JPH0510753A - 走査トンネル顕微鏡用探針の製造方法 - Google Patents
走査トンネル顕微鏡用探針の製造方法Info
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- JPH0510753A JPH0510753A JP16687091A JP16687091A JPH0510753A JP H0510753 A JPH0510753 A JP H0510753A JP 16687091 A JP16687091 A JP 16687091A JP 16687091 A JP16687091 A JP 16687091A JP H0510753 A JPH0510753 A JP H0510753A
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- JP
- Japan
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- silicon
- probe
- manufacturing
- scanning tunneling
- tunneling microscope
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Abstract
(57)【要約】
【目的】曲率半径が小さく、機械的共振周波数の大きい
走査トンネル顕微鏡用探針の製造方法を提供する。 【構成】シリコン基板10の(111)面に、シリコン
と合金を形成する金の薄膜11を形成する。続いて、珪
素化合物を含む雰囲気中でシリコン基板を前記合金の融
点以上に加熱することにより、シリコンの柱状突起物1
3を結晶成長させる。さらにシリコンの柱状突起物13
のエッチングにより先端部を先鋭化することにより、探
針14を製作する。
走査トンネル顕微鏡用探針の製造方法を提供する。 【構成】シリコン基板10の(111)面に、シリコン
と合金を形成する金の薄膜11を形成する。続いて、珪
素化合物を含む雰囲気中でシリコン基板を前記合金の融
点以上に加熱することにより、シリコンの柱状突起物1
3を結晶成長させる。さらにシリコンの柱状突起物13
のエッチングにより先端部を先鋭化することにより、探
針14を製作する。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は走査トンネル顕微鏡用探
針の製造方法に関するものであり、とりわけ高分解能走
査トンネル顕微鏡に必要な、先端曲率半径が小さい探針
の製造方法に関するものである。
針の製造方法に関するものであり、とりわけ高分解能走
査トンネル顕微鏡に必要な、先端曲率半径が小さい探針
の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】固体表面を原子オーダで観察できる装置
として走査トンネル顕微鏡(以後STMと呼ぶ)が開発
されている。STMは試料と探針間のトンネル電流を検
出して試料表面を観察するため、原子像を得るためには
用いる探針の先端曲率半径が100オングストローム以
下の物が必要であるといわれている。一方、探針の機械
的共振周波数を上げて振動を出来るだけ小さくすること
は、走査速度の高速化、測定データの高精度化のために
重要である。
として走査トンネル顕微鏡(以後STMと呼ぶ)が開発
されている。STMは試料と探針間のトンネル電流を検
出して試料表面を観察するため、原子像を得るためには
用いる探針の先端曲率半径が100オングストローム以
下の物が必要であるといわれている。一方、探針の機械
的共振周波数を上げて振動を出来るだけ小さくすること
は、走査速度の高速化、測定データの高精度化のために
重要である。
【0003】従来のこれらの探針の製造方法の略図を図
7に示す。タングステン細線27の2ヶ所に白金細線を
輪にした電極28、電極29を配置する。(図7は全体
的に側面から見た略図であるが、電極28と29の輪の
部分は輪であることを分かりやすく表現するために斜め
上部から見た斜視図で描かれている。)。これらの電極
28および29はそれぞれ適宜の固定具(図示せず)に
固定されている接続把持具34、35で把持されてい
る。また、タングステン細線27の上部も適宜の固定具
(図示せず)に固定されている把持具32で把持されて
いる。上記電極28には、直流定電流源30の正極を接
続し、上記電極29には上記直流定電流源30の負極を
接続する。上記電極28と29に電解エッチング溶液3
1(KOH溶液)を供給することにより、タングステン
細線27は正極である上記電極28の部分でのみ電解エ
ッチングを受ける。電解エッチングが進行し上記タング
ステン細線27が切断されるとタングステン細線27の
下方部分は下に落下するので、同時に電解エッチングに
用いていた回路も切断され、この瞬間に電解エッチング
も停止する。そして、タングステン細線27の電解エッ
チングにより切断された部分を探針の先端部として用い
る。(岡山重夫、古室昌徳、小林好行、渡辺数俊、電子
技術総合研究所彙報 第52巻 第1号 76)。
7に示す。タングステン細線27の2ヶ所に白金細線を
輪にした電極28、電極29を配置する。(図7は全体
的に側面から見た略図であるが、電極28と29の輪の
部分は輪であることを分かりやすく表現するために斜め
上部から見た斜視図で描かれている。)。これらの電極
28および29はそれぞれ適宜の固定具(図示せず)に
固定されている接続把持具34、35で把持されてい
る。また、タングステン細線27の上部も適宜の固定具
(図示せず)に固定されている把持具32で把持されて
いる。上記電極28には、直流定電流源30の正極を接
続し、上記電極29には上記直流定電流源30の負極を
接続する。上記電極28と29に電解エッチング溶液3
1(KOH溶液)を供給することにより、タングステン
細線27は正極である上記電極28の部分でのみ電解エ
ッチングを受ける。電解エッチングが進行し上記タング
ステン細線27が切断されるとタングステン細線27の
下方部分は下に落下するので、同時に電解エッチングに
用いていた回路も切断され、この瞬間に電解エッチング
も停止する。そして、タングステン細線27の電解エッ
チングにより切断された部分を探針の先端部として用い
る。(岡山重夫、古室昌徳、小林好行、渡辺数俊、電子
技術総合研究所彙報 第52巻 第1号 76)。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】STMの探針は電気伝
導体である必要があるので、従来のSTMの探針はタン
グステンまたは白金の細線を機械研磨、電解エッチング
により探針先端を尖らせていた。従来の電解エッチング
法では、例えば根元部は適当な太さがあり、先端部まで
の距離が極めて短い距離で極めて尖鋭に尖っているよう
な高い機械的共振周波数を有するように探針の形状をよ
