JPH05102386A - 高強度リードフレーム材およびその製造方法 - Google Patents

高強度リードフレーム材およびその製造方法

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JPH05102386A
JPH05102386A JP8264692A JP8264692A JPH05102386A JP H05102386 A JPH05102386 A JP H05102386A JP 8264692 A JP8264692 A JP 8264692A JP 8264692 A JP8264692 A JP 8264692A JP H05102386 A JPH05102386 A JP H05102386A
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lead frame
strength
alloy
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frame material
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JP8264692A
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English (en)
Inventor
Hiroshi Yamada
廣志 山田
Fumio Iwane
文男 岩根
Noboru Fujita
昇 藤田
Shinichiro Yahagi
慎一郎 矢萩
Yoshikazu Yamasako
義和 山迫
Shigeru Koide
茂 小出
Toshimitsu Nagai
俊光 永井
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Daido Steel Co Ltd
Original Assignee
Daido Steel Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 高強度で且つ導電率の優れた高強度リードフ
レーム材を安価に提供する。 【構成】 熱膨張係数が小さい38.5Ni−5.0C
o−2.5Ti−残Fe等のFe−Ni系合金から成る
板状の芯材の両面に銅の薄膜を圧延ロールによって圧延
圧着し、応力除去および接合強度向上を目的とする焼鈍
処理を施した後、冷間圧延加工を行って芯材を加工硬化
させるとともに、Tiの析出相を生じさせるための焼鈍
処理を施して析出硬化させることにより、芯材を高強度
化する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はIC(集積回路)などの
リードフレームとして用いられるリードフレーム材およ
びその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】ICなどのリードフレームは、一般に熱
膨張係数の小さいFe−Ni系合金、例えば36〜42
Ni−Fe合金などのインバーが用いられている。ま
た、ICの小型化、高集積化などに伴い、リードフレー
ムのリードを細くして高密度化する傾向があり、加工硬
化や析出硬化などにより高強度化した高強度インバーが
開発されている。特開昭55−122855号公報に記
載されているインバーはその一例である。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記イ
ンバーは導電率(軟銅を1とした場合の百分率)が3%
以下と低く、エネルギー損失が比較的大きいとともに発
熱するなどの問題があった。なお、導電率が高い銅若し
くは銅合金を用いたリードフレームも多用されている
が、熱膨張や強度の点で問題がある。
【0004】本発明は以上の事情を背景として為された
もので、その目的とするところは、高強度で且つ導電性
に優れたリードフレーム材を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための第1の手段】かかる目的を達成
するために、第1発明は、ICなどのリードフレームと
して用いられるリードフレーム材であって、(a)熱膨
張係数が小さく且つ高強度のFe−Ni系合金から成る
