JP3977142B2 - 量子ドットの形成方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、量子ドットの形成方法に係り、特に所望の位置に所望の大きさで量子ドットを形成し得る量子ドットの形成方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、量子ドットの形成方法としては、Stranski-Krastanowモード(S−Kモード)による形成方法が知られている。
【0003】
S−Kモードとは、エピタキシャル成長される半導体結晶が、成長開始当初は2次元成長(膜成長)するが、膜の弾性限界を超えた段階で3次元成長するモードのことである。下地の材料より格子定数の大きい膜をエピタキシャル成長することにより、3次元成長島より成る量子ドットが自己形成される。
【0004】
S−Kモードは、量子ドットを容易に自己形成することができるモードであるため、光半導体装置等の分野で広く用いられている。
【0005】
近時、量子情報や量子計算の分野の技術が大きく注目されている。これらの分野では、量子ドットを所望の位置に所望の大きさで形成することが極めて重要である。
【0006】
しかし、上述した従来の量子ドットの形成方法では、形成される量子ドットの位置や大きさがランダムとなってしまう。
【0007】
量子ドットを形成する位置を制御する技術としては、以下のような技術が提案されている。
【0008】
例えば、特開2000−315654号公報、U.S.Patent No.5,229,320号公報、及び、Appl. Phys. Lett., Vol.76, No.2, p.167-169, (2000)には、量子ドットを形成したい箇所の半導体基板表面に予め電子ビームを用いて凹部を形成しておくことにより、量子ドットを形成する位置を制御する技術が提案されている。凹部が形成された半導体基板上に半導体層を成長すると、半導体層は凹部上に速いレートで成長されやすい傾向があるため、量子ドットを凹部上に形成することができる。
【0009】
また、Appl. Phys. Lett., Vol.75, No.22, p.3488-3490, (1999)、及び、Phys. Stat. Sol. (b) 224, No.2, p.521-525, (2001)には、量子ドットを形成したい箇所に予めSTM(Scanning Tunneling Microscope、走査型トンネル顕微鏡)を用いて堆積物を形成しておくことにより、量子ドットを形成する位置を制御する技術が提案されている。堆積物が形成された基板上に半導体層を成長すると、堆積物の上方の半導体層表面に凹部が形成される。そして、凹部が形成された半導体層上に他の半導体層を成長すると、凹部上における他の半導体層の成長レートが速いため、凹部上に量子ドットを形成することができる。
【0010】
また、Appl. Phys. Lett., Vol.77, No.16, p.2607-2609, (2000)には、AFM(Atomic Force Microscope、原子間力顕微鏡)を用いて半導体基板表面に溝を形成し、溝内に量子ドットを形成する技術が提案されている。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、電子ビームを用いて凹部を形成する上記の技術では、電子ビームを用いて凹部を形成する際に半導体基板の表面が炭素で汚染されてしまい、良質な量子ドットを形成することは困難である。
【0012】
また、STMを用いて量子ドットの位置を制御する上記の技術では、凹部が形成された半導体層に結晶欠陥が生じてしまう。結晶欠陥の生じた半導体層上には、良質な量子ドットを形成することは困難である。また、凹部の直径がある程度大きくなってしまうため、直径40nm以下の微小な量子ドットを形成することは困難である。
【0013】
また、AFMを用いて量子ドットの位置を制御する上記の技術では、AFMの探針を用いて基板表面を機械的に削ることにより溝を形成するため、溝の形状が不均一になってしまい、量子ドットを均一な大きさに形成するのは困難である。また、基板表面を機械的に削ることにより溝を形成するため、溝の部分に結晶欠陥が生じてしまう。このような結晶欠陥の生じた溝上に、結晶欠陥のない良質な量子ドットを成長することは困難である。
