JPH0511050Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） この考案は自動車用エアダクトにおける接続部
に関し、特にはエンジンルーム等の高温を生じる
場所で使用されるプラスチツク製エアダクトの接
続構造に関する。

（従来の技術） 自動車のエンジンルームにはエンジンに外気を
供給するためのエアダクトが配置されるが、この
エンジンルーム内はエンジンの発熱により相等の
高温となるために従来では金属製のエアダクトが
広く用いられている。

この金属製エアダクトは、しかしながら、その
製造に際しては金属板体をプレスし次いでこれを
溶接してダクト形状に成形しなければならず、工
程が煩雑で多段にわたる欠点を有し、加うるに重
量が大であるという致命的な問題を抱えている。

そこで、近年、上のような問題を回避するため
に、プラスチツク製の、例えばブロー成形品より
なるエアダクトの開発が進められている。

（考案が解決しようとする問題点） ところが、前述のようにエンジンルーム内は相
等高温となり、しかも接続部や取付部にはクラン
プやブラケツト等の締付部材による締付応力が加
わるために、接続部や取付部周辺のダクト部分に
はクリープによる変形が生じやすく、その取付強
度が低下するという重大な問題を内包している。
特にエアダクト接続部では変形によるエアリーク
の問題が生じ、このシール性が解決することが大
きな課題となつている。

しかるに、この考案は、このようなプラスチツ
ク製エアダクトの接続部におけるシール性を確保
した新規な構造を提供することを主たる目的とす
るものである。

（問題点を解決するための手段） すなわち、この考案は、プラスチツク製エアダ
クトの接続端部内側に内径補強部材を嵌挿すると
ともに該端部外周に他の接続部材を包着しその外
周を締付部材で圧締するようにしてなる接続部で
あつて、前記内径補強部材は前記エアダクトを構
成するプラスチツクと同種かまたは近似した熱膨
張率を有するプラスチツクで、かつ前記エアダク
トを構成するプラスチツクより剛性率の大きいプ
ラスチツクより構成されているとともに、該内径
補強部材の外周には前記締付部材の締付幅ｂより
狭い間隔ａで複数の環状突起が形成されていて取
付時に前記締付部材が当該環状突起部を圧締する
ようにしたことを特徴とする自動車用エアダクト
における接続部の構造に係る。

（作用） この考案によれば、プラスチツク製エアダクト
の接続端部に内径補強部材を嵌挿するとともに該
端部外周に他の接続部材を包着しその外周を締付
部材で圧締するようにしてなる接続部において、
前記内径補強部材は前記エアダクトを構成するプ
ラスチツクと同種かまたは近似した熱膨張率を有
するプラスチツクで、かつ前記エアダクトを構成
するプラスチツクより剛性率の大きいプラスチツ
クによつて構成するとともに、該内径補強部材の
外周に前記締付部材の締付幅より狭い間隔で複数
の環状突起を形成して取付時に前記締付部材が当
該環状突起部を圧締するようにしたものであるか
ら、該ダクト外周にゴムホース等他の接続部材を
包着して締付部材でこれを固定する際には、当該
締付部材の締付圧が環状突起部分に加わり、これ
を強く圧締するので当該取付部における高いシー
ル性が得られる。

（実施例） 以下添付の図面に従つて、この考案を実施例と
ともに説明する。

第１図はこの考案の自動車用エアダクトの一例
を示す全体斜視図、第２図は内径補強部材の側面
図、第３図は第１図の３−３線において切断した
拡大断面図である。

第１図に図示したように、エアダクト１０は所
定の筒形状に成形されてなるプラスチツクのブロ
ー成形品よりなる。ダクト１０を構成するプラス
チツクとしては、ポリアミド樹脂もしくはその硝
子繊維補強樹脂等の耐熱性に優れたものが好まし
く用いられる。なお、硝子繊維を含有する場合に
おけるその割合は10ないし40重量％の範囲内とす
るのが成形上望ましいであろう。

エアダクト１０は、その両端部１５，１５にお
いてゴムホース等の他の接続部材３０と連結され
る。符号１６はダクトをエンジンルーム内の所定
位置に保持するためのブラケツトである。

そして、この考案構造は、エアダクト１０の接
続端部１５においてその内側に内径補強部材２０
を嵌挿するとともに該端部外周に他の接続部材３
０（実施例ではゴムホース）を包着しその外周を
クランプ等の締付部材４０で圧締するようにして
なるものの構造に係る。