芯材と、(b)その芯材の両面に設けられた導電率の高
い被覆材とを有することを特徴とする。
【0006】
【第1発明の作用および効果】このような高強度リード
フレーム材は、加工硬化,析出硬化等により高強度化さ
れた熱膨張係数の小さいFe−Ni系合金から成る芯材
の両面に、銅,銅合金等の導電率の高い被覆材が設けら
れているため、所望する強度を確保しつつ導電率を高め
ることができる。したがって、かかる高強度リードフレ
ーム材から打抜き加工等によって得られるリードフレー
ムのリードの幅を細くしても充分な強度が得られ、リー
ドの高密度化を図ることができるとともに、導電率の高
い被覆材の作用によりエネルギー損失や発熱が良好に低
減される。また、芯材の両面に銅等の被覆材が設けられ
ているため、芯材と被覆材との熱膨張係数の相違によっ
てリードフレームが変形する恐れもない。なお、被覆材
として銅または銅合金が用いられる場合には、メッキや
ハンダ付性が向上する利点がある。
【0007】ここで、上記芯材として用いられるFe−
Ni系合金としては、Ni(ニッケル)を26〜50重
量%程度含んでいるものが好適に用いられ、これに2〜
6重量%程度のCo(コバルト)を含有させても良い。
また、これを高強度化する技術としては、析出硬化およ
び加工硬化の少なくとも一方を用いることが望ましく、
析出硬化元素としては1〜5重量%程度のTi(チタ
ン)や1重量%程度以下のSc(スカンジウム)が効果
的である。更に、固溶強化元素としてNb(ニオブ),
Zr(ジルコン),W(タングステン),Mo(モリブ
デン),Ta(タンタル)のうち少なくとも1種類を、
合計で1〜3重量%程度含有させることも、高強度化を
図る上で効果的である。このようなFe−Ni系合金の
具体例としては、38.5Ni−5Co−2.5Ti−
残Fe合金、42Ni−0.2〜0.5Sc−残Fe合
金、38Ni−0.25C−1.8Mo−残Fe合金、
36〜40Ni−3Nb−残Fe合金、35Ni−2〜
6Co−3Nb−残Fe合金、36Ni−2〜6Co−
3Zr−残Fe合金、36〜42Ni−3Zr−残Fe
合金などがある。一方、導電率の高い被覆材としては、
Cu(銅)若しくはCu合金が好適に用いられるが、A
u(金),Pt(白金)などを採用することもできる。
かかる被覆材をFe−Ni系合金から成る芯材の両面に
被覆する方法としては、圧延,爆着等によるクラッド、
メッキ、蒸着、溶射など種々の手段を採用できる。ま
た、被覆材の厚さは、芯材を含むリードフレーム材全体
の厚さに対して被覆材の割合が高くなる程導電率は高く
なるが、強度は低下するため、必要とする強度および導
電率に応じて適宜定められる。
【0008】
【課題を解決するための第2の手段】前記目的を達成す
るために、第2発明は、ICなどのリードフレームとし
て用いられるリードフレーム材であって、(a)導電率
の高い芯材と、(b)その芯材の両面に設けられた熱膨
張係数が小さく且つ高強度のFe−Ni系合金から成る
被覆材とを有することを特徴とする。
【0009】
【第2発明の作用および効果】すなわち、この第2発明
は前記第1発明とは逆に、芯材として銅等の導電率の高
い材質を用い、その芯材の両面に熱膨張係数が小さく且
つ高強度のFe−Ni系合金から成る被覆材を設けるよ
うにしたのであり、この場合にも所望する強度を確保し
つつ導電率を高めることが可能で、リードの高密度化を
図ることができるとともにエネルギー損失や発熱を低減
できるし、芯材と被覆材との熱膨張係数の相違によって
リードフレームが変形する恐れもない。しかも、本発明
では高強度のFe−Ni系合金が被覆材としてリードフ
レーム材の表面側に設けられているため、これを芯材と
してリードフレーム材の内部に設けた第1発明に比較し
て曲げ剛性が高められ、リードフレームの強度が一層向
上する利点がある。なお、リードフレームをエッチング
で形成する場合、内部よりも表面側の方が腐食の進行が
速いため、一般に腐食端面は表裏の中間部分が鋭利に突
き出す形状となるが、芯材として銅または銅合金を用い
た場合には、Fe−Ni系合金よりも銅の方が腐食し易
いため、形成後の腐食端面の凹凸を小さくできる。ま
た、この第2発明においても、Fe−Ni系合金の望ま
しい組成や高強度化技術は前記第1発明と同様であり、
