JPH0512710A

JPH0512710A - 光情報記録媒体

Info

Publication number: JPH0512710A
Application number: JP3188239A
Authority: JP
Inventors: Atsushi Yusa; 敦遊佐; Hisamitsu Kamezaki; 久光亀崎; Norihito Tamura; 礼仁田村
Original assignee: Hitachi Maxell Ltd
Current assignee: Maxell Holdings Ltd
Priority date: 1991-07-03
Filing date: 1991-07-03
Publication date: 1993-01-22

Abstract

(57)【要約】【目的】情報の長期保存性に優れた有機色素系の光情
報記録媒体を提供する。【構成】透明基板１の信号面２に、少なくとも有機色
素層３と、この有機色素層３上に積層された金属層４と
を担持してなる光情報記録媒体において、上記金属層４
を〔金、銀、銅、アルミニウム〕元素群から選択された
少なくとも１種類の金属元素と、〔錫、インジウム、ゲ
ルマニウム、ケイ素、鉛、ガリウム、タリウム、アンチ
モン、ビスマス、亜鉛〕元素群から選択された少なくと
も１種類の金属元素とを主成分とする合金材料にて形成
した。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、有機色素層と金属層と
を備えた追記型光情報記録媒体に係り、さらに詳しく
は、レーザビームを用いて情報を追記することができ、
かつ市販のコンパクトディスク（ＣＤ）プレーヤやビデ
オディスク（ＶＤ）プレーヤを用いて情報を再生するこ
とができる追記型光情報記録媒体に関する。

【０００２】

【従来の技術】近年、ＣＤの普及に伴って、高い反射率
を有し、かつ情報の再生に際してはＣＤフォーマットに
準拠する出力信号が得られる書き込み可能な光情報記録
媒体、いわゆる追記型ＣＤの開発が盛んに行われてい
る。

【０００３】従来より提案されている追記型ＣＤは、例
えば特開平２−１６４５８６号公報に記載されているよ
うに、透明基板の信号面に有機色素層と金属反射層と保
護層である紫外線硬化性樹脂層とを順次積層してなるも
のであって、有機色素層にレーザ光を吸収させて熱に変
換し、その熱によって有機色素層を構成する有機色素材
料自体を変質させてその光学的特性を変化させると共
に、該部の下地である透明基板の一部を変形させて情報
を記録することを特徴としている。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】有機色素は、一般に太
陽光によって劣化し、光学的特性が経時的に変化する。
特に、水分が介在した場合には、上記光学的特性の変化
が顕著になり、短期間のうちに光学的情報記録媒体とし
ての機能を喪失する。上記した従来の追記型ＣＤは、有
機色素層の光学的特性の変化と透明基板の変形とによっ
て情報を記録しているので、有機色素層が劣化すると、
経時的に情報が透明基板の変形のみによって記録される
ようになり、ＣＤ規格である３０％以上の信号変調度を
維持できなくなる。

【０００５】本発明は、かかる課題を解決するためにな
されたものであって、情報の長期保存性に優れ、ＣＤプ
レーヤもしくはＶＤプレーヤでの再生が可能な追記型の
光情報記録媒体を提供することを目的とする。

【０００６】

【課題を解決するための手段】本発明は、上記の目的を
達成するため、透明基板の信号面に、少なくとも有機色
素層と、この有機色素層上に積層された金属層とを担持
してなる光情報記録媒体において、上記金属層を〔金、
銀、銅、アルミニウム〕元素群から選択された少なくと
も１種類の金属元素と、〔錫、インジウム、ゲルマニウ
ム、ケイ素、鉛、ガリウム、タリウム、アンチモン、ビ
スマス、亜鉛〕元素群から選択された少なくとも１種類
の金属元素とを主成分とする合金材料にて形成した。

【０００７】

【作用】金属層を上記合金材料にて形成すると、純金、
純銀、純銅、純アルミニウムを用いた場合に比べて融点
および熱伝導率が低下し、有機色素層に記録用レーザビ
ームを照射することによって発生する熱またはガス、あ
るいはそれら両者の作用によって容易に変形させること
ができる。よって、有機色素層が劣化しても情報をピッ
トの形で残すことができるので、高い信号変調度を長期
間にわたって維持することができる。なお、ＣＤプレー
ヤあるいはＶＤプレーヤにて情報の再生を行うために
は、３０％以上の信号変調度と７０％以上の反射率を有
しなくてはならないが、金属層を構成する上記合金材料
の組成を適宜調整することによって、これらの値を充分
にクリアできることが実験によって確認されている。

