JPH05126041A - 自動車用空調装置の変速機付圧縮機 - Google Patents

自動車用空調装置の変速機付圧縮機

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JPH05126041A
JPH05126041A JP28296191A JP28296191A JPH05126041A JP H05126041 A JPH05126041 A JP H05126041A JP 28296191 A JP28296191 A JP 28296191A JP 28296191 A JP28296191 A JP 28296191A JP H05126041 A JPH05126041 A JP H05126041A
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JP
Japan
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oil
compressor
transmission
refrigerant
lubricating oil
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Application number
JP28296191A
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English (en)
Inventor
Takao Kasagi
孝雄 笠木
Takeshi Takemoto
剛 竹本
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Denso Corp
Original Assignee
NipponDenso Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】変速機の油溜り部における潤滑油の温度を制御
して冷媒溶解度を適量に保ち、トラクション係数の低下
を防止し、スリップや摩耗を防止する。 【構成】入力軸10に変速機20および圧縮機50を連
結し、上記変速機には潤滑油を貯える油溜り部22を設
け、この潤滑油は冷媒ガスに混合して冷凍サイクルを循
環される冷凍機油を用い、上記冷凍サイクルから帰還す
る冷媒の吸入経路を、圧縮機の吸入室55に通じる主吸
入通路85と、上記油溜り部を迂回して上記圧縮機の吸
入室に連通された迂回通路82、83とに分岐し、上記
主吸入通路もしくは迂回通路に流量制御弁90を設け、
この流量制御弁は潤滑油の温度に応じて通路面積を制御
し、潤滑油の温度が低くなった場合に油溜り部に流れ込
む冷媒の量を規制するようにした。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、自動車用空調装置の変
速機付圧縮機に係り、入力回転数が変化しても圧縮機を
必要な回転数に制御することができる変速機を備えた圧
縮機に関する。
【0002】
【従来の技術】自動車の空調装置に用いられる冷媒圧縮
機は、一般に自動車に搭載されている走行用のエンジン
を動力源として駆動されるようになっており、このため
圧縮機の入力回転数は自動車の走行状況等によって大き
く変動し、圧縮機の圧縮能力も自動車用エンジンの回転
数に応じて変化する。
【0003】従来の場合、冷房能力が過剰になると、圧
縮機に取付けた電磁クラッチをオン・オフ制御して圧縮
機を起動、停止することにより冷房能力を制御する手段
が採用されていた。しかしながら、電磁クラッチをオン
・オフ制御すると、圧縮機の起動、停止によるショック
が発生し、また吹出口から吹き出される空気の急激な温
度変化によるフィーリングの悪化を招く。
【0004】このような不具合を改善するには圧縮機を
能力制御することが有効であり、例えば、気筒数制御、
プランジャのストローク制御、吸入バイパス制御などの
手段による可変容量圧縮機が実用に供されている。しか
し、これらの可変容量制御手段は、エンジン回転数の上
昇による機械的損失の増大を招き、また騒音や振動の増
