JPH047730B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

（産業上の利用分野） この発明は、口内衛生の習慣を改善するのに用
いる新規な表示試薬に関するものである。 （従来技術およびその問題点） 歯垢は、歯の表面や義歯に生じ、かなり組織だ
つた構造を有している。その多くは、主として、
バクテリアが睡液やバクテリア自身によつて形成
された基質に取り囲まれて構成されている。歯垢
は、歯に付着する有形の白質や食べかすのような
明確な構造を有する他の柔かい物質とは異なつて
おり、水ですすいで、これを洗い流すことはでき
ない。 歯垢が、歯周の病気や痛みの原因として重大な
役割を果たすということが一般に知られている。
歯垢がどのようにしてこれらの病気の一因となつ
ているか、正確なことは現在解明されていない
が、これらの付着物を効果的かつ完全に除去する
ことが、全ゆる歯科の患者に対する治療プランの
一部として確立されている制御プログラムにおい
て不可欠のものと認識されている。このプログラ
ムにおいて、効果的なことは、患者に歯垢を抑制
するための処置を毎日徹底して実行するように動
機付けることである。しかしながら、このような
動機付けは、患者にとつて重要であり、かつ達成
し得るしつかりとした目標があつてこそ成し得る
ことができる。単に、歯垢が彼等の歯において成
長するバクテリアの集まりで、歯肉の病気や歯痛
の原因となり、これを毎日取り除かなければなら
ないと説明しただけでは、大部分の患者に十分な
口内衛生を行なうように動機付けることができな
いということは経験が示すところのことである。
ともかく、歯垢がどのようなものであり、どのよ
うに組織されているかを、患者が目で見えるよう
にして完全に認識されることが不可欠かつ重要で
あり、それにより、全ての患者が顕微鏡によつて
その部分の相を対比するようになり、そこに歯垢
があることに気付くのである。また、患者は歯垢
が蓄積した所に、病気になつた歯肉の部分やそれ
が並んで存在していることも気付くようになるの
である。これらの目で見える例証は、２つの主要
な目的に役立つ。第１は、患者の歯に歯垢と呼ば
れる危険なバクテリアの付着物が実際に存在して
ことを患者に気付かせることである。第２は、顕
微鏡による観察によつて、清浄に見えている集団
であつても幾種類ものバクテリアが多数存在して
構成されていることに患者が気付くことである。 歯垢を目で見えるようにする技術が、患者に歯
垢に対する本当の関心を生じさせると共に、それ
を迅速に取り除くことの重要性を明瞭にさせると
いうことが経験により示されている。 最近、歯垢が非常に有害な潜在性を有し、その
状態が変化する下で、歯肉炎や歯周炎を起こさせ
たり、歯痛を起こさせたり、歯石を形成したりす
るということが明らかになつた。また、歯垢を取
り除くことなく、これをそのまま蓄積させておく
と、多くの場合、１〜21日以内に歯肉炎を起こす
ということも明らかになつている。さらに、最近
では、歯垢に含まれるあらゆる成分によつて、そ
れに近接した柔かい組織にアレルギー反応を起さ
せかねないということも明らかにされている。 このような、非常に重大な潜在する有害性が注
意を増加させる原因となり、その結果、最近で
は、その抑制について公衆に教育することが試み
られている。一般に、この抑制には、口内洗浄と
似たものが採用されており、ブラツシング、刺
激、マツサージ、スプレー洗剤のような手段に集
中している。しかしながら、これらの方法は食べ
かすやこれと同じような異物を除去するのには効
果的であるが、歯垢を除去するのにはあまり効果
的ではない。歯垢の組成は透明であり、そのめ、
特に、その発見に熟練していない者においては、
これを容易に見つけ出すことができず、大抵は口
を洗浄する際に、主として偶然に取り除かれるだ
けである。 歯垢の発見やその除去の実効を増すため、最近
市場において、着色性合成物やいわゆる表示合成
物が紹介されている。これらの表示合成物には、
着色試薬や染料が含まれており、これらが歯垢に
