JPH04796Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） この考案は、車両用シートに係り、詳しくは車
両用シートのシート表皮材をシートパツドの形状
に沿つて被覆するためのシート表皮の吊り込み構
造に関する。

（従来の技術） 従来、この種のシート表皮材の吊り込み構造と
しては実公昭59−38959号公報のものがあり、こ
の公報に開示された技術内容は第５図および第６
図に示すように、所要形状のシート面３を形成す
るために表皮１をシートパツド２に対して吊り込
み結着してなるシートＳにおいて、シートパツド
２の表皮１を吊り込み結着する部位、すなわち、
窪み形成部４に金属以外の物質より成る柔軟性帯
状片５を埋め込み、該帯状片５に上記表皮１に取
付けられた吊り袋６を、先端に屈曲係止片８を有
する樹脂製係止ピン７により結着する構成とした
ものである。

また、従来の他の例としては第７図に示すよう
シートパツド２の窪み成形部位に引き込みワイヤ
９を一体的に埋め込むとともに、シート面３側か
ら引き込みワイヤ９の近傍まで溝１０を形成し、
また、表皮１には窪み成形部位４に沿つて吊りワ
イヤ１１を挿通した吊り袋６を縫着するととも
に、この吊り袋６を溝１０に挿入して吊りワイヤ
１１と引き込みワイヤ９とをホグリングガン１２
を介して略Ｃ形状のホグリングにより結着する構
成のものがある。

（解決しようとする問題点） しかしながら、樹脂製係止ピン７によるもので
は同係止ピン７を吊り袋６および柔軟性帯状片５
に突刺して係止片８を帯状片５の背面側に係止す
るのに手数を要し、また、ホグリングによる結着
作業は作業者により、その結着にバラツキを生
じ、また、吊り袋６を溝１０に挿入すると引き込
みワイヤ９の位置が確認しにくく、このため結着
ミスを生じたり、作業が困難となつて結着作業工
数が多くなるので、熟練者に頼らねばならないと
いう問題点があり、また、上記構成のものでは、
結着部材として樹脂製係止ピン７やホグリングを
必要とすることから部品管理工数も大となる問題
点があつた。

本考案は上記従来の問題点を解消すべくなされ
たもので、上記結着部材としての樹脂製係止ピン
７やホグリングを必要とすることなく、未熟練者
でも容易に結着することのできシート表皮材の吊
り込み構造を提供することを目的とするものであ
る。

（問題点を解決するための手段） 本考案は、上記技術課題を解決するため、シー
トフレームに設けたシートパツドを所定の形状の
シート表皮材で被覆するとともに、前記シート表
皮材によりシート面を形成するため、前記シート
パツドに対し吊り込み結着する構造であつて、前
記シート表皮材の吊り込み部位には吊りワイヤを
挿通した吊り袋を形成し、また、前記シートパツ
ドの吊り込み部位に沿つて前記吊り袋を挿入する
溝部を凹設して同溝部の底部に所定の間隔で治具
挿入孔を貫設するとともに、同溝部の底部に沿つ
て板状の基板の長手方向に長溝孔を有し、同長溝
孔には前記治具挿入孔と対応して齟齬状に対をな
して下傾状に交叉する係止片を有する帯状クリツ
プを埋設し、前記吊り袋には前記対をなす係止片
と対応して装着孔を開設して吊りワイヤを係合可
能に構成したことを要旨とするものである。

（実施例） 次に、本考案の一実施例を図面にしたがつて説
明すると、図中２１はシートの全体であつて、こ
のシートクツシヨン２２は、四周にシート表皮材
３５の四周端部を係止する略かぎ形状の係止部２
６を有し、底板部２４に多数個の孔２５を有する
合成樹脂製のシートクツシヨンフレーム２３にシ
ートパツド２７が貼着状に取付けられるととも
に、該シートパツド２７はシート表皮材３５によ
り被覆されている。

このシートパツド２７は発泡樹脂からなるもの
で、その上面側の所要の箇所にはシート表皮材３
５で窪み凹部４１を形成するため所定の幅の溝部
２８がパツド幅方向に凹設されるとともに、同溝
部２８の底部２９には所定の間隔でパツド２７の
下面に貫通する治具用の挿入孔３０が貫設され、
また、この溝部２８の底部２９に沿つて帯状クリ
ツプ３１がシートパツド２７と一体状にインサー
ト成形されている。

