JP2005279833A - ナノ構造及びその作製方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 熱、酸化、水和のいずれにも強く、原子、分子の機能性構造物、原子スケール回路、原子スケールドット等、種々のナノ構造を得られる原理的手段を提供する。
【解決手段】 その表面が当該表面平行方向に三回回転対称性を持つ結晶表面となっている下地層10を用いる。この結晶表面上に原子状窒素11を供給し、窒素原子11を結晶表面上に三配位を満足させる形で吸着させてこれを窒素終端された表面不活性化膜とする。針状電極12を剥ぎ取りたい窒素原子11’に近づけて高電圧を印加し、原子スケールで所定のパタンに従い、吸着させた窒素原子を剥がした後、露出した下地層10の表面にのみ、作製すべきナノ構造構築材料としての原子ないし分子13を選択的に吸着させるか、またはエピタキシャル成長させる。
【選択図】 図1

Description

本発明は、電子回路分野のみならず、様々な分野で大いにその応用が期待され、原子、分子スケールで構築されるいわゆるナノ構造とその作製方法に関し、特に、その原理的な構造と作製指針を開示するものである。
従来からもナノ構造の作製指針として、種々の研究がなされてきた。例えばまず、シリコン表面を水素原子で一原子層分覆うことでダングリングボンドが水素原子で終端されることを利用し、水素原子で終端したシリコン表面の水素原子を所定のパタンに従い剥ぎ取り、その上に平面形状が当該パタンに即したナノ構造を成長させるという方法がある。この手法は既に研究段階ではさまざまな場面で利用されているが、代表的なものとしては下記非特許文献1に示されるような、シリコン基板上のDNAネットワークのパターニングがある。
田畑仁,谷口正輝,田中裕行,大塚洋一,田中慎一,川合知二,"DNAエレクトロニクス",表面科学 24 677 (2003)
また、シリコン表面に薄い酸化膜を形成すると終端効果が得られることは古くから電子工学において知られているが、極薄酸化膜に電子線でパタン形成すると、電子線で酸化膜が剥がれてシリコン表面が露出した部分のみにシリコン・ゲルマニウムが成長するので、これを利用してパタンに即した平面形状のナノ構造を構築しようとする試みもあった。この考えに沿った手法は、例えば下記非特許文献2,3,4等に認めることができる。
Y.Nitta, M.Shibata, K.Fujita and M.Ichikawa,"Nanometer-scaleGe selective growth on Si(001) using ultrathin SiO2 film",Surf.Sci. 462(2000),L587-L593 M.Shibata,Y.Nitta,K.Fujita and M.Ichikawa,"PyramidalSi nanocrystals with a quasiequilibrium shape selectively grown on Si(001) windows in ultrathin SiO2films",Phys.Rev.B61 (2000) 7499 Y.Nitta, M.Shibata, K.Fujita and M.Ichikawa,"Thenanometer-scale selective overgrowth of Ge over Si islands on Si(001) windows in ultrathin SiO2films",Surf.Sci. 496 (2002) L7-L12
さらに、下記非特許文献5に認められるように、格子不整合を利用してナノ構造である量子ドットを作製しようとする試みもある。すなわち、エピタキシャル成長において、基板とその上に成長させる物質とで格子不整合がある場合、その格子不整合を解消するために量子ドットと呼ばれる点状構造が自然発生することが知られている。量子ドットの大きさは格子不整合の大きさである程度決められてくるが、その位置を制御したりパタン形成をするには意図的に基板上に不整転位のネットワークを形成し、そこに量子ドットを誘導するべく図る。
尾関雅志,清水雄一郎,"半導体ナノ構造の自己組織化",応用物理 72 1248 (2003)