吸収され、口腔の残留物から歯垢を目で見て区別
できるようなつている。これら一般に用いられて
いる大部分の表示試薬において、実際に着色する
成分としては、一般にヨウ素や本来診断用試薬と
して用いられている様々な有機染料が用いられ
る。 商業的に有用な表示試薬として利用するにあた
つては、有機染料の効果がより高いため、ほとん
ど一般には有機染料が用いられている。しかしな
がら、これらの染料はほとんど全てが、非常に口
に合わない不愉快な味を持つており、既知の香辛
料や甘味料ではこれを効果的に隠すことができな
い。 診断方法として表示溶液を用いないようにする
ため、最近市場において螢光光線を用いた発見手
段が紹介されている。このように光線を用いた発
見手段は、口腔内に導入することができ、かつ適
当な光源の作用により螢光を発する成分を含む合
成物によるものである。このような螢光成分や螢
光染料は歯垢に吸収され、そして適当な光源によ
つて励起された時、このような螢光染料が歯垢成
分を含む場所だけで発光すると言われている。し
かしながら、ほとんどの場合は、このような染料
はエナメルのような同じ色に発光し、そのため、
歯垢を容易に区別することができない。その上、
このようなシステムの購入コストや、これらのシ
ステムを使用する場合の困難性のため、一般に広
く普及するには至つていない。 （問題点を解消するための手段および作用） サンギナリン塩がエリトロシンやフルオレセイ
ンのような２つの標準的な表示試薬と同様に歯垢
を明らかにすることを見いだしたのである。けれ
ども、サンギナリンは上記のような標準的な表示
試薬よりかなり長い間、歯垢付着物上に残ること
いうがわかり、またサンギナリンが殺菌性を持つ
ことがわかつたのである。 サンギナリンが歯垢付着物上に長い間残るた
め、表示している間においても歯を洗うことがで
き、同時にサンギナリンの殺菌作用も維持される
ため、歯科医師や歯科衛生士の職業上において危
険である口内付着物のエアラリゼイシヨンを超音
波スケーリングで行なう場合に特に重要であり、
歯科医院において用いるのには理想的な表示試薬
となるのである。また、サンギナリンを含む合成
物は、消費者が口内衛生を促進するため家庭で歯
垢の自己発見を行う場合の表示試薬としても用い
ることができる。 サンギナリンは色々な方法で表示混合物中に混
合される。もつとも一般的な方法は、歯垢付着物
の検査を行う前に口をすすぐのに用いる口内洗浄
剤の合成物中にサンギナリンを混合する方法であ
る。また、その代わりにサンギナリンをテストク
ラツカーや歯垢の診断において用いるキヤンデイ
やガムのような他のかむことのできる食物中に混
合させてよい。また、患者が歯を磨く場合に気付
くように、サンギナリンを練り歯磨きの中に混合
させることもできる。 上記のような適当な調合を行なうにあたつて
は、必要に応じて、他の目的に役立つ１またはそ
れ以上の付加物を含ませてもよい。例えば、光沢
剤、展着溶剤、界面活性剤等を夫々の目的に応じ
て用いることができる。ほとんどの場合、既知の
口内洗浄剤、練り歯磨き、歯磨き粉、その他、体
の外表面や口腔の診療や治療を行なうのに有用な
調合物が用いられる。 サンギナリン塩化物をエリトロシン、フルオレ
セインナトリウムの２つの標準的な表示試薬と比
較した。１週間毎に、健康な者に対し12〜24時
間、口を洗わないようにさせた。その後、被験者
にエリトロシン、フルオレセインナトリウム、サ
ンギナリン塩化物の内の１つを使用させた。サン
ギナリンについてはこれを口内洗浄液中に含め、
被験者にはこの洗浄液15mlで２度すすぎを行なわ
せ、一方、エリトロシンとフルオレセインナトリ
ウムについては常法に従つて使用させた。色の測
定をエリトロシンについては周囲の光の下で、フ
ルオレセインナトリウムについてはプラク光の下
で、サンギナリンについては長波長UV螢光光線
の下で行なつた。色の位置、量および範囲を記録
した。 全ての試薬は歯肉の縁や舌の背面において、歯
に付着する軟質物を着色した。また、エリトロシ
