JPH05104769A - 熱転写プリンタの蓄熱補正回路 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 熱転写プリンタにおけるサーマルヘッドの温
度補正の精度を向上させる。 【構成】 画像データに基づいて温度予測演算回路１１
で予測した温度を、温度修正演算回路１３でサーミスタ
１のアルミベース５に取付けたサーミスタ１５の検出出
力をＡ／Ｄ変換したＡ／Ｄ変換器１２の出力で修正した
後、補正演算回路１４に出力する。この補正出力はサー
マルヘッドドライブ回路等に入力され、サーマルヘッド
１の発熱抵抗体４に対する通電エネルギを制御する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は熱転写プリンタに関し、
特に蓄熱効果による記録濃度の変化を補正する蓄熱補正
回路に関する。

【０００２】

【従来の技術】熱転写プリンタにおいては、印字データ
に応じてサーマルヘッドの発熱抵抗体に通電してインク
リボンのインクを受像紙に転写させることから、印字中
にサーマルヘッドに蓄熱されて温度が上昇し、特に発熱
抵抗体への通電間隔を短くするに従って前回の通電によ
る発熱抵抗体の蓄熱によって印字品質が劣化する。そこ
で、従来、例えば特開昭５９−９８８７８号公報に記載
されているように、印字データに基づいて発熱抵抗体の
温度を予測し、この予測結果に基づいて発熱抵抗体への
通電エネルギを補正するようにしたものがある。

【０００３】ところで、このようなプリンタにおいて
も、プリンタの雰囲気温度の変化による濃度変動を抑制
するために、サーマルヘッドにサーミスタを取付け、こ
のサーミスタの検出温度に基づいてヒータとファンとを
制御することによって温度を一定に保つようにしてい
る。

【０００４】このような２つの方式を併用するのは、サ
ーマルヘッドがセラミックベース上にグレーズを介して
発熱抵抗体を取付け、セラミックベースをアルミベース
に取付け、このアルミベースにヒートシンクを取付けた
構造になっていることに由来する。そして、一般的に、
サーミスタはアルミベース上に、ヒータはシートシンク
上にそれぞれ取付けられ、ファンはヒートシンクを空冷
する構造になっているが、ヒータとファンによる温度制
御はアルミベースの温度を一定に保つのが限界である。

【０００５】ところが、実際の印字濃度の変動は、セラ
ミックベース上のグレーズの温度、即ち発熱抵抗体の初
期温度（通電前の温度）の変動によって発生するため、
セラミックベース、グレーズの温度変動を予測して、よ
り正確な制御を行うようにしているのであり、ヒータと
ファンを使用した温度制御によりアルミベースが一定温
度に維持されていることを前提として、温度予測による
補正制御が可能になるのである。

【０００６】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、ヒータ
とファンによる温度制御はコスト的に不利があるばかり
でなく、実際には印字データ（通電エネルギ）によって
アルミベースの温度が１０℃前後も変化してしまうた
め、温度予測にも誤差が生じることになることから、物
理的熱時定数をセラミックベースとアルミベースの中間
位に設定して誤差を最小限に抑える必要があり、より発
熱抵抗体に近い部分の温度変動（熱時定数）による濃度
変化に対する補正を充分に行うことができない。

【０００７】

【課題を解決するための手段】本発明は上記の課題を解
決するため、サーマルヘッドの温度を検出する温度セン
サと、この温度センサの検出結果に基づいて温度の予測
結果を修正する手段とを蓄熱補正回路に設けた。

【０００８】

【作用】サーマルヘッドの温度を検出する温度センサの
検出結果に基づいて温度の予測結果を修正することによ
り、ヒータ及びファンによる温度制御装置を用いること
なく、より発熱抵抗体に近い部分の予測温度を得ること
ができ、補正精度が向上する。

【０００９】

【実施例】以下に本発明の実施例を添付図面を参照して
説明する。図１は本発明を適用した熱転写プリンタのサ
ーマルヘッドの構成図、図２は同プリンタの蓄熱補正回
路の要部ブロック図である。

【００１０】熱転写プリンタのサーマルヘッド１は、セ
ラミックベース２上にグレーズ３を介して発熱抵抗体４
を設け、セラミックベース２の背面はアルミベース５に
固定して、このアルミベース５の背面にアルミヒートシ
ンク６を取付けた構造になっている。そして、サーマル
ヘッド１を構成する各部の温度についての熱時定数、温
度変化、変動原因の関与の度合い、濃度についての変動
量、変動面積、目視効果については、表１に示すように
なる。

