JPH0511505B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 この発明は、デイスペンサーの加圧液を噴霧流
（スプレー）、噴流（ジエツト）に切換える液流パ
ターン切換機構に関する。

〔従来技術〕

一般に、トリガータイプデイスペンサーにおい
て、トリガーの揺動に連動してピストンが往復動
し、容器に収納された液体をシリンダ内に吸上
げ、加圧してノズルのオリフイスから流出させて
いる。デイスペンサーの不使用時においては、ト
リガーをロツクしたり、ノズルのオリフイスをプ
ラグでシールして、デイスペンサーのオフポジシ
ヨン（ロツクポジシヨン）が設定される。そし
て、使用時には、トリガーのロツクを解除した
り、プラグのシールを解除した後、トリガーを揺
動させて、液体が流出される。液体は噴霧流（ス
プレー）または噴流（ジエツト）の状態で流出
し、液体の流出状態つまり液流パターンは通常、
噴霧流、噴流のいずれかに固定されている。その
ため、一定の液流パターンしか得られず、異なる
液流パターンが設定できない。

液流パターンを切換えて、噴霧流、噴流のいず
れもが適宜選択できるように、回動自在なノズル
キヤツプをノズル先端またはデイスペンサー本体
に螺着した液流パターン切換機構が知られてい
る。この公知の液流パターン切換機構では、スピ
ンナ（渦流手段）がノズル先端に設けられ、オリ
フイスはスピンナに対向して有底のノズルキヤツ
プの底部に穿設される。ここで、スピンナは浮遊
して設けられるが固定してもよく、スピンナ周
壁、ノズルキヤツプ内壁間に流路が規定される。
そして、ノズルキヤツプを回動してノズルキヤツ
プの底部とスピンナとの間隔が調整される。つま
り、ノズルキヤツプを回動し、ノズルキヤツプ底
部がスピンナに当接するまでノズルキヤツプを螺
進させれば、噴霧流が得られる。また、ノズルキ
ヤツプを螺退させて、ノズルキヤツプ底部、スピ
ンナ間に隙間が生じると、液体は渦流化すること
なく流出し、噴流が得られる。なお、ノズルキヤ
ツプ、デイスペンサー本体、ノズル、スピンナ
は、通常、合成樹脂材から射出成形される。

また、ノズル先端にスピンナを固定し、このス
ピンナに有底のノズルキヤツプを回動可能に嵌合
させた液流パターン切換機構も知られている。こ
の液流パターン切換機構では、たとえば、特公昭
54−35681号公報に開示するように、噴流、噴霧
流等のための複数の液流規制部がスピンナ前面に
90度づつ離反して同心円上に形成される。そし
て、オリフイスが各液流規制部と整列可能に偏心
してノズルキヤツプに穿設されている。また、ノ
ズルの流路とオリフイスとを連通させる流路は、
スピンナの内部に規定されている。ここで、ノズ
ルキヤツプは、螺着されているのでなく、回動自
在に配設されているにすぎず、回動されても前後
に移動しない。この構成において、ノズルキヤツ
プを回動してオリフイスが所定の液流規制部に整
列されると、所望の液流パターンが得られる。

〔従来技術の問題点〕

ノズルキヤツプ底部とスピンナとの間隔を調整
して、液流パターンを切換える公知の液流パター
ン切換機構では、オリフイスがノズルキヤツプの
中央に穿設されているため、液流パターンを切換
えても流出位置は変動しない。しかし、この液流
パターン切換機構においては、噴霧流、噴流しか
設定できず、液流パターン切換機構によつてオフ
ポジシヨンが設定できない。

他方、オリフイスを所定の液流規制部に整列さ
せて、液流パターンを切換える液流パターン切換
機構においては、たとえば、噴流、２種類の噴霧
流（low−spray、high spray）に加えて、オフ
ポジシヨンも設定できる。オフポジシヨンでは、
流路、オリフイス間の連通が遮断されることはい
うまでもない。しかし、この構成では、オリフイ
スがノズルキヤツプの中央にないため、液流パタ
ーンの切換えに応じて、オリフイスの位置が同心
円上で移動する。そのため、液体の流出位置が変
動し、液体が一定の位置で流出されない。

〔発明の目的〕

この発明は、流出位置を変動させることなく液
流パターンが切換えられ、オフポジシヨンも設定
できる液流パターン切換機構の提供を目的として
いる。

〔発明の概略〕

この目的を達成するため、この発明では、基本
構造として、ノズルキヤツプ底部とスピンナとの
間隔を調整して、液流パターンを切換える構成を
採用している。そして、基本構造に加えて、この
発明によれば、スピンナは、ノズル内壁に当接可
能な環状シール片を一体に備えて成形される。ま
た、ノズルキヤツプと連動可能に押圧片が配設さ
れる。この押圧片は、ノズルキヤツプの螺進時
に、スピンナの環状シール片に当接し、環状シー
ル片をノズル内壁に押圧させて、スピンナ周壁、
ノズル内壁間の流路を閉塞可能に構成される。

