JPH0470714B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 〔発明の技術分野） 本発明はテープリールを回転自在に収容したテ
ープカセツトに係り、特にその不使用時にテープ
リールの回り止めをなすストツパ装置に関する。

〔発明の技術的背景〕

例えばビデオ用のテープカセツトにおいては、
不使用時にテープリールに巻かれたテープが緩ん
だり、しわになるのを防止するため、合成樹脂製
のカセツト本体内に、係合片を有したストツパ本
体をテープリールに対し進退動可能に装着し、こ
のストツパ本体をテープリール側に進出させるこ
とで、係合片をフランジ外周に設けた係合歯に係
合させ、テープリールの回り止めをなしている。

そしてこの場合、上記ストツパ本体は、その後
退側の端面とこれに対向するカセツト本体の壁面
との間に介装された金属製ばねの付勢力により常
時テープリール側に押圧されているが、従来、例
えば実開昭58−173083号公報に示されるように、
上記ばねとして切り起こし片を有する板ばねを用
いたものが知られている。

〔背景技術の問題点〕

ところで、この種のばねにあつては、ストツパ
本体の進退動を円滑に行なわせるためにある程度
の柔らかさが要求される。

しかしながら、上記先行技術の板ばねは、切り
起こし片の弾力のみによつてストツパ本体を付勢
しているため、ばね性を有する部分が少く、した
がつて、希望する柔らかなばね性を得ようとする
と、切り起こし片を含めた板ばね全体を薄く、か
つ変形し易い材料で構成しなくてはならず、その
分耐久性が低下する問題があつた。

〔発明の目的〕

本発明はこのような事情にもとづいてなされた
もので、見掛け上ばね性を有する部分が増加して
その分、厚い材料を用いることができ、柔らかな
ばね性を確保しつつ、板ばねの耐久性を高めるこ
とができるテープリールのストツパ装置を備えた
テープカセツトの提供を目的とする。

〔発明の概要〕

すなわち、本発明は上記目的を達成するため、
板ばねの基部の少なくとも一端部に、カセツト本
体の壁面側に屈曲された屈曲部を設け、この屈曲
部により基部を壁面から離間させて設けるととも
に、この基部の一方の端部のみをカセツト本体の
内面に固定し、この基部もカセツト本体に対し一
定範囲動き得る状態に保持することにより、切り
起こし片と共に湾曲変形可能としたことを特徴と
する。

〔発明の実施例〕

以下本発明の一実施例を、ビデオ用テープカセ
ツトに適用した図面にもとづいて説明する。

図中１は例えばABG樹脂製のカセツト本体で
あり、このカセツト本体１は上ハーフ２と下ハー
フ３との二分割構造をなし、これら両ハーフ２，
３は互いに衝合されてねじ等で結合されている。
そして、このカセツト本体１内には一対のテープ
リール４，４が回転自在に並設されている。テー
プリール４，４は磁気テープ５が巻回される円筒
状のハブ６と、このハブ６の両端部に同軸的に取
り付けた円板状フランジ７，８とを備え、このハ
ブ６の一端部が下ハーフ３に開設した装着孔９，
９に枢支されている。なお、ハブ６の他端面の回
転中心部は、上ハーフ２に取り付けたリール押え
ばね３１により軸方向に押圧され、テープリール
４，４のがたつきを抑えている。

そして、一方のテープリール４から繰り出され
た磁気テープ５は、カセツト本体１の一側前面に
設けたテープ引き出しピンが押入される凹部１０
に沿つて引き出されており、その先端部は他方の
テープリール４に巻き取られている。

なお、図中符号１１は凹部１０の前面開口を覆
う開閉蓋を示し、この開閉蓋１１はカセツト本体
１をビデオデツキ側に装着すると、第５図に示し
たように上向きに回動され、磁気テープ５を露出
させるようになつている。

ところで、上記カセツト本体１内には、凸部１
０とは反対側に位置してテープリール４，４に回
り止めをなすストツパ機構１２が組み込まれてい
る。このストツパ機構１２について説明を加える
と、上ハーフ２および下ハーフ３の対向面には、
テープリール４，４間に向うガイド壁１３，１３
が互いに対向して立設されており、これらのガイ
ド壁１３，１３はカセツト本体１内にテープリー
ル４，４の回転中心を結ぶ線X₁−X₂に対して直
交する方向のガイド溝を構成している。そして、
このガイド溝１４内には合成樹脂製のストツパ本
体１５が溝方向に摺動可能に嵌合されている。本
実施例のストツパ本体１５は略立方体状に形成さ
れ、このストツパ本体１５の先端面には一対の薄
板状をなした係合片１６，１６が一体に突設され
ている。係合片１６，１６はガイド溝１４の先端
開口部１７を通じて上記テープリール４，４のフ
ランジ８外周に向つて延びており、これら係合片
１６，１６は先端側に進に従つて互いに拡開する
如きＶ字状に形成され、かつその拡開方向に弾性
復帰力を付与させた状態で弾性変形可能に形成さ
れている。そして、この係合片１６，１６の先端
に連設した先細り状の爪部１８，１８が、上記フ
ランジ８の外周端面に刻設した係合歯１９…に係
脱可能に係合され、テープリール４，４の回り止
めをなすようになつている。

