JPH05231313A - 自動車用空調装置の変速機付圧縮機 - Google Patents
自動車用空調装置の変速機付圧縮機Info
- Publication number
- JPH05231313A JPH05231313A JP3353892A JP3353892A JPH05231313A JP H05231313 A JPH05231313 A JP H05231313A JP 3353892 A JP3353892 A JP 3353892A JP 3353892 A JP3353892 A JP 3353892A JP H05231313 A JPH05231313 A JP H05231313A
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- JP
- Japan
- Prior art keywords
- compressor
- transmission
- chamber
- refrigerant
- pressure
- Prior art date
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- Pending
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- Compressors, Vaccum Pumps And Other Relevant Systems (AREA)
Abstract
(57)【要約】 (修正有)
【目的】圧縮機の負荷に応じて変速機室の潤滑油の温度
を制御して冷媒溶解度を適量に保ち、トラクション係数
の低下を防止し、スリップや摩耗を防止する。 【構成】冷媒圧縮機50を変速機室22に収容した変速
機20により駆動し、冷凍サイクルから帰還する冷媒の
吸入経路77を、圧縮機の吸入室55に通じる主吸入通
路85と変速機室を経て上記圧縮機の吸入室に通じるバ
イパス通路82とに分岐し、上記主吸入通路またはバイ
パス通路に、上記圧縮機の吐出側高圧の変動に応じて作
動する流量制御弁90を設けた。 【効果】圧縮機の吐出側高圧の変動に応じて流量制御弁
を作動させ、この流量制御弁により冷凍サイクルから変
速機室に流れ込む冷媒の量を制御するから、圧縮機の負
荷に応じて潤滑油の温度を適温に保つことができる。
を制御して冷媒溶解度を適量に保ち、トラクション係数
の低下を防止し、スリップや摩耗を防止する。 【構成】冷媒圧縮機50を変速機室22に収容した変速
機20により駆動し、冷凍サイクルから帰還する冷媒の
吸入経路77を、圧縮機の吸入室55に通じる主吸入通
路85と変速機室を経て上記圧縮機の吸入室に通じるバ
イパス通路82とに分岐し、上記主吸入通路またはバイ
パス通路に、上記圧縮機の吐出側高圧の変動に応じて作
動する流量制御弁90を設けた。 【効果】圧縮機の吐出側高圧の変動に応じて流量制御弁
を作動させ、この流量制御弁により冷凍サイクルから変
速機室に流れ込む冷媒の量を制御するから、圧縮機の負
荷に応じて潤滑油の温度を適温に保つことができる。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、自動車用空調装置の冷
媒圧縮機に係り、入力回転数が変化しても圧縮機を必要
な回転数に制御することができる変速機を備えた圧縮機
に関する。
媒圧縮機に係り、入力回転数が変化しても圧縮機を必要
な回転数に制御することができる変速機を備えた圧縮機
に関する。
【0002】
【従来の技術】自動車の空調装置に用いられる冷凍サイ
クルの冷媒用圧縮機は、一般に自動車に搭載されている
走行用エンジンを動力源として駆動されるようになって
いるため、エンジンの回転により直接圧縮機を運転する
場合は圧縮機の入力回転数が自動車用エンジンの回転数
に応じて変化し、よって自動車の走行状況等によって大
きく変動する。この変動を回避するため、従来の場合、
冷房能力が過剰になると、圧縮機に取付けた電磁クラッ
チをオン・オフ制御して圧縮機を起動、停止するように
し、これにより冷房能力を制御する手段が採用されてい
た。しかしながら、電磁クラッチをオン・オフ制御する
ようにすると、圧縮機の起動、停止によるショックが発
生し、また吹出口から吹き出される空気の急激な温度変
化によるフィーリングの悪化を招くなどの不具合があ
る。
クルの冷媒用圧縮機は、一般に自動車に搭載されている
走行用エンジンを動力源として駆動されるようになって
いるため、エンジンの回転により直接圧縮機を運転する
場合は圧縮機の入力回転数が自動車用エンジンの回転数
に応じて変化し、よって自動車の走行状況等によって大
きく変動する。この変動を回避するため、従来の場合、
冷房能力が過剰になると、圧縮機に取付けた電磁クラッ
チをオン・オフ制御して圧縮機を起動、停止するように
し、これにより冷房能力を制御する手段が採用されてい
た。しかしながら、電磁クラッチをオン・オフ制御する
ようにすると、圧縮機の起動、停止によるショックが発
生し、また吹出口から吹き出される空気の急激な温度変
化によるフィーリングの悪化を招くなどの不具合があ
る。
【0003】このような不具合を防止するため、エンジ
ンの回転数の変化に拘らず圧縮機の回転数を制御するこ
とができる変速機付圧縮機が、例えば特開昭62−17
0787号公報などにより提案されている。この種の変
速機付圧縮機は、入力軸に無段変速機を連結し、この変
速機に圧縮機を直列に連結した構造となっており、変速
機の変速比を制御することによりエンジン側の回転数の
影響を受けることなく変速比を任意に選択することがで
きる。このため、冷房負荷に応じて変速機の変速比を
「0から最大」まで無段階に制御することにより、エン
ジン側の変動を受けずに必要な冷房能力を得ることがで
きるようになり、圧縮機の高効率回転域を高頻度で使用
できる等から省動力が図れ、また過剰な高速回転を制御
することにより静粛で、耐久性に優れた運転が可能にな
るなどの利点がある。
ンの回転数の変化に拘らず圧縮機の回転数を制御するこ
とができる変速機付圧縮機が、例えば特開昭62−17
0787号公報などにより提案されている。この種の変
速機付圧縮機は、入力軸に無段変速機を連結し、この変
速機に圧縮機を直列に連結した構造となっており、変速
機の変速比を制御することによりエンジン側の回転数の
影響を受けることなく変速比を任意に選択することがで
きる。このため、冷房負荷に応じて変速機の変速比を
「0から最大」まで無段階に制御することにより、エン
ジン側の変動を受けずに必要な冷房能力を得ることがで
きるようになり、圧縮機の高効率回転域を高頻度で使用
できる等から省動力が図れ、また過剰な高速回転を制御
することにより静粛で、耐久性に優れた運転が可能にな
るなどの利点がある。
【0004】ところで、この種の変速機付圧縮機は遊星
コーンが複数のディスクと摩擦接触する構造であるた
め、潤滑油により潤滑および冷却する必要があり、この
ため従来、変速機部分は専用の潤滑油を用いて潤滑され
るようになっており、これにより小型で高トルクの動力
伝達を実現している。この場合、専用の潤滑油はオイル
冷却装置により油温の上昇を防止し、油温を適温に保っ
てトラクション係数を高く維持するようにしている。し
かしながら、専用のオイル冷却装置は、格別なオイルク
ーラやオイルポンプ等が必要であり、これらの部品点数
が増すので車両への搭載性が悪化する欠点がある。
コーンが複数のディスクと摩擦接触する構造であるた
め、潤滑油により潤滑および冷却する必要があり、この
ため従来、変速機部分は専用の潤滑油を用いて潤滑され
るようになっており、これにより小型で高トルクの動力
伝達を実現している。この場合、専用の潤滑油はオイル
冷却装置により油温の上昇を防止し、油温を適温に保っ
てトラクション係数を高く維持するようにしている。し
かしながら、専用のオイル冷却装置は、格別なオイルク
ーラやオイルポンプ等が必要であり、これらの部品点数
が増すので車両への搭載性が悪化する欠点がある。
【0005】これを解決するため、変速機を変速機室に
収容し、この変速機室に圧縮機の潤滑と同一の冷凍機油
を導入してこの冷凍機油で変速機を潤滑するようにした
提案がなされている。すなわち、冷凍サイクル回路に組
込んだ冷媒の圧縮機は潤滑方式として従来から、冷媒ガ
ス中に冷凍機油(潤滑油)を適量混合しており(通常は
潤滑油の混合割合を2〜10重量%)、この冷凍機油を
圧縮機の圧縮運転にもとづいて冷媒に混ぜて循環するよ
うにし、このことにより冷房運転中の圧縮機を潤滑して
いる。したがって、このような圧縮機の潤滑に用いられ
る冷凍機油を、これに連結される変速機の潤滑にも用い
るようにすれば、変速機の動力伝達損失による発熱を、
変速機室に吸入した冷媒により冷却することができ、し
かもこの熱はコンデンサにより放熱することができるの
で格別なオイル冷却装置などが不要になる等の利点があ
る。
収容し、この変速機室に圧縮機の潤滑と同一の冷凍機油
を導入してこの冷凍機油で変速機を潤滑するようにした
提案がなされている。すなわち、冷凍サイクル回路に組
込んだ冷媒の圧縮機は潤滑方式として従来から、冷媒ガ
ス中に冷凍機油(潤滑油)を適量混合しており(通常は
潤滑油の混合割合を2〜10重量%)、この冷凍機油を
圧縮機の圧縮運転にもとづいて冷媒に混ぜて循環するよ
うにし、このことにより冷房運転中の圧縮機を潤滑して
いる。したがって、このような圧縮機の潤滑に用いられ
る冷凍機油を、これに連結される変速機の潤滑にも用い
るようにすれば、変速機の動力伝達損失による発熱を、
変速機室に吸入した冷媒により冷却することができ、し
かもこの熱はコンデンサにより放熱することができるの
で格別なオイル冷却装置などが不要になる等の利点があ
る。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、冷媒ガ
スに混合した冷凍機油を変速機の潤滑に共用しようとす
る場合、通常冷凍機油中には冷媒が10〜40%程度溶
解しているから、この冷媒溶解度によりトラクション係
数が大幅に変化する。つまり、冷凍機油中の冷媒溶解度
が高くなると純粋な冷凍機油に比べてトラクション係数
が低下し、かつ粘度−圧力係数も低下し、このため摩擦
伝達部におけるスリップ率が増加し、油膜厚さが低下す
るので摩耗が進み、摩擦面の面荒れやグロススリップを
発生する心配がある。
スに混合した冷凍機油を変速機の潤滑に共用しようとす
る場合、通常冷凍機油中には冷媒が10〜40%程度溶
解しているから、この冷媒溶解度によりトラクション係
数が大幅に変化する。つまり、冷凍機油中の冷媒溶解度
が高くなると純粋な冷凍機油に比べてトラクション係数
が低下し、かつ粘度−圧力係数も低下し、このため摩擦
伝達部におけるスリップ率が増加し、油膜厚さが低下す
るので摩耗が進み、摩擦面の面荒れやグロススリップを
発生する心配がある。
【0007】本発明はこのような事情に着目してなされ
たもので、その目的とするところは、圧縮機の負荷に応
じて変速機室の冷凍機油(潤滑油)温度を適温に制御す
ることにより冷凍機油中への冷媒の溶解度を低くし、ト
ラクション係数を高く保ち、スリップや摩耗を防止する
ことができる自動車用空調装置の変速機付圧縮機を提供
しようとするものである。
たもので、その目的とするところは、圧縮機の負荷に応
じて変速機室の冷凍機油(潤滑油)温度を適温に制御す
ることにより冷凍機油中への冷媒の溶解度を低くし、ト
ラクション係数を高く保ち、スリップや摩耗を防止する
ことができる自動車用空調装置の変速機付圧縮機を提供
しようとするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明は上記目的を達成
するため、エンジンにより駆動される入力軸に、冷凍能
力に応じて変速比が制御される変速機を連結するととも
に、この変速機の出力側に冷凍サイクルに接続された冷
媒圧縮機を連結し、上記変速機は潤滑油を貯えた変速機
室に収容し、この変速機を上記潤滑油により潤滑すると
ともに、この潤滑油は冷媒ガスに混合されて冷凍サイク
ルを循環する冷凍機油を共用するようにし、上記冷凍サ
イクルから帰還する冷媒の吸入経路を、上記圧縮機の吸
入室に通じる主吸入通路および上記変速機室を経て上記
圧縮機の吸入室に接続したバイパス通路とに分岐し、上
記主吸入通路もしくはバイパス通路に流量制御弁を設
け、この流量制御弁を上記圧縮機の吐出側高圧の変動に
応じて作動させるようにし、この流量制御弁により冷凍
サイクルから帰還して圧縮機室に流れ込む冷媒の量を制
御して変速機室内の潤滑油の温度を制御するようにした
ことを特徴とする。
するため、エンジンにより駆動される入力軸に、冷凍能
力に応じて変速比が制御される変速機を連結するととも
に、この変速機の出力側に冷凍サイクルに接続された冷
媒圧縮機を連結し、上記変速機は潤滑油を貯えた変速機
室に収容し、この変速機を上記潤滑油により潤滑すると
ともに、この潤滑油は冷媒ガスに混合されて冷凍サイク
ルを循環する冷凍機油を共用するようにし、上記冷凍サ
イクルから帰還する冷媒の吸入経路を、上記圧縮機の吸
入室に通じる主吸入通路および上記変速機室を経て上記
圧縮機の吸入室に接続したバイパス通路とに分岐し、上
記主吸入通路もしくはバイパス通路に流量制御弁を設
け、この流量制御弁を上記圧縮機の吐出側高圧の変動に
応じて作動させるようにし、この流量制御弁により冷凍
サイクルから帰還して圧縮機室に流れ込む冷媒の量を制
御して変速機室内の潤滑油の温度を制御するようにした
ことを特徴とする。
【0009】
【作用】変速機の機能を正常な状態に維持して長寿命を
得ようとするには、変速機室内における冷凍機油(潤滑
油)中の冷媒溶解度を10%以下に保つことが望まれ
る。しかし、上記冷凍機油中の冷媒溶解度は、変速機室
内の圧力と、潤滑油の温度で決まる。変速機室内の圧力
は通常圧縮機の吸入側圧力に等しく保たれ、例えば0.
1〜0.4MPa.abs 程度に維持されるが、潤滑油の
温度は、変速機における摩擦部分で発生する摩擦熱つま
り損失熱と、潤滑油の油量および冷媒の流入量により変
動する。空調装置の冷房負荷が小さい場合は、圧縮機の
負荷が小さいので変速機の損失熱が低くなり、変速機室
に貯えられている冷凍機油の油温が低くなる傾向にあ
り、逆に、空調装置の冷房負荷が高い場合は、圧縮機の
負荷が大きくなるから変速機の動力伝達損失が多くな
り、変速機室に貯えられている冷凍機油の油温が高くな
る傾向にある。したがって、冷凍機油の油温は圧縮機の
負荷に応じて調整することができ、圧縮機の負荷に応じ
て変速機室に供給される冷媒の流入量を制御すれば、最
適な油温を維持することができる。上記構成の本発明の
変速機付圧縮機によると、空調装置の冷房負荷が小さ
く、つまり圧縮機の負荷が小さい場合は、圧縮機の吐出
側高圧が低くなるのでこの圧力変動に応じて流量制御弁
が作動し、冷凍サイクルから圧縮機室に流れ込む冷媒の
量を減少させるようになり、圧縮機室の潤滑油の温度低
下を抑止することができる。また逆に、空調装置の冷房
負荷が大きくなる等のように、圧縮機の吐出側高圧が高
くなると、この圧力変動に応じて上記流量制御弁が作動
して冷凍サイクルから圧縮機室に流れ込む冷媒の量を増
加させるようになり、これにより圧縮機室の潤滑油の温
度を引き下げることができる。したがって、圧縮機の吐
出側圧力に応じて圧縮室の潤滑油の温度を最適温度に保
つことができ、この結果、トラクション係数を高く保つ
ことができる。
得ようとするには、変速機室内における冷凍機油(潤滑
油)中の冷媒溶解度を10%以下に保つことが望まれ
る。しかし、上記冷凍機油中の冷媒溶解度は、変速機室
内の圧力と、潤滑油の温度で決まる。変速機室内の圧力
は通常圧縮機の吸入側圧力に等しく保たれ、例えば0.