導電率の高い芯材の材質や厚さ等は、第1発明における
被覆材の場合と同様にして定められる。
【0010】
【課題を解決するための第3の手段】前記目的を達成す
るために、第3発明は、ICなどのリードフレームとし
て用いられるリードフレーム材の製造方法であって、
(a)熱膨張係数が小さいFe−Ni系合金から成る芯
材の両面に導電率の高い被覆材を圧延圧着してクラッド
材を製造する圧延圧着工程と、(b)前記クラッド材を
冷間圧延し、所望する板厚にすると同時に前記Fe−N
i系合金を加工硬化させて高強度とする冷間圧延工程と
を有することを特徴とする。
【0011】
【第3発明の作用および効果】すなわち、この第3発明
は、前記第1発明に係る高強度リードフレーム材を好適
に製造できる製造方法に関するもので、熱膨張係数が小
さいFe−Ni系合金から成る芯材の両面に導電率の高
い被覆材を圧延圧着してクラッド材を製造し、その後、
そのクラッド材を冷間圧延することにより、所望する板
厚にすると同時にFe−Ni系合金を加工硬化させて高
強度化するのであり、このようにして製造された高強度
リードフレーム材は、前記第1発明と同様な作用効果が
得られる。また、本発明方法は、Fe−Ni系合金を加
工硬化により高強度化する前に銅等の被覆材を圧延圧着
するようにしているため、高強度化したFe−Ni系合
金の表面にメッキなどによって被覆材を設ける場合に比
較して、被覆材を簡単且つ確実に芯材に固着することが
可能であり、第1発明の高強度リードフレーム材を低コ
ストで多量生産できる利点がある。
【0012】なお、Fe−Ni系合金の望ましい組成や
導電率の高い被覆材の材質,厚さ等は第1発明と同様で
あり、Fe−Ni系合金がTiおよびScのうち少なく
とも1種類を析出硬化元素として含んでいる場合には、
上記冷間圧延工程の後にそのFe−Ni系合金を時効に
より析出硬化させる熱処理工程を設ければ良い。
【0013】
【課題を解決するための第4の手段】前記目的を達成す
るために、第4発明は、ICなどのリードフレームとし
て用いられるリードフレーム材の製造方法であって、
(a)導電率の高い芯材の両面に熱膨張係数が小さいF
e−Ni系合金から成る被覆材を圧延圧着してクラッド
材を製造する圧延圧着工程と、(b)前記クラッド材を
冷間圧延し、所望する板厚にすると同時に前記Fe−N
i系合金を加工硬化させて高強度とする冷間圧延工程と
を有することを特徴とする。
【0014】
【第4発明の作用および効果】この第4発明は、前記第
2発明に係る高強度リードフレーム材を好適に製造でき
る製造方法に関するもので、導電率の高い芯材の両面に
熱膨張係数が小さいFe−Ni系合金から成る被覆材を
圧延圧着してクラッド材を製造し、その後、そのクラッ
ド材を冷間圧延することにより、所望する板厚にすると
同時にFe−Ni系合金を加工硬化させて高強度化する
のであり、このようにして製造された高強度リードフレ
ーム材は、前記第2発明と同様な作用効果が得られる。
また、本発明方法は、Fe−Ni系合金を加工硬化によ
り高強度化する前に銅等の芯材に圧延圧着するようにし
ているため、それ等を簡単且つ確実に一体化することが
可能であり、第2発明の高強度リードフレーム材を低コ
ストで多量生産できる利点がある。
【0015】なお、Fe−Ni系合金の望ましい組成や
導電率の高い芯材の材質,厚さ等は第2発明と同様であ
り、Fe−Ni系合金がTiおよびScのうち少なくと
も1種類を析出硬化元素として含んでいる場合に、上記
冷間圧延工程の後にそのFe−Ni系合金を時効により
析出硬化させる熱処理工程を設ければ良いことは第3発
明と同様である。
【0016】
【実施例】以下、本発明の一実施例を図面に基づいて詳
細に説明する。
【0017】図2は、第1発明の一実施例である高強度
リードフレーム材10の斜視図で、板状の芯材12の両
面に被覆材として銅の薄膜14を固着したものである。
芯材12は熱膨張係数の小さいFe−Ni系合金、この
実施例では38.5Ni−5.0Co−2.5Ti−残
Fe合金で、加工硬化および析出硬化によって高強度化
が図られ、硬度や引張強さが高められている。
【0018】上記高強度リードフレーム材10は、第3
発明に従う図1に示されている手順に従って製造され、
先ず、高強度化する前の板厚が例えば0.25mm程度の