しかし、上述した従来法では、未だ満足な結果が得られていない。最初に述べた水素終端により実質的に半導体表面を非活性化してからパタンを形成しようとする方法では、まずもって酸化に弱い々欠点があり、周囲の酸素量に十分注意を払う必要がある。また、水分子による水和作用で終端している水素原子とシリコン原子との結合が切断されるので、水にも弱い。さらに、シリコン原子と結合している水素原子をある温度以上加熱すると熱によって結合が壊れて、非活性化の役割を果たさなくなる。上掲の非特許文献1に開示の具体的応用例においても、現在の所、水素終端したシリコン表面ではDNAネットワークは形成されないが、シリコン表面ではDNAネットワーク形成が行われるという程度の認識に留まっており、DNAネットワークそのもののパタン制御はまだまだこれから、という段階である。
一方、非特許文献2,3,4に認められるような、酸化膜形成による非活性化を利用する技術も、ジシランSi2H6やGeH4が酸化シリコン表面で解離せず、シリコン表面のみで解離反応を起こしてシリコン原子やゲルマニウム原子を供給する事実を利用しているので、他の原子種についての汎用性が全くない点という致命的欠点がある。
さらに、一般的に行って酸化膜利用では実質的に膜の構造がアモルファス状の酸化シリコンとなるため、膜表面の終端を原子スケールで制御することが難しい。酸化膜の厚みも原子スケールより厚くなり、また、原子スケールより遙かに広い面積でないと基板を露出させることが出来ないので、微細加工に限界がある。酸化膜を形成しているアモルファス状の酸化シリコンのシリコン原子と酸素原子との結合は水分子による水和作用で切断され易くもあり、やはり不満足である。終端している水素原子とシリコン原子との結合が切断されるので、水にも弱い。
非特許文献5に開示されているような格子不整合を使用する技術では、微細化とは言ってもせいぜい100nmスケールが限界で、1nmオーダでのパタン形成は到底望めない。
この他、シリコン(001)表面を窒化膜で非活性化させるような技術もあるが、やはり原子構造上、窒化膜表面で窒素のダングリングボンドが出来るので、不活性さが弱い。また、酸化膜形成時と同様の理由で微細加工にも限界がある。
本発明はこのような実情に鑑みて成されたもので、熱、酸化、水和のいずれにも強く、原子スケールでの下地層表面(一般には何らかの基板)の露出を可能とし、原子スケールで原子ないし分子を当該露出表面上に堆積させることができ、もって原子、分子の機能性構造物、原子スケール回路、原子スケールドット等、種々のナノ構造を形成し得る手法ないしその原理構造を提供せんとするものである。
本発明では上記目的を達成するため、その表面が当該表面平行方向に三回回転対称性を持つ結晶表面となっている下地層と、当該結晶表面上に三配位を満足させる形で吸着させられた窒素原子による表面不活性化膜と、吸着させた窒素原子が原子スケールで所定のパタンに従い剥がされて露出した下地層の表面にのみ吸着するかエピタキシャル成長させられたナノ構造構築用材料原子ないし分子と、を有するナノ構造を提案する。
本発明はもとより、ナノ構造作製方法としても定義できる。すなわち、
その表面が当該表面平行方向に三回回転対称性を持つ結晶表面となっている下地層を用い;
当該結晶表面上に原子状窒素を供給し、窒素原子を結晶表面上に三配位を満足させる形で吸着させてこれを窒素終端された表面不活性化膜とし;
電気的ないし機械的手法により、原子スケールで所定のパタンに従い、吸着させた窒素原子を剥がした後;
露出した下地層の表面にのみ、作製すべきナノ構造構築材料としての原子ないし分子を選択的に吸着させるか、またはエピタキシャル成長させること;
を特徴とするナノ構造作製方法を提案する。
ここで、上記の結晶表面は、具体的には炭化シリコン結晶(0001)表面、炭化シリコン結晶(111)表面、窒化ガリウム結晶(0001)表面、窒化ガリウム結晶(111)表面、窒化アルミニウム結晶(0001)表面、窒化アルミニウム結晶(111)表面を好適なものとして挙げることができ、炭化シリコン(0001)結晶は窒化ガリウム(0001)結晶に窒化ガリウムの格子定数を反映する程度の薄さでエピタキシャル成長させたものであっても良い。
なお、電気的に原子スケールで窒素原子を剥ぎ取るには、例えば針状電極を窒素原子に近づけて高電圧を印加することでなすことができ、こうした針状電極(チップ)には、例えば走査型トンネル電子顕微鏡(STM)における探針を利用できる。こうした探針を用い、機械的に傷を付けるようにして目的の窒素原子をのみ物理的に剥ぎ取ることも、現状の技術で十分可能である。
