JPH05114180A - 光磁気記録媒体 - Google Patents

光磁気記録媒体

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Publication number
JPH05114180A
JPH05114180A JP30117591A JP30117591A JPH05114180A JP H05114180 A JPH05114180 A JP H05114180A JP 30117591 A JP30117591 A JP 30117591A JP 30117591 A JP30117591 A JP 30117591A JP H05114180 A JPH05114180 A JP H05114180A
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JP
Japan
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magneto
layer
optical recording
film
recording
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Application number
JP30117591A
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English (en)
Inventor
Masahiko Sekiya
昌彦 関谷
Kazuhiko Honjo
和彦 本庄
Atsushi Koyamamatsu
淳 小山松
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Teijin Ltd
Original Assignee
Teijin Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】記録感度を劣化させることなく、繰り返しの記
録・消去耐久性もしくは連続消去耐久性が十分な光磁気
記録媒体を得る。 【構成】光磁気記録層の背後に金属反射層を有する光磁
気記録媒体において、前記光磁気記録層はキュリー温度
Tc(℃)が 100≦Tc≦200 、膜厚t(nm)が15≦t≦
60の光磁気記録層であり、前記金属反射層は膜厚d(n
m)がd≧60、熱伝導率λと膜厚dの積λd(μW/
K)(ここでμ:10-6、W:ワット、K:絶対温度)が
2.5≦λd≦20の金属反射層であり、かつTc≦−10×λ
d+300 であるもの。あるいは光磁気記録層が2層構成
であり、保磁力をHcとすれば、 Tc1>Tc2 、 Hc1>Hc2
、 100≦Tc2 ≦180 、15≦t1+t2≦60、t1<t2、d≧6
0、 2.5≦λd≦20、 Tc2≦−10×λd+300 であるも
の。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はレーザ等の光により情報
の記録・再生・消去等を行う光磁気記録媒体に関する。
更に詳細には、キュリー温度の低い希土類遷移金属合金
等よりなる光磁気記録層と、高熱伝導率および/または
膜厚の厚い金属反射層とを有し、高感度で、特に繰り返
し記録・消去耐久性、および連続消去耐久性に優れた光
磁気記録媒体に関する。
【0002】
【従来の技術】光記録媒体は、高密度・大容量の情報記
録媒体として既に実用化が始まっており、特に情報の消
去可能な光磁気記録媒体は応用分野が広く種々の材料・
システムが発表されている。
【0003】そして従来発表されている光磁気記録媒体
の一つは、ほぼ次のような構成のものである。すなわ
ち、記録層としてキュリー温度Tc=210 ℃のTbFeCoを
用い、ポリカーボネート樹脂(PC)基板(1.2 mm)
/第1の透明誘電体層AlSiN(110nm)/光磁気記録
層TbFeCo(22.5nm)/第2の透明誘電体層AlSiN(25
nm)/金属反射層AlTi(40nm)/紫外線硬化型樹脂
による有機物保護層(20μm)からなる、反射膜付構成
の直径 130mmのディスクである。
【0004】上述の従来構成の光磁気記録媒体に対し
て、本発明者らは次のような試験を行った。まず、半径
30mm位置のトラックにおいて、ディスク回転速度1800
rpm 、記録周波数3.7 MHz(pulse duty33%)、外部磁
場 300Oe、記録レーザパワー 5.5mW(C/Nが最大と
なる時の値)で記録し、再生レーザパワー 1.5mWで再
生し、C/Nの初期値を測定した。その後、 9.0mWの
レーザパワーで所定回転数までの間同一トラックを連続
的に照射する連続消去耐久性試験を行った。所定回転数
の上限としては、現在一般に必要と言われているところ
の、10の7乗回回転後にC/N≧45dBを確保するという
条件を考慮して、10の7乗回とした。連続消去耐久性試
験の間、上述のC/N初期値測定と同条件で記録、再生
を行い、C/Nを測定した。その結果、初期のC/N=
48dBであったものが、10の3乗回回転の連続消去後には
2dB低下して46dBとなり、10の7乗回回転の連続消去後
には8dB低下して40dBとなり、10の7乗回回転後にC/
N≧45dBという条件を満足しないことが判明した。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】このように、光磁気記
録媒体の記録・消去はレーザ光加熱によって行われるた
め、繰り返しの記録・消去による記録膜の加熱劣化の問
題が生じる。特に消去の場合には、高パワーのレーザ光
を照射するために、記録膜の温度は 500℃以上にまで昇
温すると言われており、1つのトラックを連続的に消去
するような動作を行うと、著しく記録膜が劣化してしま
う。書換え可能であることが特徴である光磁気記録媒体
としては、上述の繰り返し記録・消去、連続消去等の動
作による特性の劣化という課題を解決する必要がある。
【0006】本発明は、かかる現状に鑑みなされたもの
で、記録感度を劣化させることなく、繰り返しの記録・
