JPH0466091A - 固定化酵素によるホスファチジン酸の製造方法 - Google Patents

固定化酵素によるホスファチジン酸の製造方法

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JPH0466091A
JPH0466091A JP17868190A JP17868190A JPH0466091A JP H0466091 A JPH0466091 A JP H0466091A JP 17868190 A JP17868190 A JP 17868190A JP 17868190 A JP17868190 A JP 17868190A JP H0466091 A JPH0466091 A JP H0466091A
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lecithin
phosphatidic acid
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JP17868190A
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Masami Shimizu
雅美 清水
Makoto Mitsui
三井 誠
Yoshimasa Sasa
佐々 嘉正
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Kao Corp
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Abstract

(57)【要約】本公報は電子出願前の出願データであるた
め要約のデータは記録されません。

Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明はホスファチジン酸の製造方法に関し、詳しくは
、固定化酵素の利用により、食品分野などにおいて有用
なホスファチジン酸の効率的な製造方法に関する。
〔従来の技術及び発明が解決しようとする課題〕リン脂
質は生体膜構成要素の基本物質であり、細胞組織の保護
、情報の伝達、物質移動の制御等、生命活動の基本を司
る機能を有する脂質の一つである。
近年、二分子膜形成能を有するリン脂質が形成するベシ
クル(又はリポソーム)が各種機能物質を包接する機能
を有するという現象が学問的並びに工業的に注目されは
じめ、例えば医薬・医療分野においてDDS (ドラッ
グデリバリ−システム)としてその応用が期待されてい
る。
本発明者らは、従来よりかかる高機能リン脂質の食品分
野への利用について検討を続けてきたが、先般リン脂質
の1種であるホスファチジン酸(以下、PAと略記)を
利用することにより、油ハネのない離型性に優れた調理
油を完成させることに成功した(特開平1−27431
号)。
更に、PAの産業分野への利用例としては、例えば製パ
ン工程での生地物性改良(特開昭58−51853号)
、FAとツエイン複合体よりなる乳化剤の製造(特開昭
62−204838号)等の食品工業への利用、医薬品
への利用(特開昭54−105222号、同55−11
582号、同56−127308号、同60−2557
28号)、化粧品への利用(特開昭59−27809号
)、化成品への応用(特開昭53−108503号、同
60−243171号)等が挙げられ、各産業分野での
利用が検討されている。
しかしながら、PA自体、製油副産物であるレシチン中
には少量しか含まれていない為、これを高純度で取り出
すことは極めて困難であり、工業生産方法も未だ確立さ
れていない。従って、レシチンの利用に比べてPAの利
用法は限定されている。
また現在、PA型製造おいては、油糧種子から抽出した
酵素溶液とレシチンとを反応させている。しかし、油種
種子から抽出した酵素溶液は、反応に関与しない夾雑蛋
白質を多(含み、この夾雑蛋白質を生成したPAから除
去し、製品の品質を向上させる為にはかなり大きな負荷
がかかっている。そして、このPAの精製工程がPA製
造上の律速にもなっている。
更に、油種種子から抽出した酵素溶液を反応に使用した
場合の操作としては回分操作となるため、PA型製造サ
イクルタイム的にも不利である。また、油糧種子から抽
