JPH048513B2

JPH048513B2 -

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Publication number: JPH048513B2
Application number: JP63176371A
Authority: JP
Priority date: 1988-07-15
Filing date: 1988-07-15
Publication date: 1992-02-17
Also published as: JPH0225580A

Description

【発明の詳細な説明】

（産業上の利用分野）本発明は、親水性、耐食性及びカビ発生防止性
に優れた熱交換器用表面処理アルミニウム板に係
り、より詳細には、高温、高湿或いは塵芥、埃の
多い雰囲気で使用される熱交換器用アルミニウム
フイン材に適するアルミニウム板及びその製造法
に関する。なお、本発明においては、アルミニウ
ム板とは、工業用純アルミニウム板及びアルミニ
ウム合金板を総称するものとする。（従来の技術及び解決しようとする課題）熱交換器用アルミニウムフイン材としては、現
在、1050、1100などの純アルミニウム系が使用さ
れているが、近年、この種のアルミニウムフイン
材においては、大気中の水分が結露し、フイン間
に溜るいわゆるブリツヂの形成に起因して熱交換
性能の低下や送風時の騒音の発生、水飛びが生じ
ることから、これを防止するためにフイン表面に
水漏れ性を付与したり、更には白錆発生を防止す
るために、表面処理を施して耐食性を付与するこ
とが広く行われている。表面処理アルミニウムフイン材としては、クロ
メート処理皮膜や樹脂塗装皮膜等の耐食皮膜を設
けるのが一般的であるが、更には、例えば、特開
昭61−8598号、同62−129695号等に示されている
ように、耐食皮膜と親水皮膜を設ける試みもあ
る。しかし乍ら、このような表面処理フイン材であ
つても、従来から使用されている無処理フイン材
と同様、高温、高湿状態に曝され、特に塵芥、埃
の多い雰囲気で使用される熱交換器の場合には、
フイン表面にカビが発生する場合があり、使用時
に不快な臭いが発生することがある。そして、このようなカビ発生を防止するため
に、樹脂系の耐食皮膜或いは親水皮膜の場合、皮
膜中に防カビ剤を添加することも試みられている
が、大気中の水分がフイン表面に結露し落下する
際に防カビ剤も容易に流失してしまい、効果が短
時間しか持続しないという問題があり、また耐食
皮膜の場合は、防カビ剤の添加により耐食性が低
下する等の問題があり、親水性、耐食性と防カビ
性を十分に満足することは非常に困難であつた。本発明は、かゝる事情に鑑みてなされたもので
あつて、熱交換器を高温、高湿、或いは塵芥、埃
の多い雰囲気で使用しても、フイン表面にカビ発
生がなく、しかもこの防カビ性が持続し、不快な
臭いを発生することがない熱交換器用アルミニウ
ム板を提供し、またその製造法を提供することを
目的とするものである。（課題を解決するための手段）前記目的を達成するため、本発明者等は、この
種の表面処理フイン材において、耐食性と親水性
に加え、防カビ性及びその持続性を付与し得る方
策について鋭意研究を重ねた。その結果、SiO₂／M₂O比（但しＭはLi、Na、
Ｋ等のアルカリ金属）が１以上のアルカリ珪酸塩
と防カビ剤を含有する水溶液を処理浴として塗装
焼付した後、酸で中和することにより、親水性、
耐食性のみならず、カビ発生防止性（以下、「防
カビ性」と呼ぶ）及びその持続性に優れた皮膜が
得られることを見い出し、ここに本発明をなした
ものである。すなわち、本発明に係る熱交換器用表面処理ア
ルミニウム板の製造法は、SiO₂／M₂O比（但し、
Ｍは、Li、Na、Ｋ等のアルカリ金属）が１以上
のアルカリ珪酸塩及び防カビ剤を含有した水溶液
を処理浴として、アルミニウム及びアルミニウム
合金板表面に、SiO₂量で100〜1000mg/m²の範囲
になるように塗装した後、150℃以上の温度で焼
付けし、次いで酸水溶液で中和洗浄して脱アルカ
リ処理を施し、必要に応じて更に、第２層として
親水皮膜を設けることを特徴とする親水性、耐食
性及びカビ発生防止性に優れた熱交換器用表面処
理アルミニウム板の製造法、を要旨とするもので
ある。また、本発明に係る熱交換器用表面処理アルミ
ニウム板は、上記方法により得られた表面処理皮
膜を表面に設け、必要に応じて第２層として親水
皮膜を設けたことを特徴とするものである。以下、本発明について更に詳細に説明する。前述の如く、本発明に係る表面処理皮膜は、要