消去耐久性もしくは連続消去耐久性が十分な光磁気記録
媒体を提供することを目的とするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明にかかる光磁気記
録媒体は、透明基板上に第1の透明誘電体層、光磁気記
録層、第2の透明誘電体層、金属反射層を少なくとも備
えた光磁気記録媒体において、前記光磁気記録層はキュ
リー温度Tc(℃)が 100≦Tc≦200 、膜厚t(n
m)が15≦t≦60の光磁気記録層であり、前記金属反射
層は膜厚d(nm)がd≧60、熱伝導率λと膜厚dの積
λd(μW/K)(ここでμ:10-6、W:ワット、K:
絶対温度)が 2.5≦λd≦20の金属反射層であり、かつ
Tc≦−10×λd+300 であることを特徴としている。
【0008】あるいは透明基板上に第1の透明誘電体
層、光磁気記録層、第2の透明誘電体層、金属反射層を
少なくとも備えた光磁気記録媒体において、前記光磁気
記録層は、キュリー温度がTc1 (℃)、室温での保磁
力がHc1(Oe)、膜厚がt1(nm)である第1磁性層
と、キュリー温度がTc2 (℃)、室温での保磁力がH
c2 (Oe)、膜厚がt2 (nm)である第2磁性層の2
層を順次積層した積層体であり、Tc1 >Tc2 、Hc
2 >Hc1 、 100≦Tc2 ≦180 、15≦t1 +t2 ≦6
0、t1 <t2 、かつ前記金属反射層は膜厚d(nm)
がd≧60、熱伝導率λと膜厚dの積λd(μW/K)
(ここでμ:10-6、W:ワット、K:絶対温度)が 2.5
≦λd≦20の金属反射層であり、さらにTc2 ≦−10×
λd+300 であることを特徴としている。
【0009】
【作用】前述のとおり、従来発表されているものと同等
の構成からなる媒体に関し、連続消去耐久性試験を行っ
たところ、回転数10の7乗回の試験でC/Nの大幅な低
下が認められた。この原因としては、連続消去時のレー
ザ照射による記録膜の温度上昇のために記録膜の熱的劣
化が起ったためと考えられる。すなわち、前述の例では
光磁気記録層の希土類・遷移金属非晶質合金が、消去時
には500 ℃以上にまで温度が上昇し、非晶質の構造緩
和、結晶化、酸化、窒化等の現象が起こり、磁気光学特
性の劣化が生じ、C/Nが低下したものと考えられる。
【0010】そこで、記録膜の温度上昇を抑える構成に
ついて検討を進めた結果、記録膜に対してその背後に設
ける金属反射膜として熱伝導率λの高い材料を選択する
か、および/または金属反射膜の膜厚dを厚くするかに
より、金属反射層のλdを大きくする方法が最も有効で
あることがわかった。ところが、この方法をとると、記
録膜の温度上昇は抑えられるが、媒体としての記録感度
が低下し、記録時に高いレーザパワーが必要となってし
まう問題があることがわかった。
【0011】これに対して、記録感度を、すでに市販さ
れている光磁気ディスクと同等、すなわちそれと同じレ
ーザパワーで記録できるようにするためには、光磁気記
録層のキュリー温度Tcを下げることが効果的と考え、
次のような構成の光磁気ディスクを作製し検討を行っ
た。すなわちディスクは、PC基板(1.2 mm)/AlSi
N( 110nm)/TbFeCo(22.5nm)/AlSiN(25n
m)/AlTi(80nm)/紫外線硬化型樹脂による有機保
護層(20μm)からなる、金属反射膜付構成の直径130
mmのディスクで、反射膜を従来のものの倍の膜厚の80
nmとすると共に、記録層はTbFeCoのキュリー温度Tc
を約 190℃にまで低下させたものである。このディスク
に関し、消去レーザパワー 9.0mWで前述の連続消去耐
久性試験を行ったところ、驚くべきことに、10の7乗回
回転の試験後にもC/N≧45dBという良好な結果が得ら
れた。記録感度もレーザパワー 5.5mWでC/N最大と
なり、現在市販されている光磁気ディスクと同等である
ことがわかった。これはAlTi金属反射膜の膜厚を、従来
の40nmから80nmに厚くしたことにより、レーザによ
り加熱されるスポットからのヒートシンク的特性に相当
するλdが増加し記録膜の温度上昇が大幅に抑えられた
ためと考えられる。
【0012】さらに、次のような構成の光磁気ディスク
を作製した。すなわち、PC基板(1.2 mm)/AlSiN
( 110nm)/NdDyTbFeCo(22.5nm)/AlSiN(25n
m)/AlTi( 100nm)/紫外線硬化型樹脂による有機
物保護層(20μm)からなる、金属反射膜付構成の直径
130mmのディスクで、反射膜を従来のものの倍以上の
膜厚の 100nmとすると共に、記録層はNdDyTbFeCoのキ
ュリー温度Tcを約 150℃にまで低下させたものであ
る。このディスクに関し、消去レーザパワー 8.5mWで
前述の連続消去耐久性試験を行ったところ、驚くべきこ
とに、回転数10の6乗回の試験後にもC/Nの低下は 1
dB以内であり、回転数10の7乗回の試験後のC/Nの低
下は 1.5dB程度でその値も45.5dBであった。また記録感
度もレーザパワー 5.0mWでC/N最大となり、現在市
販されている光磁気ディスク以上の感度であった。
【0013】このような高感度ディスクは2400rpm や36
00rpm 以上の高速回転ドライブ用として好ましい。高速
回転時には低速回転の時より、同じレーザパワーでも記
録膜の温度上昇は小さく、耐久性にとっても好ましい。
ゆえに、現在標準より高感度なディスクは 9.0mWの消
去レーザパワーよりゆるやかな条件、すなわち高速回転
で評価するか、またはより小さい消去パワーで評価すれ
ば良い。本発明者らは後者の方法を採用し、記録感度が
レーザパワー 5.5mWでC/Nが最大となるディスクは
消去レーザパワー 9.0mWで評価する一方、記録感度が
レーザパワー 5.0mWでC/Nが最大となるディスクは
消去レーザパワー 8.5mWで評価することとした。また
同じ理由により、記録感度がレーザパワー 4.5mWでC
/Nが最大となるディスクは消去レーザパワー 8.0mW
で評価することとした。
【0014】この効果を発現させるためには、金属反射