出したホスホリパーゼDは、非常に失活しやすい酵素で
あり、PA型製造反応中にも失活してしまい、酵素の再
利用ができない。
そこで、反応終了品からの夾雑蛋白質の除去が簡単で、
連続操作が可能であり、且つホスホリパーゼDの安定性
を確保したPAの製造法の確立が望まれていた。
〔課題を解決するための手段〕
かかる現状にあって、本発明者らは鋭意研究の結果、酵
素を担体に固定化した特定の固定化酵素を用い、且つ特
定の反応条件を採用することによって、上記課題を解決
できることを見出し、本発明を完成するに到った。
即ち本発明は、下記(i)乃至(in)に示す固定化酵
素の1種又は2種以上、有機溶媒及び水(但し、水の量
は重量基準で有機溶媒の重量を越えない量である。)の
存在下に、レシチンをホスファチジン酸と含窒素塩基と
に加水分解することを特徴とするホスファチジン酸の製
造方法を提供するものである。
(1)1種又は2種以上の担体に固定化した、レシチン
をホスファチジン酸と含窒素塩基とに加水分解する酵素 (ii)1種又は2種以上の担体に同時に固定化した、
レシチンをホスファチジン酸と含窒素塩基とに加水分解
する酵素及びレシチンをジグリセライドとホスホリル塩
基とに加水分解する酵素 (ii) 1種又は2種以上の担体に固定化した、レシ
チンをホスファチジン酸と含窒素塩基とに加水分解する
酵素、並びに1種又は2種以上の担体に固定化した、レ
シチンをジグリセライドとホスホリル塩基とに加水分解
する酵素 本発明のPAの製造方法によれば、未加水分解物等の副
生成物が極めて少ない、高純度でしかも溶解性の高いP
Aを生成すると同時に、反応終了品中のPAと酵素由来
の蛋白質の分離を簡略化できる。
本発明の製造方法において、レシチンをPAと含窒素塩
基に加水分解する酵素としては、微生物又は植物起源の
ホスホリパーゼD(以下、PL−Dと略す)が好適であ
り、またレシチンをジグリセライドとホスホリル塩基に
加水分解する酵素としては、同じく微生物、動物又は植
物起源のホスホリパーゼC(以下、PL−Cと略す)、
ホスホジェステラーゼ、酸性ホスファターゼ、アルカリ
ホスファターゼの中から選ばれる1種又は2種以上の組
み合わせが使用できる。特に本発明においては、ホスホ
リパーゼCとしてホスファチジルイノシトールに特異的
に作用してレシチンをジグリセライドとホスホリルイノ
シトールに加水分解する酵素が好適である。
本発明において使用される酵素は、レシチンをホスファ
チジン酸と含窒素塩基とに加水分解する酵素(以下、前
者の酵素と記す)単独の使用でも良いが、更にはレシチ
ンをジグリセライドとホスホリル塩基とに加水分解する
酵素(以下、後者の酵素と記す)との併用が好ましい。
その理由は、ホスファチジルコリン及びホスファチジル
エタノールアミンの含有率が低く、ホスファチジルイノ
シトール含有率が高いレシチンを使用した場合、前者の
酵素のみの使用では高純度PAの製造は難しい。そこで
後者の酵素を併用してホスファチジルイノシトールをジ
グリセライドに分解することにより製品中のPA含有率
を高めることが可能になる。また、ここで生成するジグ
リセライドは、PAの溶解性を高めることができるため
、食用油中への配合等に際して非常に有利になる。
本発明で言う酵素の併用とは、当業者が考え得るいずれ
の態様でも良い0例えば、以下の(1)〜(3)に示す
ような態様がある。
(1)  前者の酵素と後者の酵素とを同時に、1種又
は2種以上の担体に固定化させて反応を行う。
(2)前者の酵素と後者の酵素とを別々に、1種又は2
種以上の担体に固定化させて、反応系内に同時に存在さ
せて反応を行う。
(3)  前者の酵素と後者の酵素とを別々に、1種又
は2種以上の担体に固定化させて、前者の酵素存在下に
反応を行ってから、次いで後者の酵素存在下に反応を行
うか、又は後者の酵素存在下に反応を行ってから、次い
で前者の酵素存在下に反応を行う。
上記の酵素を固定化する担体としては、例えばセルロー
ス、デキストラン、ポリスチレン、ポリアクリルアミド
、ポリビニルアルコール、キトサン、イオン交換樹脂、
磁性体、アルミナ、セラミック、ガラス、光架橋性樹脂
、アルギン酸塩、各種ゲル化剤等、有機質及び無機質の
いずれの材質の物でも使用できるが、好ましくは多孔を
有する無機質からなる担体が良い。更に好ましくは担体
