JPH0481497A - 水溶性金属加工用油剤組成物 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】本公報は電子出願前の出願データであるた
め要約のデータは記録されません。

Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、水溶性金属加工用油剤、特に水溶性切削加工
用油剤に関する。更に詳しく言えば、本発明は、微生物
による劣化即ち腐敗の少ない水溶性切削加工用油剤に関
する。

〔従来の技術〕

金属加工用油剤、特に切削加工に用いる水溶性切削加工
用油剤は、その潤滑性及び冷却性の良さにより切削工具
の寿命の延長や加工製品の品質の向上の点で大きな役割
を果た・している。この水溶性油剤を、通常、水で１０
〜１００倍に希釈したものが、いわゆるクーラントとし
て循通供給されて使用されている。

しかし、これを長期間、循環使用した場合には、液中に
繁殖する微生物によって油剤品質が劣化し、これにより
工具寿命の低下を招いたり、クーラントが腐敗して悪臭
を発生したりし、そのため作業に支障をきたすよ、うに
なる。特に、腐敗臭の発生は、作業能率の低下等のみに
止まらず、工場周辺においては、悪臭公害の原因ともな
っている。従って、従来から金属加工用油剤の腐敗、劣
化を防止する方策として、油剤原液に防腐剤を添加する
方法が採られている。

〔発明が解決しようとする課題〕

しかし、従来の油剤原液に防腐剤を添加したものは、防
腐性能は必ずしも十分ではないため多量の防腐剤を用い
る必要がある。その反面、防腐剤は皮膚刺激性が強いた
め、作業者の安全衛生上を考慮しその添加量を最小限に
止める必要があること、更には防腐剤の価格が高いこと
等の理由により、多量の防腐剤を添加することは困難で
ある。

従って、従来の油剤原液に防腐剤を添加する方法では、
金属加工用油剤の腐敗、劣化を防止する方策としては十
分な効果が期待できない。この為、耐腐敗性に優れた水
溶性金属加工用油剤、特に腐敗臭を発生しない油剤が強
く要望されていた。

本発明は、上記観点に鑑みてなされたものであり、微生
物による劣化防止性能、即ち腐敗防止性能に優れた水溶
性金属加工用油剤組成物、特に水溶性切削加工用油剤組
成物を提供することを目的とする。

〔課題を解決するだめの手段〕

本発明者らは、水溶性切削加工用油剤組成物の微生物劣
化に関して、特に臭気発生防止性能に優れた物質の研究
を重ねた結果、タイム油、グローブ油及びユーカリ油か
ら選ばれる１種又は２種以上の精油を含有させることに
よって前記従来の欠点を解消できるとの新たな知見を得
て、本発明を完成したものである。

即ち、本第１発すに係わる水溶性金属加工用油剤組成物
は、タイム油、グローブ油及びユーカリ油から選ばれる
１種又は２種以上の精油を含有することを特徴とする 本発明において、鉱油、油脂、極圧添加剤、界面活性剤
、消泡剤、金属防食剤、酸化防止剤等の種類、各配合割
合は特に問わず、従来から水溶性金属加工用油剤に用い
られたものの中から任意に且つ所定量を選択して用いる
ことができる。また、本発明に係わる水溶性金属加工用
油剤組成物の調整方法も特に問わず、従来の方法に従い
各成分を混合すればよい。

ここで、一般に、精油（ｅｓｓｅｎｔｉａｌ　ｏｉｌ＞
とは、植物の花部、葉茎部、幹、木皮、根部等から水蒸
気蒸留あるいは抽出によって得られる油をいう。

本発明に使用する”タイム油−１は、タチジャコウソウ
油とも呼ばれ、シソ科のタチジャコウソウを水蒸気蒸留
して得られる。また、「グローブ油−は、オイゲノール
を主成分とする精油で、桂葉油をアルカリ抽出して得ら
れる。更に、「ニーカリ」は、フトモモ科に属するユー
カリを水蒸気蒸留して得られる精油である。