層の熱伝導率および/または膜厚を調整し、前述のλd
を適切に選択する必要がある。基本的には、記録膜の温
度上昇を抑える方向、具体的には金属反射層のλdが大
きくなる方向に設定すればよい。すなわち、金属反射膜
として熱伝導率の低い材料を用いる場合には、金属反射
層のλdを大きくするために、金属反射層の膜厚を厚く
する。反対に熱伝導率の高い材料を用いる場合には、熱
伝導率の低い材料を用いる場合よりも膜厚は薄くでき
る。
【0015】ただし、反射率および耐久性面から金属反
射層の膜厚d(nm)は、d≧60に設定する必要があ
る。ところで、金属反射層のλdを大きくすると、レー
ザ照射の記録膜の温度上昇が抑えられるため、用いる光
磁気記録層のキュリー温度Tcを下げ、記録感度を上げ
る必要がある。
【0016】この光磁気記録層のキュリー温度Tcは、
金属反射層のλdとの関係で選定する必要がある。その
関係は実施例等の検討から、金属反射層のλd(μW/
K)が 2.5≦λd≦20の範囲にあり、光磁気記録層のキ
ュリー温度Tc(℃)がTc≦200 であれば、光磁気ド
ライブ装置に使用されるレーザの記録パワーで充分記録
でき、かつ目的である回転数10の7乗回以上の消去耐久
性が実現できることがわかった。
【0017】膜厚、媒体構成が同じ場合には、光磁気記
録層のTcと金属反射層のλdとの組み合わせで記録感
度が概ね決定される。より小さいTcとより小さいλd
との組み合わせで高感度媒体が得られ、高速回転ドライ
ブに対応できる。また、誘電体層や記録層の膜厚によっ
ても、記録感度を調整できる。媒体反射率やC/N値な
どのドライブ側よりの要求より判断して、Tcとλdが
前記の範囲であれば、現状と将来の光磁気ドライブに適
合させた記録感度と消去耐久性を持つ媒体を得ることが
できる。
【0018】ところで、光磁気記録媒体は80℃、85%RH
の高温高湿中での耐久性試験が行われるところから、実
用上そのキュリー温度Tc(℃)はTc≧100 とする必
要がある。一方前述したところよりTc≦200 、さらに
本発明の効果を顕著に発現させるためには、10の7乗回
の連続消去試験後のC/N値が45dB以上であるのみでな
く初期値よりの低下幅が小さいことにより、Tc≦180
とすることが好ましい。さらには 110≦Tc≦160 の範
囲で選択することが特に好ましい。
【0019】ここで光磁気記録層の膜厚は、その背後の
金属反射層の効果、および前面の透明誘電体層による光
干渉効果を最大限に引き出すためには、前述の15〜60n
mの範囲内におさめることが必要である。なお、合計膜
厚を60nm以上と厚くすると、金層反射層の効果は低減
し、C/Nは低下してしまう。
【0020】一方、本発明のごとく記録層のキュリー温
度Tcを下げると、それに伴いC/Nに直接関わるKerr
回転角θk が低下し、C/Nも低下してしまうという欠
点がある。この問題を解決するには、記録層に基板側よ
り第1磁性層と第2磁性層という2つの層を設ける。そ
の際第1磁性層としては第2磁性層に比べ、キュリー温
度が高く、Kerr回転角が大きく、保磁力Hcの小さい材
料を用いる。そして第2磁性層としては、本発明の効果
をより発現させるために、そのキュリー温度Tc2
(℃)が 100≦Tc2≦180 の材料を用いる。これによ
り再生の際には、レーザ光はキュリー温度の高い、すな
わちKerr回転角の大きい第1磁性層に入射するため、高
いC/Nが得られるようになる。記録の際には、まず、
キュリー温度の低い第2磁性層にビットが記録され、続
いて交換結合により第1磁性層にビットが転写されると
いう過程をとるため、記録感度は第2磁性層のキュリー
温度により決定される。
【0021】第1磁性層と第2磁性層の合計膜厚は、前
述と同じ理由で、15〜60nmの範囲内におさめることが
必要である。合計膜厚15〜60nmのうち、第1磁性層と
第2磁性層の膜厚をt1 (nm)、t2 (nm)とした
時その配分は、少なくともt1 <t2 であることが好ま
しい。t1 ≧t2 では、第2磁性層に保磁力の高い材料
を用い、交換結合によって第1磁性層の磁化を保持して
いるものの、第2磁性層が薄くなると第1磁性層の磁化
を保持しきれなくなってしまい、逆に単一の磁性層を記
録層として用いた媒体よりもC/Nが低下してしまうと
いう場合が生ずる恐れがある。但し、第1磁性層を薄く
しすぎると、製膜上磁気特性を良好に発現させることが
難しく、また耐久性の面で安定性に欠けるため第1磁性
層の膜厚は10nm以上が好ましく、よって、第1磁性層
の膜厚の範囲としては、10≦t1<(t1 +t2 )/2
であることが好ましい。
【0022】さらに前述と同様、膜厚や媒体構成が同じ
場合には、第2磁性層のキュリー温度Tc2 と金属反射
層のλdとの組み合わせで、記録感度が概ね決定され
る。より小さいTc2 とより小さいλdとの組み合わせ
で高感度媒体が得られ、高速回転ドライブに対応でき
る。また、誘電体層や記録層の膜厚によっても、記録感
度を調整できる。媒体反射率やC/N値などのドライブ
側よりの要求より判断して、Tc2 とλdが前記の範囲
であれば、現状と将来の光磁気ドライブに適合させた記
録感度と消去耐久性を持つ媒体を得ることができる。
【0023】また第1の磁性層の室温での保持力Hc1
(Oe)が大き過ぎると、記録時に交換結合によるビット
の転写が行えない。それを防ぐためには、Hc1 ≦2000
であることが好ましい。
【0024】尚、本発明は、記録層をレーザ光が通過す
る際のファラデー効果をも利用することを特徴とするた
め、交換結合複層膜としては通常前述の通り第2磁性層
を第1磁性層よりも保磁力が大きく、キュリー温度が低
いものとするが、この積層順序を逆にした構成に対して
も適用できる。また第1磁性層と第2磁性層との間に、
交換結合力を調整する層が有っても良い。
【0025】上述の記録層に用いる材料としては、光磁
気効果により記録・再生できるもの、具体的には膜面に
垂直な方向に磁化容易軸を有し、任意の反転磁区を作る
ことにより光磁気効果に基いて情報の記録・再生が可能
な磁性薄膜、例えば希土類・遷移金属合金系のTbFeCo、