【０００８】

【実施例】本発明の一実施例を、図１〜図４によって説
明する。図１は本例に係る光情報記録媒体の要部断面
図、図２は平面図、図３は記録部の形状を示す要部断面
図、図４は記録部の形状の他の例を示す要部断面図であ
る。

【０００９】図１に示すように、本例の光情報記録媒体
は、透明基板１の信号面２に、透明基板１側より、有機
色素層３と、金属層４と、記録補助層５とを順次積層し
てなる。

【００１０】透明基板１は、例えばポリカーボネート、
ポリメチンメタクリレート、ポリメチルペンテン、ポリ
オレフィン、エポキシなどの透明なプラスチック材料
や、ガラスなどの透明セラミック材料をもって、所望の
形状および寸法に形成される。信号面２には、レーザビ
ームスポットを案内するための案内溝やヘッダー信号を
表すプリピット列などの信号パターン６が微細な凹凸状
に形成される。上記信号パターン６は、図２に示すよう
に、透明基板１と同心の渦巻状もしくは同心円状に形成
される。なお、信号パターン６の形成方法については、
公知に属する事項でありかつ本発明の要旨とは直接関係
がないので、説明を省略する。

【００１１】有機色素層３を構成する有機色素材料とし
ては、例えばポリメチン系色素、アントラキノン系色
素、シアニン系色素、フタロシアニン系色素、キサンテ
ン系色素、トリフェニルメタン系色素、ピリリウム系色
素、アズレン系色素、含金属アゾ染料等の難水溶性の有
機色素材料を用いることができる。有機色素層３は、上
記有機色素群から選択された１または２種類以上の混合
体の溶媒溶液を上記透明基板１の信号面２にスピンコー
トすることによって形成することができる。

【００１２】金属層４は、〔金、銀、銅、アルミニウ
ム〕元素群から選択された少なくとも１種類の金属元素
と、〔錫、インジウム、ゲルマニウム、ケイ素、鉛、ガ
リウム、タリウム、アンチモン、ビスマス、亜鉛〕元素
群から選択された少なくとも１種類の金属元素とを主成
分とする合金にて形成される。その膜厚は、必要に応じ
て任意に設定することができるが、変調度の高い記録ピ
ットを形成できることから、４０ｎｍ〜１１０ｎｍとす
ることが特に好ましい。なお、この金属層４は、必ずし
も単層に形成される必要はなく、組成が異なる複数の薄
膜の積層体にて形成することもできる。金属層４は、所
望の合金材料をスパッタリングあるいは真空蒸着などす
ることによって形成することができる。

【００１３】記録補助層５は、例えばＳｉＯ₂，Ｔｉ
Ｏ₂，ＺｎＯ，ＴｉＮ，ＳｉＮ，ＡｌＮ，Ａｌ₂Ｏ₃など
の無機材料をスパッタリングあるいは真空蒸着などする
ことによって形成するか、あるいはアクリル系樹脂、ポ
リアミド系樹脂、ビニル系樹脂、エポキシ樹脂、シラン
カップリング剤などの有機高分子材料をスピン塗布する
ことによって形成される。これらのうちでは、成膜が容
易であることなどから、アクリル系樹脂などの紫外線硬
化性樹脂が特に好ましい。

【００１４】上記実施例の光情報記録媒体は、透明基板
１側からＣＤフォーマットなどの所定の方式で信号変調
された記録用レーザビームを入射して上記有機色素層３
に合焦すると、その光エネルギーが有機色素層３を構成
する有機色素材料に吸収されて熱エネルギーに変換され
る。そして、その熱によって上記有機色素層３の記録用
レーザビーム照射部を変質され、該部の光学的特性、例
えば光吸収率が変化される。またこれと共に、有機色素
層３の記録用レーザビーム照射部８に体積膨張あるいは
ガスが発生し、その膨張圧あるいはガス圧と熱の作用に
よって、図３または図４に示すような記録ピット９が金
属層４に形成される。これによって、所望の情報の記録
が行われる。

【００１５】再生時には、記録用レーザビームよりも低
パワーで、光情報記録媒体に何らの変化をも起させない
一定強度の再生用レーザビームを照射し、光情報記録媒
体からの反射光を検出する。記録時に有機色素層３の変
質と金属層４の変形とを受けた部分からの反射光強度
と、記録時に上記の変質および変形を受けなかった部分
からの反射光強度とは明らかに異なるので、一定強度の
再生用レーザビームが上記の変質および変形を受けた部
分によって信号変調され、再生信号として読み出され
る。