り最適化するのが困難である。本発明は、上記課題を解
決するもので、探針先端の曲率半径が小さく、かつ探針
の機械的共振周波数の大きい走査トンネル顕微鏡用探針
の製造方法を提供することを目的とする。
導体である必要があるので、従来のSTMの探針はタン
グステンまたは白金の細線を機械研磨、電解エッチング
により探針先端を尖らせていた。従来の電解エッチング
法では、例えば根元部は適当な太さがあり、先端部まで
の距離が極めて短い距離で極めて尖鋭に尖っているよう
な高い機械的共振周波数を有するように探針の形状をよ
り最適化するのが困難である。本発明は、上記課題を解
決するもので、探針先端の曲率半径が小さく、かつ探針
の機械的共振周波数の大きい走査トンネル顕微鏡用探針
の製造方法を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】前記目的を達成するため
本発明の第1の走査トンネル顕微鏡用探針の製造方法
は、シリコン基板表面をエッチングすることによりシリ
コンの突起物を作製する第1の工程と、1050℃以下
の温度で前記突起物の表面を熱酸化し、続いて前記突起
物表面に形成された酸化物を除去する第2の工程とから
なる。
本発明の第1の走査トンネル顕微鏡用探針の製造方法
は、シリコン基板表面をエッチングすることによりシリ
コンの突起物を作製する第1の工程と、1050℃以下
の温度で前記突起物の表面を熱酸化し、続いて前記突起
物表面に形成された酸化物を除去する第2の工程とから
なる。
【0006】前記第1の製造方法においては、第1の工
程が、シリコン基板表面に、エッチング用マスクを形成
後、前記シリコン基板を等方性エッチングすることによ
り、先端部を有するシリコンの突起物を作製することが
好ましい。
程が、シリコン基板表面に、エッチング用マスクを形成
後、前記シリコン基板を等方性エッチングすることによ
り、先端部を有するシリコンの突起物を作製することが
好ましい。
【0007】更に前記第1の製造方法においては、第1
の工程が、シリコン基板の(001)表面に、各辺が<
110>方向に沿った正方形のエッチング用マスクを形
成後、前記シリコン基板を異方性エッチングすることに
より、四角錐状のシリコンの突起物を形成することが好
ましい。
の工程が、シリコン基板の(001)表面に、各辺が<
110>方向に沿った正方形のエッチング用マスクを形
成後、前記シリコン基板を異方性エッチングすることに
より、四角錐状のシリコンの突起物を形成することが好
ましい。
【0008】また、前記第1の製造方法においては、第
2の工程が、1050℃以下の温度でシリコン突起物の
表面を熱酸化した後、前記酸化物を除去することに代え
て、1150℃以下の温度でシリコン突起物の表面を熱
窒化した後、前記窒化物を除去することが好ましい。
2の工程が、1050℃以下の温度でシリコン突起物の
表面を熱酸化した後、前記酸化物を除去することに代え
て、1150℃以下の温度でシリコン突起物の表面を熱
窒化した後、前記窒化物を除去することが好ましい。
【0009】また、前記目的を達成するため本発明の走
査トンネル顕微鏡用探針の第2の製造方法は、シリコン
基板表面に、シリコンと合金を形成する金属を接触さ
せ、珪素化合物を含む雰囲気中で前記シリコン基板を前
記合金の融点以上に加熱することにより、シリコンの柱
状突起物を結晶成長させた後、さらに前記柱状突起物の
先端部分を先鋭化することからなる。
査トンネル顕微鏡用探針の第2の製造方法は、シリコン
基板表面に、シリコンと合金を形成する金属を接触さ
せ、珪素化合物を含む雰囲気中で前記シリコン基板を前
記合金の融点以上に加熱することにより、シリコンの柱
状突起物を結晶成長させた後、さらに前記柱状突起物の
先端部分を先鋭化することからなる。
【0010】前記第2の製造方法においては、シリコン
と合金を形成する金属が、金、白金、銅、パラジウムお
よびニッケルからなる群から選ばれた少なくとも1種の
金属であることが好ましい。
と合金を形成する金属が、金、白金、銅、パラジウムお
よびニッケルからなる群から選ばれた少なくとも1種の
金属であることが好ましい。
【0011】また、前記第2の製造方法においては、柱
状突起物の先端部分を先鋭化する工程が、1050℃以
下の温度で、少なくとも前記シリコンの柱状突起物の表
面を熱酸化し、続いて前記柱状突起物表面に形成された
酸化物を除去することにより先端部分を先鋭化するのが
好ましい。
状突起物の先端部分を先鋭化する工程が、1050℃以
下の温度で、少なくとも前記シリコンの柱状突起物の表
面を熱酸化し、続いて前記柱状突起物表面に形成された
酸化物を除去することにより先端部分を先鋭化するのが
好ましい。
【0012】また、前記第2の製造方法においては、柱
状突起物の先端部分を先鋭化する工程が、1150℃以
下の温度で、少なくとも前記シリコンの柱状突起物の表
面を熱窒化し、続いて前記柱状突起物表面に形成された
窒化物を除去することにより先端部分を先鋭化するのが
好ましい。
状突起物の先端部分を先鋭化する工程が、1150℃以
下の温度で、少なくとも前記シリコンの柱状突起物の表
面を熱窒化し、続いて前記柱状突起物表面に形成された
窒化物を除去することにより先端部分を先鋭化するのが
好ましい。
【0013】更にまた、前記第2の製造方法における前
述した2つの構成においては、それぞれ、前記シリコン
の柱状突起物の先端部分があらかじめ、乾式または、湿
式エッチングにより先鋭化されている先端部分であるこ
とが好ましい。
述した2つの構成においては、それぞれ、前記シリコン
の柱状突起物の先端部分があらかじめ、乾式または、湿
式エッチングにより先鋭化されている先端部分であるこ
とが好ましい。
【0014】また、本発明の第1または第2の走査トン
ネル顕微鏡用探針の製造方法においては、シリコン基板
の抵抗率が100Ω・cm以下であることが好ましい。
ネル顕微鏡用探針の製造方法においては、シリコン基板
の抵抗率が100Ω・cm以下であることが好ましい。
【0015】
【作用】本発明の第1の走査トンネル顕微鏡用探針の製
造方法は、シリコン基板表面をエッチングすることによ
りシリコンの突起物を作製する第1の工程と、1050
℃以下の温度で前記突起物の表面を熱酸化し、続いて前
記突起物表面に形成された酸化物を除去する第2の工程
とからなるので、前記第1の工程により先端部の曲率半
径を最小300オングストローム程度までにすることが
できる。しかしこの程度が限界であり、このようにして
作製された先端部を1050℃以下の低温で熱酸化すれ
ば、シリコンの酸化に伴う体積膨張により先端部には応
力が増大し、他の部分に比べてシリコンの酸化が抑制さ
れる。この結果、先端部では生成された酸化膜下部のシ
リコン先端部の形状は熱酸化以前の曲率半径よりもかな
り小さな曲率半径となる。したがって、この酸化膜を除
去することにより、先端曲率が100オングストローム
