JPH0467962B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本発明は、生体力学的に衝撃を吸収する構造を
有する靴底に関するものである。この靴底は、運
動靴として特に適しており、例えば、アスフアル
ト上の様な硬い表面上でジヨギング及びランニン
グする際に使用することが出来る。更に、歩行ブ
ーツなどの履物に使用することも出来る。

（従来の技術） 歩行及びランニングする際に、足は地面又は下
方の表面に接地する時に、可成の体重を支持しな
ければならない。例えば、ヒール部に存在する脂
肪のクツシヨンは、歩行サイクル段階で、ヒール
衝突の際の衝撃、即ち、ヒール部が足下表面に接
触する際の衝撃を緩衝する。全ての足が表面に接
触している時の歩行サイクルの中間姿勢段階にお
いて、及びヒール部が持ち上がる段階において、
体重は、足の長手土踏まず上に、かつ足の前方横
土踏まず上とに掛かり、この為にこれら土踏まず
の変形を引き起こし勝ちである。

足の土踏まずの先天的な解剖学的異常又は欠損
は、これらの機能を阻害したり又は弱化させ、か
つ足の土踏まずから生ずる不全症問題を惹起する
ことがある。弱体化した土踏まずにより引き起こ
される問題は、靴内部に設けた土踏まず支持体に
より除去することが出来る。更に生来正常な土踏
まずは、極めて硬い表面上での歩行及びランニン
グするために、重い体重に反復して露呈される時
に、そのアーチ形形状を失い、その結果体重分配
能力を失つて、同様に不全症徴候を齎し勝ちであ
る。

この種の問題は一般的であり、主として悪質な
靴を使用することにより惹起され、又はアスフア
ルト及びコンクリートの様な硬い表面上での活動
により惹起される。従つて、この様な土踏まずの
不全症状を防止するために、予防し並びに治療す
る対策が、極めて重要である。足の機能不全及び
悪い構造の衝撃吸収靴も、足の損傷を惹起すると
共に、足首関節、膝関節、膝部、腰部、及び背部
の様な特に下肢部における不全症状を齎す。

スポーツ活動も、身体を相当なストレスと緊張
とに曝らす。ランニング、各種のジヤンプなどの
様なスポーツにおいて、特にヒール衝突段階の際
に、相当な体重を大部分の骨格により支持せねば
ならず、このことは、膝、背部又はその他の身体
の露呈部分に損傷を齎らすであろう。これらの損
傷は、長期かつ反復する体重支持の結果として起
こり、これは、例えば、長距離ランナーに伴う場
合であり、又は三段跳びで経験される様な重いが
しかし不適当な体重支持に露呈される特別な例に
より引き起こされるであろう。従つて、スポーツ
用靴は、足が地面に接地する時に生ずる衝撃を出
来るだけ緩衝し得る底部を備えるべきである。然
し乍ら、底部は、厚過ぎてはならない。何故なら
ば、このことは、靴を重過ぎるものにし、従つ
て、競技の達成し得る成績を妨げるからである。

（発明が解決しようとする課題） 上記の欠点を除去する様な靴底を付与すべく設
計した種々の靴底構造体が得られている。例え
ば、種々異なる材料の幾層かを備えて所望の弾力
性を付与する靴底を有する靴が市販されている。
また、靴底部中に空気クツシヨン部を設けて最大
衝撃吸収性を付与する様にした靴底も入手出来
る。この種の靴底を備えた靴は、良好な全体的な
衝撃吸収能力を有する。然し乍ら、従来のこの様
な靴底は、生体力学的に衝撃吸収を考慮されてい
ない。

本発明の目的は、歩行又は走行時に、生体力学
的に満足し得る衝撃吸収能力を付与し、かつ足の
土踏まずを生体力学的に支持し得る靴底構造体を
提供することである。

本発明の別の目的は、脚下部、膝、及び背部の
損傷及びその他の不全症状の治療に適し、更に損
傷を予防するのに適した靴底構造体を提供するこ
とである。

（課題を解決するための手段） 本発明の靴底構造体は、靴１の底部２は、部分
的又は完全に流体１０で満たされた少なくとも２
つの後部クツシヨン部８と前部クツシヨン部９と
を備え、これらクツシヨン部８，９は、共働する
よう相互連結流路１１により連通されて構成され
ると共に、前記底部２において後部クツシヨン部
８はヒール部６の領域の下部に位置し、かつ前部
クツシヨン部９は土踏まず部７の領域の下部に位
置する靴底構造体において、歩行又は走行の時
に、後部クツシヨン部８の圧縮は、前部クツシヨ
ン部９を上方へ膨張させて土踏まず部７の下部に
支持膨らみを形成支持することを特徴とする。

