JP2594331Y2 - 磁気テープカセット - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本考案は、磁気テープを巻回する
一対のテープリールを上下ハーフケースからなるカセッ
トケース内に収容するとともに、前記カセットケース内
の各テープリールを上ハーフケースの上壁部に装備した
リーフばねによって下ハーフケースの底壁部側に付勢す
る形式の磁気テープカセットの改良に関するものであ
る。

【０００２】

【従来の技術】従来よりＶＨＳ方式やβ方式あるいは８
ｍｍビデオ等のビデオ機器に用いられる磁気テープカセ
ットは、磁気テープを巻回する一対のテープリールをＡ
ＢＳ樹脂等の合成樹脂による成形品であるカセットケー
ス内に収容してなる。ここに、前記カセットケースは上
下ハーフケースから構成されており、該カセットケース
内の各テープリールを前記上ハーフケースの上壁部に装
備したリーフばねによって前記下ハーフケースの底壁部
側に付勢する構成をなしている。

【０００３】図６および図７はＶＨＳ方式のビデオ機器
用の磁気テープカセットの従来例を示したもので、図６
は斜視図、図７は図６のＡ−Ａ線に沿う断面図である。
そして、これらの図において、テープリール１がカセッ
トケース２内に取り付けられたリーフばね３により押圧
されている。なお、磁気テープ再生装置等のリール駆動
シャフト４は、磁気テープ再生装置等のカセット装着部
分のバケット５が下方に移動することでテープリール内
に進入する。前記テープリール１は、図７に示すよう
に、磁気テープを巻回するリールハブ２３の一端側（図
７では上端側）中央には付勢力を受けるための略半球状
の突起であるピボット体２４が設けられ、また、前記リ
ールハブ２３の他端側には前記リール駆動シャフト４が
係合するシャフト係合孔２５が開口した構造となってい
る。なお、前記テープリール１は上下に円盤状のフラン
ジ部２６，２７を備えており、通常、上側のフランジ部
２６は透明な合成樹脂により形成され、下側のフランジ
部２７は耐摩耗性に優れたポリオキシメチレン樹脂（Ｐ
ＯＭ）等の合成樹脂による射出成形によって、前記リー
ルハブ２３と一体に形成されている。

【０００４】前記カセットケース２は、図６に示すよう
に、上ハーフケース２１と、下ハーフケース２２と、前
面側に装備されて磁気テープ再生装置等に装着した時に
開かれるガードパネル２０とからなり、全体として箱形
をなしている。前記上ハーフケース２１，前記下ハーフ
ケース２２，前記ガードパネル２０は、いずれも、ＡＢ
Ｓ樹脂等の合成樹脂の射出成形により所定形状に形成さ
れている。そして、前記カセットケース２は、一対の前
記テープリール２を、規定範囲内で移動自在に収容して
いる。また、前記上ハーフケース２１の上壁部６には、
ラベルを貼付するための凹部７と、収容している各テー
プリール１のテープ巻量等の確認をするための窓部８が
装備されており、前記窓部８は透明の合成樹脂等により
形成されている。

【０００５】また、前記下ハーフケース２２の場合は、
図７に示すように、前記テープリール１のシャフト係合
孔２５と対峙する底壁部９に、前記リール駆動シャフト
４を前記シャフト係合孔２５に係合させるためのシャフ
ト挿入口１０が設けられた構成をなしている。このシャ
フト挿入口１０の内径は、ケース内に収容されている前
記テープリール１が規定の範囲内で任意の径方向に移動
できるように、該テープリール１のフランジ部２７側に
突出したボス部２８の外径よりも適宜量大きく設定され
ている。また、図６に示すように、前述の上ハーフケー
ス２１および下ハーフケース２２の後壁部には、背ラベ
ルを貼るための背面凹部１１が形成されている。

【０００６】前記リーフばね３は、前記カセットケース
２内に収容された前記テープリール１のピボット体２４
に自由端が当接するように、前記上ハーフケースの上壁
部の内面側に固定して設けられた帯状の単純形状の板ば
ねである。図示例のものは、帯状の板ばねの中央部を前
記上ハーフケース２１の上壁部に固定し、両端の自由端
を各テープリール１のピボット体２４に当接して、これ
らの一対の前記テープリール１を前記下ハーフケース２
２の底壁部９側に付勢している。

【０００７】なお、図７において、前記リーフばね３は
上壁部６に、前記上壁部６の内面側から突出させた突起
１３により固定される。すなわち、前記リーフばね３
は、前記突起１３を該リーフばね３に形成された突起挿
通穴の挿通させた後に、該突起１３の頭部を超音波等に
よって溶着させることによって、前記上壁部６に固定さ
れている。