【0014】
本発明の目的は、所望の位置に所望の大きさで良質な量子ドットを形成し得る量子ドットの形成方法を提供することにある。
【0015】
【課題を解決するための手段】
上記目的は、半導体基板の表面にドット状に酸化物を形成する工程と、前記酸化物を除去することにより、前記酸化物が除去された箇所に凹部を形成する工程と、前記凹部が形成された前記半導体基板上に半導体層を成長し、前記凹部上に前記半導体層より成る量子ドットを形成する工程とを有し、前記凹部を形成する工程では、脱イオン水に浸漬した状態で前記半導体基板に超音波を印加することにより前記酸化物を除去することを特徴とする量子ドットの形成方法により達成される。
【0016】
【発明の実施の形態】
本発明の一実施形態による量子ドットの形成方法を図1乃至図5を用いて説明する。
【0017】
本実施形態による量子ドットの形成方法は、主として、半導体基板の表面にドット状に酸化物を形成する工程と、酸化物を除去することにより、酸化物が除去された箇所に凹部を形成する工程と、凹部が形成された半導体基板上に半導体層を成長することにより、凹部上に半導体層より成る量子ドットを形成する工程とを有している。
(a)酸化物の形成
まず、半導体基板の表面にドット状に酸化物を形成する工程について図1を用いて説明する。図1は、本実施形態による量子ドットの形成方法を示す工程図(その1)である。なお、図1は斜視図である。
【0018】
図1に示すように、不純物が高濃度にドープされた例えばGaAsより半導体基板10を用意する。
【0019】
次に、AFM酸化法により、半導体基板10の表面に酸化物12をドット状に形成する。
【0020】
AFM酸化法とは、AFMの探針を試料に近接し、AFMの探針と試料との間に電圧を印加することにより、試料表面に酸化物を形成する方法である。
【0021】
図1に示すように、AFMの探針14を半導体基板10に近接し、探針14に負のバイアスを印加し、半導体基板10に正のバイアスを印加すると、大気中に含まれている水が、探針14の先端近傍において、以下のように分解され、半導体基板10の表面で酸化反応が起こる。
【0022】
H2O → OH- + H+
半導体基板10として、例えばGaAs基板を用いた場合には、半導体基板10の表面で、以下のような酸化反応が起こる。
【0023】
2GaAs + 6OH- → Ga2O3 + As2O3 +3H2 + 6e-
なお、ここでは、半導体基板10としてGaAs基板を用いた場合の酸化反応を例に説明したが、半導体基板10はGaAs基板に限定されるものではなく、他の材料より成る半導体基板を用いた場合であっても、同様に半導体基板の表面に酸化物を形成することが可能である。
【0024】
半導体基板10の表面に酸化物12を形成する際には、AFMの探針14を静止させておく。AFMの探針14を静止させた状態で酸化反応を起こさせれば、形成される酸化物12の平面形状をほぼ円形とすることができるためである。
【0025】
AFM酸化を行う際の雰囲気は、例えば大気とする。
【0026】
AFM酸化を行う際の雰囲気の湿度は、例えば40〜60%とする。なお、AFM酸化を行う際における雰囲気の湿度は、40〜60%に限定されるものではなく、酸化反応を起こさせることができる範囲で適宜設定すればよい。
【0027】
AFMの動作モードは、例えばコンタクトモードとする。コンタクトモードとは、探針を試料表面に接触させたまま走査する動作モードのことである。
【0028】
AFM酸化を行う際に探針14と半導体基板10との間に印加する電圧は、例えば3〜7Vとする。
【0029】
酸化反応を起こさせる時間は、例えば1〜20秒とする。
【0030】
一般に、探針14と半導体基板10との間に印加する電圧を大きくするほど、形成される酸化物12の大きさは大きくなる傾向にある。また、酸化反応を起こさせる時間を長いほど、形成される酸化物12の大きさは大きくなる傾向にある。但し、探針14と半導体基板10との間に印加する電圧があまりに大きすぎると、形成される酸化物12の大きさが不均一になってしまう。一方、探針14と半導体基板10との間に印加する電圧が小さすぎると酸化反応が生じない。このため、所望の大きさの酸化物12を形成し得るように、印加電圧及び酸化時間を適宜設定する。
