JPH05115703A - 超臨界流体クロマト分離方法 - Google Patents

超臨界流体クロマト分離方法

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JPH05115703A
JPH05115703A JP3310109A JP31010991A JPH05115703A JP H05115703 A JPH05115703 A JP H05115703A JP 3310109 A JP3310109 A JP 3310109A JP 31010991 A JP31010991 A JP 31010991A JP H05115703 A JPH05115703 A JP H05115703A
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Yoichi Nakamura
容一 中村
Megumi Taguchi
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Abstract

(57)【要約】 【目的】超臨界二酸化炭素を移動相としてクロマト分離
した溶質を、迅速に高い回収率で得られる超臨界流体ク
ロマト分離方法を提供する。 【構成】被分離溶液を超臨界二酸化炭素を移動相として
クロマト分離する分離工程と、分離した溶質含有の超臨
界二酸化炭素を超臨界又は液体状態で捕集する第一捕集
工程と、捕集した二酸化炭素を低温雰囲気中に導入して
固体状態の二酸化炭素として捕集する第二捕集工程と、
捕集した固体二酸化炭素を加温気化して排出し溶質を回
収する回収工程からなる超臨界流体クロマト分離方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、被分離溶液を超臨界状
態の二酸化炭素を移動相としてクロマト分離したのち、
分離した溶質を回収する超臨界流体クロマト分離方法に
関する。
【0002】
【従来の技術】従来、超臨界流体を溶媒として固体や液
体中の有用或いは有害な成分等を抽出分離する一つの方
法として、超臨界抽出法が用いられている。この方法
は、液体と同様な抽出能力をもちながら、気体に近い拡
散能力を持つ超臨界流体を用いるため、抽出効率が高
く、又温度や圧力を適宜に選択することによって、容易
に抽出能力を制御でき、更に溶媒を少ないエネルギ−で
容易且つ完全に分離することができる。従って、抽出物
中の残留溶媒が問題となる食品添加物や医薬品原料等の
抽出に対して特に有効性が認められている。
【0003】更に、超臨界流体による抽出物の工業的回
収や分析に、超臨界流体を移動相として用いた超臨界流
体クロマト法も周知となっている。この方法は、前記特
性を持つ超臨界流体を移動相とするため、移動相の速度
が大きくとれ、単位時間当りの分離能力も高く、又分離
の難しい高沸点化合物等の迅速分離に適した方法であ
る。
【0004】本発明は、前記超臨界流体クロマト分離方
法における移動相として、引火性がないとともに無害で
あるため、安全な運転操作ができ、又熱変性や残留のお
それがなく溶質と簡単に分離できる二酸化炭素(以下C
2 と称する)を用いる方法に関し、特にクロマト分離
したのちの溶質を回収する方法に特徴を有する。従来の
回収方法は、クロマト分離工程からの溶質含有CO2
そのまま捕集工程に導入し、昇温及び減圧によってCO
2 を直接気化し析出する溶質を液体又は固体で回収した
り、他の物に吸収、吸着させる方法や、溶質含有CO2
全体を直接液化又は固化して液体又は固体状態で捕集し
たのち、CO2 を気化して溶質を回収する方法がある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】前記CO2 を直接気化
し液体又は固体として溶質を回収する気体回収方法は、
回収率が低く、特に低沸点化合物においては著しく低く
なる欠点があり、又溶質含有CO2 全体を直接液体状態
で捕集し溶質を回収する液体回収方法は、捕集工程のC
2 導入量の変動に対しても影響が少なく回収率も高い
が、各段の分離に対しCO2 の分離速度を速くすると、
溶質の回収率が低下するため、CO2 を効率のよい速さ
で分離排出できず、分離回収時間が長くなる問題があ
る。