〔実施例〕

以下、図面を参照しながらこの発明の実施例に
ついて詳細に説明する。

第１図に示すように、この発明に係る液流パタ
ーン切換機構１０は、たとえば、トリガータイプ
デイスペンサー１２に装着される。トリガータイ
プデイスペンサー１２は、キヤツプ１４によつ
て、容器の口部１６に着脱自在に装着される。そ
して、トリガー１８の揺動によつて、トリガーに
連動したピストン（図示しない）が往復動し、容
器２０内の液体をシリンダ（図示しない）に吸上
げ、加圧する。加圧された液体は、デイスペンサ
ー本体２１に取付けられたノズル２２の流路２４
を介してスピンナ２６に至り、ノズルキヤツプ２
８のオリフイス３０を経て流出する。

デイスペンサー１２の構成はよく知られてお
り、またこの発明の要部でもないため詳述しない
が、デイスペンサーは、たとえば、USP No.
3840157号に開示する公知の構成としてよい。

第１図に加えて第２図を見るとよくわかるよう
に、この発明の液流パターン切換機構１０におい
て、ノズル２２はデイスペンサー本体２１に挟持
され、ノズルの外壁の一部におねじ３２が形成さ
れている。対応するめねじ３３がノズルキヤツプ
２８の内壁の一部に形成され、これらのねじ３
２，３３の螺合によつて、ノズルキヤツプはノズ
ル２２の先端に螺着される。

また、ノズル先端内部に嵌合されたスピンナ２
６は、第２図、第３図からわかるように、有底の
中空円筒形に合成樹脂材から成形される。そし
て、円形の凹部３６がスピンナ先端の底部中央に
設けられ、一対の溝３８が凹部の接線方向にのび
ている。周知のように、ノズルキヤツプの底部２
９がスピンナ２６に当接すると、これらの溝３８
から凹部３６に流入することによつて、加圧液は
渦流化され、噴霧流としてオリフイス３０から流
出する。環状シール片４０が、ノズル内壁の段部
４１と当接可能にスピンナ２６の中央部に成形さ
れている。実施例では、環状シール片はフランジ
として具体化され、放射状にのびた複数の溝４２
がフランジの前面に設けられている。更に、ノズ
ル２２に嵌合されるスピンナ２６の後部周面に、
軸線方向の溝４４が、たとえば４本、形成され、
これらの溝によつて、ノズルの流路２４に連通す
る流路４６が、スピンナ周壁、ノズル内壁間に規
定される。軸線方向の溝４４を形成することな
く、スピンナ周壁、ノズル内壁間に流路４６を規
定してもよい。

ノズルキヤツプ２８は有底の中空円筒形に形成
され、オリフイス３０が底部２９の中央に穿設さ
れている。そして、中空円筒形の押圧片４８がノ
ズルキヤツプの底部２９から所定長延出してい
る。つまり、ノズルキヤツプの底部２９とスピン
ナ先端とが当接して、スピンナ先端の凹部３６、
溝３８の前面を閉塞するとき、環状シール片４０
を段部４１に押圧しない長さに、押圧片４８は形
成される。実施例では、スピンナ先端の凹部３
６、溝３８の前面が閉塞された時点で環状シール
４０に当接する長さに、押圧片４８が形成されて
いるが、この時点で環状シール片から離反してい
てもよい。また、押圧片４８の周壁とスピンナの
前部周壁との間に十分な隙間を残すような内径を
有して、押圧片４８は形成される。更に、突起状
のシール５０がノズル内壁と摺接可能に押圧片４
８の外周壁に形成されて、ノズル２２、ノズルキ
ヤツプ２８間の液密を確保している。