【0031】
例えば、印加電圧を例えば5Vと設定し、酸化時間を例えば4秒と設定すれば、例えば直径50nmの酸化物12を形成することができる。
【0032】
また、印加電圧を例えば3Vと低く設定し、酸化時間を例えば4秒と設定すれば、例えば直径20nmの極めて小さい酸化物12を形成することが可能である。
【0033】
また、探針の材料としてカーボンナノチューブを用いれば、例えば直径10nm程度の極めて小さい酸化物12を形成することも可能である。カーボンナノチューブを用いれば、先端が極めて微細な探針14を構成することが可能なためである。
【0034】
なお、カーボンナノチューブとは、自己組織的に形成されたナノ構造体であって、炭素元素から構成される円筒状の構造体のことである。
【0035】
こうして形成される酸化物12のほぼ下半分は、半導体基板10中に埋め込まれた状態となり、酸化物12のほぼ上半分は、半導体基板10から露出した状態となる。
【0036】
なお、上記では、AFMの動作モードをコンタクトモードとする場合を例に説明したが、AFMの動作モードはコンタクトモードに限定されるものではなく、AFM酸化を行うことができる動作モードであれば、他のあらゆる動作モードに適宜設定することができる。例えば、動作モードをタッピングモードとしてもよい。タッピングモードとは、探針を支持するカンチレバーを共振周波数近傍で振動させ、試料表面を断続的に触れながら走査する動作モードのことである。タッピングモードの場合には、コンタクトモードの場合より印加電圧を高めに設定することが望ましい。
【0037】
また、上記では、AFMの探針14を静止させた状態で酸化反応を起こさせる場合を例に説明したが、AFMの仕様上、探針14を静止させておくことが困難な場合には、走査速度をできるだけ遅く設定すればよい。但し、探針14が移動している状態で酸化反応を起こさせると、酸化物12の平面形状が長細くなってしまうため、酸化反応を起こさせる際の探針14の移動距離は例えば5nm以下に抑えることが望ましい。
【0038】
図2は、半導体基板の表面にドット状に酸化物が形成された状態を示すAFM像である。
【0039】
半導体基板10として、表面に2×1018cm-2の濃度でSiがドープされたn+型の(001)のGaAs基板を用いた。また、探針14と半導体基板10との間に印加する電圧は4Vとした。また、一箇所当たりの酸化時間は8秒とした。
【0040】
図2から分かるように、酸化物12は、所望の位置にほぼ均等な間隔でドット状に形成されている。
【0041】
また、酸化物12の平面形状は、いずれもほぼ円形となっている。
【0042】
また、酸化物12の直径は、ほぼ均一となっており、具体的には35〜45nm程度となっている。
【0043】
また、酸化物12の高さも、ほぼ均一となっており、具体的には0.6〜0.8nm程度となっている。
【0044】
このように、本実施形態では、AFM酸化法により半導体基板10の表面に酸化物12を形成するため、所望の位置に所望の大きさで酸化物12をドット状に形成することができる。
(b)酸化物の除去
次に、酸化物を除去することにより、酸化物が除去された箇所に凹部を形成する工程について、図3を用いて説明する。図3は、本実施形態による量子ドットの形成方法を示す工程図(その2)である。なお、図3は断面図である。
【0045】
図3(a)に示すように、半導体基板10の表面に形成された酸化物12を、例えば化学的エッチングにより除去する。
【0046】
エッチング液としては、半導体基板10をエッチングすることなく、酸化物12を選択的にエッチング除去し得るエッチング液を適宜用いる。AFM酸化により形成される酸化物12は、通常の半導体装置の製造プロセスにおいてウエット酸化により形成される酸化物12とほぼ同様である。従って、通常の半導体装置の製造プロセスにおいて用いられるエッチング液と同様のエッチング液を適宜用いれば、半導体基板10をエッチングすることなく、酸化物12を選択的にエッチング除去することが可能である。
【0047】
半導体基板10としてGaAs基板を用いる場合には、エッチング液として、例えば希釈されたHClを用いる。
【0048】
