JPH05118381A - 制振機構 - Google Patents

制振機構

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JPH05118381A
JPH05118381A JP30272391A JP30272391A JPH05118381A JP H05118381 A JPH05118381 A JP H05118381A JP 30272391 A JP30272391 A JP 30272391A JP 30272391 A JP30272391 A JP 30272391A JP H05118381 A JPH05118381 A JP H05118381A
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long
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long rigid
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Application number
JP30272391A
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English (en)
Inventor
Hitoshi Tsurumaki
均 鶴巻
Yasuhiko Abe
康彦 阿部
Satoru Aizawa
相沢  覚
Kazuhiro Inoue
一博 井ノ上
Munekazu Miyaki
宗和 宮木
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Takenaka Komuten Co Ltd
Original Assignee
Takenaka Komuten Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】制振機構の設置場所の自由度が大きく、その設
置が建物空間の有効利用を妨げず、調整範囲が広く、チ
ューニングが容易な制振機構を提供すること。 【構成】高い振動減衰能を有する長い剛性制振部材21
の中央部を、ボルトb、間隔保持部材26Aおよびナッ
トn等の固定手段を使って、構造物の一部を構成する鉄
骨梁25に固定し、その固定部以外の部分を自由にする
ものである。長い剛性制振部材21を切断し、その固定
部以外の自由なっている部分の長さを調節して、制振機
構20のチューニングを行う。 【効果】制振機構の構成が非常に簡単になり、その製
作、構造物への取付作業等が非常に容易になる。この発
明によると、制振機構の取付対象となる構造体の固有振
動数が略決まった段階で、取付作業と平行して、制振装
置の固有振動数の調整を行うことができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、構造体の共振現象を
抑える制振機構に関する。
【0002】
【従来の技術】制振機構は、付加重量、バネ、ダンパー
等で構成され、構造物に取り付けることによつて低次の
固有振動数において共振現象を抑える機能を有する機構
である。たとえば、従来の付加重量とバネとダンパーと
からなる制振装置、所謂、チューンドマスダンパー(以
下TMDという)は、構造物に付加重量を移動自在に設
置し、構造物と一体の支承体と付加重量とをバネおよび
ダンパーを介して連結したものである。また、構造物の
部分、たとえば、H形鋼等の梁材のフランジやウェブの
表面に高い振動減衰能を有する粘弾性体を直接貼り付け
て粘弾性体層を形成し、必要に応じて、この粘弾性体層
の表面に拘束板を貼り付けて拘束して制振機構を構成し
たものも提案されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】従来のTMDは、付加