【０００８】

【考案が解決しようとする課題】ところで、この種の磁
気テープカセットにおいては、取り扱い性の向上やコス
ト低減を目的として、構成部品の軽量化が進められてい
る。量産されるため、磁気テープカセット一つ当たりに
おける軽量化は僅かであっても、産業的には、高い効果
を得ることができる。しかし、各構成部品には、規格に
よる規定によって、許容寸法や機構上の仕様が規制され
ているため、むやみにコンパクトして軽量化を進めるこ
とはできない。例えば、磁気テープ再生装置等へ装着し
た時に再生装置等の前記リール駆動シャフト４が前記リ
ールハブ２３に正確に嵌合し得るように、前記テープリ
ール１はカセットケース２内で、該テープリール１の半
径方向及び回転軸線方向に規定範囲の遊びを有している
ことが必要とされ、また、前記リーフばね３において
も、付勢力の大きさ等が規制されている。図７におい
て、ボス部２８の周囲に確保されている隙間３０は、規
定の半径方向の遊びを得るためのものである。

【０００９】従って、例えば、前記リーフばね３を、軽
量化等のために、単純に幅寸法を縮小してしまうと、図
８（図７のＢ−Ｂ線沿う断面図を示している）に示すよ
うに、前記テープリール１の半径方向の遊びのために該
テープリール１がカセットケース２内で移動した時に、
前記ピボット体２４が前記リーフばね３の自由端から外
れてしまうといった自体が発生する。そして、前述の従
来例に示したように前記リーフばね３が単純な帯状の場
合は、自由端の側縁（エッジ）が前記ピボット体２４の
外周面に引っ掛かってシャフト挿入口１０の中心位置に
復帰できなくなり、磁気テープ再生装置等へ装着した場
合に前記リール駆動シャフト４と前記リールハブ２３と
の正確な嵌合が不可能になる危険があった。そのため、
従来では、前記テープリール１が半径方向に最大限に移
動しても、前記ピボット体２４が前記リーフばね３上か
ら外れないように、該リーフばね３の幅寸法は大きめに
設定するなどの対応がなされ、該リーフばね３の軽量化
は困難と思われてきた。

【００１０】そこで、本考案の目的は上記課題を解消す
ることにあり、テープリールの半径方向の移動によって
テープリールのピボット体がリーフばねの下から外れて
も、再び、ピボット体をリーフばねの下に復帰させるこ
とができて、テープリールの復帰不能といった不都合を
招くことがなく、リーフばねの幅寸法の縮小によって軽
量化を実現することのできる磁気テープカセットを提供
することである。

【００１１】

【課題を解決するための手段】本考案の上記目的は、上
下ハーフケースよりなるカセットケース内に磁気テープ
を巻回する一対のテープリールが回転自在に装着され、
前記上ハーフケースの上壁部に固定されたリーフばねの
自由端により前記各テープリールの上端側中央の突起状
のピボット体を略リール回転軸方向に沿って前記下ハー
フケースの底壁部に向かって押圧するように構成された
磁気テープカセットにおいて、前記リーフばねは、帯状
板ばねであって、その自由端の少なくとも両側縁部の、
前記ピボット体と当接する部分に、前記上ハーフケース
の上壁部に向かって傾斜した傾斜部が設けられ、前記自
由端の幅がその他の部位の幅より大きくなっていること
を特徴とする磁気テープカセットにより達成される。

【００１２】また、本考案の上記目的は、上記磁気テー
プカセットにおいて、前記リーフばねの自由端に形成さ
れた傾斜部が前記テープリールの上端側中央のピボット
体に当接したときに、該当接部において前記リーフばね
から前記ピボット体に作用する付勢力のリール半径方向
の分力により、前記リーフばねと前記ピボット体とが正
規の位置に復帰するように、前記傾斜部の曲げ角が設定
されていることを特徴とする磁気テープカセットにより
達成される。

【００１３】さらに、本考案の上記目的は、上記磁気テ
ープカセットのいずれかにおいて、前記リーフばねは、
前記ピボット体に当接する自由端の幅寸法をＷ１、その
他の部位の幅寸法をＷ２とするとき、Ｗ１＞Ｗ２に寸法
設定されていることを特徴とする磁気テープカセットに
より達成される。