なお、ここでは、エッチング液として希釈されたHClを用いる場合を例に説明するが、エッチング液は希釈されたHClに限定されるものではなく、半導体基板10をエッチングすることなく酸化物12を選択的にエッチング除去し得るエッチング液を適宜用いることができる。例えば、希釈されたフッ酸や希釈されたアンモニア(NH4OH)等を適宜用いることができる。
【0049】
エッチング時間は、半導体基板10の表面に悪影響を及ぼすことなく、酸化物12を選択的にエッチング除去できるように、適宜設定すればよい。
【0050】
例えば、半導体基板10としてGaAs基板を用い、HCl:H2O=1:20〜1:100のエッチング液を用いて酸化物を選択的にエッチング除去する場合には、エッチング時間は、例えば30秒から数分程度とすればよい。
【0051】
なお、エッチング液の濃度があまり高くない場合には、エッチング時間をあまり厳密に設定しなくても、特段の問題はない。
【0052】
酸化物12をエッチング除去する際の温度は、例えば室温とする。
【0053】
こうして半導体基板10の表面から酸化物12が除去されると、酸化物12が除去された箇所には、凹部16が形成される。凹部16の形状は、半導体基板10に埋め込まれていた酸化物12の形状とほぼ等しくなる。
【0054】
従来は、例えば直径40nm以下の凹部を形成するのは困難であったが、本実施形態では、上述したように酸化物12の直径を例えば40nm以下とすることが可能であるため、例えば直径40nm以下の凹部16を形成することが可能である。
【0055】
また、上述したように、探針14と半導体基板10との間に印加する電圧を小さく設定し、酸化時間を短く設定すれば、例えば直径20nm以下の酸化物12を形成することができるため、例えば直径20nm以下の凹部16を形成することも可能である。
【0056】
また、上述したように、カーボンナノチューブを用いて探針14を構成すれば、例えば直径10nm程度の酸化物12を形成することも可能であるため、例えば直径10nm程度の極めて微小な凹部16を形成することも可能である。
【0057】
図4は、酸化物が除去された状態を示すAFM像である。
【0058】
エッチング液としては、HCl:H2O=1:50のエッチング液を用いた。また、エッチング条件は、室温、1分間とした。
【0059】
図4から分かるように、酸化物12がエッチング除去された箇所に、凹部16が形成されている。
【0060】
凹部16の直径は、ほぼ均一となっており、具体的には35〜45nm程度となっている。
【0061】
凹部16の深さは、0.8nm以下となっている。
【0062】
また、半導体基板10の表面の粗さは、0.3nm以下となっている。このことは、エッチングされるべきでない半導体基板10の表面については、エッチングされていないことを示している。
【0063】
このように、半導体基板10に形成された酸化物12は化学的エッチングにより選択的に除去することが可能である。
【0064】
酸化物12を除去した後には、半導体基板10の表面に付着しているエッチング液を、脱イオン水を用いて洗い流す。
【0065】
この後、例えば、半導体基板10の表面に窒素ガスを吹きかけることにより、半導体基板10の表面を乾燥させる。
【0066】
なお、上記では、半導体基板10に形成された酸化物12を化学的エッチングにより除去する場合を例に説明したが、酸化物12は化学液エッチングのみならず、他の方法により除去してもよい。
【0067】
例えば、以下に示すように、超音波を印加することによっても、酸化物12を選択的に除去することが可能である。
【0068】
なお、ここでは、超音波を印加する手段として超音波洗浄装置を用いる場合を例に説明するが、超音波を印加する手段は超音波洗浄装置に限定されるものではなく、半導体基板に超音波を印加し得る手段であればあらゆる手段を広く用いることができる。
【0069】
まず、脱イオン水の入った超音波洗浄装置(図示せず)の洗浄槽(図示せず)に、酸化物12が形成された半導体基板10を浸漬する。
【0070】
次に、洗浄槽に超音波を印加する。印加する超音波のパワーは、例えば100Wとする。また、超音波の印加時間は、例えば数分〜2時間程度とする。これにより、半導体基板10に形成された酸化物12が除去される。