質量、バネ、ダンパー等の部品が精密加工によって製作
されているため、製作に手間がかかり高価である。ま
た、バネと付加重量の関係から定められる固有振動数は
構造物の固有振動数に一致させる必要があるが、構造物
の固有振動数を制振機構の設計の時点で正確に予測する
ことは非常に困難であるため調整範囲の設定に問題を残
している。梁材等の構造物の部分に粘弾性体層を設ける
制振機構は、梁材等が振動してそのフランジやウェブが
繰り返し伸縮すると、その伸縮がそれらに貼り付けた粘
弾性体層に伝えられ、粘弾性体層が繰り返し変形し、こ
の粘弾性体層の変形によって、梁材等の振動による運動
エネルギーを熱エネルギーに変換して、梁材等の振動を
減衰させて制振する。しかし、構造物の梁材自体の振
幅、振動数等は比較的小さいから、粘弾性体層自体の変
形も小さい。そのため、粘弾性体層を形成する部分の面
積を大きくしても、制振力の増大には限度があり、構造
体の広い表面を粘弾性体層で覆うことは構造的にもでき
ない。この発明の解決しようとする課題は、前記のよう
な従来の制振機構が具有する欠点をもたない制振機構を
提供すること、換言すると、制振機構の設置場所の自由
度が大きく、制振機構の設置が建物空間の有効利用を妨
げず、調整範囲が広く、チューニングが容易で維持管理
も容易な制振機構を提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】この発明は、前記課題を
解決するために、次の構成を採用するものである。この
発明の構成は、高い振動減衰能を有する長い剛性制振部
材をその中央部において構造物に固定し、その固定部以
外の部分を自由にしたことを特徴とする制振機構にあ
る。すなわち、高い振動減衰能を有する長い剛性制振部
材の中央部を、構造物の振動し易い部分に固定し、その
固定部以外の自由にした両側の部分が固定部の中心を中
心点にして点対称になるように配置し、構造物の振動時
に、長い剛性制振部材の固定部以外の自由にした両側の
部分を振動させて、剛性制振部材が有する高い振動減衰
能により、振動による運動エネルギーを熱エネルギーに
変換して振動を減衰させ、構造物に制振力を作用せるも
のである。この発明の原理の概要が図1に示されてあ
り、制振機構10は、その長い剛性制振部材11の中央
部を接合体12を介して構造体13に固定し、その固定
部以外の自由にした一方の部分11aと他方の部分11
bとを固定部の中心点を中心にして点対称になるように
配設して構成されている。
【0005】そして、接合体12が固着されている構造
体13はそれ自体の固有振動数f0を有しており、剛性
制振部材11の曲げ剛性(Kg・m2)をEIとし、剛
性制振部材11の単位長さ当りの質量(Kg・s2
2)をm1とし、剛性制振部材11の固定部以外の自由
にした一方または他方の部分11a、11bの長さをL
とすると、制振機構の主要部を構成する剛性制振部材1
1の固有振動数fは図1の(1)式で表される。剛性制
振部材11を切断して、前記長さLを調節して、f≒f
0になるようにチューニングする。なお、切断による長
さの調節のみでは充分なチューニングができないとき
は、剛性制振部材の固定部以外の自由にした部分に錘を
取り付けて、微妙なチューニングを行う。図1に示すよ
うに、加振力Fが構造体13に作用すると、制振機構1
0を構成する長い剛性制振部材11の固定部以外の自由
にした部分11a、11bが共振して大きな振幅で振動
する。剛性制振部材11は高い振動減衰能(部材減衰)
を有する構成を備えているから、剛性制振部材11の振
動による運動エネルギーが熱エネルギーに変換されて、
熱が発生する。この運動エネルギーの熱エネルギーへの
変換により、振動のエネルギーを吸収し、制振力が発生
する。この制振力が構造体13に作用して、構造体13
の振動が小さくなる。構造体13はその振動を制振力に
より弱められながら、振動を続けるから、構造体ー制振
機構ー制振力の発性ー制振ー構造体という制振ループが