芯材12の両面に銅の薄膜14を圧延圧着する。これ
は、例えば図3に示されているように一対の圧延ロール
16間で芯材12および薄膜14を冷間圧延することに
よって行われ、これにより芯材12の両面に銅の薄膜1
4が固着されたクラッド材18が得られる。この時の圧
下率、すなわち圧延前の板厚をT1 、圧延後の板厚をT
2 とした場合の板厚減少率{(T1 −T2 )/T1 }×
100は、薄膜14を芯材12に確実に圧着する上で5
0%以上とすることが望ましい。芯材12は高強度化す
る前の状態であるため、かかる冷間圧延により薄膜14
は芯材12に対して良好に圧延圧着される。
【0019】次に、上記クラッド材18を1000℃程
度まで加熱した後2分間程度保持して徐冷する焼鈍処理
を施すことにより、前記圧延圧着工程において芯材12
の内部に生じた応力を取り除くとともに、芯材12と薄
膜14との界面部分で拡散を行わせてそれ等の接合強度
を高める。この焼鈍処理の加熱温度は、析出相を生じさ
せることのないように定められる。
【0020】その後、上記クラッド材18を圧延ロール
によって冷間圧延することにより、芯材12を加工硬化
させる。この時の圧下率は、高強度リードフレーム材1
0に要求される必要強度や所望する板厚に応じて例えば
10%程度から90%程度の間で任意に設定される。
【0021】そして、最後に上記冷間圧延されたクラッ
ド材18を400〜800℃程度まで加熱した後2〜6
0分間程度保持して徐冷する焼鈍処理を施すことによ
り、芯材12にTiの析出相を時効により生じさせて析
出硬化させる。この時の加熱温度は、芯材12に析出相
が生じるように前記冷間圧延前の焼鈍処理温度よりも低
い温度である。この焼鈍処理は芯材12を時効により析
出硬化させる熱処理工程に相当する。
【0022】このようにして製造された高強度リードフ
レーム材10は、加工硬化および析出硬化によって芯材
12が高強度化されているため、打抜き加工等によって
得られるリードフレームのリードの幅を細くしても充分
な強度が得られ、リードの高密度化を図ることができる
ばかりでなく、その芯材12の表面に設けられた銅の薄
膜14の存在により高い導電性が得られるようになって
エネルギー損失や発熱が良好に低減され、且つメッキや
ハンダ付性も向上する。また、芯材12の両面に銅の薄
膜14が圧着されているため、芯材12と薄膜14との
熱膨張係数の相違に起因してリードフレームが変形する
恐れもない。
【0023】ここで、かかる高強度リードフレーム材1
0の引張強さや導電率は、図4および図5に示されてい
るように、高強度リードフレーム材10全体の板厚t1
に対する芯材12の板厚t2 の割合、すなわち板厚比D
(%)=(t2 /t1 )×100によって変化し、引張
強さは板厚比Dが高い程高くなる一方、導電率は板厚比
Dが低くなる程高くなる。このため、板厚比Dは両者を
勘案して例えば30%程度から95%程度の間、好まし
くは50%以上85%以下の間で設定される。そして、
例えば板厚比Dが80%の場合には、引張強さは前記冷
間圧延工程の圧下率によっても異なるが75〜125kg
f/mm2 程度で、導電率(軟銅を1とした場合の百分率)
は23%程度となり、導電率が3%以下であった従来の
42Ni−残Fe合金製のリードフレームに比較して1
0倍程度の導電性が得られる。なお、図4に示されてい
る複数のグラフは冷間圧延工程における圧下率の相違に
よるもので、各グラフの右端に示されている数値は、板
厚比Dが100%すなわち芯材12単独の引張強さであ
る。
【0024】また、熱応力に影響するヤング率は、Fe
−Ni系合金に比較して銅の方が小さいため、図6に示
されているように板厚比Dが小さい程小さくなり、板厚
比D=80%の高強度リードフレーム材10のヤング率
は約1.48×104 (kgf/mm2)となる。したがって、
ヤング率が約1.57×104 (kgf/mm2)の芯材12単
独の場合に比較して、ヤング率が低くなった分だけ高強
度リードフレーム材10の熱応力は小さくなる。また、
熱膨張係数は、芯材12の熱膨張係数をα1、薄膜14
の熱膨張係数をα2 とすると、{α1 D+α2 (100
−D)}/100となり、薄膜14すなわち銅の熱膨張
係数が芯材12よりも大きいことに対応して、高強度リ