1〜0.4MPa.abs 程度に維持されるが、潤滑油の
温度は、変速機における摩擦部分で発生する摩擦熱つま
り損失熱と、潤滑油の油量および冷媒の流入量により変
動する。空調装置の冷房負荷が小さい場合は、圧縮機の
負荷が小さいので変速機の損失熱が低くなり、変速機室
に貯えられている冷凍機油の油温が低くなる傾向にあ
り、逆に、空調装置の冷房負荷が高い場合は、圧縮機の
負荷が大きくなるから変速機の動力伝達損失が多くな
り、変速機室に貯えられている冷凍機油の油温が高くな
る傾向にある。したがって、冷凍機油の油温は圧縮機の
負荷に応じて調整することができ、圧縮機の負荷に応じ
て変速機室に供給される冷媒の流入量を制御すれば、最
適な油温を維持することができる。上記構成の本発明の
変速機付圧縮機によると、空調装置の冷房負荷が小さ
く、つまり圧縮機の負荷が小さい場合は、圧縮機の吐出
側高圧が低くなるのでこの圧力変動に応じて流量制御弁
が作動し、冷凍サイクルから圧縮機室に流れ込む冷媒の
量を減少させるようになり、圧縮機室の潤滑油の温度低
下を抑止することができる。また逆に、空調装置の冷房
負荷が大きくなる等のように、圧縮機の吐出側高圧が高
くなると、この圧力変動に応じて上記流量制御弁が作動
して冷凍サイクルから圧縮機室に流れ込む冷媒の量を増
加させるようになり、これにより圧縮機室の潤滑油の温
度を引き下げることができる。したがって、圧縮機の吐
出側圧力に応じて圧縮室の潤滑油の温度を最適温度に保
つことができ、この結果、トラクション係数を高く保つ
ことができる。
【0010】
【実施例】以下、この発明を図面に示す一実施例にもと
づいて説明する。図1は自動車用空調装置に用いられる
変速機付圧縮機を示し、この変速機付圧縮機は入力軸1
0に変速機20を介して圧縮機50を連結して構成され
ている。
づいて説明する。図1は自動車用空調装置に用いられる
変速機付圧縮機を示し、この変速機付圧縮機は入力軸1
0に変速機20を介して圧縮機50を連結して構成され
ている。
【0011】入力軸10は従動側プーリ11を備え、こ
の従動側プーリ11は自動車に搭載されている走行用エ
ンジンのクランク軸に取着した駆動側プーリ(図示しな
い)に対して無端状Vベルトで連結される。つまり、従
動側プーリ11は走行用のエンジンを動力源として回転
され、これにより変速機付圧縮機を駆動するようになっ
ている。
の従動側プーリ11は自動車に搭載されている走行用エ
ンジンのクランク軸に取着した駆動側プーリ(図示しな
い)に対して無端状Vベルトで連結される。つまり、従
動側プーリ11は走行用のエンジンを動力源として回転
され、これにより変速機付圧縮機を駆動するようになっ
ている。
【0012】変速機20は、例えば遊星コーンを用いた
摩擦無段式の変速装置であり、これは後で説明する。圧
縮機50は、本実施例の場合ベーン型圧縮機であり、ま
ずこれから説明する。図において51は主ハウジングを
示す。この主ハウジング51の内面52は、図2に示す
ように、若干いびつな形の円筒面をなしている。この主
ハウジング51の前端部はフロントプレート53により
閉塞されており、このフロントプレート53にはフロン
トハウジング54が連結されている。フロントプレート
54とフロントハウジング54の間には吸入室55が形
成されている。主ハウジング1の後端部はリアプレート
56により閉塞されており、このリアプレート56には
リアハウジング57が連結されている。リアプレート5
6とリアハウジング57の間にはオイル分離室58が形
成されている。上記フロントハウジング54と、フロン
トプレート53、主ハウジンググ51、リアプレート5
7およびリアハウジング57は、スルーボルト59によ
って一体的に連結されている。
摩擦無段式の変速装置であり、これは後で説明する。圧
縮機50は、本実施例の場合ベーン型圧縮機であり、ま
ずこれから説明する。図において51は主ハウジングを
示す。この主ハウジング51の内面52は、図2に示す
ように、若干いびつな形の円筒面をなしている。この主
ハウジング51の前端部はフロントプレート53により
閉塞されており、このフロントプレート53にはフロン
トハウジング54が連結されている。フロントプレート
54とフロントハウジング54の間には吸入室55が形
成されている。主ハウジング1の後端部はリアプレート
56により閉塞されており、このリアプレート56には
リアハウジング57が連結されている。リアプレート5
6とリアハウジング57の間にはオイル分離室58が形
成されている。上記フロントハウジング54と、フロン
トプレート53、主ハウジンググ51、リアプレート5
7およびリアハウジング57は、スルーボルト59によ
って一体的に連結されている。
【0013】主ハウジング51には、ロータ60が収容
されている。ロータ60は主ハウジング51内に偏心し
て配置されており、このロータ60の一端には駆動軸6
1が設けられているとともに、他端には支持軸62が一
体に設けられている。駆動軸61および支持軸62は、
それぞれ上記フロントプレート53およびリアプレート
56に対し、ラジアル軸受63、64により回転自在に
支持されている。駆動軸62は、フロントハウジング5
5を貫通して図1の左側に導出されており、この端部は
後述する変速機20に連結されている。
されている。ロータ60は主ハウジング51内に偏心し
て配置されており、このロータ60の一端には駆動軸6
1が設けられているとともに、他端には支持軸62が一
体に設けられている。駆動軸61および支持軸62は、
それぞれ上記フロントプレート53およびリアプレート
56に対し、ラジアル軸受63、64により回転自在に
支持されている。駆動軸62は、フロントハウジング5
5を貫通して図1の左側に導出されており、この端部は
後述する変速機20に連結されている。
【0014】ロータ60には、図2に示すように、十字
形のベーン溝66が形成されており、これらベーン溝6
6には、それぞれベーン67…が放射方向に摺動自在に
収容されている。主ハウジング51の内面52と、フロ
ントプレート53、リアプレート57、ロータ60およ
び各ベーン67…とで囲まれた空間は圧縮室68…を構
成しており、上記ロータ60の回転に伴ってこれら圧縮
室68…は容積を変化する。この圧縮室68…の容積が
増大する領域は吸入行程となり、また圧縮室68…の容
積が縮小する領域は圧縮行程およびこれに続いて吐出行
程となる。
形のベーン溝66が形成されており、これらベーン溝6
6には、それぞれベーン67…が放射方向に摺動自在に
収容されている。主ハウジング51の内面52と、フロ
ントプレート53、リアプレート57、ロータ60およ
び各ベーン67…とで囲まれた空間は圧縮室68…を構
成しており、上記ロータ60の回転に伴ってこれら圧縮
室68…は容積を変化する。この圧縮室68…の容積が
増大する領域は吸入行程となり、また圧縮室68…の容
積が縮小する領域は圧縮行程およびこれに続いて吐出行
程となる。
【0015】主ハウジンググ51の側壁には、上記圧縮
室68が吐出行程となる位置に対向して吐出室ハウジン
グ70が取付けられている。この吐出室ハウジング70
には吐出室71が形成されている。そして、主ハウジン
グ51の側壁には、圧縮室68が吐出行程にある場合に
この圧縮室68と吐出室71とを連通する吐出孔72が
開口されており、この吐出孔72は逆止弁構造の吐出弁
73により開閉されるようになっている。
室68が吐出行程となる位置に対向して吐出室ハウジン
グ70が取付けられている。この吐出室ハウジング70
には吐出室71が形成されている。そして、主ハウジン
グ51の側壁には、圧縮室68が吐出行程にある場合に
この圧縮室68と吐出室71とを連通する吐出孔72が
開口されており、この吐出孔72は逆止弁構造の吐出弁
73により開閉されるようになっている。
【0016】上記吐出室ハウジング70は、リアプレー
ト56に形成した吐出通路74を介して前記オイル分離
室58に導通している。このオイル分離室58は吐出口
75に取着される吐出パイプ(図示しない)を通じて冷
凍サイクルのコンデンサに接続される。なお、このオイ
ル分離室58には圧力導入通路95が接続されており、
この圧力導入通路95は後述する流量制御弁90に接続
されている。
ト56に形成した吐出通路74を介して前記オイル分離
室58に導通している。このオイル分離室58は吐出口
75に取着される吐出パイプ(図示しない)を通じて冷
凍サイクルのコンデンサに接続される。なお、このオイ
ル分離室58には圧力導入通路95が接続されており、
この圧力導入通路95は後述する流量制御弁90に接続
されている。
【0017】フロントプレート53には、圧縮室68が
吸入行程にある場合にこの圧縮室68に導通する吸入孔
76が形成されており、この吸入孔76はフロントハウ
ジング54に形成した吸入室55に通じている。この吸
入室55は後述する流量制御弁90および吸入口77
(図3に示す)を介して冷凍サイクルのエバポレータに
連結されている。
吸入行程にある場合にこの圧縮室68に導通する吸入孔
76が形成されており、この吸入孔76はフロントハウ
ジング54に形成した吸入室55に通じている。この吸
入室55は後述する流量制御弁90および吸入口77
(図3に示す)を介して冷凍サイクルのエバポレータに
連結されている。
【0018】このような構成によるベーン型圧縮機は、
自動車走行用エンジンの回転力が駆動軸61を通じてロ
ータ60に伝えられることによりこのロータ60が主ハ
ウジング51内で回転し、この回転に伴ない冷凍サイク
ルのエバポレータから吸入室55を通じて導入した冷媒
を吸入孔76から圧縮室68内に吸入する。吸入された
冷媒は圧縮室68の容積減少に伴って圧縮され、吐出孔
72より吐出弁73を押し開いて吐出室71に吐出され
る。
自動車走行用エンジンの回転力が駆動軸61を通じてロ
ータ60に伝えられることによりこのロータ60が主ハ
ウジング51内で回転し、この回転に伴ない冷凍サイク
ルのエバポレータから吸入室55を通じて導入した冷媒
を吸入孔76から圧縮室68内に吸入する。吸入された
冷媒は圧縮室68の容積減少に伴って圧縮され、吐出孔
72より吐出弁73を押し開いて吐出室71に吐出され
る。
【0019】この冷媒は、冷媒通路74からオイル分離
室58に送られ、このオイル分離室58内で比重の差に
より冷凍機油成分を分離して純度を高め、この冷媒は吐
出口75を経て冷凍サイクルのコンデンサ側へ吐出され
る。
室58に送られ、このオイル分離室58内で比重の差に
より冷凍機油成分を分離して純度を高め、この冷媒は吐
出口75を経て冷凍サイクルのコンデンサ側へ吐出され
る。
【0020】次に、変速機20について説明する。21
はケーシングであり、このケーシング21は上記圧縮機
50のフロントハウジング54の周部に、図示しないボ
ルトにより密閉的に連結されている。このケーシング2
1は、略キャップ状をなしており、内部に変速機室22
を形成している。この変速機室22には冷凍機油23
(潤滑油)が貯溜されている。
はケーシングであり、このケーシング21は上記圧縮機
50のフロントハウジング54の周部に、図示しないボ
ルトにより密閉的に連結されている。このケーシング2
1は、略キャップ状をなしており、内部に変速機室22
を形成している。この変速機室22には冷凍機油23
(潤滑油)が貯溜されている。
【0021】このケーシング21のフロント側壁部に
は、前記入力軸10がラジアル軸受12により回転自在
に支持されている。この入力軸10は、前記圧縮機50
の駆動軸61の軸線と同軸をなしており、ケーシング2
1の側壁を貫通している。この入力軸10の貫通端には
前記従動側プーリ11が装着されており、エンジンの回
転を入力軸10へ伝達するようになっている。
は、前記入力軸10がラジアル軸受12により回転自在
に支持されている。この入力軸10は、前記圧縮機50
の駆動軸61の軸線と同軸をなしており、ケーシング2
1の側壁を貫通している。この入力軸10の貫通端には
前記従動側プーリ11が装着されており、エンジンの回
転を入力軸10へ伝達するようになっている。
【0022】なお、13はプーリ支持用のラジアル軸
受、14は従動側プーリ11とラジアル軸受12との間
の入力軸部分に設けたオイルシールを示す。
受、14は従動側プーリ11とラジアル軸受12との間
の入力軸部分に設けたオイルシールを示す。
【0023】また入力軸10のハウジング21内に突出
した端部には、入力ディスク24が一体的に回転するよ
うに取着されている。これに対し、前記圧縮機50の駆
動軸61の突出端には出力ディスク25が、後述する伝
達ディスクおよびカムディスクを介して一体的に回転す
るように取り付けられている。これら入力ディスク24
と出力ディスク25の間には複数の遊星コーン26(2
個だけ図示)が配置されている。
した端部には、入力ディスク24が一体的に回転するよ
うに取着されている。これに対し、前記圧縮機50の駆
動軸61の突出端には出力ディスク25が、後述する伝
達ディスクおよびカムディスクを介して一体的に回転す
るように取り付けられている。これら入力ディスク24
と出力ディスク25の間には複数の遊星コーン26(2
個だけ図示)が配置されている。
【0024】遊星コーン26は3つの伝動面を有する略
傘状をなしている。すなわち、遊星コーン26は、円錐
部27aと、この円錐部27aの円錐底面27bと、こ
の円錐部27aと同軸をなして形成された小径なリング
部27cおよびこのリング部27cと同軸をなして形成
された取付軸27dを一体的に有している。
傘状をなしている。すなわち、遊星コーン26は、円錐
部27aと、この円錐部27aの円錐底面27bと、こ
の円錐部27aと同軸をなして形成された小径なリング
部27cおよびこのリング部27cと同軸をなして形成
された取付軸27dを一体的に有している。
【0025】円錐部27aは後述する変速リング30に
摩擦係合しているとともに、円錐底面27bは上記出力
ディスク25の外周面と摩擦係合し、小径なリング部2
7cは入力ディスク24の外周端と摩擦係合している。
摩擦係合しているとともに、円錐底面27bは上記出力
ディスク25の外周面と摩擦係合し、小径なリング部2
7cは入力ディスク24の外周端と摩擦係合している。