繰り返される。そのため、制振機構10を構成する剛性
制振部材11により振動のエネルギーが吸収され、構造
物13の振動が抑えられる。この発明の制振機構を構造
体に設けることにより、構造体に加わった加振力を効率
良く熱エネルギーに変換でき、構造体の振動を制振でき
る。
【0006】この発明の制振機構を、前記TMDに比し
て説明すると、長い剛性制振部材の自重が付加質量とし
て作用し、長い剛性制振部材の曲げ剛性がバネとして作
用し、長い剛性制振部材の振動減衰能(部材減衰)がダ
ンパーとして作用して、構造体に対する制振力を発生さ
せるということができる。この発明の長い剛性制振部材
は、長い鉄骨部材の表面に高い振動減衰能を有する粘弾
性体を貼り付けて構成することができる。また、高い振
動減衰能(部材減衰)を有する合金で構成することもで
きる。この合金を使う場合は、その合金を所望の剛性が
得られる断面形状に加工し、それを所定長さに切断して
長い剛性制振部材とする。前記合金としては、たとえ
ば、3.5%Al−0.5%Si−Fe合金等が使用で
きる。好ましい実施形態においては、みぞ形鋼のフラン
ジの突出する側のウェブの表面に、高い振動減衰能を有
する粘弾性体を貼り付けて、粘弾性体層を形成して、長
い剛性制振部材を構成する。粘弾性体層が薄い場合は、
粘弾性体層の表面に拘束板を貼り付ける。粘弾性体層の
厚い場合は拘束板の貼付を省くことができる。また、第
1の長いみぞ形鋼のフランジの突出していない側のウェ
ブの表面に振動減衰能を有する粘弾性体を貼り付けて、
その略全域にわたって粘弾性体層を形成し、この粘弾性
体層の表面に、第2の長いみぞ形鋼のフランジの突出し
ていない側のウェブの表面に貼り付け、固定部となる第
1および第2の長いみぞ形鋼の部分の両ウェブ面間に粘
弾性体層の厚さに略等しい厚さの間隔保持板を介装させ
て長い剛性制振部材を構成することもできる。
【0007】後述する実施例において、みぞ形鋼のウェ
ブの表面に粘弾性体を貼り付けて長い剛性制振部材を構
成する例を説明するが、粘弾性体をみぞ形鋼以外の金属
材の表面に貼り付けまたは一対のみぞ形鋼以外の金属材
の表面で粘弾性体層を挾んで構成することもできる。粘
弾性体を貼り付ける長い材料は所定の曲げ剛性EI(K
g・m2)を有する材料ならばどのような材料でも良
い。長い剛性制振部材は、通常は全長にわたって連続し
ている部材で構成し、その中央部を構造体に固定するよ
うにする。しかし、長い剛性制振部材を一対の部材で構
成した方が便利な場合もある。後者の場合は、その長さ
を前記固定部以外の自由にした部分の長さLより固定用
の部分だけ長くした一対の剛性制振部材を、それらの固
定用の部分を対向させて、同一中心軸線状にかつ固定部
以外の自由にした部分が点対称に位置するように構造体
に固定する。この発明の制振機構は、たとえば、構造物
の鉄骨梁、床、橋梁等の制振に使うことができる。H形
鋼の鉄骨梁の制振に使う場合は、上側のフランジと下側
のフランジの空間のウェブの両側の対称位置に制振機構
が収容されるように、制振機構を上側または下側のフラ
ンジに取り付ける。床の制振に使う場合は、たとえば、
二つの制振機構を十字状に直交させて床の下面に取り付
ける。橋梁の制振に使う場合は、橋梁の下面の対称位置
に少なくとも1対の制振機構を平行に取り付ける。
【0008】
【作 用】この発明の制振機構は、加振力が構造物に作
用すると、長い剛性制振部材の固定部以外の自由にした
部分が共振して大きな振幅で振動し、高い振動減衰能
(部材減衰)を有する長い剛性制振部材がその振動によ
る運動エネルギーを熱エネルギーに変換して、振動のエ
ネルギーを吸収するから、構造体に加わった加振力を効
率良く熱エネルギーに変換でき、構造体の振動を効率よ
く抑えることができる。
【0009】
【実施例】第1実施例は、図2ないし図4に示され、構
造体の一部を構成するH形鋼からなる鉄骨梁25に制振