表面がシラノール基からなるセラミック製又はガラス製
の粉末粒子が好適である。担体は単一の種類を使用し得
るが、2種以上を併用しても良い。また本発明において
は、粒子径10〜10000μで、且つ孔の大きさが1
0〜10000人の物が好適であるが、更に好ましくは
、粒子径50〜300μで、且つ孔の大きさが300〜
500人の物が好適である。また、これらの担体を化学
修飾して使用しても構わない。即ち、酵素の固定化方法
としては、物理吸着、イオン吸着或いは共有結合のいず
れの手法を用いても良い。
本発明に用いられるレシチンとしては、大豆、黄卵等、
動物由来若しくは植物由来の天然レシチン又は合成レシ
チンが挙げられるが、単独で使用しても良いし又は混合
物で使用しても良い。
一般に天然レシチンはホスファチジルエタノールアミン
(以下PEと略記)、ホスファチジルコリン(以下PC
と略記)、ホスファチジン酸(PA)、ホスファチジル
イノシトール(以下PIと略記)の混合物である。
これらのレシチンの構成脂肪酸としては同−又は異種の
炭素数8〜24の飽和又は不飽和脂肪酸であって、例え
ばカプロン酸、カプリル酸、ラウリン酸、ミリスチン酸
、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、アラキシン
酸、パルミトオレイン酸、オレイン酸、リノール酸、α
−及びT−リルイン酸、エルシン酸、アラキドン酸、エ
イコサペンタエン酸、ドコサヘキサエン酸、テトラコサ
テトラエン酸等が挙げられる。
本発明の反応を効率良く行わせるには、反応系内に有機
溶媒及び水(但し、水の量は重量基準で有機溶媒の重量
を越えない量である。)の存在が必須である。
本発明に用いる有機溶媒は、基質を溶解し、且つ効果的
な反応速度を得る為に使用される。
有機溶媒の極性を示す指標として、一般に溶解度パラメ
ータが使用される。溶解度パラメータはC,M、 ハン
セン(C,M、 Hansen) 、J、ペイントチク
(J、Pa1nt Tech、、 39.104(19
67))により示されているものである。但し、n成分
よりなる混合物の場合、溶解度パラメータδは下記式(
1)により計算する。
(式中、Φ、は成分iの容積分率、δ、は成分iの溶解
度パラメータである。) 本発明に用いられる有機溶媒は、単一溶媒であっても、
2成分以上からなる混合溶媒でも良いが、溶解度パラメ
ータが15以下の比較的極性の小さな溶媒を使用するこ
とが好ましい。レシチンの溶解性を考えると、溶解度パ
ラメータが7以上10以上のものを使用することがより
好ましい。
本発明で使用できる溶媒としては、例えば、融点40℃
以下のカルボン酸のアルキルエステル、脂肪族炭化水素
、脂環式炭化水素、芳香族炭化水素、ハロゲン化炭化水
素等の1種又は2種以上の混合物が挙げられる。具体的
には、カルボン酸のアルキルエステルとしては、炭素数
2〜6の直鎖又は分岐脂肪酸のアルキル(炭素数1〜8
の直鎖又は分岐アルキルである)エステルが挙げられ、
酢酸メチル、酢酸エチル、プロピオン酸メチル、酪酸メ
チル、吉草酸メチル、カプロン酸メチル等を用いること
ができる。脂肪族炭化水素としては、炭素数6〜12の
直鎖又は分岐脂肪族炭化水素が挙げられ、特にヘキサン
、ヘプタン、石油エーテルが好適である。脂環式炭化水
素としては、炭素数6〜12の非置換式又は置換式脂環
式炭化水素が挙げられ、特にシクロヘキサン、メチルシ
クロヘキサン、シクロオクタンが好適である。芳香族炭
化水素としては、炭素数6〜12の非置換式又は置換式
芳香族炭化水素が挙げられ、特にベンゼン、トルエン、
キシレンが好適である。更にハロゲン化炭化水素として
は、炭素数1〜8の直鎖又は分岐アルカンのクロル化、
ブロム化、ヨウ素化物が挙げられるが、特にクロロホル
ム、四塩化炭素、塩化メチレンが好適である。更にメタ
ノール、エタノール等の炭素数1〜5の直鎖又は分岐の
低級アルコール、ジエチルエーテル、ジメチルエーテル
等のエーテル類も用いることができる。しかし、特に、
食品、化粧品に対する用途の場合は、人体への安全性が
要求されるため、ヘキサン、エタノール等の使用が望ま
しい。
更に反応を効率的に行うために、反応系内にカルボン酸
アルカリ金属塩、カルボン酸アルカリ土類金属塩もしく