以下、なおかつ探針の機械的共振周波数を上げるような
最適の形状の探針を実現できる。以上の作用は1150
℃以下の温度で熱窒化した場合にも達成される。
造方法は、シリコン基板表面をエッチングすることによ
りシリコンの突起物を作製する第1の工程と、1050
℃以下の温度で前記突起物の表面を熱酸化し、続いて前
記突起物表面に形成された酸化物を除去する第2の工程
とからなるので、前記第1の工程により先端部の曲率半
径を最小300オングストローム程度までにすることが
できる。しかしこの程度が限界であり、このようにして
作製された先端部を1050℃以下の低温で熱酸化すれ
ば、シリコンの酸化に伴う体積膨張により先端部には応
力が増大し、他の部分に比べてシリコンの酸化が抑制さ
れる。この結果、先端部では生成された酸化膜下部のシ
リコン先端部の形状は熱酸化以前の曲率半径よりもかな
り小さな曲率半径となる。したがって、この酸化膜を除
去することにより、先端曲率が100オングストローム
以下、なおかつ探針の機械的共振周波数を上げるような
最適の形状の探針を実現できる。以上の作用は1150
℃以下の温度で熱窒化した場合にも達成される。
【0016】また、第1の工程が、シリコン基板表面
に、エッチング用マスクを形成後、前記シリコン基板を
等方性エッチングすることにより、先端部を有するシリ
コンの突起物を作製することにより、円錐状の探針を製
造することができる。
に、エッチング用マスクを形成後、前記シリコン基板を
等方性エッチングすることにより、先端部を有するシリ
コンの突起物を作製することにより、円錐状の探針を製
造することができる。
【0017】また、第1の工程が、シリコン基板の(0
01)表面に、各辺が<110>方向に沿った正方形の
エッチング用マスクを形成後、前記シリコン基板を異方
性エッチングすることにより、四角錐状の探針を製造す
ることができる。
01)表面に、各辺が<110>方向に沿った正方形の
エッチング用マスクを形成後、前記シリコン基板を異方
性エッチングすることにより、四角錐状の探針を製造す
ることができる。
【0018】また、第2の製造方法は、シリコン基板表
面に、シリコンと合金を形成する金属を接触させ、珪素
化合物を含む雰囲気中で前記シリコン基板を前記合金の
融点以上に加熱することにより、シリコンの柱状突起物
を結晶成長させた後、さらに前記柱状突起物の先端部分
を先鋭化することからなるので、シリコン基板表面でシ
リコンと合金を形成する金属を接触、融解させ、珪素化
合物を含む雰囲気中で還元反応によりシリコンの蒸気を
生成することにより、合金中にシリコン蒸気が溶け込
む。溶け込んだシリコンは前記シリコン基板と合金接触
面に析出し、シリコン基板上においてシリコンの柱状結
晶が成長する。この柱状突起物の先端部分を先鋭化する
ので、細長いアスペクト比の高い、最適の形状の探針を
実現できる。
面に、シリコンと合金を形成する金属を接触させ、珪素
化合物を含む雰囲気中で前記シリコン基板を前記合金の
融点以上に加熱することにより、シリコンの柱状突起物
を結晶成長させた後、さらに前記柱状突起物の先端部分
を先鋭化することからなるので、シリコン基板表面でシ
リコンと合金を形成する金属を接触、融解させ、珪素化
合物を含む雰囲気中で還元反応によりシリコンの蒸気を
生成することにより、合金中にシリコン蒸気が溶け込
む。溶け込んだシリコンは前記シリコン基板と合金接触
面に析出し、シリコン基板上においてシリコンの柱状結
晶が成長する。この柱状突起物の先端部分を先鋭化する
ので、細長いアスペクト比の高い、最適の形状の探針を
実現できる。
【0019】また、第2の製造方法において、柱状結晶
からなる柱状突起物の先端部分を1050℃以下の温度
で表面を熱酸化あるいは1150℃以下の温度で表面を
熱窒化し、続いて表面に形成された酸化物あるいは窒化
物の除去を行うことにより、容易に先端曲率が100オ
ングストローム以下であり、なおかつ機械的共振周波数
を上げるような最適の形状の探針を製造できる。
からなる柱状突起物の先端部分を1050℃以下の温度
で表面を熱酸化あるいは1150℃以下の温度で表面を
熱窒化し、続いて表面に形成された酸化物あるいは窒化
物の除去を行うことにより、容易に先端曲率が100オ
ングストローム以下であり、なおかつ機械的共振周波数
を上げるような最適の形状の探針を製造できる。
【0020】また、第2の製造方法において柱状突起物
を乾式または湿式エッチングによりあらかじめ先鋭化し
た後に表面を前記熱酸化または熱窒化し、表面に形成さ
れた、酸化物あるいは窒化物の除去を行うことにより、
より小さい先端曲率半径の尖鋭部を有し、アスペクト比
が大きく、機械的共振周波数を上げるような最適の形状
の探針を容易に得ることができる。
を乾式または湿式エッチングによりあらかじめ先鋭化し
た後に表面を前記熱酸化または熱窒化し、表面に形成さ
れた、酸化物あるいは窒化物の除去を行うことにより、
より小さい先端曲率半径の尖鋭部を有し、アスペクト比
が大きく、機械的共振周波数を上げるような最適の形状
の探針を容易に得ることができる。
【0021】また、第2の製造方法において、シリコン
と合金を形成する金属が、金、白金、銅、パラジウムお
よびニッケルからなる群から選ばれた少なくとも1種の
金属であることにより、容易にシリコンの柱状突起物を
形成することができる。
と合金を形成する金属が、金、白金、銅、パラジウムお
よびニッケルからなる群から選ばれた少なくとも1種の
金属であることにより、容易にシリコンの柱状突起物を
形成することができる。
【0022】また、本発明の走査トンネル顕微鏡用探針
の製造方法においては、シリコン基板の抵抗率が100
Ω・cm以下であることにより、探針が導電性であり、
走査トンネル顕微鏡用探針として好適に使用できる。
の製造方法においては、シリコン基板の抵抗率が100
Ω・cm以下であることにより、探針が導電性であり、
走査トンネル顕微鏡用探針として好適に使用できる。
【0023】
(実施例1)本実施例の走査トンネル顕微鏡用探針の製
造プロセスを図1を参照しながら、以下説明する。
造プロセスを図1を参照しながら、以下説明する。
【0024】図1は本実施例の走査トンネル顕微鏡用探
針の製造プロセスを説明するための工程図である。厚さ
300〜400μmのシリコン基板1の(001)表面
にフォトエッチング技術を用いて、厚さ1000オング
ストロームの熱酸化SiO2 膜でエッチング用マスク2
を作製する(図1(a))。なお、図1(a)中1およ
び2はこの状態を側面から見た概略図を示しているが、
2´は前記エッチング用マスク2のみの平面形状を示し
たものである。また、このマスクはSi3 N4 膜を用い
てもよい。作製されたマスク2は、各辺がシリコン基板
の<110>方向に沿った6μm角の正方形となってい
る。
針の製造プロセスを説明するための工程図である。厚さ
300〜400μmのシリコン基板1の(001)表面