【0026】このような遊星コーン26は、その取付軸
部27dがコーンリテーナ28に適当なクリアランスを
存して回転自在に装着されており、このコーンリテーナ
28は、入力軸10に対して回転自在に支持されてい
る。したがって、これら遊星コーン26…は自転および
公転が自在となっており、円錐部27aに摩擦係合して
いる変速リング30が入力軸10の軸線方向に沿ってス
ライドすることにより遊星コーン26の接触点の位置が
頂角から周縁部の間で変化し、このため自転速度と公転
速度が変化するので入力軸10から伝えられた回転速度
を変速できるようになっている。本実施例では、例えば
「変速比0(円錐部27aの周縁近傍の位置)から変速
比1(円錐部27aの頂角近傍の位置)」の範囲で回転
を無段で変速するようにしてある。
部27dがコーンリテーナ28に適当なクリアランスを
存して回転自在に装着されており、このコーンリテーナ
28は、入力軸10に対して回転自在に支持されてい
る。したがって、これら遊星コーン26…は自転および
公転が自在となっており、円錐部27aに摩擦係合して
いる変速リング30が入力軸10の軸線方向に沿ってス
ライドすることにより遊星コーン26の接触点の位置が
頂角から周縁部の間で変化し、このため自転速度と公転
速度が変化するので入力軸10から伝えられた回転速度
を変速できるようになっている。本実施例では、例えば
「変速比0(円錐部27aの周縁近傍の位置)から変速
比1(円錐部27aの頂角近傍の位置)」の範囲で回転
を無段で変速するようにしてある。
【0027】上記変速リング30は駆動機構31により
駆動される。駆動機構31は、ケーシング21の上部に
取着した駆動モータ32を有しており、この駆動モータ
32はケーシング21の上部に設けたねじ軸33を回転
するようになっている。ケーシング21の上部には、ね
じ軸33の軸方向に沿ってガイトピン34が設けられて
おり、このガイドピン34にはカムブロック35が軸方
向に摺動自在に取着されている。このカムブロック35
は上記ねじ軸33にねじ係合している。したがって、駆
動モータ32によりねじ軸33を回転駆動すると、カム
ブロック35がガイドピン34に案内されて軸方向に移
動する。このようなカムブロック35には、前記変速リ
ング30が入力軸10の軸線回りに回転自在に取着され
ており、この変速リング30はカムブロック35と一体
的に軸方向へ移動されるようになっている。
駆動される。駆動機構31は、ケーシング21の上部に
取着した駆動モータ32を有しており、この駆動モータ
32はケーシング21の上部に設けたねじ軸33を回転
するようになっている。ケーシング21の上部には、ね
じ軸33の軸方向に沿ってガイトピン34が設けられて
おり、このガイドピン34にはカムブロック35が軸方
向に摺動自在に取着されている。このカムブロック35
は上記ねじ軸33にねじ係合している。したがって、駆
動モータ32によりねじ軸33を回転駆動すると、カム
ブロック35がガイドピン34に案内されて軸方向に移
動する。このようなカムブロック35には、前記変速リ
ング30が入力軸10の軸線回りに回転自在に取着され
ており、この変速リング30はカムブロック35と一体
的に軸方向へ移動されるようになっている。
【0028】よって、遊星コーン26の円錐部27aに
摩擦係合している上記変速リング30が軸線方向に沿っ
てスライドすることにより遊星コーン26の接触点の位
置が頂角から周縁部の間で変化し、このため入力軸10
からの回転速度を変速できるようになっている。つま
り、変速リング30が図1の矢印Hで示す通り、遊星コ
ーン26…の円錐部27aの周縁部に摩擦係合している
場合は、有効接触半径が大きくて遊星コーン26…の公
転速度が大きくて自転速度は小さく、この場合変速比は
0に近くなる。また、変速リング30が図1の矢印Lで
示す通り、遊星コーン26…の円錐部27aの頂点部に
近づく場合は、有効接触半径が小さくなり、遊星コーン
26…の公転速度が減少し、自転速度が大きくなり、こ
の場合は変速比は1に近くなる。よって、変速比0(円
錐部27aの周縁近傍の位置)から変速比1(円錐部2
7aの頂角近傍の位置)の範囲で回転を無段階で変速す
ることができる。
摩擦係合している上記変速リング30が軸線方向に沿っ
てスライドすることにより遊星コーン26の接触点の位
置が頂角から周縁部の間で変化し、このため入力軸10
からの回転速度を変速できるようになっている。つま
り、変速リング30が図1の矢印Hで示す通り、遊星コ
ーン26…の円錐部27aの周縁部に摩擦係合している
場合は、有効接触半径が大きくて遊星コーン26…の公
転速度が大きくて自転速度は小さく、この場合変速比は
0に近くなる。また、変速リング30が図1の矢印Lで
示す通り、遊星コーン26…の円錐部27aの頂点部に
近づく場合は、有効接触半径が小さくなり、遊星コーン
26…の公転速度が減少し、自転速度が大きくなり、こ
の場合は変速比は1に近くなる。よって、変速比0(円
錐部27aの周縁近傍の位置)から変速比1(円錐部2
7aの頂角近傍の位置)の範囲で回転を無段階で変速す
ることができる。
【0029】上記出力ディスク25は、カムディスク3
7および伝達ディスク38により圧縮機50の駆動軸6
1に回転を伝える。つまり、カムディスク37はラジア
ル軸受39により入力軸10に回転自在に支持されてい
る。そして、出力ディスク25とカムディスク37は、
互いに対向する板面部分に配置した複数の鋼球41…お
よびこれら鋼球41…の動きを規制する凹部によって動
力的に結合されている。また、出力ディスク25とカム
ディスク37との間には、複数の圧縮コイルスプリング
42…介装されており、この圧縮コイルスプリング42
…の弾性力により、出力ディスク25を常に遊星コーン
26に押圧付勢させている。
7および伝達ディスク38により圧縮機50の駆動軸6
1に回転を伝える。つまり、カムディスク37はラジア
ル軸受39により入力軸10に回転自在に支持されてい
る。そして、出力ディスク25とカムディスク37は、
互いに対向する板面部分に配置した複数の鋼球41…お
よびこれら鋼球41…の動きを規制する凹部によって動
力的に結合されている。また、出力ディスク25とカム
ディスク37との間には、複数の圧縮コイルスプリング
42…介装されており、この圧縮コイルスプリング42
…の弾性力により、出力ディスク25を常に遊星コーン
26に押圧付勢させている。
【0030】カムディスク37と伝達ディスク38はね
じ43…により連結されており、この伝達ディスク38
は圧縮機50の駆動軸61にスプライン係合してこの駆
動軸61と一体に回転するようになっている。よって、
出力ディスク25から出力された回転はカムディスク3
7および伝達ディスク38を介して圧縮機50の駆動軸
61に出力するようにしている。なお、40はカムディ
スク37のスラスト荷重を支持するスラスト軸受であ
る。
じ43…により連結されており、この伝達ディスク38
は圧縮機50の駆動軸61にスプライン係合してこの駆
動軸61と一体に回転するようになっている。よって、
出力ディスク25から出力された回転はカムディスク3
7および伝達ディスク38を介して圧縮機50の駆動軸
61に出力するようにしている。なお、40はカムディ
スク37のスラスト荷重を支持するスラスト軸受であ
る。
【0031】こうした遊星コーン26およびコーンリテ
ーナ28の配置により、これら遊星コーン26および変
速リング30は、ケーシング21に形成した変速機室2
2の冷凍機油23中に浸漬されるようになっており、遊
星コーン26の公転、自転による冷凍機油23の跳ね上
げにより、変速機20の摺動部分に冷凍機油23を供給
するようにしている。
ーナ28の配置により、これら遊星コーン26および変
速リング30は、ケーシング21に形成した変速機室2
2の冷凍機油23中に浸漬されるようになっており、遊
星コーン26の公転、自転による冷凍機油23の跳ね上
げにより、変速機20の摺動部分に冷凍機油23を供給
するようにしている。
【0032】上記ケーシング21の内部に形成した変速
機室22に冷凍機油23を導入するため、以下のような
構造を採用してある。
機室22に冷凍機油23を導入するため、以下のような
構造を採用してある。
【0033】すなわち、図3はフロントハウジング54
を図1の矢印B−B方向からみた図であり、このフロン
トハウジング54には比較的上部に位置して、圧力の均
衡を計る均圧孔を兼ねたオーバーフロー孔81が形成さ
れており、このオーバーフロー孔81は変速機室22と
前記吸入室55とを連通している。そして、このフロン
トハウジング54の側壁には、冷凍サイクルのエバポレ
ータに対し、図示しない吸入パイプを通じて接続される
吸入口77が開口されている。この吸入口77はバイパ
ス通路82によって低圧の変速機室22に通じている。
したがって、変速機室22には上記吸入口77からバイ
パス通路82を通じて冷媒が供給され、この冷媒に混合
されている冷凍機油23がこの変速機室22に導入さ
れ、ここで分離されるようになっている。この変速機室
22内が所定の圧力および液面に達すると、上記オーバ
ーフロー孔81を介してその圧力および冷媒や冷凍機油
23が吸入室55へ逃がされるようになっている。
を図1の矢印B−B方向からみた図であり、このフロン
トハウジング54には比較的上部に位置して、圧力の均
衡を計る均圧孔を兼ねたオーバーフロー孔81が形成さ
れており、このオーバーフロー孔81は変速機室22と
前記吸入室55とを連通している。そして、このフロン
トハウジング54の側壁には、冷凍サイクルのエバポレ
ータに対し、図示しない吸入パイプを通じて接続される
吸入口77が開口されている。この吸入口77はバイパ
ス通路82によって低圧の変速機室22に通じている。
したがって、変速機室22には上記吸入口77からバイ
パス通路82を通じて冷媒が供給され、この冷媒に混合
されている冷凍機油23がこの変速機室22に導入さ
れ、ここで分離されるようになっている。この変速機室
22内が所定の圧力および液面に達すると、上記オーバ
ーフロー孔81を介してその圧力および冷媒や冷凍機油
23が吸入室55へ逃がされるようになっている。
【0034】さらに、上記フロントハウジング54の側
壁には、上記吸入口77と吸入室55とを連通させる主
吸入通路85が形成されている。この主吸入通路85に
は、この通路の開口面積を制御する前記流量制御弁90
が設けられている。流量制御弁90は、図4にも示す通
り、主吸入通路85と直交するように形成した取付け孔
91内にスプール弁92を摺動自在に嵌挿して構成して
あり、このスプール弁92の一端はコイルばね93によ
り押圧されているとともに、他端は圧力室94に望まさ
れている。圧力室94は閉塞体96に形成した圧力導入
通路95に通じており、この圧力導入通路95は、前記
した圧縮機50のオイル分離室58に接続されている。
つまり、圧力室94は圧縮機50のオイル分離室58に
通じており、よって圧縮機50の吐出側高圧を導入する
ようになっている。したがって、スプール弁92は一端
側のコイルばね93と、他端側の圧力室94の圧力との
押圧力の差により摺動移動するようになっている。
壁には、上記吸入口77と吸入室55とを連通させる主
吸入通路85が形成されている。この主吸入通路85に
は、この通路の開口面積を制御する前記流量制御弁90
が設けられている。流量制御弁90は、図4にも示す通
り、主吸入通路85と直交するように形成した取付け孔
91内にスプール弁92を摺動自在に嵌挿して構成して
あり、このスプール弁92の一端はコイルばね93によ
り押圧されているとともに、他端は圧力室94に望まさ
れている。圧力室94は閉塞体96に形成した圧力導入
通路95に通じており、この圧力導入通路95は、前記
した圧縮機50のオイル分離室58に接続されている。
つまり、圧力室94は圧縮機50のオイル分離室58に
通じており、よって圧縮機50の吐出側高圧を導入する
ようになっている。したがって、スプール弁92は一端
側のコイルばね93と、他端側の圧力室94の圧力との
押圧力の差により摺動移動するようになっている。
【0035】圧力室94の圧力が所定圧力よりも低い場
合は、図3および図4の状態から図示の下方に移動し、
これにより主吸入通路85を開き、吸入口77を主吸入
通路85を経て吸入室55に連通させるようになってい
る。この場合は、吸入口77から吸入室55に向かって
直接送られる冷媒の量が増し、吸入口77からバイパス
通路82を通じて変速機室22へ送り込まれ冷媒の量を
減じるようになる。よって、変速機室22に送られる低
温冷媒の供給量が少なくなり、変速機室22の冷凍機油
23の冷却を抑制するようになっている。
合は、図3および図4の状態から図示の下方に移動し、
これにより主吸入通路85を開き、吸入口77を主吸入
通路85を経て吸入室55に連通させるようになってい
る。この場合は、吸入口77から吸入室55に向かって
直接送られる冷媒の量が増し、吸入口77からバイパス
通路82を通じて変速機室22へ送り込まれ冷媒の量を
減じるようになる。よって、変速機室22に送られる低
温冷媒の供給量が少なくなり、変速機室22の冷凍機油
23の冷却を抑制するようになっている。
【0036】このような構成の自動車用空調装置の変速
機付圧縮機について作用を説明する。
機付圧縮機について作用を説明する。
【0037】自動車のエンジンを起動させると、エンジ
ンの回転が駆動側プーリ、Vベルトおよび従動側プーリ
11介して変速機付圧縮機の入力軸10に伝達される。
これにより入力軸10の回転が入力ディスク24から遊
星コーン26に伝達され、遊星コーン26を自転ならび
に公転させる。
ンの回転が駆動側プーリ、Vベルトおよび従動側プーリ
11介して変速機付圧縮機の入力軸10に伝達される。
これにより入力軸10の回転が入力ディスク24から遊
星コーン26に伝達され、遊星コーン26を自転ならび
に公転させる。
【0038】図示しない制御器から駆動モータ32に信
号を送り、この駆動モータ32でねじ軸33を回転する
と、カムブロック35がガイドピン34に案内されて軸
方向へ移動する。このため、遊星コーン26の円錐部2
7aと摩擦係合している変速リング30が軸線方向に沿
ってスライドし、遊星コーン26の接触点の位置が頂角