本発明において上記精油の含有量は本第２発明に示すよ
うに、油剤組成物全体に対して０．１〜３０重量％（以
下、単に％という。）であることが望ましい。この含を
量が０，１％未満ではその効果が乏しい。一方、それが
３０％を越えてもその効果は変わらず、またそれ以上用
いても不経済であり、且つ特有の臭いが強くなり好まし
くなく、更に油剤性能が低下する恐れがあるためである
。この内、特にその含有量を０．５〜１０％とすると腐
敗防止性能及び腐敗臭（悪臭）発生防止性能が優れ、経
済的であり且つ油剤性能が低下することもないので、更
に好ましい。

また、上記の精油を含有する油剤は、水で希釈して使用
する水溶性金属加工用のものであればよく、切削加工等
の種々の金属加工用に用いられる。

〔作用〕

本発明の水溶性金属加工用油剤組成物は所定量の上記精
油を含有するので、この組成物を水で希釈して使用した
場合、微生物による劣化防止作用（微生物の増殖抑制作
用、殺菌作用）、腐敗防止作用（耐腐敗性）に優れる。

〔実施例〕

以下試験例により本発明を具体的に説明する。

試験例１ 本実施例１〜１１及び比較例１〜６に係わる金属加工用
油剤の組成を第１表及び第２表に示す。

尚、この組成に関する数値は重量部を示す。

ここで、同表中、「タイム油」は高砂香料■製タイム油
、「グローブ油」は日本テルペン化学■製グローブ油、
「ユーカリ油」は日本テルペン化学■製ユーカリ油であ
る。また、「鉱油」とはスピンドル油を、７石油スルホ
ネート」とは石油スルホン酸ナトリウム（分子量：　４
２０）　ヲ、「脂肪酸アミド」とはヤン油脂肪酸ジェタ
ノールアミドを、口界面活性剤」とはノニルフェノール
エチレンオキサイド（ＥＯ）付加物（ＥＯ付加；９モル
）ヲ、「高級アルコール」とはラウリルアルコールをそ
れぞれ示す。

■性能試験 本発明に係わる水溶性金属加工用組成物の性能を明らか
にするために、第１表及び第２表の各組成物（実施例１
〜１１及び比較例１〜６）について、以下の性能試験を
行った。

先ず、第１表及び第２表に掲げる各組成物を純水で３０
倍に希釈した液３００−を、６００−の三角フラスコに
採取する。次いで、この液にエマルションタイプの切削
油剤（ＪＩＳＷＩ種に該当、鉱物油、界面活性剤その他
を含む。）の腐敗液３ｍｆ−ｆ添加し、３７℃にて振盪
しながら放置した。次いで、１週間後に試料中の生菌数
、ｐＨ１臭気の評価を行った。その後、再度腐敗液３ｍ
ｌを添加し、以後、試験開始後４週間目までこの換作を
同様に繰り返して、前記各項目について評価し、その結
果を第３表、第４表及び図に示した。

尚、生菌数は普通寒天培地を用いてプレートカウント法
により、またｐＨはｐＨメーターにより測定した。臭気
は、以下のように臭気の強さを３つのランクに分けて評
価した。

○：腐敗臭なし、△：やや腐敗臭がある、×第４表 腐敗臭がある。

■性能評価と効果 第３表、第４表及び図に示すように、生菌数は、精油の
添加量により顕著な差が生じた。

即ち、精油を全く添加しない場合（比較例１）と比べて
、５％の添加にて１／１００　　（１４日後）、３１５
００　　（２８日後）にまで著しく減少している。また
、０１％の添加でも、１４日後では１／１０．２１日後
では１／６にまで減少している。尚、第３表及び第４表
に示すように、精油としてタイム油、グローブ油及びユ
ーカリ油のいずれを用いた場合も、また、これら２種類
を組合せ用いた場合も、いずれも良好な性能を示した。

また、第３表より精油を２０％添加した場合においては
、添加効果がほぼ飽和していることがわかる。尚、この
精油を３０％添加しても良好な性能を示す。

また、ｐＨにおいても生菌数と同様の傾向を示している
。即ち、実施例１〜５及び９〜１１においてはその低下
が大変少ない。尚、実施例６〜８においては他の実施例
と比べるとややその低下が大きいが、比較例と比べると
小さい。一方、比較例ではその低下が大きく劣化の程度
が大きいことを示している。