加を伴い、耐久性が低下するなどの不具合を生じる。
【0005】そこで、特開昭62−170787号公報
に示されるような変速機付圧縮機が提案されている。こ
の種の変速機付圧縮機は、入力軸に無段式の変速機を連
結し、この変速機に圧縮機を直列に連結した構造となっ
ている。
【0006】このものによれば、変速機の変速比を制御
することによりエンジンの回転数の変動に拘らず圧縮機
の回転数を制御することができ、したがって、冷房負荷
に応じて変速機の変速比を「0から最大」まで無段階に
制御することにより、エンジン側の変動を受けずに必要
な冷房能力が確保できるようになり、圧縮機の高効率回
転域を高頻度で使用できるから省動力が図れ、また過剰
な高速回転を制御することにより静粛で、耐久性に優れ
た運転が可能になるなどの利点がある。
【0007】ところで、従来のこの種の変速機付圧縮機
は、その変速機部分が専用の潤滑油を用いて潤滑される
ようになっており、これにより小型で高トルクの動力伝
達を実現している。この場合、専用の潤滑油はオイル冷
却装置により油温の上昇を防止し、油温を適性レベルに
保ってトラクション係数を高く維持するようにしてい
る。しかしながら、専用のオイル冷却装置は、オイルク
ーラやオイルポンプ等を必要とし、これらの部品点数が
増すので車両への搭載性が悪化する欠点がある。
【0008】これを解決するため、変速機の潤滑は圧縮
機の潤滑と同一の冷凍機油で行う提案がなされている。
すなわち、冷凍サイクル回路に組込んだ圧縮機は、従来
から潤滑の方式として冷媒ガスに冷凍機油(潤滑油)を
適量に混合し(通常は潤滑油の混合割合を2〜10重量
%)、この冷凍機油を圧縮機の圧縮運転にもとづき冷媒
に混ぜて循環させることで冷房運転中の圧縮機を潤滑し
ている。したがって、このような圧縮機の潤滑に用いら
れている冷凍機油を変速機の潤滑にも用いるようにすれ
ば、変速機の動力伝達損失による発熱を吸入冷媒により
冷却することができるとともに、この熱はコンデンサに
より放熱することができるので格別なオイル冷却装置は
不要になる等の利点がある。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、冷媒ガ
スに混合した冷凍機油を変速機の潤滑に共用した場合、
冷凍機油の温度変化により冷凍機油中に冷媒が10〜4
0%程度溶解することがある。冷媒溶解割合が高くなる
と純粋な冷凍機油に比べてトラクション係数が低下し、
このような潤滑性能の低い潤滑油では変速機側で要求す
る潤滑性能を満足することができない場合がある。
【0010】特に、空調装置の冷房負荷が小さく、圧縮
機の負荷が小さい場合は変速機の動力伝達損失が低くな
り、油溜り部に貯えられている冷凍機の油温が低くなる
傾向にあり、このような場合は、冷媒溶解度が高くな
り、よってトラクション係数の低下、および油膜形成能
力の低下を招き、摺動部のスリップ率が高くなったり、
油膜厚さの低下による摩耗の進行が起こり、動力伝達部
の異常摩耗によって動力伝達不能のスリップ現象が心配
される。
【0011】本発明はこのような事情に着目してなされ
たもので、その目的とするところは、油溜り部の油温を
適性に制御して冷凍機油の冷媒溶解度を低く保ち、トラ
クション係数の低下を防止してスリップや摩耗を防止す
ることができる自動車用空調装置の変速機付圧縮機を提
供しようとするものである。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明は上記目的を達成
するために、入力軸に、冷凍能力により変速比が制御さ
れる変速機を連結するとともに、この変速機の出力側に
圧縮機を連結し、上記変速機には潤滑油を貯える油溜り
部を設け、この油溜り部に貯えられた潤滑油により変速
機を潤滑するとともに、この潤滑油は圧縮機を潤滑する
ために冷媒ガスに混合して冷凍サイクルを循環される冷
凍機油を共用し、上記冷凍サイクルから帰還する冷媒の
吸入経路を、直接的に圧縮機の吸入室に通じる主吸入通
路と、上記油溜り部を迂回して上記圧縮機の吸入室に連
通された迂回通路とに分岐し、上記主吸入通路もしくは