はその混合物を存在させるか、又はカルボン酸と無機ア
ルカリ金属塩、無機アルカリ土類金属塩もしくはその混
合物とを存在させるか、又はこれらの両者を同時に存在
させることにより効果的な反応速度が得られるが、反応
速度の点でカルボン酸並びに無機アルカリ金属塩、無機
アルカリ土類金属塩もしくはその混合物の存在下で行う
のが好ましい。
本発明に用いるカルボン酸、カルボン酸アルカリ金属塩
もしくはカルボン酸アルカリ土類金属塩において、カル
ボン酸は炭素数2〜8からなる直鎖又は分岐型の脂肪族
カルボン酸又は/及び炭素数7〜12の芳香族カルボン
酸であって、例えば酢酸、酪酸、プロピオン酸等の脂肪
族カルボン酸又は/及び安息香酸等の芳香族カルボン酸
が挙げられるが、脂肪族カルボン酸がより好ましい。ま
たアルカリ金属としては、ナトリウム、カリウム等が挙
げられ、アルカリ土類金属としては、バリウム、マグネ
シウム、カルシウム等が挙げられる。また、無機アルカ
リ金属塩又は無機アルカリ土類金属塩としては、上記金
属のハロゲン化物、炭酸塩、リン酸塩等が挙げられる。
この様な酵素反応では、カルボン酸のアルカリ金属塩も
しくはアルカリ土類金属塩又は/及びカルボン酸と無機
アルカリ金属塩もしくは無機アルカリ土類金属塩は水溶
液の形で使用されるが、この水溶液のpHが重要であり
、pH= 4.0〜9.5の範囲であることが好ましく
、上記有機又は無機金属塩の添加量は、このp)lの範
囲となるように反応系へ添加される。本発明では、pH
=5.5〜6.5の範囲にあることが更に好ましい。
本発明において、酵素の固定化は以下の様に行われる。
レシチンをPAと含窒素塩基に加水分解する酵素とレシ
チンをジグリセライドとホスホリル塩基に加水分解する
酵素を、同時に或いは別々にセラミック製又はガラス製
の担体に吸着させ、固定化酵素とする。この際、レシチ
ンをPAと含窒素塩基に加水分解する酵素とレシチンを
ジグリセライドとホスホリル塩基に加水分解する酵素は
、同時に又はそれぞれが、前記したカルボン酸のアルカ
リ金属塩もしくはアルカリ土類金属塩(又はカルボン酸
と無機アルカリ金属塩もしくは無機アルカリ土類金属塩
の混合物)の0.05〜1.0M濃度の水溶液に溶解し
た形(以下、酵素液と略す)とする。この酵素液は、担
体1に対して重量比で0.1〜10.0、好ましくは0
.2〜1.0を吸着させる。ここで、担体に吸着させた
水分は、酵素活性の発現、及び加水分解反応に使用され
る。
前記した2種の酵素の添加量については、いずれも加水
分解反応を十分に進行させる濃度が必要とされる。具体
的には反応に用いるレシチン1gに対して、レシチンを
PAと含窒素塩基に加水分解する酵素0.01〜100
0ユニツト(より好ましくは0.1〜500ユニツト)
を、また、レシチンをジグリセライドとホスホリル塩基
に加水分解する酵素0.01〜1000ユニツト(より
好ましくは0.1〜500ユニツト)を同時に、又は別
々に添加すればよい、前記した2種の酵素を別々に添加
する場合、その順序は問わない。
ここで言う酵素単位の1ユニツトとは、レシチンをPA
と含窒素塩基に分解する酵素にあっては1分間に1μm
oleのホスファチジルコリンを加水分解する酵素量を
表し、レシチンをジグリセライドとホスホリル塩基に加
水分解する酵素にあっては1分間に1μ5oleのホス
ファチジルイノシトールを加水分解する酵素量を表す。
本発明の方法によりレシチンの加水分解反応によるPA
の製造は、例えば次の様に行われる。
市販の植物系又は動物系の脱脂レシチン、又は市販のク
ルードレシチン等に、前記した有機溶媒を加え基質溶液
とする。この際の有機溶媒の量は、レシチン1重量部に
対して1〜100重量部、好ましくは1.5〜70重量
部である。これより多くの有機溶媒の使用は生産性が悪
くなる。
またこれより少ない有機溶媒の使用はレシチンの溶解性
が悪くなり反応操作が困難になる。
前記の手法で調製した固定化酵素1重量部に対して基質
溶液0.5〜10重量部、好ましくは0.9〜10重量
部を添加し反応を行う。これより少ない基質溶液ではP
Aの回収が困難であり、これより多くなると反応が進行
しにくくなる。又、固定化酵素1重量部をカラムに充填
し、カラムの下方より前記基質溶液を液滞留時間として
0.1〜48時間(好ましくは10〜30時間)になる