【0006】溶質含有CO2 全体を直接固体状態で捕集
し溶質を回収する固体回収方法は、溶質の回収率が捕集
工程のCO2 導入量の変動に大きく影響される問題があ
る。従って回収率を一定に維持するためには、クロマト
分離工程での超臨界CO2 の流速を一定に設定し捕集工
程へのCO2 導入量を一定に保持するか、過剰な冷却能
力に設定しておくか、又は前記CO2 流速変更の都度、
捕集工程の冷却能力を変更する必要があるが、CO2
速を一定にすると汎用性が少なくなり、又流速を変更す
ると操作が煩雑となると共に、捕集工程へのCO2 導入
弁が閉塞する可能性が生じる等の問題がある。本発明
は、溶質回収工程におけるCO2 導入量の制御が容易
で、且つ溶質が高い回収率で得られると共に、CO2
短時間に分離して溶質を回収することができる方法を提
供することを目的としてなされたものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明の要旨は、被分離
溶液を超臨界状態のCO2 を移動相としてクロマト分離
する分離工程と、分離した溶質を含有する超臨界CO2
を超臨界又は液体状態で捕集する第一捕集工程と、捕集
したCO2 を低温雰囲気中に導入して固体状態のCO2
に状態変化させて捕集する第二捕集工程と、捕集した固
体CO2 を加温気化して排出し溶質を回収する回収工程
からなることを特徴とする超臨界流体クロマト分離方法
である。
【0008】
【作用】被分離溶液は超臨界CO2 と共にクロマト分離
工程へ供給され、超臨界CO2 を移動相としてクロマト
分離される。分離した溶質を含有する超臨界CO2 は超
臨界状態を保ったまま捕集されるか、又は超臨界状態か
ら液体状態に状態変化する温度及び圧力、即ち臨界温度
以下及び臨界圧力以下になるよう設定された第一捕集工
程に導入されて液体CO2 として捕集される。溶質含有
の超臨界CO2 又は液体CO2は流量制御されて、凝固
温度以下の低温になるよう設定された固体捕集工程に導
入され、固体CO2 として捕集される。更に、固体捕集
工程を室温雰囲気中にさらす等して加温し、CO2 を気
化排出することにより、溶質を液体又は固体として回収
することができる。
【0009】
【実施例】図1は本発明の超臨界流体クロマト分離方法
の一実施例に適用される装置の系統図である。1は移動
相としての超臨界CO2 を供給するポンプ、2は被分離
溶液を注入したのち流路切り換えにより前記超臨界CO
2と共に被分離溶液をクロマト分離工程に供給するイン
ジェクタである。
【0010】3は分離成分によって適宜選定される吸着
剤が充填され、吸着された溶質を超臨界CO2 を移動相
としてクロマト分離する分離カラム、4は分離した溶質
を含有する超臨界CO2 を超臨界CO2 又は液体CO2
として捕集する捕集槽、5は超臨界CO2 又は液体CO
2 を固体CO2 として捕集したのち、加温して気化排出
し目的の溶質を回収する回収槽であり、複数の溶質を分
画分取する場合には、複数の槽を設け順次切り換えられ
るように構成される。
【0011】前記回収槽5から排出される気体CO2
少量の場合には、通常は大気中に放出されるが、大量の
場合等には超臨界CO2 生成工程に循環するのが好まし
い。前記捕集槽4の液体状態で捕集する場合の冷却は、
通常20°C以下の冷却水を用いて行われ、又回収槽5
の冷却は、ドライアイス/メタノ−ル又は液体窒素等が
用いられる。尚分離カラム3の後段に溶質成分を検出す
る成分検出器6を設けるのが好ましい。
【0012】次に前記構成の装置を用いて本発明の方法
を実施した一実施例と、溶質を含有するCO2 を直接液
体、気体、又は固体で捕集し、CO2 を気化して溶質を
回収する回収法の比較例について説明する。尚比較例で
使用した装置は、液体及び気体回収法では回収槽5を除
去し捕集槽4が回収槽を兼ね、又固体回収法では捕集槽
4を除去し回収槽5が捕集槽を兼ねた構成とした。
【0013】被分離溶液としては、n−ヘキサン、n−
オクタン、及びn−デカン(以下順にC6 、C8 、及び
10と称する)を各々アセトンで希釈して別個に用いて
テストした。又溶液の濃度分析は一定量の試料をアセト
ンで希釈しガスクロマトグラフィで定量した。
【0014】
【一実施例】