【００１１】

【表１】

【００１２】 そこで蓄熱補正回路は図２に示すよう
に、温度予測演算回路１１と、Ａ／Ｄ変換器１２と、温
度修正手段である温度修正演算回路１３及び補正演算回
路１４等を備えている。温度予測演算回路１１は発熱抵
抗体４に近い部分（セラミックベース２やグレーズ３）
の熱時定数に設定され、印字データ（画像データ）に基
づいてその部分の温度を予測して出力する。Ａ／Ｄ変換
器１２はサーマルヘッド１のアルミベース５に取付けら
れた温度センサであるサーミスタ１５の検出結果をＡ／
Ｄ変換して出力する。温度修正演算回路１３はＲＯＭか
らなり、温度予測演算回路１１からの予測結果をＡ／Ｄ
変換器１２からのＡ／Ｄ変換値即ちサーマルヘッド１の
検出温度に基づいて修正して出力する。

【００１３】補正演算回路１４は主にＲＯＭからなり、
印字データ及び温度修正演算回路１３からの修正予測結
果を入力して、サーマルヘッド１の発熱抵抗体４に近い
部分（セラミックベース２やグレーズ３）の予測温度
（蓄熱エネルギ）に応じた補正値を出力し、この補正出
力をサーマルヘッドドライブ回路等に入力してサーマル
ヘッド１の発熱抵抗体４に対する通電エネルギを制御す
る。

【００１４】以上のように構成した蓄熱補正回路の作用
について説明する。先ず、サーミスタ１５はアルミベー
ス５に取付けているので、その検出値はアルミベース５
の温度を正確に示すことになり、このアルミベース５の
温度には雰囲気温度及び通電による温度上昇を含むもの
となる。したがって、温度予測演算回路１１の熱時定数
はアルミベース５の熱時定数を考慮する必要がなくなっ
て、より発熱抵抗体４に近い部分の熱時定数に設定でき
る。

【００１５】これにより、温度予測演算回路１１の出力
は、アルミベース５がある一定温度のときのセラミック
ベース２〜グレーズ３の温度を示すことになり、この予
測値を温度修正演算回路１３でサーミスタ１５で検出し
たアルミベース５の温度によって修正することにより、
より発熱抵抗体４に近い部分の予測温度が得られる。

【００１６】この温度修正演算回路１３の演算は、基本
的に温度予測演算回路１１の予測結果とＡ／Ｄ変換器１
２の変換結果とを合成することによって行う。例えば、
Ａ／Ｄ変換器１２の変換結果が小さいとき、即ちアルミ
ベース５の温度が低いときには、温度予測演算回路１１
の予測値を小さくして、Ａ／Ｄ変換器１２の変換値に加
算する。つまり、温度予測演算回路１１の予測値は通電
量（画像データ）による温度上昇を示していて、Ａ／Ｄ
変換器１２の変換値はそのときのアルミベース５の温度
であるから、アルミベース５の温度が低いときには通電
によって発生した熱エネルギはアルミベース５により多
く奪われるために実際の温度上昇は温度予測演算回路１
１の予測値よりも低くなると考えられるのである。ここ
で、温度修正演算回路１３の演算式（一般式）を以下の
（数１）に示す。

【００１７】

【数１】

【００１８】

【発明の効果】以上説明したように本発明によれば、サ
ーマルヘッドの温度を検出する温度センサの検出結果に
基づいて温度の予測結果を修正するようにしたので、温
度予測演算回路の熱時定数を短く設定することができ、
より小さな面積での濃度変動も充分に補正でき、補正面
積範囲が広くなって、補正精度が向上し、また、ヒータ
及びファンによる温度制御装置が不要になってコストダ
ウンを図れる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明を適用した熱転写プリンタのサーマルヘ
ッドの構成図

【図２】同プリンタの蓄熱補正回路の要部ブロック図

【符号の説明】

１…サーマルヘッド、２…セラミックベース、３…グレ
ーズ、４…発熱抵抗体、５…アルミベース、６…アルミ
ヒートシンク、１１…温度予測演算回路、１２…Ａ／Ｄ
変換器、１３…温度修正演算回路（温度修正手段）、１
４…補正演算回路、５…サーミスタ（温度センサ）。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 印字データに基づいてサーマルヘッドの
   発熱抵抗体の温度を予測し、この予測結果に基づいて前
   記サーマルヘッドの発熱抵抗体への通電エネルギを補正
   するようにした熱転写プリンタの蓄熱補正回路におい
   て、この蓄熱補正回路は前記サーマルヘッドの温度を検
   出する温度センサと、この温度センサの検出結果に基づ
   いて前記予測結果を修正する修正手段とを備えたことを
   特徴とする熱転写プリンタの蓄熱補正回路。