にフォトエッチング技術を用いて、厚さ1000オング
ストロームの熱酸化SiO2 膜でエッチング用マスク2
を作製する(図1(a))。なお、図1(a)中1およ
び2はこの状態を側面から見た概略図を示しているが、
2´は前記エッチング用マスク2のみの平面形状を示し
たものである。また、このマスクはSi3 N4 膜を用い
てもよい。作製されたマスク2は、各辺がシリコン基板
の<110>方向に沿った6μm角の正方形となってい
る。
【0025】この基板をエチレンジアミン680ml、
ピロカテコール120g、水320mlを混合して作製
したエッチング液に110℃で浸漬し、シリコンを異方
性エッチングする。この溶液における各結晶面に対する
エッチング速度を(表1)に示す。
ピロカテコール120g、水320mlを混合して作製
したエッチング液に110℃で浸漬し、シリコンを異方
性エッチングする。この溶液における各結晶面に対する
エッチング速度を(表1)に示す。
【0026】
【表1】
【0027】エッチングが進行すれば、シリコン基板の
(111)面3のエッチング速度が極端に遅いため、S
iO2 マスク2下部には(111)面3を側面とする四
角錐のシリコン突起物4が形成される。突起物の側面は
基板に対し、55度の角度を成す。本実施例では、形成
されたシリコン突起物の先端部の曲率半径は500オン
グストローム程度であった(図1(b))。次にこの基
板1をバッファエッチ溶液(HF1容とNH4 F6容の
混合液)に浸漬してSiO2 マスク2をエッチングによ
り除去する。Si3 N4 マスクを用いる場合には、HF
によりマスクをエッチングできる。
(111)面3のエッチング速度が極端に遅いため、S
iO2 マスク2下部には(111)面3を側面とする四
角錐のシリコン突起物4が形成される。突起物の側面は
基板に対し、55度の角度を成す。本実施例では、形成
されたシリコン突起物の先端部の曲率半径は500オン
グストローム程度であった(図1(b))。次にこの基
板1をバッファエッチ溶液(HF1容とNH4 F6容の
混合液)に浸漬してSiO2 マスク2をエッチングによ
り除去する。Si3 N4 マスクを用いる場合には、HF
によりマスクをエッチングできる。
【0028】次に作製されたシリコン突起物4の表面
を、950℃で乾燥酸素によりドライ酸化し、酸化膜5
を形成する(図1(c))。この酸化過程では、シリコ
ン突起物4の先端部のシリコンは酸化時の体積膨張によ
る応力を受け、他の部分に比べ酸化速度が遅くなり、酸
化膜下部のシリコン先端部の曲率半径は酸化以前に比べ
て小さくなる。本実施例では膜厚1000オングストロ
ームの酸化膜を作製した。
を、950℃で乾燥酸素によりドライ酸化し、酸化膜5
を形成する(図1(c))。この酸化過程では、シリコ
ン突起物4の先端部のシリコンは酸化時の体積膨張によ
る応力を受け、他の部分に比べ酸化速度が遅くなり、酸
化膜下部のシリコン先端部の曲率半径は酸化以前に比べ
て小さくなる。本実施例では膜厚1000オングストロ
ームの酸化膜を作製した。
【0029】次に、表面酸化膜5をバッファエッチ溶液
で除去することにより、先端曲率半径100オングスト
ローム以下の先端部分6を有する、機械的共振周波数の
高い走査トンネル顕微鏡用探針7が再現性よく得られた
(図1(d))。
で除去することにより、先端曲率半径100オングスト
ローム以下の先端部分6を有する、機械的共振周波数の
高い走査トンネル顕微鏡用探針7が再現性よく得られた
(図1(d))。
【0030】なお、シリコン突起物を作製時のシリコン
の異方性エッチング液は、エチレンジアミン、ピロカテ
コール、水の混合液に限られるものではなく、KOH水
溶液やヒドラジン水溶液をシリコンのエッチング液とし
て用いても異方性エッチングにより同様の形状のシリコ
ン突起物が作製される。また、シリコン突起物はシリコ
ン異方性エッチング技術を用いて作製したが、等方性エ
ッチング技術を用いても作製できる。この場合、エッチ
ング液としては、HF、HNO3 、CH3 COOHの混
合液が用いられる。例えばHF1容、HNO3 25容、
CH3 COOH10容の混合液では約0. 5μm/min
のエッチング速度が得られる。
の異方性エッチング液は、エチレンジアミン、ピロカテ
コール、水の混合液に限られるものではなく、KOH水
溶液やヒドラジン水溶液をシリコンのエッチング液とし
て用いても異方性エッチングにより同様の形状のシリコ
ン突起物が作製される。また、シリコン突起物はシリコ
ン異方性エッチング技術を用いて作製したが、等方性エ
ッチング技術を用いても作製できる。この場合、エッチ
ング液としては、HF、HNO3 、CH3 COOHの混
合液が用いられる。例えばHF1容、HNO3 25容、
CH3 COOH10容の混合液では約0. 5μm/min
のエッチング速度が得られる。
【0031】図2に異方性エッチング技術を用いて作成
した場合の探針の概略斜視図を、また、図3に等方性エ
ッチング技術を用いて作成した場合の探針の概略斜視図
を示す。異方性エッチング技術を用いた場合には、作製
される探針8は四角錐の形状であるが、等方性エッチン
グ技術を用いれば、マスクの形状に応じた形状の探針が
作製される。図3は、平面形状が円形のマスクで等方性
エッチングを行った例であり、円錐状の探針9が作製さ
れる。なお、図2、図3とも1はシリコン基板である
が、その表面の1部のみを示しており、全体の形状は図
示を省略したものである。
した場合の探針の概略斜視図を、また、図3に等方性エ
ッチング技術を用いて作成した場合の探針の概略斜視図
を示す。異方性エッチング技術を用いた場合には、作製
される探針8は四角錐の形状であるが、等方性エッチン
グ技術を用いれば、マスクの形状に応じた形状の探針が
作製される。図3は、平面形状が円形のマスクで等方性
エッチングを行った例であり、円錐状の探針9が作製さ
れる。なお、図2、図3とも1はシリコン基板である
が、その表面の1部のみを示しており、全体の形状は図
示を省略したものである。
【0032】また、本実施例ではシリコン突起物表面を
1050℃以下の温度で熱酸化したが、1150℃以下
の温度で熱窒化しても、同様の効果が得られる。この場
合、熱窒化は、例えば窒素あるいはアンモニア雰囲気中
で行うことができ、作製された窒化膜はHFなどにより
エッチングできる。また、抵抗率が100Ω・cmより
小さいシリコン基板を用いることにより得られた探針は
STMの探針として使用できる十分な電気伝導性を有し
ていた。
1050℃以下の温度で熱酸化したが、1150℃以下
の温度で熱窒化しても、同様の効果が得られる。この場
合、熱窒化は、例えば窒素あるいはアンモニア雰囲気中
で行うことができ、作製された窒化膜はHFなどにより
エッチングできる。また、抵抗率が100Ω・cmより
小さいシリコン基板を用いることにより得られた探針は
STMの探針として使用できる十分な電気伝導性を有し