から周縁部の間で変化し、このため入力軸10からの回
転速度を変速して出力ディスク25に伝える。出力ディ
スク25に出力された変速回転はカムディスク37およ
び伝達ディスク38を介して圧縮機50の駆動軸61に
伝えられ、よって圧縮機50が駆動される。
号を送り、この駆動モータ32でねじ軸33を回転する
と、カムブロック35がガイドピン34に案内されて軸
方向へ移動する。このため、遊星コーン26の円錐部2
7aと摩擦係合している変速リング30が軸線方向に沿
ってスライドし、遊星コーン26の接触点の位置が頂角
から周縁部の間で変化し、このため入力軸10からの回
転速度を変速して出力ディスク25に伝える。出力ディ
スク25に出力された変速回転はカムディスク37およ
び伝達ディスク38を介して圧縮機50の駆動軸61に
伝えられ、よって圧縮機50が駆動される。
【0039】圧縮機50においては、駆動軸61に回転
が伝えられることによりロータ60が主ハウジング51
内で回転し、この回転に伴ない圧縮室68が容積を拡張
する過程で、冷媒を吸入室55から吸入孔76を通じて
吸入する。吸入された冷媒は圧縮室68の容積減少に伴
って圧縮され、吐出孔72から吐出弁73を押し開いて
吐出室71に吐出される。この冷媒は、冷媒通路74か
らオイル分離室58に送られ、このオイル分離室58の
吐出口75から冷凍サイクルのコンデンサ側へ吐出され
る。
が伝えられることによりロータ60が主ハウジング51
内で回転し、この回転に伴ない圧縮室68が容積を拡張
する過程で、冷媒を吸入室55から吸入孔76を通じて
吸入する。吸入された冷媒は圧縮室68の容積減少に伴
って圧縮され、吐出孔72から吐出弁73を押し開いて
吐出室71に吐出される。この冷媒は、冷媒通路74か
らオイル分離室58に送られ、このオイル分離室58の
吐出口75から冷凍サイクルのコンデンサ側へ吐出され
る。
【0040】冷凍サイクルを循環した冷媒はエバポレー
タからフロントハウジング54の吸入口77に帰還され
る。吸入口77に帰還された冷媒は、バイパス通路82
を通じてケーシング21内に形成した変速機室22に導
入される。変速機室22では冷媒ガス中に混合されてい
る冷凍機油23が分離され、この冷凍機油23の油量を
オーバーフロー孔81の高さまで維持する。
タからフロントハウジング54の吸入口77に帰還され
る。吸入口77に帰還された冷媒は、バイパス通路82
を通じてケーシング21内に形成した変速機室22に導
入される。変速機室22では冷媒ガス中に混合されてい
る冷凍機油23が分離され、この冷凍機油23の油量を
オーバーフロー孔81の高さまで維持する。
【0041】なお、変速機室22内の冷凍機油23がオ
ーバーフロー孔81よりも多くなると、この冷凍機油2
3はオーバーフロー孔81を経て吸入室55に流れ込
み、よって、変速機室22内の冷凍機油23の量を一定
に保つ。
ーバーフロー孔81よりも多くなると、この冷凍機油2
3はオーバーフロー孔81を経て吸入室55に流れ込
み、よって、変速機室22内の冷凍機油23の量を一定
に保つ。
【0042】また、この変速機室22はオーバーフロー
孔81を経て吸入室55に通じているので、上記吸入口
77、変速機室22および吸入室55の圧力は圧縮機の
吸入圧と等しい低圧に保たれている。通常、この吸入圧
は0.1〜0.4MPa.abs 程度である。
孔81を経て吸入室55に通じているので、上記吸入口
77、変速機室22および吸入室55の圧力は圧縮機の
吸入圧と等しい低圧に保たれている。通常、この吸入圧
は0.1〜0.4MPa.abs 程度である。
【0043】そして、遊星コーン26が公転すると、変
速機室22に溜まっている冷凍機油23に浸漬され、ま
たこの冷凍機油を跳ね上げるから、この冷凍機油23に
より変速機20の各摺動部を潤滑する。
速機室22に溜まっている冷凍機油23に浸漬され、ま
たこの冷凍機油を跳ね上げるから、この冷凍機油23に
より変速機20の各摺動部を潤滑する。
【0044】冷凍サイクルによる冷凍能力が低い場合
は、制御器からの指令により変速機20は変速比が小さ
く、圧縮機50の回転数は低い。このような運転状態で
は変速機20の動力伝達損失は低く、摩擦熱の発生は少
ないから変速機室22の冷凍機油23の温度が低下す
る。
は、制御器からの指令により変速機20は変速比が小さ
く、圧縮機50の回転数は低い。このような運転状態で
は変速機20の動力伝達損失は低く、摩擦熱の発生は少
ないから変速機室22の冷凍機油23の温度が低下す
る。
【0045】この場合、冷凍サイクルの負荷は低く、圧
縮機50の吐出圧が低いので、オイル分離室58内の冷
媒圧力も比較的低い。このオイル分離室58内の圧力は
圧力導入通路95を通じて流量制御弁90の圧力室94
に作用しており、この圧力室94の圧力が所定圧力より
も低いのでスプリング93の押圧力によりスプール弁9
2が押され、これにより主吸入通路85を開く。
縮機50の吐出圧が低いので、オイル分離室58内の冷
媒圧力も比較的低い。このオイル分離室58内の圧力は
圧力導入通路95を通じて流量制御弁90の圧力室94
に作用しており、この圧力室94の圧力が所定圧力より
も低いのでスプリング93の押圧力によりスプール弁9
2が押され、これにより主吸入通路85を開く。
【0046】したがって、この場合は吸入口77に導入
されている低温低圧の冷媒が主吸入通路85から吸入室
55へ導入されるようになり、吸入口77からバイパス
通路82を通じて変速機室22へ送り込まれ冷媒の量が
減じられる。このため、変速機室22に送られる低温冷
媒の量が少なくなり、変速機室22の冷凍機油23の冷
却を抑える。
されている低温低圧の冷媒が主吸入通路85から吸入室
55へ導入されるようになり、吸入口77からバイパス
通路82を通じて変速機室22へ送り込まれ冷媒の量が
減じられる。このため、変速機室22に送られる低温冷
媒の量が少なくなり、変速機室22の冷凍機油23の冷
却を抑える。
【0047】一方、冷凍サイクルによる冷凍能力が高い
場合は、圧縮機50の負荷が高くなるので変速機20の
動力伝達損失が大きくなり、摩擦熱の発生が増して変速
機室22の冷凍機油23の温度が高くなる。
場合は、圧縮機50の負荷が高くなるので変速機20の
動力伝達損失が大きくなり、摩擦熱の発生が増して変速
機室22の冷凍機油23の温度が高くなる。
【0048】この場合、圧縮機50の吐出圧が高いの
で、オイル分離室58内の冷媒圧力が高く、このオイル
分離室58内の圧力が圧力導入通路95を介して導かれ
る流量制御弁90の圧力室94に圧力が高くなる。よっ
て、この場合はスプリング93の押圧力に打ち勝ってス
プール弁92が図示上に押され、これにより主吸入通路
85の開度を規制する。
で、オイル分離室58内の冷媒圧力が高く、このオイル
分離室58内の圧力が圧力導入通路95を介して導かれ
る流量制御弁90の圧力室94に圧力が高くなる。よっ
て、この場合はスプリング93の押圧力に打ち勝ってス
プール弁92が図示上に押され、これにより主吸入通路
85の開度を規制する。
【0049】したがって、この場合は吸入口77に導入
された低温低圧の冷媒は、主として吸入口77からバイ
パス通路82を通じて変速機室22へ送り込まれるよう
になり、このため、変速機室22に送られる低温冷媒の
量が多くなるから、変速機室22の冷凍機油23を冷却
する。
された低温低圧の冷媒は、主として吸入口77からバイ
パス通路82を通じて変速機室22へ送り込まれるよう
になり、このため、変速機室22に送られる低温冷媒の
量が多くなるから、変速機室22の冷凍機油23を冷却
する。
【0050】このように、流量制御弁90の作用により
変速機室22へ導入する冷媒量を制御するから、冷凍機
油23の温度が所定の範囲、例えば43〜80℃程度に
保たれ、冷凍機油23に対する冷媒の溶解度を10%以
下と低くすることができる。よってトラクション係数の
低下を防止し、摺動部のスリップ率を低くすることがで
き、油膜厚さを大きくして摩耗を防止し、動力伝達部の
異常摩耗によって動力伝達不能を防止することができ
る。
変速機室22へ導入する冷媒量を制御するから、冷凍機
油23の温度が所定の範囲、例えば43〜80℃程度に
保たれ、冷凍機油23に対する冷媒の溶解度を10%以
下と低くすることができる。よってトラクション係数の
低下を防止し、摺動部のスリップ率を低くすることがで
き、油膜厚さを大きくして摩耗を防止し、動力伝達部の
異常摩耗によって動力伝達不能を防止することができ
る。
【0051】図5は、冷媒の溶解度とトラクション係数
の関係を示すもので、冷媒溶解度が高くなるとトラクシ
ョン係数が低下することが判る。
の関係を示すもので、冷媒溶解度が高くなるとトラクシ
ョン係数が低下することが判る。
【0052】また、図6は、冷媒の温度と、圧力と、冷
凍機油に対する冷媒の溶解度との関係を示す特性図であ
り、温度が低くなる程冷媒の溶解度が高くなることが理
解できる。
凍機油に対する冷媒の溶解度との関係を示す特性図であ
り、温度が低くなる程冷媒の溶解度が高くなることが理
解できる。
【0053】圧縮機50が冷房能力を一定に制御してい
る状態では、圧縮機50における冷媒の吸入圧力は約
0.25〜0.3MPa.abs に設定されており、この
ような状況で潤滑油の温度が40〜45℃に達した場合
に流量制御弁90により主吸入通路85の開口面積を減
じるように作動させれば、冷凍機油23に対する冷媒の
溶解度を5〜10%に保つことができることが確認され
ている。これによりトラクション係数を高く維持するこ
とができる。
る状態では、圧縮機50における冷媒の吸入圧力は約
0.25〜0.3MPa.abs に設定されており、この
ような状況で潤滑油の温度が40〜45℃に達した場合
に流量制御弁90により主吸入通路85の開口面積を減
じるように作動させれば、冷凍機油23に対する冷媒の
溶解度を5〜10%に保つことができることが確認され
ている。これによりトラクション係数を高く維持するこ
とができる。
【0054】なお、本発明は上記実施例の構造に制約さ
れるものではない。
れるものではない。
【0055】すなわち、上記実施例では変速機20とし
て遊星コーン型変速機について説明したが、冷凍能力に
より変速比を制御する変速機であれば、他の構造の変速
機でも実施可能である。
て遊星コーン型変速機について説明したが、冷凍能力に
より変速比を制御する変速機であれば、他の構造の変速
機でも実施可能である。
【0056】また、上記実施例では、圧縮機50として
ベーン型圧縮機を用いた場合を説明したが、圧縮機はプ
ランジャ加圧型であっても実施可能である。
ベーン型圧縮機を用いた場合を説明したが、圧縮機はプ
ランジャ加圧型であっても実施可能である。
【0057】さらに、上記実施例の場合、流量制御弁9
0を主吸入通路85に設置し、圧縮機50の吐出圧力が
低くなった場合に主吸入通路85の通路面積を広げて変
速機室22に送り込まれる冷媒の量を規制するようにし
たが、本発明は、吸入口77から変速機室22に通じる
バイパス通路82に流量制御弁を設けてもよい。ただ
し、バイパス通路82に流量制御弁を設ける場合は、圧
縮機50の吐出圧力が低い場合にこの通路面積を絞って
変速機室22に送り込まれる冷媒の量を規制するように
する。
0を主吸入通路85に設置し、圧縮機50の吐出圧力が
低くなった場合に主吸入通路85の通路面積を広げて変
速機室22に送り込まれる冷媒の量を規制するようにし
たが、本発明は、吸入口77から変速機室22に通じる
バイパス通路82に流量制御弁を設けてもよい。ただ
し、バイパス通路82に流量制御弁を設ける場合は、圧
縮機50の吐出圧力が低い場合にこの通路面積を絞って
変速機室22に送り込まれる冷媒の量を規制するように
する。
【0058】また、上記実施例の流量制御弁90は、オ
イル分離室58の圧力を導入して圧力差により作動する
ようにしたが、オイル分離室58以外に吐出室71や吐
出パイプの高圧を導入して作動するようにしてもよい。
イル分離室58の圧力を導入して圧力差により作動する
ようにしたが、オイル分離室58以外に吐出室71や吐
出パイプの高圧を導入して作動するようにしてもよい。
【0059】さらにまた、上記実施例では、流量制御弁
90が圧縮機の吐出側高圧と吸入側低圧との差圧にもと
づいて作動されるようにしたが、特に可変容量機構を備
えた圧縮機では吸入側圧力がほぼ一定に制御されるよう
になっているため、吸入側圧力に代えて大気圧を用い、
吐出側圧力と大気圧との差圧に応じて流量制御弁90を
作動させるようにしてもよい。
90が圧縮機の吐出側高圧と吸入側低圧との差圧にもと
づいて作動されるようにしたが、特に可変容量機構を備
えた圧縮機では吸入側圧力がほぼ一定に制御されるよう
になっているため、吸入側圧力に代えて大気圧を用い、
吐出側圧力と大気圧との差圧に応じて流量制御弁90を
作動させるようにしてもよい。
【0060】さらに、圧縮機内部に生じる中間圧力と吐
出側圧力との差圧に応じて流量制御弁90を作動させる
ようにしてもよい。
出側圧力との差圧に応じて流量制御弁90を作動させる
ようにしてもよい。
【0061】
【発明の効果】以上説明したように本発明によれば、圧
縮機の吐出側高圧の変動に応じて流量制御弁を作動さ
せ、この流量制御弁により冷凍サイクルから圧縮機室に
流れ込む冷媒の量を制御するから、圧縮機の負荷に応じ
て圧縮機室の潤滑油の温度を適温に保つことができる。
よって、潤滑油としての冷凍機油に冷媒が過剰に溶解す
るのを防止し、冷媒溶解度を低く保つことができ、潤滑
油のトラクション係数を高く維持して変速機の摺動部に
おけるスリップや摩耗を防止することができる。
縮機の吐出側高圧の変動に応じて流量制御弁を作動さ
せ、この流量制御弁により冷凍サイクルから圧縮機室に
流れ込む冷媒の量を制御するから、圧縮機の負荷に応じ
て圧縮機室の潤滑油の温度を適温に保つことができる。
よって、潤滑油としての冷凍機油に冷媒が過剰に溶解す
るのを防止し、冷媒溶解度を低く保つことができ、潤滑
油のトラクション係数を高く維持して変速機の摺動部に
おけるスリップや摩耗を防止することができる。
【図1】本発明の一実施例を示す自動車用空調装置の変
速機付圧縮機の側断面図。
速機付圧縮機の側断面図。
【図2】同実施例の図1におけるA−A線に沿う断面
図。