【0071】
超音波を印加することにより半導体基板10の表面から酸化物12を選択的に除去し得るのは、以下のようなメカニズムによるものと考えられる。
【0072】
即ち、酸化物12と半導体基板10との界面においては原子結合が弱くなっているため、超音波を印加すると酸化物12が半導体基板10の表面から分離される。一方、印加される超音波のパワーは、半導体基板10自体の原子結合を破壊するほど強くはない。従って、超音波を印加することにより、半導体基板10の表面から酸化物12を選択的に除去することができる。
【0073】
このように、超音波を印加することによっても半導体基板10から酸化物12を選択的に除去することが可能である。
【0074】
酸化物12を除去した後には、半導体基板10に例えば窒素ガスを吹きかけることにより、半導体基板10の表面を乾燥させる。
(c)量子ドットの形成
次に、凹部が形成された半導体基板上に半導体層を成長することにより、凹部上に半導体層より成る量子ドットを形成する工程について、図3を用いて説明する。
【0075】
まず、成長装置の真空チャンバ内に半導体基板10を導入し、例えば約250℃、1時間のプリベークを行う。
【0076】
次に、成長装置の成長室内に半導体基板10を導入し、例えばMBE法又はMOCVD法により、半導体層18をヘテロ成長する。半導体層18の材料としては、例えば半導体基板10の材料よりバンドギャップが狭く、半導体基板10より格子定数の大きい材料を用いる。
【0077】
例えば、半導体基板10の材料としてGaAsを用いる場合には、半導体層18の材料として例えばInGaAsを用いることができる。
【0078】
凹部16が形成された半導体基板10上に半導体層18を気相成長すると、凹部16における半導体層18の成長速度は、半導体基板10の凹部16を除く平坦な領域における半導体層18の成長速度より速い傾向がある。このため、図3(b)〜図3(e)に示すように、凹部16上に半導体層18より成る量子ドット20が大きく成長する。
【0079】
図3(e)に示すように、量子ドット20の上部は、半導体基板10の凹部16を除く平坦な領域に形成された半導体層18の上面より上方に突出する。
【0080】
なお、量子ドット20の成長レートは、凹部16の大きさに依存する傾向がある。このため、凹部16の直径が大きいほど、直径が大きく高さの高い量子ドット20が形成される傾向がある。従って、凹部16の直径を適宜設定することにより、大きさの異なる量子ドット20を適宜設定することが可能である。
【0081】
また、量子ドット20の直径は、凹部16の直径とほぼ同様になる傾向がある。このため、量子ドット20の成長時間を適宜設定することにより、直径が均一で、高さが異なる量子ドット20を適宜設定することが可能である。
【0082】
図5は、量子ドットが形成された状態を示すAFM像である。
【0083】
半導体層18の材料としては、In0.4Ga0.6Asを用いた。半導体層18の成長は、4.4原子層を成長する条件で行った。成長室内の温度は480℃とした。
【0084】
図5から分かるように、半導体基板10に形成された凹部16上に、ほぼ均一な大きさで量子ドット20が形成されている。
【0085】
このように、本実施形態によれば、凹部16が形成された箇所に、ほぼ均一な大きさで量子ドット20を形成することが可能である。
【0086】
なお、酸化物12を除去する工程の後、量子ドット20を形成する工程の前に、半導体基板10の表面粗さを滑らかにするための平滑層(図示せず)を形成してもよい。表面の粗い半導体基板10上に半導体層18を直接成長した場合には、凹部16以外の領域の半導体基板10上に量子ドット20が形成されてしまう虞があるが、半導体基板10上に平滑層を形成すれば、半導体基板10の表面が平滑化されるため、凹部16以外の領域の半導体基板10上に量子ドットが形成されてしまうのを防止することができる。平滑層の厚さは、凹部16の深さがあまり浅くならないように適宜設定すればよく、例えば1nm以下とすればよい。
【0087】
このように本実施形態によれば、AFM酸化法により半導体基板の表面にドット状の酸化物を形成し、酸化物を除去することにより半導体基板に凹部を形成するため、所望の位置に所望の大きさで凹部を精密に形成することができる。そして、このような凹部上に量子ドットを成長するため、所望の位置に所望の大きさで良質な量子ドットを形成することができる。