機構20を取り付ける例である。軽みぞ形鋼22の中央
部のウェブ22bの中心に一つのボルト通し孔22cを
穿設し、かつこのボルト通し孔22cから同じ距離はな
して、ウェブ22bの長手方向の中心軸線上にそれぞれ
ボルト通し孔22cを穿設する。そして、軽みぞ形鋼2
2のフランジ22aが突出している側のウェブ22bの
長手方向に延びる表面22b1に、高い振動減衰能を有
する粘弾性体23aを厚く貼り付けて、略同じ厚さの粘
弾性体層23を形成し、長い剛性制振部材21を構成す
る。構造体のH形鋼からなる鉄骨梁25の揺れ易い中央
部分の上側のフランジ25aのウェブ25bの両側の対
称位置に、長い剛性制振部材21の軽みぞ形鋼22のウ
ェブ22bのボルト通し孔22cにそれぞれ対応させ
て、ボルト通し孔25cを穿設する。また、間隔保持部
材26Aはその成を軽みぞ形鋼22のフランジ22aの
幅方向の寸法よりも大きくして、その中心にボルト通し
孔を形成する。鉄骨梁25の各ボルト通し孔25cに、
それぞれボルトbを通し、それらのボルトbに間隔保持
部材26Aを嵌め。ボルトbの先端側の部分を剛性制振
部材21のボルト通し孔22cに通し、それらの先側部
分に座金wを嵌め、ナットnをねじ込み、ナットnを締
め付ける。そして、一対の剛性制振部材21を鉄骨梁2
5の上側のフランジ25aの下側のウェブ25bの両側
の対称位置に固定し、固定部以外の部分を自由にする。
【0010】構造体の鉄骨梁25の部分の固有振動数f
0を測定し、この固有振動数f0と制振機構の固有振動数
fとが略一致する(f≒f0)ように、各剛性制振部材
21の固定部以外の自由にした部分の長さLを計算し、
その長さLに合わせて各剛性制振部材21を切断する。
なお、切断による長さLの調整のみでは充分なチューニ
ングができない場合は、剛性制振部材21の固定部以外
の自由にした部分に錘を取り付けて、微妙なチューニン
グを行う。加振力が構造体に作用し、鉄骨梁25が振動
すると、長い剛性制振部材21の固定部以外の自由にし
た部分が共振して大きな振幅で振動する。すると、剛性
制振部材21の剛性を担う軽みぞ形鋼22の振動より遅
れて、高い振動減衰能(部材減衰)を有する粘弾性体層
23が振動する。そのため、粘弾性体層23に変形が生
じる。この粘弾性体層の変形によって、鉄骨梁25等の
振動による運動エネルギーが熱エネルギーに変換され、
振動のエネルギーを吸収し、構造体25を効率よく制振
する。
【0011】図6は、縦軸を振動応答倍率にし、横軸を
加振振動数にして、構造体の振動応答倍率を示したもの
である。一点鎖線で示す曲線が本発明の制振機構を設け
ない場合で、実線で示す曲線が本発明の制振機構20を
設けた場合である。本発明の制振機構20を設けると、
構造体の振動応答倍率が大幅に低減する。第1実施例の
制振装置20は、鉄骨梁のウェブ幅方向の振動と鉄骨梁
のフランジ幅方向の振動とを制振することができる。な
お、図2ないし図4に、粘弾性体層を厚くした例が示さ
れているが、粘弾性体層を薄し、高価な粘弾性体を節約
したい場合は、図5に示すように、粘弾性体層23の表
面23a1に拘束板24を貼り付ける。拘束板24は、
たとえば、薄くて細長い金属板で構成し、その幅を軽み
ぞ形鋼22のフランジ22aとフランジ22aとの間の
寸法よりも少々小さくし、その長さを、剛性制振部材2
1の固定部以外の自由にした部分の全域を覆い得る長さ
にする。あるいは、該長さを複数の寸法に分け、その寸
法に合わせて拘束板24の長さを定め、粘弾性体層を複
数の拘束板で拘束するようにしてもよい。なお、制振機
構20が誤って落下しないように、鉄骨梁25の上下の
フランジ25a縁間にカバー27を取付ける。
【0012】第2実施例は、図7および図8に示され、
第1実施例と同様にH形鋼の鉄骨梁25の両側に制振機
構20を取り付ける例である。軽みぞ形鋼22の中央部
の上下のフランジ22aの長手方向の中心軸線上あるい