更に、臭気については、試験開始後２１日までは、実施
例、比較例ともそれ程の変化を生じないしかし、２８日
後においては各比較例では腐敗臭がしたが、実施例１〜
５及び９〜１１では腐敗臭はしなかった。尚、実施例６
〜８においてはやや腐敗臭がした程度に過ぎず、比較例
よりも少なかった。

以上より、実施例１〜１１は耐腐敗性に比較例と比べる
と優れ、特に５％以上含有させたものは、著しくその性
能が優れた。

試験例２ 本試験例は、精油であるタイム油、グローブ油及びユー
カリ油の抗菌性について調べたものである。

■性能試験 まず、ペプトン２ｇ１肉エキス１ｇ、グルコス１ｇ及び
食塩１ｇを蒸留水１βに溶解し、オートクレーブで滅菌
した後、冷却した。これに水溶性切削油剤（ＪＩＳＷＩ
−１に該当）の原液１０ｇを添加し攪拌し、試料液を調
製した。次いで、この試料液１０ｍ１に各精油を５％添
加して、よく振盪し攪拌した後、エマルションタイプの
切削油剤の腐敗液（生菌数：　２Ｘ１０’個／ｍｊり　
０．　５−を加え、３０℃で振盪培養し、経日毎に生菌
数を測定し、その結果を第５表に示した。

■性能評価と効果 精油の添加がない場合には、生菌数は増加の一途をたど
っており、３日後にはその数は極めて多くなる。

一方、タイム油、グローブ油、ユーカリ油のいずれの精
油の添加をした場合にも菌の検出はされず、いずれの精
油も抗菌作用を十分に発揮していることを示した。

試験例３ 本試験例は、ユーカリ油の添加量と生菌数との関係を経
日毎に調べたものである。

■性能試験 試験例２で用いたのと同様の試料液１０−に対してユー
カリ油を第６表に示す所定量（０〜０゜５％）添加して
、よく振盪し攪拌した後、試験例２で用いたと同様の腐
敗液０．５ｍｌを加え、室温で静置した。以下、ユーカ
リ油の添加量毎に、生菌数を経日毎に調べ、その結果を
第６表に示した。

■性能評価と効果 ユーカリ油の添加がない場合には、生菌数は増加の一途
をたどっており、しかも５日後の生菌数は極約で多い。

一方、０．５％以上のユーカリ油を添加した場合には、
いずれも菌の検出はされずユーカリ油が抗菌作用を十分
に発揮していることを示した。

尚、本発明においては、前記具体的実施例に示すものに
限られず、目的、用途に応じて本発明の範囲内で種々変
更した実施例とすることができる。即ち、精油としてタ
イム油、グローブ油及びユーカリ油の３種類すべてを組
合せてもよい。

〔発明の効果〕

本発明の水溶性金属加工用油剤組成物は、前記作用を有
するので、水溶性切削加工用油剤として長期間使用され
た場合でも、微生物による劣化は起きないか若しくは起
きても少ないので、本油剤組成物は腐敗しないか腐敗し
ても少なく、また腐敗臭（悪臭）も発生しないか発生し
ても少ない。

更に、従来のこの種の油剤と異なり、本油剤組成物にお
いては防腐剤を併用する必要もないため、作業者の安全
衛生も確保される。

以上より、本発明に係わる油剤組成物は、潤滑性、作業
性、加工性等油剤本来の性能及び作業者の安全衛生を害
することもなく、耐腐敗性、悪臭発生防止性能に大変優
れる。

【図面の簡単な説明】

図は試験例１において精油含量と１４日後及び２８日後
の生菌数との関係を示すグラフである。

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. （１）タイム油、グローブ油及びユーカリ油から選ばれ
   る１種又は２種以上の精油を含有することを特徴とする
   水溶性金属加工用油剤組成物。
2. （２）前記精油の含有量は油剤組成物全体に対して０．
   １〜３０重量％である請求項１記載の水溶性金属加工用
   油剤組成物。