TbDyFeCo、GdFeCo、GdTbFe、GdTbFeCo、GdDyFeCo、GdTb
DyFeCo、NdDyFeCo、NdDyTbFeCo、NdFe、PrFe、CeFe等の
希土類と遷移金属との非晶質合金膜、あるいはガーネッ
ト膜、CoCr膜、Baフェライト膜、等公知のものが全て適
用できる。
【0026】本発明において用いる金属反射膜として
は、前述したところよりその膜厚d(nm)がd≧60
で、熱伝導率λと膜厚dとの積λd(μW/K)が 2.5
≦λd≦20の範囲にあるものであれば、材料等特に制限
はない。なお、具体的な材料の選定としては、上記λd
の範囲で、熱伝導率λ(W/m・K)(ここでm:メー
トル)が 5≦λ≦100 の範囲にある材料を用いる場合に
は、膜厚d(nm)は80≦d≦300 の範囲が、 100≦λ
≦200 の材料の場合には、60≦d≦200 の範囲が実用的
である。
【0027】一方本発明において、キュリー温度Tcを
比較的高い値に設定した場合、前述の試験で用いた媒体
と同等、もしくは高速回転での使用を考慮してより高い
記録感度を実現するためには、高いλd値を持つ金属反
射膜を用いることは不可能である。この点を考慮する
と、Tcおよびλd値はある範囲に設定する必要があ
る。そして鋭意検討した結果、次の範囲に設定すること
が必要であると判明した。すなわち、Tc≦−10×λd
+300 である。この条件は、より高感度の光磁気記録媒
体に関しては、Tc≦−10×λd+240 であることが好
ましい。
【0028】さらに、媒体のC/N向上をはかるために
は、金属反射層の光学定数である屈折率nと消衰係数k
が、波長 830nmの光に対して、n≦3.5 かつk≧3.5 、
さらに好ましくはn≦2.5 かつ 4.5≦k≦8.5 であるよ
うな材料を選択する必要がある。このような条件を満足
する材料は、安価な材料としてはAl、Agが代表的である
が、この2種の材料は、耐腐食性が低いという欠点があ
る。この欠点を補う材料としては、AlAu、AgAu合金が上
げられる。耐腐食性改善の効果は、Au添加量 0.5atom%
以上であらわれるが、20atom%以上とすると、AlAu、Ag
Au合金膜の反射率の低下が大きく、媒体のC/Nの低下
を招く。従って、Auの含有量は 0.5〜20atom%の範囲に
おさめる必要がある。さらに、反射率の低下をAlもしく
はAg単独膜に比べ 2%以内に抑えるためには、Au含有量
は 0.5〜15atom%、さらには 0.5〜10atom%であること
が好ましい。
【0029】また、ターゲットや媒体のコストを低減す
る意味からAuの含有量は少ないことが好ましい。このよ
うにAuの添加量を低減するという目的からは、Ti、Zr、
Hf、V、Nb、Ta、Cr、Mo、W、Tc、Re、Ru、Os、Ir、
Pt、Pdの群の1 種以上の特定元素を補助的に添加すると
効果がある。特に、Ti、Zr、Nb、Ta、Cr、Reが好まし
い。これら特定元素の添加量は5.0 atom%以内にとどめ
るべきであり、これより多いと金属反射膜の反射率が低
下してしまう。 5.0atom%以内では光磁気記録再生装置
で使用される半導体レーザの波長である 830nmでの反
射率の低下は 2%以内の低下幅にとどまる。一方、 0.3
atom%より少ないとAuを節約したことによる耐食性の低
下を補うことができない。したがって、特定元素の添加
量は 0.3〜5.0atom%の範囲に設定する必要がある。こ
の特定元素の添加により、Auの添加量は 0.5〜10atom%
の範囲であれば、反射膜の反射率はAlもしくはAg単独膜
に比べ、 2%以内の低下に抑えることができAuも低減で
きると同時に、前述の熱伝導特性、光学特性および耐食
性も満足することができる。
【0030】ところで金属反射層が光磁気記録層の背
後、具体的には光入射面に対して反対側に形成されたも
のであれば、本発明における光磁気記録媒体の積層構成
を適用できる。すなわち、金属反射層を光磁気記録層上
に直接設けたもの、または透明誘電体層を介して設けた
もの、更には金属反射層上に透明誘電体層等の無機保護
層および/または光硬化性樹脂等の有機保護層を設けた
もの等あらゆる構成に適用できるが、本発明の効果を十
分に発揮させるためには、基本構成として透明基板/第
1の透明誘電体層/光磁気記録層/第2の透明誘電体層
/金属反射層の構成が最も好ましい。
【0031】その際、これら各層が積層される透明基板
の材料としては、ポリカーボネート樹脂、アクリル樹
脂、エポキシ樹脂、2−メチル−ペンテン樹脂など、ま
たそれらの共重合体等の高分子樹脂、もしくはガラスな
どが適用できる。中でも機械強度、耐候性、耐熱性、透
湿性の点でポリカーボネート樹脂が好ましい。
【0032】また、前述の有機保護層としては、光硬化
型および/または熱硬化型樹脂、あるいは熱可塑性樹脂
等が適用でき、スピンコーティング法等により形成でき
る。なお、これら保護層は少なくとも記録層の側面まで
被覆するように設けるのが好ましい。
【0033】透明誘電体層としては、Kerr効果エンハン
スメントを高めるという点で屈折率の高い材料、すなわ
ち1.8 以上の屈折率を有する材料、更に好ましくは2.0
以上である材料が望ましい。
【0034】このような材料としては、AlN、MgF2
ZnS、CeF3 、Si3 4 、AlSiN、SiO、SiO2 、Zr2
3 、In2 3 、SnO2 、Ta2 5 、AlON、SiON、
ZrON、InON、SnON、TaONまたはこれらの混合体
などが適用できる。特に屈折率が2.0 以上という点およ
び透湿性、ガスバリアー性、耐腐食性等の観点より、Al
SiN、ZnS、Zr2 3 、Ta2 5 、ZrON、TaONが好
ましい。
【0035】そして第1の透明誘電体層は、Kerr効果の
エンハンスメントを高めるために、その膜厚が30〜160
nmの範囲であることが好ましい。
【0036】また第2の透明誘電体層は、前述の金属反
射層の熱特性を生かしつつ、光磁気記録媒体の反射率と
C/Nを向上させるという観点から、その膜厚が15〜40