【００１４】

【実施態様】図１および図２は、本考案に係る磁気テー
プカセットの一実施態様を示したもので、図１は要部の
縦断面図、図２は斜視図である。図１の断面図は、図２
のＣ−Ｃ線に沿う断面図に相当している。本実施態様の
磁気テープカセットは、ＶＨＳ方式のビデオ機器用のも
ので、図１および図２において、従来のものと同じ構成
部材については同符号を付して説明を適宜省略する。前
記テープリール１は、図１に示すように、磁気テープを
巻回するリールハブ２３の一端側（図１では上端側）中
央には付勢力を受けるための略半球状の突起であるピボ
ット体２４が装備され、また、前記リールハブ２３の他
端側には前記リール駆動シャフト４が係合するシャフト
係合孔２５が開口した構造をなしている。なお、符号２
６，２７は円盤状のフランジ部であり、通常、上側のフ
ランジ部２６は透明な合成樹脂により形成され、下側の
フランジ部２７は耐摩耗性に優れたポリオキシメチレン
樹脂（ＰＯＭ）等の合成樹脂による射出成形によって、
前記リールハブ２３と一体に形成されている。

【００１５】前記カセットケース２は、図２に示すよう
に、上ハーフケース２１と、下ハーフケース２２と、前
面側に装備されて磁気テープ再生装置等に装着した時に
開かれるガードパネル２０とからなり、全体として箱形
をなしている。前記上ハーフケース２１，前記下ハーフ
ケース２２，前記ガードパネル２０は、いずれも従来と
同様にＡＢＳ樹脂等の合成樹脂の射出成形により所定形
状に形成されている。そして、前記カセットケース２
は、一対の前記テープリール１を、規格による規定範囲
内で移動自在に収容している。

【００１６】また、前記下ハーフケース２２の場合は、
図１に示すように、前記テープリール１のシャフト係合
孔２５と対峙する底壁部９に、前記リール駆動シャフト
４を前記シャフト係合孔２５に係合させるためのシャフ
ト挿入口１０が設けられた構成をなしている。前記シャ
フト挿入口１０の内径は、ケース内に収容されているテ
ープリール１が規定の範囲内で任意の径方向に移動でき
るように、該テープリール１のフランジ部２７側に突出
したボス部２８の外径よりも適宜量大きく設定されてい
る。

【００１７】前記リーフばね１５は、前記カセットケー
ス２内に収容されたテープリール１の前記ピボット体２
４に自由端が当接するように、前記上ハーフケース２１
の上壁部６の内面側に固定して設けられた板ばねで、自
由端の当接によって一対のテープリール１を下ハーフケ
ース２２の底壁部９側に付勢している。図３にも示した
ように、中間部は幅が一定の単純な帯状を呈しており、
この中間部には、上ハーフケース２１の上壁部６に装備
された突起１３を挿通させる突起挿通穴１６が２つ設け
られている。この中間部は、前記突起挿通穴１６に前記
突起１３を挿通させた後に、該突起１３の頭部を超音波
等によって溶着させることによって、上壁部６に固定さ
れている。

【００１８】そして、前記リーフばね１５の自由端の両
側縁部には、前記上壁部６に向かって傾斜した傾斜部１
７が折曲げ加工により一体形成されている。また、前記
リーフばね１５の中間部には、所定のばね特性を得るた
めに、図１および図３に示すように、両自由端がカセッ
ト内方に向かう湾曲が与えられている。また、図４の
（ａ）に示すように、前記テープリール１の半径方向へ
の移動によって前記傾斜部１７が前記テープリール１の
ピボット体２４に当接する場合に、該当接部Ｐにおいて
前記リーフばね１５から前記ピボット体２４に作用する
付勢力Ｆはリール半径方向の分力ｆｒとリール回転軸方
向の分力ｆｔとが生じる。そして、この分力うち前記リ
ール半径方向の分力ｆｒにより、前記リーフばね１５の
平坦部１８が前記ピボット体２４の上端部分が当接する
正規の位置に復帰するように、前記傾斜部１７の曲げ角
θが設定されている。

【００１９】この曲げ角θは、具体的には、図４の
（ｂ）に示すように、前記ピボット体２４の球心Ｏと当
接部Ｐとを結ぶ仰角αが、４５゜よりも大になるように
設定するとよい。また、前記リーフばね１５は、図４の
（ａ）に示すように、自由端の幅寸法をＷ１、その他の
部位の幅寸法をＷ２とするとき、Ｗ１＞Ｗ２に寸法設定
されている。