なお、ノズル２２、ノズルキヤツプ２８等の構
成部材はスピンナ２６と同様に合成樹脂材から成
形される。

上記構成の液流パターン切換機構１０は以下の
ように作動される。トリガータイプデイスペンサ
ー１２の不使用時においては、液流パターン切換
機構１０はオフポジシヨンに切換えられる。つま
り、第１図において、ノズルキヤツプ２８を回動
して螺進、つまり右方に移動させると、ノズルキ
ヤツプの螺進に伴つて、押圧片４８は環状シール
片４０をノズルキヤツプの段部４１に押圧する。
環状シール４０が段部４１に押圧されると、流路
４６、オリフイス３０の連通が遮断され、オフポ
ジシヨンが設定される。ここで、ノズルキヤツプ
の底部２９とスピンナ先端とが当接した後もノズ
ルキヤツプ２８を螺進させる必要がある。しか
し、スピンナ２６が合成樹脂材から中空円筒状に
成形されているため、スピンナは弾性に富みある
程度なら軸線方向に収縮できる。そのため、スピ
ンナ２６との当接後もノズルキヤツプ２８が螺進
される。このようにノズルキヤツプの螺進によつ
て、環状シール片４０が押圧片４８、段部４１間
に挟持されて、流路４６、オリフイス３０の連通
を強制的に遮断する。そのため、流路４６を流れ
る加圧液が環状シール片４０を段部４１から離反
させようとしても、段部から環状シール片の離反
する虞れはない。従つて、不使用時におけるトリ
ガー１８の不要な揺動が確実な規制され、液体の
漏出が十分に防止される。そして、トリガーをロ
ツクしたり、プラグによつてオリフイスをシール
してオフポジシヨンを設定する公知の構成に比較
して、この発明の構成は簡潔であり複雑化しな
い。

トリガータイプデイスペンサー１２を使用する
場合には、まず、ノズルキヤツプ２８を回動し、
螺退つまり左方に移動させる。スピンナ２６を軸
線方向に収縮させていた押力がノズルキヤツプ２
８の螺退に応じて除かれ、スピンナは原形に復帰
しようとする。また、押圧片４８がノズルキヤツ
プ２８とともに左方に移動して、環状シール片４
０から遠ざかると、環状シール片は押圧片、段部
４１間での挟持状態から開放される。そのため、
環状シール片４０は段部４１から離反し、ノズル
の流路２６、オリフイス３０間が連通される。そ
して、第４図に示すように、環状シール片４０が
段部４１から離反し、ノズルキヤツプの底部２９
とスピンナ先端とがいまだ当接した状態でノズル
キヤツプ２８の螺退を中止すると、噴霧流ポジシ
ヨンが得られる。つまり、この状態で、トリガー
１８が揺動されて液体を加圧すれば、加圧液は、
ノズルの流路２４から環状シール片４０、段部４
１間の隙間を介して環状シール片の溝４２に至
る。それから、加圧流は、押圧片４８、スピンナ
２６間の隙間を流れ、スピンナ前面の溝３８から
凹部３６に流入して渦流化され、オリフイス３０
から噴霧流として流出される。

噴霧流ポジシヨンから噴流ポジシヨンへの切換
えは、ノズルキヤツプ２８を更に螺退させて、ス
ピンナ先端からノズルキヤツプの底部２９を離反
させることによつてなされる（第５図参照）。ノ
ズルキヤツプの底部２９がスピンナ先端から離反
された状態で、トリガー１８を揺動しても、スピ
ンナ前面の溝３８、凹部３６が有効に機能しない
ため、加圧液は渦流化されない。そのため、加圧
液はオリフイス３０から噴流として流出される。

このように、オフポジシヨンからノズルキヤツ
プ２８を螺退させれば、噴霧流ポジシヨン、噴流
ポジシヨンが順次設定でき、液流パターンの切換
えが迅速、容易に行なえる。また、オリフイス３
０がノズルキヤツプの底部２９の中央に穿設され
ているため、加圧液は一定の位置から常に流出さ
れる。

所望の液流パターンで加圧液を流出させた後、
ノズルキヤツプ２８を螺進させれば、押圧片４８
が環状シール片４０を段部４１に押圧して、大き
な抵抗が生じ、ノズルキヤツプの螺進が困難とな
る。このようにノズルキヤツプ２８が十分に螺進
されて、それ以上の螺進が困難となれば、オフポ
ジシヨンが設定されたこととなり、オフポジシヨ
ンへに切換えが自動的に感知される。

環状シール片４０の形状は、フランジに限定さ
れず他の種々の形状をとることができる。外方に
広がつた円錐台形から環状シール片１４０がスピ
ンナ１２６と一体成形された液流パターン切換機
構１１０を第６図に示す。このような形状の環状
シール片１４０に対応して、押圧片１４８は、環
状シール片の背面に当接して環状シール片を半径
方向に押し広げるように、楔形に形成するとよ
い。この組合せでは、ノズルキヤツプ１２８の螺
進によつて、押圧片１４８を環状シール片１４０
の背面に当接させて環状シール片を押し広げれ
ば、環状シール片は、ノズル内壁に押圧され押圧
片１８、ノズル間に挟持される。そのため、ノズ
ルの流路２４、オリフイス３０間お流通が遮断さ
れ、オフポジシヨンが設定される。なお、ノズル
の流路２４からオリフイス３０に至る流路が、押
圧片１４８によつて遮断されず十分確保されるよ
うに、適当な溝を押圧片に形成することが好まし
い。流路を規定する溝は、たとえば、押圧片の一
部を切欠くことによつて設定される。上記構成の
液流パターン切換機構１１０では、突起状のシー
ル１５０がノズル内壁と摺接可能にノズル先端の
外壁に形成されて、ノズル１２２、ノズルキヤツ
プ１２８間の液密を確保している。