ように連続的に供給し、固定化酵素と基質溶液の接触を
行い反応させることもできる。
本発明の反応系において必須である水の量は、これらの
反応方式のいずれにおいても、重量基準で有機溶媒の重
量を越えない量である。水の量がこの範囲を越える場合
は本発明のホスファチジン酸の製造は効率的に行われな
い。水の量については、特に好ましくは液相部に水層が
生ずることがない程度の水の量が良い。加水分解に必要
な水分は、固定化酵素調製時に吸着させた水分でまかな
うことができるが、固定化酵素の繰り返し使用、又は連
続運転で不足する分については、基質溶液に飽和濃度と
なる様に水分を加えて用いればよい。よって、反応系は
常に単一の液相と固定化酵素からなる固相によって形成
される固−液系を形成することが好ましい。
本発明の反応の具体的方法に関しては、原料レシチンや
有機溶媒、酵素等の反応に関与する物質の添加順序、使
用する有機溶媒や反応液の組成については何ら制限を付
するものではなく、本発明方法の効果が発現する範囲に
おいて任意に調整できるものである。
本発明の製造方法で生成するPAは、反応後の溶液より
常法により、例えば溶媒留去等の精製処理を施すことに
より、容易に分離収得することができる。
尚、本発明方法のレシチンの加水分解反応の反応過程は
、例えば薄層クロマトグラフィー(TLC)、高速液体
クロマトグラフィー(HPLC)等の分析方法を用いれ
ば、その経過が把握でき、これにより反応時間をコント
ロールすることもできる。
〔発明の効果〕
本発明によれば、目的とするPAを常温、常圧、中性等
の温和な反応条件下で高純度かつ高収率で得ることがで
きる。
特に、酵素溶液によるヘキサン中でのレシチンの加水分
解が困難であることを固定化酵素の使用により可能とな
らしめることができる。また、酵素溶液によるPA製造
時に行っていた煩雑な精製工程の簡略化ができると共に
、酵素が再度使用可能になり、使用酵素量の低減を図る
ことができ、なお且つ連続的な製造工程を組むことが可
能になる。
〔実 施 例〕
以下、実施例、比較例等をもって本発明方法を詳細に説
明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
実施例1 100 mの蓋付三角フラスコに、微生物起源のPL−
D (東洋醸造■製、Streptomyces Ch
ro−mofuscus由来)180ユニツトをとり、
50+mMの塩化カルシウムを含む0.4 M酢酸緩衝
液(pH6,0)を0.2 all!加え溶解し酵素液
とした。そこにセラミック製粉末担体(日本ガイシ■製
)を加え、3時間室温にて振盪攪拌しながら吸着させ、
−固定化酵素とした。そこへ市販の脱脂レシチン(ツル
ーレシチン工業■製、SLP−w−5P) l10l1
をヘキサン1111に溶解した基質溶液101dを加え
、この反応混合物を温度30°Cに保ちながら24時間
振盪攪拌させた。反応後、濾過により固定化酵素と生成
物を含む溶液に分離し、生成物を含む溶液中の各成分の
変化をHPLC(UV検出)で測定した。
結果は第1表に示した。
実施例2 100 dの蓋付三角フラスコに大豆より抽出したPL
−D及びPL−Cをそれぞれ35ユニツト、1ユニツト
ずつとり、50s+Mの塩化カルシウムを含む0.4M
酢酸緩衝液(pH6,0)を0.2 nd!加え溶解し
酵素液とした。以後実施例1と同様の操作を行い、24
時間の反応、分離を行って、生成物を含む溶液中の各成
分の変化をHPLC(UV検出)で測定した。
結果は第1表に示した。
比較例1 100 mの蓋付三角フラスコに、微生物起源のPL−
D (東洋醸造■製、Streptomyces Ch
ro−mofuscus由来)350ニーyトをとり、
50mMの塩化カルシウムを含む0.4M酢酸緩衝液(
pH6,0)を0.2 m加え溶解し酵素液とした。市
販の脱脂レシチン(ルーカスマイヤー■製、エピクロン
200) 10s+gをヘキサン1Ml1に溶解した基
質溶液1〇−を前記の酵素溶液と混合し、30°Cで1
20時間、振盪攪拌しながら反応した。反応後その溶液
を室温にて3000rpstで15分間遠心分離を行い
、得られた油層をHPLC(UV検出)で分析すること
で、各成分の変化を測定した。
結果は第1表に示した。