【００２０】以上のごとく本実施態様の磁気テープカセ
ットでは、図４の（ａ）に示すように、前記テープリー
ル１の半径方向の移動によって該テープリール１のピボ
ット体２４が前記リーフばね１５の下から外れても、前
記ピボット体２４と前記リーフばね１５とが前記傾斜部
１７の当接によって前記テープリール１の半径方向に滑
り易い関係で接触しているため、テープリール半径方向
の僅かな外力を作用させるだけで前記テープリール１を
前記リーフばね１５側に押し戻すことができ、例えば、
磁気テープ再生装置等への装着時等にリール駆動シャフ
ト４とリールハブ２３との係合動作によって作用するリ
ール半径方向の力によって、容易に前記ピボット体２４
を前記リーフばね１５の直下に復帰させることができ
て、前記テープリール１の復帰不能といった不都合を招
くことがない。従って、前記テープリール１の復帰不能
といった不都合の発生を心配せずに、前記リーフばね１
５の幅寸法の縮小によって軽量化を実現することができ
る。又、図示のように、中間部の幅を自由端側よりも狭
く設定した形状とすることによって、さらに前記リーフ
ばね１５の軽量化を推進することが可能になる。

【００２１】なお、前記実施態様では、前記リーフばね
１５の自由端の両側部にのみ傾斜部１７を設けたが、図
５に示すように、例えばリーフばね１５の自由端の先端
にも傾斜部１７を装備するようにしてもよい。また、上
記実施態様は、ＶＨＳ方式のビデオ用の磁気テープカセ
ットを説明したが、本発明は、β方式あるいは８ｍｍビ
デオ等、ＶＨＳ方式以外の磁気テープカセットにも応用
できることは勿論である。

【００２２】

【考案の効果】以上述べたように、本考案の磁気テープ
カセットによれば、テープリールの半径方向の移動によ
ってテープリールのピボット体がリーフばねの下から外
れても、ピボット体とリーフばねとが傾斜部の当接によ
ってテープリールの半径方向に滑り易い関係で接触して
いるため、テープリールに半径方向の僅かな外力を作用
させるだけでテープリールをリーフばね側に押し戻すこ
とができ、例えば、磁気テープ再生装置等への装着時等
にリール駆動シャフトとリールハブとの係合動作によっ
て作用するリール半径方向の力等によって、容易にピボ
ット体をリーフばねの直下に復帰させることができて、
テープリールの復帰不能といった不都合を招くことがな
い。従って、テープリールの復帰不能といった不都合の
発生を心配せずに、リーフばねの幅寸法の縮小によって
軽量化を実現することができる。また、中間部の幅を自
由端側よりも狭く設定した形状とすることによって、さ
らにリーフばねの軽量化を推進することが可能になる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の一実施態様の要部の縦断面図である。

【図２】本考案の一実施態様の斜視図である。

【図３】本考案の一実施態様のリーフばねの要部を示す
斜視図である。

【図４】図１のＤ−Ｄ線に沿う断面図である。

【図５】本考案の磁気テープカセットのリーフばねの他
の実施態様の斜視図である。

【図６】従来の磁気テープカセットの斜視図である。

【図７】図６のＡ−Ａ線に沿う断面図である。

【図８】従来の磁気テープカセットの問題点の説明する
ための概略図である。

【符号の説明】

１ テープリール ２ カセットケース ４ リール駆動シャフト ６ 上壁部 ９ 底壁部 １０ シャフト挿入口 １５ リーフばね １６ 突起挿通穴 １７ 傾斜部 １８ 平坦部 ２１ 上ハーフケース ２２ 下ハーフケース ２３ リールハブ ２４ ピボット体 ３０ 隙間

Claims (3)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 上下ハーフケースよりなるカセットケー
   ス内に磁気テープを巻回する一対のテープリールが回転
   自在に装着され、前記上ハーフケースの上壁部に固定さ
   れたリーフばねの自由端により前記各テープリールの上
   端側中央の突起状のピボット体を略リール回転軸方向に
   沿って前記下ハーフケースの底壁部に向かって押圧する
   ように構成された磁気テープカセットにおいて、 前記リーフばねは、帯状板ばねであって、その自由端の
   少なくとも両側縁部の、前記ピボット体と当接する部分
   に、前記上ハーフケースの上壁部に向かって傾斜した傾
   斜部が設けられ、前記自由端の幅がその他の部位の幅よ
   り大きくなっていることを特徴とする磁気テープカセッ
   ト。
2. 【請求項２】 前記リーフばねの自由端に形成された傾
   斜部が前記テープリールの上端側中央のピボット体に当
   接したときに、該当接部において前記リーフばねから前
   記ピボット体に作用する付勢力のリール半径方向の分力
   により、前記リーフばねと前記ピボット体とが正規の位
   置に復帰するように、前記傾斜部の曲げ角が設定されて
   いることを特徴とした請求項１に記載の磁気テープカセ
   ット。
3. 【請求項３】 前記リーフばねは、前記ピボット体に当
   接する自由端の幅寸法をＷ１、その他の部位の幅寸法を
   Ｗ２とするとき、Ｗ１＞Ｗ２に寸法設定されていること
   を特徴とした請求項１または２に記載の磁気テープカセ
   ット。