実験条件 クロマト分離工程:圧力200Kg/cm2 、温度40
°C、CO2 流速20ml/min 液体CO2 捕集工程:圧力50Kg/cm2 、温度15
°C、捕集時間3分 固体CO2 捕集工程:圧力常圧、温度−78°C 溶質回収工程:温度室温、CO2 分離時間10分 前記条件での溶質回収率はC6 :55%、C8 :84
%、及びC10:97%であった。
【0015】
【比較例1】 液体回収法の実験条件 クロマト分離工程:圧力200Kg/cm2 、温度40
°C、CO2 流速20ml/min 液体CO2 捕集工程:圧力50Kg/cm2 、温度15
°C、捕集時間3分 溶質回収工程:温度15°C、CO2 分離時間50分 前記条件での溶質回収率はC6 :55%、C8 :85
%、及びC10:99%であった。
【0016】
【比較例2】 液体回収法の実験条件 CO2 分離時間を15分とした以外は比較例1に同じで
ある。前記条件での溶質回収率はC6 :48%、C8
73%、及びC10:89%であった。
【0017】
【比較例3】 気体回収法の実験条件 クロマト分離工程:圧力200Kg/cm2 、温度40
°C、CO2 流速20ml/min 気体CO2 捕集工程:圧力70Kg/cm2 、温度40
°C、捕集時間3分 溶質回収工程:温度40°C、CO2 分離時間20分 前記条件での溶質回収率はC6 :9%、C8 :34%、
及びC10:53%であった。
【0018】
【比較例4】 固体回収法の実験条件 クロマト分離工程:圧力200Kg/cm2 、温度40
°C、CO2 流速2ml/min 気体CO2 捕集工程:圧力常圧、温度−78°C、捕集
時間3分 溶質回収工程:温度室温、CO2 分離時間10分 前記条件での溶質回収率はC6 :55%、C8 :79
%、及びC10:91%であった。
【0019】
【比較例5】 固体回収法の実験条件 クロマト分離工程でのCO2 流速を25ml/minと
した以外は比較例4に同じである。前記条件での溶質回
収率はC6 :23%、C8 :63%、及びC10:77%
であった。
【0020】前記の通り、液体回収法における比較例1
では、溶質回収率において本発明の一実施例と同様な良
好結果を示しているが、CO2 分離時間が極めて遅く分
離に時間がかかり、又比較例2のように分離時間を速く
すると溶質回収率が低下する。本発明の方法では溶質回
収工程での温度を更に高め分離時間を短くすることも可
能である。比較例3の気体回収法では溶質回収率が極め
て低い事がわかる。更に比較例4及び5の固体回収法で
は溶質回収率がCO2 流速により相違しており、捕集工
程での冷却固化能力の差によって溶質回収率が変化する
ことが理解される。
【0021】
【発明の効果】本発明の方法によれば下記の効果が得ら
れる。 イ)クロマト分離された溶質を含有する超臨界CO2
超臨界又は液体状態で捕集したのち溶質回収工程へ導入
するため、クロマト分離工程でのCO2 流速に影響され
ずに回収工程導入流量の制御が可能であり、高い溶質回
収率が得られると共に、回収工程ヘのCO2 導入弁が閉
塞する心配もない。 ロ)回収溶質と移動相である多量のCO2 との分離を短
時間に行うことができ、超臨界クロマト分離方法の利点
である迅速分離回収性を更に生かすことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例に適用される装置の系統図
【符号の説明】
1:ポンプ 2:インジェクタ 3:分離カラム 4:捕集槽 5:回収槽 6:成分検出器

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】被分離溶液を超臨界状態の二酸化炭素を移
    動相としてクロマト分離する分離工程と、分離した溶質
    を含有する超臨界二酸化炭素を超臨界又は液体状態で捕
    集する第一捕集工程と、捕集した二酸化炭素を低温雰囲
    気中に導入して固体状態の二酸化炭素に状態変化させて
    捕集する第二捕集工程と、捕集した固体二酸化炭素を加
    温気化して排出し溶質を回収する回収工程からなること
    を特徴とする超臨界流体クロマト分離方法。
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