本発明によると、従来例における種々の欠点はいずれも解消ないし緩和される。三配位で吸着した窒素原子は非常に結合が強い上に余った不対電子を持たないので窒素原子吸着で覆われていない表面と比べて十分に不活性であり、金属原子をさらに吸着させてもその結合エネルギは弱い。また、酸化あるいは水和作用で下地結晶と窒素原子の結合を切断する反応も、三配位の一つの結合の切断は結晶表面のその付近に大きな歪みをもたらすために高いエネルギを要し、結果的に吸着窒素原子と下地層表面との結合は切断されにくくなる。同様の仕組みで、吸着窒素原子が下地層表面の原子と入れ替わって結晶内部に侵入することも、歪みによるエネルギ上昇により効果的に抑えられる。従って、例え単原子層であっても、酸化、水和作用に強い不活性膜を作ることが出来る。そして、そうであるからこそ、原子スケールで当該窒素終端されている面の窒素原子を所定のパタンに従い剥ぎ取ることで、逆にその剥ぎ取った部分への他の原子、分子の吸着ないし成長は容易になり、そのパタン通りに所望のナノ構造を形成させることが出来る。
本発明により提案されるナノ構造ないしその作製方法は、極めて多様な分野への実践的な応用が可能であり、電子回路に限っても原子スケールでの極細配線や量子ドットの形成が確実に、かつ精度良く可能となる他、種々の機能性構造物、メカニカルなナノ構造物を要求されるような他のナノ構造分野にも大いなる恩恵を与えるものである。
図1には、本発明方法を適用する際の工程例が模式的に示されているが、理解のため、まずは本発明に至った経緯に就き、図2に即して説明する。
この種の原子構造解析、研究技術においては、英国ケンブリッジ(Cambridge)大学内のキャヴェンディッシュ(Cavendish)研究所における M.C.Payne博士提唱の手法で、電子の波動関数を平面波展開し、個々の原子から電子の感じるポテンシャルを擬ポテンシャル法で処理し、密度汎関数法と一般化勾配近似(GGA)により物質の原子の安定配置と電子構造を計算でシミュレートする「第一原理計算」という手法が公知である。実際、種々の物質原子構造解析や創造に関し、この計算手法が採用されている。
本発明者もまた、この手法によって物質の原子の安定配置と電子構造を計算した。図2はその結果を説明する図面であるが、例えば窒化ガリウムGaN(0001)表面上に2×2単位格子、あるいは√3×√3単位格子を想定し、周期的スラブ模型で計算している。当業者には周知のように、サイトLは最表面層に位置するGaの真上、サイトT4は表面第二層に位置するNの真上ということになる。
しかるに、窒化ガリウムのエピタキシャル成長過程を第一原理計算で分析してみると、窒化ガリウムのエピタキシャル成長が難しい理由の一つに、GaN(0001)表面で吸着窒素原子が図2に示されているH3サイトという、本来の窒化ガリウム結晶で窒素原子が取り得る位置と懸け離れたサイトで安定吸着してしまうことがあるがためと分った。本発明は、この事実を逆利用したものである。
すなわち、窒素原子Nは六方晶表面の三個のガリウム原子Gaと三本の手で結合し、加えられたガリウム原子に対して不活性になる。これはMOCVD(有機化学気相成長)法による窒化ガリウム成長で典型的な1000℃の高温でも有効に作用していると思われ、実験事実としても、原子状窒素のみをエピタキシャル成長の最初期に導入すると、窒化ガリウム成長は平坦面を形成することがない。逆に最初にガリウムのみを供給すると、平坦面を成長させることができ、第一原理計算もこの経験に理論的裏付けを与える結果になる。
そこで、こうした事実を逆用すると、窒素原子が基板結晶表面の終端、不活性化に極めて有効なことに気付く。例えば図1(A) に示すように、その表面が当該表面平行方向に三回回転対称性を持つ結晶表面となっている下地層10として、例えば窒化ガリウム(0001)表面を有する下地層(一般には基板と概念できる)を用意した場合、当該結晶表面上に三配位を満足させる形で吸着させられた窒素(N)原子11、すなわち窒化ガリウム(0001)表面のH3サイトに吸着した窒素原子11は、第一原理計算によれば隣の安定サイトへ移動するためには1.5eVものエネルギを要し、これは1000℃以下の温度ではまず自発的な移動は考えられない強い吸着である。窒化ガリウム(0001)基板上にエピタキシャル成長させて格子定数を窒化ガリウムと同じとさせた2H-SiC(0001)表面でも、H3サイトからの移動のエネルギーはやはり1.2eVと高く、結合は安定である。