図。
【図3】同実施例の図1におけるB−B線に沿う断面
図。
図。
【図4】同実施例の図3におけるC−C線に沿う断面
図。
図。
【図5】冷媒の溶解度とトラクション係数の関係を示す
特性図。
特性図。
【図6】冷媒の温度、圧力、冷凍機油に対する冷媒溶解
度の関係を示す特性図。
度の関係を示す特性図。
10…入力軸、11…従動側プーリ、20…変速機、2
1…ケーシング、22…変速機室、23…冷凍機油、2
4…入力ディスク、25…出力ディスク、26…遊星コ
ーン、30…変速リング、31…駆動機構、50…圧縮
機、51…主ハウジング、55…吸入室、60…ロー
タ、67…ベーン、68…圧縮室、77…吸入口、81
…オーバーフロー孔、82…バイパス通路、85…主吸
入通路、90…流量制御弁、92…スプール弁、93…
スプリング、94…圧力室、95…圧力導入通路。
1…ケーシング、22…変速機室、23…冷凍機油、2
4…入力ディスク、25…出力ディスク、26…遊星コ
ーン、30…変速リング、31…駆動機構、50…圧縮
機、51…主ハウジング、55…吸入室、60…ロー
タ、67…ベーン、68…圧縮室、77…吸入口、81
…オーバーフロー孔、82…バイパス通路、85…主吸
入通路、90…流量制御弁、92…スプール弁、93…
スプリング、94…圧力室、95…圧力導入通路。
【手続補正書】
【提出日】平成4年4月24日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正内容】
【書類名】 明細書
【発明の名称】 自動車用空調装置の変速機付圧縮
機
機
【特許請求の範囲】
【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、自動車用空調装置の冷
媒圧縮機に係り、入力回転数が変化しても圧縮機を必要
な回転数に制御することができる変速機を備えた圧縮機
に関する。
媒圧縮機に係り、入力回転数が変化しても圧縮機を必要
な回転数に制御することができる変速機を備えた圧縮機
に関する。
【0002】
【従来の技術】自動車の空調装置に用いられる冷凍サイ
クルの冷媒用圧縮機は、一般に自動車に搭載されている
走行用エンジンを動力源として駆動されるようになって
いるため、エンジンの回転により直接圧縮機を運転する
場合は圧縮機の入力回転数が自動車用エンジンの回転数
に応じて変化し、よって自動車の走行状況等によって大
きく変動する。この変動を回避するため、従来の場合、
冷房能力が過剰になると、圧縮機に取付けた電磁クラッ
チをオン・オフ制御して圧縮機を起動、停止するように
し、これにより冷房能力を制御する手段が採用されてい
た。しかしながら、電磁クラッチをオン・オフ制御する
ようにすると、圧縮機の起動、停止によるショックが発
生し、また吹出口から吹き出される空気の急激な温度変
化によるフィーリングの悪化を招くなどの不具合があ
る。
クルの冷媒用圧縮機は、一般に自動車に搭載されている
走行用エンジンを動力源として駆動されるようになって
いるため、エンジンの回転により直接圧縮機を運転する
場合は圧縮機の入力回転数が自動車用エンジンの回転数
に応じて変化し、よって自動車の走行状況等によって大
きく変動する。この変動を回避するため、従来の場合、
冷房能力が過剰になると、圧縮機に取付けた電磁クラッ
チをオン・オフ制御して圧縮機を起動、停止するように
し、これにより冷房能力を制御する手段が採用されてい
た。しかしながら、電磁クラッチをオン・オフ制御する
ようにすると、圧縮機の起動、停止によるショックが発
生し、また吹出口から吹き出される空気の急激な温度変
化によるフィーリングの悪化を招くなどの不具合があ
る。
【0003】このような不具合を防止するため、エンジ
ンの回転数の変化に拘らず圧縮機の回転数を制御するこ
とができる変速機付圧縮機が、例えば特開昭62−17
0787号公報などにより提案されている。この種の変
速機付圧縮機は、入力軸に無段変速機を連結し、この変
速機に圧縮機を直列に連結した構造となっており、変速
機の変速比を制御することによりエンジン側の回転数の
影響を受けることなく変速比を任意に選択することがで
きる。このため、冷房負荷に応じて変速機の変速比を
「0から最大」まで無段階に制御することにより、エン
ジン側の変動を受けずに必要な冷房能力を得ることがで
きるようになり、圧縮機の高効率回転域を高頻度で使用
できる等から省動力が図れ、また過剰な高速回転を制御
することにより静粛で、耐久性に優れた運転が可能にな
るなどの利点がある。
ンの回転数の変化に拘らず圧縮機の回転数を制御するこ
とができる変速機付圧縮機が、例えば特開昭62−17
0787号公報などにより提案されている。この種の変
速機付圧縮機は、入力軸に無段変速機を連結し、この変
速機に圧縮機を直列に連結した構造となっており、変速
機の変速比を制御することによりエンジン側の回転数の
影響を受けることなく変速比を任意に選択することがで
きる。このため、冷房負荷に応じて変速機の変速比を
「0から最大」まで無段階に制御することにより、エン
ジン側の変動を受けずに必要な冷房能力を得ることがで
きるようになり、圧縮機の高効率回転域を高頻度で使用
できる等から省動力が図れ、また過剰な高速回転を制御
することにより静粛で、耐久性に優れた運転が可能にな
るなどの利点がある。
【0004】ところで、この種の変速機付圧縮機は遊星
コーンが複数のディスクと摩擦接触する構造であるた
め、潤滑油により潤滑および冷却する必要があり、この
ため従来、変速機部分は専用の潤滑油を用いて潤滑され
るようになっており、これにより小型で高トルクの動力
伝達を実現している。この場合、専用の潤滑油はオイル
冷却装置により油温の上昇を防止し、油温を適温に保っ
てトラクション係数を高く維持するようにしている。し
かしながら、専用のオイル冷却装置は、格別なオイルク
ーラやオイルポンプ等が必要であり、これらの部品点数
が増すので車両への搭載性が悪化する欠点がある。
コーンが複数のディスクと摩擦接触する構造であるた
め、潤滑油により潤滑および冷却する必要があり、この
ため従来、変速機部分は専用の潤滑油を用いて潤滑され
るようになっており、これにより小型で高トルクの動力
伝達を実現している。この場合、専用の潤滑油はオイル
冷却装置により油温の上昇を防止し、油温を適温に保っ
てトラクション係数を高く維持するようにしている。し
かしながら、専用のオイル冷却装置は、格別なオイルク
ーラやオイルポンプ等が必要であり、これらの部品点数
が増すので車両への搭載性が悪化する欠点がある。
【0005】これを解決するため、変速機を変速機室に
収容し、この変速機室に圧縮機の潤滑と同一の冷凍機油
を導入してこの冷凍機油で変速機を潤滑するようにした
提案がなされている。すなわち、冷凍サイクル回路に組
込んだ冷媒の圧縮機は潤滑方式として従来から、冷媒ガ
ス中に冷凍機油(潤滑油)を適量混合しており(通常は
潤滑油の混合割合を2〜10重量%)、この冷凍機油を
圧縮機の圧縮運転にもとづいて冷媒に混ぜて循環するよ
うにし、このことにより冷房運転中の圧縮機を潤滑して
いる。したがって、このような圧縮機の潤滑に用いられ
る冷凍機油を、これに連結される変速機の潤滑にも用い
るようにすれば、変速機の動力伝達損失による発熱を、
変速機室に導入した冷媒により冷却することができ、し
かもこの熱はコンデンサにより放熱することができるの
で格別なオイル冷却装置などが不要になる等の利点があ
る。
収容し、この変速機室に圧縮機の潤滑と同一の冷凍機油
を導入してこの冷凍機油で変速機を潤滑するようにした
提案がなされている。すなわち、冷凍サイクル回路に組
込んだ冷媒の圧縮機は潤滑方式として従来から、冷媒ガ
ス中に冷凍機油(潤滑油)を適量混合しており(通常は
潤滑油の混合割合を2〜10重量%)、この冷凍機油を
圧縮機の圧縮運転にもとづいて冷媒に混ぜて循環するよ
うにし、このことにより冷房運転中の圧縮機を潤滑して
いる。したがって、このような圧縮機の潤滑に用いられ
る冷凍機油を、これに連結される変速機の潤滑にも用い
るようにすれば、変速機の動力伝達損失による発熱を、
変速機室に導入した冷媒により冷却することができ、し
かもこの熱はコンデンサにより放熱することができるの
で格別なオイル冷却装置などが不要になる等の利点があ
る。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、冷媒ガ
スに混合した冷凍機油を変速機の潤滑に共用しようとす
る場合、通常冷凍機油中には冷媒が10〜40%程度溶
解しているから、この冷媒溶解度によりトラクション係
数が大幅に変化する。つまり、冷凍機油中の冷媒溶解度
が高くなると純粋な冷凍機油に比べてトラクション係数
が低下し、かつ粘度−圧力係数も低下し、このため摩擦
伝達部におけるスリップ率が増加し、油膜厚さが低下す
るので摩耗が進み、摩擦面の面荒れやグロススリップを
発生する心配がある。
スに混合した冷凍機油を変速機の潤滑に共用しようとす
る場合、通常冷凍機油中には冷媒が10〜40%程度溶
解しているから、この冷媒溶解度によりトラクション係
数が大幅に変化する。つまり、冷凍機油中の冷媒溶解度
が高くなると純粋な冷凍機油に比べてトラクション係数
が低下し、かつ粘度−圧力係数も低下し、このため摩擦
伝達部におけるスリップ率が増加し、油膜厚さが低下す
るので摩耗が進み、摩擦面の面荒れやグロススリップを
発生する心配がある。
【0007】本発明はこのような事情に着目してなされ
たもので、その目的とするところは、圧縮機の負荷に応
じて変速機室の冷凍機油(潤滑油)温度を適温に制御す
ることにより冷凍機油中への冷媒の溶解度を低くし、ト
ラクション係数を高く保ち、スリップや摩耗を防止する
ことができる自動車用空調装置の変速機付圧縮機を提供
しようとするものである。
たもので、その目的とするところは、圧縮機の負荷に応
じて変速機室の冷凍機油(潤滑油)温度を適温に制御す
ることにより冷凍機油中への冷媒の溶解度を低くし、ト
ラクション係数を高く保ち、スリップや摩耗を防止する
ことができる自動車用空調装置の変速機付圧縮機を提供
しようとするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明は上記目的を達成
するため、エンジンにより駆動される入力軸に、冷凍能
力に応じて変速比が制御される変速機を連結するととも
に、この変速機の出力側に冷凍サイクルに接続された冷
媒圧縮機を連結し、上記変速機は潤滑油を貯えた変速機
室に収容し、この変速機を上記潤滑油により潤滑すると
ともに、この潤滑油は冷媒ガスに混合されて冷凍サイク
ルを循環する冷凍機油を共用するようにし、上記冷凍サ
イクルから帰還する冷媒の吸入経路を、上記圧縮機の吸
入室に通じる主吸入通路および上記変速機室を経て上記
圧縮機の吸入室に接続したバイパス通路とに分岐し、上
記主吸入通路もしくはバイパス通路に流量制御弁を設
け、この流量制御弁を上記圧縮機の吐出側高圧の変動に
応じて作動させるようにし、この流量制御弁により冷凍
サイクルから帰還して変速機室に流れ込む冷媒の量を制
御して変速機室内の潤滑油の温度を制御するようにした
ことを特徴とする。
するため、エンジンにより駆動される入力軸に、冷凍能
力に応じて変速比が制御される変速機を連結するととも
に、この変速機の出力側に冷凍サイクルに接続された冷
媒圧縮機を連結し、上記変速機は潤滑油を貯えた変速機
室に収容し、この変速機を上記潤滑油により潤滑すると
ともに、この潤滑油は冷媒ガスに混合されて冷凍サイク
ルを循環する冷凍機油を共用するようにし、上記冷凍サ
イクルから帰還する冷媒の吸入経路を、上記圧縮機の吸
入室に通じる主吸入通路および上記変速機室を経て上記
圧縮機の吸入室に接続したバイパス通路とに分岐し、上
記主吸入通路もしくはバイパス通路に流量制御弁を設
け、この流量制御弁を上記圧縮機の吐出側高圧の変動に
応じて作動させるようにし、この流量制御弁により冷凍
サイクルから帰還して変速機室に流れ込む冷媒の量を制
御して変速機室内の潤滑油の温度を制御するようにした
ことを特徴とする。
【0009】
【作用】変速機の機能を正常な状態に維持して長寿命を
得ようとするには、変速機室内における冷凍機油(潤滑
油)中の冷媒溶解度を10%以下に保つことが望まれ
る。しかし、上記冷凍機油中の冷媒溶解度は、変速機室
内の圧力と、潤滑油の温度で決まる。変速機室内の圧力
は通常圧縮機の吸入側圧力に等しく保たれ、例えば0.
1〜0.4MPa.abs 程度に維持されるが、潤滑油の
温度は、変速機における摩擦部分で発生する摩擦熱つま
り損失熱と、潤滑油の油量および冷媒の流入量により変
動する。空調装置の冷房負荷が小さい場合は、圧縮機の
負荷が小さいので変速機の損失熱が低くなり、変速機室
に貯えられている冷凍機油の油温が低くなる傾向にあ
り、逆に、空調装置の冷房負荷が高い場合は、圧縮機の
負荷が大きくなるから変速機の動力伝達損失が多くな
り、変速機室に貯えられている冷凍機油の油温が高くな
る傾向にある。したがって、冷凍機油の油温は圧縮機の
負荷に応じて調整することができ、圧縮機の負荷に応じ
て変速機室に供給される冷媒の流入量を制御すれば、最
適な油温を維持することができる。上記構成の本発明の
変速機付圧縮機によると、空調装置の冷房負荷が小さ
く、つまり圧縮機の負荷が小さい場合は、圧縮機の吐出
側高圧が低くなるのでこの圧力変動に応じて流量制御弁
が作動し、冷凍サイクルから変速機室に流れ込む冷媒の
量を減少させるようになり、変速機室の潤滑油の温度低
下を抑止することができる。また逆に、空調装置の冷房
負荷が大きくなる等のように、圧縮機の吐出側高圧が高
くなると、この圧力変動に応じて上記流量制御弁が作動
して冷凍サイクルから変速機室に流れ込む冷媒の量を増
加させるようになり、これにより変速機室の潤滑油の温
度を引き下げることができる。したがって、圧縮機の吐
出側圧力に応じて変速機室の潤滑油の温度を最適温度に
保つことができ、この結果、トラクション係数を高く保
つことができる。
得ようとするには、変速機室内における冷凍機油(潤滑
油)中の冷媒溶解度を10%以下に保つことが望まれ
る。しかし、上記冷凍機油中の冷媒溶解度は、変速機室
内の圧力と、潤滑油の温度で決まる。変速機室内の圧力
は通常圧縮機の吸入側圧力に等しく保たれ、例えば0.