は該中心軸線と平行な線上に一つのボルト通し孔22c
を穿設し、かつこのボルト通し孔22cから同じ距離は
なれた、上下のフランジ22aの前記線上にそれぞれボ
ルト通し孔22cを穿設する。そして、軽みぞ形鋼22
のフランジ22aが突出している側のウェブ22bの長
手方向に延びる表面22b1に、高い振動減衰能を有す
る粘弾性体23aを薄く貼り付けて、略同じ厚さの粘弾
性体層23を形成し、かつ、粘弾性体層23の外側の表
面に拘束板24を貼り付けて、長い剛性制振部材21を
構成する。前記拘束板24は、たとえば、薄くて細長い
金属板で構成し、その幅を軽みぞ形鋼22のフランジ2
2a、22a間の寸法よりも少々小さく、その長さを軽
みぞ形鋼22長さと略等しくする。構造体の鉄骨梁25
の揺れ易い中央部分の上側のフランジ25aのウェブ2
5bの両側の対称位置に、剛性制振部材21の軽みぞ形
鋼22のフランジ22aのボルト通し孔22cにそれぞ
れ対応させて、それぞれボルト通し孔25cを穿設す
る。また、間隔保持部材26Bはその成を軽みぞ形鋼2
2のウェブ22bの高さ方向の寸法の数分の1の寸法に
し、間隔保持部材26Cはその成を軽みぞ形鋼22のフ
ランジ間22a、22aの寸法と略一致させ、それらの
26B、26Cの中心にボルト通し孔を形成する。
【0013】鉄骨梁25の各ボルト通し孔25cに、そ
れぞれボルトbを通し、それらのボルトbの幹部に間隔
保持部材26Bを嵌め、かつ軽みぞ形鋼22の上側のフ
ランジ22aのボルト通し孔22c、間隔保持部材26
Cのボルト通し孔および軽みぞ形鋼22の下側のフラン
ジ22aのボルト通し孔22cに、前記ボルトbの幹部
分を通し、それらのボルトの先側部分に座金wを嵌め、
ナットnをねじ込み、ナットnを締め付ける。そして、
一対の剛性制振部材21を鉄骨梁25の上側のフランジ
25aの下側のウェブ25bの両側の対称位置に位置さ
せて、一対の剛性制振部材21を鉄骨梁25のフランジ
25aに固定し、固定部以外の部分を自由にする。実施
例1と同様に、各剛性制振部材21の固定部以外の自由
にした部分の長さLを、構造体の鉄骨梁25の固有振動
数f0と制振機構の固有振動数fとが略一致する(f≒
0)ような寸法にして、チューニングする。微妙なチ
ューニングは、固定部以外の自由にした部分に錘を取り
付けて行う。第2実施例の制振装置20は、鉄骨梁のウ
ェブ幅方向の振動と鉄骨梁のフランジ幅方向の振動とを
制振することができる。
【0014】第3実施例は、図9および図10に示さ
れ、粘弾性体層23を一対の軽みぞ形鋼22のウェブ2
2bの挾んで長い剛性制振部材21を構成する例であ
る。一対の軽みぞ形鋼22、22は、実施例1と同様な
位置にそれぞれ3個のボルト通し孔22cを穿設する。
板状体の前記ボルト通し孔22cに対応する位置にボル
ト通し孔を穿設して、間隔保持板26Dを構成する。一
方の軽みぞ形鋼22のフランジ22aが突出していない
側のウェブ22bの表面22b2の中央に間隔保持板2
6Dを当て、間隔保持板26Dを当てない前記表面22
2に、高い振動減衰能を有する粘弾性体23aを薄く
貼り付けて、間隔保持板26Dと略同じ厚さの粘弾性体
層23を形成する。そして、他方の軽みぞ形鋼22のフ
ランジ22aが突出していない側のウェブ22bの表面
を前記粘弾性体層23の表面に貼り付けて、長い剛性制
振部材21を構成する。構造体の鉄骨梁25の揺れ易い
中央部分の上側のフランジ25aのウェブ25bの両側
の対称位置に、剛性制振部材21の軽みぞ形鋼22のフ
ランジ22aのボルト通し孔22cにそれぞれ対応させ
て、ボルト通し孔25cを穿設する。鉄骨梁25の各ボ
ルト通し孔25cに、それぞれボルトbを通し、それら
のボルトbに第1実施例と同じ間隔保持部材26Aを嵌
め、ボルトbの先端側の部分を一対の軽みぞ形鋼22、
22のボルト通し孔22cおよび間隔保持板26Dのボ
ルト通し孔に通し、それらの先側部分に座金wを嵌め、