ンは歯肉や他の柔かい組織をも着色したが、フル
オレセインナトリウムやサンギナリンは着色しな
かつた。全ての試薬について歯垢の平均値を測定
した。表は、塩化サンギナリンの口内洗浄液が歯
垢の発見に効果的であり、その表示が他の２つの
染料よりかなり長い間続くことを示している。

【表】 歯垢や睡液中におけるサンギナリンの定量評価
を高性能液体クロマトグラフイで行なつた結果、
歯垢中においては、第２表に示すように、試験管
内での最小限の抑止濃度がかなり高いレベルを示
すことがわかつた。

【表】 睡液中におけるサンギナリンのレベルは、第３
表に示すように、睡液に対する反糖分解効果を十
分に発揮し高いものであつた。このように、サン
ギナリンが歯垢中に残存するため、歯垢の検査に
おいてサギナリンが臨床上有効であり、また、歯
垢がサンギナリンの貯蔵に役立つということがわ
かる。

【表】 （実施例） サンギナリン塩化物およびその関連塩が歯垢を
抑制するのに有効であるということは、この発明
者が米国に1983年２月22日に出願した出願番号第
468751号の先願において開示しており、この先願
に示したことと同じことが本願についても言える
のである。歯垢表示試薬としての有用性が見い出
されているサンギナリン塩には、その塩化物や硝
酸塩や硫酸塩は勿論のこと、血根草や他のケシ科
の植物より抽出したものを調整または精製して得
られる全ての混合物が含まれる。 歯垢表示試薬としての有用性が発見されている
サンギナリン塩には、サンギナリン硝酸塩、サン
ギナリン硫酸塩、サンギリテインおよび血根草、
タケニグサ、コリダリス セブクトボジイ、コリ
ダリス レデボウニ、クサノオウ、その他のケシ
科の植物より抽出されたものを調整して得られた
あらゆる他の混合物というように、純粋に単離さ
れるサンギナリン塩或いはベンゾフエナリサリジ
ン塩と混合されたサンギリナリン塩を含んでい
る。 実施例 １ 口内洗浄液を表示試薬として用いるように調整
した。この洗浄液は次のような成分から成つてい
る。 エチルアルコール 10.00％ サンギナリン抽出物 0.03％ クエン酸 0.03％ 香料（シナモンオイル） 0.25％ ポリソルベート80 0.60％ グリセリン 3.46％ イオン交換水 85.23％ ポロクサマー40％ 0.10％ サツカリンナトリウム 0.10％ 塩化亜鉛 0.20％ この口内洗浄液は、第１〜３表で述べたテスト
に使用したものである。 実施例 ２ 上記のサンギナリン塩化物に代えて血根草から
調整した混合塩を0.10％を用い、口内洗浄液を表
示試薬として用いるように調整している。この口
内洗浄液を約15mlを口内に15秒間含ませて用いる
と、長波長紫外光線（約365nm）の下で、口内の
歯垢を十分に発見できる。 歯垢表示試薬として用いる口内洗浄液には、純
粋なサンギナリン塩（塩化物、硝酸塩、硫酸塩）
を0.001〜１％まで、ベンゾフエナンサリジンア
ルカロイドの混合塩（サンギナリン34重量％）を
約0.003〜約３％まで混合させることができる。 この発明を実施するのに用いられる口内洗浄液
の組成物には、通常、水／エチルアルコール溶液
と、必要に応じ、香辛料、甘味料、湿潤剤のよう
な他の成分とが含まれる。また、この洗浄液に
は、歯垢への浸透を促進させるため発泡試薬を含
ませてもよい。この発泡試薬は、適当な香辛料や
着色剤と一緒に、通常約０〜12重量％用いられ
る。 発泡試薬としては、安定性が高く、広いPH域
で、泡立つものが好ましく、例えば、非セツケ
ン、非イオン、陽性および両性の有機合成洗剤が
用いられる。 この発明の口内洗浄液組成物と一緒に用いられ
る非イオン合成洗剤は、親水性アルキレンオキシ
ド族と、現存している脂肪族や芳香族の疎水性有
機化合物との縮合によつて得られる化合物として
広く定義される。夫々の疎水性基と縮合される親
水性基やポリオキシアルキレン基の長さは、たや
すく調整することができ、親水性成分と疎水性成
分とのバランスが好ましい割合となるようにその
長さを調整し、水溶性の化合物を得るのである。 この発明の口内洗浄液組成物として有用な陽性