迂回通路に流量制御弁を設け、この流量制御弁は油溜り
部の潤滑油の温度に応じて通路面積を制御し、油溜り部
の潤滑油の温度が低くなった場合に冷凍サイクルから帰
還して油溜り部に流れ込む冷媒の量を抑制するようにし
たことを特徴とする。
【0013】
【作用】本発明の変速機付圧縮機によると、空調装置の
冷媒負荷が小さい等のように、油溜り部の潤滑油の温度
が低くなった場合には流量制御弁の作用によって冷凍サ
イクルから帰還して油溜り部に流れ込む冷媒の量を減少
させ、また油溜り部の潤滑油の温度が高くなった場合に
は冷媒の量を増加させるようになり、油溜り部の潤滑油
の温度を適温に保つことができる。
【0014】
【実施例】以下、この発明を図面に示す一実施例にもと
づいて説明する。
【0015】図1は自動車用空調装置に用いられる変速
機付圧縮機を示し、入力軸10に変速機20を介して圧
縮機50を連結して構成されている。
【0016】入力軸10は従動側プーリ11を有し、こ
の従動側プーリ11は自動車に搭載されている走行用エ
ンジンのクランク軸に設けた駆動側プーリ(図示しな
い)と無端状Vベルトで連結される。つまり、従動側プ
ーリ11は走行用のエンジンを動力源として駆動され、
これにより変速機付圧縮機を駆動するようになってい
る。
【0017】変速機20は、例えば遊星コーンを用いた
摩擦無段式の変速装置であり、これは後で説明する。
【0018】圧縮機50は本実施例の場合ベーン型圧縮
機であり、これを説明すれば、図において51は主ハウ
ジングを示す。この主ハウジング51の内面52は、図
2に示すように、若干いびつな形の円筒面をなしてい
る。この主ハウジンググ51の前端部はフロントプレー
ト53により閉塞されており、このフロントプレート5
3にはフロントハウジング54が連結されている。これ
らフロントプレート54とフロントハウジング54の間
には吸入室55が形成されている。主ハウジング1の後
端部はリアプレート56により閉塞されており、このリ
アプレート56にはリアハウジング57が連結されてい
る。これらリアプレート56とリアハウジング57の間
にはオイル分離室58が形成されている。
【0019】上記フロントハウジング54と、フロント
プレート53、主ハウジンググ51、リアプレート57
およびリアハウジング57は、スルーボルト59によっ
て一体的に連結されている。
【0020】主ハウジング51には、ロータ60が収容
されている。ロータ60は主ハウジング51内に偏心し
て配置されており、このロータ60の一端には駆動軸6
1が設けられているとともに、他端には支持軸62が一
体に設けられている。駆動軸61および支持軸62は、
それぞれ上記フロントプレート53およびリアプレート
56に取着したラジアル軸受63、64により回転自在
に支持されている。駆動軸62は、フロントハウジング
55を貫通して図1の左側に導出されており、この端部
は後述する変速機20に連結されている。
【0021】ロータ60には、図2に示すように、十字
形のベーン溝66が形成されており、これらベーン溝6
6には、それぞれ放射方向に摺動自在にベ−ン67…が
収容されている。
【0022】主ハウジング51の内面52と、フロント
プレ―ト53、リアプレ―ト57、ロータ60および各
ベ−ン67…とで囲まれた空間は圧縮室68…を構成
し、上記ロータ60の回転に伴ってこれら圧縮室68…
は容積を変化する。この圧縮室68…の容積が増大する
領域は吸入行程となり、また圧縮室68…の容積が縮小
する領域は圧縮行程およびこれに続いて吐出行程とな
る。
【0023】主ハウジンググ51の側壁には、上記圧縮
室68が吐出行程となる位置に対向して吐出室ハウジン
グ70が取付けられている。この吐出室ハウジング70
には吐出室71が形成されている。そして、主ハウジン
グ51の側壁には、吐出行程に位置する圧縮室68と吐
出室71を連通する吐出孔72が開口されており、この
吐出孔72は逆止弁構造の吐出弁73により開閉される
ようになっている。
【0024】上記吐出室ハウジング70は、リアプレー
ト56に形成した吐出通路74を介して前記リアハウジ
ング57に形成したオイル分離室58に導通している。