ナットnをねじ捩じ込み、ナットnを締め付ける。そし
て、一対の剛性制振部材21が鉄骨梁25の上側のフラ
ンジ25aの下側のウェブ25bの両側の対称位置にく
るように、一対の剛性制振部材21を鉄骨梁25の上側
のフランジ25aに固定し、固定部以外の部分を自由に
する。チューニングのやり方等は第1実施例と同じであ
る。第3実施例の制振装置20は、鉄骨梁25のウェブ
幅方向の振動と鉄骨梁のフランジ幅方向の振動を制振す
ることができる。
【0015】第4実施例は、図11および図12に示さ
れ、この発明の制振機構20を床30に取り付け、床2
0を制振する例である。間隔をおいて配設した2対の鉄
骨梁B1、B2の上に、鉄筋コンクリート造の床30を
形成する。床30の形成時に、後記の剛性制振部材3
1、32のボルト通し孔に対応させて、床の中央の十字
形の端部と中心の5箇所の位置に、それぞれアンカーボ
ルトabを植設する。制振機構の主要部を構成する長い
剛性制振部材31、32として、たとえば、第1実施例
または第3実施例のものを使用する。一方の長い剛性制
振部材31は、床30の下側に、アンカーボルトab、
成の低い間隔保持部およびナットn等を使って、鉄骨梁
B1および床30と平行になるように、床30の中央に
固定する。他方の長い剛性制振部材32は、床30およ
び剛性制振部材31の下側に、アンカーボルトab、成
の高い間隔保持部およびナットn等を使って、鉄骨梁B
2および床30と平行になるように、床30の中央に固
定する。長い剛性制振部材31、32から構成される一
対の制振機構を床30の固有振動数f0に合わせて、チ
ュウニングする。チューニングの仕方は実施例1と同じ
である。第4実施例のように一対の剛性制振部材31、
32を十字状に配置すると、床30の上下方向の振動
と、鉄骨梁B1および鉄骨梁B2に対して直角な方向の
振動を制振することができる。図11および図12に示
す実施例では、剛性制振部材31の下側にこれと重ねて
剛性制振部材32を十字状に配置したが、十字状に配置
する一対の剛性制振部材を同一平面状に配置したい場合
には、図13および図14に示すように、各剛性制振部
材31A、31B、32A、32Bの長さを、前記剛性
制振部材31、32を中央で2分した長さと略等しく
し、一方の対の剛性制振部材31A、31Bの固定部が
互いに対向し、他方の対の剛性制振部材32A、32B
の固定部が互いに対向するように、各剛性制振部材31
A、31B、32A、32Bを十字状に配置し、アンカ
ーボルトab、同じ成の間隔保持部材およびナットn等
を使って固定する。そして、十字の交差点を中心にし
て、剛性制振部材31Aと剛性制振部材31Bとが点対
称になり、剛性制振部材32Aと性制振部材32Bとが
点対称になるように、各剛性制振部材31A、31B、
32A、32Bを床30に固定し、固定部以外の部分を
自由にする。
【0016】第5実施例は、図15および図16に示さ
れ、この発明の制振機構を橋梁40に取り付け、橋梁4
0を制振する例である。橋梁40は、対の橋脚41間に
架渡して形成され、鋼索42にて吊り挙げられている。
橋梁40の長手方向の中心軸線から同じ距離はなれた、
前記中心軸線を中心線とする対称位置に、たとえば、一
対(また二対以上)の長い剛性制振部材21、21を配
設する。長い剛性制振部材21としては、実施例1ない
し3のものを使い、橋梁40の長手方向に延びる鉄骨部
材に、間隔保持部材26およびボルト、ナット等の適宜
の固定手段を使って、長い剛性制振部材21の固定部以
外の自由にした部分が点対称になるように、長い剛性制
振部材21の中央部を固定する。長い剛性制振部材4
1、42から構成され一対の制振機構は橋梁40の固有
振動数f0に合わせてチューニングする。チューニング
の仕方は実施例1と同じである。第6実施例のように、
橋梁40に剛性制振部材41、42からなる制振機構を
配置すると、橋梁40の上下方向の振動と、橋梁40に