（作用） 本発明の靴底構造体は、次の様に機能する。第
１〜３図において、着用者がヒール部６を接地さ
せた状態の歩行運動段階を示し、この場合、流体
１０は後部クツシヨン部８から相互連結流路１１
を介して前部クツシヨン部９中へ強制流動して前
部クツシヨン部９を膨張させる。相互連結流路１
１は流体１０に対して適当な抵抗性を有し、これ
により流体１０は、ヒール部６が地面と衝突する
時に衝撃を緩和し、かつ体重がヒール部６から前
足部に移動する歩行時間をかけて前部クツシヨン
部９に移動し、これを膨張させ、この時に前部土
踏まずを持ち上げ、支持し、かつ土踏まずから体
重の作用を緩和する。

次いで、第４〜６図に示す様に、歩行の次の段
階で、前部土踏まずが体重によりクツシヨン部９
を押圧すると、流体１０は前部クツシヨン部９か
ら後部クツシヨン部８へ強制流動してこれを膨張
させる。かくして、歩行運動のサイクルが繰り返
される。

前部クツシヨン部９が膨張する時に、若干弓状
に上方に隆起し、土踏まず７に対して生体力学的
な正しい支持を齎す。

（実施例） 以下、添付図面により、本発明の靴底構造体を
詳細に説明する。

図面に示す靴は、スポーツ活動に使用すべき靴
底を示し、靴１は、底部２と上部３と中底４とを
備える。靴１は、足５に着用して示されている。
足のヒール部６の下方及び足の土踏まず部７の下
方において、靴底にクツシヨン部８及び９が設け
られる。

クツシヨン部８及び９には、クツシヨン部材料
に不活性な適当なガス又は液体からなる流体１０
を充填する。これらクツシヨン部８及び９の材料
は、圧縮及び膨張に適合されるゴム、及び各種合
成ゴム（SBR，BR，CR，IIR，NBR，EPDM
など）から適宜選択出来る。複数の流路１１が、
これら２つのクツシヨン部８及び９を相互連結す
る。従つて、流体１０は、相互連結流路１１を介
して一方のクツシヨン部から他方のクツシヨン部
へ流れることが出来る。一方のクツシヨン部が圧
縮されると、他方のクツシヨン部へと強制流入す
る結果、この他方のクツシヨン部を膨張する。流
路１１の個数及び寸法は、変化させることが出
来、歩行又は走行中の体重によるクツシヨン部の
圧縮及び膨張が、丁度、歩行又は走行の周期時間
に合う様に設計される。即ち、充分な時間圧縮及
び膨張が持続する様にする。また、クツシヨン部
を囲繞する底部２の材料を選択して、多かれ少な
かれ弾力的にしてクツシヨン部の緩衝作用を増大
させる様にする。靴底の材料、クツシヨン内の流
体１０、及び相互連結流路１１を、使用者の体重
に合わせて最適に選択される。流体について説明
すれば、例えば、20℃の粘度（cP）は、空気
（0.018），CO₂（0.015），水（1.002），メタノール
（0.6），エタノール（1.3），グリセリン（30℃で
６）、即ち、気体はその種類により粘度は実質的
に変化せず、水は空気の55倍の粘度を有し、液体
の種類により大きく変化するので、目的に応じて
水単独又は水とアルコール類の混合流体を使用
し、使用する流体に応じて流路の個数と寸法を適
宜変化させる。

相互連結流路１１を囲繞する壁部は、膨張しな
い材料で構成される。

クツシヨン部８，９の寸法は、これらの周囲の
靴壁部が、充分強固であつて、横方向の分力が靴
底にかかつた時に生ずる剪断応力に耐える様な寸
法でなければならない。この種の横方向の体重分
力は、着用者がカーブ部などを走行する際に生ず
る。