このオイル分離室58は吐出口75に取着される吐出パ
イプ(図示しない)を通じて冷凍サイクルのコンデンサ
に接続される。
【0025】フロントプレート53には、圧縮室68が
吸入行程にある場合に対向する吸入孔76が形成されて
おり、この吸入孔76はフロントハウジング54に形成
した吸入室55に通じている。この吸入室55は後述す
る分配室81および吸入口77(図3に示す)に接続し
た吸入パイプ(図示しない)を介して冷凍サイクルのエ
バポレータに連結されている。
【0026】このような構成によるベーン型圧縮機は、
自動車走行用エンジンの回転力が駆動軸61に伝達され
ることによりロータ60が主ハウジング51内で回転
し、この回転に伴ない圧縮室68が容積を拡張する過程
で、冷凍サイクルのエバポレータから吸入室55を通じ
て導入した冷媒を吸入孔76から圧縮室68内に吸入す
る。吸入された冷媒は圧縮室68の容積減少に伴って圧
縮され、吐出孔72より吐出弁73を押し開いて吐出室
71に吐出される。
【0027】この冷媒は、冷媒通路74からオイル分離
室58に送られ、このオイル分離室58から吐出口75
より冷凍サイクルのコンデンサ側へ吐出される。
【0028】次に、変速機20について説明する。21
はケーシングであり、このケーシング21は、上記圧縮
機50のフロントハウジング54の周部に図示しないボ
ルトにより密閉的に連結されている。このケーシング2
1は、略キャップ状をなしており、内底部に油溜り部2
2を形成している。この油溜り部22には冷凍機油23
(潤滑油)が貯溜されている。
【0029】このケ−シング21のフロント側壁部に
は、ラジアル軸受12により、前記入力軸10が回転自
在に支持されている。この入力軸10は、前記圧縮機5
0の駆動軸61の軸線と同軸をなしており、ケーシング
21の側壁を貫通している。この入力軸10の貫通端に
は前記従動側プーリ11が装着されており、入力軸10
へ上記エンジンの回転を入力できるようになっている。
【0030】なお、13はプーリ支持用のラジアル軸
受、14は従動側プーリ11とラジアル軸受12との間
の入力軸部分に設けたオイルシ−ルを示す。
【0031】また入力軸10のハウジング21内に突出
した端部には、入力ディスク24が一体的に回転するよ
うに取着されている。
【0032】これに対向して、前記圧縮機50の駆動軸
61の突出端には出力ディスク25が、後述する伝達デ
ィスクおよびカムディスクを介して一体的に回転するよ
うに取り付けられている。これら入力ディスク24と出
力ディスク25の間には複数の遊星コーン26(2個だ
け図示)が配置されている。
【0033】遊星コーン26は3つの伝動面を有する略
傘状をなしている。すなわち、遊星コーン26は、円錐
部27aと、この円錐部27aの円錐底面27bと、こ
の円錐部27aと同軸をなして形成された小径なリング
部27cおよびこのリング部27cと同軸をなして形成
された取付軸27dを一体的に有している。
【0034】円錐部27aは後述する変速リング30に
摩擦係合しているとともに、円錐底面27bは上記出力
ディスク25の外周面と摩擦係合し、小径なリング部2
7cは入力ディスク24の外周端と摩擦係合している。
【0035】このような遊星コーン26は、その取付軸
部27dがコーンリテーナ28に適当なクリアランスを
存して回転自在に装着されており、このコーンリテーナ
28は、入力軸10に対して回転自在に支持されてい
る。したがって、これら遊星コーン26…は自転および
公転が自在となっており、円錐部27aに摩擦係合して
いる変速リング30が入力軸10の軸線方向に沿ってス
ライドすることにより遊星コーン26の接触点の位置が
頂角から周縁部の間で変化し、このため自転速度と公転
速度が変化するので入力軸10から伝えかれた回転速度
を変速できるようになっている。本実施例では、例えば
「変速比0(円錐部27aの周縁近傍の位置)から変速
比1(円錐部27aの頂角近傍の位置)」の範囲で回転
を無段で変速するようにしてある。
【0036】上記変速リング30は駆動機構31により
駆動される。駆動機構31は、ケ−シング21の上部に