対して直角な方向の振動を制振することができる。
【0017】
【発明の効果】この発明は、特許請求の範囲の欄に記載
した構成を具備することにより、次の(イ)ないし
(ヌ)の効果を奏する。 (イ)請求項1記載のようにすると、制振機構の構成が
非常に簡単になり、その製作、構造物への取付作業等が
非常に容易になる。 (ロ)請求項2記載のようにすると、長い鋼材の表面に
粘弾性体を貼り付けて粘弾性体層を形成するだけでよい
から、その製作に要する費用と時間を節減できる 。(ハ)請求項3のようにすると、高い振動減衰能を有
する合金を所望の形状に加工するだけでよいから、その
製作に要する費用と時間を大幅に節減できる。 (ニ)請求項4ないし6記載のようにすると、軽量の形
鋼を使って所望剛性の剛性制振部材を容易に製作するこ
とができ、切断により剛性制振部材の長さを容易に調整
できるから、取付時点におて、非常に広い調節範囲が容
易に選択できる。 (ホ)請求項7記載のようにすると、取扱が容易で、構
造物への取付作業等が容易な制振装置を安価に提供であ
る。 (ヘ)請求項8記載のようにすると、構造物への取付の
自由度を増大できる。 (ト)請求項9記載のようにすると、H形鋼の一方のフ
ランジと他方のフランジとの間の空間に制振機構を収容
でき、簡単なカバーで制振機構を覆うことができる。 (チ)請求項10および11記載のようにすると、床お
よび橋梁の振動を容易に抑えることができる。 (リ)請求項12記載のようにすると、制振機構の取付
対象となる構造体の固有振動数が略決まった段階で、取
付作業と平行して、制振装置の固有振動数の調整を行う
ことができる。 (ヌ)この発明の制振機構を使うと、制振機構の設置場
所の自由度が増し、建物空間のデッドスペースに制振機
構を設置することができる。そのうえ、調整範囲が広く
なり、チューニング作業も容易である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の制振機構の原理の概要を示す図
【図2】実施例1の制振機構の正面図
【図3】図2のものをそのA−A線で断面し矢印方向に
視た側面図
【図4】図2のものをそのB−B線で断面し矢印方向に
視た側面図
【図5】粘弾性体層に拘束板を貼り付けた剛性制振部材
を横断して示す側面図
【図6】本発明の制振機構の効果を示す線図
【図7】第2実施例の制振機構の要部を示す正面図
【図8】図7のものをその固定部の一部を断面して示す
側面図
【図9】第3実施例の制振機構の要部を示す正面図
【図10】図10のものをその固定部の一部を断面して
示す側面図
【図11】第4実施例の制振機構を取り付けた床を下方
から視た正面図
【図12】図11のものをそのCーC線で断面した正面
【図13】制振機構を取り付けた他の床を下方から視た
平面図
【図14】図13のものをそのDーD線で断面した正面
【図15】第4実施例の制振機構を取り付けた橋梁の平
面図
【図16】図15のものを下側から視た平面図
【符号の説明】
10 制振機構 11 長い剛性制振部材 12 接合体 13 構造体 20 制振機構 21 長い剛性制振部材 22 軽みぞ形鋼 22a フランジ 22b ウェブ 22c ボルト通し孔 23 粘弾性体層 24 拘束板 25 鉄骨梁 25a フランジ 25b ウェブ 25c ボルト通し孔 26A 間隔保持部材 26B 間隔保持部材 26C 間隔保持部材 26D 間隔保持部材 27 カバー 30 床 40 橋梁 ab アンカーボルト b ボルト f0 構造体の固有振動数 f 制振機構の固有振動数 n ナット
フロントページの続き (72)発明者 井ノ上 一博 東京都中央区銀座八丁目21番1号 竹中工 務店 東京本店内 (72)発明者 宮木 宗和 東京都中央区銀座八丁目21番1号 竹中工 務店 東京本店内

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】高い振動減衰能を有する長い剛性制振部材