1〜0.4MPa.abs 程度に維持されるが、潤滑油の
温度は、変速機における摩擦部分で発生する摩擦熱つま
り損失熱と、潤滑油の油量および冷媒の流入量により変
動する。空調装置の冷房負荷が小さい場合は、圧縮機の
負荷が小さいので変速機の損失熱が低くなり、変速機室
に貯えられている冷凍機油の油温が低くなる傾向にあ
り、逆に、空調装置の冷房負荷が高い場合は、圧縮機の
負荷が大きくなるから変速機の動力伝達損失が多くな
り、変速機室に貯えられている冷凍機油の油温が高くな
る傾向にある。したがって、冷凍機油の油温は圧縮機の
負荷に応じて調整することができ、圧縮機の負荷に応じ
て変速機室に供給される冷媒の流入量を制御すれば、最
適な油温を維持することができる。上記構成の本発明の
変速機付圧縮機によると、空調装置の冷房負荷が小さ
く、つまり圧縮機の負荷が小さい場合は、圧縮機の吐出
側高圧が低くなるのでこの圧力変動に応じて流量制御弁
が作動し、冷凍サイクルから変速機室に流れ込む冷媒の
量を減少させるようになり、変速機室の潤滑油の温度低
下を抑止することができる。また逆に、空調装置の冷房
負荷が大きくなる等のように、圧縮機の吐出側高圧が高
くなると、この圧力変動に応じて上記流量制御弁が作動
して冷凍サイクルから変速機室に流れ込む冷媒の量を増
加させるようになり、これにより変速機室の潤滑油の温
度を引き下げることができる。したがって、圧縮機の吐
出側圧力に応じて変速機室の潤滑油の温度を最適温度に
保つことができ、この結果、トラクション係数を高く保
つことができる。
【0010】
【実施例】以下、この発明を図面に示す一実施例にもと
づいて説明する。図1は自動車用空調装置に用いられる
変速機付圧縮機を示し、この変速機付圧縮機は入力軸1
0に変速機20を介して圧縮機50を連結して構成され
ている。入力軸10は従動側プーリ11を備え、この従
動側プーリ11は自動車に搭載されている走行用エンジ
ンのクランク軸に取着した駆動側プーリ(図示しない)
に対して無端状Vベルトで連結される。つまり、従動側
プーリ11は走行用のエンジンを動力源として回転さ
れ、これにより変速機付圧縮機を駆動するようになって
いる。変速機20は、例えば遊星コーンを用いた摩擦無
段式の変速装置であり、これは後で説明する。
づいて説明する。図1は自動車用空調装置に用いられる
変速機付圧縮機を示し、この変速機付圧縮機は入力軸1
0に変速機20を介して圧縮機50を連結して構成され
ている。入力軸10は従動側プーリ11を備え、この従
動側プーリ11は自動車に搭載されている走行用エンジ
ンのクランク軸に取着した駆動側プーリ(図示しない)
に対して無端状Vベルトで連結される。つまり、従動側
プーリ11は走行用のエンジンを動力源として回転さ
れ、これにより変速機付圧縮機を駆動するようになって
いる。変速機20は、例えば遊星コーンを用いた摩擦無
段式の変速装置であり、これは後で説明する。
【0011】圧縮機50は、本実施例の場合ベーン型圧
縮機であり、まずこれから説明する。図において51は
主ハウジングを示す。この主ハウジング51の内面52
は、図2に示すように、若干いびつな形の円筒面をなし
ている。この主ハウジング51の前端部はフロントプレ
ート53により閉塞されており、このフロントプレート
53にはフロントハウジング54が連結されている。フ
ロントプレート54とフロントハウジング54の間には
吸入室55が形成されている。主ハウジング1の後端部
はリアプレート56により閉塞されており、このリアプ
レート56にはリアハウジング57が連結されている。
リアプレート56とリアハウジング57の間にはオイル
分離室58が形成されている。上記フロントハウジング
54と、フロントプレート53、主ハウジンググ51、
リアプレート57およびリアハウジング57は、スルー
ボルト59によって一体的に連結されている。主ハウジ
ング51には、ロータ60が収容されている。ロータ6
0は主ハウジング51内に偏心して配置されており、こ
のロータ60の一端には駆動軸61が設けられていると
ともに、他端には支持軸62が一体に設けられている。
駆動軸61および支持軸62は、それぞれ上記フロント
プレート53およびリアプレート56に対し、ラジアル
軸受63、64により回転自在に支持されている。駆動
軸61は、フロントハウジング55を貫通して図1の左
側に導出されており、この端部は後述する変速機20に
連結されている。
縮機であり、まずこれから説明する。図において51は
主ハウジングを示す。この主ハウジング51の内面52
は、図2に示すように、若干いびつな形の円筒面をなし
ている。この主ハウジング51の前端部はフロントプレ
ート53により閉塞されており、このフロントプレート
53にはフロントハウジング54が連結されている。フ
ロントプレート54とフロントハウジング54の間には
吸入室55が形成されている。主ハウジング1の後端部
はリアプレート56により閉塞されており、このリアプ
レート56にはリアハウジング57が連結されている。
リアプレート56とリアハウジング57の間にはオイル
分離室58が形成されている。上記フロントハウジング
54と、フロントプレート53、主ハウジンググ51、
リアプレート57およびリアハウジング57は、スルー
ボルト59によって一体的に連結されている。主ハウジ
ング51には、ロータ60が収容されている。ロータ6
0は主ハウジング51内に偏心して配置されており、こ
のロータ60の一端には駆動軸61が設けられていると
ともに、他端には支持軸62が一体に設けられている。
駆動軸61および支持軸62は、それぞれ上記フロント
プレート53およびリアプレート56に対し、ラジアル
軸受63、64により回転自在に支持されている。駆動
軸61は、フロントハウジング55を貫通して図1の左
側に導出されており、この端部は後述する変速機20に
連結されている。
【0012】ロータ60には、図2に示すように、十字
形のベーン溝66が形成されており、これらベーン溝6
6には、それぞれベ−ン67…が放射方向に摺動自在に
収容されている。主ハウジング51の内面52と、フロ
ントプレ―ト53、リアプレ―ト57、ロータ60およ
び各ベ−ン67…とで囲まれた空間は圧縮室68…を構
成しており、上記ロータ60の回転に伴ってこれら圧縮
室68…は容積を変化する。この圧縮室68…の容積が
増大する領域は吸入行程となり、また圧縮室68…の容
積が縮小する領域は圧縮行程およびこれに続いて吐出行
程となる。
形のベーン溝66が形成されており、これらベーン溝6
6には、それぞれベ−ン67…が放射方向に摺動自在に
収容されている。主ハウジング51の内面52と、フロ
ントプレ―ト53、リアプレ―ト57、ロータ60およ
び各ベ−ン67…とで囲まれた空間は圧縮室68…を構
成しており、上記ロータ60の回転に伴ってこれら圧縮
室68…は容積を変化する。この圧縮室68…の容積が
増大する領域は吸入行程となり、また圧縮室68…の容
積が縮小する領域は圧縮行程およびこれに続いて吐出行
程となる。
【0013】主ハウジンググ51の側壁には、上記圧縮
室68が吐出行程となる位置に対向して吐出室ハウジン
グ70が取付けられている。この吐出室ハウジング70
には吐出室71が形成されている。そして、主ハウジン
グ51の側壁には、圧縮室68が吐出行程にある場合に
この圧縮室68と吐出室71とを連通する吐出孔72が
開口されており、この吐出孔72は逆止弁構造の吐出弁
73により開閉されるようになっている。
室68が吐出行程となる位置に対向して吐出室ハウジン
グ70が取付けられている。この吐出室ハウジング70
には吐出室71が形成されている。そして、主ハウジン
グ51の側壁には、圧縮室68が吐出行程にある場合に
この圧縮室68と吐出室71とを連通する吐出孔72が
開口されており、この吐出孔72は逆止弁構造の吐出弁
73により開閉されるようになっている。
【0014】上記吐出室ハウジング70は、リアプレー
ト56に形成した吐出通路74を介して前記オイル分離
室58に導通している。このオイル分離室58は吐出口
75に取着される吐出パイプ(図示しない)を通じて冷
凍サイクルのコンデンサに接続される。なお、このオイ
ル分離室58には圧力導入通路95が接続されており、
この圧力導入通路95は後述する流量制御弁90に接続
されている。
ト56に形成した吐出通路74を介して前記オイル分離
室58に導通している。このオイル分離室58は吐出口
75に取着される吐出パイプ(図示しない)を通じて冷
凍サイクルのコンデンサに接続される。なお、このオイ
ル分離室58には圧力導入通路95が接続されており、
この圧力導入通路95は後述する流量制御弁90に接続
されている。
【0015】フロントプレート53には、圧縮室68が
吸入行程にある場合にこの圧縮室68に導通する吸入孔
76が形成されており、この吸入孔76はフロントハウ
ジング54に形成した吸入室55に通じている。この吸
入室55は後述する流量制御弁90および吸入口77
(図3に示す)を介して冷凍サイクルのエバポレータに
連結されている。
吸入行程にある場合にこの圧縮室68に導通する吸入孔
76が形成されており、この吸入孔76はフロントハウ
ジング54に形成した吸入室55に通じている。この吸
入室55は後述する流量制御弁90および吸入口77
(図3に示す)を介して冷凍サイクルのエバポレータに
連結されている。
【0016】このような構成によるベーン型圧縮機は、
自動車走行用エンジンの回転力が駆動軸61を通じてロ
ータ60に伝えられることによりこのロータ60が主ハ
ウジング51内で回転し、この回転に伴ない冷凍サイク
ルのエバポレータから吸入室55を通じて導入した冷媒
を吸入孔76から圧縮室68内に吸入する。吸入された
冷媒は圧縮室68の容積減少に伴って圧縮され、吐出孔
72より吐出弁73を押し開いて吐出室71に吐出され
る。この冷媒は、冷媒通路74からオイル分離室58に
送られ、このオイル分離室58内で比重の差により冷凍
機油成分を分離して純度を高め、この冷媒は吐出口75
を経て冷凍サイクルのコンデンサ側へ吐出される。
自動車走行用エンジンの回転力が駆動軸61を通じてロ
ータ60に伝えられることによりこのロータ60が主ハ
ウジング51内で回転し、この回転に伴ない冷凍サイク
ルのエバポレータから吸入室55を通じて導入した冷媒
を吸入孔76から圧縮室68内に吸入する。吸入された
冷媒は圧縮室68の容積減少に伴って圧縮され、吐出孔
72より吐出弁73を押し開いて吐出室71に吐出され
る。この冷媒は、冷媒通路74からオイル分離室58に
送られ、このオイル分離室58内で比重の差により冷凍
機油成分を分離して純度を高め、この冷媒は吐出口75
を経て冷凍サイクルのコンデンサ側へ吐出される。
【0017】次に、変速機20について説明する。21
はケーシングであり、このケーシング21は上記圧縮機
50のフロントハウジング54の周部に、図示しないボ
ルトにより密閉的に連結されている。このケーシング2
1は、略キャップ状をなしており、内部に変速機室22
を形成している。この変速機室22には冷凍機油23
(潤滑油)が貯溜されている。
はケーシングであり、このケーシング21は上記圧縮機
50のフロントハウジング54の周部に、図示しないボ
ルトにより密閉的に連結されている。このケーシング2
1は、略キャップ状をなしており、内部に変速機室22
を形成している。この変速機室22には冷凍機油23
(潤滑油)が貯溜されている。
【0018】このケ−シング21のフロント側壁部に
は、前記入力軸10がラジアル軸受12により回転自在
に支持されている。この入力軸10は、前記圧縮機50
の駆動軸61の軸線と同軸をなしており、ケーシング2
1の側壁を貫通している。この入力軸10の貫通端には
前記従動側プーリ11が装着されており、エンジンの回
転を入力軸10へ伝達するようになっている。なお、1
3はプーリ支持用のラジアル軸受、14は従動側プーリ
11とラジアル軸受12との間の入力軸部分に設けたオ
イルシ−ルを示す。
は、前記入力軸10がラジアル軸受12により回転自在
に支持されている。この入力軸10は、前記圧縮機50
の駆動軸61の軸線と同軸をなしており、ケーシング2
1の側壁を貫通している。この入力軸10の貫通端には
前記従動側プーリ11が装着されており、エンジンの回
転を入力軸10へ伝達するようになっている。なお、1
3はプーリ支持用のラジアル軸受、14は従動側プーリ
11とラジアル軸受12との間の入力軸部分に設けたオ
イルシ−ルを示す。
【0019】また入力軸10のハウジング21内に突出
した端部には、入力ディスク24が一体的に回転するよ
うに取着されている。これに対し、前記圧縮機50の駆
動軸61の突出端には出力ディスク25が、後述する伝
達ディスクおよびカムディスクを介して一体的に回転す
るように取り付けられている。これら入力ディスク24
と出力ディスク25の間には複数の遊星コーン26(2
個だけ図示)が配置されている。
した端部には、入力ディスク24が一体的に回転するよ
うに取着されている。これに対し、前記圧縮機50の駆
動軸61の突出端には出力ディスク25が、後述する伝
達ディスクおよびカムディスクを介して一体的に回転す
るように取り付けられている。これら入力ディスク24
と出力ディスク25の間には複数の遊星コーン26(2
個だけ図示)が配置されている。
【0020】遊星コーン26は3つの伝動面を有する略
傘状をなしている。すなわち、遊星コーン26は、円錐
部27aと、この円錐部27aの円錐底面27bと、こ
の円錐部27aと同軸をなして形成された小径なリング
部27cおよびこのリング部27cと同軸をなして形成
された取付軸27dを一体的に有している。円錐部27
aは後述する変速リング30に摩擦係合しているととも
に、円錐底面27bは上記出力ディスク25の外周面と
摩擦係合し、小径なリング部27cは入力ディスク24
の外周端と摩擦係合している。
傘状をなしている。すなわち、遊星コーン26は、円錐
部27aと、この円錐部27aの円錐底面27bと、こ
の円錐部27aと同軸をなして形成された小径なリング
部27cおよびこのリング部27cと同軸をなして形成
された取付軸27dを一体的に有している。円錐部27
aは後述する変速リング30に摩擦係合しているととも
に、円錐底面27bは上記出力ディスク25の外周面と
摩擦係合し、小径なリング部27cは入力ディスク24
の外周端と摩擦係合している。
【0021】このような遊星コーン26は、その取付軸
部27dがコーンリテーナ28に適当なクリアランスを
存して回転自在に装着されており、このコーンリテーナ
28は、入力軸10に対して回転自在に支持されてい
る。したがって、これら遊星コーン26…は自転および
公転が自在となっており、円錐部27aに摩擦係合して
いる変速リング30が入力軸10の軸線方向に沿ってス
ライドすることにより遊星コーン26の接触点の位置が
頂角から周縁部の間で変化し、このため自転速度と公転
速度が変化するので入力軸10から伝えられた回転速度
を変速できるようになっている。本実施例では、例えば
「変速比0(円錐部27aの周縁近傍の位置)から変速
比1(円錐部27aの頂角近傍の位置)」の範囲で回転
を無段で変速するようにしてある。
部27dがコーンリテーナ28に適当なクリアランスを
存して回転自在に装着されており、このコーンリテーナ
28は、入力軸10に対して回転自在に支持されてい
る。したがって、これら遊星コーン26…は自転および
公転が自在となっており、円錐部27aに摩擦係合して
いる変速リング30が入力軸10の軸線方向に沿ってス
ライドすることにより遊星コーン26の接触点の位置が
頂角から周縁部の間で変化し、このため自転速度と公転
速度が変化するので入力軸10から伝えられた回転速度
を変速できるようになっている。本実施例では、例えば
「変速比0(円錐部27aの周縁近傍の位置)から変速
比1(円錐部27aの頂角近傍の位置)」の範囲で回転
を無段で変速するようにしてある。
【0022】上記変速リング30は駆動機構31により
駆動される。駆動機構31は、ケ−シング21の上部に
取着した駆動モータ32を有しており、この駆動モータ
32はケ−シング21の上部に設けたねじ軸33を回転
するようになっている。ケ−シング21の上部には、ね
じ軸33の軸方向に沿ってガイトピン34が設けられて
おり、このガイドピン34にはカムブロック35が軸方
向に摺動自在に取着されている。このカムブロック35