nmの範囲であることが好ましい。さらに好ましくは、
膜厚が20〜35nmの範囲であることが好ましい。
【0037】以上で述べた透明誘電体層、記録層、金属
反射層の無機薄膜の製造方法としては、公知の真空蒸着
法、スパッタリング法等のPVD法、あるいはCVD法
等、種々の薄膜形成法が適用できる。しかし、光磁気記
録媒体としては、耐久性試験で生じる剥離を生じさせな
いために、特に高分子基板との密着性が大きい条件で作
製することが好ましい。このためにはスパッタリング法
が好ましい。
【0038】また、ディスクの形態として、単板構造、
両面貼合せ構造、片面フラット基板の貼合せ構造等いず
れに対しても適用可能で、ディスクのサイズも2インチ
φ、3.5インチφ、5.25インチφ、 8インチφ、12イン
チφ等、公知の全ての形態について使用可能である。ま
た、サーボ方式についても、連続サーボ、サンプルサー
ボ等に関わりなく、あらゆる方式に適用可能である。
【0039】以上の通り、本発明は、特定のヒートシン
ク的特性を有する金属反射膜と、特定のキュリー温度を
有する光磁気記録膜とを組み合わせて、繰り返し記録・
消去耐久性、連続消去耐久性を大幅に改善した光磁気記
録媒体を実現したもので、実用化レベルでの信頼性の高
い光磁気記録媒体が得られるものである。
【0040】なお、本発明でいう金属反射膜の熱伝導率
は、以下のようにして基板上に金属反射膜を作製し、そ
の特性を評価することにより求めた。
【0041】まず基板として、20×20× 1mmのサイズ
の石英基板を3ターゲットの高周波マグネトロンスパッ
タ装置(アネルバ製SPF-430H型)の真空槽内に固定し、
5.3×10-5Pa( 4×10-7Torr)になるまで排気する。
【0042】次にArガス(濃度99.999%)を真空槽内に
導入し、圧力0.67Pa( 5mTorr)になるようにArガス流
量を調整した。ターゲットとしては、直径 100mm、厚
さ 5mmのAl、またはAgの円盤上に、必要に応じてAu、
Tiのチップ( 5× 5× 1mm)を適宜適当数配置した。
放電電力 100W、放電周波数 13.56MHzで高周波スパッ
タリングを行い、必要な膜組成をもつ合金膜を 100nm
堆積した。
【0043】このサンプルを用いて、薄膜の熱伝導率λ
(W/m・K)を求めた。熱伝導率λの測定は、4端子
法で電気伝導率を測定し、ヴィーデマン−フランツの法
則により電気伝導率から換算して熱伝導率を求める方法
を用いた。
【0044】その結果、純Alはλ= 140W/m・K、Al
Ti(98:2)はλ=80W/m・K、AlAuTi(91:7:2)はλ=20
W/m・K、AgTi(98:2)はλ= 150W/m・K、AgAuTi
(93:5:2)はλ=51W/m・Kという値が得られた。なお
組成に付記した括弧内の数字は、その構成元素順に対応
した組成比(atom%)を示す。
【0045】また記録層のキュリー温度は、以下のよう
にして、ガラス基板上に両側をAlSiN透明誘電体で保護
したNdDyTbFeCo、またはTbFeCo合金膜をそれぞれ作製
し、その特性を評価することにより求めた。
【0046】基板として、26×76×1 mmのサイズのス
ライドガラスを用い、前述の熱伝導率測定のときと同じ
装置内に固定し、 5.3×10-5Pa( 4×10-7Torr)になる
まで排気する。
【0047】まず、ターゲットとしては直径 100mm、
厚さ 5mmの円盤のAlSi(50:50) の焼結体を用い、真空
槽内にAr/N2 混合ガス(N2 30vol%)を導入し、圧
力0.40Pa( 3mTorr)になるようにガス流量を調整し
た。放電電力 400W、放電周波数 13.56MHzで高周波ス
パッタリングを行い、第1の透明誘電体層としてAlSiN
膜を 110nm堆積した。
【0048】次にターゲットをNdDyTbFeCo(6.9:17.4:5.
7:60.0:10.0)合金、TbFeCo(22:68:10)合金、もしくはTb
FeCo(22:71:7) 合金の円盤を適宣用い、スパッタリング
ガスを純Ar(濃度99.999%)とし、圧力0.67Pa( 5mTo
rr)、放電電力 100Wで、上記3種の合金膜をAlSiN膜
上に20nm堆積した。
【0049】続いて、再びターゲットを前述のAlSiの焼
結体ターゲットに戻し、スパッタリングガスをAr/N2
混合ガス(N2 30vol%)に変え、先に設けた第1の透
明誘電体層と同様の放電条件で、第2の透明誘電体層と
してAlSiNを25nm堆積した。
【0050】各合金膜のキュリー温度Tcを振動試料型
磁力計(VSM)により求めたところ、NdDyTbFeCo膜が
150℃、TbFeCo膜がそれぞれ 210℃(ターゲットのCoが
10atom%組成のとき)と 190℃(ターゲットのCoが 7at
om%組成のとき)であった。
【0051】
【実施例1、2】以下のようにして基板上に図1に示す
構成の光磁気記録媒体を作製した。図において1は基
板、2は第1の透明誘電体層、3は光磁気記録層、4は
第2の透明誘電体層、5は金属反射層、6は有機保護層
である。
【0052】直径 130mm、厚さ 1.2mmの円盤で、
1.6μmピッチのグルーブを有するポリカーボネート樹
脂(PC)のディスク基板1を3ターゲットの高周波マ
グネトロンスパッタ装置(アネルバ製SPF-430H型)の真
空槽内に固定し、 5.3×10-5Pa( 4×10-7Torr)になる
まで排気する。なお、膜形成において基板1は15rpm で
回転させた。
【0053】まず第1の透明誘電体層2としてAlSiN膜
を形成した。すなわち、ターゲットとしては直径 100m
m、厚さ 5mmの円盤状のAlSi(50:50) の焼結体を用
い、真空槽内にAr/N2 混合ガス(N2 30vol%)を導
入し、圧力 0.4Pa( 3mTorr)になるようにガス流量を
調整した。放電電力 400W、放電周波数 13.56MHzで高
周波スパッタリングを行い、誘電体層2としてAlSiN膜
を 110nm堆積した。
【0054】次に光磁気記録層3として、ターゲットを
TbFeCo(22:71:7) 合金の円盤に変え、スパッタリングガ