【００１６】なお、情報の記録は、案内溝上に行うこと
もできるし、相隣接する案内溝の間の平坦部に行うこと
もできる。ただし、案内溝間の平坦部に記録する場合に
比べて熱が拡散しにくいため、溝上に記録する方がより
記録感度を高める上で有利である。

【００１７】以下に、実験例を示し、本発明の効果を明
らかにする。〈実験例１〉以下の方法で、本発明にかかる光ディスク
を作製した。まず、ポリカーボネート基板の信号面に、
２０重量％のアミニウム系色素が混合されたシアニン系
色素のエチルセルセルソルブ溶液をスピンコートし、乾
燥して、膜厚が１２０ｎｍの有機色素層を形成する。次
いで、この有機色素層上に１０重量％の錫を含有した金
−錫合金を真空蒸着し、膜厚が６０ｎｍの金属層を形成
する。さらに、この金属層上に紫外線硬化性樹脂をスピ
ンコートし、紫外線を照射して硬化させて、膜厚が１μ
ｍの記録補助層を形成する。また、有機色素層上に膜厚
が６０ｎｍの純金製金属層が形成された、従来技術にか
かる光ディスクを作製した。その他の条件については、
前記本発明にかかる光ディスクと同じにした。これら本
発明にかかる光ディスクおよび従来技術にかかる光ディ
スクをドライブ装置に装着し、線速が１．２５ｍ／ｓ、
記録パワーが５ｍＷの条件でデータ記録を行なった。し
かる後に、これらの光ディスクを温度３０℃、相対湿度
８０％、照度１００００ルクスの環境下に置き、一定時
間ごとに前記各光ディスクの変調度の変化と反射率の変
化を測定した。図５に変調度の変化を、図６に反射率の
変化を示す。図５に示すように、有機色素層の照光劣化
にともなっていずれの光ディスクも変調度が低下する
が、本発明にかかる光ディスクは、有機色素層が完全に
脱色された後も、金属層に明確な記録ピットが形成され
ているためにＣＤプレーヤあるいはＶＤプレーヤで情報
を再生するに必要な３０％以上の変調度を維持してい
る。これに対して、従来技術にかかる光ディスクでは、
有機色素層が完全に脱色された後はほんの２〜３％程度
の変調度しか維持できない。５００時間経過後、両光デ
ィスクをＣＤプレーヤにかけて情報の再生を行なったと
ころ、本発明にかかる光ディスクは情報の再生を行なう
ことができたが、従来技術にかかる光ディスクでは情報
の再生が行なえなかった。また、図６から明らかなよう
に、本発明にかかる光ディスクは、金属層を合金化する
ことによって反射率が従来技術にかかる光ディスクより
も低下するが、ＣＤプレーヤあるいはＶＤプレーヤで情
報を再生するに必要な７０％以上の反射率を有してお
り、情報の再生に何ら問題がない。事実、５００時間経
過後、両光ディスクをＣＤプレーヤにかけて情報の再生
を行なったところ、本発明にかかる光ディスクは情報の
再生を行なうことができたが、従来技術にかかる光ディ
スクでは情報の再生が行なえなかった。

【００１８】〈実験例２〉錫含有量が異なる種々の金−
錫系合金をもって金属層が形成された種々の光ディスク
を作製した。その他の条件については、上記実験例１と
同じにした。これらの光ディスクをドライブ装置に装着
して線速が１．２５ｍ／ｓ、記録パワーが５ｍＷの条件
でデータ記録を行い、しかる後に、得られる変調度と各
光ディスクの反射率とを測定した。図７にその結果を示
す。この図から明らかなように、金−錫系合金において
錫含有量を増加すると、金属層の融点が下がって変形し
やすくなるために、記録感度が向上し大きな変調度が得
られる。その反面、錫含有量が増加するにしたがって反
射率が低下する。上記したように、ＣＤプレーヤあるい
はＶＤプレーヤで情報を再生するには７０％以上の反射
率が必要であるので、図７から、金−錫系合金を金属層
材料として用いる場合には、錫含有量を２０％以下にす
る必要があることがわかる。