ていた。
【0033】なお、上記探針を使用したSTMにより得
られたシリコン表面の原子像は従来の探針を用いた場合
よりも、分解能が向上していることが確認された。ま
た、高い機械的共振周波数を有するので、従来よりも探
針の走査速度を上げることが可能となった。
られたシリコン表面の原子像は従来の探針を用いた場合
よりも、分解能が向上していることが確認された。ま
た、高い機械的共振周波数を有するので、従来よりも探
針の走査速度を上げることが可能となった。
【0034】(実施例2)本実施例の走査トンネル顕微
鏡用探針の製造プロセスを図4を参照しながら、以下説
明する。
鏡用探針の製造プロセスを図4を参照しながら、以下説
明する。
【0035】図4は本実施例の走査トンネル顕微鏡用探
針の製造プロセスを説明するための断面により表示した
工程図である。厚さ300〜400μmのシリコン基板
10の(111)表面に、蒸着とフォトエッチング技術
を用いて直径0.2μm、厚さ2000オングストロー
ムの金の薄膜11を作製する(図4(a))。シリコン
基板10を約400℃に加熱すると、金とシリコンは合
金を作り、金−シリコン合金12はシリコン基板10上
で液体となる(図4(b))。続いて、シリコン基板を
950℃に昇温し四塩化珪素を飽和させた水素を送り込
むことにより、シリコン基板上において<111>方向
に直径0.2μm、高さ3μmのシリコンの柱状突起物
13を結晶成長させる(図4(c))。シリコン基板1
0を十分に冷却した後、シリコンの柱状突起物13の先
端1μmを等方性エッチング液(ふっ酸:硝酸:酢酸=
1:3:5)を用いてエッチングすることにより、先端
曲率半径100オングストローム以下、かつ機械的共振
周波数の高い走査トンネル顕微鏡用探針14が再現性よ
く得られた(図4(d))。
針の製造プロセスを説明するための断面により表示した
工程図である。厚さ300〜400μmのシリコン基板
10の(111)表面に、蒸着とフォトエッチング技術
を用いて直径0.2μm、厚さ2000オングストロー
ムの金の薄膜11を作製する(図4(a))。シリコン
基板10を約400℃に加熱すると、金とシリコンは合
金を作り、金−シリコン合金12はシリコン基板10上
で液体となる(図4(b))。続いて、シリコン基板を
950℃に昇温し四塩化珪素を飽和させた水素を送り込
むことにより、シリコン基板上において<111>方向
に直径0.2μm、高さ3μmのシリコンの柱状突起物
13を結晶成長させる(図4(c))。シリコン基板1
0を十分に冷却した後、シリコンの柱状突起物13の先
端1μmを等方性エッチング液(ふっ酸:硝酸:酢酸=
1:3:5)を用いてエッチングすることにより、先端
曲率半径100オングストローム以下、かつ機械的共振
周波数の高い走査トンネル顕微鏡用探針14が再現性よ
く得られた(図4(d))。
【0036】本実施例では、金とシリコンの合金を作製
したが、この他にシリコンと合金を形成する金属は白
金、銅、パラジウム、ニッケルのうちの少なくとも1つ
の金属であれば同様の効果が得られた。
したが、この他にシリコンと合金を形成する金属は白
金、銅、パラジウム、ニッケルのうちの少なくとも1つ
の金属であれば同様の効果が得られた。
【0037】また、本実施例では、珪素化合物を含む雰
囲気として四塩化珪素を飽和させた水素を用いたが、シ
ランやジシランガスを用いても同様の効果が得られた。
また、本実施例では、シリコンの柱状突起物13をシリ
コン基板の(111)表面に成長させたが、他の面でも
同様の効果が得られた。
囲気として四塩化珪素を飽和させた水素を用いたが、シ
ランやジシランガスを用いても同様の効果が得られた。
また、本実施例では、シリコンの柱状突起物13をシリ
コン基板の(111)表面に成長させたが、他の面でも
同様の効果が得られた。
【0038】また、抵抗率が100Ω・cmより小さい
シリコン基板を用いることにより得られた探針はSTM
の探針として使用できる十分な電気伝導性を有してい
た。なお、上記探針を使用したSTMにより得られたシ
リコン表面の原子像は従来の探針を用いた場合よりも、
分解能が向上していることが確認された。また、高い機
械的共振周波数を有するので、従来よりも探針の走査速
度を上げることが可能となった。
シリコン基板を用いることにより得られた探針はSTM
の探針として使用できる十分な電気伝導性を有してい
た。なお、上記探針を使用したSTMにより得られたシ
リコン表面の原子像は従来の探針を用いた場合よりも、
分解能が向上していることが確認された。また、高い機
械的共振周波数を有するので、従来よりも探針の走査速
度を上げることが可能となった。
【0039】(実施例3)本実施例の走査トンネル顕微
鏡用探針の製造プロセスを図5を参照しながら、以下説
明する。
鏡用探針の製造プロセスを図5を参照しながら、以下説
明する。
【0040】図5は本実施例の走査トンネル顕微鏡用探
針の製造プロセスを説明するための断面により表示した
工程図である。厚さ300〜400μmのシリコン基板
15の(111)表面に、蒸着とフォトエッチング技術
を用いて直径0.2μm、厚さ2000オングストロー
ムの金の薄膜16を作製する(図5(a))。シリコン
基板15を約400℃に加熱すると、金とシリコンは合
金を作り、金−シリコン合金17はシリコン基板15上
で液体となる(図5(b))。続いて、シリコン基板1
5を950℃に昇温し四塩化珪素を飽和させた水素を送
り込むことにより、シリコン基板15上において<11
1>方向に直径0.2μm、高さ3μmのシリコンの柱
状突起物18を結晶成長させる(図5(c))。シリコ
ン基板15を十分に冷却した後、柱状シリコン18の先
端の金−シリコン合金17をシリコンの柱状突起物18
をカッターで斜めに切断して取り除く(図5(d))。
つづいて、シリコンの柱状突起物18の表面を、950
℃で乾燥酸素によりドライ酸化し、酸化膜19を形成す
る(図5(e))。この酸化過程では、シリコンの柱状
突起物18の先端部のシリコンは酸化時の体積膨張によ
る応力を受け、他の部分に比べ酸化速度が遅くなり、酸
化膜下部のシリコン先端部の曲率半径は酸化以前に比べ
て小さくなる。本実施例では800オングストロームの
酸化膜を作製した。次に、酸化膜19をバッファエッチ
溶液で除去することにより、先端曲率半径100オング
ストローム以下、かつ機械的共振周波数の高い走査トン
ネル顕微鏡用探針20が再現性よく得られた(図5
(f))。
針の製造プロセスを説明するための断面により表示した
工程図である。厚さ300〜400μmのシリコン基板
15の(111)表面に、蒸着とフォトエッチング技術
を用いて直径0.2μm、厚さ2000オングストロー
ムの金の薄膜16を作製する(図5(a))。シリコン
基板15を約400℃に加熱すると、金とシリコンは合
金を作り、金−シリコン合金17はシリコン基板15上