取着した駆動モータ32を有しており、この駆動モータ
32はケ−シング21の上部に設けたねじ軸33を回転
するようになっている。ケ−シング21の上部には、ね
じ軸33の軸方向に沿ってガイトピン34が設けられて
おり、このガイドピン34にはカムブロック35が軸方
向に摺動自在に取着されている。このカムブロック35
は上記ねじ軸33にねじ係合している。したがって、駆
動モータ32によりねじ軸33を回転駆動すると、カム
ブロック35がガイドピン34に案内されて軸方向に移
動する。このようなカムブロック35には、前記変速リ
ング30が入力軸10の軸線回りに回転自在に取着され
ており、この変速リング30はカムブロック35と一体
的に軸方向へ移動されるようになっている。
【0037】よって、遊星コーン26の円錐部27aに
摩擦係合している上記変速リング30が軸線方向に沿っ
てスライドすることにより遊星コーン26の接触点の位
置が頂角から周縁部の間で変化し、このため入力軸10
からの回転速度を変速できるようになっている。つま
り、変速リング30が図1の矢印Hで示す通り、遊星コ
ーン26…の円錐部27aの周縁部に摩擦係合している
場合は、有効接触半径が大きくて遊星コーン26…の公
転速度が大きくて自転速度は小さく、この場合変速比は
0に近くなる。また、変速リング30が図1の矢印Lで
示す通り、遊星コーン26…の円錐部27aの頂点部に
近づく場合は、有効接触半径が小さくなり、遊星コーン
26…の公転速度が減少し、自転速度が大きくなり、こ
の場合は変速比は1に近くなる。よって、変速比0(円
錐部27aの周縁近傍の位置)から変速比1(円錐部2
7aの頂角近傍の位置)の範囲で回転を無段階で変速す
ることができる。
【0038】上記出力ディスク25は、カムディスク3
7および伝達ディスク38により圧縮機50の駆動軸6
1に回転を伝える。つまり、カムディスク37はラジア
ル軸受39により入力軸10に回転自在に支持されてい
る。そして、出力ディスク25とカムディスク37は、
互いに対向する板面部分に配置した複数の鋼球41…お
よびこれら鋼球41…の動きを規制する凹部によって動
力的に結合されている。また、出力ディスク25とカム
ディスク37との間には、複数の圧縮コイルスプリング
42…介装されており、この圧縮コイルスプリング42
…の弾性力により、出力ディスク25を常に遊星コーン
26に押圧付勢させている。
【0039】カムディスク37と伝達ディスク38はね
じで連結されており、この伝達ディスク38は圧縮機5
0の駆動軸61にスプライン係合してこの駆動軸61と
一体に回転するようになっている。
【0040】よって、出力ディスク25から出力された
変速回転はカムディスク37および伝達ディスク38を
介して圧縮機50の駆動軸61に出力するようにしてい
る。
【0041】なお、40はカムディスク37のスラスト
荷重を支持するスラスト軸受である。
【0042】こうした遊星コーン26およびコーンリテ
−ナ28の配置により、下位に配置された遊星コーン2
6および変速リング30の下部部分がケーシング21に
形成した油溜り部22の冷凍機油23中に浸漬されるよ
うになっており、遊星コーン26の公転、自転による冷
凍機油23のはねあげにより、変速機20の摺動部分に
冷凍機油23を供給するようにしている。
【0043】上記ケーシング21の内部に形成した油溜
り部22に冷凍機油23を導入するため、以下のような
構造を採用してある。
【0044】すなわち、図3はフロントハウジング54
を図1の矢印B−B方向からみた図であり、このフロン
トハウジング54にはリブ80が形成されており、この
リブ80は下部に前記吸入室55を区分するとともに上
部に分配室81を区分して形成している。つまり、下部
に設けられた吸入室55と、上部に設けられた分配室8
1は、リブ80により上下に区画されている。
【0045】上部の分配室81は、先に説明した吸入口
77を有し、エバポレータから冷媒ガスを導入する。こ
の分配室81はフロントハウジング54に形成したバイ
パス通路82により低圧な油溜り部22に通じている。