すなわち、第２図からよりよく理解されるよう
に、エアダクト１０の接続端部１５の内側に嵌挿
される内径補強部材２０には、その筒本体２１外
周に、図示のような締付部材４０の締付幅ｂより
も狭い間隔ａで、環状突起２５，２５…が複数条
形成されている。同図の符号２２は筒本体外側に
形成されたフランジ部、２３は筒本体内側に形成
された小径部である。

この内径補強部材２０はエアダクト端部１５に
圧嵌され該端部における取付の補強をなすもので
あつて、前記エアダクトを構成するプラスチツク
と同種かまたは近似した熱膨張率を有するプラス
チツクで、かつエアダクトを構成するプラスチツ
クよりも剛性率の大きいプラスチツクからなるも
のが使用される。なお一実施例として、エアダク
ト１０がポリアミド樹脂からなり、内径補強部材
２０がポリアミド樹脂の硝子繊維補強樹脂からな
るものを挙げる。内径補強部材をこのようにエア
ダクトを構成するプラスチツクと同種かまたは近
似した熱膨張率を有するプラスチツクで、かつエ
アダクトを構成するプラスチツクよりも剛性率の
大きいプラスチツクにより構成することによつ
て、両者の熱膨張の差に基づくがたつき等の発生
を防止することができる。

そして、第３図に図示のように、特にこの考案
にあつては、上のように締付部材４０の締付幅ｂ
よりも狭い間隔ａで環状突起２５を複数突設した
ものであるから、ゴムホース等の接続部材３０を
該ダクト１０外周に包着して締付部材４０でこれ
を固定する際には、当該締付部材４０の締付圧が
環状突起２５部分に加わり、これを強く圧締する
ので当該取付部における高いシール性が得られる
のである。

本願考案に係るエアダクト構造と単に突起のみ
を設けた内径補強部材を用いた構造とを対比して
それらのシール性を実験した結果が次に示され
る。なお、これらはいずれも150℃で100時間の耐
熱処理後のデータである。

本考案構造 …1.0〜2.0Kg／cm² 突起のみの構造…0.6〜0.8Kg／cm² （効果） 以上図示し説明したように、この考案によれ
ば、内径補強部材を前記エアダクトを構成するプ
ラスチツクと同種かまたは近似した熱膨張率を有
するプラスチツクで、かつエアダクトを構成する
プラスチツクよりも剛性率の大きいプラスチツク
によつて構成することにより、熱膨張の差に基づ
くがたつき等の発生を防止することができるとと
もに、該内径補強部材の外周には前記締付部材の
締付幅ｂよりも狭い間隔ａで複数の環状突起を形
成することによつて、取付時に前記締付部材が当
該環状突起部を少なくとも一つ以上圧締して高い
締付力を確保することができる。とくに、プラス
チツク製エアダクトは通常ブロー成形によつて得
られ、その内径の寸法精度が十分得られない場合
が多く、この内径補強部材の環状突起によつて、
この誤差を吸収し、確実な締め代を確保すること
ができるのである。

このようにこの考案構造にあつては、実施例に
示したような極めて簡単な構造とするだけで当該
接続部におけるシール性を格段と高めることがで
きた。特に従来ではこのシール性の向上のために
接続部分の肉圧のアツプ、断面形状の改良等の多
大な労力とコストをかけていたものをこの考案は
極めて簡単な構造によつて一挙に解決したもの
で、その経済性および実用性は極めて顕著であ
る。

【図面の簡単な説明】

第１図はこの考案の自動車用エアダクトの一例
を示す全体斜視図、第２図は内径補強部材の側面
図、第３図は第１図の３−３線において切断した
拡大断面図である。 １０……エアダクト、１５……接続部、２０…
…内径補強部材、２５……環状突起、３０……接
続部材（ゴムホース）、４０……締付部材（クラ
ンプ）

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. プラスチツク製エアダクトの接続端部内側に内
   径補強部材を嵌挿するとともに該端部外周に他の
   接続部材を包着しその外周を締付部材で圧締する
   ようにしてなる接続部であつて、前記内径補強部
   材は前記エアダクトを構成するプラスチツクと同
   種かまたは近似した熱膨張率を有するプラスチツ
   クで、かつ前記エアダクトを構成するプラスチツ
   クより剛性率の大きいプラスチツクより構成され
   ているとともに、該内径補強部材の外周には前記
   締付部材の締付幅ｂより狭い間隔ａで複数の環状
   突起が形成されていて取付時に前記締付部材が当
   該環状突起部を圧締するようにしたことを特徴と
   する自動車用エアダクトにおける接続部の構造。