして、感光板を得
た。感光板の感光領域および感度を実施例8と同様にし
て測定したところ、それぞれ、219〜591nmおよび23mj/c
m2であった。この感光板を現像して得られる印刷板に対
して、実施例7と同様にして耐久性および印刷性試験を
行ったところ、得られた印刷版は実施例7の印刷版と同
等の性能を示した。また、実施例8と同様にして、感光
板のレーザー露光を行い現像した結果、良好な画像が得
られた。
【0102】
【実施例12】ジアゾ樹脂2の代わりにジアゾ樹脂6を
用いること以外は実施例8と同様にして、感光板を得
た。感光板の感光領域および感度を実施例8と同様にし
て測定したところ、それぞれ、219〜591nmおよび23mj/c
m2であった。この感光板を現像して得られる印刷板に対
して、実施例7と同様にして耐久性および印刷性試験を
行ったところ、得られた印刷版は実施例7の印刷版と同
等の性能を示した。また、実施例8と同様にして、感光
板のレーザー露光を行い現像した結果、良好な画像が得
られた。
【0103】
【発明の効果】分子内にアニオン基を有する増感染料を
ジアゾニウム基の対アニオンとして含有させることによ
り、高感度であり、しかも、約400〜約600nmの波長光に
対しても感度を有しており、樹脂自体の安定性が良くか
つ有機溶剤に対する溶解範囲が広い平版印刷用ジアゾ樹
脂およびジアゾ樹脂含有樹脂組成物が提供された。ま
た、そのことにより、従来感光しなかった400nm以上の
照射光でも露光でき良好な画像形成性、保存安定性およ
び現像性を有し、耐刷性に優れる印刷版が提供可能とな
った。

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 分子内にアニオン基を有する増感染料を
    ジアゾニウム基の対アニオンとして含有する、感光性ジ
    アゾ樹脂含有平版印刷用感光性樹脂組成物。
  2. 【請求項2】 前記増感染料が酸性染料である、請求項
    1記載の平版印刷用感光性樹脂組成物。
  3. 【請求項3】 前記増感染料が、シアニン色素、ヘミシ
    アニン色素、スチリル色素、キサンテン色素、オキソノ
    ール色素およびメロシアニン色素からなる群から選択さ
    れる、請求項1記載の平版印刷用感光性樹脂組成物。
  4. 【請求項4】 バインダー樹脂をさらに含有する、請求
    項1記載の平版印刷用感光性樹脂組成物。
  5. 【請求項5】 画像着色剤をさらに含有する、請求項1
    記載の平版印刷用感光性樹脂組成物。
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