JPH05125776A - 反射電波減衰壁 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 電波吸収材を用いず電波反射材だけで反射電
波の低減を図る反射電波減衰壁を提供する。 【構成】 外来電波の壁面での反射波を減衰させるため
の反射電波減衰壁であって、電波反射材１を用い、規則
的な凹形状の繰り返しからなる壁面を構成し、凹形状
は、縦又は横の波形状、逆角錐形状とするので、位相が
反転した壁面からの反射波が凹形状の中心線上で合成さ
れることにより減衰させることができる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、外来電波の壁面での反
射波を減衰させるための反射電波減衰壁に関する。

【０００２】

【従来の技術】市街地には、ＴＶ電波、電話や無線タク
シー、ハムその他の無線通信用の電波等、多種類の電波
が飛び交っている。そのため、都市環境によっては、様
々な電波障害が問題になっている。例えばパソコンの動
作が突然狂ったり精密なマシーンが誤動作したりする原
因には、飛び交っている種々の不要電波が障害波となる
ことが多い。

【０００３】また、都市部のビル高層化が進むにつれ
て、ＴＶ電波障害が発生し、社会的にクローズアップさ
れている。例えばテレビ画面が二重、三重に映るゴース
ト現象は、視聴者に不快感を与えるだけでなく、性格な
情報伝達を阻害するという問題があるが、その原因は、
建物からの電波の反射による障害である。このような電
波障害は、発信場所、建物周辺部よりかなり離れた場所
で直接波の電界強度と建物反射波の電界強度にあまり差
がない場合に起こりやすい。

【０００４】そのため、このようなＴＶ電波障害対策と
しては、従来より電波の飛来する方向から主に建物の影
部分を予測・測定し、共同受信アンテナにより有線で供
給するシステムが採用されている。

【０００５】一般に飛び交っている電波が必要な電波
か、不要な電波かは、建物の用途によって変わってく
る。そのため、立地環境に見合った電磁遮蔽対策を建物
に施す必要がある。こうした社会の要求によりできたの
が電波吸収壁である。

【０００６】電波吸収壁は、電波の飛来方向及び電波の
反射する方向に面する外壁面に採用することにより、電
波の反射公害を低減しようとするものである。

【０００７】近年、パソコンが従来型からさらにコンパ
クト化されてブック型まで出現するに至り、オフィスに
おけるコンピュータその他ＯＡ機器等の導入の勢いには
目を見張るものがある。かかるオフィスにおいて、ＯＡ
機器等で扱われる情報には、機密情報を含む重要な情報
が多くなっている。そのため、ＯＡ機器がノイズ等の影
響を受けて誤動作したり、その中の情報の化け等が発生
したり、情報が外部へ漏洩したりするようなことがある
と、システムの信頼性が低下し、業務に重大な影響を与
える。しかも、特に、ＯＡ機器等は、ノイズの影響を受
けやすく、周囲の電波による情報漏れが生じるという問
題がある。

【０００８】そこで、建物内で使用するＯＡ機器、医療
機器などの電子機器類を守るためにも、電波遮蔽材（反
射材）や電波吸収材を建物の外装へ仕組むシステムが重
要になる。

【０００９】これまでも、提案として建物の外装に電波
反射材を用いたもの（例えば特開昭５５ー４９７９７号
公報、特開昭５５ー１３６００号公報、特開昭５６ー１
５８３１号公報、特開昭５９ー４６９６号公報等）や電
波吸収材を用いたもの（例えば特開昭５５ー６４１１４
号公報、特開昭５６ー３９１２号公報、特開昭５９ー４
６９６号公報等）が数多く出されている。

【００１０】

【発明が解決しようとする課題】しかし、電波反射材を
用いたものは、建物内への電波の侵入を防ぐことはでき
るが、ビルの壁面反射による電波障害をなくすことはで
きないという問題がある。また、電波吸収材としては、
主にフェライト（Ｆｅ₂ Ｏ₃ ）が用いられるが、高価で
あると共に比重も大きい（約５）ため、壁自体の重さが
増え、構造体としても強度を高めなければならず構造も
複雑になるという問題が生じる。その結果、施工性も低
下し、建築コストも高くなってしまう。また、外装壁体
内へ電波吸収材を挿入するため、技術上、外観デザイン
上でも難点がある。