ードフレーム材10の熱膨張係数は芯材12単独の場合
より大きくなるため、板厚比Dの設定に際してはこの熱
膨張係数についても考慮する必要がある。
【0025】一方、上記高強度リードフレーム材10の
製造に際しては、芯材12を加工硬化や析出硬化によっ
て高強度化する前に銅の薄膜14を圧延圧着するように
しているため、高強度化した芯材12の表面にメッキな
どによって銅を設ける場合に比較して、薄膜14を簡単
且つ確実に芯材12に固着することができ、高強度リー
ドフレーム材10を低コストで多量生産できる。
【0026】次に、本発明の他の実施例を説明する。図
7に示す高強度リードフレーム材20は第2発明の一実
施例を成すもので、導電率の高い銅から成る板状の芯材
22の両面に、前記38.5Ni−5.0Co−2.5
Ti−残Fe合金等のFe−Ni系合金から成る被覆材
24を固着したものである。かかる高強度リードフレー
ム材20は、前記高強度リードフレーム材10と同様
に、圧延圧着工程,焼鈍工程,冷間圧延工程,および析
出硬化のための焼鈍工程(熱処理工程)から成る製造工
程に従って製造され、被覆材24は加工硬化および析出
硬化によって高強度化され、硬度や引張強さが高められ
ている。なお、被覆材24の表面26には、ハンダ付性
を良くするために必要に応じて銅,ニッケル,スズ等の
メッキなどが施される。
【0027】かかる高強度リードフレーム材20におい
ても、所望する強度を確保しつつ高い導電率を得ること
が可能で、リードの高密度化を図ることができるととも
にエネルギー損失や発熱を低減できるし、芯材22と被
覆材24との熱膨張係数の相違によってリードフレーム
が変形する恐れもないなど、前記実施例の高強度リード
フレーム材10と同様の作用効果が得られる。また、被
覆材24を加工硬化や析出硬化によって高強度化する前
に銅の芯材22に圧延圧着するようにしているため、そ
れ等を簡単且つ確実に一体化することが可能であり、高
強度リードフレーム材20を低コストで多量生産でき
る。
【0028】一方、この実施例の高強度リードフレーム
材20は、高強度のFe−Ni系合金が被覆材24とし
て表面側に設けられているため、Fe−Ni系合金が芯
材12として内部に設けられていた前記高強度リードフ
レーム材10に比較して曲げ剛性が高められ、リードフ
レームの強度が一層向上する利点がある。すなわち、芯
材12,被覆材24を構成するFe−Ni系合金のヤン
グ率をEIn、薄膜14,芯材22を構成する銅のヤング
率をECu、曲率半径をρとした場合、図8の(a)のよ
うに、長さ寸法がb、全体の板厚がh、銅の薄膜14の
膜厚がh/10の高強度リードフレーム材10の曲げモ
ーメントM1は、材料力学の「はりの曲げ」に関する演
算式から次式(1)で表される一方、図8の(b)のよ
うに、長さ寸法がb、全体の板厚がh、銅の芯材22の
半分の厚さがh/10の高強度リードフレーム材20の
曲げモーメントM2は同様に次式(2)で表され、EIn
>ECuであることから、Fe−Ni系合金の板厚と銅の
板厚との割合が同じでも高強度リードフレーム材20の
方が高い曲げ剛性を得られるのである。
【0029】
【数1】 M1=(bh3 /12ρ)×( 0.512 EIn+0.488 ECu)・・・(1) M2=(bh3 /12ρ)×( 0.992 EIn+0.008 ECu)・・・(2)
【0030】また、このように銅製の芯材22をFe−
Ni系合金から成る被覆材24で挟んだ高強度リードフ
レーム材20によれば、エッチングによりリードフレー
ムを所定のパターンに形成した場合に、その形成後の腐
食端面が平坦になる利点がある。すなわち、リードフレ
ームをエッチングで形成する場合、内部よりも表面側の
方が腐食の進行が速いため、一般に腐食端面は表裏の中
間部分が鋭利に突き出す形状となるが、銅製の芯材22
の両面にFe−Ni系合金の被覆材24を設けた場合、
Fe−Ni系合金よりも銅の方が腐食し易いため、エッ
チング時間を適当に定めることにより形成後の腐食端面
の凹凸を小さくできるのである。
【0031】以上、本発明の実施例を図面に基づいて詳
細に説明したが、これ等はあくまでも一具体例であり、
例えば析出硬化させるための焼鈍処理は必ずしも必要で
ないとともに、芯材12や被覆材24を構成するFe−
