JPH0510115Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 「産業上の利用分野」 本考案はビジネスケース、旅行用ケースなど主
として錠前の付いているカバン類の施錠装置に関
する。

「従来技術と要望点」 従来、ビジネスケースや旅行用ケースなどのカ
バン類に用いられる錠前はシリンダー錠が多かつ
たが、最近多数の鍵違いを得ることができる磁石
ピンタンブラー錠が用いられるようになつて来て
いる。この磁石ピンタンブラー錠の一例として
は、たとえば内壁を有する固定部材と、この固定
部材の内壁側に鍵の解錠操作により水平移動する
ことができるように設けられた可動部材と、この
可動部材に前記固定部材と係合するように常時弾
発性部材に付勢されながら遊嵌する数個のタンブ
ラーとから成るものがある。しかして、このよう
な構成からなる磁石ピンタンブラー錠を用い、簡
単な操作で施解錠することができるカバン類の施
錠装置の出現が要望されるに至つている。しかし
ながら、この種の施錠装置において、まだ簡単な
操作でスムーズに施解錠することができるものが
提案されていない。

「考案の目的」 本考案は以上のような従来技術と要望点に鑑
み、固定部材に対して水平方向に可動部材が移動
するタイプの磁石ピンタンブラー錠に利用するこ
とができ、また構造的にも構成する部品点数が少
なく、たとえば、バネ部材の錆などによる故障も
生じないワンタツチ操作でスムーズに施解錠を繰
り返して行なうことができ、加えて、ロツクピン
のズレや変形による故障が生じないカバン類の施
錠装置を得るにある。

「考案の目的を達成するための手段」 本考案のカバン類の施錠装置は、内壁に凹所を
有する固定部材と、この固定部材の内壁側に弾発
性部材に付勢されながら設けられた可動部材と、
この可動部材の嵌合孔に押しバネを介して嵌合す
る柱状のロツクピンと、このロツクピンの突出端
部が常時係合する一連のガイド溝を有し、かつ前
記可動部材をワンタツチ操作で一方向へ繰り返し
押すと、前記凹所内を可動部材が移動する方向に
対して直交方向に往復移動すると共に、前記ロツ
クピンを常に可動部材の中心線上に位置させなが
らガイド溝の異なる位置に循環的に停止させ施解
錠を順次行なうことができる摺動カムとを備える
ことを特徴とする。

「本考案の実施例」 以下、図面に示す実施例により本考案を詳細に
説明する。

第１図ないし第８図に示す一実施例において、
Ｘはビジネスケース、旅行用ケースなど主として
カバン類に取付けられる磁石ピンタンブラー錠の
錠前で、この錠前Ｘは内壁２を有する固定部材３
と、この固定部材３の内壁側に適宜コイルスプリ
ングなどの弾発性部材４に付勢されながら設けら
れ、かつカード状のキープート５の押す操作によ
り前記弾発性部材４のバネ力に抗して水平方向へ
移動する可動部材６と、この可動部材に多数の鍵
違いを得るために予圧縮されたスプリングに付勢
されながら遊嵌する複数個のタンブラー７とから
主に構成されている。しかして、本考案のカバン
類の施錠装置Ｙは、たとえば前記磁石ピンタンブ
ラー錠の一例である錠前Ｘに設けられている。す
なわち、符号３は内壁２に凹所１０を有する固定
部材で、この固定部材３は第１図で示すように錠
前Ｘの一方側の外枠を形成している。また６は固
定部材３の内壁２側にコイルスプリングなとどの
弾発性部材４に付勢されながら設けられた可動部
材で、この可動部材６の前記固定部材の内壁２と
面する反対側の一側面（第２図では下面）には錠
前Ｘの他方側の外枠１１に適宜補助プレート１２
などを介装して固着具１３で固定的に設けられた
係止板１４と係止する係合片１５が一体に突設さ
れている。１６は可動部材６の他側面（第２図で
は上面）に形成された嵌合孔１７にスプリングな
どの押しバネ１８を介して嵌合する円柱状のロツ
クピンである。１９はロツクピン１６の突出端部
が常時係合する一連のガイド溝２０を有し、かつ
前記可動部材６をワンタツチ操作で前記弾発性部
材４のバネ力に抗して繰り返し押すと凹所１０内
を往復移動しながらロツクピン１６をガイド溝２
０の異なる位置へと案内して停止させ、施解錠錠
を順次行なうことができる摺動カムで、この摺動
カム１９の前記ガイド溝２０は第４図ないし第６
図で示すように溝の高さあるいは深さが相違する
複数のガイド面２０ａ，２０ｂ，２０ｃ，２０ｄ
が形成され、これらのガイド面は全体として平面
がハート型形状になるように連結して形成されて
いる。第６図では各ガイド面２０ａないし２０ｄ
の連結状態を展開図で示している。この図から明
らかなようにガイド面２０ａと２０ｄの両面は、
平らな面の他にゆるやかな昇り坂状態の傾斜面を
有し、その余のガイド面２０ｂ，２０ｃとは階段
状に連設し、ガイド面２０ｂ，２０ｃは平らな面
のみで、両面２０ｂ，２０ｃは互いに階段状に連
設している。

