JPH048717B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 （技術分野） この発明は例えば自動車用ラジエータのような
合成樹脂製タンクを有する熱交換器の製造方法に
関する。

（背景技術） 従来、合成樹脂製タンクを有する熱交換器は、
第１〜２図に示すように組立てられていた。即
ち、座板も合成樹脂製とする場合は、第１図に示
すようにタンク１の下端面の座板２とを超音波溶
接により水密に溶着接合し、座板２に穿設した孔
５にパツキング４を介して金属製の通液管３を液
密に挿通する。又、座板２を金属製とする場合
は、第２図に示すように、通液管３の端部を座板
２に貫通した状態で貫通部を液密にろう付けし、
座板２の周囲に形成した溝に装着したパツキング
７にタンク１の下端部のフランジ１ａを載せ、こ
のフランジ１ａと座板２の周縁部とを抑え金具８
により、弾性的に圧縮したパツキング７を介して
結合してタンク１と座板２とを液密に接合してい
た。６は通液管３に装着したフインである。

ところが、上述のような合成樹脂製タンクを有
する熱交換器を製造するのは、座板にタンクを接
合する作業と通液管を接合する作業とを別々に行
なわなければならない等、面倒で製品の価格を高
くする原因ともなつていた。

このような不都合を解消するため、本発明者は
先に高周波誘導加熱を利用してタンクと座板との
接合と、座板と通液管との接合とを同時に行なえ
る合成樹脂製タンクを有する熱交換器の製造方法
を発明（特願昭57−34025号）した。この先発明
について第３図により簡単に説明すると、タンク
１の下端面１ｂと座板２の周縁部上面とを重ね合
せるとともに両面のうちの一方の面に全周に亘つ
て形成した溝９に金属線１０を嵌装し、座板２に
穿設した孔５に金属製の通液管３の端部を隙間な
く貫通させ、金属線１０と通液管３との近くに設
けた高周波誘導コイル１１，１１ａに通電するこ
とにより金属線１０と通液管３とを発熱させ、タ
ンク１と座板２とを溶着すると同時に座板２と通
液管３とを接合するものである。

ところが、このような先発明に係る合成樹脂製
タンクを有する熱交換器の製造方法に於いては、
未だ次に述べるような欠点があつた。即ち、タン
ク１の下端面１ｂと座板２の周縁部上面との一方
に形成する溝９は、丁度金属線１０を嵌装できる
程度の大きさであり、かつこの溝９と対向する面
は単なる平面状とされているため、この金属線１
０を高周波誘導加熱してタンク１と座板２とを溶
接する場合、金属線１０の周縁部でこの金属線１
０の発熱の影響を受ける限られた部分でしか溶着
が行なわれず、溶着面積の不足から接合部の強度
が十分でない。

（本発明の目的） 本発明は上述のような先発明の有する欠点を解
消し、高周波誘導加熱によつてタンクと座板との
接合部の強度を十分に確保することのできる合成
樹脂製タンクを有する熱交換器の製造方法を提供
することを目的としている。

（本発明の構成及び作用） 本発明の合成樹脂製タンクを有する熱交換器の
製造方法は、前述のように構成される先発明に係
る製造方法に於いて、金属線を嵌装するためにタ
ンクの下端面または座板の周縁部上面に形成した
溝の断面積を、この金属線を緩く挿入できるよう
に、金属線の断面積よりも十分に大きく形成し、
座板の周縁部上面またはタンクの下端面のこの溝
と対向する部分には、溝の断面積と金属線の断面
積との差分だけの断面積を有する突条を形成して
いる。タンクと座板とを接合する場合は、溝内に
金属線を挿入し、この金属線に突条を当接させ、
タンクと座板とを互いに押圧しつつ高周波誘導コ
イルに通電し、金属線を発熱させると、溝の内面
と突条とが溶融して互いに混ざり合い、タンクと
座板とが十分に広い面積で接合する。

（本発明の実施例） 次に、図示の実施例を説明しつつ本発明を更に
詳しく説明する。

第４図は本発明の実施例を示す、第３図のＡ部
に相当する拡大断面図である。合成樹脂製のタン
ク１の下端面１ｂの中央部には、幅ｗ、高さＨの
矩形断面の突条１２が形成されている。一方、上
記タンク１と同材質製の座板２の周縁部上面に
は、突条１２の幅ｗよりも僅か（0.2〜0.5ｍ／ｍ
程度）に広い幅Ｗ、深さＤの矩形断面の溝９が形
成されている。この溝９の両側面を形成する壁１
３，１３の厚さＴは、1.5ｍ／ｍ以上の厚さに形
成する（Ｔ≧1.5ｍ／ｍ）。このような溝９内に
は、鉄（Fe）、ニツケル（Ni）及びこれらの合金
のように強磁性を有する金属製で溝９の幅Ｗの3/
４程度の直径Ｒを有する（Ｒ＝3W/4）金属線１０
が挿入されている。ここで、各構成部分の大きさ
は、タンク１と座板２との溶着時に、突条１２が
溶融することにより、溝９内に丁度樹脂が充満す
るように、上記寸法ｗ，Ｈ，Ｄ，Ｒを次の関係式
を満すように定める。