【0088】
本実施形態によれば、所望の位置に所望の大きさの量子ドットを形成することができるため、量子情報や量子計算の分野等で用いることが可能な量子ドットを形成することができる。本実施形態によれば、例えば、Phys. Rev. A 62, 062316, (2000)において提案されている量子コンピュータに用いることができる量子ドットを形成することも可能である。
【0089】
(変形例)
次に、本実施形態の変形例による量子ドットの形成方法を図6及び図7を用いて説明する。図6及び図7は、本変形例による量子ドットの形成方法を示す工程図である。図6は斜視図であり、図7は断面図である。
【0090】
本変形例による量子ドットの形成方法は、半導体基板10上に表面の滑らかな半導体層22を形成することに主な特徴がある。
【0091】
まず、図6に示すように、半導体基板10上の全面に、例えばMBE法により、厚さ300nmのGaAsより成る半導体層22を形成する。半導体層22の表面粗さは、できるだけ滑らかであることが望ましく、例えば0.5nm以下とすることが望ましい。
【0092】
次に、AFM酸化により、半導体層22の表面に酸化物12をドット状に形成する。酸化物12の形成条件は、例えば上記と同様とすればよい。本変形例によれば、半導体基板10上に表面の滑らかな半導体層22を形成し、この半導体層22に酸化物12を形成するため、半導体基板10自体の表面が粗い場合であっても、所望の位置に所望の大きさの酸化物12を形成することが可能となる。
【0093】
次に、図7(a)に示すように、酸化物12を除去する。酸化物12は、上記と同様にして除去することが可能である。こうして、酸化物12が除去された箇所の半導体層22に凹部16aが形成される。
【0094】
次に、図7(b)乃至図7(e)に示すように、半導体層18をヘテロ成長する。半導体層18は、例えば上記と同様にして形成することが可能である。こうして、凹部16a上に、半導体層18より成る量子ドット20が形成される。本変形例によれば、表面が滑らかな半導体層22上に半導体層18をヘテロ成長するため、半導体基板10自体の表面が粗い場合であっても、凹部16a以外の箇所に量子ドットが形成されてしまうのを防止することができる。
【0095】
このように、本変形例によれば、半導体基板10上に表面が滑らかな半導体層22を形成するため、半導体基板10自体の表面が粗い場合であっても、半導体基板10の表面の粗さの影響を受けることなく、所望の位置に所望の大きさで量子ドット20を形成することができる。
【0096】
[変形実施形態]
本発明は上記実施形態に限らず種々の変形が可能である。
【0097】
例えば、上記実施形態では、AFMを用いて半導体基板に酸化物を形成する場合を例に説明したが、必ずしもAFMを用いなくてもよい。即ち、針状の導電体を半導体基板に近接して、針状の導電体と半導体基板との間に電圧を印加することにより、半導体基板に酸化物を形成しうる装置であればあらゆる装置を適宜用いることができる。
【0098】
また、上記実施形態では、半導体基板としてGaAs基板を用いたが、半導体基板はGaAs基板に限定されるものではなく、他のあらゆる半導体基板を用いることができる。凹部が形成された半導体基板上に、半導体基板の材料より格子定数の大きい材料より成る半導体層を成長すれば、凹部上に量子ドットを形成することが可能である。
【0099】
例えば、半導体基板としてSi基板を用いてもよい。Si基板を用いた場合には、SiO2より成る酸化物が形成される。この場合、エッチング液として、例えば希釈フッ酸を用いれば、Si基板をエッチングすることなく、SiO2より成る酸化物を選択的にエッチング除去することができる。凹部が形成されたSi基板上に、Siより格子定数の大きい材料より成る半導体層を成長すれば、凹部上に量子ドットを形成することができる。半導体層の材料としては、例えばGeを用いることができる。
【0100】
また、半導体基板としてAlGaAs基板を用いてもよい。凹部が形成されたAlGaAs基板上に、AlGaAsより格子定数の大きい材料より成る半導体層を成長すれば、凹部上に量子ドットを形成することができる。半導体層の材料としては、例えばInAlGaAsを用いることができる。