また、2H-SiC(0001)表面で窒素原子を表面第一層のシリコン原子と交換した場合、計算に寄ればエネルギ的に3eV高い。従って、1000℃程度の熱で窒素原子11が結晶内部へ侵入することは考えられない。これは窒素原子11が下地に入り込むことによって引き起こされる結晶のゆがみが原因である。吸着窒素原子と下地原子との結合を切断して、例えば酸素原子がその間に入り込む酸化反応は、同様の結晶の歪みを引き起こすことから、やはりエネルギ的に不利であり、1000℃程度の温度で自発的に酸化反応が進行することは考えられない。また、水分子による水和作用での結合の切断も、同様な考察から考えられない。
このように、まずもって本発明に従い、窒素原子11により例え単原子層であっても丈夫な不活性終端が実現すれば、その窒素原子一原子層膜を所定のパタンに従い原子スケールで剥ぎ取ることで、露出した下地層表面にのみ、目的とするナノ構造構築用形成材料である原子または分子を吸着ないしエピタキシャル成長させることができる。
例えば図1(B) に示すように、引き剥がしたい窒素原子上に走査型トンネル電子顕微鏡
の探針等による針状電極12を近接させ、高電圧を印加すると、符号11’で模式的に示しているように、原子スケールで窒素原子を引き剥がすことができる。すると、その剥ぎ取られた部分のみが高い化学反応性を示し、その部分のみが他の原子ないし分子を選択的に吸着させ易くなる。逆に言えば、窒素原子11で覆われた部分より窒素原子11が剥ぎ取られた部分は他の原子との結合が強くなる。そこで、窒素原子11の引き剥がしを所定パタンに沿いながら行い、剥ぎ取られて基板(下地層)10の表面が露出した部分にだけエピタキシャル成長させるとか他の原子、分子を供給すれば、図1(C)に模式的に示すように、所定パタン部分にだけ、他の原子ないし分子13が強固に結合し、それが作製目的のナノ構造の土台となるような構築物を得ることができる。このような作業を複雑なマスキングで幾重にも実行していけば、かなり複雑なナノ構造がナノスケールで形成可能となる。
また、図1(B) による電気的手段での窒素原子の引き剥がしに代えて、同様の探針12を用いながら機械的に衝撃を与え、削り取ることも可能である。さらに、図1(C)
の構造を得るに際し、図1(B) の工程以後において構築したい原子ないし分子を窒素終端不活性膜の全面上に供給しても、窒素原子11が剥ぎ取られた下地層結晶10の表面に対する結合力の方が窒素終端不活性膜の表面に対する結合力に比べ、遥かに強いので、例えばその後、適度に全体を昇温すれば、窒素終端不活性膜に結合していた原子ないし分子は熱脱離し、結果として図1(C)に示すように、所定パタンの上だけに目的の原子ないし分子13(図示の場合は分子として示した)が吸着したまま留まった状態を得ることができる。
なお、第一原理計算によれば、下地層10は上述した窒化ガリウム(0001)にのみ限ることは無く、先に述べた炭化シリコンSiC(0001)の他、窒化アルミニウム(0001)においても定性的には同じであり、また、それぞれの立方晶(111)表面にも適用できる。一般的に言っても、窒素原子による六方晶表面の終端効果はかなり広い範囲の半導体で期待し得る。また、前述のように、下地層10を構成する炭化シリコン(0001)結晶は、窒化ガリウム(0001)結晶に窒化ガリウムの格子定数を反映する程度の薄さでエピタキシャル成長させたものであっても良い。
シリコン基板の窒化膜は既に工業的に研究開発されているが、これはSi(001)基板であって、シリコン酸化膜と同様、シリコン基板をある深さまで窒化するものである。本発明における窒素終端マスキングとは全く異なる。と言うのも、本発明におけるように、六方晶的表面のH3サイトに吸着する窒素原子を実現するには、原子状窒素を結晶表面に導入する必要があるためで、こうした知見に関しては本発明をまって初めて、その応用共々、明らかにされたものである。