【００１１】本発明は、上記の課題を解決するものであ
って、電波吸収材を用いず電波反射材だけで反射電波の
低減を図る反射電波減衰壁を提供することを目的とす
る。

【００１２】

【課題を解決するための手段】そのために本発明は、外
来電波の壁面での反射波を減衰させるための反射電波減
衰壁であって、電波反射材を用い、規則的な凹形状の繰
り返しからなる壁面を構成したことを特徴とし、凹形状
は、縦又は横の波形状、逆角錐形状であることを特徴と
する。

【００１３】

【作用】本発明の反射電波減衰壁では、電波反射材を用
い、規則的な凹形状の繰り返しからなる壁面を構成した
ので、凹形状の中心線上で位相が反転した壁面からの反
射波が合成されることにより減衰する。

【００１４】

【実施例】以下、図面を参照しつつ実施例を説明する。
図１は本発明に係る反射電波減衰壁の１実施例を示す図
であり、１は電波反射材、２は構造躯体部、３は一般外
壁体を示す。

【００１５】図１において、構造躯体部２は、コンクリ
ートその他通常の構造体を用いたものであり、電波反射
材１は、構造躯体部２の表面にガラスや金属板、ＡＬ
Ｃ、導電性フィルム、金属メッシュ等を用いて規則的な
凹形状の繰り返しからなる壁面を構成するものである。
これら構造躯体部２と電波反射材１とは、電波が到来す
る側（電波発信源）に対し外壁面を構成し、ここで外来
電波の反射電波を減衰させるものである。

【００１６】凹形状は、図１（ｂ）に示すような横山型
ストライプや（ｃ）に示すような縦山型ストライプのい
ずれでもよい。そして、電波発信源に面していない方に
は、一般外壁体３で構成され、従来と同じ一般仕上げ材
が用いられる。

【００１７】上記構成において、図示のように外来電波
Ａ，Ｂは、壁表面の電波反射材１で反射して凹形状の中
心前方の線ｋ上の点ＡＢにおいて合成される。電波発信
源に対して外来電波Ａ，Ｂの伝搬距離が等しい場合、位
相が逆になると点ＡＢで合成されて０になるので、これ
に近い電波は本発明の反射電波減衰壁によりかなり減衰
させることができる。

【００１８】図２は本発明に係る反射電波減衰壁の他の
実施例を示す図であり、電波反射材１″を逆角錐体連続
タイプで構成したものである。

【００１９】本発明に用いられる電波反射材は、電波吸
収材として用いられるフェライトを除き、一般的に反射
率の大きいものが用いられる。壁面材質と反射率との関
係を示すと、周波数１５０ＭＨｚでは下表の通りであ
る。

【００２０】 ガラスは、最近普及しているもので高性能熱線反射ガラ
ス（スパッタリングガラス）があるが、これは、７０程
度の反射率が得られるのでそのまま電波反射材としても
利用することができる。

【００２１】なお、本発明は、上記の実施例に限定され
るものではなく、種々の変形が可能である。例えば上記
の実施例では、平面による凹形状の繰り返しにしたが、
逆円錐や放物曲線等の曲面で構成してもよい。

【００２２】

【発明の効果】以上の説明から明らかなように、本発明
によれば、電波反射材により反射電波を減衰させるの
で、フェライトを使用せず、汎用建材の使用で電波障害
を防ぐことができる。しかも、フェライトを使用しない
ので、軽量化を図ることができ、軽量化により建物構造
サイズをコンパクトにすることができる。したがって、
コストの低減が可能になる。

【図面の簡単な説明】

【図１】 本発明に係る反射電波減衰壁の１実施例を示
す図である。

【図２】 本発明に係る反射電波減衰壁の他の実施例を
示す図である。

【符号の説明】

１─電波反射材、２─構造躯体部、３─一般外壁体

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 外来電波の壁面での反射波を減衰させる
   ための反射電波減衰壁であって、電波反射材を用い、規
   則的な凹形状の繰り返しからなる壁面を構成したことを
   特徴とする反射電波減衰壁。
2. 【請求項２】 凹形状は、縦又は横の波形状であること
   を特徴とする請求項１記載の反射電波減衰壁。
3. 【請求項３】 凹形状は、逆角錐形状であることを特徴
   とする請求項１記載の反射電波減衰壁。