実施例において、この発明の液流パターン切換
機構１０はトリガータイプデイスペンサー１２に
装着されている。しかし、トリガータイプデイス
ペンサー以外のデイスペンサーにも液流パターン
切換機構１０が装着できることはいうまでもな
い。たとえば、昇降自在なプツシユボタンに連動
してピストンを昇降させて液体を加圧するプツシ
ユプルタイプデイスペンサーや、容器自体を圧搾
して液体を加圧する圧搾式デイスペンサーにも装
着できる。また、フロンガスを利用したデイスペ
ンサーやモータを駆動してピストンを往復動させ
る電動式デイスペンサーにも装着できる。

また、オリフイス３０の前方に発泡手段を設
け、噴霧流をこの発泡手段に衝突させて発泡化し
てもよい。発泡手段は、ノズルキヤツプ２８，１
２８またはデイスペンサー本体２１に揺動自在ま
たは着脱自在に取付けられ、発泡手段を加圧液の
流出路から除くことによつて発泡液から通常の噴
霧流に切換えられる。

上述した実施例は、この発明を説明するための
ものであり、この発明を何等限定するものでな
く、この発明の技術範囲内で変形、改造等の施さ
れたものも全てこの発明に包含されることはいう
までもない。

たとえは、実施例において、押圧片４８，１４
８はノズルキヤツプ２８，１２８と一体に形成さ
れているが、この構成に限定されない。たとえ
ば、ノズルキヤツプ２８，１２８と別体に形成さ
れた押圧片を、ノズルキヤツプ、環状シール片間
に浮遊させ、ノズルキヤツプの螺進時に押圧片が
ノズルキヤツプとともに右方に移動して、環状シ
ール片４０，１４０を押圧する構成でもよい。こ
の浮遊した押圧片は、環状シール片を押圧しない
状態では、加圧液によつて、環状シール片から離
反されることはいうまでもない。

〔発明の効果〕

上記のように、この発明によれば、ノズルキヤ
ツプを回動して十分螺進させれば、オフポジシヨ
ンが設定される。このようにノズキヤツプの螺進
によつてオフポジシヨンを設定する構成では、オ
フポジシヨンが容易に設定でき、構成的に複雑化
しない。

また、オフポジシヨンからノズルキヤツプを回
動して螺退させれば、螺退の程度によつて、噴霧
流または噴流が得られ、液流パターンの切換えが
容易、迅速に行なえる。

そして、噴霧流または噴流の流出されるオリフ
イスがノズルキヤツプの中央に穿設されているた
め、流出位置が変動せず、加圧液は一定位置から
常に流出される。

【図面の簡単な説明】

第１図は、この発明に係る液流パターン切換機
構の装着されたトリガータイプデイスペンサーの
一部破断の側面図、第２図、第４図、第５図は、
オフポジシヨン、噴霧流ポジシヨン、噴流ポジシ
ヨンにおける液流パターン切換機構の縦断面図、
第３図は、スピンナの斜視図、第６図は、噴霧流
ポジシヨンにおける別実施例に係る液流パターン
切換機構の縦断面図である。 １０，１１０：液流パターン切換機構、１２：
トリガータイプデイスペンサー、２０：容器、２
１：デイスペンサー本体、２２：ノズル、２４：
ノズルの流路、２６，１２６：スピンナ、２８，
１２８：ノズルキヤツプ、２９：ノズルキヤツプ
の底部、３０：オリフイス、３６：スピンナ先端
の凹部、３８：スピンナ先端の溝、４０，１４
０：環状シール片、４１：ノズルの段部、４２：
環状シール片の溝、４６：スピンナ、ノズル間の
流路、４８，１４８：押圧片、５０，１５０：突
起状シール。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 回動自在な有底のノズルキヤツプがノズル先
   端等に螺着され、スピンナがノズル先端に設けら
   れてスピンナ周壁、ノズル内壁間に流路を形成
   し、オリフイスがスピンナに対向してノズルキヤ
   ツプに穿設され、回動によるノズルキヤツプの螺
   進、螺退によつて、ノズルキヤツプの底部とスピ
   ンナ先端との間隔を調整して液流パターンを切換
   える液流パターン切換機構において、 ノズル内壁に押圧されてスピンナ周壁、ノズル
   内壁間の流路を閉塞可能に、環状シール片がスピ
   ンナに形成され、 ノズルキヤツプの螺進時にスピンナの環状シー
   ル片に当接して環状シール片をノズル内壁に押圧
   させる押圧片が、ノズルキヤツプと連動可能に配
   設されていることを特徴とする液流パターン切換
   機構。