    をその中央部において構造物に固定し、その固定部以外
    の部分を自由にしたことを特徴とする制振機構。
  2. 【請求項2】長い剛性制振部材が長い鋼材の表面に高い
    振動減衰能を有する粘弾性体を貼り付けて構成されてい
    ることを特徴とする請求項1記載の制振機構。
  3. 【請求項3】長い剛性制振部材が高い振動減衰能を有す
    る合金で構成されていることを特徴とする請求項1記載
    の制振機構。
  4. 【請求項4】長い剛性制振部材を長いみぞ形鋼のフラン
    ジの突出している側のウェブの表面に振動減衰能を有す
    る粘弾性体を貼り付けて構成されていることを特徴とす
    る請求項1または2記載の制振機構。
  5. 【請求項5】粘弾性体を貼付により形成された粘弾性体
    層の表面に拘束板が貼り付けられていることを特徴とす
    る請求項1、2および4のいずれか一つの項記載の制振
    機構。
  6. 【請求項6】長い剛性制振部材として、第1の長いみぞ
    形鋼のフランジの突出していない側のウェブの表面に高
    い振動減衰能を有する粘弾性体を貼り付け、その略全域
    にわたって粘弾性体層を形成し、該粘弾性体層の表面に
    第2の長いみぞ形鋼のフランジの突出していない側のウ
    ェブの表面を貼り付け、固定部となる第1および第2の
    長いみぞ形鋼の部分の両ウェブ面間に粘弾性体層の厚さ
    に略等しい厚さの間隔保持板を介装させて形成した制振
    部材を使うことを特徴とする請求項1記載の制振装置。
  7. 【請求項7】長い剛性制振部材が全長にわたって連続し
    ている部材で構成されていることを特徴とする請求項1
    ないし6いずれか一つの項記載の制振機構。
  8. 【請求項8】長い剛性制振部材が分離した二つの長い部
    材をそれらの一方の端を互いに対向させて同一中心軸線
    上に配置して構成されることを特徴とする請求項1ない
    し6いずれか一つの項記載の制振機構。
  9. 【請求項9】H形鋼からなる鉄骨梁の上側のフランジの
    下側のウェブの両側の対称位置または下側のフランジの
    上側のウェブの両側の対称位置に、長い剛性制振部材を
    ウェブ面およびフランジ面と平行に配置し、長い剛性制
    振部材の中央部をフランジに固定し、それら固定部分以
    外の部分を自由にしたことを特徴とする鉄骨梁の制振機
    構。
  10. 【請求項10】間隔をおいて設置した複数の梁の上に床
    が形成され、二つの高い振動減衰能を有する長い剛性制
    振部材がそれらの中央部を十字状に交差させて前記床の
    中央の下側に配置され、それらの長い剛性制振部材の中
    央部を前記床に固定し、それらの固定部分以外の部分を
    自由にしたことを特徴とする床の制振機構。
  11. 【請求項11】橋梁が橋脚間に架渡され、橋梁の長手方
    向に延びる中心軸線を中心線とする対称位置の下側に長
    い剛性制振部材をそれぞれ中心軸線と平行に配置し、長
    い剛性制振部材の中央部を橋梁に固定し、それらの固定
    部分以外の部分を自由にしたことを特徴とする橋梁の制
    振機構。
  12. 【請求項12】高い振動減衰能を有する長い剛性制振部
    材をその中央部において構造物に固定し、その固定部以
    外の部分を自由にした制振機構において、長い剛性制振
    部材を切断して、長い剛性制振部材の固定部以外の自由
    なっている部分の長さを調節し、かつ、必要に応じて、
    長い剛性制振部材の自由なっている部分に錘を付加して
    制振機構のチューニングを行うことを特徴とする制振機
    構のチューニング方法。
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