スを純Ar(濃度99.999%)とし、圧力0.67Pa( 5mTor
r)、放電電力 100WでTbFeCo合金膜(Tc=190 ℃)
を20nm堆積した。
【0055】続いて、第2の透明誘電体層4としてター
ゲットを前記のAlSiの焼結体ターゲットに戻し、スパッ
タリングガスもAr/N2 混合ガス(N2 30vol%)に戻
し、第1の透明誘電体層2と同様の放電条件で、AlSiN
膜を25nm堆積した。
【0056】最後に、金属反射膜5を形成した。ターゲ
ットとしては、直径 100mm、厚さ5mmのAl、もしく
はAgの円盤上にTiのチップ(5 ×5 ×1 mm)を適当数
配置したものを用い、スパッタリングガスを純Ar(濃度
99.999%)に変え、記録層3と同様の放電条件で金属反
射層5としてAlTi(98:2)を80nm堆積したλd= 6.4μ
W/Kのサンプル(実施例1)、もしくはAgTi(98:2)を
60nm堆積したλd=9.0μW/Kのサンプル(実施例
2)を得た。
【0057】このサンプルをスパッタンリング装置から
取り出し、スピンコーターに取り付けた。ディスクを回
転させながら紫外線硬化性のフェノールノボラックエポ
キシアクリレート樹脂を塗布した後、紫外線照射装置を
通過させて樹脂を硬化させ、約20μmの有機保護層6を
設けた。
【0058】
【実施例3、4】金属反射層5として、ターゲットには
直径 100mm、厚さ 5mmのAlもしくはAgの円盤上に、
Au、Tiのチップ(5 ×5 ×1 mm)を適当数配置したも
のを用い、純Arガス(濃度99.999%)で圧力0.67Pa( 5
mTorr)、放電電力 100W、放電周波数13.56 MHzで高
周波スパッタリングを行い、AlAuTi(91:7:2)を150nm
(実施例3)、AgAuTi(93:5:2)を 100nm(実施例4)
設ける以外は、実施例1、2と同じ条件で製膜を行っ
た。そしてλd=3.0 μW/K(実施例3)、λd=5.
1 μW/K(実施例4)の各サンプルを得た。
【0059】
【実施例5、6】実施例1、2と同様の操作で、ただし
記録層3をTc= 150℃の前述のNdDyTbFeCo膜とし、Al
Ti合金(実施例5)とAgTi合金(実施例6)の金属反射
膜の膜厚をそれぞれ100 nm、80nmとしたサンプルを
作製した。記録層3と金属反射層5の製膜条件を以下に
示す。
【0060】光磁気記録層3としてはターゲットをNdDy
TbFeCo(6.9:17.4:5.7:60.0:10.0)合金の円盤とし、スパ
ッタリングガスを純Ar(濃度99.999%)とし、圧力0.67
Pa(5mTorr)、放電電力 100WでNdDyTbFeCo合金膜
(Tc=150 ℃)を20nm堆積した。
【0061】金属反射膜5としては、ターゲットを直径
100mm、厚さ 5mmのAl、もしくはAgの円盤上にTiの
チップ(5×5 ×1 mm)を適当数配置したものとし、
スパッタリングガスを純Ar(濃度99.999%)に変え、記
録層3と同様の放電条件で金属反射層5としてAlTi(98:
2)を 100nm堆積したλd= 8.0μW/Kのサンプル
(実施例5)、もしくはAgTi(98:2)を80nm堆積したλ
d=12.0μW/Kのサンプル(実施例6)を得た。
【0062】
【実施例7、8】金属反射層5としてターゲットを、直
径 100mm、厚さ 5mmのAlもしくはAgの円盤上に、A
u、Tiのチップ(5 ×5 ×1 mm)を適当数配置したも
のを用い、純Arガス(濃度99.999%)で圧力0.67Pa( 5
mTorr)、放電電力 100W、放電周波数 13.56MHzで高
周波スパッタリングを用い、金属反射層5として、AlAu
Ti(91:7:2)を 200nm(実施例7)、AgAuTi(93:5:2)を
120nm(実施例8)設ける以外は、実施例5、6と全
く同じ材料、製膜条件、膜厚で、図1に示すところの光
磁気ディスクのλd=4.0μW/K(実施例7)、λd
= 6.1μW/K(実施例8)の各サンプルを得た。
【0063】
【実施例9、10】実施例7、8の記録層を、GdFeCoと
NdDyTbFeCoからなる交換結合した2層の記録層3a、3
bとする以外は、実施例7、8と材料、製膜条件、膜厚
は全く同じに設定した。第2図に示すところの光磁気デ
ィスクを作製した。記録層3aと3bの製膜条件を以下
に示す。
【0064】まず、PC基板側に近い第1の記録層3a
として、ターゲットはGdFeCo(21:55:24)の合金の円盤を
用い、純Ar(濃度99.999%)をスパッタリングガスとし
て、圧力0.67Pa( 5mTorr)、放電電力100 W、放電周
波数13.56 MHz で高周波スパッタリングを行い、記録
層3aとして、GdFeCo合金膜を12.5nm堆積する。
【0065】次に、第1の記録層3aと交換結合した第
2の記録層3bとして、ターゲットをNdDyTbFeCo(6.9:1
7.4:5.7:60.0:10.0)合金の円盤に変え、上述と同様の放
電条件でNdDyTbFeCo合金膜(Tc=150 ℃)を17.5nm
堆積する。
【0066】記録層3a、3bは上述のように製膜し、
図2に示すところの光磁気ディスクのサンプルを得た。
すなわち、金属反射層がAlAuTiでλd=4.0 μW/Kの
サンプルが実施例9、AgAuTiでλd=6.1 μW/Kのサ
ンプルが実施例10である。
【0067】
【比較例1、2】実施例1、2の記録層3を、Tc=21
0 ℃のTbFeCo(22:68:10)合金膜とし、金属反射膜の膜厚
をAlTi(98:2)は40nm(比較例1)、AgTi(98:2)は30n
m(比較例2)とする以外は、実施例1、2と材料、製
膜条件、膜厚は全く同じに設定した、図1に示すところ
の光磁気ディスクを作製した。記録層3の製膜条件を以
下に示す。
【0068】ターゲットはTbFeCo(22:68:10)の合金の円
盤を用い、純Ar(濃度99.999%)をスパッタリングガス
として、圧力0.67Pa( 5mTorr)、放電電力100 W、放