一方、ストツパ本体１５の後退側の端面、つま
り係合片１６，１６とは反対側の端面１５ａと、
この端面１５ａに対向する下ハーフ３の壁面３ａ
との間には、ストツパ本体１５をテープリール
４，４側に常時押圧する金属性の板ばね２０が介
装されている。この板ばね２０は第４図に示した
ように、帯板状をなした基部２１と、この基部２
１から帯状に切り起こされた弾性変形可能を切り
起こし片２２とを備え、上記基部２１の長手方向
両端部には、互いに同方向に向つて直角に屈曲さ
れた屈曲部２３ａ，２３ｂが形成されている。

このような板ばね２０は、フランジ外周２３
ａ，２３ｂの先端を下ハーフ３の壁面３ａに向け
るとともに、切り起こし片２２の先端部をガイド
溝１４内に臨在させた姿勢で下ハーフ３内に組み
込まれており、その切り起こし片２２の先端部が
ストツパ本体１５の端面１５ａに当接されてい
る。また、上記屈曲部２３ａ，２３ｂの先端は壁
面３ａに当接されており、この屈曲部２３ａ，２
３ｂの存在により基部２１と壁面３ａとの間には
一定の空間２４が形成されている。そして、この
基部２１の一方の屈曲部２３ａのみが、壁面３ａ
上に設けた支持突部３１に挾持固定されており、
これに対し反対側の屈曲部２３ｂは、壁面３ａ上
に基部２１の長手方向に自由に動き得る状態とな
つている。

ストツパ本体１５の下面には、第６図に示した
ようにカセツト本体１をテープデツキに装着した
際に、このデツキ側から延びる解除棒２７が下ハ
ーフ３の貫通孔２８を通じて挿入される凹部２９
が形成されている。そして、この凹部２９の斜面
３０に解除棒２７が接触すると、ストツパ本体１
５が壁面３ａ側に強制的に後退され、係合片１
６，１６の先端の爪部１８，１８が係合歯１９…
から離脱してテープリール４，４の回り止めが解
除される。

次に上記構成の作用について説明する。

カセツト本体１をテープデツキに装着した際
に、ストツパ本体１５が壁面３ａ側に強制的に後
退させられると、切り起こし片２２の先端部がガ
イド溝１４から押し出される方向の押圧力を受
け、この押圧により切り起こし片２２が弾性変形
する。この場合、切り起こし片２２に連なる基部
２１は、壁面３ａとの間に空間２４を有するとと
もに、その一方側の屈曲部２３ａが上記壁面３ａ
に固定されているのみで、他方側の屈曲部２３ｂ
は自由に動き得る状態にあるから、第３図に示し
たように上記切り起こし片２２の弾性変形力を受
けると、屈曲部２３ｂが壁面３ａ上をずれ動いて
基部２１自体が弓なり状に弾性変形し、壁面３ａ
に接近する。

したがつて、この板ばね２０によれば、切り起
こし片２２ばかりでなく、基部２１もばね性を有
することになるので、板ばね２０全体の大きさは
変わわらなくとも、見掛け上ばねとして機能する
部分が長くなる。よつて、その分だけ板ばね２０
全体をやや剛性の高い厚い材料で構成することが
でき、希望する柔らかなばね性を確保しつつ、板
ばね２０の耐久性性を高めることができる。

また、板ばね２０の大きさ自体は変わりがない
ため、カセツト本体１内の限られたスペースに無
理なく組み込むことができる。

なお、上述した実施例では、基部２１の両端部
に屈曲部２３ａ，２３ｂを設けたが、本発明はこ
れに限定されるものではなく、例えば壁面３ａに
固定される端部はこの壁面３ａに支持されていれ
ば良いので、屈曲することなくそのまま直線状に
形成しても良い。

また、本発明に係るテープカセツトは、ビデオ
用に特定されるものではなく、例えばオーデイオ
用あるいはコンピユータのメモリー用であつても
良い。

〔発明の効果〕

以上詳述した本発明によれば、板ばね全体の大
きさは変わらなくとも、見掛け上ばねとして機能
する部分が増大するので、その分、板ばね全体を
やや剛性の高い厚い材料で構成でき、所望の柔ら
かなばね性を確保しつつ、板ばねの耐久性を高め
ることができる利点がある。

【図面の簡単な説明】

図面は本発明の一実施例を示し、第１図はカセ
ツト本体内の平面図、第２図はストツパ機構の平
面図、第３図は板ばねの変形状態を示す平面図、
第４図は板ばねの斜視図、第５図はテープカセツ
トの斜視図、第６図は第１図中−線に沿う断
面図である。 １……カセツト本体、３ａ……壁面、４……テ
ープリール、７，８……フランジ、１５……スト
ツパ本体、１５ａ……端面、１６……係合片、２
０……板ばね、２１……基部、２２……切り起こ
し片、２３……屈曲部。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ テープリールを回転自在に収容したカセツト
   本体内に、テープリールのフランジ外周に向つて
   延びる係合片を有したストツパ本体を進退動可能
   に装着し、このストツパ本体の後退側の端面とこ
   の端面に対向するカセツト本体の壁面との間に、
   板状をなした基部に弾性変形可能な切り起こし片
   を有した板ばねを圧縮状態で介装し、この切り起
   こし片の付勢力により、上記ストツパ本体をテー
   プリール側に進出せしめて、その係合片の先端部
   をフランジ外周の係合歯に係脱可能に係合させる
   ようにしたテープカセツトにおいて、 上記板ばねの基部の少なくとも一端部に、カセ
   ツト本体の壁面側に屈曲された屈曲部を設け、こ
   の屈曲部により上記基部を壁面から離間させて設
   けるとともに、この基部の一方の端部のみを上記
   カセツト本体の内面に固定したことを特徴とする
   テープカセツト。