するに、特定組成のアルカリ珪酸塩と防カビ剤と
の混合水溶液を処理浴として、ロールコート法、
デイツプ法、ハケ塗り法等々で塗布した後、150
℃以上の温度で焼付けし、次いで、硝酸、リン
酸、酢酸等の酸水溶液で中和洗浄し、脱アルカリ
処理を施すことにより得られるものである。アルカリ珪酸塩としては、SiO₂／M₂O（但し、
ＭはLi、Na、Ｋ等のアルカリ金属）比が１以上
のものであることが必要であり、特に３以上であ
るものはSiO₂含有率が高く、皮膜形成上有利な
ため、好ましい。防カビ剤としては、市販の防カビ剤、例えば、
テトラクロルイソフタルニトリルやＮ−（フロロ
ジクロロメチルチオ）−フタルイミド、チアベン
ダゾール等を主成分とするものなどが使用可能で
ある。但し、防カビ剤は、アルカリ珪酸塩と同時
に使用するため、耐アルカリ性の優れたもの、或
いは塗装直前に添加して使用することが望まし
い。防カビ剤の添加量は、乾燥皮膜重量に対して１
〜30％となるように添加することが好ましい。こ
れは、１％未満では十分な防カビ性及び防カビ持
続性が得られないためであり、また30％を超える
と皮膜の耐食性が低下するためである。塗装皮膜量は、SiO₂量で100〜1000mg/m²の範
囲とする。これは、100mg/m²未満では十分な耐食
性が得られないためであり、また1000mg/m²超で
は、成形加工時に加工不良が発生し易くなるため
である。塗装後の焼付は、焼付温度を150℃以上とし、
適宜時間（５秒〜１分）焼付ける必要がある。な
お、１分よりも長い焼付時間では、次工程の酸に
よる中和、洗浄が効果的に行われず、皮膜中にア
ルカリ塩が残存し、十分な耐食性が得られなくな
る。また、焼付時間程顕著ではないが、高温焼付
においても同様の傾向があることから、300℃以
上の焼付は避けるのが好ましい。次に、酸水溶液にて脱アルカリ処理し、アルカ
リ珪酸塩中のアルカリ成分を除去し、且つ皮膜を
安定化する。酸の種類、酸水溶液の濃度や温度は
特に限定されないが、皮膜中に残存しても、耐食
性に影響の少ない硝酸やリン酸を10〜30％水溶液
として使用することが、取扱いの面で容易なこと
から好ましい。酸による脱アルカリの後、直ちに水洗、乾燥し
て、本発明の表面処理皮膜構成は終了する。得ら
れる表面処理皮膜は、耐食性、親水性を兼ねてい
るほか、防カビ性並びにその持続性に優れている
皮膜である。また、本発明においては、必要に応じて、上記
表面処理皮膜を第１層とし、その上に、第２層と
して親水皮膜を設けることができる。親水皮膜の
構成等は特に制限されない。例えば、水ガラス系
親水処理による皮膜、或いはアクリル樹脂、ポリ
ビニルアルコール樹脂等の樹脂系の親水皮膜のい
ずれも可能である。これにより、親水性を更に向
上させることができる。次に本発明の実施例を示す。（実施例）アルミニウム板（JIS 1100H26、板厚0.12mm）
を常法に従い脱脂、水洗した後、第１表に示す
SiO₂／M₂O比のアルカリ珪酸塩の水溶液（100
ｇ／）中に、乾燥皮膜重量に対し10％となるよ
うに防カビ剤を添加したものを処理浴として、ロ
ールコーターで塗布し、同表に示す条件で焼付
け、脱アルカリ処理した後、水洗、乾燥した。な
お、脱アルカリ処理は、液温を室温（約20℃）と
し、浸漬時間20秒で実施した。また、一部の試料について、同表に示す皮膜を
第２層として設けた。得られた試料について、耐食性、親水性及び防
カビ性を各々調査した。その結果を同表に併記す
る。なお、耐食性は、JIS Ｚ 2371に基づく塩水噴
霧試験を500時間行い、試験後の腐食発生状況に
より評価した。防カビ性は、初期及び、24時間流水後（流量５
／分）の各々について、JIS Ｚ 2911に準拠し
て添付法で行つた。具体的には、各試験片に対
し、３菌種のカビ胞子（Aspergillus niger
（IFO4414）、Penicillium citrinum（IFO7784）、
Cladosporium cladosporioides（IFO6348）を含
む混合胞子懸濁液を噴霧し、27℃で７日間培養し
た後の繁殖度を肉眼で観察し、○（優）〜×（劣）
の５段階にレベリングして評価した。このレベリ
ングは、肉眼で試料面にカビの繁殖が認められな
いものを○、わずかに認められるものを○△、カビ
の繁殖が１／３程度認められるものを△、２／３
程度認められるものを〓、カビの繁殖が全面に認
められるものを×とする５段階である。防カビ剤
としては、高PHでも比較的安定な、市販のチアベ
ンダゾール系のものを中心に選定して使用した。親水性は、水中浸漬の後の水漏れ状況を観察し
て評価した。