この帯状クリツプ３１は軟質の合成樹脂等から
なるもので、所定の幅を有する帯状の基板３２の
中央部長手方向に沿つて所定幅の長溝孔３３が形
成形成されるとともに、この長溝孔３３の長手方
向の縁部３３ａ，３３ｂの上記治具用の挿入孔３
０と対応する位置には所定の間隔Ｔを隔て齟齬状
に下傾して隣接相互が交叉する弾性変位可能な対
をなす板状の係止片３４，３４が設けられてい
る。なお、対をなす係止片３４は治具用の挿入孔
３０より目視可能である。

このように形成されたシートパツド２に被覆さ
れるシート表皮材３５はメーン表皮部３６と同メ
ーン表皮部３６の左右にはメーンサイド表皮部３
７が縫着されるとともに、このメーン表皮部３６
およびメーンサイド表皮部３７の縁部には玉縁３
８が形成されてシートパツド２７の各側面を被覆
する袖表皮部３９が縫着され、この袖表皮部３９
の縁部にはシートクツシヨンフレーム２３の係止
部２６に止着されるトリムワイヤ４０が縫着され
ている。また、このメーン表皮部３６の窪み凹部
４１の成形部位ではループ状に縫着されて所定の
長さの吊り袋４２が形成されて吊りワイヤ４３が
挿通されるとともに、同吊り袋４２には帯状クリ
ツプ３２に形成した対をなす係止片３４と対応し
て両係止片３４を嵌り込み可能とする装着孔４４
が開設されて同孔部位で吊りワイヤ４３は係止片
３４の交叉状下部側に係合可能に露出されてい
る。

次に、上記のように構成された本実施例の作用
および効果について説明する。

さて、本実施例はシートクツシヨンフレーム２
３に設けたシートパツド２７を所定の形状のシー
ト表皮材３５で被覆するとともに、同シート表皮
材３５によりシート面を形成するため、シートパ
ツド２７に対し吊り込み結着する構造であつて、
シート表皮材３５の窪み凹部４１成形部位、すな
わち吊り込み部位には吊りワイヤ４３を挿通した
吊り袋４２を形成し、また、シートパツド２７の
吊り込み部位に沿つて吊り袋４２を挿入する溝部
２８を凹設して同溝部２８の底部２９に所定の間
隔で治具挿入孔３０を貫設するとともに、同溝部
２８の底部２９に沿つて板状の基板３２の長手方
向に長溝孔３３を有し、同長溝孔３３には治具挿
入孔３０と対応して齟齬状に対をなして下傾状に
交叉する係止片３４を有する帯状クリツプ３１を
埋設し、吊り袋４２には対をなす係止片３４と対
応して装着孔４４を開設して吊りワイヤ４３を係
合可能に構成したものである。したがつて、この
シート表皮材３５をシートパツド２７に被覆し、
吊り袋４２をシートパツド２７の溝部に挿入し各
袖表皮部３９のトリムワイヤ４０をシートクツシ
ヨンフレーム２３の係止部２６に係止する。しか
る後、別途用意した治具４５をクツシヨンフレー
ム２３の孔２５より挿入孔３０へ挿入して行くと
同治具４５の先端の二又状の掛け金具４６は板状
クリツプ３１の対をなす係止片３４の間隔Ｔに挿
入され、さらに挿入していくと吊り袋４２の開設
した装着孔４４に達して吊りワイヤ４３は掛け金
具４６の間に嵌り込み、治具４５の掛け金具４６
を若干引くことで掛け金具４６は吊りワイヤ４３
に掛合される。この状態で治具４５を引込むと吊
りワイヤ４３は係止片３４に当接され、係止片３
４はその基部を中心として下方へ弾性変位し、吊
りワイヤ４３が通過すると弾性復元されて交叉状
となり吊りワイヤ４３は交叉状先端側に係合され
る。以下、順次対をなす係止片３４に係合するこ
とでシート面に窪み凹部４１を形成することがで
きる。

このように本例吊り込み構造によれば、治具４
５の掛け金具４６を吊りワイヤ４３に掛合して引
込むことで帯状クリツプ３１の対をなす係止片３
４に係合することができてシート面に窪み凹部４
１を形成することができるもので、したがつて、
結着ミスを防止することができるとともに、従来
のように目で確認しながらの作業をなくすことが
でき、単に吊りワイヤ４３を引込む単純作業であ
るので結着作業性を著高することができ、また、
一定位置に配設された対をなす係止片３４に吊り
ワイヤ４３を係合するものであるから、作業者に
よる結着作業のバラツキを防止することができ
て、シート縫製上の品質を安定確保することがで
きるとともに、熟練者によることなく、未熟練者
において結着作業を行なうことができる。また吊
りワイヤ４３の対をなす係止片３４への係合状態
は治具挿入孔３０より容易に確認することがで
き、また、帯状クリツプをシートパツド２７に埋
設状に設けたものであるが、形状が平板状であ
り、柔軟性であることからして、結着後、着座時
の異物感がなく乗り心地を損うことがない。ま
た、とくに、吊りワイヤ４３を対をなす係止片３
４に係合するものであるから、従来のホグリング
や樹脂製係止ピンを必要とすることがないので部
品点数を削減することができて管理工数を低減す
ることができる等多くの特長がある。