油溜り部22には分配室81からバイパス通路82を通
じて冷媒が供給され、冷媒に混合されている冷凍機油2
3はこの油溜り部22で分離されて補給されるようにな
っている。
【0046】また、下部の吸入室55には油溜り部22
に通じるオーバーフロー通路83が形成されている。こ
のオーバーフロー通路83は、油溜り部22の冷媒およ
び冷凍機油23を吸入室55に戻し、油溜り部22の冷
凍機油レベルを、例えば入力軸10の軸中心と略同等レ
ベルに維持するようになっている。
【0047】上記上部の分配室81と下部の吸入室55
を区画するリブ80には、これら分配室81と吸入室5
5を直接連通させる主吸入通路85が形成されている。
【0048】なお、主吸入通路85の開口面積はバイパ
ス通路82の開口面積の略1.5〜2.0倍にしてあ
り、バイパス通路82の開口面積とオーバーフロー通路
83の開口面積は同等にしてある。
【0049】上記主吸入通路85には、この通路の開口
面積を制御する流量制御弁90が設けられている。流量
制御弁90は、図4に示す通り、主吸入通路85と直交
する取付け孔91内にスプール弁92を嵌挿し、このス
プール弁92の一端はコイルばね93により押圧されて
いるとともに他端はベローズ94により押圧されてい
る。ベローズ94は導管95により図1に示す銅合金な
どからなる感温筒96に連通されており、これらベロー
ズ94、導管95および感温筒96には感温膨脹流体、
例えば冷媒が充填されている。感温筒96は上記低圧油
溜り部22の冷凍機油に浸漬される位置に設置されてお
り、この感温筒96により油溜り部22における冷凍機
油23の温度を検出するようになっている。そして、こ
の感温筒96により冷凍機油23の温度を検出し、これ
が温度上昇すると感温筒96内の冷媒が熱膨脹し、この
ためベローズ94内の圧力が上昇するのでベローズ94
が伸長作動するようになっている。
【0050】この場合、スプール弁92がコイルばね9
3の押圧力に抵抗して作動し、主吸入通路85の開口面
積を絞るようになる。このため、分配室81から吸入室
55に向かって直接送られる冷媒の量が減じられ、分配
室81の冷媒はバイパス通路82を通じて油溜り部22
に送り込まれる。したがって、油溜り部22に送られる
低温冷媒の供給量が増し、油溜り部22の冷凍機油23
を冷却するようになっている。
【0051】なお、98はベローズ94を覆うカバ−で
ある。
【0052】このような構成の自動車用空調装置の変速
機付圧縮機について作用を説明する。
【0053】自動車のエンジンを起動させると、エンジ
ンの回転が駆動側プーリ、Vベルトおよび従動側プーリ
11介して変速機付圧縮機の入力軸10に伝達される。
これにより、入力された回転が入力ディスク24から遊
星コーン26に伝達され、遊星コーン26を自転ならび
に公転させる。
【0054】図示しない制御器から駆動モータ32に信
号を送り、この駆動モータ32でねじ軸33を回転する
と、カムブロック35がガイドピン34に案内されて軸
方向に移動する。このため、遊星コーン26の円錐部2
7aに摩擦係合している変速リング30が軸線方向に沿
ってスライドし、遊星コーン26の接触点の位置が頂角
から周縁部の間で変化し、このため入力軸10からの回
転速度を変速して出力ディスク25に伝える。出力ディ
スク25に出力された変速回転はカムディスク37およ
び伝達ディスク38を介して圧縮機50の駆動軸61に
伝えられ、よって圧縮機50が駆動される。
【0055】圧縮機50においては、駆動軸61に回転
が伝えられることによりロータ60が主ハウジング51
内で回転し、この回転に伴ない圧縮室68が容積を拡張
する過程で、冷媒を吸入室55より吸入孔76を通じて
圧縮室68内に吸入する。吸入された冷媒は圧縮室68
の容積減少に伴って圧縮され、吐出孔72より吐出弁7
3を押し開いて吐出室71に吐出される。この冷媒は、
冷媒通路74からオイル分離室58に送られ、このオイ
ル分離室58の吐出口75から冷凍サイクルのコンデン
サ側へ吐出される。
【0056】冷凍サイクルを循環した冷媒がエバポレー
タからフロントハウジング54の吸入口77を経て分配