Ni系合金の組成は種々変更できるなど、本発明は当業
者の知識に基づいて種々の変更、改良を加えた態様で実
施することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1発明の一実施例である図2の高強度リード
フレーム材を第3発明の製造方法に従って製造する際の
手順を示す図である。
【図2】第1発明の一実施例である高強度リードフレー
ム材の斜視図である。
【図3】図1の圧延圧着工程を説明する図である。
【図4】図2の高強度リードフレーム材における板厚比
と引張強さとの関係を示す図である。
【図5】図2の高強度リードフレーム材における板厚比
と導電率との関係を示す図である。
【図6】図2の高強度リードフレーム材における板厚比
とヤング率との関係を示す図である。
【図7】第2発明の一実施例である高強度リードフレー
ム材の構成を説明する図である。
【図8】図2および図7の高強度リードフレーム材の曲
げモーメントを解析する際の各部の寸法を説明する図で
ある。
【符号の説明】
10,20:高強度リードフレーム材 12:芯材(Fe−Ni系合金) 14:銅の薄膜(被覆材) 18:クラッド材 22:芯材(銅) 24:被覆材(Fe−Ni系合金)
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 山迫 義和 愛知県東海市高横須賀栗ノ木33 (72)発明者 小出 茂 愛知県名古屋市南区松下町1−11−1 パ ークシテイ松下B501 (72)発明者 永井 俊光 愛知県刈谷市板倉町1−5−1

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ICなどのリードフレームとして用いられ
    るリードフレーム材であって、 熱膨張係数が小さく且つ高強度のFe−Ni系合金から
    成る芯材と、 該芯材の両面に設けられた導電率の高い被覆材とを有す
    ることを特徴とする高強度リードフレーム材。
  2. 【請求項2】ICなどのリードフレームとして用いられ
    るリードフレーム材であって、 導電率の高い芯材と、 該芯材の両面に設けられた熱膨張係数が小さく且つ高強
    度のFe−Ni系合金から成る被覆材とを有することを
    特徴とする高強度リードフレーム材。
  3. 【請求項3】前記Fe−Ni系合金は析出硬化および加
    工硬化の少なくとも一方によって高強度化されたもので
    ある請求項1または2に記載の高強度リードフレーム
    材。
  4. 【請求項4】前記Fe−Ni系合金は、Nb,Zr,
    W,Mo,Taのうち少なくとも1種類を固溶強化元素
    として含んでいる請求項1〜3の何れかに記載の高強度
    リードフレーム材。
  5. 【請求項5】ICなどのリードフレームとして用いられ
    るリードフレーム材の製造方法であって、 熱膨張係数が小さいFe−Ni系合金から成る芯材の両
    面に導電率の高い被覆材を圧延圧着してクラッド材を製
    造する圧延圧着工程と、 前記クラッド材を冷間圧延し、所望する板厚にすると同
    時に前記Fe−Ni系合金を加工硬化させて高強度とす
    る冷間圧延工程とを有することを特徴とする高強度リー
    ドフレーム材の製造方法。
  6. 【請求項6】ICなどのリードフレームとして用いられ
    るリードフレーム材の製造方法であって、 導電率の高い芯材の両面に熱膨張係数が小さいFe−N
    i系合金から成る被覆材を圧延圧着してクラッド材を製
    造する圧延圧着工程と、 前記クラッド材を冷間圧延し、所望する板厚にすると同
    時に前記Fe−Ni系合金を加工硬化させて高強度とす
    る冷間圧延工程とを有することを特徴とする高強度リー
    ドフレーム材の製造方法。
  7. 【請求項7】前記Fe−Ni系合金はTiおよびScの
    うち少なくとも1種類を析出硬化元素として含んでお
    り、前記冷間圧延工程の後に該Fe−Ni系合金を時効
    により析出硬化させる熱処理工程を有する請求項5また
    は6に記載のリードフレーム材の製造方法。
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