なお、上記実施例においてはシートクツシヨン
２２を例示して説明したが、これに限定するもの
ではなく、シートバツクにも適用し得るものであ
る。

（考案の効果） さて、本考案はシートフレームに設けたシート
パツドを所定の形状のシート表皮材で被覆すると
ともに、前記シート表皮材によりシート面を形成
するため、前記シートパツドに対し吊り込み結着
する構造であつて、前記シート表皮材の吊り込み
部位には吊りワイヤを挿通した吊り袋を形成し、
また、前記シートパツドの吊り込み部位に沿つて
前記吊り袋を挿入する溝部を凹設して同溝部の底
部に所定の間隔で治具挿入孔を貫設するととも
に、同溝部の底部に沿つて板状の基板の長手方向
に長溝孔を有し、同長溝孔には前記治具挿入孔と
対応して齟齬状に対をなして下傾状に交叉する係
止片を有する帯状クリツプを埋設し、前記吊り袋
には前記対をなす係止片と対応して装着孔を開設
して吊りワイヤを係合可能に構成したことによ
り、治具の掛け金具を吊りワイヤに掛合して引込
むことで帯状クリツプの対をなす係止片に係合す
ることができてシート面に窪み凹部を形成するこ
とができるもので、したがつて、結着ミスを防止
することができるとともに、従来のように目で確
認しながらの作業をなくすことができ、単に吊り
ワイヤを引込む単純作業であるので結着作業性を
著高することができ、また、一定位置に配設され
た対をなす係止片に吊りワイヤを係合するもので
あるから、作業者による結着作業のバラツキを防
止することができて、シート縫製上の品質を安定
確保することができるとともに、熟練者によるこ
となく、未熟練者において結着作業を行なうこと
ができる。また、吊りワイヤの対をなす係止片へ
の係合状態は治具挿入孔より容易に確認すること
ができ、また、帯状クリツプをシートパツドに埋
設状に設けたものであるが、形状が平板状であ
り、柔軟性であることからして、結着後、着座時
の異物感がなく乗り心地を損うことがない。ま
た、とくに、吊りワイヤを対をなす係止片に係合
するものであるから、従来のホグリングや樹脂製
係止ピンを必要とすることがないので部品点数を
削減することができて管理工数を低減することが
できるので、シート表皮材の吊り込み構造として
極めて実用性に優れた考案である。

【図面の簡単な説明】

図面は本考案の一実施例を示し、第１図はシー
トを一部破断した斜視図、第２図は吊り袋と帯状
クリツプとの関係を示す一部拡大斜視図、第３図
および第４図は作用説明図、第５図ないし第７図
は従来例である。 ２２……シートクツシヨン、２３……シートク
ツシヨンフレーム、２７……シートパツド、２８
……溝部、３０……治具挿入孔、３１……帯状ク
リツプ、３２……基板、３３……長溝孔、３４…
…係止片、３５……シート表皮材、４１……窪み
凹部、４２……吊り袋、４３……吊りワイヤ、４
４……装着孔。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. シートフレームに設けたシートパツドを所定の
   形状のシート表皮材で被覆するとともに、前記シ
   ート表皮材によりシート面を形成するため、前記
   シートパツドに対し吊り込み結着する構造であつ
   て、前記シート表皮材の吊り込み部位には吊りワ
   イヤを挿通した吊り袋を形成し、また、前記シー
   トパツドの吊り込み部位に沿つて前記吊り袋を挿
   入する溝部を凹設して同溝部の底部に所定の間隔
   で治具挿入孔を貫設するとともに、同溝部の底部
   に沿つて板状の基板の長手方向に長溝孔を有し、
   同長溝孔には前記治具挿入孔と対応して齟齬状に
   対をなして下傾状に交叉する係止片を有する帯状
   クリツプを埋設し、前記吊り袋には前記対をなす
   係止片と対応して装着孔を開設して吊りワイヤを
   係合可能に構成したことを特徴とするシート表皮
   材の吊り込み構造。