比較例2,3.4 比較例1において、50+sMの塩化カルシウムを含む
0.4M酢酸緩衝液(pH6,0)の量を、0.4.0
.6.1.0 mにして酵素液を調製し、比較例1と同
様の条件で反応、分離し、得られた油層をHPLC(U
V検出)で分析することで、各成分の変化を測定した。
結果は第1表に示した。
第1表 注)PC・・・ホスファチジルコリン PE・・・ホスファチジルエタノールアミンPA・・・
ホスファチジン酸 PI・・・ホスファチジルイノシトールSLP−w−5
P・・・ツルーレシチン工業■製レシチン(反応原料) エピクロン200・・・ルーカスマイヤー■製レシチン
(反応原料) 実施例1及び2に示すように、固定化酵素を用いてヘキ
サン中に溶解した基質を加水分解した場合、反応原料中
のPC,PEは加水分解されPAに変化し、FA含有率
が増加する。しかし、比較例1〜4に示すように、酵素
溶液を使用した場合、ヘキサン中に溶解した基質を殆ど
加水分解できない。
実施例3 実施例1において、反応、濾過後の固定化酵素を全量回
収し、実施例1と同じ濃度の基質溶液に、50−Mの塩
化カルシウムを含む0.4M酢酸緩衝液(pH6,0)
を飽和量加え、前記の回収固定化酵素と混合し、実施例
1と同じ条件で反応、濾過、固定化酵素の回収を7回行
った。反応、濾過の度に得られる生成物を含む溶液中の
各成分の変化をHPLC(UV検出)で測定した。
結果は第2表に示した。
第  2  表 第2表から明らかなように、1週間に渡ってほぼ一定の
活性発現を得ることができた。これにより、酵素の担体
からの脱離が少なく、更に固定化酵素にすることによっ
てPL−Dの反応中の失活を抑制することができ、固定
化酵素の繰り返し使用、又は連続運転が可能となった。
出願人代理人  古 谷   馨 (外3名)

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1、下記(i)乃至(iii)に示す固定化酵素の1種
    又は2種以上、有機溶媒及び水(但し、水の量は重量基
    準で有機溶媒の重量を越えない量である。)の存在下に
    、レシチンをホスフアチジン酸と含窒素塩基とに加水分
    解することを特徴とするホスファチジン酸の製造方法。 (i)1種又は2種以上の担体に固定化した、レシチン
    をホスファチジン酸と含窒素塩基とに加水分解する酵素 (ii)1種又は2種以上の担体に同時に固定化した、
    レシチンをホスファチジン酸と含窒素塩基とに加水分解
    する酵素及びレシチンをジグリセライドとホスホリル塩
    基とに加水分解する酵素 (iii)1種又は2種以上の担体に固定化した、レシ
    チンをホスファチジン酸と含窒素塩基とに加水分解する
    酵素、並びに1種又は2種以上の担体に固定化した、レ
    シチンをジグリセライドとホスホリル塩基とに加水分解
    する酵素 2、有機溶媒が、溶解度パラメータ値7〜15のもので
    ある請求項1記載のホスファチジン酸の製造方法。 3、レシチンをホスファチジン酸と含窒素塩基とに加水
    分解する酵素がホスホリパーゼDであり、レシチンをジ
    グリセライドとホスホリル塩基とに加水分解する酵素が
    ホスホリパーゼC、ホスホジエステラーゼ、酸性ホスフ
    ァターゼ及びアルカリホスファターゼの中から選ばれた
    1種又は2種以上の酵素である請求項1又は2記載のホ
    スファチジン酸の製造方法。 4、酵素を固定化する担体が多孔を有する無機質である
    請求項1、2又は3記載のホスファチジン酸の製造方法
    。 5、多孔を有する無機質がセラミック又はガラスである
    請求項4記載のホスファチジン酸の製造方法。
JP17868190A 1990-07-06 1990-07-06 固定化酵素によるホスファチジン酸の製造方法 Pending JPH0466091A (ja)

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2010284116A (ja) * 2009-06-12 2010-12-24 Kao Corp リン脂質組成物の製造方法

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