【表】

【表】第１表において、No.１〜No.７が本発明例であ
り、No.８〜No.12が比較例である。本発明例は、いずれも良好な耐食性、親水性、
防カビ性及びその持続性が得られるのに対し、従
来の樹脂系の皮膜（耐食皮膜又は親水皮膜）中に
防カビ剤を添加する方法（比較例No.８〜No.９）、
或いは、本発明において、皮膜量が少ない場合
（比較例No.10）や、低温焼付の場合（比較例No.11）
及び脱アルカリ処理を行わない場合（比較例No.
12）は、耐食性や防カビ性、或いは防カビ持続性
のいずれかが不十分となることがわかる。ここで、本発明に係る表面処理皮膜が、従来法
のように樹脂系の皮膜中に防カビ剤を添加した場
合よりも優れた防カビ持続性が得られる理由は、
非晶質のSiO₂皮膜中に防カビ剤が適度に分散、
固定され、防カビ剤が容易に流出せず、防カビ剤
の効果が徐々に発揮されるためである。この効果
により、本発明例No.６〜No.７に示す如く、本発明
に係る表面処理皮膜を下地処理皮膜（第１層）と
して用い、更に親水皮膜を設けた場合でも、優れ
た防カビ性及び防カビ持続性が得られる。（発明の効果）以上説明したように、本発明によれば、熱交換
器用表面処理アルミニウム板が耐食性、親水性を
兼ね備えているのみならず、防カビ性及びその持
続性にも優れていることから、高温、高湿で使用
される熱交換器用のフイン材として、或いは塵
芥、埃の多い雰囲気で使用される熱交換器用のフ
イン材として使用した場合、大気中のゴミ等が付
着してもカビの発生が殆どなく、従つて、不快な
臭いの発生を抑えることができる。

Claims

【特許請求の範囲】１ SiO₂／M₂O比（但し、Ｍは、Li、Na、Ｋ等
のアルカリ金属）が１以上のアルカリ珪酸塩及び
防カビ剤を含有した水溶液を処理浴として、アル
ミニウム及びアルミニウム合金板表面に、SiO₂
量で100〜1000mg/m²の範囲になるように塗装した
後、150℃以上の温度で焼付けし、次いで酸水溶
液で中和洗浄して脱アルカリ処理を施すことを特
徴とする親水性、耐食性及びカビ発生防止性に優
れた熱交換器用表面処理アルミニウム板の製造
法。２アルミニウム及びアルミニウム合金板表面
に、請求項１記載の表面処理皮膜を設けたことを
特徴とする親水性、耐食性及びカビ発生防止性に
優れた熱交換器用表面処理アルミニウム板。３アルミニウム及びアルミニウム合金板表面
に、第１層として耐食皮膜を、第２層として親水
皮膜を設けた熱交換器用アルミニウム板におい
て、第１層として、請求項１記載の表面処理皮膜
を設けることを特徴とする熱交換器用アルミニウ
ム板の製造法。４アルミニウム及びアルミニウム合金板表面
に、第１層として請求項１記載の表面処理皮膜を
設け、第２層に親水皮膜を設けたことを特徴とす
る親水性、耐食性及びカビ発生防止性に優れた熱
交換器用表面処理アルミニウム板。