【0101】
また、半導体基板としてZnSe基板を用いてもよい。凹部が形成されたZnSe基板上に、ZnSeより格子定数の大きい材料より成る半導体層を成長すれば、凹部上に量子ドットを形成することができる。半導体層の材料としては、例えばCdSeを用いることができる。
【0102】
【発明の効果】
以上の通り、本発明によれば、AFM酸化法により半導体基板の表面にドット状の酸化物を形成し、酸化物を除去することにより半導体基板に凹部を形成するため、所望の位置に所望の大きさで凹部を精密に形成することができる。そして、このような凹部上に量子ドットを成長するため、本発明によれば、所望の位置に所望の大きさで良質な量子ドットを形成することができる。本発明によれば、所望の位置に所望の大きさの量子ドットを形成することができるため、量子情報や量子計算の分野等で用いることが可能な量子ドットを形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態による量子ドットの形成方法を示す工程図(その1)である。
【図2】半導体基板の表面にドット状に酸化物が形成された状態を示すAFM像である。
【図3】本発明の一実施形態による量子ドットの形成方法を示す工程図(その2)である。
【図4】酸化物が除去された状態を示すAFM像である。
【図5】量子ドットが形成された状態を示すAFM像である。
【図6】本発明の一実施形態の変形例による量子ドットの形成方法を示す工程図(その1)である。
【図7】本発明の一実施形態の変形例による量子ドットの形成方法を示す工程図(その2)である。
【符号の説明】
10…半導体基板
12…酸化物
14…探針
16、16a…凹部
18…半導体層
20…量子ドット
22…半導体層
Claims (8)
- 半導体基板の表面にドット状に酸化物を形成する工程と、
前記酸化物を除去することにより、前記酸化物が除去された箇所に凹部を形成する工程と、
前記凹部が形成された前記半導体基板上に半導体層を成長し、前記凹部上に前記半導体層より成る量子ドットを形成する工程とを有し、
前記凹部を形成する工程では、脱イオン水に浸漬した状態で前記半導体基板に超音波を印加することにより前記酸化物を除去する
ことを特徴とする量子ドットの形成方法。 - 請求項1記載の量子ドットの形成方法において、
前記酸化物を形成する工程では、前記半導体基板の表面に針状の導電体を近接し、前記半導体基板と前記導電体との間に電圧を印加することにより、前記半導体基板の表面に前記酸化物を形成する
ことを特徴とする量子ドットの形成方法。 - 請求項2記載の量子ドットの形成方法において、
前記針状の導電体は、原子間力顕微鏡の探針である
ことを特徴とする量子ドットの形成方法。 - 請求項1乃至3のいずれか1項に記載の量子ドットの形成方法において、
前記針状の導電体は、カーボンナノチューブより成る
ことを特徴とする量子ドットの形成方法。 - 請求項1乃至4のいずれか1項に記載の量子ドットの形成方法において、
前記酸化物を形成する工程の前に、前記半導体基板上に他の半導体層を形成する工程を更に有し、
前記酸化物を形成する工程では、前記他の半導体層に前記酸化物を形成する
ことを特徴とする量子ドットの形成方法。 - 請求項1乃至5のいずれか1項に記載の量子ドットの形成方法において、
前記酸化物を形成する工程では、直径が40nm以下の前記酸化物を形成し、
前記量子ドットを形成する工程では、直径が40nm以下の前記量子ドットを形成することを特徴とする量子ドットの形成方法。 - 請求項6記載の量子ドットの形成方法において、
前記酸化物を形成する工程では、直径が20nm以下の前記酸化物を形成し、
前記量子ドットを形成する工程では、直径が20nm以下の前記量子ドットを形成することを特徴とする量子ドットの形成方法。 - 請求項1乃至7のいずれか1項に記載の量子ドットの形成方法において、
前記凹部を形成する工程の後、前記量子ドットを形成する工程の前に、平滑層を形成する工程を更に有する
ことを特徴とする量子ドットの形成方法。
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