は上記ねじ軸33にねじ係合している。したがって、駆
動モータ32によりねじ軸33を回転駆動すると、カム
ブロック35がガイドピン34に案内されて軸方向に移
動する。このようなカムブロック35には、前記変速リ
ング30が係合しており、この変速リング30は入力軸
10の軸線回りに同軸的に取着されていて上記カムブロ
ック35と一体的に軸方向へ移動されるようになってい
る。
駆動される。駆動機構31は、ケ−シング21の上部に
取着した駆動モータ32を有しており、この駆動モータ
32はケ−シング21の上部に設けたねじ軸33を回転
するようになっている。ケ−シング21の上部には、ね
じ軸33の軸方向に沿ってガイトピン34が設けられて
おり、このガイドピン34にはカムブロック35が軸方
向に摺動自在に取着されている。このカムブロック35
は上記ねじ軸33にねじ係合している。したがって、駆
動モータ32によりねじ軸33を回転駆動すると、カム
ブロック35がガイドピン34に案内されて軸方向に移
動する。このようなカムブロック35には、前記変速リ
ング30が係合しており、この変速リング30は入力軸
10の軸線回りに同軸的に取着されていて上記カムブロ
ック35と一体的に軸方向へ移動されるようになってい
る。
【0023】よって、遊星コーン26の円錐部27aに
摩擦係合している上記変速リング30が軸線方向に沿っ
てスライドすることにより遊星コーン26の接触点の位
置が頂角から周縁部の間で変化し、このため入力軸10
からの回転速度を変速できるようになっている。つま
り、変速リング30が図1の矢印Hで示す通り、遊星コ
ーン26…の円錐部27aの周縁部に摩擦係合している
場合は、有効接触半径が大きくて遊星コーン26…の公
転速度が大きくて自転速度は小さく、この場合変速比は
0に近くなる。また、変速リング30が図1の矢印Lで
示す通り、遊星コーン26…の円錐部27aの頂点部に
近づく場合は、有効接触半径が小さくなり、遊星コーン
26…の公転速度が減少し、自転速度が大きくなり、こ
の場合は変速比は1に近くなる。よって、変速比0(円
錐部27aの周縁近傍の位置)から変速比1(円錐部2
7aの頂角近傍の位置)の範囲で回転を無段階で変速す
ることができる。
摩擦係合している上記変速リング30が軸線方向に沿っ
てスライドすることにより遊星コーン26の接触点の位
置が頂角から周縁部の間で変化し、このため入力軸10
からの回転速度を変速できるようになっている。つま
り、変速リング30が図1の矢印Hで示す通り、遊星コ
ーン26…の円錐部27aの周縁部に摩擦係合している
場合は、有効接触半径が大きくて遊星コーン26…の公
転速度が大きくて自転速度は小さく、この場合変速比は
0に近くなる。また、変速リング30が図1の矢印Lで
示す通り、遊星コーン26…の円錐部27aの頂点部に
近づく場合は、有効接触半径が小さくなり、遊星コーン
26…の公転速度が減少し、自転速度が大きくなり、こ
の場合は変速比は1に近くなる。よって、変速比0(円
錐部27aの周縁近傍の位置)から変速比1(円錐部2
7aの頂角近傍の位置)の範囲で回転を無段階で変速す
ることができる。
【0024】上記出力ディスク25は、カムディスク3
7および伝達ディスク38により圧縮機50の駆動軸6
1に回転を伝える。つまり、カムディスク37はラジア
ル軸受39により入力軸10に回転自在に支持されてい
る。そして、出力ディスク25とカムディスク37は、
互いに対向する板面部分に配置した複数の鋼球41…お
よびこれら鋼球41…の動きを規制する図示しない凹部
によって動力的に結合されている。また、出力ディスク
25とカムディスク37との間には、複数の圧縮コイル
スプリング42…が介装されており、この圧縮コイルス
プリング42…の弾性力により、出力ディスク25を常
に遊星コーン26に押圧付勢させている。
7および伝達ディスク38により圧縮機50の駆動軸6
1に回転を伝える。つまり、カムディスク37はラジア
ル軸受39により入力軸10に回転自在に支持されてい
る。そして、出力ディスク25とカムディスク37は、
互いに対向する板面部分に配置した複数の鋼球41…お
よびこれら鋼球41…の動きを規制する図示しない凹部
によって動力的に結合されている。また、出力ディスク
25とカムディスク37との間には、複数の圧縮コイル
スプリング42…が介装されており、この圧縮コイルス
プリング42…の弾性力により、出力ディスク25を常
に遊星コーン26に押圧付勢させている。
【0025】カムディスク37と伝達ディスク38はね
じ43…により連結されており、この伝達ディスク38
は圧縮機50の駆動軸61にスプライン係合してこの駆
動軸61と一体に回転するようになっている。よって、
出力ディスク25から出力された回転はカムディスク3
7および伝達ディスク38を介して圧縮機50の駆動軸
61に出力するようにしている。なお、40はカムディ
スク37のスラスト荷重を支持するスラスト軸受であ
る。
じ43…により連結されており、この伝達ディスク38
は圧縮機50の駆動軸61にスプライン係合してこの駆
動軸61と一体に回転するようになっている。よって、
出力ディスク25から出力された回転はカムディスク3
7および伝達ディスク38を介して圧縮機50の駆動軸
61に出力するようにしている。なお、40はカムディ
スク37のスラスト荷重を支持するスラスト軸受であ
る。
【0026】こうした遊星コーン26およびコーンリテ
−ナ28の配置により、これら遊星コーン26および変
速リング30は、ケーシング21に形成した変速機室2
2の冷凍機油23中に浸漬されるようになっており、遊
星コーン26の公転、自転による冷凍機油23の跳ね上
げにより、変速機20の摺動部分に冷凍機油23を供給
するようにしている。
−ナ28の配置により、これら遊星コーン26および変
速リング30は、ケーシング21に形成した変速機室2
2の冷凍機油23中に浸漬されるようになっており、遊
星コーン26の公転、自転による冷凍機油23の跳ね上
げにより、変速機20の摺動部分に冷凍機油23を供給
するようにしている。
【0027】上記ケーシング21の内部に形成した変速
機室22に冷凍機油23を導入するため、以下のような
構造を採用してある。すなわち、図3はフロントハウジ
ング54を図1の矢印B−B方向からみた図であり、こ
のフロントハウジング54には比較的上部に位置して、
圧力の均衡を計る均圧孔を兼ねたオーバーフロー孔81
が形成されており、このオーバーフロー孔81は変速機
室22と前記吸入室55とを連通している。そして、こ
のフロントハウジング54の側壁には、冷凍サイクルの
エバポレータに対し、図示しない吸入パイプを通じて接
続される吸入口77が開口されている。この吸入口77
はバイパス通路82によって低圧の変速機室22に通じ
ている。したがって、変速機室22には上記吸入口77
からバイパス通路82を通じて冷媒が供給され、この冷
媒に混合されている冷凍機油23がこの変速機室22に
導入され、ここで分離されるようになっている。この変
速機室22内が所定の圧力および液面に達すると、上記
オーバーフロー孔81を介してその圧力や冷媒および冷
凍機油23が吸入室55へ逃がされるようになってい
る。
機室22に冷凍機油23を導入するため、以下のような
構造を採用してある。すなわち、図3はフロントハウジ
ング54を図1の矢印B−B方向からみた図であり、こ
のフロントハウジング54には比較的上部に位置して、
圧力の均衡を計る均圧孔を兼ねたオーバーフロー孔81
が形成されており、このオーバーフロー孔81は変速機
室22と前記吸入室55とを連通している。そして、こ
のフロントハウジング54の側壁には、冷凍サイクルの
エバポレータに対し、図示しない吸入パイプを通じて接
続される吸入口77が開口されている。この吸入口77
はバイパス通路82によって低圧の変速機室22に通じ
ている。したがって、変速機室22には上記吸入口77
からバイパス通路82を通じて冷媒が供給され、この冷
媒に混合されている冷凍機油23がこの変速機室22に
導入され、ここで分離されるようになっている。この変
速機室22内が所定の圧力および液面に達すると、上記
オーバーフロー孔81を介してその圧力や冷媒および冷
凍機油23が吸入室55へ逃がされるようになってい
る。
【0028】さらに、上記フロントハウジング54の側
壁には、上記吸入口77と吸入室55とを連通させる主
吸入通路85が形成されている。この主吸入通路85に
は、この通路の開口面積を制御する前記流量制御弁90
が設けられている。流量制御弁90は、図4にも示す通
り、主吸入通路85と直交するように形成した取付け孔
91内にスプール弁92を摺動自在に嵌挿して構成して
あり、このスプール弁92の一端はコイルばね93によ
り押圧されているとともに、他端は圧力室94に望まさ
れている。圧力室94は閉塞体96に形成した圧力導入
通路95に通じており、この圧力導入通路95は、前記
した圧縮機50のオイル分離室58に接続されている。
つまり、圧力室94は圧縮機50のオイル分離室58に
通じており、よって圧縮機50の吐出側高圧を導入する
ようになっている。したがって、スプール弁92は一端
側のコイルばね93と、他端側の圧力室94の圧力との
押圧力の差により摺動移動するようになっている。
壁には、上記吸入口77と吸入室55とを連通させる主
吸入通路85が形成されている。この主吸入通路85に
は、この通路の開口面積を制御する前記流量制御弁90
が設けられている。流量制御弁90は、図4にも示す通
り、主吸入通路85と直交するように形成した取付け孔
91内にスプール弁92を摺動自在に嵌挿して構成して
あり、このスプール弁92の一端はコイルばね93によ
り押圧されているとともに、他端は圧力室94に望まさ
れている。圧力室94は閉塞体96に形成した圧力導入
通路95に通じており、この圧力導入通路95は、前記
した圧縮機50のオイル分離室58に接続されている。
つまり、圧力室94は圧縮機50のオイル分離室58に
通じており、よって圧縮機50の吐出側高圧を導入する
ようになっている。したがって、スプール弁92は一端
側のコイルばね93と、他端側の圧力室94の圧力との
押圧力の差により摺動移動するようになっている。
【0029】圧力室94の圧力が所定圧力よりも低い場
合は、スプール弁92が図3および図4の状態から図示
の下方に移動し、これにより主吸入通路85を開き、吸
入口77を主吸入通路85を経て吸入室55に連通させ
るようになっている。この場合は、吸入口77から吸入
室55に向かって直接送られる冷媒の量が増し、吸入口
77からバイパス通路82を通じて変速機室22へ送り
込まれ冷媒の量を減じるようになる。よって、変速機室
22に送られる低温冷媒の供給量が少なくなり、変速機
室22の冷凍機油23の冷却を抑制するようになってい
る。
合は、スプール弁92が図3および図4の状態から図示
の下方に移動し、これにより主吸入通路85を開き、吸
入口77を主吸入通路85を経て吸入室55に連通させ
るようになっている。この場合は、吸入口77から吸入
室55に向かって直接送られる冷媒の量が増し、吸入口
77からバイパス通路82を通じて変速機室22へ送り
込まれ冷媒の量を減じるようになる。よって、変速機室
22に送られる低温冷媒の供給量が少なくなり、変速機
室22の冷凍機油23の冷却を抑制するようになってい
る。
【0030】このような構成の自動車用空調装置の変速
機付圧縮機について作用を説明する。自動車のエンジン
を起動させると、エンジンの回転が駆動側プーリ、Vベ
ルトおよび従動側プーリ11介して変速機付圧縮機の入
力軸10に伝達される。これにより入力軸10の回転が
入力ディスク24から遊星コーン26に伝達され、遊星
コーン26を自転ならびに公転させる。
機付圧縮機について作用を説明する。自動車のエンジン
を起動させると、エンジンの回転が駆動側プーリ、Vベ
ルトおよび従動側プーリ11介して変速機付圧縮機の入
力軸10に伝達される。これにより入力軸10の回転が
入力ディスク24から遊星コーン26に伝達され、遊星
コーン26を自転ならびに公転させる。
【0031】図示しない制御器から駆動モータ32に信
号を送り、この駆動モータ32でねじ軸33を回転する
と、カムブロック35がガイドピン34に案内されて軸
方向へ移動する。このため、遊星コーン26の円錐部2
7aと摩擦係合している変速リング30が軸線方向に沿
ってスライドし、遊星コーン26の接触点の位置が頂角
から周縁部の間で変化し、このため入力軸10からの回
転速度を変速して出力ディスク25に伝える。出力ディ
スク25に出力された変速回転はカムディスク37およ
び伝達ディスク38を介して圧縮機50の駆動軸61に
伝えられ、よって圧縮機50が駆動される。
号を送り、この駆動モータ32でねじ軸33を回転する
と、カムブロック35がガイドピン34に案内されて軸
方向へ移動する。このため、遊星コーン26の円錐部2
7aと摩擦係合している変速リング30が軸線方向に沿
ってスライドし、遊星コーン26の接触点の位置が頂角
から周縁部の間で変化し、このため入力軸10からの回
転速度を変速して出力ディスク25に伝える。出力ディ
スク25に出力された変速回転はカムディスク37およ
び伝達ディスク38を介して圧縮機50の駆動軸61に
伝えられ、よって圧縮機50が駆動される。
【0032】圧縮機50においては、駆動軸61に回転
が伝えられることによりロータ60が主ハウジング51
内で回転し、この回転に伴ない圧縮室68が容積を拡張
する過程で、冷媒を吸入室55から吸入孔76を通じて
吸入する。吸入された冷媒は圧縮室68の容積減少に伴
って圧縮され、吐出孔72から吐出弁73を押し開いて
吐出室71に吐出される。この冷媒は、冷媒通路74か
らオイル分離室58に送られ、このオイル分離室58の
吐出口75から冷凍サイクルのコンデンサ側へ吐出され
る。
が伝えられることによりロータ60が主ハウジング51
内で回転し、この回転に伴ない圧縮室68が容積を拡張
する過程で、冷媒を吸入室55から吸入孔76を通じて
吸入する。吸入された冷媒は圧縮室68の容積減少に伴
って圧縮され、吐出孔72から吐出弁73を押し開いて
吐出室71に吐出される。この冷媒は、冷媒通路74か
らオイル分離室58に送られ、このオイル分離室58の
吐出口75から冷凍サイクルのコンデンサ側へ吐出され
る。
【0033】冷凍サイクルを循環した冷媒はエバポレー
タからフロントハウジング54の吸入口77に帰還され
る。吸入口77に帰還された冷媒は、バイパス通路82
を通じてケ−シング21内に形成した変速機室22に導
入される。変速機室22では冷媒ガス中に混合されてい
る冷凍機油23が分離され、この冷凍機油23の油量を
オーバーフロー孔81の高さまで維持する。
タからフロントハウジング54の吸入口77に帰還され
る。吸入口77に帰還された冷媒は、バイパス通路82
を通じてケ−シング21内に形成した変速機室22に導
入される。変速機室22では冷媒ガス中に混合されてい
る冷凍機油23が分離され、この冷凍機油23の油量を
オーバーフロー孔81の高さまで維持する。
【0034】なお、変速機室22内の冷凍機油23がオ
ーバーフロー孔81よりも多くなると、この冷凍機油2
3はオーバーフロー孔81を経て吸入室55に流れ込
み、よって、変速機室22内の冷凍機油23の量を一定
に保つ。
ーバーフロー孔81よりも多くなると、この冷凍機油2
3はオーバーフロー孔81を経て吸入室55に流れ込
み、よって、変速機室22内の冷凍機油23の量を一定
に保つ。
【0035】また、この変速機室22はオーバーフロー
孔81を経て吸入室55に通じているので、上記吸入口
77、変速機室22および吸入室55の圧力は圧縮機の
吸入圧と等しい低圧に保たれている。通常、この吸入圧
は0.1〜0.4MPa.abs 程度である。
孔81を経て吸入室55に通じているので、上記吸入口
77、変速機室22および吸入室55の圧力は圧縮機の
吸入圧と等しい低圧に保たれている。通常、この吸入圧
は0.1〜0.4MPa.abs 程度である。
【0036】そして、遊星コーン26が公転すると、変
速機室22に溜まっている冷凍機油23に浸漬され、ま
たこの冷凍機油を跳ね上げるから、この冷凍機油23に
より変速機20の各摺動部を潤滑する。
速機室22に溜まっている冷凍機油23に浸漬され、ま
たこの冷凍機油を跳ね上げるから、この冷凍機油23に
より変速機20の各摺動部を潤滑する。