ｗ×Ｈ＝Ｗ×Ｄ−πR²／４ タンク１と座板２とを接合する場合には、この
ように形成された座板２の周縁部上面の溝９内に
金属線１０を挿入し、タンク下端面１ｂの突条１
２をこの溝９内に金属線１０に当接するまで挿入
し、タンク１と座板２とを互いに押圧した状態
で、第３図に示した様に座板周囲に設けた高周波
誘導コイル１１ａに通電し、金属線１０に誘導電
流を惹起させる。これにより、金属線１０がジユ
ール発熱し、溝９の内面を溶融させるとともに、
突条１２を下端から溶融させる。このため、突条
１２から溶出した樹脂が溝９内に充満して、この
溝９の内面から溶出した樹脂と混合し合い、冷却
後はタンク１と座板２とが広い面積で良好に接合
される。更に、突条１２の大きさを、前記した関
係式を満す場合よりも僅かに大きくすれば、溶出
した樹脂の一部がタンク下端面１ｂと壁１３，１
３の上面との間にも浸透し、この両面も接着する
ため、接合強度が一層向上する。

（応用例） なお、本発明の合成樹脂製タンクを有する熱交
換器の製造方法を実施する場合、予め金属線１０
の表面と突条１２の表面とに、架橋性ナイロン12
系（例えば、東亜合成化学工業株式会社製 商品
名：FS−175SN等）、フエノリツクニトリル系
（例えば、ボスチツクジヤパン製 商品名：1755、
2300S等）などの耐熱水性接着剤を塗布しておけ
ば、タンク１と座板２との接合強度が一層向上す
る。即ち、タンク１と座板２とを接合後は、これ
を熱水処理するが、上記の接着剤塗布を行なうこ
とにより、熱水処理前の接合部の強度が母材（例
えばナイロン）の強度を上まわる程度に向上し、
しかも処理後に於いても、金属線１０の表面と樹
脂との間の溶着界面への水の浸透が防止され、十
分な溶着強度、液密性、耐圧性が得られるため、
本発明の方法により造られた熱交換器の耐久性が
一層勝れたものとなる。

（本発明の効果） 本発明の合成樹脂製タンクを有する熱交換器の
製造方法は以上に述べた通り、タンク１と座板２
とを十分強固に接合できるため、水漏れ故障等が
発生し難く耐久性に勝れた熱交換器を得ることが
できる。

【図面の簡単な説明】

第１〜２図は従来の方法により造られる合成樹
脂製タンクを有する熱交換器の２例を示すそれぞ
れ部分縦断側面図、第３図は先発明の方法により
合成樹脂製タンクを有する熱交換器を製造する状
態を示す第１〜２図同様の縦断側面図、第４図は
本発明の方法により造られる熱交換器のタンクと
座板との接合前の状態を示す第３図のＡ部に相当
する拡大断面図である。 １：タンク、１ａ：フランジ、１ｂ：下端面、
２：座板、３：通液管、４：パツキング、５：
孔、６：フイン、７：パツキング、８：抑え金
具、９：溝、１０：金属線、１１，１１ａ：高周
波誘導コイル、１２：突条、１３：壁。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ タンク１の下端面１ｂと座板２の周縁部上面
   とを重ね合せるとともに両面のうちの一方の面に
   全周に亘つて形成した溝９に金属線１０を嵌装
   し、座板２に穿設した孔５に金属製の通液管３の
   端部を隙間なく貫通させ、金属線１０と通液管３
   との近くに設けた高周波誘導コイル１１，１１ａ
   に通電することにより金属線１０と通液管３とを
   発熱させ、タンク１と座板２とを溶着すると同時
   に座板２と通液管３とを接合する合成樹脂製タン
   クを有する熱交換器の製造方法に於いて、上記溝
   ９の断面積は金属線１０の断面積よりも大きくか
   つ溝９の幅を金属線１０の直径よりも大きく形成
   し、この溝９を形成した面と対向する面には、上
   記溝９の断面積と金属線１０の断面積との差分だ
   けの断面積を有する突条１２を形成し、タンク１
   と座板２とを互いに押圧しつつ高周波誘導コイル
   １１，１１ａに通電することを特徴とする合成樹
   脂製タンクを有する熱交換器の製造方法。