電周波数13.56 MHz で高周波スパッタリングを行い、
記録層3としてTbFeCo合金膜(Tc=210 ℃)を20nm
堆積し、図1に示すところの光磁気ディスクのサンプル
を得た。
【0069】
【比較例3】比較例1、2の金属反射膜をAgAuTi(93:5:
2)の合金膜60nmとする点以外は、比較例1、2と材
料、製膜条件、膜厚は全く同じとした図1に示す構成の
光磁気ディスクのサンプルを作製した。
【0070】
【比較例4】光磁気記録層3として、ターゲットをTbFe
Co(22:71:7) の合金の円盤を用い、純Ar(濃度99.999
%)をスパッタリングガスとして、圧力0.67Pa( 5mTo
rr)、放電電力100 W、放電周波数13.56 MHzで高周波
スパッタリングを行い、記録層3としてTbFeCo合金膜
(Tc=190 ℃)を20nm堆積する点、金属反射層5を
AlAuTi(91:7:2)の合金膜60nmとする点以外は、比較例
3と材料、製膜条件、膜厚は全く同じとした図1に示す
ところの光磁気ディスク(λd=1.2 μW/K)のサン
プルを作製した。
【0071】
【比較例5、6】金属反射層5として、ターゲットを直
径100 mm、厚さ5 mmのAlの円盤を用い、純Arガス
(純度99.999%)で圧力0.67Pa( 5mTorr)、放電電力
100W、放電周波数13.56 MHzで高周波スパッタリング
を行い、金属反射層としてAl膜を120 nm設ける以外
は、実施例2、6と材料、製膜条件、膜厚等は
【0072】
【評価試験】以上のようにして得られた各サンプルに対
して、次のようにして評価試験を行った。
【0073】まずは、これら各サンプルのC/Nの記録
パワー依存性を測定した。測定には、光磁気記録再生装
置(パルステック工業製DDU-1000型)を用い、半径30m
m位置のトラックにおいて、ディスク回転速度1800rpm
、信号周波数 3.7MHz(pulse duty33%)、外部磁場
300Oe、再生パワー 1.5mWとし、記録パワーを変化さ
せてC/Nを測定した。そしてC/Nが最大となる記録
パワーPwと、その時のC/N値を求めた。
【0074】続いて、この初期のC/N測定を行った同
じトラックで、連続消去耐久性試験を行った。すなわち
ディスク回転速度1800rpm 、前述の記録感度に応じた
8.0〜9.0mWの消去パワーで、同一トラック上の消去動
作を所定回数繰り返した。その後、初期のC/N測定を
行ったときと同様の条件で、ただし初期にC/Nの最大
値が得られた記録パワーを用いて記録し、C/Nを測定
した。
【0075】さらに、各サンプルの膜面を観察してピン
ホール等の欠陥がないことを確認した後、80℃、85%RH
の高温高湿雰囲気中で2000時間保存する環境試験を行
い、膜面における腐食によるピンホール発生数を目視で
観察した。
【0076】その結果実施例1では、初期のC/Nが最
大となる記録パワーPwは5.5 mWであり、その時のC
/Nが48.5dB、さらに消去パワー 9.0mWで10の7乗回
消去後のC/Nは45.5dBであった。また環境試験の結果
は、膜面に約10個のピンホールが発生していた。
【0077】そして実施例2では、初期のC/Nが最大
となる記録パワーPwは5.5 mWであり、その時のC/
Nが49.0dB、さらに消去パワー 9.0mWで10の7乗回消
去後のC/Nは46.0dBであった。また環境試験の結果
は、膜面に約20個のピンホールが発生していた。
【0078】そして実施例3では、初期のC/Nが最大
となる記録パワーPwは5.0 mWであり、その時のC/
Nが49.5dB、さらに消去パワー 8.5mWで10の7乗回消
去後のC/Nは46.5dBであった。また環境試験の結果
は、膜面にピンホールは発生していなかった。
【0079】そして実施例4では、初期のC/Nが最大
となる記録パワーPwは5.5 mWであり、その時のC/
Nが50.0dB、さらに消去パワー 9.0mWで10の7乗回消
去後のC/Nは47.0dBであった。また環境試験の結果
は、膜面にピンホールは発生していなかった。
【0080】そして実施例5では、初期のC/Nが最大
となる記録パワーPwは5.0 mWであり、その時のC/
Nが47.0dB、さらに消去パワー 8.5mWで10の6乗回消
去後のC/Nは46.5dBであり、10の7乗回消去後のC/
Nは45.5dBであった。また環境試験の結果は、膜面に約
10個のピンホールが発生していた。
【0081】そして実施例6では、初期のC/Nが最大
となる記録パワーPwは5.5 mWであり、その時のC/
Nが48.0dB、さらに消去パワー 9.0mWで10の6乗回消
去後のC/Nは47.5dBであり、10の7乗回消去後のC/
Nは47.0dBであった。また環境試験の結果は、膜面に約
20個のピンホールが発生していた。
【0082】そして実施例7では、初期のC/Nが最大
となる記録パワーPwは4.5 mWであり、その時のC/
Nが48.0dB、さらに消去パワー 8.0mWで10の6乗回消
去後のC/Nは47.5dBであり、10の7乗回消去後のC/
Nは46.5dBであった。また環境試験の結果は、膜面にピ
ンホールは発生していなかった。
【0083】そして実施例8では、初期のC/Nが最大
となる記録パワーPwは5.0 mWであり、その時のC/
Nが49.0dB、さらに消去パワー 8.5mWで10の6乗回消
去後のC/Nは48.5dBであり、10の7乗回消去後のC/
Nは47.0dBであった。また環境試験の結果は、膜面にピ
ンホールは発生していなかった。
【0084】そして実施例9では、初期のC/Nが最大
となる記録パワーPwは5.0 mWであり、その時のC/
Nが48.5dB、さらに消去パワー 8.5mWで10の6乗回消
去後のC/Nは48.0dBであり、10の7乗回消去後のC/
Nは47.0dBであった。また環境試験の結果は、膜面にピ
ンホールは発生していなかった。
【0085】そして実施例10では、初期のC/Nが最
大となる記録パワーPwは5.5 mWであり、その時のC
/Nが49.5dB、さらに消去パワー 9.0mWで10の6乗回