【0037】冷凍サイクルによる冷凍能力が低い場合
は、制御器からの指令により変速機20は変速比が小さ
く、圧縮機50の回転数は低い。このような運転状態で
は変速機20の動力伝達損失は低く、摩擦熱の発生は少
ないから変速機室22の冷凍機油23の温度が低下す
る。この場合、冷凍サイクルの負荷は低く、圧縮機50
の吐出圧が低いので、オイル分離室58内の冷媒圧力も
比較的低い。このオイル分離室58内の圧力は圧力導入
通路95を通じて流量制御弁90の圧力室94に作用し
ており、この圧力室94の圧力が所定圧力よりも低いの
でスプリング93の押圧力によりスプール弁92が押さ
れ、これにより主吸入通路85を開く。したがって、こ
の場合は吸入口77に導入されている低温低圧の冷媒が
主吸入通路85から吸入室55へ導入されるようにな
り、吸入口77からバイパス通路82を通じて変速機室
22へ送り込まれ冷媒の量が減じられる。このため、変
速機室22に送られる低温冷媒の量が少なくなり、変速
機室22の冷凍機油23の冷却を抑える。
は、制御器からの指令により変速機20は変速比が小さ
く、圧縮機50の回転数は低い。このような運転状態で
は変速機20の動力伝達損失は低く、摩擦熱の発生は少
ないから変速機室22の冷凍機油23の温度が低下す
る。この場合、冷凍サイクルの負荷は低く、圧縮機50
の吐出圧が低いので、オイル分離室58内の冷媒圧力も
比較的低い。このオイル分離室58内の圧力は圧力導入
通路95を通じて流量制御弁90の圧力室94に作用し
ており、この圧力室94の圧力が所定圧力よりも低いの
でスプリング93の押圧力によりスプール弁92が押さ
れ、これにより主吸入通路85を開く。したがって、こ
の場合は吸入口77に導入されている低温低圧の冷媒が
主吸入通路85から吸入室55へ導入されるようにな
り、吸入口77からバイパス通路82を通じて変速機室
22へ送り込まれ冷媒の量が減じられる。このため、変
速機室22に送られる低温冷媒の量が少なくなり、変速
機室22の冷凍機油23の冷却を抑える。
【0038】一方、冷凍サイクルによる冷凍能力が高い
場合は、圧縮機50の負荷が高くなるので変速機20の
動力伝達損失が大きくなり、摩擦熱の発生が増して変速
機室22の冷凍機油23の温度が高くなる。この場合、
圧縮機50の吐出圧が高いので、オイル分離室58内の
冷媒圧力が高く、このオイル分離室58内の圧力が圧力
導入通路95を介して導かれる流量制御弁90の圧力室
94に圧力が高くなる。よって、この場合はスプリング
93の押圧力に打ち勝ってスプール弁92が図示上に押
され、これにより主吸入通路85の開度を規制する。し
たがって、この場合は吸入口77に導入された低温低圧
の冷媒は、主として吸入口77からバイパス通路82を
通じて変速機室22へ送り込まれるようになり、このた
め、変速機室22に送られる低温冷媒の量が多くなるか
ら、変速機室22の冷凍機油23を冷却する。
場合は、圧縮機50の負荷が高くなるので変速機20の
動力伝達損失が大きくなり、摩擦熱の発生が増して変速
機室22の冷凍機油23の温度が高くなる。この場合、
圧縮機50の吐出圧が高いので、オイル分離室58内の
冷媒圧力が高く、このオイル分離室58内の圧力が圧力
導入通路95を介して導かれる流量制御弁90の圧力室
94に圧力が高くなる。よって、この場合はスプリング
93の押圧力に打ち勝ってスプール弁92が図示上に押
され、これにより主吸入通路85の開度を規制する。し
たがって、この場合は吸入口77に導入された低温低圧
の冷媒は、主として吸入口77からバイパス通路82を
通じて変速機室22へ送り込まれるようになり、このた
め、変速機室22に送られる低温冷媒の量が多くなるか
ら、変速機室22の冷凍機油23を冷却する。
【0039】このように、流量制御弁90の作用により
変速機室22へ導入する冷媒量を制御するから、冷凍機
油23の温度が所定の範囲、例えば43〜80℃程度に
保たれ、冷凍機油23に対する冷媒の溶解度を10%以
下と低くすることができる。よってトラクション係数の
低下を防止し、摺動部のスリップ率を低くすることがで
き、油膜厚さを大きくして摩耗を防止し、動力伝達部の
異常摩耗によって動力伝達不能を防止することができ
る。
変速機室22へ導入する冷媒量を制御するから、冷凍機
油23の温度が所定の範囲、例えば43〜80℃程度に
保たれ、冷凍機油23に対する冷媒の溶解度を10%以
下と低くすることができる。よってトラクション係数の
低下を防止し、摺動部のスリップ率を低くすることがで
き、油膜厚さを大きくして摩耗を防止し、動力伝達部の
異常摩耗によって動力伝達不能を防止することができ
る。
【0040】図5は、冷媒の溶解度とトラクション係数
の関係を示すもので、冷媒溶解度が高くなるとトラクシ
ョン係数が低下することが判る。
の関係を示すもので、冷媒溶解度が高くなるとトラクシ
ョン係数が低下することが判る。
【0041】また、図6は、冷媒の温度と、圧力と、冷
凍機油に対する冷媒の溶解度との関係を示す特性図であ
り、温度が低くなる程冷媒の溶解度が高くなることが理
解できる。
凍機油に対する冷媒の溶解度との関係を示す特性図であ
り、温度が低くなる程冷媒の溶解度が高くなることが理
解できる。
【0042】圧縮機50が冷房能力を一定に制御してい
る状態では、圧縮機50における冷媒の吸入圧力は約
0.25〜0.3MPa.abs に設定されており、この
ような状況で潤滑油の温度が40〜45℃に達した場合
に流量制御弁90により主吸入通路85の開口面積を減
じるように作動させれば、冷凍機油23に対する冷媒の
溶解度を5〜10%に保つことができることが確認され
ている。これによりトラクション係数を高く維持するこ
とができる。
る状態では、圧縮機50における冷媒の吸入圧力は約
0.25〜0.3MPa.abs に設定されており、この
ような状況で潤滑油の温度が40〜45℃に達した場合
に流量制御弁90により主吸入通路85の開口面積を減
じるように作動させれば、冷凍機油23に対する冷媒の
溶解度を5〜10%に保つことができることが確認され
ている。これによりトラクション係数を高く維持するこ
とができる。
【0043】なお、本発明は上記実施例の構造に制約さ
れるものではない。すなわち、上記実施例では変速機2
0として遊星コーン型変速機について説明したが、冷凍
能力により変速比を制御する変速機であれば、他の構造
の変速機でも実施可能である。
れるものではない。すなわち、上記実施例では変速機2
0として遊星コーン型変速機について説明したが、冷凍
能力により変速比を制御する変速機であれば、他の構造
の変速機でも実施可能である。
【0044】また、上記実施例では、圧縮機50として
ベーン型圧縮機を用いた場合を説明したが、圧縮機はプ
ランジャ加圧型であっても実施可能である。
ベーン型圧縮機を用いた場合を説明したが、圧縮機はプ
ランジャ加圧型であっても実施可能である。
【0045】さらに、上記実施例の場合、流量制御弁9
0を主吸入通路85に設置し、圧縮機50の吐出圧力が
低くなった場合に主吸入通路85の通路面積を広げて変
速機室22に送り込まれる冷媒の量を規制するようにし
たが、本発明は、吸入口77から変速機室22に通じる
バイパス通路82に流量制御弁を設けてもよい。ただ
し、バイパス通路82に流量制御弁を設ける場合は、圧
縮機50の吐出圧力が低い場合にこの通路面積を絞って
変速機室22に送り込まれる冷媒の量を規制するように
する。
0を主吸入通路85に設置し、圧縮機50の吐出圧力が
低くなった場合に主吸入通路85の通路面積を広げて変
速機室22に送り込まれる冷媒の量を規制するようにし
たが、本発明は、吸入口77から変速機室22に通じる
バイパス通路82に流量制御弁を設けてもよい。ただ
し、バイパス通路82に流量制御弁を設ける場合は、圧
縮機50の吐出圧力が低い場合にこの通路面積を絞って
変速機室22に送り込まれる冷媒の量を規制するように
する。
【0046】また、上記実施例の流量制御弁90は、オ
イル分離室58の圧力を導入して圧力差により作動する
ようにしたが、オイル分離室58以外に吐出室71や吐
出パイプの高圧を導入して作動するようにしてもよい。
イル分離室58の圧力を導入して圧力差により作動する
ようにしたが、オイル分離室58以外に吐出室71や吐
出パイプの高圧を導入して作動するようにしてもよい。
【0047】さらにまた、上記実施例では、流量制御弁
90が圧縮機の吐出側高圧と吸入側低圧との差圧にもと
づいて作動されるようにしたが、吸入側圧力に代えて大
気圧を用いて、吐出側圧力と大気圧との差圧に応じて流
量制御弁90を作動させるようにしてもよい。
90が圧縮機の吐出側高圧と吸入側低圧との差圧にもと
づいて作動されるようにしたが、吸入側圧力に代えて大
気圧を用いて、吐出側圧力と大気圧との差圧に応じて流
量制御弁90を作動させるようにしてもよい。
【0048】さらに、圧縮機内部に生じる中間圧力と吐
出側圧力との差圧に応じて流量制御弁90を作動させる
ようにしてもよい。
出側圧力との差圧に応じて流量制御弁90を作動させる
ようにしてもよい。
【0049】
【発明の効果】以上説明したように本発明によれば、圧
縮機の吐出側高圧の変動に応じて流量制御弁を作動さ
せ、この流量制御弁により冷凍サイクルから変速機室に
流れ込む冷媒の量を制御するから、圧縮機の負荷に応じ
て変速機室の潤滑油の温度を適温に保つことができる。
よって、潤滑油としての冷凍機油に冷媒が過剰に溶解す
るのを防止し、冷媒溶解度を低く保つことができ、潤滑
油のトラクション係数を高く維持して変速機の摺動部に
おけるスリップや摩耗を防止することができる。
縮機の吐出側高圧の変動に応じて流量制御弁を作動さ
せ、この流量制御弁により冷凍サイクルから変速機室に
流れ込む冷媒の量を制御するから、圧縮機の負荷に応じ
て変速機室の潤滑油の温度を適温に保つことができる。
よって、潤滑油としての冷凍機油に冷媒が過剰に溶解す
るのを防止し、冷媒溶解度を低く保つことができ、潤滑
油のトラクション係数を高く維持して変速機の摺動部に
おけるスリップや摩耗を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例を示す自動車用空調装置の変
速機付圧縮機の側断面図。
速機付圧縮機の側断面図。
【図2】同実施例の図1におけるA−A線に沿う断面
図。
図。
【図3】同実施例の図1におけるB−B線に沿う断面
図。
図。
【図4】同実施例の図3におけるC−C線に沿う断面
図。
図。
【図5】冷媒の溶解度とトラクション係数の関係を示す
特性図。
特性図。
【図6】冷媒の温度、圧力、冷凍機油に対する冷媒溶解
度の関係を示す特性図。
度の関係を示す特性図。
【符号の説明】 10…入力軸、11…従動側プーリ、20…変速機、2
1…ケ−シング、22…変速機室、23…冷凍機油、2
4…入力ディスク、25…出力ディスク、26…遊星コ
ーン、30…変速リング、31…駆動機構、50…圧縮
機、51…主ハウジング、55…吸入室、60…ロー
タ、67…ベーン、68…圧縮室、77…吸入口、81
…オーバーフロー孔、82…バイパス通路、85…主吸
入通路、90…流量制御弁、92…スプール弁、93…
スプリング、94…圧力室、95…圧力導入通路。
1…ケ−シング、22…変速機室、23…冷凍機油、2
4…入力ディスク、25…出力ディスク、26…遊星コ
ーン、30…変速リング、31…駆動機構、50…圧縮
機、51…主ハウジング、55…吸入室、60…ロー
タ、67…ベーン、68…圧縮室、77…吸入口、81
…オーバーフロー孔、82…バイパス通路、85…主吸
入通路、90…流量制御弁、92…スプール弁、93…
スプリング、94…圧力室、95…圧力導入通路。
【手続補正2】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図1
【補正方法】変更
【補正内容】
【図1】
【手続補正3】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図3
【補正方法】変更
【補正内容】
【図3】
【手続補正4】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図4
【補正方法】変更
【補正内容】
【図4】
Claims (1)
- 【請求項1】 エンジンにより駆動される入力軸に、冷
凍能力に応じて変速比が制御される変速機を連結すると
ともに、この変速機の出力側に冷凍サイクルと接続され
た冷媒圧縮機を連結し、上記変速機は潤滑油を貯えた変
速機室に収容し、この変速機を上記潤滑油により潤滑す
るとともに、この潤滑油は冷媒ガスに混合されて冷凍サ
イクルを循環する冷凍機油を共用するようにし、上記冷
凍サイクルから帰還する冷媒の吸入経路を、上記圧縮機
の吸入室に通じる主吸入通路および上記変速機室を経て
上記圧縮機の吸入室に接続したバイパス通路とに分岐
し、上記主吸入通路もしくはバイパス通路に流量制御弁
を設け、この流量制御弁を上記圧縮機の吐出側高圧の変
動に応じて作動させるようにし、この流量制御弁により
冷凍サイクルから帰還して圧縮機室に流れ込む冷媒の量
を制御して変速機室内の潤滑油の温度を制御するように
したことを特徴とする自動車用空調装置の変速機付圧縮
機。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP3353892A JPH05231313A (ja) | 1992-02-20 | 1992-02-20 | 自動車用空調装置の変速機付圧縮機 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP3353892A JPH05231313A (ja) | 1992-02-20 | 1992-02-20 | 自動車用空調装置の変速機付圧縮機 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH05231313A true JPH05231313A (ja) | 1993-09-07 |
Family
ID=12389347
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP3353892A Pending JPH05231313A (ja) | 1992-02-20 | 1992-02-20 | 自動車用空調装置の変速機付圧縮機 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH05231313A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2008026385A1 (fr) | 2006-08-31 | 2008-03-06 | Idemitsu Kosan Co., Ltd. | Composition d'huile lubrifiante pour réfrigérateur à compression comprenant un mécanisme de traction |
-
1992
- 1992-02-20 JP JP3353892A patent/JPH05231313A/ja active Pending
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2008026385A1 (fr) | 2006-08-31 | 2008-03-06 | Idemitsu Kosan Co., Ltd. | Composition d'huile lubrifiante pour réfrigérateur à compression comprenant un mécanisme de traction |
JP2008056800A (ja) * | 2006-08-31 | 2008-03-13 | Idemitsu Kosan Co Ltd | トラクション機構を有する圧縮型冷凍機用潤滑油組成物 |
US8221643B2 (en) | 2006-08-31 | 2012-07-17 | Idemitsu Kosan Co., Ltd. | Lubricating oil composition for compression refrigerator having traction mechanism |
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