で液体となる(図5(b))。続いて、シリコン基板1
5を950℃に昇温し四塩化珪素を飽和させた水素を送
り込むことにより、シリコン基板15上において<11
1>方向に直径0.2μm、高さ3μmのシリコンの柱
状突起物18を結晶成長させる(図5(c))。シリコ
ン基板15を十分に冷却した後、柱状シリコン18の先
端の金−シリコン合金17をシリコンの柱状突起物18
をカッターで斜めに切断して取り除く(図5(d))。
つづいて、シリコンの柱状突起物18の表面を、950
℃で乾燥酸素によりドライ酸化し、酸化膜19を形成す
る(図5(e))。この酸化過程では、シリコンの柱状
突起物18の先端部のシリコンは酸化時の体積膨張によ
る応力を受け、他の部分に比べ酸化速度が遅くなり、酸
化膜下部のシリコン先端部の曲率半径は酸化以前に比べ
て小さくなる。本実施例では800オングストロームの
酸化膜を作製した。次に、酸化膜19をバッファエッチ
溶液で除去することにより、先端曲率半径100オング
ストローム以下、かつ機械的共振周波数の高い走査トン
ネル顕微鏡用探針20が再現性よく得られた(図5
(f))。
【0041】本実施例では、金とシリコンの合金を作製
したが、この他にシリコンと合金を形成する金属は白
金、銅、パラジウム、ニッケルのうちの少なくとも1つ
の金属であれば同様の効果が得られた。
したが、この他にシリコンと合金を形成する金属は白
金、銅、パラジウム、ニッケルのうちの少なくとも1つ
の金属であれば同様の効果が得られた。
【0042】また、本実施例では、珪素化合物を含む雰
囲気として四塩化珪素を飽和させた水素を用いたが、シ
ランやジシランガスを用いても同様の効果が得られた。
また、本実施例では、シリコンの柱状突起物18をシリ
コン基板の(111)表面に成長させたが、他の面でも
同様の効果が得られた。
囲気として四塩化珪素を飽和させた水素を用いたが、シ
ランやジシランガスを用いても同様の効果が得られた。
また、本実施例では、シリコンの柱状突起物18をシリ
コン基板の(111)表面に成長させたが、他の面でも
同様の効果が得られた。
【0043】本実施例では柱状シリコンの表面を105
0℃以下の温度で熱酸化したが、1150℃以下の温度
で熱窒化しても、同様の効果が得られる。この場合、熱
窒化は、例えば、窒素あるいはアンモニア雰囲気中で行
うことができ、作製された窒化膜はHFなどによりエッ
チングできる。
0℃以下の温度で熱酸化したが、1150℃以下の温度
で熱窒化しても、同様の効果が得られる。この場合、熱
窒化は、例えば、窒素あるいはアンモニア雰囲気中で行
うことができ、作製された窒化膜はHFなどによりエッ
チングできる。
【0044】また、抵抗率が100Ω・cmより小さい
シリコン基板を用いることにより得られた探針はSTM
の探針として使用できる十分な電気伝導性を有してい
た。なお、上記探針を使用したSTMにより得られたシ
リコン表面の原子像は従来の探針を用いた場合よりも、
分解能が向上していることが確認された。また、高い機
械的共振周波数を有するので、従来よりも探針の走査速
度を上げることが可能となった。
シリコン基板を用いることにより得られた探針はSTM
の探針として使用できる十分な電気伝導性を有してい
た。なお、上記探針を使用したSTMにより得られたシ
リコン表面の原子像は従来の探針を用いた場合よりも、
分解能が向上していることが確認された。また、高い機
械的共振周波数を有するので、従来よりも探針の走査速
度を上げることが可能となった。
【0045】(実施例4)本実施例の走査トンネル顕微
鏡用探針の製造プロセスを図6を参照しながら、以下説
明する。
鏡用探針の製造プロセスを図6を参照しながら、以下説
明する。
【0046】図6は本実施例の走査トンネル顕微鏡用探
針の製造プロセスを説明するための断面により表示した
工程図である。厚さ300〜400μmのシリコン基板
21の(111)表面に、蒸着とフォトエッチング技術
を用いて直径2μm、厚さ2000オングストロームの
金の薄膜22を作製する(図6(a))。シリコン基板
21を約400℃に加熱すると、金とシリコンは合金を
作り、金−シリコン合金23はシリコン基板21上で液
体となる(図6(b))。続いて、シリコン基板21を
950℃に昇温し四塩化珪素を飽和させた水素を送り込
むことにより、シリコン基板21上において<111>
方向に直径2μm、高さ3μmのシリコンの柱状突起物
24を結晶成長させる(図6(c))。シリコン基板2
1を十分に冷却した後、シリコンの柱状突起物24の先
端1μmを等方性エッチング液(ふっ酸:硝酸:酢酸=
1:3:5)を用いてエッチングすることによりシリコ
ンの柱状突起物24の先端部分を先鋭化する図6
(d))。つづいて、シリコンの柱状突起物24の表面
を、950℃で乾燥酸素によりドライ酸化し、酸化膜2
5を形成する(図6(e))。この酸化過程では、シリ
コンの柱状突起物24の先端部のシリコンは酸化時の体
積膨張による応力を受け、他の部分に比べ酸化速度が遅
くなり、酸化膜下部のシリコン先端部の曲率半径は酸化
以前に比べて小さくなる。本実施例では800オングス
トロームの酸化膜を作製した。次に、酸化膜25をバッ
ファエッチ溶液で除去することにより、先端曲率半径1
00オングストローム以下、かつ機械的共振周波数の高
い走査トンネル顕微鏡用探針26が再現性よく得られた
(図6(f))。
針の製造プロセスを説明するための断面により表示した
工程図である。厚さ300〜400μmのシリコン基板
21の(111)表面に、蒸着とフォトエッチング技術
を用いて直径2μm、厚さ2000オングストロームの
金の薄膜22を作製する(図6(a))。シリコン基板
21を約400℃に加熱すると、金とシリコンは合金を
作り、金−シリコン合金23はシリコン基板21上で液
体となる(図6(b))。続いて、シリコン基板21を
950℃に昇温し四塩化珪素を飽和させた水素を送り込
むことにより、シリコン基板21上において<111>
方向に直径2μm、高さ3μmのシリコンの柱状突起物
24を結晶成長させる(図6(c))。シリコン基板2
1を十分に冷却した後、シリコンの柱状突起物24の先
端1μmを等方性エッチング液(ふっ酸:硝酸:酢酸=
1:3:5)を用いてエッチングすることによりシリコ
ンの柱状突起物24の先端部分を先鋭化する図6
(d))。つづいて、シリコンの柱状突起物24の表面
を、950℃で乾燥酸素によりドライ酸化し、酸化膜2
5を形成する(図6(e))。この酸化過程では、シリ
コンの柱状突起物24の先端部のシリコンは酸化時の体
積膨張による応力を受け、他の部分に比べ酸化速度が遅
くなり、酸化膜下部のシリコン先端部の曲率半径は酸化
以前に比べて小さくなる。本実施例では800オングス
トロームの酸化膜を作製した。次に、酸化膜25をバッ
ファエッチ溶液で除去することにより、先端曲率半径1
00オングストローム以下、かつ機械的共振周波数の高
い走査トンネル顕微鏡用探針26が再現性よく得られた