室81に導入されると、この冷媒は主吸入通路85を通
じて吸入室55に導入される。この吸入室55の冷媒は
上記したように吸入孔76から圧縮室68に吸引され
る。
【0057】また、分配室81の冷媒は、バイパス通路
82を通じて変速機20側のケ−シング21に形成した
油溜り部22に導入される。油溜り部22では冷媒ガス
中に混合されている冷凍機油23を分離し、この冷凍機
油23の油量を所定のレベルに維持している。
【0058】そして、遊星コーン26の公転を利用し
て、油溜り部22に溜まった冷凍機油23をはねあげ、
変速機20の各摺動部を潤滑する。
【0059】冷凍サイクルによる冷凍能力が低い場合
は、制御器からの指令により変速機20は変速比を小さ
くして圧縮機50の回転数を下げる。このような運転状
態では、変速機20の動力伝達損失が低下し、摩擦熱の
発生は少なくなり、油溜り部22の冷凍機油23の温度
が低下する。すると、流量制御弁90の感温筒96が冷
凍機油23の温度を検出して感温筒96内の冷媒が熱収
縮し、このためベローズ94内の圧力が低下するので、
ベローズ94が短縮作動し、主吸入通路85の開口面積
を広げるようになる。このため、分配室81から吸入室
55に向かって直接送られる冷媒の量が増し、分配室8
1からバイパス通路82を通じて油溜り部22に送り込
まれる冷媒の量が減じられる。この冷媒はエバポレータ
から戻された冷媒であるから、温度が低く、したがって
油溜り部22内の冷凍機油23の温度低下が抑制され
る。
【0060】この結果、冷凍機油23に対する冷媒の溶
解割合を低く抑制することができ、潤滑機能の低下を防
止することができる。よってトラクション係数の低下を
防止し、摺動部のスリップ率を低くすることができ、油
膜厚さを大きくして摩耗を防止し、動力伝達部の異常摩
耗によって動力伝達不能を防止することができる。
【0061】図5は、冷媒の溶解度とトラクション係数
の関係を示すもので、冷媒溶解度が高くなるとトラクシ
ョン係数が低下することが判る。
【0062】また、図6は、冷媒の温度と圧力との関係
に対し、冷凍機油に対する冷媒の溶解度を示す特性図で
あり、温度が低くなる程冷媒の溶解度が高くなることが
理解できる。圧縮機50が冷房能力を一定に制御してい
る状態では、圧縮機50における冷媒の吸入圧力は約
0.25〜0.3MPa.abs に設定されており、この
ような状況で潤滑油の温度が40〜45℃に達した場合
に流量制御弁90により主吸入通路85の開口面積を減
じるように作動させれば、冷凍機油23に対する冷媒の
溶解度を5〜10%に保つことができることが確認され
ている。これによりトラクション係数を高く維持するこ
とができる。
【0063】なお、本発明は上記実施例の構造に制約さ
れるものではない。
【0064】すなわち、上記実施例では変速機20とし
て遊星コーン型変速機について説明したが、冷凍能力に
より変速比を制御する変速機であれば、他の構造の変速
機でも実施可能である。
【0065】また、上記実施例では、圧縮機50として
ベーン型圧縮機を用いた場合を説明したが、圧縮機はプ
ランジャ加圧型であっても実施可能である。
【0066】さらに、上記実施例の場合、流量制御弁9
0を分配室81から吸入室55に通じる主吸入通路85
に設置し、潤滑油の温度が低下した場合に主吸入通路8
5の通路面積を広げて油溜り部22に送り込まれる冷媒
の量を規制するようにしたが、本発明は、分配室81か
ら油溜り部22に通じるバイパス通路82、または油溜
り部22から吸入室55に通じるオーバーフロー通路8
3に流量制御弁を設けてもよい。ただし、バイパス通路
82またはオーバーフロー通路83に流量制御弁を設け
る場合は、潤滑油の温度が低下した時にこれらの通路面
積を絞って油溜り部22に送り込まれる冷媒の量を規制
するようにする。
【0067】また、上記実施例の流量制御弁90は、感
温筒96を低圧油溜り部22の冷凍機油に浸漬させて冷
凍機油23の温度を検出するようにしたが、温度センサ
ーはこの構成に限らず、温度を電気的な信号に変換する
検知手段であってもよく、したがって流量制御弁90の
弁体も電気的信号により作動されるものであってもよ