消去後のC/Nは49.0dBであり、10の7乗回消去後のC
/Nは48.0dBであった。また環境試験の結果は、膜面に
ピンホールは発生していなかった。
【0086】一方比較例1では、初期のC/Nが最大と
なる記録パワーPwは5.5 mWであり、その時のC/N
が48.0dB、さらに消去パワー 9.0mWで10の7乗回消去
後のC/Nは40.0dBであった。また環境試験の結果は、
膜面に約10個のピンホールが発生していた。
【0087】そして比較例2では、初期のC/Nが最大
となる記録パワーPwは5.5 mWであり、その時のC/
Nが49.0dB、さらに消去パワー 9.0mWで10の7乗回消
去後のC/Nは41.0dBであった。また環境試験の結果
は、膜面に約20個のピンホールが発生していた。
【0088】そして比較例3では、初期のC/Nが最大
となる記録パワーPwは5.5 mWであり、その時のC/
Nが48.0dB、さらに消去パワー 9.0mWで10の6乗回消
去後のC/Nは43.0dBであり、10の7乗回消去後のC/
Nは38.0dBであった。また環境試験の結果は、膜面にピ
ンホールは発生していなかった。
【0089】そして比較例4では、初期のC/Nが最大
となる記録パワーPwは5.0 mWであり、その時のC/
Nが48.0dB、さらに消去パワー 8.5mWで10の6乗回消
去後のC/Nは45.0dBであり、10の7乗回消去後のC/
Nは43.0dBであった。また環境試験の結果は、膜面にピ
ンホールは発生していなかった。
【0090】そして比較例5では、初期のC/Nが最大
となる記録パワーPwは6.0 mWであり、その時のC/
Nが46.5dBであった。この時点で記録感度に関しては本
発明の目的を満足しないため、連続消去試験は実施しな
かった。また環境試験の結果は、膜面に数100 個のピン
ホールが発生していた。
【0091】そして比較例6では、初期のC/Nが最大
となる記録パワーPwは6.0 mWであり、その時のC/
Nが46.0dBであった。この時点で記録感度に関しては本
発明の目的を満足しないため、連続消去試験は実施しな
かった。また環境試験の結果は、膜面に数100 個のピン
ホールが発生していた。
【0092】以上の結果を表にまとめたのが、表1であ
る。
【0093】
【表1】
【0094】
【発明の効果】本発明は以上詳述したごとく、記録感度
を劣化させることなく、繰り返しの記録・消去耐久性も
しくは連続消去耐久性が十分な光磁気記録媒体を得るこ
とができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1〜8、比較例1〜4の積層構成の説明
【図2】実施例9、10の積層構成の説明図
【符号の説明】
1 基板 2 第1の透明誘電体層 3 光磁気記録層 4 第2の透明誘電体層 5 金属反射層 6 有機保護層

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】透明基板上に第1の透明誘電体層、光磁気
    記録層、第2の透明誘電体層、金属反射層を少なくとも
    備えた光磁気記録媒体において、前記光磁気記録層はキ
    ュリー温度Tc(℃)が 100≦Tc≦200 、膜厚t(n
    m)が15≦t≦60の光磁気記録層であり、前記金属反射
    層は膜厚d(nm)がd≧60、熱伝導率λと膜厚dの積
    λd(μW/K)(ここでμ:10-6、W:ワット、K:
    絶対温度)が 2.5≦λd≦20の金属反射層であり、かつ
    Tc≦−10×λd+300 であることを特徴とする光磁気
    記録媒体。
  2. 【請求項2】キュリー温度Tc(℃)の温度範囲が 100
    ≦Tc≦180 である請求項1記載の光磁気記録媒体。
  3. 【請求項3】透明基板上に第1の透明誘電体層、光磁気
    記録層、第2の透明誘電体層、金属反射層を少なくとも
    備えた光磁気記録媒体において、前記光磁気記録層は、
    キュリー温度がTc1 (℃)、室温での保磁力がHc1
    (Oe)、膜厚がt1 (nm)である第1磁性層と、キュ
    リー温度がTc2 (℃)、室温での保磁力がHc2 (O
    e)、膜厚がt2 (nm)である第2磁性層の2層を順
    次積層した積層体であり、Tc1 >Tc2 、Hc2 >H
    c1 、 100≦Tc2 ≦180 、15≦t1 +t2 ≦60、t1
    <t2 、かつ前記金属反射層は膜厚d(nm)がd≧6
    0、熱伝導率λと膜厚dの積λd(μW/K)(ここで
    μ:10-6、W:ワット、K:絶対温度)が 2.5≦λd≦
    20の金属反射層であり、さらにTc2 ≦−10×λd+30
    0 であることを特徴とする光磁気記録媒体。
  4. 【請求項4】第1磁性層の室温での保磁力Hc1 (Oe)
    が、Hc1 ≦2000である請求項3記載の光磁気記録媒
    体。
  5. 【請求項5】第2の透明誘電体層の膜厚が、15〜40nm
    の範囲にある請求項1、請求項2、請求項3、あるいは
    請求項4記載の光磁気記録媒体。
  6. 【請求項6】光磁気記録層が希土類元素と遷移金属元素
    との非晶質合金薄膜である請求項1、請求項2、請求項
    3、請求項4、あるいは請求項5記載の光磁気記録媒
    体。
  7. 【請求項7】金属反射膜が少なくともAlAuもしくはAgAu
    を含む合金である請求項1、請求項2、請求項3、請求
    項4、請求項5、あるいは請求項6記載の光磁気記録媒
    体。
  8. 【請求項8】金属反射膜が、Ti、Zr、Hf、V、Nb、Ta、
    Cr、Mo、W、Tc、Re、Ru、Os、Ir、Pt、Pdの群から選ば
    れた1種以上の特定元素を含有したAlAu合金もしくはAg
    Au合金からなる請求項1、請求項2、請求項3、請求項
    4、請求項5、請求項6、あるいは請求項7記載の光磁
    気記録媒体。
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