(図6(f))。
【0047】本実施例では、金とシリコンの合金を作製
したが、この他にシリコンと合金を形成する金属は白
金、銅、パラジウム、ニッケルのうちの少なくとも1つ
の金属であれば同様の効果が得られた。
したが、この他にシリコンと合金を形成する金属は白
金、銅、パラジウム、ニッケルのうちの少なくとも1つ
の金属であれば同様の効果が得られた。
【0048】また、本実施例では、珪素化合物を含む雰
囲気として四塩化珪素を飽和させた水素を用いたが、シ
ランやジシランガスを用いても同様の効果が得られた。
また、本実施例では、シリコンの柱状突起物24をシリ
コン基板の(111)表面に成長させたが、他の面でも
同様の効果が得られた。
囲気として四塩化珪素を飽和させた水素を用いたが、シ
ランやジシランガスを用いても同様の効果が得られた。
また、本実施例では、シリコンの柱状突起物24をシリ
コン基板の(111)表面に成長させたが、他の面でも
同様の効果が得られた。
【0049】また、本実施例では、シリコンの柱状突起
物24を湿式の等方性エッチングを用いて先鋭化した
が、例えばイオンエッチング等の乾式のエッチングでも
同様に先鋭化された。
物24を湿式の等方性エッチングを用いて先鋭化した
が、例えばイオンエッチング等の乾式のエッチングでも
同様に先鋭化された。
【0050】また、本実施例では柱状シリコンの表面を
1050℃以下の温度で熱酸化したが、1150℃以下
の温度で熱窒化しても、同様の効果が得られた。この場
合、熱窒化は、例えば窒素あるいはアンモニア雰囲気中
で行うことができ、作製された窒化膜はHFなどにより
エッチングできる。
1050℃以下の温度で熱酸化したが、1150℃以下
の温度で熱窒化しても、同様の効果が得られた。この場
合、熱窒化は、例えば窒素あるいはアンモニア雰囲気中
で行うことができ、作製された窒化膜はHFなどにより
エッチングできる。
【0051】また、抵抗率が100Ω・cmより小さい
シリコン基板を用いることにより得られた探針はSTM
の探針として使用できる十分な電気伝導性を有してい
た。なお、上記探針を使用したSTMにより得られたシ
リコン表面の原子像は従来の探針を用いた場合よりも、
分解能が向上していることが確認された。また、高い機
械的共振周波数を有するので、従来よりも探針の走査速
度を上げることが可能となった。
シリコン基板を用いることにより得られた探針はSTM
の探針として使用できる十分な電気伝導性を有してい
た。なお、上記探針を使用したSTMにより得られたシ
リコン表面の原子像は従来の探針を用いた場合よりも、
分解能が向上していることが確認された。また、高い機
械的共振周波数を有するので、従来よりも探針の走査速
度を上げることが可能となった。
【0052】
【発明の効果】以上説明したとおり本発明の走査トンネ
ル顕微鏡用探針の製造方法によれば、探針の先端部が極
細であり、かつ探針の機械的共振周波数の大きい高精度
高分解能走査トンネル顕微鏡用探針を効率よく合理的に
製造することができる。
ル顕微鏡用探針の製造方法によれば、探針の先端部が極
細であり、かつ探針の機械的共振周波数の大きい高精度
高分解能走査トンネル顕微鏡用探針を効率よく合理的に
製造することができる。
【0053】また、第1の本発明の第1の工程が、シリ
コン基板表面に、エッチング用マスクを形成後、前記シ
リコン基板を等方性エッチングすることにより、円錐状
の探針を製造することができる。
コン基板表面に、エッチング用マスクを形成後、前記シ
リコン基板を等方性エッチングすることにより、円錐状
の探針を製造することができる。
【0054】また、第1の本発明の第1の工程が、シリ
コン基板(100)表面に、各辺が<110>方向に沿
った正方形のエッチング用マスクを形成後、異方性エッ
チングにより、四角錐状の探針を製造することができ
る。
コン基板(100)表面に、各辺が<110>方向に沿
った正方形のエッチング用マスクを形成後、異方性エッ
チングにより、四角錐状の探針を製造することができ
る。
【0055】また、第2の製造方法は、アスペクト比の
高い、最適の形状の探針を製造する方法を提供できる。
また、第2の製造方法において、シリコンの柱状突起物
を熱酸化あるいは熱窒化し、形成された酸化物あるいは
窒化物の除去を行うことにより、容易に先端曲率が10
0オングストローム以下であり、なおかつ機械的共振周
波数を上げるような最適の形状の探針を製造できる。
高い、最適の形状の探針を製造する方法を提供できる。
また、第2の製造方法において、シリコンの柱状突起物
を熱酸化あるいは熱窒化し、形成された酸化物あるいは
窒化物の除去を行うことにより、容易に先端曲率が10
0オングストローム以下であり、なおかつ機械的共振周
波数を上げるような最適の形状の探針を製造できる。
【0056】また、第2の製造方法において柱状突起物
を乾式または湿式エッチングによりあらかじめ先鋭化し
た後に表面を前記熱酸化または熱窒化し、形成された酸
化物あるいは窒化物の除去を行うことにより、より小さ
い先端曲率半径の尖鋭部を有し、アスペクト比が大き
く、機械的共振周波数を上げるような最適の形状の探針
を容易に得ることができる。
を乾式または湿式エッチングによりあらかじめ先鋭化し
た後に表面を前記熱酸化または熱窒化し、形成された酸
化物あるいは窒化物の除去を行うことにより、より小さ
い先端曲率半径の尖鋭部を有し、アスペクト比が大き
く、機械的共振周波数を上げるような最適の形状の探針
を容易に得ることができる。
【0057】また、第2の製造方法において、シリコン
と合金を形成する金属が、金、白金、銅、パラジウムお
よびニッケルからなる群から選ばれた少なくとも1種の
金属であることにより、容易にシリコンの柱状突起物を
形成することができる。
と合金を形成する金属が、金、白金、銅、パラジウムお
よびニッケルからなる群から選ばれた少なくとも1種の
金属であることにより、容易にシリコンの柱状突起物を
形成することができる。
【0058】また、本発明の走査トンネル顕微鏡用探針
の製造方法においては、シリコン基板の抵抗率が100
Ω・cm以下であることにより、探針が導電性であり、
走査トンネル顕微鏡用探針として好適に使用できる。
の製造方法においては、シリコン基板の抵抗率が100
Ω・cm以下であることにより、探針が導電性であり、
走査トンネル顕微鏡用探針として好適に使用できる。
【図1】本発明の一実施例における走査トンネル顕微鏡
用探針の製造プロセスを説明するための工程図である。
用探針の製造プロセスを説明するための工程図である。
【図2】上記実施例により作製した走査トンネル顕微鏡
用探針の斜視図である。
用探針の斜視図である。
【図3】上記実施例により作製した走査トンネル顕微鏡
用探針の斜視図である。
用探針の斜視図である。
【図4】本発明の他の一実施例により作製した走査トン
ネル顕微鏡用探針の製造プロセスを説明するための工程