２つのクツシヨン部内及び相互連結流路内にお
ける流体の量は、常時一定であり、その結果、靴
の弾力性、即ち、体重がクツシヨン部にかかつた
時の膨らみは、各個の目的に適したクツシヨン寸
法を選択して調節し、かつ改変することが出来
る。またこの様にして、初期の目的及び実際上の
必要性に適しかつ一致する様に靴の性質を調整す
ることも出来る。

本発明による靴底構造体は、ランニング靴又は
歩行ブーツ以外の靴にも同様に適している。一例
として挙げれば、下降スキー用に設計したスキー
靴があり、この目的でこの靴に本発明の靴底構造
体を応用するのが極めて適している。何故なら
ば、このスポーツ活動では、傾斜面の不均一表面
の為に、身体が酷い振動と衝撃とに曝されるから
である。

本発明はスポーツなどの運動用に設計した靴の
みに限定されず、例えば、歩行用ブーツの様な靴
並びに損傷予防目的の、及び既に生じた損傷の治
療目的の靴などあらゆる種類の靴にも応用するこ
とが出来る。本発明の靴底構造体は、頻繁な衝
撃、振動、及びシヨツクが予想される様な用途に
おいて特に効果的である。

上記しかつ図面に例示した実施例は、一例とし
て解釈すべきであり、本発明の範囲内において多
くの変更が可能である。上記した様に、この靴底
は靴中に一体構成にすることも、又は別途の挿入
構造体として形成することも出来る。

（発明の効果） 本発明による靴底構造体は、ヒール部が地面に
接地する時に優れたクツシヨン効果を齎すと同時
に、靴の着用者は、前足部が地面に衝突する時
に、土踏まず部に生体力学的に支持を受けること
が出来る。更に、本発明による靴底構造体の使用
は、特に土踏まず部及び足局部における損傷の危
険と不全症状とを著しく減少させ、かつ損傷と不
全症状の治療に適している。同時に、例えば、ラ
ンニング、ジヨギング、又はジヤンプなどのスポ
ーツ活動も容易にすることが出来る。

【図面の簡単な説明】

第１図は、本発明に係る靴底構造体を備えた靴
で、ヒール部が地面に衝突する際の歩行運動段階
を示す断面図であり、第２図は、第１図の−
線断面図であり、第３図は、第１図の−線断
面図であり、第４図は、第１図に対応する足の前
部が地面に衝突する際の歩行運動の段階、即ち、
ヒール部が持ち上がる段階を示す断面図、第５図
は、第４図の−線断面図であり、第６図は、
第４図の−線断面図である。 １……靴、２……底部、３……上部、４……中
底、５……足、６……ヒール部、７……土踏まず
部、８……後部クツシヨン部、９……前部クツシ
ヨン部、１０……流体、１１……相互連結流路。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 靴１の底部２は、部分的又は完全に流体１０
   で満たされた少なくとも２つの後部クツシヨン部
   ８と前部クツシヨン部９とを備え、これらクツシ
   ヨン部８，９は、共働するよう相互連結流路１１
   により連通されて構成されると共に、前記底部２
   において後部クツシヨン部８はヒール部６の領域
   の下部に位置し、かつ前部クツシヨン部９は土踏
   まず部７の領域の下部に位置する靴底構造体にお
   いて、歩行又は走行の時に、後部クツシヨン部８
   の圧縮は、前部クツシヨン部９を上方へ膨張させ
   て土踏まず部７の下部に支持膨らみを形成し土踏
   まず部７を支持する構造体であることを特徴とす
   る靴底構造体。 ２ 前記相互連結流路１１は、一つ又は複数から
   なり、使用される前記流体１０に応じて適切な断
   面積を有して、足の土踏まず７の下部に支持膨ら
   みを、歩行又は走行の間中充分な時間保持する特
   許請求の範囲第１項記載の靴底構造体。 ３ 前記流体１０が、クツシヨン材料に不活性な
   ガス又は液体からなる特許請求の範囲第１項又は
   第２項に記載の靴底構造体。 ４ 前記流体１０が、空気である特許請求の範囲
   第３項記載の靴底構造体。 ５ 前記流体１０が、水、又はメタノール、エタ
   ノール、グリコール類、又はグリセリンの水溶液
   である特許請求の範囲第３項記載の靴底構造体。