窒素終端の効果に就き、補強的な説明をなすならば、H3サイトの窒素原子が表面上を熱で移動するのに要するバリア・エネルギは窒化ガリウム(0001)では1.5eV、窒化ガリウム上にエピタキシャル成長させた2H-SiC(0001)でも1.2eVに達し、従って低く見積もっても800℃ないし600℃以上の高温でなければ窒素原子はH3サイトから逃れ得ない。当然、室温で空気中に放置しても、本発明による窒素終端は崩れない。通常の2H-,3C-,4H-,6H-SiC(0001)では窒素原子が熱で移動に要するエネルギーは1eV以下となるが、室温以上の温度ではやはり窒素終端は崩れない。
一方、窒素が剥ぎ取られた部分の下地層結晶表面と他の原子との結合が強く、剥ぎ取られていない窒素終端面と他の原子ないし分子の結合は相対的に弱い点は、例えば下記のような数値例からも分る。SiC(0001)表面上で銀原子、アルミニウム原子、メチル基で見積もった所、剥ぎ取られた部分への結合エネルギは、銀原子で3.74eV、アルミニウム原子で5.84eV、メチル基で4.38eVと、それぞれかなり高いのに対し、窒素終端面へのそれは、それぞれ1.58eV、3.14eV、2.61eVと、相当な差を持って低い。
以上のように、本発明によると、局所的に窒素終端を剥ぎ取れば、その後に供給された他の原子は移動あるいは昇温熱脱離によって当該剥ぎ取られた部分のみに集まるようになり、自然と量子サイズのドットが形成されたり、また、直線的に窒素終端を剥ぎ取ってその上に金属原子をエピタキシャル成長させれば、安定なナノ配線を形成させること等が可能となる。窒素終端を剥ぎ取った部分に高分子の一部を結合させることで、不安定な高分子や生体分子を基板上に固定すること等も可能となり、高分子、生体分子の立体構造の測定が容易となる。その他、本発明の応用は数多考えられる。
本発明のナノ構造作製方法の工程を模式的に説明する説明図である。 本発明に至る過程で第一原理計算に基づき検討された原子構造に関する説明図である。
符号の説明
10 下地層
11 窒素原子
11’剥ぎ取られた窒素原子
12 針状電極(チップ)
13 吸着した原子ないし分子

Claims (6)

  1. その表面が該表面平行方向に三回回転対称性を持つ結晶表面となっている下地層と;
    該結晶表面上に三配位を満足させる形で吸着させられた窒素原子による表面不活性化膜と;
    吸着させた上記窒素原子が原子スケールで所定のパタンに従い剥がされて露出した上記下地層の表面にのみ吸着するかエピタキシャル成長させられたナノ構造構築用材料原子ないし分子と;
    を有するナノ構造。
  2. 請求項1記載のナノ構造であって;
    上記下地層の上記結晶表面は、炭化シリコン結晶(0001)表面、炭化シリコン結晶(111)表面、窒化ガリウム結晶(0001)表面、窒化ガリウム結晶(111)表面、窒化アルミニウム結晶(0001)表面、窒化アルミニウム結晶(111)表面のいずれかであること;
    を特徴とするナノ構造。
  3. その表面が該表面平行方向に三回回転対称性を持つ結晶表面となっている下地層を用いた上で;
    該結晶表面上に原子状窒素を供給し、窒素原子を該結晶表面上に三配位を満足させる形で吸着させてこれを窒素終端された表面不活性化膜とし;
    電気的ないし機械的手法により、原子スケールで所定のパタンに従い、上記吸着させた窒素原子を剥がした後;
    露出した上記下地層の表面にのみ、作製すべきナノ構造構築材料としての原子ないし分子を選択的に吸着させるか、またはエピタキシャル成長させること;
    を特徴とするナノ構造作製方法。
  4. 請求項3記載のナノ構造作製方法であって;
    上記下地層の上記結晶表面は、炭化シリコン結晶(0001)表面、炭化シリコン結晶(111)表面、窒化ガリウム結晶(0001)表面、窒化ガリウム結晶(111)表面、窒化アルミニウム結晶(0001)表面、窒化アルミニウム結晶(111)表面のいずれかであること;
    を特徴とするナノ構造作製方法。
  5. 請求項3記載のナノ構造作製方法であって;
    上記電気的手法は、針状電極を上記剥ぎ取るべき窒素原子に近づけて高電圧を印加する手法であること;
    を特徴とするナノ構造作製方法。
  6. 請求項3記載のナノ構造作製方法であって;
    上記機械的手法は、針状電極により上記剥ぎ取るべき窒素原子を物理的に剥ぎ取る手法であること;
    を特徴とするナノ構造作製方法。
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