図である。
ネル顕微鏡用探針の製造プロセスを説明するための工程
図である。
【図5】本発明の他の一実施例により作製した走査トン
ネル顕微鏡用探針の製造プロセスを説明するための工程
図である。
ネル顕微鏡用探針の製造プロセスを説明するための工程
図である。
【図6】本発明の他の一実施例により作製した走査トン
ネル顕微鏡用探針の製造プロセスを説明するための工程
図である。
ネル顕微鏡用探針の製造プロセスを説明するための工程
図である。
【図7】従来の走査トンネル顕微鏡用探針製造装置の概
略図である。
略図である。
1、10、15、21 シリコン基板
2 マスク
3 シリコン(111)面
4 突起物
5、19、25 酸化膜
6 先端部分
7、8、9、14、20、26 探針
11、16、22 金の薄膜
12、17、23 金−シリコン合金
13、18、24 シリコンの柱状突起物
27 タングステン細線
28、29 電極
30 直流定電流源
31 電界エッチング液
32 把持具
33、34 接続把持具
Claims (10)
- 【請求項1】 シリコン基板表面をエッチングすること
によりシリコンの突起物を作製する第1の工程と、10
50℃以下の温度で前記突起物の表面を熱酸化し、続い
て前記突起物表面に形成された酸化物を除去する第2の
工程とからなる走査トンネル顕微鏡用探針の製造方法。 - 【請求項2】 第1の工程が、シリコン基板表面に、エ
ッチング用マスクを形成後、前記シリコン基板を等方性
エッチングすることにより、先端部を有するシリコンの
突起物を作製することからなる請求項1に記載の走査ト
ンネル顕微鏡用探針の製造方法。 - 【請求項3】 第1の工程が、シリコン基板の(00
1)表面に、各辺が<110>方向に沿った正方形のエ
ッチング用マスクを形成後、前記シリコン基板を異方性
エッチングすることにより、四角錐状のシリコンの突起
物を形成することからなる請求項1に記載の走査トンネ
ル顕微鏡用探針の製造方法。 - 【請求項4】 第2の工程が、1050℃以下の温度で
シリコン突起物の表面を熱酸化した後、前記酸化物を除
去することに代えて、1150℃以下の温度でシリコン
突起物の表面を熱窒化した後、前記窒化物を除去するこ
とからなる請求項1に記載の走査トンネル顕微鏡用探針
の製造方法。 - 【請求項5】 シリコン基板表面に、シリコンと合金を
形成する金属を接触させ、珪素化合物を含む雰囲気中で
前記シリコン基板を前記合金の融点以上に加熱すること
により、シリコンの柱状突起物を結晶成長させた後、さ
らに前記柱状突起物の先端部分を先鋭化することからな
る走査トンネル顕微鏡用探針の製造方法。 - 【請求項6】 シリコンと合金を形成する金属が、金、
白金、銅、パラジウムおよびニッケルからなる群から選
ばれた少なくとも1種の金属である請求項5に記載の走
査トンネル顕微鏡用探針の製造方法。 - 【請求項7】 柱状突起物の先端部分を先鋭化する工程
が、1050℃以下の温度で、少なくとも前記シリコン
の柱状突起物の表面を熱酸化し、続いて前記柱状突起物
表面に形成された酸化物を除去することにより先端部分
を先鋭化することからなる請求項5に記載の走査トンネ
ル顕微鏡用探針の製造方法。 - 【請求項8】 柱状突起物の先端部分を先鋭化する工程
が、1150℃以下の温度で、少なくとも前記シリコン
の柱状突起物の表面を熱窒化し、続いて前記柱状突起物
表面に形成された窒化物を除去することにより先端部分
を先鋭化することからなる請求項5に記載の走査トンネ
ル顕微鏡用探針の製造方法。 - 【請求項9】 前記シリコンの柱状突起物の先端部分が
あらかじめ、乾式または、湿式エッチングにより先鋭化
されている先端部分である請求項7または8のいずれか
に記載の走査トンネル顕微鏡用探針の製造方法。 - 【請求項10】 シリコン基板の抵抗率が100Ω・c
m以下である請求項1または5のいずれかに記載の走査
トンネル顕微鏡用探針の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP16687091A JPH0510753A (ja) | 1991-07-08 | 1991-07-08 | 走査トンネル顕微鏡用探針の製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP16687091A JPH0510753A (ja) | 1991-07-08 | 1991-07-08 | 走査トンネル顕微鏡用探針の製造方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH0510753A true JPH0510753A (ja) | 1993-01-19 |
Family
ID=15839163
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP16687091A Pending JPH0510753A (ja) | 1991-07-08 | 1991-07-08 | 走査トンネル顕微鏡用探針の製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH0510753A (ja) |
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO1999031514A1 (en) * | 1997-12-15 | 1999-06-24 | Seiko Instruments Inc. | Optical waveguide probe and its manufacturing method |
KR20040033564A (ko) * | 2002-10-15 | 2004-04-28 | 전자부품연구원 | 표면주사 현미경의 캔틸레버 및 탐침 제조방법 |
KR100706310B1 (ko) * | 2004-10-04 | 2007-04-13 | 엘지전자 주식회사 | Pzt를 이용한 주사탐침 현미경 내의 캔틸레버와 그제조방법 및 상기 캔틸레버를 이용한 탐침형 정보 저장 장치 |
-
1991
- 1991-07-08 JP JP16687091A patent/JPH0510753A/ja active Pending
Cited By (6)
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JP2008197121A (ja) * | 1997-12-15 | 2008-08-28 | Seiko Instruments Inc | 光導波路プローブおよびその製造方法 |
JP4543225B2 (ja) * | 1997-12-15 | 2010-09-15 | セイコーインスツル株式会社 | 光導波路プローブの製造方法 |
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