合成洗剤は、ラウリルトリメチルアンモニウム
クロライド、セチル ピリジニウム クロライ
ド、セチル トリメチルアンモニウム ブロマイ
ド、ジ−イソブチルフエノキシエチルジメチルベ
ンジルアンモニウム クロライド、ココナツトア
ルキルトリメチルアンモニウム ニトライト、セ
チル ピリジニウム フルオライド等のような約
８から約18までの炭素原子を含む１の長いアルキ
ル鎖を持つ第四アンモニウム化合物として広く定
義することができる。この発明において有用な両
性合成洗剤は、脂肪族の第二および第三アミン誘
導体として広く表わすことができ、その脂肪族の
基は直鎖状であつても枝分れ状であつてもよく、
その脂肪族置換基の１つは約８から約18までの炭
素原子を含み、１つはカルボン酸塩、スルホン酸
塩、硫酸塩、リン酸塩、ホスホン酸塩のような水
溶性陰イオン基を含んでいる。 また、表示試薬として用いる口内洗浄液には、
ウインターグリーン油（サリチル酸メチル）、ハ
ツカ油、サツカフラス油、アニス油のような香辛
料も含めることができる。この香辛料は、約0.01
から約２重量％までの割合で含められる。 また、この口内洗浄液にサツカリン、石旋糖、
アスパルテーム、左旋糖のような甘味料も含める
ことができる。この甘味料は、約0.05から約２重
量％の割合で用いられる。 また、この発明の表示組成物を局部的に用いる
ペーストや粉の中に混合させ、或いは、表示組成
物を与えるために患者にかませるかむことのでき
る食品中に混合させてもよい。 実施例 ３ 練り歯磨きは、下記のような成分を次に示す割
合で一緒に混合させて作られる。 不溶性メタリン酸ナトリウム 26.60％ リン酸二カルシウム 26.60％ ガ ム 1.40％ 香辛料 1.60％ ラウリル硫酸ナトリウム 1.10％ グリセロール（40.7％）と水（1.0％） 41.70％ 硫酸サンギナリン 1.00％ 患者の歯をこの練り歯磨きで磨き、その後長波
長紫外光線をあてると、歯に存在する歯垢の箇所
が、これに隣接した清潔で健康な部分に比べくつ
きりときわ立つて目立つようになる。 実施例 ４ 歯磨き粉は、下記のような成分を次に示す割合
で一緒に混合させて作られる。 微晶質水酸化ナトリウム 91.25％ 水酸化アルミニウム（325メツシユ） 5.00％ 香辛物質 0.60％ 水溶性サツカリン 0.25％ フツ化ナトリウム 0.10％ ラウリルスルホ酢酸ナトリウム 2.30％ サンギナリン塩化物 0.50％ また、サンギナリン塩を患者にかませることが
できるガム、ゲル、キヤンデイ、クラツカのよう
なかむことのできる食品に混合させ、これにより
サンギナリン塩を歯に与えて歯垢を表示させるこ
とにすることもできる。 （要 約） 純粋なサンギナリンの塩或いは血根草、タケニ
グサ、コリダリス セブクトボジイ、コリダリス
レデボウニ、クサノオウおよびこれらの混合物で
構成されるグループから選択させる植物より抽出
したものを調整して得られるサンギナリンの混合
塩が、長波長紫外光線の下で口腔内における歯垢
を表示するのに有効な試薬となる。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 口腔内における歯垢の状態を目で見えるよう
   に表示する試薬であり、サンギナリン塩化物と、
   サンギナリン硝酸塩と、サンギナリン硫酸塩と、
   血根草，タケニグサ，コリダリス セブクトボジ
   イ，コリダリス レデボウニ，クサノオウやこれ
   ら植物の混合物で構成される植物のグループより
   選ばれた植物から抽出して調整される混合塩とか
   らなるグループより選択されるサンギナリン塩で
   構成された歯垢表示試薬。 ２ 歯垢表示試薬を構成するサンギナリン塩がサ
   ンギナリン塩化物である特許請求の範囲第１項記
   載の歯垢表示試薬。 ３ 歯垢表示試薬を構成するサンギナリン塩が血
   根草から抽出されたベンゾフエナンサリジン塩の
   混合塩である特許請求の範囲第１項記載の歯垢表
   示試薬。