上記構成にあつては、第７図および第８図で示
すような作動態様を繰り返す。

すなわち、第７図および第８図の符号ａはロツ
クピン１６が押しバネ１８に付勢されながらその
突出端面がガイド溝２０のガイド面２０ａのＡポ
イントに位置している場合を示している。この
時、可動部材６の係合片１５は外枠１１の係止板
１４と係合し、施錠装置Ｙは施錠状態にある。第
７図および第８図の符号ｂは可動部材６を固定部
材３の内壁２に沿つて弾発性部材４のバネ力に抗
しながらワンタツチ操作で押して移動させた場合
を示している。この時ロツクピン１６はあくまで
も可動部材の中心線０上に位置し、摺動カム１９
が固定部材の凹所１０の内壁と摺接しながら可動
部材６が移動する方向と直交する一方向へ移動す
る。しかして、摺動カム１９が移動するとロツク
ピン１６はガイド溝に案内されながらＡポイント
とからＢポイントを通過し、ガイド面２０ａとは
段差があるガイド面２０ｂのＣポイントへと移行
し、可動部材６の係合片１６と外枠１１の係止板
１４との係合が完全に解除され、施錠装置Ｙは解
施前の中途状態となる。第７図および第８図の符
号ｃは可動部材６をワンタツチ操作で直接あるい
は間接的に押して一方向へ移動させた場合におい
て、可動部材６に加わる力が瞬間的に消えた時該
可動部材６が弾発性部材４のバネ力によりほんの
少しの距離だけ後退した場合を示している。この
場合ロツクピン１６の突出端部の外周面がガイド
面２０ａとガイド面２０ｃとの境界をなす垂直面
２１に強制的に摺接する。その結果、ロツクピン
１６はガイド溝に案内されながらガイド面２０ｂ
のＣポイントから段差のあるガイド面２０ｃのＤ
ポイントへと移行し、かつガイド面２０ｃに対し
て垂直面を形成する内側の弧状ストツパー面２２
に支持されながら停止する。したがつて、施錠装
置Ｙは図示するように可動部材６の係合片１６と
外枠１１の係止板１４との係合がそのまま解除さ
れ、解施状態となる。第７図および第８図の符号
ｄは可動部材６をワンタツチ操作で直接あるいは
間接的に再度弾発性部材４のバネ力に抗しながら
押して移動させた場合を示している。この場合ロ
ツクピン１６はガイド面２０ｂに対して一段溝の
深いガイド面２０ｃのＤポイントに位置している
関係上ガイド面２０ｂの方へ戻ることはなく、ガ
イド面２０ｃに対して外側に斜め方向に形成され
た垂直面２３と強制的に摺接しながらガイド面２
０ｃのＤポイントから階差のあるガイド面２０ｄ
のＥポイントへと摺動カム１９が他方向へ移動す
るにしたがつて移行し、施錠装置Ｙは解錠状態か
ら施錠状態へと中途状態となる。しかして、この
中途状態において可動部材６に加わる力が瞬間的
に消えた時該可動部材６は弾発性部材４のバネ力
により元の位置へと復帰する。この時ロツクピン
１６はガイド溝に案内されガイド面２０ｄのＥポ
イントからＦポイントを通過し、段差があるガイ
ド面２０ａのＡポイントへと移行する。そして、
ロツクピン１６はその突出端の外周面がガイド面
２０ａに対して垂直面を形成する外側の弧状スト
ツパー面２４に支持されながら停止し、施錠装置
Ｙは前述したような施錠状態となる。以下、可動
部材６をワンタツチ操作で繰り返し直接あるいは
間接的に押すと摺動カム１９が固定的部材の凹所
１０内を往復動しながらガイド溝２０でロツクピ
ン１６をＡポイントからＤポイントへ、Ｄポイン
トからＡポイントへと循環的に案内し、係合片１
５と係止板１４との施解錠を順次繰り返す。