い。
【0068】また、油溜り部22の潤滑油の温度を直接
検出する代わりに、変速機の変速リング30などのよう
な摩擦部材に温度を検出して潤滑油の温度を間接的に検
出するようにしてもよい。
【0069】
【発明の効果】以上説明したように本発明によれば、油
溜り部の潤滑油の温度が低くなった場合は流量制御弁の
作用によって冷凍サイクルから油溜り部に流れ込む冷媒
の量を減じさせるから、油溜り部に低温の冷媒が多量に
流れ込むのが規制されるようになり、油溜り部の潤滑油
の温度を適温に保つことができる。このため、潤滑油と
しての冷凍機油に冷媒が多く溶解するのを防止し、つま
り冷媒溶解度を低く保ち、潤滑油のトラクション係数の
低下を防止し、変速機の摺動部におけるスリップや摩耗
を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例を示す自動車用空調装置の変
速機付圧縮機の側断面図。
【図2】同実施例の図1におけるA−A線に沿う断面
図。
【図3】同実施例の図1におけるB−B線に沿う断面
図。
【図4】同実施例の図3におけるC−C線に沿う断面
図。
【図5】冷媒の溶解度とトラクション係数の関係を示す
特性図。
【図6】冷媒の温度と圧力および冷凍機油に対する冷媒
の溶解度を示す特性図。
【符号の説明】
10…入力軸、11…従動側プーリ、20…変速機、2
1…ケ−シング、22…油溜り部、23…冷凍機油、2
4…入力ディスク、25…出力ディスク、26…遊星コ
ーン、30…変速リング、31…駆動機構、50…圧縮
機、51…主ハウジング、55…吸入室、60…ロー
タ、67…ベーン、68…圧縮室、76…吸入孔、81
…分配室、82…バイパス通路、83…オーバーフロー
通路、85…主吸入通路、90…流量制御弁。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 入力軸に、冷凍能力により変速比が制御
    される変速機を連結するとともに、この変速機の出力側
    に圧縮機を連結し、上記変速機には潤滑油を貯える油溜
    り部を設け、この油溜り部に貯えられた潤滑油により変
    速機を潤滑するとともに、この潤滑油は圧縮機を潤滑す
    るために冷媒ガスに混合して冷凍サイクルを循環される
    冷凍機油を共用し、上記冷凍サイクルから帰還する冷媒
    の吸入経路を、直接的に圧縮機の吸入室に通じる主吸入
    通路と、上記油溜り部を迂回して上記圧縮機の吸入室に
    連通された迂回通路とに分岐し、上記主吸入通路もしく
    は迂回通路に流量制御弁を設け、この流量制御弁は油溜
    り部の潤滑油の温度に応じて通路面積を制御し、油溜り
    部の潤滑油の温度が低くなった場合に冷凍サイクルから
    帰還して油溜り部に流れ込む冷媒の量を減少させるよう
    にしたことを特徴とする自動車用空気調和装置の変速機
    付圧縮機。
JP28296191A 1991-10-29 1991-10-29 自動車用空調装置の変速機付圧縮機 Pending JPH05126041A (ja)

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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN106015079A (zh) * 2016-05-13 2016-10-12 重庆美的通用制冷设备有限公司 离心式压缩机和具有其的制冷系统

Cited By (2)

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CN106015079A (zh) * 2016-05-13 2016-10-12 重庆美的通用制冷设备有限公司 离心式压缩机和具有其的制冷系统
CN106015079B (zh) * 2016-05-13 2018-09-07 重庆美的通用制冷设备有限公司 离心式压缩机和具有其的制冷系统

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