【００１９】〈実験例３〉ポリカーボネート基板の信号
面に、実験例１に示した有機色素層が形成され、この有
機色素層上に３０重量％の錫を含有した金−錫合金膜と
純金膜とを順次積層してなる金属層が形成され、さらに
この金属層上に実験例１に示した紫外線硬化性樹脂製の
記録補助層が形成された光ディスクを作製した。そし
て、この光ディスクについて、実験例１と同じの実験を
行なった。その結果、金−錫合金膜と純金膜との膜厚を
適宜調整することによって、７０％以上の反射率を得る
ことができ、かつ図５および図６に示した本発明にかか
る光ディスクと同様の特性があることがわかった。

【００２０】〈実験例４〉膜厚が異なる種々の記録補助
層が形成された種々の光ディスク、および記録補助層を
有しない光ディスクを作製した。その他の条件について
は、上記実験例１と同じにした。これらの光ディスクを
ドライブ装置に装着して線速が１．２５ｍ／ｓ、記録パ
ワーが５ｍＷの条件でデータ記録を行い、しかる後に、
得られる変調度と各光ディスクのブロックエラーレート
とを測定した。図８にその結果を示す。この図から明ら
かなように、紫外線硬化樹脂製の記録補助層の膜厚と得
られる変調度およびブロックエラーレートとの間には密
接な関連があり、金属層上にある程度の厚さの記録補助
層を形成すると、変調度を向上させることができる。記
録補助層が薄すぎる場合に変調度が低いのは、有機色素
層で発生した熱が金属層を伝って拡散しやすいためであ
り、記録補助層が厚すぎる場合に変調度が低いのは、記
録補助層の強度が高くなりすぎて金属層の変形が抑制さ
れるためであると推定される。特に、記録補助層の厚さ
を０．１μｍ以下とすると、安定な記録ピットを形成す
ることが難しく、ブロックエラーレートが急激に増加す
る。これらのことから、記録補助層の膜厚は、０．１μ
ｍ〜３μｍ程度とすることが特に好ましいことがわか
る。

【００２１】なお、前記実験例においては、金−錫系の
金属層を備えた光ディスクの実験例のみを掲げたが、他
の合金からなる金属層を備えた光ディスクについても同
様の結果が得られた。

【００２２】

【発明の効果】以上説明したように、本発明の光情報記
録媒体は、金属層を〔金、銀、銅、アルミニウム〕元素
群から選択された少なくとも１種類の金属元素と、
〔錫、インジウム、ゲルマニウム、ケイ素、鉛、ガリウ
ム、タリウム、アンチモン、ビスマス、亜鉛〕元素群か
ら選択された少なくとも１種類の金属元素とを主成分と
する合金材料にて形成し、金属層に記録ピットを形成す
るようにしたので、有機色素層が劣化しても情報をピッ
トの形で残すことができ、情報の長期保存性を向上する
ことができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明に係る光情報記録媒体の要部断面図であ
る。

【図２】本発明に係る光情報記録媒体の平面図である。

【図３】記録部の形状の第１例を示す要部断面図であ
る。

【図４】記録部の形状の第１例を示す要部断面図であ
る。

【図５】照光時間と変調度の変化との関係を示すグラフ
図である。

【図６】照光時間と反射率の変化との関係を示すグラフ
図である。

【図７】金属層の組成と変調度および反射率との関係を
示すグラフ図である。

【図８】記録補助層の膜厚と変調度およびブロックエラ
ーレートとの関係を示すグラフ図である。

【符号の説明】

１透明基板２信号面３有機色素層４金属層５記録補助層

Claims

【特許請求の範囲】

【請求項１】透明基板の信号面に、少なくとも有機色
素層と、この有機色素層上に積層された金属層とを担持
してなる光情報記録媒体において、上記金属層を〔金、
銀、銅、アルミニウム〕元素群から選択された少なくと
も１種類の金属元素と、〔錫、インジウム、ゲルマニウ
ム、ケイ素、鉛、ガリウム、タリウム、アンチモン、ビ
スマス、亜鉛〕元素群から選択された少なくとも１種類
の金属元素とを主成分とする合金材料にて形成したこと
を特徴とする光情報記録媒体。
【請求項２】請求項１記載において、上記金属層上に
無機化合物または有機高分子材料にて形成され、その膜
厚が０．１μｍ〜３．０μｍに調整された記録補助層を
積層したことを特徴とする光情報記録媒体。
【請求項３】請求項１記載において、上記有機色素層
をシアニン系色素とアミニウム系色素の混合体にて形成
したことを特徴とする光情報記録媒体。