「考案の効果」 以上の説明から明らかなように本考案はあつて
は次に列挙するような効果がある。

(1) 固定部材に対して水平方向に可動部材が移動
するタイプの磁石ピンタンブラー錠に利用する
ことができる。

(2) 可動部材をワンタツチ操作で直接あるいは間
接的に移動させるだけで、施解錠を順次繰り返
して行なうことができる。

(3) 構成する部品点数が少ないので、故障の恐れ
もなくまた安価に製作することができる。

(4) 溝の高さあるいは深さが相違する複数のガイ
ド面が形成されたガイド溝を有する摺動カムを
用いているので、可動部材の移動に対してロツ
クピンがスムーズに摺接して循環する。

(5) 固定部材の凹所内を可動部材が移動する方向
に対して直交方向に往復移動すると共に、前記
ロツクピンを常に可動部材の中心線上に位置さ
せながらガイド溝の異なる位置に循環的に停止
させ施解錠を順次行なうことができる摺動カム
が設けられているので、施錠装置がロツクピン
のズレや変形による故障が生じない。

【図面の簡単な説明】

第１図は磁石ピンタンブラー錠の錠前に本考案
を利用した一例を示す説明図、第２図は一部を断
面とした本考案の概略説明図、第３図は本考案の
ロツクピンと摺動カムとの関係を示す概略説明
図、第４図は本考案の摺動カムの平面図、第５図
は第４図の−線断面図、第６図は第４図で示
すＡ，Ｂ，Ｃ，Ｄ，Ｅ，Ｆ，Ａの各ポイントをロ
ツクピンが移行した場合における各ガイド面の連
設状態を示す展開図、第７図および第８図は本考
案の施解錠の作動態様を示す各説明図である。 Ｘ……錠前、Ｙ……施錠装置、３……固定部
材、４……弾発性部材、６……可動部材、１０…
…凹所、１４……係止板、１５……係合片、１６
……ロツクピン、１９……摺動カム、２０……ガ
イド溝、２１，２３……垂直面、２２，２４……
弧状ストツパー面。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 １ 内壁に凹所を有する固定部材と、この固定部
   材の内壁側に弾発性部材に付勢されながら設け
   られた可動部材と、この可動部材の嵌合孔に押
   しバネを介して嵌合する柱状のロツクピンと、
   このロツクピンの突出端部が常時係合する一連
   のガイド溝を有し、かつ前記可動部材をワンタ
   ツチ操作で一方向へ繰り返し押すと、前記凹所
   内を可動部材が移動する方向に対して直交方向
   に往復移動すると共に、前記ロツクピンを常に
   可動部材の中心線上に位置させながらガイド溝
   の異なる位置に循環的に停止させ施解錠を順次
   行なうことができる摺動カムとを備えたカバン
   類の施錠装置。 ２ 摺動カムのガイド溝には溝の高さあるいは深
   さが相違する複数のガイド面が形成されている
   ことを特徴とする実用新案登録請求の範囲第１
   項記載のカバン類の施錠装置。 ３ 摺動カムのガイド溝は、全体として平面がハ
   ート型形状に形成されていることを特徴とする
   実用新案登録請求の範囲第２項記載のカバン類
   の施錠装置。